ツルギの獅子とアイガール
【RPBT】ツルギの獅子とアイガール


●ロボプラバトルは自由だ
 坂上懐良、水端時雨、獅子王飛馬のチーム『ブレイブ』。
 鯨塚百、松原華怜、岩倉盾護のチーム『双火土盾』。
 彼らはロボプラバトルトーナメントの予選を突破し、トーナメント一回戦へと進出した。
「試合中のメンバーや機体の変更はできないが、試合前での変更は可能じゃ。各自機体の調整を怠るでないぞ!」
 両チームのエンチャンターである付喪神『ダイショウグン』はそのように言って、彼らを出雲の旅館へと案内した。

 出雲旅館。ここは選手たちの控え室兼宿泊所である。
 ロボプラの改造設備の整った特別な部屋が与えられている。
 そんな中、懐良たちは一部屋に集まって作戦会議を始めていた。
「これよりチーム『ブレイブ』と『双火土盾』による合同会議を開催する!」
「よっしゃー! かんぱーい!」
 なんか間違えた百がジュースを掲げてきゃっきゃした。
「ヘイヘーイ! カンパーイ!」
 それに応える道頓堀ワタル。
 うっかり乗っかりそうになった懐良がピタリと止まった。
「カンパ――誰だお前!?」
「道頓堀ワタル。関西イチ、いや宇宙イチのロボプラビルダーになる男や。ちなみにあんさんが撃破した太陽の塔ミレニアムはワイの作品やで!」
「そうか、ならいい」
「いいんっすか!?」
 時雨、二度見。
 ちびちびジュース飲みつつ、盾護が頷いた。
「改造、教授、してくれる」
「せや! ワイのもつ無限の改造技術とあんさんらの覚者能力が合わされば無敵や! ロボプラの作り方や改造のしかたはワイが教えたる! なんならパーツ改造も請け負ったろうやないかい! 有償で!」
「そこは有償なんだな」
 自分のロボプラを眺めながら呟く飛馬。
「あったりまえや。つかワイのロボプラは展示品として企業が依頼するほどの腕前や。いわばプロのロボプラビルダーやねん。せやけど関西で子供向けのロボプラ教室ひらいとるさかい、そこは無料でええ」
 金勘定を意外とキッチリする道頓堀である。
「まあ確かに、予選の時点で様々な改造を施していた機体があったけど……どれもかなり効果的だったんだよな」
「……装甲、抜かれた」
 盾護たちは予選の様子を回想してみた。
 ロボプラの改造は見た目の美しさやカッコよさだけでなく、攻撃の精度や行動の拡張も図れるものだったのだ。
「機体選択だけでなく改造の箇所も考える必要がでてくる。道頓堀の力は活用するべきだよな」
 懐良は夏堂の言葉を思い出していた。あとあのじっとりとした視線も。
「ではそれを踏まえて、次に当たるチームをおさらいしましょうか」
 華怜がテーブルに手書きの資料を広げていった。
「こんなものいつの間に」
「試合のあと、少し見て回っていたもので……」
 華怜は眼鏡(度入りか伊達かはわからない)をかけて、資料をめくり始めた。

「まずチーム『ブレイブ』と当たるのが、予選でも見かけたチーム『アイガール』。
 主人公級の戦闘力を持った少女AIロボット(という設定)で構成されたチームです。
 高機動近接戦闘タイプと高火力遠距離掃討タイプ、それに……もう一つは補給支援機ですね。コンテナに手足がついたような、小さな機体でした」
「支援機か。戦闘を前後衛の二人に任せて気力や体力の回復担当をつけるのは基本だな」
「バランスの良さではうちと似てるっす」

「次にチーム『双火土盾』とあたるのが、チーム『剣の獅子』。
 にわかには信じがたいですが、動物系ロボットで構成されたチームのようです。
 前衛アタッカーはライオンで、火力担当はティラノサウルスだとか……。もう一機がわかりませんでしたが、恐らく似たコンセプトでしょう」
「動物系のロボに表意なんてできるのか?」
「入る、だけなら」
「そっか、四つ足で走る感じなのか……」
「人体は四つ足歩行に向きませんが、それに応じた作りをしたロボプラなら十分な機動力となるでしょうね」

 一回戦の日は近い。
 その日に備えて、ロボプラの準備をしなくては!


■シナリオ詳細
種別:シリーズ
難易度:普通
担当ST:八重紅友禅
■成功条件
1.ロボプラバトル一回戦に二チーム総合で一勝以上を納める
2.なし
3.なし
 ロボプラバトル第二回です。
 メンバーやロボプラの交換はできますので、前回と全く違うロボプラを用意して頂いても構いません。
 あと今回から分かった要素もあるので、色々相談しながら考えをまとめてみましょう。

●試合内容
 3対3のチーム戦を行ないます。
 制限時間は3時間とかなり長いので無いも同然と考えてください。
 使用機体は一人一つまで。分離するタイプの機体は両方を同時に操作するためかなり制度が落ちます。
 超大型機から小型機まで動かせますが、大きすぎると狙いが定めづらくなったり敵の攻撃が当たりやすくなったりというデメリットがあるのでご注意ください。
 フィールド設定はランダムですが、基本的に地面のあるフィールドが作られるでしょう。

●ロボプラバトルのしかたについて
 付喪神『ショウグン』の力を借りてロボプラに魂を表意させて直接操作します。なんで覚者バトルまでできるのかについては初回シナリオで詳しく説明しているのでご参照ください。

●改造補正
 ロボプラに拘りの改造を施すことで判定に補正がかかります。
 具体的にはダイスロール判定(命中や速度など)と行為判定(複雑で細かいあれこれ)が有利になります。
 NPCの道頓堀に技術を教わったことにしてもいいですし、改造をしてもらったことにしても構いません。
 改造リソース(実質的にはプレイングの文字数)には限りがありますが、相手チームもガンガン改造してくるので遠慮無くぶっ込みましょう。
 ちなみに、イメージだけ伝えて『お任せ改造』を頼むこともできます。ただしヘンテコな機能をぶっ込まれます。

【対戦相手についての事前知識】
●チーム『AI-GIRL(アイガール)』
・ゆかろいど
 チェーンソー風片手剣を使って踊るような超高速機動で戦うバーチャルロイドです。踊りや歌によって高い補助効果を発揮します。
 使用術式は天行タイプ。
・ネフティス
 女性自律AIを搭載したOF……をベースに独自解釈で作った戦闘家政婦型OF。様々な電化製品を武器に凄まじい火力を発揮する。
 使用術式は火行タイプ。
・EVO-Maxドライブスルー
 コンテナに手足がついたような支援機です。いわゆる汎用小型兵器。
 武器弾薬を補充する機能を搭載していますが、そのためだけにこの歩く棺桶みたいなロボを用意する意味って……?

●チーム『剣の獅子』
・ザンカンライガー
 ビームをも弾くブレードを備えた鋼の獅子です。
 凄まじく高い機動力と攻撃力。命中回避の補正がかなり高そうです。
 剣と射撃で戦うっぽいですが……。
・ディアボルレックス
 ティラノサウルスベースのロボプラですが、かなり様々な改造を施し重火力兵器と化しています。ちょっとした移動要塞です。
・不明機
 確認できていませんが、上記二つと何らかのバランスをとっているのは間違いないでしょう。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(2モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
公開日
2016年10月17日

■メイン参加者 6人■

『献身なる盾』
岩倉・盾護(CL2000549)
『侵掠如火』
坂上 懐良(CL2000523)
『サイレントファイア』
松原・華怜(CL2000441)

●剣の獅子VS双火土盾
「奔れ、ザンカンライガー!」
「耐えろ、ビッグジェイ――!」
 高速機動で駆け回るライオン型ロボプラ。
 ガード姿勢の岩倉・盾護(CL2000549)のビッグジェイをあらゆる角度から連続で爪や牙の攻撃を加えていく。
 機動性を完全に殺すことで移動防壁と化したビッグジェイを削りきることは難しい。
 しかし……。
「ショウダウン」
 ビッグジェイが両腕を掲げるように構えるや否や、両腕の甲に接続されたシールドが複雑展開。
 巨体を卵状に覆うように包み込んだ。
 さらには脚部から地面にアンカーを複数打ち込むことで完全に体勢を固定。
 動きを殺しに殺したことでかえって防御に重きを置いた作戦だ。
「なんて走行だ! けど、いつまでも耐えられるものじゃないぞ!」
「いい。仲間が来るまで、耐える」

 盾護たちの立てた作戦。それは、機動力に差のありそうな剣の獅子チームに一対一の戦いを仕掛けることで敵戦力を早めに削るというものだ。
 敵の主力であろうザンカンライガーに一見相性の悪そうなビッグジェイを当てたことで、今回の作戦は順調に滑り出した。
「とはいえ、私が勝たなければ逆にこちらの戦力が大きく傾くことになりますね」
 『サイレントファイア』松原・華怜(CL2000441)のドライジェミニはビームピストルを空に向けて連射。
 プテラノドン型のロボプラはペナルティなど知ったことでは無いというような巧妙な飛行技術でビームを防いでいく。
「スナイパー機か。そんな技術では飛行能力を極めたプテラニルヴァーを打ち落とすことなどできんぞ!」
 上空からのビーム射撃が襲う。ブースターをふかして回避を狙うが、ビームピストルに直撃。爆発を起こす前に手放した。
 後ろから送受心で語りかけてくる道頓堀。
「松原はん! ロボプラの改造は完璧や。けどアドベントモードはテストしとらん。せやからつかったらあかんで!」
「了解――アドベント!」
 もはやお約束だといわんばかりに背部のイエロドライバーを起動。
 真っ赤に発光したドライジェミニがスナイパーライフルを機体に連結。
 相手の位置を特定すると、戦艦級のビームを放った。
 光に呑まれるプテラニルヴァー。

 一方その頃。
「耐えてくれヒャクゲキ! お前はやれば出来る子だ!」
 『百戟』鯨塚 百(CL2000332)のヒャクゲキは大量に降り注ぐミサイルとビームの雨嵐をかいくぐっていた。
 火力に全てをかけた移動要塞ディアボルレックス。
 様々なロボプラの高エネルギー武器をお前頭おかしいだろってくらい詰め込み、エネルギー源は核百個分ですとか言わんばかりのパワフルさを見せたがその一方で機動性が完全に死んだというアホみたいなロボプラである。
「僕のディアボルストームから逃れることはできないぞ!」
「逃れる? オイラは逃げない……! できるよな、ヒャクゲキ!」
 ヒャクゲキは攻撃の回避から一転して攻撃にシフト。
 落ちてくる巨大ミサイルに向けて左手のアームライフルを連射。
 爆発によって左腕が吹き飛んでいくが、背部ブースターを限界までふかして直進。
「くらえ、オイラの秘密兵器!」
 ヒャクゲキの飛翔膝蹴。膝から露出した円錐ドリルがディアボルレックスの腹部に直撃。 と同時に腹から重力砲が発射された。
 吹き飛んでいく右足。
 が、ひかずに回し蹴り。
 つま先から現われた隠しビームブレードが直撃し、ディアボルレックスの内部組織を切り裂いた。
「この攻撃から退かない!?」
「さすがにヒャクゲキもここまでだ。けど、お前だけは倒す!」
 ディアボルレックスから緊急離脱する小型のロボプラ。
 ヒャクゲキはそれを脱出直前に押さえつけると、パイルバンカーにエネルギーを全て送り込んだ。
「必殺! 百戟貫殺撃!」
 打ち出される強固な杭が小型機とディアボルレックスを同時に貫き、連鎖爆発を起こさせた。

 エンブリオシールドが次々に拉げていく。
「どうした、防御するばかりか!」
「防御、必要。盾護の、役目」
 ビッグジェイ自慢の装甲も永遠ではない。
 しかしその全てが喪われる前に、仲間は駆けつけた。
「圧縮粒子、解放。アドベントモード!」
 高出力ビームがザンカンライガーへ迫る。
 素早くターンして巨大ブレードを展開。
 ビームを弾き、天空へと跳ね上げた。
「お待たせしました。やれます」
 華怜のドライジェミニだ。
「狙い撃つぜってか。けど、ザンカンライガーのブレードはビームを弾く。その攻撃は通らない!」
「どうでしょうね……岩倉さん」
「了解。ショウタイム」
 盾護のビッグジェイがシールドを開放。と同時に大量のアンカーをザンカンライガーへと解き放った。
 本当なら簡単に当たらない攻撃だが。たった一発だけ。たった一回だけ。わずか数本だけだがザンカンライガーへと突き刺さった。
 強制的に引き寄せられ、ビッグジェイの巨腕に固定される。
「しまった! けどビームは効かないぞ!」
「ええ、たったひとつなら」
 バン、という激しい音をたててバックパックがはじけ飛ぶ。
 その内側から現われたのはもう一つのイエロドライブであった。
「アドベントモード、ツインドライブ!」
「何っ!?」
 ドライジェミニのライフルの周りにシールドビットが展開。何倍にも増幅されたビームが解き放たれる。
 ビームに包まれるザンカンライガー。
 そして――。
「待たせたな! 最後はこいつできめるぜ!」
 ボロボロのヒャクゲキをなんとか飛ばして駆けつける百。
 使えるのは腕だけだ。
 他は崩壊している。
 だが。
「腕一本あれば充分だ! 百戟――拳!」
 拳を引き絞り、叩き付けるヒャクゲキ。
 突き出たのはただの杭ではない。巨大なビームバンカーが打ち出され、ザンカンライガーを貫いたのだ。
「これは――」
『みたか、ワイが仕込んだ最終兵器。ケンロクエンや!』
「へへっ……」
 砕けたザンカンライガーを前に、ヒャクゲキは崩れ落ちる。
 それを、ドライジェミニとビッグジェイが抱えるように支えた。

 試合終了! 勝者、チーム『双火土盾』!

●アイガールVSブレイブ
「おじさまっ、お食事のじかんですよーっ!」
 ピンク色のOFネフティスが腕から電子レンジを展開すると、ぱかんと扉を開いた。
 そして放たれるマイクロウェーブキャノン。
 『守人刀』獅子王 飛馬(CL2001466)の獅王号は刀を十字に構えて防御。
 その程度の防御では相手の火力を押さえきれない。
 故に。
「『考える装甲(インテリジェンスコート)』、アクティブ!」
 獅王号は青い着流し風のコートを展開。
 ただのコートではない。表面構造や全体形状がアクティブに攻撃を防御するという超世代ASに搭載された(と言う設定がある)装甲である。
 直撃した砲撃にじりじりと押される……が、四方八方へ逃がしたエネルギーが放射状にはじけていく。
 今は防御に集中しなければならない。強化したセンサー能力を活かすのはまた後だ。
「お掃除ですよーっ!」
 ホースを取り出してさきをつまむネフティス。そして放たれるウォーターカッター。飛馬の装甲が抜かれ、肩に巨大な穴があいた。そのまま斜めにざっくりと切りつけられる。
「くっ、時雨頼む……!」
「うぃっすー!」
 水端 時雨(CL2000345)のブレイブトキサメがビットを飛ばし、獅王号の傷口にナノマシンを注入し始める。
 緊急修復された獅王号のボディに、ネフティスは更に攻撃の勢いを増し始めた。
 EVO-Maxドライブスルーは後ろについてがちゃがちゃと補給作業をしているようだが、それ以外の動きは見えない。
「ありゃあなんなんだろうなあ。ま、今はいいか!」
 『侵掠如火』坂上 懐良(CL2000523)のニューカネヨシが走り出す。
 恐らくは隠し機能がありそうな機体の考察をあまりしていなかった彼らだが、まさかこれが大きな損失につながるとはこのときの彼らは予想もしていなかった。
「引き受けます。かかってきなさい」
 ゆかろいどがチェーンソー剣を起動。アイススケートのような踊りと共に高らかに歌い始めた。
 味方への補助効果が複雑に組み合わさったスキルだ。
 やめさせなくては――と襲いかかったニューカネヨシ。
 彼のビームサーベルがチェーンソー剣に止められる。
「む……おかしい。おかしいぞ皆!」
 懐良が突然叫んだ。
 飛馬と時雨がハッとして振り向く。
「何があった!?」
「この中の人……恐らく貧にゅ」
「しね」
 回し蹴りによって撥ね飛ばされる懐良。
 翼のように広げたビット群からシールドアクスを取り出して地面に突き立て、強制ブレーキ。
「何いってんすか。頭沸いちゃったんすか!」
「よく聞け! 俺は彼女たちを最初に見たとき、平均でもFカップはあると踏んだんだ!」
「言ったっけそんなこと」
「Eかもしれん。とにかくっ、ネフティスとゆかろいどの平均を考えてもそうはならん。コンテナさんに『何か』あるぞ!」
「お喋りはそこまでです」
 チェーンソーからエネルギー斬撃を飛ばしてくるゆかろいど。
 懐良はそれを小太刀方の実体剣で相殺。
 ブースターを使って一気に距離をつめにかかる。
 両腕からトンファーブレードを展開。高速回転によって切りつける。
 ガード姿勢を取るがゆかろいどの薄い装甲では簡単にはしのげない。
 更に懐良はビットの軸そのものを取り外すと、巨大なビームソードに変化させた。
「もらった!」
 ゆかろいどを腰の部分で一刀両断。
 ぐるりと反転して背を向けると、崩れ落ちたゆかろいどが爆発四散した。
「あとはネフティスとコンテナか。コンテナの中身はなんだ? 変身アイテムか? だが相手が悪かったな、このオレは装甲を一枚一枚丁寧にむいていくことに楽しみを見いだせるタイプ!」
「お休みのじかんですよ、おじさまっ!」
 枕を取り出し、投げつけてくるネフティス。
 懐良の前で炸裂した枕から、大量のグレネードがまき散らされた。
 割り込んで代行ガードをしかける飛馬。
 懐良はその間に跳躍。
 とんでもない反応速度補正だ。
「はっ、早すぎますおじさま!」
「そういう改造を施してるんでな!」
 ニューカネヨシの間接部には一部ベアリングが仕込まれている。
 通常の人間では通常人体との違いにとまどってうまく動かせないが、元々機動力や応用力のある懐良はこれをうまく使いこなしていた。
 トンファーブレードの回転斬りもそんなギミックのなせるわざだ。
「ドレスアップはアイドルの基本……だが変身しないならこっちから行かせて貰う!」
 回転斬りでネフティスのメイド装甲を切り裂いていく。
 主に腰や胸を入念に切り裂いていく。
 ゆかろいどもネフティスも火力や補助能力に特化したために防御力は低いようだ。
 たちまち懐良に切り捨てられ、がくりと崩れ落ちた。
 残ったEVO-Maxドライブスルーがよたよたと後じさりする。
「さーて残り一体……ん? そういえば主人公級の女性AIって設定なんだよな。こいつはなんだ? 間違っても主人公機には見えないんだが……まあいいか、脱がせればわかる!」
 シールドアックスを大上段に構えコンテナをかち割る懐良。
 直撃を受けたコンテナが真っ二つに……と思いきや。
 途中で刃が止まった。
「……なんだ?」
 目の光を細めるニューカネヨシ。
 一方で。
「おねえさまの、かたき!」
 ぱかんと割れたコンテナの中から、小さな美少女フィギュアが現われた。なんと彼女は刃を素手で受け止めていたのだ。
 ピンクのロングヘアにたわわな胸。
 懐良が身を乗り出した――その直後、フィギュアは斧と機体を駆け上って跳躍。
 空中で一回転すると。
「スーパー、イカズチ――」
「やばい! こいつはバスターマ――」
「下がれ懐良!」
「キック!」
 飛馬の装甲とニューカネヨシのコックピット部分を的確にぶち抜いていく美少女フィギュア。
 着地、スライドブレーキ。
 ニューカネヨシが爆発四散。
 飛馬の獅王号が振り返ると、フィギュアは天空へと飛翔していた。
 強く腕組みし、足を大きく開く伝統の立ち姿。
「受けなさい、伝家の宝刀――!」
 天空から飛来する無数の宇宙怪獣めいた物体。
 それらが集合し、MSサイズのロボプラ、NN-Precociousが完成した。
 獅王号が防御姿勢――をとる前に、獅王号とブレイブトキサメが超巨大なビームに包まれた。
 膝を突く獅王号。
「しまった。まさかコンテナの中身が主力だったなんて……そんなのアリかよ……!」
「アリっすよ」
 直撃をくらい、ばちばちとスパークをおこすブレイブトキサメ。
 がらがらと装甲が落ちていく。
 その中から現われたのは。
「なんと!」
 懐良が目に光を取り戻した。
「ブレイブ・トキサメ(時雨)――」
 水着姿の時雨そっくりに作られた美少女フィギュア
「美少女モードっす!」
「MS少女かあああああああああああ!」
「いかにも!」
 跳躍するブレイブトキサメ。
「美少女化したからといって!」
 同じく跳躍するNN-P。
 空中で蹴りが相殺。
 手をピストルのように構えてエネルギービームを連射。相殺。
 着地と同時にロッド状のパーツを握って再突撃をかけるブレイブトキサメ。
 対するNN-Pも宇宙怪獣めいた物体を槍上に練り上げて突撃。
 相殺。
 距離を取り、大技の構えをとるNN-P。
「ウルトラ・イカズチ――」
「来るぞ時雨!」
「任せるっす。これぞ隠し球中の隠し球――!」
 ブレイブトキサメが両手をエネルギー弾でもうつように構えると、周囲に散ったパーツ類が複雑に組み合わさって固定砲台となった。
「トキサメキャノン、シュート!」
「キック!」
 相殺――ではない。
 ブレイブトキサメは破壊されたが、それ以上にNN-Pは激しく損壊。宇宙怪獣めいた物体が飛び散り、中の小型フィギュアだけが放り出され、地面をごろごろと転がった。
 親指を立てるブレイブトキサメ。

 試合終了! 勝者、チーム『ブレイブ』!

●次なる戦いの序曲
「兄者、……『双火土盾』とやら、手強いぞ」
「そのようだな弟者」
 別の試合で敵を完膚なきまでに倒し、ノーダメージでしのいだチームがあった。
 パトカーを変形させた忍者めいたロボと、ドイツめいた忍者ロボが腕組みして並んでいる。
 その後ろからSDサイズの忍者ロボが風呂敷を開いて現われる。
「我らのロボプラ忍法の全てを使う必要があるでござる……」

 一方で、敵チームをバラバラに切り刻むチームがあった。
 武者鎧と刀を装備したギャンガルタイプ。
 その左右に立っているのはSDサイズだがギャンガルタイプとは全く別の、原作時点からそういったサイズのロボプラであるようだ。
 かたや槍と二刀を装備した赤黒の武者めいたロボプラだ。まるでテレカ使って公衆電話から呼び出したような機体である。
 もう一方は単眼アイカメラが上下についたピンク色のロボプラだ。全体的に丸っこく、蒸気と霊力で動いているような機体である。
「チーム『ブレイブ』が次にあたる相手か。勝てそうか?」
「勝てなくても、勝ちます!」
「ふむ、ワシも全力を尽くすぞ。隠し球もあるしな! ガハハ!」

 次なる試合のゆくえは、まだ誰にも分からない。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
『ドライ・ジェミニ』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:松原・華怜(CL2000441)




 
ここはミラーサイトです