≪友ヶ島2016≫夜の海岸に咲く花
≪友ヶ島2016≫夜の海岸に咲く花


「あ、暗くなってきましたね」
 相沢 悟(nCL2000145)はそう言って、夜の海岸で空を見上げる。
「ねぇ。波の音を聞きながら、花火をしましょうよ」

 そうして瞬く星達の下で、肩を縮めて笑った。
「星達にも、綺麗な光を見せてあげるんだ」



■シナリオ詳細
種別:イベント
難易度:楽
担当ST:巳上倖愛襟
■成功条件
1.花火を楽しむ。
2.他の参加者の迷惑になる事はしない。
3.なし
皆様こんにちは、巳上倖愛襟です。
花火がしたいよぉぉぉ…! 
よろしくお願いします。

●場所
夜の友ヶ島の海岸。
目的は花火なので、海には入れません。


●花火
各自で持ち込み。
但し、ホームセンター等で購入できるものか、小規模の打ち上げ花火系のもの。


●相沢 悟
・ススキ(着火するとススキの穂のように火花が前方に吹き出す花火)
・線香花火(着火すると小さな火の玉ができ、そこからバチバチと菊のような花が開く花火)
を持参しています。
お声かけあれば、喜んでご一緒させて頂きます。


●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『御崎 衣緒(nCL2000001)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】というタグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。


以上です。
それでは、皆様とご縁があります事、楽しみにしております。
良き夏の思い出となりますように。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
(1モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
50LP
参加人数
22/∞
公開日
2016年09月15日

■メイン参加者 22人■

『歪を見る眼』
葦原 赤貴(CL2001019)
『聖夜のパティシエール』
菊坂 結鹿(CL2000432)
『探偵見習い』
賀茂・奏空(CL2000955)
『田中と書いてシャイニングと読む』
ゆかり・シャイニング(CL2001288)
『影を断つ刃』
御影・きせき(CL2001110)
『天を舞う雷電の鳳』
麻弓 紡(CL2000623)
『ぬばたまの約束』
檜山 樹香(CL2000141)
『Overdrive』
片桐・美久(CL2001026)
『行く先知らず』
酒々井・千歳(CL2000407)
『美少女』
水端 時雨(CL2000345)
『ハルモニアの幻想旗衛』
守衛野 鈴鳴(CL2000222)
『悪食娘「グラトニー」』
獅子神・玲(CL2001261)

「夏といえば?」
 『五鱗学園』の学生達へと大きく問うた鹿ノ島遥は、満面の笑みで「そう、花火だな!」と両手を広げてみせる。
「夏の海に遊びにきて、花火をせずにいられるか! さあ、大人はロマンチックに浸ってな! ここからはKODOMOの時間だぜ!!」
「花火でファイヤー!」
 拳を振り上げた工藤奏空の隣、ゆかり・シャイニングも大きく声を発した。
「みんなで花火です! ファイヤー!」
「夏休みの最後に、こうして羽を伸ばすくらいバチは当たらないじゃろうて」
 新学年になってからも色々あったからのぅ、と呟く檜山樹香は浴衣姿だ。
「みんなで楽しく花火大会っすよ!」
 水端時雨もいっぱい買ってきた花火を手に、「どんなのやろうっすかね」と思案する。
「先生は大人だもの、大人買いしちゃったわ♪」
 お土産ね、と向日葵 御菓子も生徒達へと花火を大奮発。
「みんな楽しんでね。もっとも一番楽しみにしてるのは、わたしかもしれないけどね」
 てへ、と笑った音楽教師の隣、菊坂 結鹿も幾つかの花火を置いた。
「やっぱり、見るだけでなく自分でもやりたいですもんね」
 葦原赤貴も店で買ってきたパック花火を6袋、そっと並べる。少し離れた所に着火用の蝋燭も置いて、消火用の水入りバケツも備えておいた。
「ふふ、遊ぶのもいいけど、遊び終わった花火はちゃんと消さなくっちゃですよ」
 赤貴と同じように両手に水を入れたバケツを持ってきたのは、守衛野鈴鳴。
「はーい!」
 手をあげ元気良く返事した仲間達に、にっこり笑った。
「わー、花火いっぱいだ! すごいすごーい!」
 どんどんと集まってゆく花火に、御影きせきは思わずはしゃいでしまう。
「僕の地元って花火で遊べる公園とか少なかったから、こういう機会ってあんまなかったんだよね」
 にこにこと、皆でやる花火を楽しみにしていた。
「相沢ァ! 好きな花火用意してきたか!」
 遥の言葉に、相沢悟は「勿論です!」と二種類の花火を獅子神玲と共に高く掲げる。
「友達と花火をするってワクワクするよね!」
 玲の言葉に、「ね!」と笑った。

「じゃあ行きますねー」
 笑いを含む賀茂たまきの声で、子供達の花火は始まる。
 音と共に打ち上げられた花火を、全員が弾かれたように見上げる。割れた揚げ玉から、夜空へとパラシュートが放出された。
「オレの獲物だー!!」
「なんの。たまきちゃんが放ったもの、負けないよー」
「どっちに飛んだっすか!」
「音からしてあっちね! 行くわよ、結鹿ちゃん♪」
「お姉ちゃんってば、素早い……」
「ゆかりも勝ちを狙いますよ!」
「星明りがあるとは言え、中々に難しそうじゃ」
「あ、でも。星がキレイですよね……」
「鈴音ちゃん、言ってるばあいー!?」
「悟君、僕達も行くよ!」
「えっ。行くってどっちに?」
 仲間達が四方に散ってゆく中。赤貴が静かに落ちてくるパラシュートの行方を、視線で追っていた。

「アレはないよねー」
「風に乗って海にボチャン、だからなー!!」
 グチる奏空と遥は、けれども笑顔だ。
 笑ったまま、派手に噴き出す花火に火を点けた。
 花火が途切れぬようにと、赤貴がパックに入っていた花火を配っていく。名前なぞは知らぬから、そこはテキトーだ。
「サンキューな!」
 礼を伝えた遥に、頷き返した。
「火、少し分けておくれよ」
 初めて見る花火を貰った悟には、玲が声をかける。距離を感じさせぬよう友達として接してくれる玲に、悟が笑顔で花火の先を差し出した。
「あ、これ」
 そんな中から、奏空が気付いた蛇花火。
 何々? と寄ってきた友人達の前で点火する。
 うにょうにょとした動きに、皆で大笑いした。
 はしゃぐ男子達の様子を微笑ましく眺めながら、鈴鳴は手持ちのスパーク花火で慎ましく遊ぶ。
「パチパチってしてて、とってもキレイですよね……」
「本当ですね」
 返ったたまきの声に、視線を上げる。
 たまきだけではない。一緒に花火を楽しむ樹香やゆかり、御菓子や結鹿の顔も照らされて、鈴鳴はにっこり笑顔を浮かべていた。
「お姉ちゃん、楽しそうだね」
 結鹿の言葉に、御菓子は「だって」と心から楽しそうに答える。
「こういう時じゃないと、教え子と対等に遊ぶ機会ってないんだもの。だから、全力で楽しむつもりなの」
「ゆかりも、ここでお友達を増やしたいなと思ってるわけですよ! ゆかり、こう見えて交友範囲狭いので!」
 シャイニングの言葉に、驚く皆の視線が返った。
「もう皆『お友達』、かもしれんぞ。こうして遊んでおるのじゃから」
 樹香の言葉には、全員に笑顔が広がった。
「ほら、すっごい眩しいよ! 見てみてー!」
 きせきはそう言って、手持ち花火を何本かまとめておっきな花火を作ってみせる。
「時雨ちゃん、どっちが眩しくできるか勝負しようよ!」
「危ない持ち方はだめっすよ」
 立てた指を振って諭した時雨は「確かに眩しいくらいの光っすね」と笑顔できせきを見る。
 そうして、1本の花火を差し出した。
「混ぜ合わせより1本1本大事に遊ぶのも乙なものっすよ」
 2人で楽しむ、お揃いの花火。それはさっきの大きな光に負けぬくらい、とても綺麗に咲き誇っていた。

「なんといっても花火の隠れた主役といえば線香花火です!」
 言った結鹿の隣で、御菓子がうんうんと頷いている。
「みんなで競争すれば、意外と笑いあり、涙ありなイベントになりますよ」
 そんな言葉から始まった、線香花火競争。
 そして強敵は、案外と身近にいた。
「結鹿ちゃん、だれがあなたを線香花火の猛者に育てたと思ってるの?」
 チラリ、と御菓子が鋭い視線を妹に向ける。
「まぁ、わたしじゃないんだけどね」
 その言葉には、「違うんかーい!!」と遥から突っ込みが入った。
「まあね。でも、姉として負けられないもの。絶対負けないわよ」
 バチバチと、散る火花。
 それは兎も角と、皆で線香花火に火を点けた。
「線香花火って、やったことないんだよね。やり方教えて!」
 せっかくの機会、と。きせきは悟の隣に座る。
「そうなんですか? 線香花火はちょっと、面白いんですよ」
 パチパチと幾つも開く花。そしてぷっくり膨らんでいく玉に、きせきが「へぇ」と声を洩らした。
「これを落とさないように長く持たすのが、難しいんです」
 ほら、と悟が示す先には、集中している結鹿の姿。
「やるからには当然、勝ちに行きます」
 そんな彼女の言葉に、「深いんだ」ときせきが光の玉に視線を戻した。
「打ち上げ花火とかFiveくれないっすかねえ? ドーンってやってみたいっす」
 時雨はそんな願いを口にし、「やはり最後は線香花火っすよね」と火を点ける。
「星一つ残して落る花火かな」
 ポツリ零した言葉は、結構な情緒が溢れていた。
 パチパチと弾ける火の玉を見つめる樹香は、この夏も戦いに勉強に忙しかった、と思いを巡らせる。
 この手で守れるものを守りたいと思い戦ってきたが――。
(少しでも役に立つことができたかのぅ? 少しでもワシは成長しているのかのぅ?)
 花火を見つめながら、ぼんやりと沸き上がるのはそんな思い。
 膨らんでゆく光を、赤い瞳が映していた。

「FiVEの皆さんと過ごす初めての夏、とっても良い思い出になりました! またみんなで遊びたいですね!」
 宴も終わりに近づくと、ゆかりは準備してきた家庭用のナイアガラを仕掛けた。
 付属の棒に、ずらっと花火を吊り下げる。
「こだわりの逸品です! どーん!!」
 一気に点火すれば、バッ! と一斉に光り、輝く滝が流れ落ちる。
「ほら、めっちゃ派手で賑やか! シャイニング!!」
 見事な花火に、皆から歓声と拍手が起こった。
「よーし、みんなー! ド派手にいくからなー! 注目しつつ後ろに下がれーー!!」
 遥は手持ちの小遣いで買えるだけ買ってきた店で1番大きな花火達に、まとめて着火する。
 打ちあがる花火は、大規模なものではなかったけれど。
 若者達が驚く程には音は大きかったし、感動を与える程には充分に煌びやかだった。
「たーまやーーー!! かーーぎやーーーー!!」
 はしゃいで逃げた鈴鳴は振り返り、目を細め見上げる。
「夏もそろそろおしまいですが、とっても楽しかったです。またこうやって、皆さんと思い出を作りたいですね!」
 笑い合う仲間達を見回して、赤貴も悪くない、と自覚する。
 一緒に笑うとかは、難易度が高いけれど。
 やはりこういう季節にあった風情のある遊びはよいものだ、と思う。
(来年、何人ここにいるか……などと言ってしまったら台無しだな。まぁ ざっと見、オレがいなくなっている方があり得る話だが――)
 それでも。周囲の笑顔を見ていると、充分に穏やかな気持ちになれた。
「あー、楽しいなあ!」
 遥は、そう声に出す。
(みんなで騒いで、みんな笑ってて、その中にオレがいて……)
「ずっとこんな日が続くといいなあ!」

 玲は打ち上げ花火を背に振り返る。
「そう言えば、遅れてしまって申し訳ないけど……悟君、FiVEにようこそ!」
 驚く少年に、笑いかけて。
「友達として歓迎するよ! ……これから一緒に楽しい事も辛い事も分かち合って進んでいこうよ!」
 指切りすれば、悟が笑った。
「ありがとう。一緒によろしくね」

 たまきと2人、話をしながら線香花火をしていた奏空は、「あ、落ちた」とじ~と眺めていた線香花火からパッと顔を上げる。
 たまきの笑顔が近い事に、思わず顔を赤らめた。
 熱を持った顔は、打ち上げ花火の光が隠してくれる。
 そうして2人、花火を見上げた。
「奏空さん」
 呼ぶ声に振り返れば、たまきからのサプライズ。
 彼女の持つススキ花火が描くのは、大きなハート。
 それは、眩し過ぎる笑顔への――。
「少し、恥ずかしいですが……私の気持ちです……」


 賑やかな場所から少し離れ、時任千陽と麻弓紡は2人で花火をする。
 勉強会を終えたばかりの紡は、赤いフレーム眼鏡に白のワンピース姿。
 そして千陽は、Tシャツに黒縁眼鏡のままだった。
 上がった歓声に、千陽が学生達を見る。楽しむ様子に、平和の良さを想い目を細めた。
「千陽ちゃん、みててねー?」
 呼ぶ声に、思わず花火を落としそうになった。
 極太カラースパーク。赤い火花を噴き出すそれを、紡がぶんぶんと振っている。
「そんなに振り回しては危険です! 紡」
 止める千陽に、紡は「みえた?」と照れた笑顔を浮かべた。
「振り回さなくても見えますから! 綺麗です! 綺麗ですから」
 必死に言う千陽に、今度は紡の方が花火を落としそうになる。
「カタチが重要だったのに……」
 ハートを描いていたそれに、千陽は気付いていないのだ。
 唇を尖らせた彼女に、千陽は只々首を傾げる。
「何か変なことを言ってしまいましたか?」
 ううん、と首を振った紡が、火が落ちるのを待って千陽へと駆け出した。
 キュッ、と。
 千陽の指と自分の指を絡める。
「ちょっと、肌寒い……ね?」
 それは手を繋ぐ為の、口実だったけれど。
「しまった、上着をコテージに置いてきたのは失敗でした。取りにもどりま……」
 心配する千陽を、その手を、紡は離さない。
「……夜の海は引き込まれそうですが、綺麗です」
「ん、綺麗だね」
 砂浜に、座って。
 寄り添い眺め、時折視線を交わしては笑い合った。


「前の誕生日パーティは、手伝ってくれてありがとうな!」
 礼を伝えた切裂ジャックに、片桐美久は笑顔を返す。
「僕の方こそ楽しいパーティのお手伝いさせて貰って楽しかったですよ!」
「花火いっぱいあるから、どんどん燃やそうぜ!!」
 語弊のあるジャックの言い方に、美久はふふっと笑う。
「お兄さん、うっかり花火以外を燃やさないでくださいね?」
 水を用意する美久に、「おう!」と無邪気な声が返った。
「あ、バケツありがと!」
 ロウソクを置いて火を点けていけば、ジャックのテンションは上がっていく。
「俺の花火で、火点けなよ!!」
 花火から花火へと――。
「見ろ! 花火竜巻旋風!!」
 花火を持ったまま回転するジャックに、美久か笑った。
「すごいすごい! 綺麗な渦になってますよ!」
 美久が喜んでくれるから、力が入ったかもしれない。
「あち、あちち!!」
 手を振るジャックに、「お兄さん、これで一緒に遊びませんか?」と美久が銃の絵型花火を差し出した。
「どっちがカッコよくポーズきめられるか勝負ですよ!」
「おお! いいな!」
 ジャックは両手に銃花火を持って『荒ぶる鷹のポーズ!!』
 少しの沈黙後、「い、今のは冗談だ」と腕をクロスさせた二丁拳銃。そして不敵な笑み。
「確かにキマッています!」
 ならばと美久は、右手に持って銃口をやや上に。左手を腰にあてた澄まし顔。
 花火が消えれば、フッと銃口を吹いた。
 2人、笑って。楽しい時間が過ぎていった。


 青の浴衣姿で砂浜に立った水瀬冬佳に、酒々井千歳はにこにこと笑顔を向ける。
「冬佳さん、浴衣似合ってるね。そうしてると、普段と少し、雰囲気変わるなあ」
 いつも通り落ち着いた雰囲気の千歳は、その口調の中に純粋な感想を滲ませる。
「ありがとう、酒々井君。酒々井君も……和装、やはり似合いますね」
 そう? と両袖を少し持ち上げる姿に、「はい」と頷いた。
「立ち姿が様になっています」
 持ち寄った、色々な花火。
 その中から冬佳は、千歳と同じ線香花火を一先ず選ぶ。
「酒々井君は線香花火、慣れているんですね」
 相手の手馴れた様子に感心しながら、同じように火を点けた。
 パチバチと、菊のように咲く花。
 見惚れる前に、ポトリと球が落ちてしまった。
 千歳の手元を見れば、球は回転するように、大きく大きくなってゆく。
 息を詰めるように見つめて、ポトリ落ちれば、思わず小さく拍手した。
「うん。よくやったからね」
 球の維持に苦戦しながら、千歳の話を聞く。懐かしむように話す彼に笑みを浮かべつつ、線香花火へと視線を戻した。
「私は……こういうのは、初めてです」
 千歳の視線を感じて、視線を上げる。目が合うと、微笑を返した。
「なので楽しみにしてました。良いですね、こういうの」
「良かった。まだ沢山あるからね」
「ええ、楽しみましょうか」
 夏の夜に咲いて散る火の花。
 大きな花火とはまた違う、趣のある線香花火。
 星空の下、2人でゆっくりと眺めた。


「ふふふ~、前々からやってみたい打ち上げ花火を買ってきちゃった~」
 浴衣の袖をふりふりと揺らしながら、阿久津ほのかは花火を掲げる。
「ジャジャーン! これです!!」
 それは、ぬいぐるみが飛び出す打ち上げ花火。
 気合十分な彼女が可愛いと、同じく浴衣を着た三島椿はにこにこと笑顔を浮かべる。
「水と火も準備完了よ」
「さぁさぁ、早速打ち上げちゃお~♪」
 上機嫌で花火に火を点ければ、見事にポン!! と小気味良い音がした。
「綺麗ね……」
 瞳を細め眺める椿の隣から、猛烈にほのかが駆け出していく。
「あわわ、これってよく見たら昼用でしたぁっ! ぬいぐるみはどこへ……っ」
 暗視を使い、「ごめんなさい~」とぬいぐるみ確保にほのかは奔走する。
 目をばちくりさせてから、椿は思わずクスクスと笑ってしまった。
「私のは地味かしらね」
 椿が用意したのは――。
「わぁ♪ スパーク花火だぁ~っ」
 戻って来たほのかが喜んで、早速2人で火を点ける。
「これ、バチバチバチィッて綺麗に弾けて楽しいよね~」
「スパーク花火は目で見て楽しめるわよね」
 けれど、と椿は1番好きな線香花火を取り出す。
「ぱちぱちと小さな火花がまたたくみたいでとても好きなの。……ねぇ。勝負しない?」
「うにゅ?」
 首を傾げたほのかは、「勝負する~~っ」と袖捲り。
「ゆ、揺らさないように……」
 どちらが長く、線香花火を持たせられるかの勝負。
 その行方すら、2人はめいっぱい楽しんだ。


 砂浜を鈴白秋人と手を繋ぎ歩いていた永倉祝は、のんびりとしたこんな時間は好きだな、と思う。
「沢山人が居るから、賑やかで、お祭りみたいだね……」
 微笑を浮かべて、周りで花火をする仲間達の様子を秋人が眺める。
「少し暗いから、足元、気を付けて……」
 そんな風に、彼女の手を引いて。
 満天の星空の下、2人の空間に到着した。
「そろそろ、俺達もやってみようか」
 花火を取り出す秋人に頷いて、祝はその隣にしゃがむ。
「打ち上げ花火とか派手な手持ち花火とかはどちらかというと苦手で。ススキとか線香花火みたいに静かにできるモノの方が私は好き、かな」
 頷く秋人が火を点けてくれた花火を見つめていた祝が、秋人にチラリと目を向ける。
(それにこの方がゆっくり……隣にいられるし。声も聞こえるから)
 花火に照らされた顔が、素敵で。そう思っているのが、バレてしまいそうで。
 目を合わせられないけれど、ずっと見つめていたくもあった。
「久しぶり過ぎて、昔の記憶が蘇ってくるみたいだ……」
 そう懐かしむ秋人が、花火は子供の時以来と言っていたのを祝は憶えている。
「……これからは私がいるよ。私と一緒に思い出をつくりましょう」
 ――今は、こうして隣に居てくれる祝の存在を、とても有り難く思う。
「これからも宜しくね。祝……」
 花火を持たない方の手に愛しくキスすれば、握る手に、照れた祝からキスが返った。

 それは『2人で沢山作っていこう』の約束のしるし――。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし




 
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