≪友ヶ島2016≫ゆったりと自然の中を歩こうよ
≪友ヶ島2016≫ゆったりと自然の中を歩こうよ


●島の守り神から
「先ずは謝罪を。怒りに任せて人間を攻撃しそうになった。この島守、深く陳謝する」
 ――と、謝罪するのは三メートルほどある巨大な鹿だった。
 なんでもこの友ヶ島を守る古妖で、島を汚す人間達に怒りを感じて暴れまわりそうになっていたという。それをFiVEの覚者が止めて、どうにか事なきを得た。
「詫びになるかはわからぬが、一部森を解放して貴殿らを歓迎しよう。森の住人には話をつけておくので、のびのびと楽しんでくれ」
 友ヶ島には多くの自然が残っている。ハイキングコースから外れた場所には動物たちのテリトリーがあり、言ってしまえば迂闊に人が立ち入れない区域だ。そこを島の守り神のお墨付きで立ち入ってよい、という事になった。
 事情を知っているため動物たちは友好的に接してくれるし、迷子になっても森の住人達が送ってくれるという。
 前人未踏……というほどではないが、人が手入れしていない自然を歩くいい機会だ。これも無人島ならではの醍醐味かもしれない。
 木々の息吹が感じ取れる自然の中、貴方はどう過ごすのだろうか?



■シナリオ詳細
種別:イベント
難易度:楽
担当ST:どくどく
■成功条件
1.森の中でのんびりと過ごす
2.なし
3.なし
 どくどくです。
 夏だ! 無人島だ! 森林浴だ!

●場所情報
 和歌山県友ヶ島。第三砲台近くの森の中。
 獣道のみの森の中です。松の木が多く、時々リスなどの小動物や、鹿や鳥やマムシなどが見受けられます。基本的に友好的で、近づいても逃げることはありません。風は涼しく、木々が天然のカーテンとなって快適です。
 時刻は昼から夕方。日が暮れて道に迷っても、動物達が送ってくれます。

 行動は主に三種類です。その他があれば【4】でお願いします。
 プレイングの頭か、EXプレイングに番号を付けてください。
【1】散歩:森の中を散策します。一人でも複数でも。
【2】森林浴:自然を全身で感じ取りながら、ゆっくり時を過ごします。
【3】自然と触れ合う:森の動物や木々と触れ合います。相応の技能があれば会話も可能です。

●NPC 
『気炎万丈』榊原・源蔵(nCL2000050)
 じーさんです。【2】で空手の演武をしたり、森の中でゆったりしています。

『安土村の蜘蛛少年』安土・八起(nCL2000134)
 少年です。【3】で森の動物と触れ合っています。

島守
古怪。三メートルほどの鹿です。拙作『≪友ヶ島騒乱≫神鹿の怒りがここに顕れる』に登場していますが、知らずとも問題ありません。鹿の古妖、程度で十分です。
【1】で森の中を散策しています。

 NPCは絡まれなければ基本空気です。また呼ばれればどこにでも行きます。

●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『御崎 衣緒(nCL2000001)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】という タグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。

 皆様のプレイングをお待ちしています。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
(1モルげっと♪)
相談日数
6日
参加費
50LP
参加人数
20/∞
公開日
2016年09月07日

■メイン参加者 20人■

『涼風豊四季』
鈴白 秋人(CL2000565)
『研究所職員』
紅崎・誡女(CL2000750)
『BCM店長』
阿久津 亮平(CL2000328)
『使命を持った少年』
御白 小唄(CL2001173)
『月々紅花』
環 大和(CL2000477)
『獣の一矢』
鳴神 零(CL2000669)
『夢想に至る剣』
華神 刹那(CL2001250)
『花屋の装甲擲弾兵』
田場 義高(CL2001151)
『願いの花』
田中 倖(CL2001407)
『ホワイトガーベラ』
明石 ミュエル(CL2000172)
『FLIP⁂FLAP』
花蔭 ヤヒロ(CL2000316)
『花守人』
三島 柾(CL2001148)
『天を舞う雷電の鳳』
麻弓 紡(CL2000623)


 晴れ渡る青空も森の中に入ってしまえば緑に染まる。天蓋の如く包み込む木々は、無音の空間。海で遊ぶ者達の喧騒すら遮断する静謐な空間。
(ご招待に預かりましたし、お言葉に甘えてゆっくりとさせていただきましょうか)
 森の岩に腰掛け、誡女は五感全体で森を感じていた。時の流れすら忘れそうなほどの空間の中、ゆっくりと顔をあげる。時折見えるのは小動物だろうか。その動きを目で追いながら、肩の力を抜く。
(ふむ、確かに自然だからこそ距離を置くというのもわかる気がしますね)
 呼べば来るだろう小動物達。だがそれを呼ぼうとはせず、誡女は自然のままに任せることにした。興味があれば向こうから接してくるだろう。今は自然のままに。日々の喧騒から解き放たれたこの瞬間を背一杯感じていよう。

「森っていいよなあ、天然のジャングルジムって感じだし、空気もいいし!」
 森の中を元気に歩く遥。泳いでからすぐにこっちに来たのか、水着姿である。
「センパイにとっては里帰りみたいなもんだろ! 懐かしさのあまりドラミングしたりすんなよ?」
「え? 山猿の遥君は里帰りの気分になったって? 木から木へ乗り移ったりしないの?」
 センパイ、と呼ばれた数多は遥に向かい言葉を返す。泳いでからすぐにこっちに来たのか、バニーガール衣装である。……あれ?
「あ、あそこに源蔵さんがいるわ! 遥君! つっこんでいくわよ!」
「榊原の爺ちゃんじゃん! 何やってんの? 型稽古?」
 二人は森の中で稽古をしている源蔵を見つけ、走っていく。それに気づいたのか、源蔵は汗を拭きながら手を挙げた。
「おお、オヌシたちか。森に招待されたから、身体を動かしとったんじゃ」
「へー。こういう場所で演武すると、なんか大自然のパワー的なものが吸収できそうだよな!」
「そうね、パワースポット的ななにかはありそうよね。緑の力がパワー!
 よし、勝負よ遥君。どっちが綺麗な演舞できたか源蔵さんにみてもらうわよ!」
 数多の提案に拳を握って遥が答える。
「言っとくが人間の武術のほうな! 森の王者的なムーブじゃねえからな!」
「そっちこそ山猿演舞したら笑ってあげるから!」
 互いに罵りあいながら、息を合わせて演武をする二人。
「オヌシら仲いいのぅ」
 休憩がてらに座り込んだ審判役の源蔵は、二人を見ながらそう評価した。


 一カ所にとどまらず、森の中を歩く覚者達もいた。
「きれいな水、澄み渡る空、優しくそよぐ風、最高だな」
 義高は家族を連れて森の中を歩いていた。妻のセンカと娘の那海の三人で森の中を歩く。義高が先行してみ異を進み、起伏の激しく歩きにくいところは。手を取って家族を誘導する等、安全には気を使って居た。道なき道を、家族と一緒に進む。
「いいだろ? これこそハピネスにあふれているだろ?」
 慣れぬ獣道を進みながら、しかし家族の顔に不満の色はなかった。一緒に歩く家族がいる。手を取ってくれる父がいる。そんな当たり前の日常。それがどれだけ重要なのか、あらためて思い知らされる。
(こうして安心する時間を過ごすと、なお一層平和のために人々のために頑張らなきゃいけないな)
 静かな森の中、決意を固める義高であった。
「自然が『深い』とは、こういうところを言うのであろうなぁ」
 森の中、肺一杯に空気を吸い込んで刹那が感慨深く口にする。五麟市とは違った空気。それを体全体で感じていた。
「刹那先輩とこんなに静かな状態で一緒にいるのは初めてですねー」
 その隣を歩く小唄。二人でこういった静かな場所を歩くのは初めてだ。戦いだったり運動会だったりと、どちらかと言うと一緒に戦っているイメージが強い。
「どうですか、楽しめてますか?」
「斬る相手こそいないが、狙撃も爆撃も気にせんでよいのは助かるな。久々に感じるこの香りは、心地良いよ」
 戦地慣れした刹那らしい物騒な感想だった。ともあれ楽しんでもらえるのならいい、と小唄は思い直す。
「先輩、いつもありがとうございます。先輩と一緒に依頼に行くと、何かいつも助けられているような気がしたので」
「一緒の際に坊が助かっているのは結果論……であるぞ、多分な」
 憮然と言いながら、刹那は喜ぶ小唄の顔を見て悪くはないと思い始めていた。五麟市に来てから、いろいろ変わりつつある自分に気づく。
「僕が言えた事じゃないですけど、あんまり無理しないで下さいね」
「我儘だな。善処するが先の見えぬ身には何ともであるが」
 もう誰も失いたくない、と言う小唄の顔を見てため息を吐くように刹那が返す。未来の事は、誰にもわからない。
 そこから少し離れた場所に白いワンピースを着た二人の少女がいた。
「ふふ、今日一番最初に会えたのがたまちゃんで嬉しいや」
「朝の素敵を探しに行きましょう!」
 紡とたまきである。二人は手をつなぎ、緑の天蓋の道を歩いていた。夏の陽光もこの木々の傘に遮られ、涼しい風が二人を包む。
「今だけはたまちゃん独り占めです」
「はわわ……! もう、何するんですか」
 たまきのほっぺを摘まむ紡。驚くたまきだが、それほど嫌がってはいないようだ。抵抗とばかりに摘まんだ指をつまみなおし、そのまま優しく指をつまみ返す。絡み合うたまきと紡の指。
「ふふふ」
 そのまま微笑みあう二人。静かな緑の空間が、二人の心を溶かしているようだ。「ごめんね。これ、お礼に」
 紡は鞄から魔法瓶を取り出す。暖かいココアとクッキーを取り出して、
「一緒にいかがですか、お嬢さん?」
「ありがとうございますね。紡さん!」
 二人は近くの岩場に座り込む。ココアとクッキーを口にしながら、微笑みあう。
 穏やかな風と木々から洩れる光のカーテン。時折聞こえる動物の声。日々の喧騒から離れた、優しい空間。そんな中で二人はかけがえのない時間を過ごしていた。
「兄さんとこんな風に過ごすのは久しぶりね」
「そうだな。FiVEに入ってから、お互い忙しかったからな」
 椿と柾の兄妹はゆっくりと森の中を歩いていた。何かを見ようという事もなく、ただ道行くままに森の中を進む。
 お互いFiVEの覚者として戦い、兄妹二人でゆっくり過ごす時間は減っていた。それは仕方のないことなのかもしれない。だからこそ、この一瞬は貴重なのだ。
「あら、リスがいるわ」
 椿がリスを見つけ、そちらに近づいていく。リスは椿の方に近づき、その掌に収まった。
「よく逃げないな」
 その様子に柾は驚くが、古妖の言葉を思い出して納得する。動物達は人間に対し友好的になっているのだ。リスを愛でる妹を見て、微笑ましくなってしまう。
「椿」
「なあに、兄さん」
「あまり無茶をするなよ」
「兄さんが無茶しないっていうなら私もしないわ」
 椿の返答に苦笑する柾。それを言われれば何も言えなくなる。
 椿の方も、兄に無理はしてほしくない。でも何かあれば無茶をしてしまうのはお互い様なのだ。
 だから、これでいい。リスを降ろし、別れを告げる椿。その頭を、柾が優しく撫でた。
「行くか」
「ええ、今日はのんびり過ごしましょう」
 ゆったりとした時間が兄妹を包み込む。

「……む」
 森の中を歩いていた島守と呼ばれるシカの古妖は、近づいてくる気配に耳を立てる。それが見知った人間であると気付き、警戒の表情を緩めた。
「お久しぶり……です」
 途切れ途切れに挨拶するミュエル。
「あの、観光客さんを許してくれたことと……森を解放してくれて、ありがとうございます」
「礼には及ばない。あれはこちらの落ち度でもあった」
 この古妖は島を汚した観光客に対し、怒りで攻撃しようとした。それを止めたのがミュエルを始めとしたFiVEの覚者だ。この森解放はその礼と言ってもいい。非礼を詫びただけだ、と付け加える。
 その言葉を受け取って、ミュエルは微笑み森を見る。緑豊かな森は、木々の息吹すら聞こえてきそうだ。
(こんな、素敵な場所……守ってあげなきゃ)
「あの……背中を撫でてもいいですか?」
 恐る恐る手をあげるのは亮平だ。彼も島守を止めた覚者の一人。その興味は、シカのふわふわ泣け並に向いていた。
「その程度なら構わぬよ」
 古妖の許可を得てその背中を撫でる亮平。三メートルの大きな体を持つシカの背中。毛の長さこそ短いが、手触りを返すようにふさぁ、と揺れた。草食動物特有の補足て持久力のある筋肉が、強い弾力で撫でる手を押し返す。
「はー。癒されるなぁ」
「阿久津さんはそういう癒しに目がありませんからね」
 その様子を見ていた秋人が静かに告げる。歩いてきた森の景色を思い出しながら、その美しさを再認識した。この風も、この日差しも、この動植物の音も、一朝一夕で作られたものではない。数百の年月が生んだ自然の結果なのだ。
「しかし涼しくて快適だね。時間が経つのを忘れてしまいそうだ」
 帽子をかぶって少し恥ずかしそうに亮平が告げる。そんな亮平に微笑み一つ返して会話を続ける秋人。
「そうですね。この森を、島を、大事にしたいと怒った島守の気持ちが、改めてよく分かります」
 島の自然を体全身で感じ取る秋人。この森だけではない。他の場所にもいろんな自然があるのだろう。島守に聞いてみるのもいいかもしれない。
 頬を撫でる緑の風が心地良い。改めて、自分達が守った自然を感じ取っていた。


 森から少し離れた場所にある第三砲台。
 大阪湾防衛のために設立された要塞の一つで、現存する中で最も保存状態が良い。観光名所としても名高く、煉瓦で作られた巨大な施設は七十年近くの時を超えてもなお人を魅了する美しさがあった。
「明日香、自然の空気はどう? とてもいい匂いがするわね」
 そんな煉瓦の建物の近くを大和は歩いていた。守護使役を撫でながら見上げるように第三砲台跡を見る。かつてはここに施設があった。それを感じさせぬほど風化した、煉瓦の建物。それはもはや自然の一部と言っても過言ではなかった。
「こんにちは、環嬢も第三砲台に?」
 そんな大和に声をかける千陽。軍人としてかつての設跡は興味があったのか、彼も第三砲台を見学に来ていた。砲台が置いてあった場所は今は大きなくぼみがあり、たまった水は長い年月を感じさせる。
「もしよろしければご一緒しませんか?」
「ええ、こちらこそよろしく」
 そして二人は並んで第三砲台の中を歩く。
「人口で作られた煉瓦と自然が相まってとても神秘的ね」
「建物の外見は赤レンガの洋風ですが、内部は和風にすることで将校たちがリラックスできるようにしたそうです。なんだか不思議な見た目ですね」
「和洋の融合ね」
 文化は混じりあう。それはいつの時代でもそうだ。FiVE内でも様々な人間が存在し、融合している。軍人の千陽と女子高生の大和。全く接点のない二人が、今こうして一緒に歩いているように。
「この砲台はフランス式で当時の最先端がここに集まっていたそうです……って女性にはつまらない話でしょうか?」
「いいえ、興味深い話だったわ。どうもありがとう」
 説明から我に返る千陽に微笑んで返す大和。知らないことを知るだけで、さらにこの場所が楽しめて見れる。

 視点は森の中に戻り、
「初めましてー。今日は一緒にご飯食べへん?」
 那由多は森の動物達と一緒にご飯を食べていた。獣憑の能力を使い、動物に話しかけていた。リスや鳥と言った小動物に持ってきた食べ物を与え、それを口にする姿をじっと見る。一生懸命食べる姿に、心が癒されていた。
「ちょっとしたピクニック気分ですね」
 レジャーシートを敷いて那由多の隣に座り、倖も動物の声を聴いていた。こちらに友好的に接してくれる動物の言葉は、警戒心がなく聞いていて心地良い。その声を聴くだけで、心が健やかになっていく。
「サイドイッチも食べたいん? はい、どうぞ」
「僕からは、手作りのパウンドケーキを」
「事務員さんの作ったパウンドケーキ……美味しい。どやったら、こんなにして作れるんやろ」
 動物達とサンドイッチやケーキを食べる那由多と倖。気が付けば動物たちの数は増え、会話も弾んでいた。
(そや閃いた)
 那由多は近くの小鳥を手元に寄せ、囁くように伝言を告げる。その小鳥は羽を広げて倖の耳に近づき、その伝言を口にする。
『事務員さんやなくて、田中さんて呼んでもええですか?』
 倖はにこりと微笑み、那由多に向かい頷き告げる。
「勿論ですよ、那由多さん」
 名前を呼ばれて、那由多の顔が朱に染まった。
「あ、ちょっとおじゃましてるね、ごめんね」
 零はヤヒロと森を歩きながら、見つけた動物を撫でていた。ウサギやリス、シカなどである。珍しい生き物として、クジャクまでいた。
「零ねーちゃん、どうぶつすきだなー」
 山育ちのヤヒロは、動物自体は見慣れていた。ここまで警戒がないのは珍しい、とすこし驚いている程度だ。それよりもここまで表情が崩れた零の方が珍しい。
「おわわわわウサギさんがいるよお! もふもふ! ねね、ヤヒロくんはなんの動物が好き……っていなくなってる!?」
「レンジャーごっこだ!」
 姿は見えずとヤヒロの声だけは聞こえる。そんな状態に焦る零。慌てて周囲を見回す。
「ヤヒロくん、どこ行ったのー!?」
「ばあ!」
「にょああああああ!?」
 突如期から逆さ吊り状態で現れるヤヒロ。驚いて零は拳を突き出す。ぱこん、といい音がした。
「あわわわわわ! ごめんね、大丈夫!?」
「いってー。流石に逆さ吊りで回避は無理かー」
 殴られた頬を押さえながら立ち上がるヤヒロ。その手には木の上で見つけたアケビがあった。
「零ねーちゃん、一緒に食おうぜ!」
「うん!」
 木の根に腰掛けてアケビを食べる二人。零はそんなヤヒロの横顔を見ていた。
(ヤヒロクンもかわいいから癒やされてしまうなあ……って年下の男の子になに意識してんだか!)
 気が付くと緩んでいた頬を叩く零。その様子をヤヒロにみられ、誤魔化すように笑って手を振るのであった。
「シカに、リスに……あそこにいるのはクジャクか」
 行成は友ヶ島に居る動物を探るように、森を歩いていた。自分達が守った自然。状況が落ち着いた今、どんな動物がいるかをゆっくり見てみようと思ったのだ。
 守護使役の『もちまる』を抱え、ちょうどいい木の根を見つけて座り込む行成。近寄ってくる動物に手を伸ばし、ゆっくりと撫でた。
「心が癒される。ありがとう」
 動物達に礼を言い、五感全てで自然を感じ取る。目に写る緑も、頬を撫でる風も、風が葉を揺らす音も、動物の手触りも、土と植物の香りも、全てが行成を癒してくれる。
(自然は、なぜこうも心を癒してくれるのだろうな。木々も生き物も)
 ――それは、人間もまた自然の一部だから。


 空が茜色に染まり、森の歓迎も終わりを告げる。
 古妖による自然の歓迎。友ヶ島の森のひと時。
 それは形に残らないことかもしれないけど、このひと時は確かに覚者達の心に残るのであった。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし



■あとがき■

 緑の風が、貴方を癒しますように――




 
ここはミラーサイトです