神隠しの隧道に関する調査及内部事件に関する事後報告
●肘関節・猫と隧道
がたん、ごとん。
実際に、こんな単調なBGMではないのだが、連続した近似の不規則というのは得てして同一のメロディに聞こえる。
雨音のようなものだ。あれは音の集合がひとつのそれにしか聞き分けられないものとして最たる例だろう。
ともすれば、眠ってしまいそうな静かな騒音。隣を見れば、ヒトひとり分ほどの間隔を空けて仲間が座っている。目線が合う。手を振ってきた。
緊張感がないなと思いつつもそれに応える。それ以上の会話はない。
仮にも任務中の身だ。私語を嗜むつもりはなかった。
がたん、ごとん。
そろそろ、くだんのトンネルに差し掛かる。
緊張感が汗となって頬を撫でた。
それを紛らわすために、心中で依頼内容を整理することにした。
少しだけ、目を瞑る。
神隠し。
それの調査が任務の概要であった。
神隠し。神隠しだ。一般的な用語としては行方不明と呼ぶのが正しいのかもしれないが、神秘不可解が絡んである以上、それは神隠しと呼ばれるべきものであった。
とあるローカル線。日に数本しかないダイヤル。とある曜日、とある時間にそれを利用した乗客の中に、蒸発した人物がいるというのだ。
F.i.V.Eの調査によれば、ひとつのトンネルを抜けた先の駅以降でそれは発生するという。
よって。よってだ。
乗車し、トンネルを調査せよ。
そういうことに、なったのだ。
●指先・歌と早鐘
目を開く。
少しだけ青がかった世界。思ったよりも、瞼を閉じていたようだ。
外の景色はとうに暗く、黒く、無骨なコンクリート壁だけが見えている。
嗚呼、もう中に入ったのだ。
それを意識した瞬間、だった。
急ブレーキ。つんのめる。体勢を整えながら、何事であるかと見回した。
電車が停まっている。
異様な音。
後方にうめき声。
死体。死体だ。
死体だ。死体だ。死体だ。嗚呼、死体が動いている。
なんだ、あれ。
後ろの乗客だろうか。
いいや、乗客であったとして、感染源は誰だ。
その発想で正しいのか。そんな、映画みたいな理由でいいのか。
動く死体。リヴィングデッド。ゾンビー? それでいいのか。
列車間をつなぐそれ。そこに押し寄せたその死体らが、叩く。ドアを。半透明なドアを叩く。叩く。叩く。
数が多い。力が強い。状況が把握できていない。
混乱と、混乱が、入り混じっている。
どうする。
どうする。
がたん、ごとん。
実際に、こんな単調なBGMではないのだが、連続した近似の不規則というのは得てして同一のメロディに聞こえる。
雨音のようなものだ。あれは音の集合がひとつのそれにしか聞き分けられないものとして最たる例だろう。
ともすれば、眠ってしまいそうな静かな騒音。隣を見れば、ヒトひとり分ほどの間隔を空けて仲間が座っている。目線が合う。手を振ってきた。
緊張感がないなと思いつつもそれに応える。それ以上の会話はない。
仮にも任務中の身だ。私語を嗜むつもりはなかった。
がたん、ごとん。
そろそろ、くだんのトンネルに差し掛かる。
緊張感が汗となって頬を撫でた。
それを紛らわすために、心中で依頼内容を整理することにした。
少しだけ、目を瞑る。
神隠し。
それの調査が任務の概要であった。
神隠し。神隠しだ。一般的な用語としては行方不明と呼ぶのが正しいのかもしれないが、神秘不可解が絡んである以上、それは神隠しと呼ばれるべきものであった。
とあるローカル線。日に数本しかないダイヤル。とある曜日、とある時間にそれを利用した乗客の中に、蒸発した人物がいるというのだ。
F.i.V.Eの調査によれば、ひとつのトンネルを抜けた先の駅以降でそれは発生するという。
よって。よってだ。
乗車し、トンネルを調査せよ。
そういうことに、なったのだ。
●指先・歌と早鐘
目を開く。
少しだけ青がかった世界。思ったよりも、瞼を閉じていたようだ。
外の景色はとうに暗く、黒く、無骨なコンクリート壁だけが見えている。
嗚呼、もう中に入ったのだ。
それを意識した瞬間、だった。
急ブレーキ。つんのめる。体勢を整えながら、何事であるかと見回した。
電車が停まっている。
異様な音。
後方にうめき声。
死体。死体だ。
死体だ。死体だ。死体だ。嗚呼、死体が動いている。
なんだ、あれ。
後ろの乗客だろうか。
いいや、乗客であったとして、感染源は誰だ。
その発想で正しいのか。そんな、映画みたいな理由でいいのか。
動く死体。リヴィングデッド。ゾンビー? それでいいのか。
列車間をつなぐそれ。そこに押し寄せたその死体らが、叩く。ドアを。半透明なドアを叩く。叩く。叩く。
数が多い。力が強い。状況が把握できていない。
混乱と、混乱が、入り混じっている。
どうする。
どうする。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.先頭車両に全員が乗車した状態での発進
2.発進後に襲われないよう後方車両の切り離し
3.なし
2.発進後に襲われないよう後方車両の切り離し
3.なし
神隠しが起きるという電車の調査中に襲撃を受けました。
乗車している後方車両で動く死体のような群れが出現しているのが確認できます。
それらはすぐにでも扉を破り、あなた方が居る車両へと襲い来るでしょう。
先頭車両でも何かトラブルがあったのか、電車は停止しています。
敵の総数は不明。
前の車両へと走り逃げ、数両先の先頭車両にて電車を発進させてこの区間から脱出してください。
【エネミーデータ】
●動いている死体のようなもの
・正式名称不明。動いている死体のように見えます。妖ではないので、古妖であるのだと推測されます。
・大きく2種に分類されます。
死体(強)
ⅰ)他種と比べ明らかに動きが素早く、力が強い。
ⅱ)総数8。それぞれが武器を持ち、攻撃手法も遠近様々。
死体(弱)
ⅰ)一般的な成人男性速度。いわゆるヒトと比べて力が強い程度。
ⅱ)総数不明。膨大な数である可能性あり。
ⅲ)列車外より出現し、車掌室の窓を突き破って次々と侵入してきます。
・走ります。我が身を介さず攻撃してきます。毎ターン一定量の回復(再生?)を行います。殲滅は非常に困難であると思われます。
【シチュエーションデータ】
・ローカル単線の長いトンネル内。
・トンネル壁と車両の距離が近く、窓の外に出ての活動は不可能です。
・先頭車両までの間、数名にはなりますが、一般人の乗客もいます。現時点での数は不明ですが、前方車両に向かうにあたりその存在を見逃す恐れはありません。
・電車の発進方法を知らなくても問題ありません。メタなこというと映画のようなレバーひっぱりゃ動き出す感じです。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
7日
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2016年08月27日
2016年08月27日
■メイン参加者 8人■

●8月2日 13:00:xx
違和感を感じたことはないか? 映画館を出た時、新幹線を降りた直後、いつもと違う場所で寝ていた起床後、家の前まで来て帰路の最中を覚えていない時。違和感を―――ああいや、すまん。忘れてくれ。
どんどん、どんどん。
後方車両の接続通路。その扉を叩く音。
そちらに再度目線を向けて、やるんじゃなかったと後悔する。
鉄剣雷火の戦場を駆け抜けることはできても、肉の腐敗した死者が動くさまになど慣れるはずはない。
不快なものは、不快である。
扉越しに、臭いが漏れてくる。
一刻も早く前方車両へ向かいたいところだが、そちらでも何が起きるのかわかったものではない。
武器の確認、作戦への共通認識。扉が破られるまではあと何秒か。ぎりぎりまで、必要事項を確認しあう。
「ゾンビがこんなに足速いのか? あぁ、最近の映画のゾンビはやたら走るんだっけな!」
ひとり、疑問を自己解決する『正位置の愚者』トール・T・シュミット(CL2000025)。そもそもが、ストッパーが無いから力が強い、という設定の多いゾンビの中でそれでも足が遅いというのも不可解なものだ。何が正しい、というわけでもないだろうが。扉に嵌めこまれたガラスの向こう。死体。死体。死体。
「物量戦とか、どこのB級ホラーだ」
「何がどうしてこうなったやら」
一通り、武器のチェックを終えた『月下の黒』黒桐 夕樹(CL2000163)が呆れ気味にため息を付いた。まるでハリウッドホラー。仕事や遊びで現場に訪れ、理不尽な恐怖に襲撃される。これは、そのまんまではないか。
「とりあえず……あのB級映画の仲間入りはご免だな」
警戒を解かぬまま、立ち上がる。死ぬのは御免こうむるが、死んだ後に『ああ』なるのは余計に勘弁願いたい。
「こういう展開の映画、どこかで見た気がするよ」
幼なじみが立ち上がったのに合わせて、『月下の白』白枝 遥(CL2000500)もその手をとって立ち上がる。肌の感触。グローブ越しでもわかる生命あるもの特有の感触が、そこに居るのだと安心感を与えてくれる。
「いや本だったかな? 電車に大きな妖怪が張り付いてる話だったような。どちらにしても現実に起きてほしくないね……」
外は暗闇。昼であったはずなのに、車内電灯の光源のみというのはまるで夜のそれだ。
「事件に関する事後報告について考えている場合じゃありません、とにかく電車を動かさないと」
いやでも焦りを生み出させてくるこの状況で、納屋 タヱ子(CL2000019)の声にも緊張のそれが混じりいる。危機的状況。十分な準備も取れぬこれでがあるが、不測の事態というやつは、これが初めてというわけでもない。とにかくギリギリまで考えうる最悪を掘り起こしていく。だから、嫌な予感に、辿り着いた。
「……待ってください、この電車には一般の方もいらっしゃいましたよね?」
「神隠しっていうのも不思議な事だけど、トンネル内にゾンビが沸くというのも不思議ね」
『霧の名の鬼を咎める者』エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496)が首を傾げた。ミスマッチといえばミスマッチだ。トンネルの怪談というのは、霊魂のたぐいであると相場が決まっている。
「一体どこからこれだけの死体が出てきたのかしら……?」
疑問は解決されず、だが考えている余裕もない。
「ともかく、わたくし達までこれと同化するわけには行かないわ、絶対に逃げるわよ!」
「んー……何か、この手の噂を何処かで、聞いたような気がするなあ」
頭を掻きながら(もちろん、『越しに』だ)緒形 逝(CL2000156)が誰に聞かすつもりもなくつぶやいた。
「悪食が喜びそうなモノを探してた時かな……と言うか、この電車は何処へ向かってるのかね? トンネルに入るまで随分と時間が掛ってた気がするし、何よりさっきの駅で次の駅の名前が見えなかったように思うけど……」
気のせいで、あればいいが。
「……何これ、ぼくまだ夢見てるの?」
電車の不規則ながら小刻みな揺れ。それにうとうとしていた『鬼籍あるいは奇跡』御影・きせき(CL2001110)は瞼を擦りながら立ち上がる。
「妖の大群? それとも誰かに操られてるのかな?」
どちらでも、よいことだ。ようは、敵なのだから。敵であるからには、それ相応の対処が許されるのだから。
「よくわかんないけど、逃げるの邪魔するなら容赦なく斬っちゃうよ!」
「なんだぁぁぁ、あの群れはァァ!!」
思わず大きな声を出したが、それが逆に『黒い太陽』切裂 ジャック(CL2001403)の心を落ち着かせる。一度高まった感情はそれ以上にはならないものだ。心は平静に、どこにもかしこにも自分と同じような空気を肌に感じながら。嫌に気持ち悪い。多いというか、濃いというか。酔いそうなねっとりとした感覚が、吐き気を催した。
「映画にゾンビ必須とか言うけど、映画の中だけで勘弁してくれよ!」
●8月2日 13:0x:8x
月曜日の次ってなんだっけ。火曜日? 本当に?
陣形を取る。それは、狭い場所であるほど有用なものだ。
車両内は切った張ったを行うには驚くほど狭い。そのはずだ、誰もここでの戦闘など想定していない。車内での暴力行為が前提の運用など、どの世界にも存在するはずがない。
だから、陣形を取る。隊列を組む。
そうして出来上がったチームの最前が前方車両に続く連結部の扉を開く。開け始めだけが少し重たい。狭い通路、開けてすぐにもうひとつ向こう側も開く。
急げ。その意味を込めて後方に一瞥を送ったのと、後ろの車両の扉が破られたのは同じタイミングであった。
溢れ出るように、湧き出るように、伏魔殿のように。
我先に、腐った群れが押し寄せてくる。
●8月2日 1x:0x:54
え? 昨日がどうしたって? いや、すまん。なんのことだか。違和感? 何の話だよ。変なことを言うやつだな。
田舎路線で有るためか、乗客は驚くほど少ない。
守りやすいが、それ故に誰一人死なせぬという覚悟も定まった。
仲間が彼らに逃げろと伝える。後ろの動く如何にもを見た彼らは、我先にとさらに前の車両へ押し寄せた。
不意に、トールが手を伸ばす。それは逃げる彼らを狙った鉛弾を庇う盾であった。
驚愕する。銃を撃ったゾンビが見えた。そいつは打ち終えた大口径のリボルバに弾を込めている。道具を使うだけの、知性を残している。
そんなのありか。胸中で悪態をつきながら、そいつに向けて術式を放つ。貫かれた手はずきずきと存在を主張するが、奥歯を噛むだけで満足して欲しい。今、痛みにのたうち回るだけの暇などないのだ。
前衛が通してしまったいくつかを薙ぎ倒す。弱い個体は、それぞれが脅威といえるものではない。だが、奥から押し寄せるそれらにげんなりする。本当に、数が多い。
「乗客は必ず助ける。生きて連れ帰る。これ以上の死人はゴメンだ!」
「追いかけっこにしては、鬼が多過ぎじゃないの」
向かってくるいくつかを撃ち抜きながら、夕樹は軽口ともとれる呟きを漏らす。
後退戦闘。立ち止まっていては確実に数の暴力で押し切られるだろう。歩は常に後ろへ。しかし巻き込まれた他の乗客は追い抜かず。故に足止めを行いながら逃げる。
飛ばしておいた種に意識を集中させる。ゾンビ共のいくつかにその棘を食い込ませるが、勢いは止まらない。おのれ屍め。こういうところばかりはそれらしいじゃないか。
新しい術式を編みながら、小さな疑問が湧く。
「神隠しの原因がアレだけなら、もっと分かりやすく情報が入っていたはず。他に何が……」
解答を見つけられぬまま、組み上げたそれが完成する。
人工地から伸びる蔦というのはどうにも不自然なものだが、それらが見える限りの奴らの足を絡めとる。
これで少しは時間が稼げるだろうか。
さらに次の車両へと走る。
踵を返した際に一瞬だけ見えた窓の外の暗闇が、なんだかとても不快に思えた。
「大丈夫ですか? 僕達が着いてます、ちゃんと帰れますからね」
一部、パニックで動けなくなった乗客に遥が声をかける。
扉を閉め、取っ手を術式でひしゃげさせる。凍らせられるかとも思ったが、威力が大きすぎたようだ。結果的に、開けにくくはなったのだから問題はない。
小休止を挟む余裕はない。この扉も、保って数秒だろう。仲間の傷をいやしながら、次の車両へと走る。
わかったことはふたつ。
まず、弱い方のゾンビは知性が低い。遭遇時、扉を開けられなかったのは最前に弱い方がいたからだろう。
次に、傷程度ではあれは感染しない。それこそ、創作もののように接触ひとつでうつされては敵わない。死亡した場合はわからないが、無論試したいとも思わない。
轟音。ひしゃげる扉。狭い通路越しに見てわかるほどに数が増えている。最早一時でも立ち止まる余裕はないだろう。
この数で、どうして統率がとれる。疑問。
「誰かが操ってる?」
「Five所属の覚者です! この電車は妖による事件に巻き込まれました!」
少しだけ大仰な物言いで、タヱ子は次の車両の乗客に声をかけていく。
すでにこちらに逃げてきた者達もいた筈だが、その姿はない。さらに先の車両へと渡った後なのだろうか。
ひとりふたり、走って逃げてきただけでは信憑性も薄かったのだろう。自分の声に彼らはようやっと重い腰を上げ始める。
後ろを振り向き、駆けてきた一体を受け止めた。足をかけて転ばせ、跨ぐ必要がある程度の小さなバリケートとする。刹那でも六徳でも、時間を稼げれば良い。
「先頭車両に行けば逃げられます!」
嘘だ。確信など無いのに。それを理解しながらも発破をかける。
「後ろは見ないで走って! テレビのようなフリではありません!」
また飛び出してきた一体を受け止めた。首に巻いたマフラーのおかげで見分けやすい特徴的な個体。腐った肉であるはずの拳撃がなんと重いことか。
思わず目を擦ろうとして、そういえばヘルメット越しだったと逝は思い直した。
異常であったのは、窓から覗くトンネルの壁。いくら狭かろうが、暗かろうが、光源のひとつもないのはおかしいのだ。過疎線であるが故のメンテナンス不足と納得することも可能だが、一瞥して全く別のものだと認識する。
暗闇でもなにひとつ問題がないはずの自分の目。それを持ってしても、トンネルの壁が見えないのだ。コンクリート壁にすら見えない。ただの暗闇。真っ黒。そういうものとしてしか認識できない。いつからだ。いつからこんなになっていた。
飛び出してきた死者のひとり、振り回されるふた振りの刀を自分のそれで受け止める。鍔迫り合い。顔が近い。『オイシソウ』だ。腐臭が鼻につく。何だ今の。
食わせるならこいつだろうか。違和感を覚えつつも、ゾンビーの膝を踏み抜いた。骨の砕ける嫌な音。一瞥する時間も、立ち止まる時間もなく、そのまま後退する。
生唾を飲み込む。唾液が止まらなかった。
きせきが銀細工をつけた個体の一撃を受け止め、流す。体勢を崩させた隙に後ろへ下がろうとすれば、後方から別個体の術式が飛んできた。
「もう、しつこいよー! これでもくらえー!」
再び手にした得物を振り回そうとした強個体に手のひらを添える。瞬間、間に圧縮された空気が膨張。奥で次の術式を組んでいた個体まで、目の前のそれが飛んで行く。
ストライク。思わず得意げな顔になり、そのまま踵を返して次の車両への扉を開けた。
すぐさま無数の奴らが追いかけてくるものの、狭い通路に入ってしまえば数の利を活かすことなど出来はしない。先頭の一体、そいつの足を切りつけ進行を遅らせてやる。
振り向いて、浮足立った乗客に声をかける。急げ。先に逃げろ。そういった言葉で為すべきことを示してやる。人質キャラを助けてやらねば、ハイスコアは望めない。
それの繰り返し。いくつ扉をくぐったか。次の車両だけは別だった。
奥に通路のない車両。代わりに、運転室。
ここが最前列だ。
連結通路の守護と、運転席に向かうもの。それから、先頭車両の乗客を安全の為に一箇所に誘導するもの。
各々が必要なことのため動く中で、エメレンツィアの役割が運転席の確保であった。
鍵のかかった扉を破壊して、無理矢理に侵入する。狭い部屋の中、しかし辿り着いた彼女は思わず混乱に襲われた。
要素は、元から散りばめられていた。
どの車両にも残っている乗客。彼らには傷一つなく、それぞれの車両内でことの事態を把握しているものはいなかった。また、戦闘や虐殺の痕跡は前方車両にはひとつもなく、つまりあの動く死人らは後方からしか発生していないことになる。
ではなぜ、この電車は止まっているのか。
いないからだ。
愕然とする。運転手がどこにもいない。死んでいるわけでも、倒れているわけでも、まして眠っているわけでもなく、いない。
いないから、動かない。
だが、考えている暇はない。
電灯はついている。電気系統は生きているのだ。レバーに手をかけ、皆に声をかける。
「いい? 全員いる? いるなら切り離して! 行くわよ!」
屍の掌打。ジャックはそれを上腕で受け止めるが、骨が軋む嫌な音に思わず歯を食いしばる。振り払い、呼び寄せた炎で薙ぎ払おうとするも、鉄板を構えた別個体に阻まれる。
仲間とともに、鉄板の上から無理矢理に相手を押し込んだ。体勢を崩させる。一秒に満たぬ隙間。
「よし、今だ、下がれ!!」
後続車両との連結通路ごと、押し寄せるゾンビー共を焼き払う。肉の焦げる臭い。
電車が走り出す。後続のそれらを置いて。
これが最後だ。自分も、仲間も、最後の気力を注ぎこみ、残った死人共を押し返す。ぽっかり空いた通路の向こうに、線路上に落としていく。
最後の一体、術式を編むだけの気力はもう底をついている。だから、最後は手にした得物しか無い。
押し込んで、押し込んで、掴まれても、蹴り飛ばして、何度も何度も何度も何度も突き刺して殴りつけて突き刺して殴りつけてそうして。
嗚呼、もう死んだのか。いやこれ、正しいのかな。
そう思いながら。倒れたそれを車外へ蹴り飛ばした。
●8月2日 不明
ところで君、誰だっけ?
たったひとつの車両だけで、電車が線路を走る。
トンネルを抜けるまで緊張感は拭えない。
前方に明かり、嗚呼、抜け出せるのだ。そうして晴れ渡る。
そういえば昼間であったのだなと思いだした。ずっと電気的な光源だけでいたからだろう。短かったはずが、嫌に長く思える。
地響き。後ろを見れば、トンネルの出口が塞がっている。土砂崩れ、のようなものではなく。なんだろう、口が閉じたように感じた。
そのまま、消えていく。つまり、あれが古妖だったのだろう。動く死人を出現させた、その根源。
消えたのなら、終わったはずだ。退治はできなかったが、少なくとも自分たちの知る限り、死者は―――なんだっけ。
そう、ここには自分たちしか居ない。居ないはずだ。最初から最後まで、この八人だけだ。自分たちは戦えて、共に助け合う。そうだ、誰一人今回も死ななかった。その生存を今は噛みしめよう。
トンネルが消えた向こうを見る。
その景色に見覚えがないまま、線路は続く。
了。
違和感を感じたことはないか? 映画館を出た時、新幹線を降りた直後、いつもと違う場所で寝ていた起床後、家の前まで来て帰路の最中を覚えていない時。違和感を―――ああいや、すまん。忘れてくれ。
どんどん、どんどん。
後方車両の接続通路。その扉を叩く音。
そちらに再度目線を向けて、やるんじゃなかったと後悔する。
鉄剣雷火の戦場を駆け抜けることはできても、肉の腐敗した死者が動くさまになど慣れるはずはない。
不快なものは、不快である。
扉越しに、臭いが漏れてくる。
一刻も早く前方車両へ向かいたいところだが、そちらでも何が起きるのかわかったものではない。
武器の確認、作戦への共通認識。扉が破られるまではあと何秒か。ぎりぎりまで、必要事項を確認しあう。
「ゾンビがこんなに足速いのか? あぁ、最近の映画のゾンビはやたら走るんだっけな!」
ひとり、疑問を自己解決する『正位置の愚者』トール・T・シュミット(CL2000025)。そもそもが、ストッパーが無いから力が強い、という設定の多いゾンビの中でそれでも足が遅いというのも不可解なものだ。何が正しい、というわけでもないだろうが。扉に嵌めこまれたガラスの向こう。死体。死体。死体。
「物量戦とか、どこのB級ホラーだ」
「何がどうしてこうなったやら」
一通り、武器のチェックを終えた『月下の黒』黒桐 夕樹(CL2000163)が呆れ気味にため息を付いた。まるでハリウッドホラー。仕事や遊びで現場に訪れ、理不尽な恐怖に襲撃される。これは、そのまんまではないか。
「とりあえず……あのB級映画の仲間入りはご免だな」
警戒を解かぬまま、立ち上がる。死ぬのは御免こうむるが、死んだ後に『ああ』なるのは余計に勘弁願いたい。
「こういう展開の映画、どこかで見た気がするよ」
幼なじみが立ち上がったのに合わせて、『月下の白』白枝 遥(CL2000500)もその手をとって立ち上がる。肌の感触。グローブ越しでもわかる生命あるもの特有の感触が、そこに居るのだと安心感を与えてくれる。
「いや本だったかな? 電車に大きな妖怪が張り付いてる話だったような。どちらにしても現実に起きてほしくないね……」
外は暗闇。昼であったはずなのに、車内電灯の光源のみというのはまるで夜のそれだ。
「事件に関する事後報告について考えている場合じゃありません、とにかく電車を動かさないと」
いやでも焦りを生み出させてくるこの状況で、納屋 タヱ子(CL2000019)の声にも緊張のそれが混じりいる。危機的状況。十分な準備も取れぬこれでがあるが、不測の事態というやつは、これが初めてというわけでもない。とにかくギリギリまで考えうる最悪を掘り起こしていく。だから、嫌な予感に、辿り着いた。
「……待ってください、この電車には一般の方もいらっしゃいましたよね?」
「神隠しっていうのも不思議な事だけど、トンネル内にゾンビが沸くというのも不思議ね」
『霧の名の鬼を咎める者』エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496)が首を傾げた。ミスマッチといえばミスマッチだ。トンネルの怪談というのは、霊魂のたぐいであると相場が決まっている。
「一体どこからこれだけの死体が出てきたのかしら……?」
疑問は解決されず、だが考えている余裕もない。
「ともかく、わたくし達までこれと同化するわけには行かないわ、絶対に逃げるわよ!」
「んー……何か、この手の噂を何処かで、聞いたような気がするなあ」
頭を掻きながら(もちろん、『越しに』だ)緒形 逝(CL2000156)が誰に聞かすつもりもなくつぶやいた。
「悪食が喜びそうなモノを探してた時かな……と言うか、この電車は何処へ向かってるのかね? トンネルに入るまで随分と時間が掛ってた気がするし、何よりさっきの駅で次の駅の名前が見えなかったように思うけど……」
気のせいで、あればいいが。
「……何これ、ぼくまだ夢見てるの?」
電車の不規則ながら小刻みな揺れ。それにうとうとしていた『鬼籍あるいは奇跡』御影・きせき(CL2001110)は瞼を擦りながら立ち上がる。
「妖の大群? それとも誰かに操られてるのかな?」
どちらでも、よいことだ。ようは、敵なのだから。敵であるからには、それ相応の対処が許されるのだから。
「よくわかんないけど、逃げるの邪魔するなら容赦なく斬っちゃうよ!」
「なんだぁぁぁ、あの群れはァァ!!」
思わず大きな声を出したが、それが逆に『黒い太陽』切裂 ジャック(CL2001403)の心を落ち着かせる。一度高まった感情はそれ以上にはならないものだ。心は平静に、どこにもかしこにも自分と同じような空気を肌に感じながら。嫌に気持ち悪い。多いというか、濃いというか。酔いそうなねっとりとした感覚が、吐き気を催した。
「映画にゾンビ必須とか言うけど、映画の中だけで勘弁してくれよ!」
●8月2日 13:0x:8x
月曜日の次ってなんだっけ。火曜日? 本当に?
陣形を取る。それは、狭い場所であるほど有用なものだ。
車両内は切った張ったを行うには驚くほど狭い。そのはずだ、誰もここでの戦闘など想定していない。車内での暴力行為が前提の運用など、どの世界にも存在するはずがない。
だから、陣形を取る。隊列を組む。
そうして出来上がったチームの最前が前方車両に続く連結部の扉を開く。開け始めだけが少し重たい。狭い通路、開けてすぐにもうひとつ向こう側も開く。
急げ。その意味を込めて後方に一瞥を送ったのと、後ろの車両の扉が破られたのは同じタイミングであった。
溢れ出るように、湧き出るように、伏魔殿のように。
我先に、腐った群れが押し寄せてくる。
●8月2日 1x:0x:54
え? 昨日がどうしたって? いや、すまん。なんのことだか。違和感? 何の話だよ。変なことを言うやつだな。
田舎路線で有るためか、乗客は驚くほど少ない。
守りやすいが、それ故に誰一人死なせぬという覚悟も定まった。
仲間が彼らに逃げろと伝える。後ろの動く如何にもを見た彼らは、我先にとさらに前の車両へ押し寄せた。
不意に、トールが手を伸ばす。それは逃げる彼らを狙った鉛弾を庇う盾であった。
驚愕する。銃を撃ったゾンビが見えた。そいつは打ち終えた大口径のリボルバに弾を込めている。道具を使うだけの、知性を残している。
そんなのありか。胸中で悪態をつきながら、そいつに向けて術式を放つ。貫かれた手はずきずきと存在を主張するが、奥歯を噛むだけで満足して欲しい。今、痛みにのたうち回るだけの暇などないのだ。
前衛が通してしまったいくつかを薙ぎ倒す。弱い個体は、それぞれが脅威といえるものではない。だが、奥から押し寄せるそれらにげんなりする。本当に、数が多い。
「乗客は必ず助ける。生きて連れ帰る。これ以上の死人はゴメンだ!」
「追いかけっこにしては、鬼が多過ぎじゃないの」
向かってくるいくつかを撃ち抜きながら、夕樹は軽口ともとれる呟きを漏らす。
後退戦闘。立ち止まっていては確実に数の暴力で押し切られるだろう。歩は常に後ろへ。しかし巻き込まれた他の乗客は追い抜かず。故に足止めを行いながら逃げる。
飛ばしておいた種に意識を集中させる。ゾンビ共のいくつかにその棘を食い込ませるが、勢いは止まらない。おのれ屍め。こういうところばかりはそれらしいじゃないか。
新しい術式を編みながら、小さな疑問が湧く。
「神隠しの原因がアレだけなら、もっと分かりやすく情報が入っていたはず。他に何が……」
解答を見つけられぬまま、組み上げたそれが完成する。
人工地から伸びる蔦というのはどうにも不自然なものだが、それらが見える限りの奴らの足を絡めとる。
これで少しは時間が稼げるだろうか。
さらに次の車両へと走る。
踵を返した際に一瞬だけ見えた窓の外の暗闇が、なんだかとても不快に思えた。
「大丈夫ですか? 僕達が着いてます、ちゃんと帰れますからね」
一部、パニックで動けなくなった乗客に遥が声をかける。
扉を閉め、取っ手を術式でひしゃげさせる。凍らせられるかとも思ったが、威力が大きすぎたようだ。結果的に、開けにくくはなったのだから問題はない。
小休止を挟む余裕はない。この扉も、保って数秒だろう。仲間の傷をいやしながら、次の車両へと走る。
わかったことはふたつ。
まず、弱い方のゾンビは知性が低い。遭遇時、扉を開けられなかったのは最前に弱い方がいたからだろう。
次に、傷程度ではあれは感染しない。それこそ、創作もののように接触ひとつでうつされては敵わない。死亡した場合はわからないが、無論試したいとも思わない。
轟音。ひしゃげる扉。狭い通路越しに見てわかるほどに数が増えている。最早一時でも立ち止まる余裕はないだろう。
この数で、どうして統率がとれる。疑問。
「誰かが操ってる?」
「Five所属の覚者です! この電車は妖による事件に巻き込まれました!」
少しだけ大仰な物言いで、タヱ子は次の車両の乗客に声をかけていく。
すでにこちらに逃げてきた者達もいた筈だが、その姿はない。さらに先の車両へと渡った後なのだろうか。
ひとりふたり、走って逃げてきただけでは信憑性も薄かったのだろう。自分の声に彼らはようやっと重い腰を上げ始める。
後ろを振り向き、駆けてきた一体を受け止めた。足をかけて転ばせ、跨ぐ必要がある程度の小さなバリケートとする。刹那でも六徳でも、時間を稼げれば良い。
「先頭車両に行けば逃げられます!」
嘘だ。確信など無いのに。それを理解しながらも発破をかける。
「後ろは見ないで走って! テレビのようなフリではありません!」
また飛び出してきた一体を受け止めた。首に巻いたマフラーのおかげで見分けやすい特徴的な個体。腐った肉であるはずの拳撃がなんと重いことか。
思わず目を擦ろうとして、そういえばヘルメット越しだったと逝は思い直した。
異常であったのは、窓から覗くトンネルの壁。いくら狭かろうが、暗かろうが、光源のひとつもないのはおかしいのだ。過疎線であるが故のメンテナンス不足と納得することも可能だが、一瞥して全く別のものだと認識する。
暗闇でもなにひとつ問題がないはずの自分の目。それを持ってしても、トンネルの壁が見えないのだ。コンクリート壁にすら見えない。ただの暗闇。真っ黒。そういうものとしてしか認識できない。いつからだ。いつからこんなになっていた。
飛び出してきた死者のひとり、振り回されるふた振りの刀を自分のそれで受け止める。鍔迫り合い。顔が近い。『オイシソウ』だ。腐臭が鼻につく。何だ今の。
食わせるならこいつだろうか。違和感を覚えつつも、ゾンビーの膝を踏み抜いた。骨の砕ける嫌な音。一瞥する時間も、立ち止まる時間もなく、そのまま後退する。
生唾を飲み込む。唾液が止まらなかった。
きせきが銀細工をつけた個体の一撃を受け止め、流す。体勢を崩させた隙に後ろへ下がろうとすれば、後方から別個体の術式が飛んできた。
「もう、しつこいよー! これでもくらえー!」
再び手にした得物を振り回そうとした強個体に手のひらを添える。瞬間、間に圧縮された空気が膨張。奥で次の術式を組んでいた個体まで、目の前のそれが飛んで行く。
ストライク。思わず得意げな顔になり、そのまま踵を返して次の車両への扉を開けた。
すぐさま無数の奴らが追いかけてくるものの、狭い通路に入ってしまえば数の利を活かすことなど出来はしない。先頭の一体、そいつの足を切りつけ進行を遅らせてやる。
振り向いて、浮足立った乗客に声をかける。急げ。先に逃げろ。そういった言葉で為すべきことを示してやる。人質キャラを助けてやらねば、ハイスコアは望めない。
それの繰り返し。いくつ扉をくぐったか。次の車両だけは別だった。
奥に通路のない車両。代わりに、運転室。
ここが最前列だ。
連結通路の守護と、運転席に向かうもの。それから、先頭車両の乗客を安全の為に一箇所に誘導するもの。
各々が必要なことのため動く中で、エメレンツィアの役割が運転席の確保であった。
鍵のかかった扉を破壊して、無理矢理に侵入する。狭い部屋の中、しかし辿り着いた彼女は思わず混乱に襲われた。
要素は、元から散りばめられていた。
どの車両にも残っている乗客。彼らには傷一つなく、それぞれの車両内でことの事態を把握しているものはいなかった。また、戦闘や虐殺の痕跡は前方車両にはひとつもなく、つまりあの動く死人らは後方からしか発生していないことになる。
ではなぜ、この電車は止まっているのか。
いないからだ。
愕然とする。運転手がどこにもいない。死んでいるわけでも、倒れているわけでも、まして眠っているわけでもなく、いない。
いないから、動かない。
だが、考えている暇はない。
電灯はついている。電気系統は生きているのだ。レバーに手をかけ、皆に声をかける。
「いい? 全員いる? いるなら切り離して! 行くわよ!」
屍の掌打。ジャックはそれを上腕で受け止めるが、骨が軋む嫌な音に思わず歯を食いしばる。振り払い、呼び寄せた炎で薙ぎ払おうとするも、鉄板を構えた別個体に阻まれる。
仲間とともに、鉄板の上から無理矢理に相手を押し込んだ。体勢を崩させる。一秒に満たぬ隙間。
「よし、今だ、下がれ!!」
後続車両との連結通路ごと、押し寄せるゾンビー共を焼き払う。肉の焦げる臭い。
電車が走り出す。後続のそれらを置いて。
これが最後だ。自分も、仲間も、最後の気力を注ぎこみ、残った死人共を押し返す。ぽっかり空いた通路の向こうに、線路上に落としていく。
最後の一体、術式を編むだけの気力はもう底をついている。だから、最後は手にした得物しか無い。
押し込んで、押し込んで、掴まれても、蹴り飛ばして、何度も何度も何度も何度も突き刺して殴りつけて突き刺して殴りつけてそうして。
嗚呼、もう死んだのか。いやこれ、正しいのかな。
そう思いながら。倒れたそれを車外へ蹴り飛ばした。
●8月2日 不明
ところで君、誰だっけ?
たったひとつの車両だけで、電車が線路を走る。
トンネルを抜けるまで緊張感は拭えない。
前方に明かり、嗚呼、抜け出せるのだ。そうして晴れ渡る。
そういえば昼間であったのだなと思いだした。ずっと電気的な光源だけでいたからだろう。短かったはずが、嫌に長く思える。
地響き。後ろを見れば、トンネルの出口が塞がっている。土砂崩れ、のようなものではなく。なんだろう、口が閉じたように感じた。
そのまま、消えていく。つまり、あれが古妖だったのだろう。動く死人を出現させた、その根源。
消えたのなら、終わったはずだ。退治はできなかったが、少なくとも自分たちの知る限り、死者は―――なんだっけ。
そう、ここには自分たちしか居ない。居ないはずだ。最初から最後まで、この八人だけだ。自分たちは戦えて、共に助け合う。そうだ、誰一人今回も死ななかった。その生存を今は噛みしめよう。
トンネルが消えた向こうを見る。
その景色に見覚えがないまま、線路は続く。
了。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし

■あとがき■
時々、連続性を信じられないことがあります。
