それゆけ! 聖純学園騎士道部!
●廃部モノは売れるの法則
「君! 騎士道に興味はないか!」
ポニーテールの金髪娘が、剣道部の男子をがしりと掴んだ。
肩とか腕とかじゃなく、襟首を掴んだ。
「ないのか! あるのか! どうだ!」
「な、ないですー!」
「うそをつけぇ! うそをつく口はこうしてやる! こうしてやるー!」
男子の口に真っ赤なルージュをぐりぐりすると、入部届のスタンプ欄にぐりぐり押しつけた。
なにやってんだと思われかねないが、この学園は入部届はハンコじゃなくキスマークと決まっているのだ。なんだその決まり馬鹿なのか、とはもう百万人くらいが言っているので今更である。
「おやめなさい!」
そこへ、サングラスをかけた黒服の男が現われた。黒服っていうか……。
「神父様!」
「騎士道部の部長たる君がなんたる非道! 騎士の美徳をのべよ!」
「ハッ!」
ポニテ女は目を見開くと、胸に拳を当てて背筋を伸ばした。
「戦力、勇気、高潔、誠実、寛大、信念、礼儀、崇高」
「騎士の十戒を述べよ!」
「ハッ!」
不動の信仰と教会の教えへの服従。
社会正義の精神的支柱であるべき腐敗無き教会擁護の気構え。
社会的、経済的弱者への敬意と慈愛。また、彼らと共に生き、彼らを手助けし、擁護する気構え。
自らの生活の場、糧である故国への愛国心。
共同体の皆と共に生き、苦楽を分かち合うため、敵前からの退却の拒否。
我らの信仰心と良心を抑圧・滅失しようとする異教徒に対する不屈の戦い。
封主に対する厳格な服従。
真実と誓言に忠実であること。
惜しみなく与えること。
悪の力に対抗して、いついかなる時も、どんな場所でも、正義を守ること。
カンペでも見てるのかってくらいすらすらと唱えるポニテ女。
神父はサングラスをきらりと光らせた。
「今の行ないは、そのうちいくつに反していた!」
「くっ……!」
膝を突くポニテ。
「仕方ないんです! 極悪学園との練習試合は来週! これに勝たねば騎士道部は廃部にすると学園長が……!」
「ならば勝てばよかろう!」
「しかし!」
ポニテはがばっと両手を挙げた。
「部員が私一人だけなのです!」
そんな彼女に対し、神父からが後光がさした。
「安心しろ。助っ人を用意した。腕利きのな……!」
●
「そういう理由で、うちから8人ほど助っ人を出すことにした」
「「…………」」
ここはファイヴ会議室。久方 相馬(nCL2000004)の発現に、全員が微妙な顔をした。
なんで知らない学園の聞いたことも無い部活の助っ人にいかにゃあならんのかい。
だがそんな顔は、相馬の一言によって覆される。
「買ったら一人につき金一封だ」
「「金」」
声がそろった。
「青春を部活に捧げようという少女の心意気、守ってあげなくちゃな!」
「部活動のために犠牲をはらう神父の気持ちにも応えなくちゃいけませんよ!」
「助っ人と聞いたら黙っていられないね!」
「年齢やなんかはヘルムを被ればごまかせるさ。戦闘スタイルも自由だそうだ、これならいけるな!」
立ち上がるファイヴの覚者たち。
いまここに、騎士道部助っ人チームが結成されたのだった。
「君! 騎士道に興味はないか!」
ポニーテールの金髪娘が、剣道部の男子をがしりと掴んだ。
肩とか腕とかじゃなく、襟首を掴んだ。
「ないのか! あるのか! どうだ!」
「な、ないですー!」
「うそをつけぇ! うそをつく口はこうしてやる! こうしてやるー!」
男子の口に真っ赤なルージュをぐりぐりすると、入部届のスタンプ欄にぐりぐり押しつけた。
なにやってんだと思われかねないが、この学園は入部届はハンコじゃなくキスマークと決まっているのだ。なんだその決まり馬鹿なのか、とはもう百万人くらいが言っているので今更である。
「おやめなさい!」
そこへ、サングラスをかけた黒服の男が現われた。黒服っていうか……。
「神父様!」
「騎士道部の部長たる君がなんたる非道! 騎士の美徳をのべよ!」
「ハッ!」
ポニテ女は目を見開くと、胸に拳を当てて背筋を伸ばした。
「戦力、勇気、高潔、誠実、寛大、信念、礼儀、崇高」
「騎士の十戒を述べよ!」
「ハッ!」
不動の信仰と教会の教えへの服従。
社会正義の精神的支柱であるべき腐敗無き教会擁護の気構え。
社会的、経済的弱者への敬意と慈愛。また、彼らと共に生き、彼らを手助けし、擁護する気構え。
自らの生活の場、糧である故国への愛国心。
共同体の皆と共に生き、苦楽を分かち合うため、敵前からの退却の拒否。
我らの信仰心と良心を抑圧・滅失しようとする異教徒に対する不屈の戦い。
封主に対する厳格な服従。
真実と誓言に忠実であること。
惜しみなく与えること。
悪の力に対抗して、いついかなる時も、どんな場所でも、正義を守ること。
カンペでも見てるのかってくらいすらすらと唱えるポニテ女。
神父はサングラスをきらりと光らせた。
「今の行ないは、そのうちいくつに反していた!」
「くっ……!」
膝を突くポニテ。
「仕方ないんです! 極悪学園との練習試合は来週! これに勝たねば騎士道部は廃部にすると学園長が……!」
「ならば勝てばよかろう!」
「しかし!」
ポニテはがばっと両手を挙げた。
「部員が私一人だけなのです!」
そんな彼女に対し、神父からが後光がさした。
「安心しろ。助っ人を用意した。腕利きのな……!」
●
「そういう理由で、うちから8人ほど助っ人を出すことにした」
「「…………」」
ここはファイヴ会議室。久方 相馬(nCL2000004)の発現に、全員が微妙な顔をした。
なんで知らない学園の聞いたことも無い部活の助っ人にいかにゃあならんのかい。
だがそんな顔は、相馬の一言によって覆される。
「買ったら一人につき金一封だ」
「「金」」
声がそろった。
「青春を部活に捧げようという少女の心意気、守ってあげなくちゃな!」
「部活動のために犠牲をはらう神父の気持ちにも応えなくちゃいけませんよ!」
「助っ人と聞いたら黙っていられないね!」
「年齢やなんかはヘルムを被ればごまかせるさ。戦闘スタイルも自由だそうだ、これならいけるな!」
立ち上がるファイヴの覚者たち。
いまここに、騎士道部助っ人チームが結成されたのだった。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.練習試合に勝利しよう
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
なんで日本にないんだろう
絶対教育にいいのに
●騎士道部とは
覚者が増えてきた昨今、スポーツを通して武術鍛錬をおこなう者も増えてきました。
その中で、武術だけでなく精神も鍛えるべきとして立ち上げられたのが騎士道です。
この20年でめきめき知名度をあげ、今では全国大会まで開かれています。
●騎士道部の練習試合
部活どうしの公式戦を模した練習試合です。
個人戦が3試合。
チーム戦(3対3)が2試合。
そのうち個人戦のひとつはポニテ部長が勤めるので、残り四試合に出場します。
ルールは5ターン制限の覚醒戦闘。
ターン終了時により多くのダメージを与えているか、相手を戦闘不能にすれば勝利となります。
場外なし。使用武器や戦闘スタイルに制限なし。
ただし騎士道に反する不正行為(要するに悪いこと)は即失格。
判定基準は『終了時に最大体力からいくら減っているか』なので、普通の戦闘とはちょっと戦法が変わってきます。
たとえば硬い防御力と高い回復力で粘って相手との最終ダメージ差で勝ったり、高い体力と攻撃力に物を言わせて突撃しまくり相手を戦闘不能にしたり、相手を行動不能にして貴重な手数を潰したり。
色々な戦法が使えるでしょう。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
7日
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2016年05月27日
2016年05月27日
■メイン参加者 8人■

●騎士道部主将、名前不明
「聖純学園勝利!」
審判の声と共に観客たちが声をあげた。
膝を突く極悪学園の先鋒に背を向け、ポニーテイルを払ってステージを去るのは、聖純学園騎士道部主将である。
覚醒状態を解いた彼女にスポーツタオルを投げる神父の男。
「まずは手堅く一勝。あと二回勝てばこちらの勝利だ」
「助っ人は到着しているのでしょう。相手側はこちらの正規部員が一人しかいないことを見抜いて練習用のチームを組んできています。試合経験がなくても実力さえあればおそらくは……」
「心配するな。金はかけた!」
「心配しないで、お金にひかれたわけじゃないから……」
控えベンチの通用口から、鈴白 秋人(CL2000565)が現われた。
「単純に、試合を楽しみたいと思ったからね」
「そうね。不謹慎かもしれないけれど、純粋な試合という形で技を使うのは不思議だけど楽しみだわ」
同じく三島 椿(CL2000061)。
仲間たちもそろって到着したようだ。
「おーおー皆さんおそろいで」
向かいのベンチから極悪学園のチームがぞろぞろとやってくる。
チアガールのような女たちもつれてだ。
「よく覚者を九人も揃えられたもんですなあ、いやあお見事お見事」
「個人戦の相手はそこのとっぽい野郎か。こっちも殺さないように手加減しなくて済むぜ、ありがとよ」
「…………」
ぺこりと頭を下げる青年。実は緒形 逝(CL2000156)の変装した姿である。
相手がシタテに出たことで気をよくしたのか、極悪学園のチームはゲラゲラ笑い始めた。
「おい主将、ウデは確かなんだからこっちに転校してこいよ」
「かわいがってやるぜ。下っ端としてな!」
「でもあの子モテなさそー」
「ねー、キモオタが好きそうなキャラのくせに見向きもされない女騎士様はコチラでよろしかった? ヤバイねアンタ、存在騎士失いかけてなーい?」
「マジキモーイ」
キャッキャ騒ぐチアガールと国生 かりん(CL2001391)。
「って、なにそっち側に混ざってんだ! こっち! お前のチームこっち!」
腕をぶんぶん振る『一級ムードメーカー』成瀬 翔(CL2000063)。
かりんを引っ張り込んで、極悪学園をシッシと元のベンチに追い返す。
そして主将に向き直った。
「う……」
既に半泣きだった。
「うえあああああああ!」
というかガチ泣きした。
膝から崩れ落ちて地面をばしばし叩きはじめる。
うすうす感じていたがメンタルの弱い主将である。
「き、騎士道いいよな! 正々堂々ってオレ好きだぜ! な!? たまき!」
急にふられて、賀茂 たまき(CL2000994)が慌てた。
「そ、そうですね! 私も騎士道精神を学びたいですし、とっても興味がありましたし。……ね? ミュエルさん」
『二兎の救い手』明石 ミュエル(CL2000172)が今ふられても困るという顔で両手を翳した。
「うん。帰宅部だったから、初めてで。でも、頑張るよ……ね?」
ついっとパスするミュエル。
爆弾リレーは最終的に宮神 羽琉(CL2001381)の手に収まった。
「騎士道は宗教色が濃すぎて、八百万精神の日本人にはわかりにくいんじゃ無いかって思った……かな」
「うあああああん!」
主将はその後、しばらくの間立ち直らなかった。
●第二試合、個人戦B
次鋒としてステージに立つ逝。
相手はいかにも悪そうな男である。見上げるような巨体に巨大な剣を担ぎ、ニヤニヤとした顔からは相手をどういたぶろうか考えている様子が見て取れた。
「よう助っ人。降参はするなよ。俺様が楽しめないからな」
「……」
黙して語らぬ逝。
刀を乱暴に抜いて肩に担いで構える。
その様子に相手は首を傾げたが、戦闘準備よしとみて審判は腕を振り下ろした。
「第二試合、はじめ!」
逝と相手の動きは同じだった。まず土の全身を生成して身に纏う。
「お互い防御型のようですね」
試合を見守っていたたまきが手に力を込めた。
たまきが広げたおむすびを貰ってほおばる駆。
「防御型どうしだとまずいのか?」
「相手はみるからに防御をかためてパワーで押すタイプですから、こちらに決定打撃がないとダメージレースに負けてしまうんです」
団体戦を主とするF.i.V.Eでには防御特化型の覚者は多くいる。しかし攻撃力を捨てたパターンが多く、個人戦では同じ防御型とは相性が悪いのだ。
「へへ、さっさとかかってきてもいいんだぜ」
「……」
構えを変える相手。そして逝。
またも見たことのない構えだ。逝のそれは刀を使うというより、その辺の棒をとりあえず持つだけ持ってみるという構えなのだ。
相手が舌打ちし、剣を叩き付けにかかる。
「こけおどしか? そのしらけた面ァグシャグシャにしてやるぜ!」
叩きつぶさんばかりの振り下ろし。
それに対して逝は相手の力を逆に利用するような投げ技を仕掛けた。
地面に叩き付けられる巨体。
「これは、マーシャルアーツ!」
神父が目を光らせ、立ち上がった。
そして……。
試合終了の鐘が鳴り、お互いがゆっくりと下がる。
「両者、引き分け!」
引き分けだ。しかし相手側の疲労に対して、逝はすました顔のままだった。
「お互い防御を固め、体術を封じ合う。そうすることによってダメージを弾きあう状態となり引き分けた……か。しかしあの余裕。ルールに縛られなければ勝っていたのは彼だったろう」
神父の呟きを残し、第三試合へ。
●第二試合、個人戦C
「よろしくおねがいします!」
「チビかよ。まあいいか、遊んでやる」
個人戦の三番目はたまきだ。
相手はナイフ二刀流のひょろながい男だ。
「第三試合、はじめ!」
「オラァ!」
速攻。相手が炎を宿したナイフで切りつけてくる。
しかしたまきは大きな護符を広げてこれをガード。
さらなる攻撃も重ねた護符でガードする。
ダメージは僅かだ。
そこへ、滑り込むように肘を打ち込むたまき。
「ぐえ!?」
打ち込むといってもヒットはしない。打つ姿勢をとっただけだ。
だというのに相手は身体をくの字にまげて吹き飛んだ。
「あの体術。土行の弐式……やはりF.i.V.Eは相当な実力者揃いか」
「それだけじゃ、ないよ」
呟く神父の横で、惡人がお茶を一口飲んでから顔を上げた。
「俺たちは、いくつもの死線をくぐり抜けてきた。本来なら誰かの後ろに隠れているような子ですら、誰かのために戦える……」
「あんな風に……」
拳をぎゅっと握る羽琉。
一方試合は架橋。体術を封じたたまきは流れるように隆神槍。相手を突き上げてから着地点に滑り込み、琴桜によるアッパーカットで試合を閉じた。
攻撃がまるで通じないと判断した相手にできたのは、防御行動だけだった。それでもたった三発で相手の体力は底を突いたのだった。
「試合終了。聖純学園、勝利!」
ステージ上で気絶した相手にたまきは。
「ありがとうございました!」
ぺこりと深く頭を下げた。
●第四試合、チーム戦A
こちらのチームはミュエル、羽琉、椿。
ミュエルを前衛にして、残り二人を後衛に置くという布陣だ。
対して相手チームは二人を前衛において後衛一人という陣形。
「第四試合、はじめ!」
審判の声と共に速攻をかけるミュエルと椿。
ミュエルが香水の入った瓶を相手チームめがけて投げつけると、椿の放った巨大な水流に飲み込まれていく。
水流は敵前衛に叩き付けられ、彼らを大きく吹き飛ばした。
すぐさま回復術式を練る敵後衛。
その間敵前衛がミュエルへ集中攻撃を開始……と見せかけて、一人がミュエルを抜けて椿を襲った。
「三島さん!」
ベンチで翔が身を乗り出した。
頷く秋人。
「相手にとっては見たことの無い技だけど、明らかに彼女は水行。なら回復役になる可能性があると踏んだんだね」
「でもソッコーかけてたよな」
「得意分野はむしろ攻撃、なんですかね」
おむすびを手に問いかけるたまき。
かりんは応えずに、試合の様子をぼーっと眺めていた。代わりに応える逝。
「個人戦は出す技の選択が駆け引きになるけど、チーム戦は陣形も駆け引きの材料になる。もう少し見てな」
敵の攻撃で椿たちが出血。やや出遅れた羽琉が演舞を開始する。
椿は継続して水龍牙を発射。
ミュエルは棘散舞を敵回復担当へ発射。
その様子を見た敵チームはこう思っただろう。羽琉は実力不足なので回復に専念させているはず。アタッカーはミュエルと椿だが、水行の椿は後半回復に回るはず。バッドステータスでダメージを稼いで自分たちは防衛を固める算段だと。
「ごり押ししてやるぜ」
敵前衛の攻撃がミュエルに集中。後衛の回復担当すら回復を捨ててミュエルに集中攻撃を仕掛け始めた。
ミュエルもそこまで体力が豊富というわけでもない。集中攻撃を食らえば試合終了まで持たない。
敵の予想通り潤しの滴で回復を開始。
かなりの回復量だが、蓄積ダメージの方が上だ。
更に押し込もうとしてくる敵チーム。
羽琉は意を決してミュエルのカバーに入った。
「普通に生活してたらこんなこと絶対無いよ。お姉さんに囲まれてとか……いや、だからこそ思い切らなきゃ!」
「うまい。彼の実力ならむしろオーバーキルを恐れて深入りできない。リスクを犯さず確実に味方をかばえるということか」
目を光らせる神父。
羽琉は敵の集中砲火を浴びて戦闘不能。
敵チームはさらなる押し込みを期待してミュエルに集中砲火を続行。
対してミュエルの攻撃と椿の潤しの滴によるホバリング。
このままではミュエルの体力も尽きてしまう。
ダメージレースに負けてしまう。
が、最終ターン。
「今よ」
「うん」
椿とミュエルの動作がリンクした。
翼を広げ、術式の霧によって回復空間を発生させる椿。その滴の中に、ミュエルの放った大樹の息吹が合わさった。
つきかけていたミュエルの体力と序盤にうけた椿の体力を大幅に回復。
ミュエルの仕掛けた棘散舞がここに来て芽吹き、敵の回復担当を拘束した。
「あの娘、回復技を最後までとっておいたな。ごり押しに集中していただけに相手は回復をおろそかにしている。今から取り返そうにも動けない……!」
「試合終了、勝者――極悪学園!」
最後の最後で大回復をしかけてダメージ差をひっくり返す作戦は見事だった。
だが戦闘不能になった羽琉の分まではリカバリーがきかない。そこが勝負の分かれ目となったのだろう。
勿論実力差で言えばミュエルたちの方が上。ルールに縛られずこの先10ターンほど戦闘していれば勝ったのはミュエルたちだったろう。
●第五試合、チーム戦B
「試合はどうなった!」
やっと立ち直った主将が戻ってくる。
「最終試合だよ」
「こっちはあのメンバーだよ」
ミュエルと羽琉がステージを指さす。
秋人とかりんを中衛に据え、前衛を翔が勤める陣形だ。
敵は前衛一人後衛二人。
しかし武装からして攻撃的なチームのようだ。
「ダメージ量にモノを言わせて戦闘不能にしようってハラか」
「あくまでこちらを圧倒したい、ってことかな……」
「……」
かりんは髪の毛を指でくるくるやりながら試合開始を待っている。
「第五試合、はじめ!」
審判の号令。
先に動いたのは翔だ。
「ガンガンいくぜ!」
スマホを取り出しアプリを起動。陰陽術式を画面内で立体生成すると、雷獣を発動させた。
翔の作戦は至ってシンプル。仲間にまかせてとにかく敵を攻撃しまくることだ。
一拍遅れた秋人はかりんに水衣を付与。
敵はB.O.T.や薄氷、貫殺撃といった貫通性の攻撃を選択。翔と秋人を狙いに定めた。
ベンチで首を傾げる羽琉。
「ねえ、あのチームなら国生さんが一番レベルが低いよね。なぜ鈴白さんを狙ったの?」
「敵がエネミースキャンをケチったからというのもあるだろうが……仮に分かっていたとしても先に落とすべきはあの水行の男だ。味方の付与を優先したために自分の付与が遅れていて、尚且つ回復が可能な術式を多く持ちえる。彼が3ターン残っているのと、火行の彼女が3ターン残っているのとでは前者の方が明らかに被害が大きいのだ」
腕組みして語る主将。
逝がぽつりと言った。
「今までトイレで泣いてた割によくわかったな」
「ふええええええええん!」
主将はまた泣きながらトイレへと走った。
一方試合の方は。
「戦法なんか知るか! くらえやー!」
かりんはリップスティックを限界まで捻り出すと、敵チームめがけて投げまくった。
爆弾のように破裂し、炎を吹き上げる。
「いいぞ、どんどんいけ!」
翔はにやりと笑いつつ雷獣を連射。かりんと共に敵後衛を集中攻撃していく。
その間秋人は自分に超純水を付与。そこからは潤しの雨を連射だ。
「勝ったな」
神父の呟きに、思い切り身を乗り出していた椿が反応した。
「どうしてそう思うの」
「騎士道はアーマードバトルというスポーツが元になっていて、これは頑丈な全身鎧を纏って刃のない剣などで殴り合い、倒れたら負けというルールだった。フルアーマー全盛期の格闘術を競うものだな」
「けど因子の混入によって一変した……?」
椿も試合中感じていたことだ。この試合、最大威力の全体回復術式を5ターン使えるならそれで済む。
実際の戦闘でも回復担当のやることはひたすら全体回復し、天行担当にMPを回復してもらって更に維持というケースが増えている。恐らく今後こればかりになるだろう。
事細かに味方の体力減少率を計算していたが、それすら本当は必要ない。判定基準の隙間に入ることも多いからだ。
「最終的にはレベルの高い方が勝つ。だから私は騎士道部に本来的な騎士道精神を取り入れたのだ。ただ強ければ許されるだけの力など」
「……なら、確かに翔たちが勝つわ」
椿は微笑んだ。
「私たちが『そう』だもの」
試合は嵐のように流れ、そして終了した。
敵チームのうち後衛二名戦闘不能。
対して秋人と翔、そしてかりんも健在。
この時点で誰の目にも明らかだった。
「聖純学園、勝利! 勝利数1対3、引き分け1。聖純学園チームの総合勝利!」
●廃部
「みんなありがとう。これはほんの気持ちだ」
神父から封筒を受け取る秋人たち。
涙を拭いて戻ってきた主将になんやかんや言いながら盛り上がっていたが、神父はさらっと言った。
「騎士道部最後の試合に勝利できた。これで悔いは無いな」
「ん?」
ゆーっくり振り返る主将。
「9割助っ人で練習試合に出たのが学園にバレた。部員数規定以下として、廃部だそうだ」
重ねてさらっと言う神父。
主将はガン泣きしながら走って帰った。
「聖純学園勝利!」
審判の声と共に観客たちが声をあげた。
膝を突く極悪学園の先鋒に背を向け、ポニーテイルを払ってステージを去るのは、聖純学園騎士道部主将である。
覚醒状態を解いた彼女にスポーツタオルを投げる神父の男。
「まずは手堅く一勝。あと二回勝てばこちらの勝利だ」
「助っ人は到着しているのでしょう。相手側はこちらの正規部員が一人しかいないことを見抜いて練習用のチームを組んできています。試合経験がなくても実力さえあればおそらくは……」
「心配するな。金はかけた!」
「心配しないで、お金にひかれたわけじゃないから……」
控えベンチの通用口から、鈴白 秋人(CL2000565)が現われた。
「単純に、試合を楽しみたいと思ったからね」
「そうね。不謹慎かもしれないけれど、純粋な試合という形で技を使うのは不思議だけど楽しみだわ」
同じく三島 椿(CL2000061)。
仲間たちもそろって到着したようだ。
「おーおー皆さんおそろいで」
向かいのベンチから極悪学園のチームがぞろぞろとやってくる。
チアガールのような女たちもつれてだ。
「よく覚者を九人も揃えられたもんですなあ、いやあお見事お見事」
「個人戦の相手はそこのとっぽい野郎か。こっちも殺さないように手加減しなくて済むぜ、ありがとよ」
「…………」
ぺこりと頭を下げる青年。実は緒形 逝(CL2000156)の変装した姿である。
相手がシタテに出たことで気をよくしたのか、極悪学園のチームはゲラゲラ笑い始めた。
「おい主将、ウデは確かなんだからこっちに転校してこいよ」
「かわいがってやるぜ。下っ端としてな!」
「でもあの子モテなさそー」
「ねー、キモオタが好きそうなキャラのくせに見向きもされない女騎士様はコチラでよろしかった? ヤバイねアンタ、存在騎士失いかけてなーい?」
「マジキモーイ」
キャッキャ騒ぐチアガールと国生 かりん(CL2001391)。
「って、なにそっち側に混ざってんだ! こっち! お前のチームこっち!」
腕をぶんぶん振る『一級ムードメーカー』成瀬 翔(CL2000063)。
かりんを引っ張り込んで、極悪学園をシッシと元のベンチに追い返す。
そして主将に向き直った。
「う……」
既に半泣きだった。
「うえあああああああ!」
というかガチ泣きした。
膝から崩れ落ちて地面をばしばし叩きはじめる。
うすうす感じていたがメンタルの弱い主将である。
「き、騎士道いいよな! 正々堂々ってオレ好きだぜ! な!? たまき!」
急にふられて、賀茂 たまき(CL2000994)が慌てた。
「そ、そうですね! 私も騎士道精神を学びたいですし、とっても興味がありましたし。……ね? ミュエルさん」
『二兎の救い手』明石 ミュエル(CL2000172)が今ふられても困るという顔で両手を翳した。
「うん。帰宅部だったから、初めてで。でも、頑張るよ……ね?」
ついっとパスするミュエル。
爆弾リレーは最終的に宮神 羽琉(CL2001381)の手に収まった。
「騎士道は宗教色が濃すぎて、八百万精神の日本人にはわかりにくいんじゃ無いかって思った……かな」
「うあああああん!」
主将はその後、しばらくの間立ち直らなかった。
●第二試合、個人戦B
次鋒としてステージに立つ逝。
相手はいかにも悪そうな男である。見上げるような巨体に巨大な剣を担ぎ、ニヤニヤとした顔からは相手をどういたぶろうか考えている様子が見て取れた。
「よう助っ人。降参はするなよ。俺様が楽しめないからな」
「……」
黙して語らぬ逝。
刀を乱暴に抜いて肩に担いで構える。
その様子に相手は首を傾げたが、戦闘準備よしとみて審判は腕を振り下ろした。
「第二試合、はじめ!」
逝と相手の動きは同じだった。まず土の全身を生成して身に纏う。
「お互い防御型のようですね」
試合を見守っていたたまきが手に力を込めた。
たまきが広げたおむすびを貰ってほおばる駆。
「防御型どうしだとまずいのか?」
「相手はみるからに防御をかためてパワーで押すタイプですから、こちらに決定打撃がないとダメージレースに負けてしまうんです」
団体戦を主とするF.i.V.Eでには防御特化型の覚者は多くいる。しかし攻撃力を捨てたパターンが多く、個人戦では同じ防御型とは相性が悪いのだ。
「へへ、さっさとかかってきてもいいんだぜ」
「……」
構えを変える相手。そして逝。
またも見たことのない構えだ。逝のそれは刀を使うというより、その辺の棒をとりあえず持つだけ持ってみるという構えなのだ。
相手が舌打ちし、剣を叩き付けにかかる。
「こけおどしか? そのしらけた面ァグシャグシャにしてやるぜ!」
叩きつぶさんばかりの振り下ろし。
それに対して逝は相手の力を逆に利用するような投げ技を仕掛けた。
地面に叩き付けられる巨体。
「これは、マーシャルアーツ!」
神父が目を光らせ、立ち上がった。
そして……。
試合終了の鐘が鳴り、お互いがゆっくりと下がる。
「両者、引き分け!」
引き分けだ。しかし相手側の疲労に対して、逝はすました顔のままだった。
「お互い防御を固め、体術を封じ合う。そうすることによってダメージを弾きあう状態となり引き分けた……か。しかしあの余裕。ルールに縛られなければ勝っていたのは彼だったろう」
神父の呟きを残し、第三試合へ。
●第二試合、個人戦C
「よろしくおねがいします!」
「チビかよ。まあいいか、遊んでやる」
個人戦の三番目はたまきだ。
相手はナイフ二刀流のひょろながい男だ。
「第三試合、はじめ!」
「オラァ!」
速攻。相手が炎を宿したナイフで切りつけてくる。
しかしたまきは大きな護符を広げてこれをガード。
さらなる攻撃も重ねた護符でガードする。
ダメージは僅かだ。
そこへ、滑り込むように肘を打ち込むたまき。
「ぐえ!?」
打ち込むといってもヒットはしない。打つ姿勢をとっただけだ。
だというのに相手は身体をくの字にまげて吹き飛んだ。
「あの体術。土行の弐式……やはりF.i.V.Eは相当な実力者揃いか」
「それだけじゃ、ないよ」
呟く神父の横で、惡人がお茶を一口飲んでから顔を上げた。
「俺たちは、いくつもの死線をくぐり抜けてきた。本来なら誰かの後ろに隠れているような子ですら、誰かのために戦える……」
「あんな風に……」
拳をぎゅっと握る羽琉。
一方試合は架橋。体術を封じたたまきは流れるように隆神槍。相手を突き上げてから着地点に滑り込み、琴桜によるアッパーカットで試合を閉じた。
攻撃がまるで通じないと判断した相手にできたのは、防御行動だけだった。それでもたった三発で相手の体力は底を突いたのだった。
「試合終了。聖純学園、勝利!」
ステージ上で気絶した相手にたまきは。
「ありがとうございました!」
ぺこりと深く頭を下げた。
●第四試合、チーム戦A
こちらのチームはミュエル、羽琉、椿。
ミュエルを前衛にして、残り二人を後衛に置くという布陣だ。
対して相手チームは二人を前衛において後衛一人という陣形。
「第四試合、はじめ!」
審判の声と共に速攻をかけるミュエルと椿。
ミュエルが香水の入った瓶を相手チームめがけて投げつけると、椿の放った巨大な水流に飲み込まれていく。
水流は敵前衛に叩き付けられ、彼らを大きく吹き飛ばした。
すぐさま回復術式を練る敵後衛。
その間敵前衛がミュエルへ集中攻撃を開始……と見せかけて、一人がミュエルを抜けて椿を襲った。
「三島さん!」
ベンチで翔が身を乗り出した。
頷く秋人。
「相手にとっては見たことの無い技だけど、明らかに彼女は水行。なら回復役になる可能性があると踏んだんだね」
「でもソッコーかけてたよな」
「得意分野はむしろ攻撃、なんですかね」
おむすびを手に問いかけるたまき。
かりんは応えずに、試合の様子をぼーっと眺めていた。代わりに応える逝。
「個人戦は出す技の選択が駆け引きになるけど、チーム戦は陣形も駆け引きの材料になる。もう少し見てな」
敵の攻撃で椿たちが出血。やや出遅れた羽琉が演舞を開始する。
椿は継続して水龍牙を発射。
ミュエルは棘散舞を敵回復担当へ発射。
その様子を見た敵チームはこう思っただろう。羽琉は実力不足なので回復に専念させているはず。アタッカーはミュエルと椿だが、水行の椿は後半回復に回るはず。バッドステータスでダメージを稼いで自分たちは防衛を固める算段だと。
「ごり押ししてやるぜ」
敵前衛の攻撃がミュエルに集中。後衛の回復担当すら回復を捨ててミュエルに集中攻撃を仕掛け始めた。
ミュエルもそこまで体力が豊富というわけでもない。集中攻撃を食らえば試合終了まで持たない。
敵の予想通り潤しの滴で回復を開始。
かなりの回復量だが、蓄積ダメージの方が上だ。
更に押し込もうとしてくる敵チーム。
羽琉は意を決してミュエルのカバーに入った。
「普通に生活してたらこんなこと絶対無いよ。お姉さんに囲まれてとか……いや、だからこそ思い切らなきゃ!」
「うまい。彼の実力ならむしろオーバーキルを恐れて深入りできない。リスクを犯さず確実に味方をかばえるということか」
目を光らせる神父。
羽琉は敵の集中砲火を浴びて戦闘不能。
敵チームはさらなる押し込みを期待してミュエルに集中砲火を続行。
対してミュエルの攻撃と椿の潤しの滴によるホバリング。
このままではミュエルの体力も尽きてしまう。
ダメージレースに負けてしまう。
が、最終ターン。
「今よ」
「うん」
椿とミュエルの動作がリンクした。
翼を広げ、術式の霧によって回復空間を発生させる椿。その滴の中に、ミュエルの放った大樹の息吹が合わさった。
つきかけていたミュエルの体力と序盤にうけた椿の体力を大幅に回復。
ミュエルの仕掛けた棘散舞がここに来て芽吹き、敵の回復担当を拘束した。
「あの娘、回復技を最後までとっておいたな。ごり押しに集中していただけに相手は回復をおろそかにしている。今から取り返そうにも動けない……!」
「試合終了、勝者――極悪学園!」
最後の最後で大回復をしかけてダメージ差をひっくり返す作戦は見事だった。
だが戦闘不能になった羽琉の分まではリカバリーがきかない。そこが勝負の分かれ目となったのだろう。
勿論実力差で言えばミュエルたちの方が上。ルールに縛られずこの先10ターンほど戦闘していれば勝ったのはミュエルたちだったろう。
●第五試合、チーム戦B
「試合はどうなった!」
やっと立ち直った主将が戻ってくる。
「最終試合だよ」
「こっちはあのメンバーだよ」
ミュエルと羽琉がステージを指さす。
秋人とかりんを中衛に据え、前衛を翔が勤める陣形だ。
敵は前衛一人後衛二人。
しかし武装からして攻撃的なチームのようだ。
「ダメージ量にモノを言わせて戦闘不能にしようってハラか」
「あくまでこちらを圧倒したい、ってことかな……」
「……」
かりんは髪の毛を指でくるくるやりながら試合開始を待っている。
「第五試合、はじめ!」
審判の号令。
先に動いたのは翔だ。
「ガンガンいくぜ!」
スマホを取り出しアプリを起動。陰陽術式を画面内で立体生成すると、雷獣を発動させた。
翔の作戦は至ってシンプル。仲間にまかせてとにかく敵を攻撃しまくることだ。
一拍遅れた秋人はかりんに水衣を付与。
敵はB.O.T.や薄氷、貫殺撃といった貫通性の攻撃を選択。翔と秋人を狙いに定めた。
ベンチで首を傾げる羽琉。
「ねえ、あのチームなら国生さんが一番レベルが低いよね。なぜ鈴白さんを狙ったの?」
「敵がエネミースキャンをケチったからというのもあるだろうが……仮に分かっていたとしても先に落とすべきはあの水行の男だ。味方の付与を優先したために自分の付与が遅れていて、尚且つ回復が可能な術式を多く持ちえる。彼が3ターン残っているのと、火行の彼女が3ターン残っているのとでは前者の方が明らかに被害が大きいのだ」
腕組みして語る主将。
逝がぽつりと言った。
「今までトイレで泣いてた割によくわかったな」
「ふええええええええん!」
主将はまた泣きながらトイレへと走った。
一方試合の方は。
「戦法なんか知るか! くらえやー!」
かりんはリップスティックを限界まで捻り出すと、敵チームめがけて投げまくった。
爆弾のように破裂し、炎を吹き上げる。
「いいぞ、どんどんいけ!」
翔はにやりと笑いつつ雷獣を連射。かりんと共に敵後衛を集中攻撃していく。
その間秋人は自分に超純水を付与。そこからは潤しの雨を連射だ。
「勝ったな」
神父の呟きに、思い切り身を乗り出していた椿が反応した。
「どうしてそう思うの」
「騎士道はアーマードバトルというスポーツが元になっていて、これは頑丈な全身鎧を纏って刃のない剣などで殴り合い、倒れたら負けというルールだった。フルアーマー全盛期の格闘術を競うものだな」
「けど因子の混入によって一変した……?」
椿も試合中感じていたことだ。この試合、最大威力の全体回復術式を5ターン使えるならそれで済む。
実際の戦闘でも回復担当のやることはひたすら全体回復し、天行担当にMPを回復してもらって更に維持というケースが増えている。恐らく今後こればかりになるだろう。
事細かに味方の体力減少率を計算していたが、それすら本当は必要ない。判定基準の隙間に入ることも多いからだ。
「最終的にはレベルの高い方が勝つ。だから私は騎士道部に本来的な騎士道精神を取り入れたのだ。ただ強ければ許されるだけの力など」
「……なら、確かに翔たちが勝つわ」
椿は微笑んだ。
「私たちが『そう』だもの」
試合は嵐のように流れ、そして終了した。
敵チームのうち後衛二名戦闘不能。
対して秋人と翔、そしてかりんも健在。
この時点で誰の目にも明らかだった。
「聖純学園、勝利! 勝利数1対3、引き分け1。聖純学園チームの総合勝利!」
●廃部
「みんなありがとう。これはほんの気持ちだ」
神父から封筒を受け取る秋人たち。
涙を拭いて戻ってきた主将になんやかんや言いながら盛り上がっていたが、神父はさらっと言った。
「騎士道部最後の試合に勝利できた。これで悔いは無いな」
「ん?」
ゆーっくり振り返る主将。
「9割助っ人で練習試合に出たのが学園にバレた。部員数規定以下として、廃部だそうだ」
重ねてさらっと言う神父。
主将はガン泣きしながら走って帰った。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし
