死を宿した傀儡
●愛情を返す
「人形に魅入られ死んだ男の話をしてやろうか」
その場に居た何人かは瞬時に身を強張らせる。または、「え?」と二度聞きした者も居た。
時間は昼時。それも昼食中。
元々はと言えば、男三人で集まって黙々と飯を進めるのも寂しい。何か話せ。
だとか、そんな軽いノリだった筈だ。
それが誰も何も話を持ち出さないかと思いきや、不意にその話題が吹っ掛けられた。
忘れていた。
その男はホラーが大好物だったのだ。
背丈は平均より上だし、体型は痩せ型。
肉を予め削ぎ落して生まれて来たかの様な輪郭のその男は、まさにそういう話をするに相応しい白い肌をしている。
「ある人里離れた屋敷での事だ」
了承なんてしていないのに、男は僅か数秒を待たずに話を切り出した。
……その屋敷には一人の男が住んでいた。
妙に偏屈で、人嫌い。だから屋敷もわざわざ、街から数キロ離れた先に建てたんだという。
ただ、人嫌いの癖にはそれに近しいあるモノが好きだった。
それが『人形』。
それもかなりの精巧さを誇っており、暗闇に立たせれば本物の人間と見間違う事も訳の無い、等身大の女性の人形である。
予想するに、彼は『喋る』人間が嫌いなのだろう。静寂を求めた結果、行きついた先が人形だったのだ。
屋敷にその人形が有るのは街中の人間が知る事だったが、その仕入れ先を聞き出す事は誰一人としてかなわなかった。
……そんなある日の夜。
男は日課になった人形を手入れする作業に移るべく、道具を持って一階へと降りた。
この屋敷が二階建てである事は外から見ても一目瞭然であったが、何故一人で住むのに二階まで造ったのか、それを知る者も居なかった。
そう思う程に、屋敷の全体は広かったのだ。
玄関から入って正面に一枚の大扉。
そこを開けば大きなリビングルームへと繋がっている。
いつもそのリビングルームに女性の人形は収納されていた。
埃一つ無く、爪の先まで磨き上げられ、長く伸びた髪は櫛で真っ直ぐにとかされたその人形は、じっと見ていれば瞬きを始めそうな程美しい。
男にとって、家宝とも言えるべき存在。
人形を丁重に取り出す。
そこで、男はふと疑問を生じた。
(やけに綺麗だな……)
精巧と言えど人形は人形。
しかし、男は確かに感じ取った。
人形が持つべきでは無い脈動。そして無個性な感情を。
「ア……」
男が発した言葉では無かった。
「アァァァァリィガァァトオォネェェェェ」
人形の瞳がグルリとこちらを向く。
途端、男は全ての道具を投げだして腰を着いた。
異端であれば歓喜の感情を持った事だろう。
だが幸か不幸か、男の思考はどうやら平常であったらしい。
「愛シテクレテ、アリガトォネェェ」
その時程、男は独りであった事を後悔した事は無かっただろう。
支えも無しに迫って来る人形を、ただ茫然と見ている事しか出来なかったのだから。
●
「注いだ愛情から生まれた魂だとすれば、何とも皮肉な話だな」
静まったランチタイム。三人の内、男は冷静に感想を告げた。
「ちょ、ちょっと待てよ……お前が話し始めたんだろ!? ったく、何処から仕入れてくるんだ、そんなの……」
「ん……? 何だ、聞いて無かったのか」
場所を移して私立五麟学園内部、一般学生寮と反対側に位置した考古学研究所の一室。
訪れれば既に覚者達が集まっており、聞くと説明が二度目である事も教えられた。
もしかすれば、既にその中に貴方達も居たかもしれない。
と言っても一回目と言うのは軽く触れた程度である為、これが正式な説明の場である。
「あぁ、とある館で二体の妖が徘徊しているみたいだ。良く知ってるな」
部屋の正面で久方 相馬(nCL2000004)が、後からやって来た二人の男に告げた。
妄想かと思っていたが、かの話は実際に起こっていた事らしい。
「……ま、そいつだって実際に見た訳じゃないから、その話は情報から想像したところだろうけど……おおよそ、そんなとこだと思うぜ」
となれば、事件の引き金となったのは女の人形。
だが、恐らくそれだけでは無い。
相馬は改めて目の前の覚者達に向き直る。
「人形は一体だけど、二体の影の目撃があった……多分、殺された男の妖だろうな」
呪われた人形と、愛され過ぎた人間。
邪魔立てする者が居れば容赦なく排除に掛かるだろう。
このままでは街へ被害が及ぶ事も時間の問題だ。
どうか、この徘徊する悪霊達を鎮めて貰いたい。
「人形に魅入られ死んだ男の話をしてやろうか」
その場に居た何人かは瞬時に身を強張らせる。または、「え?」と二度聞きした者も居た。
時間は昼時。それも昼食中。
元々はと言えば、男三人で集まって黙々と飯を進めるのも寂しい。何か話せ。
だとか、そんな軽いノリだった筈だ。
それが誰も何も話を持ち出さないかと思いきや、不意にその話題が吹っ掛けられた。
忘れていた。
その男はホラーが大好物だったのだ。
背丈は平均より上だし、体型は痩せ型。
肉を予め削ぎ落して生まれて来たかの様な輪郭のその男は、まさにそういう話をするに相応しい白い肌をしている。
「ある人里離れた屋敷での事だ」
了承なんてしていないのに、男は僅か数秒を待たずに話を切り出した。
……その屋敷には一人の男が住んでいた。
妙に偏屈で、人嫌い。だから屋敷もわざわざ、街から数キロ離れた先に建てたんだという。
ただ、人嫌いの癖にはそれに近しいあるモノが好きだった。
それが『人形』。
それもかなりの精巧さを誇っており、暗闇に立たせれば本物の人間と見間違う事も訳の無い、等身大の女性の人形である。
予想するに、彼は『喋る』人間が嫌いなのだろう。静寂を求めた結果、行きついた先が人形だったのだ。
屋敷にその人形が有るのは街中の人間が知る事だったが、その仕入れ先を聞き出す事は誰一人としてかなわなかった。
……そんなある日の夜。
男は日課になった人形を手入れする作業に移るべく、道具を持って一階へと降りた。
この屋敷が二階建てである事は外から見ても一目瞭然であったが、何故一人で住むのに二階まで造ったのか、それを知る者も居なかった。
そう思う程に、屋敷の全体は広かったのだ。
玄関から入って正面に一枚の大扉。
そこを開けば大きなリビングルームへと繋がっている。
いつもそのリビングルームに女性の人形は収納されていた。
埃一つ無く、爪の先まで磨き上げられ、長く伸びた髪は櫛で真っ直ぐにとかされたその人形は、じっと見ていれば瞬きを始めそうな程美しい。
男にとって、家宝とも言えるべき存在。
人形を丁重に取り出す。
そこで、男はふと疑問を生じた。
(やけに綺麗だな……)
精巧と言えど人形は人形。
しかし、男は確かに感じ取った。
人形が持つべきでは無い脈動。そして無個性な感情を。
「ア……」
男が発した言葉では無かった。
「アァァァァリィガァァトオォネェェェェ」
人形の瞳がグルリとこちらを向く。
途端、男は全ての道具を投げだして腰を着いた。
異端であれば歓喜の感情を持った事だろう。
だが幸か不幸か、男の思考はどうやら平常であったらしい。
「愛シテクレテ、アリガトォネェェ」
その時程、男は独りであった事を後悔した事は無かっただろう。
支えも無しに迫って来る人形を、ただ茫然と見ている事しか出来なかったのだから。
●
「注いだ愛情から生まれた魂だとすれば、何とも皮肉な話だな」
静まったランチタイム。三人の内、男は冷静に感想を告げた。
「ちょ、ちょっと待てよ……お前が話し始めたんだろ!? ったく、何処から仕入れてくるんだ、そんなの……」
「ん……? 何だ、聞いて無かったのか」
場所を移して私立五麟学園内部、一般学生寮と反対側に位置した考古学研究所の一室。
訪れれば既に覚者達が集まっており、聞くと説明が二度目である事も教えられた。
もしかすれば、既にその中に貴方達も居たかもしれない。
と言っても一回目と言うのは軽く触れた程度である為、これが正式な説明の場である。
「あぁ、とある館で二体の妖が徘徊しているみたいだ。良く知ってるな」
部屋の正面で久方 相馬(nCL2000004)が、後からやって来た二人の男に告げた。
妄想かと思っていたが、かの話は実際に起こっていた事らしい。
「……ま、そいつだって実際に見た訳じゃないから、その話は情報から想像したところだろうけど……おおよそ、そんなとこだと思うぜ」
となれば、事件の引き金となったのは女の人形。
だが、恐らくそれだけでは無い。
相馬は改めて目の前の覚者達に向き直る。
「人形は一体だけど、二体の影の目撃があった……多分、殺された男の妖だろうな」
呪われた人形と、愛され過ぎた人間。
邪魔立てする者が居れば容赦なく排除に掛かるだろう。
このままでは街へ被害が及ぶ事も時間の問題だ。
どうか、この徘徊する悪霊達を鎮めて貰いたい。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.屋敷を徘徊する妖二体の撃破
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
死人形……
物質系妖、ランク2。
精巧な女性の姿をしているが、生気の無い肌に悪しき魂の宿ってしまった不気味な人形。
長い黒髪をしているが、屋敷にはこの一体しか人形は無いためすぐに判るだろう。
主な攻撃方法は素手での引っ掻き、首絞め、体当たり。
また、爪には毒を含んでおり
呪いの言葉を相手一体へ飛ばす「念呪(ネンジュ)」を受けると呪縛系のバッドステータスに掛かる可能性がある。
ゾンビ……
生物系、ランク1。
人形に殺され、怨念により死体のまま動き出し妖となった男。
人形と同じく引っ掻き、そして噛みつきの攻撃方法を取る。
こちらの引っ掻き攻撃にも同じく、毒を受ける可能性が有る。
●屋敷について
屋敷に侵入する事自体は特に記述が無くとも可能です。
玄関から入り、目の前の大扉を開けると、話の通り中に死人形とゾンビが待ち受けている事でしょう。
また、この屋敷は二階建てですが、その他の部屋には特に何も起きません。
ですが一般の家に有る様な物(風呂や台所)は有りますし、家具についても有りそうなモノであれば活用して頂いて結構です。
妖達のいるリビングルームには正面から入る大扉の他、出窓が付いています。
光源については電気が付いたままの状態ですので、用意しなくとも問題有りません。
時間帯についても指定は御座いません。
●STより
どうも、朱月コウ(アカツキ・-)です。
色々と人形の写真を調べてみたのですが、本当に動き出しそうな作りのものも多いですね。
家具については皆様のご想像にもよりますが、「流石にこれは無いだろう」というのはマスタリングさせて頂きます。
極端な話、火炎放射器が突然出てきたらスッと無かった事にします。
宜しくお願いします。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
相談日数
7日
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
6/6
公開日
2016年02月27日
2016年02月27日
■メイン参加者 6人■

●死人へ誘う
日中。まだ太陽が昇りきっている時間。
覚者達が集まるは件の屋敷の前。
遠目に見える街を背に、話通り数キロは歩いただろうか。
今やこの区域に訪れる人間はいないのであろう。
『無人』となってそんなに日は経っていないはずなのだが、荒れた草木に加え、何処か寂しげな印象を持たせたそこは、酷く空気が濁っている感触を生み出していた。
もっと言うならば屋敷全体が重苦しくも感じる。
軽く見た感じ、何かが蠢いている様子は無い。
もっとも、屋敷を正面から見据えたこの状況では、という事だが。
まずは玄関扉……。
異常は無い。
錆びれた扉が、久方ぶりの来客を歓迎するように軋んだ音を上げ続けた。
玄関先は妖が徘徊していると言われた割には思ったより荒れておらず、むしろ整頓された家具や観葉植物が覚者達の目に留まる。
きっと家主は几帳面な性格だったのであろう。
埃こそ積もっているが、開かれた小窓のカーテンがきちんと金具のような物で留められている事からもそれが伺えた。
左手には廊下が伸び、覗き込んでみれば複数の扉。恐らくは家主の執務室だとかだろうが、これだけ在ると来客用の部屋も在るのかもしれない。
右手にも何個か扉が在る。が、こちらはそれよりも二階へ続くであろう大き目の階段が目に付く。
そこに寝室が在れば幾つかの電気が付いているだろうが、見上げれば薄暗い事が判る。
『雷麒麟』天明 両慈(CL2000603)からの進言も有り、昼間の突入となったが、より光源を確保する為なら良い判断であっただろう。
今はともかく、戦闘中となれば不意に明かりに被害が及ぶ事も考えられる。
そういう意味でも、昼間にしたのは正解だった。
「準備は良いかな?」
正面に物々しく待ち受ける大扉へと手を掛け、緒形 逝(CL2000156)は一度振り返って皆に確認を取った。
フルフェイスの奥が、横一列に並んだ覚者達を順に見渡す。
「ふー……ッ」
軽く息を吐き切った『蒼炎の道標』七海 灯(CL2000579)は閉じていた瞼をゆっくりと見開いた。
同時に、体内に宿る炎がより温度を上げていくのを感じ取る。
「えぇ、私は大丈夫です。いつでも」
頷いて返す仲間達を確認した後、逝は大扉に体重を掛ける。
玄関の扉よりは簡単に、そして更に重々し気に、金属の扉は道を開けた。
●囚われた者達
入って真っ先に顔を歪めたのは両慈だった。
とは言っても、それはほんの一瞬であったし、眉が動くか動かないかの些細な動作だったので誰も気付かなかったかもしれない。
後に続いた望月・夢(CL2001307)、『便利屋』橘 誠二郎(CL2000665)もそれに気付き、動作は無くとも身構えた。
「……臭うな」
『アフェッツオーソは触れられない』御巫・夜一(CL2000867)が誰にともなく呟く。
酷い異臭だ。
カビの臭いと腐敗した臭い。
それが同時に鼻孔を刺激しに来たならば、呼吸を整えるよりまず吐き切る事を優先しても頷ける。
原因は二つ。同時に……『振り返った』。
外との空気を隔てた中で、まるで異界に入り込んだかのような異臭の中、それはこちらに気付くとカタカタと音を立て始める。
果たしてあれを突き動かすモノが本当に愛で有るならば、あの様に禍々しく変わり果てて行くのだろうか。
もしくは、最早そんな感情は他の悪意有る何かに変貌し、見る影すら無いのだろうか。
それは隣に佇むもう一体の妖を見れば前者であるとも取れるし、また同じものを見て後者にも思えるだろう。
付喪神の類とあれば良かったのだが、一転して妖となるとは何ともあまりな星の巡り合わせか。
銀色の髪を揺らし、ナイフを構えた夢は目を細めて両者を見やり、そう思う。
屋敷の主であった男が身体ごとこちらへ振り向いた。
明らかに歓迎されてはいない。
濁り切った両の瞳は空中を仰ぎ、言葉は無くとも「出て行け」と解釈するには充分に口を半開きにし、そこから声とも取れぬ声を漏れ出させている。
一方で人形は笑っていた。いや、そう見えた。
何故なら上下を繋ぐ顎の関節部分は激しく、何度も噛み合わさり、両の手は抱擁を求めるかのように大きく広げていたからだ。
「さ……」
逝が直刀を取り出す。
窓から差し込む光が、ヘルメットのシールドに反射した。
「腹を空かせた悪食に喰われて貰うとしよう」
交戦に入る特有の、静から動へ変わる緊迫した空気の波が覆い込む。
逝を始めとし、夜一、灯、誠二郎が後に続いて飛び込んでいく。
ゾンビの前に位置どった逝が両手を広げると、部屋の両脇の窓が割れ、そこから呼び込んだ外の土を身体に纏わせる。
それが包み切る頃には、目にも止まらぬ速度で灯の鎖鎌がゾンビを二度斬り裂いていた。
上部から袈裟斬りに。反転させて横凪に。
入れ替わり、誠二郎の持つ丸棒がゾンビへと振り下ろされる。
素早く初手の攻撃が入ると、その緊張感高まる空気が和らいで行くのが感じ取れた。
「助かります!」
「……構わん」
両慈の術と自身の滾る炎の力でゾンビの爪を躱した灯は、横顔だけ見せて彼に礼を告げる。
夜一も同じく土行の力を利用し、自身の身体を固め備える。
その真横に長い髪を振りながら人形が飛び掛かる。
「おっと……」
対象は逝。だが、先手で術を行使したお陰か、予想よりも軽いダメージで済んだ。
続けざまに腕を振るおうとする人形へと後方の夢から怪光線が狙い撃たれる。
すんでの所で躱し……切れていなかった。
焦げた人形の黒髪から薄い煙が上がる。
一瞬、人形が静寂した。
扉を開けてから姿を見て、それは初めての事だったかもしれない。
そうして今一度自分が受けた攻撃を再度確認するかのように、ぎこちない動作で自身の髪をすくい上げ。
笑った。
それは人が人の言葉と思えぬ程の、どす黒い乾いた笑いだった。
奴が何を思っているのか理解しようとしているならば、それは虚しくも止めて置いた方が賢明であろう。
狂気に満ちた笑い声がリビングルームに響き渡る。
壊れるまで一生止む事は無いと思えた。
いや、既に壊れているのか。
そこに生きた者としての動作は何一つ無かった。
ただ、どのようかにして生み出された笑いを、人形のままに無表情で発し続ける。
機械。それとも違う。
これは『呪い』だ。
●愛の呪詛
入って来た時と同じ様に、人形がこちらを振り向いた。
ただし、その視線は夢へと向けられている。
それに釣られたか、ゾンビの対象もそちらへ注がれたようだ。
が、それには大よそ四人が立ち塞がる。
「そう簡単に……」
夜一が突破しようとするゾンビの腕に合わせ。
「いく訳無いでしょ」
逝が突進してくる人形に合わせ、カウンターで武器を振り抜いた。
倒れ込んだゾンビの方へと、灯の二連撃、誠二郎の棒が突き刺さる。
追撃を掛けるかのように、両慈が手を掲げると仰向けに倒れたゾンビへの上空に雷雲が立ち込めた。
その雲から落ちた、雷鳴の一撃。
ズン、と重い雷が横たわるゾンビを発光させる。
すぐさま起き上がったのは人形の方であったが、その攻撃も夜一の身体によって力を殺され今一つ強打とはならない。
ここでようやく起き上がったゾンビへ、再び灯の鎖鎌が振り下ろされた。
一撃目は頭部から腹部に振り下ろし。
二撃目を逆に斬り上げる。
そこへ追撃を掛けたのが身体の一部を金属へと変化させた夜一の右手だ。
やっと起き上がれた。
そう思った直後にはその腹部に夜一の腕がめり込んでいる。
思いもよらなかった衝撃に、もしそう言った感情を持ち合わせていたのなら、の話だが、ゾンビは驚嘆の瞳をその腕に向けた。
この男もこうなるつもりで人形を仕入れた訳では無いだろう。
それは自身の身体を穿つ腕の事だけを言っている訳では無い。
ただ愛する者が傍に欲しかった。
愛されたいと願った。
現実にそれが叶わないのであれば、創り出された存在に、自身の魂を注ぎ込みたかった。
気味が悪い、と一蹴するべきだろうか?
それも個人の考えだ。否定するべきでは無い。
しかしそう真っ向から拒否されていたところで、あの死ぬ思いさえしなければ、この男は生き方を変えはしなかっただろう。
人嫌い。
元はと言えば、そこから生まれたかもしれない惨劇。
普段は無愛想な両慈もそこに少しの理解を思ったが、それでも男に共感するに至る事は無い。
人間は千差万別。
実際にはほんの一握りかもしれないが、出会ってからこそ共感を覚える人間も居るという事を、彼は知っていたからだ。
屋敷に浮かぶ雷雲にほんの少しの憐れみを込め、両慈は雷を叩き落とす。
それがこの男に掛けてやれる最期の情だった。
もうこの男を愛している存在は悪意へと変わってしまった。
逝と誠二郎の攻撃を受け、二人が左右へ別れたその後ろに夜一が苦無を構える。
「さぁ……解放してやろう」
その軌跡は流れる水の如く。
精密に練り込まれた一撃は、あたかも最初からそこへ到達するのが決まっていたかのように、ゾンビの肉体へと吸い込まれる。
叫び声を上げる事は無かった。
代わりに聴こえた断末魔は、この世に縛られた心の思いを、いっぺんに屋敷の中へと吐き出していた。
死人形の身体が固まる。
崩れ落ちるように膝を付き、ダラリと垂れ下がった両腕に力が入っている様子は無い。
主が倒された事でこちらも意思がなくなったか……?
人形が僅かに開いた口から空気が漏れ出るのが感じ取れる。
……いや、合わせて何か聞こえないか?
灯は構えたままに耳を傾けてみた。
苦しそうに呟く掠れた女性の声。
「愛スル……ズット……一緒……嫌イ……殺、ス……ヤダ……」
苦しみ、憎しみ、恨み、妬み。
何となく、理解出来た。
同時に、理解するべきではないとも直感した。
それから放たれていたのは、主人を滅された事による憎しみ。
離れ離れになった悲しみ。
そんな負の感情が怨念となって生きる者への呪いを掛けようとしているのだ。
灯は咄嗟に身を引いた。
これは、一歩間違えれば自身を崩壊させるものであり、覚えるべきではない。そう頭が判断したからだ。
怪光線が幾度となく飛ぶ。
第三の目から放たれたその光線は人形の身体をことごとく掠めていく。
アンバランスな動きでそれを受け続ける人形であったが、その動きが突如として鈍る。
それが、ゾンビの魂が滅された瞬間からであった。
しかし、それはもしかしたら度々の怪光線を受け続けた事による『呪い』の効果がタイミング良く発現しただけかもしれない。
呪いは、人形だけの特権では無かったのだ。
その人形へと逝は素早く詰め寄る。
「何の未練が残っているかは知らんよ」
手に持った直刀が、人形の胸部へ突き刺さった。
人形の眼前ではヘルメット越しに逝の瞳が見据えている。
「だが壊す。悪く思うんじゃない」
穿たれた胸部から、一筋の線が走った。
人形の瞳から光が失せていく。
その時確かに見えたのだ。
悲しそうに瞼を細めゆく、死を悟った人形の顔を。
●屋敷の謎
二体の妖は討伐された。
だが、それでもまだ全ては解決していないように思える。
それが情報にあった『二階建てである事』や『人形の仕入れ先』等である。
逝が隈なく探索した結果は、同じような人形が出てくる事は無かった。
どうやら彼が入手したのはあの一体だけだったようだ。
その人形であるが、手触りや質感はまるで人間そのもの。
……とまで思えるような見事な繋ぎ目であった。
誰が作ったか判らない、つまり銘となるものが何処にも無いが、このような技を編み出せたのならばそれは一世一代の奇跡なのかもしれない。
一先ず、この事件は終わりを迎えた。
これ以上新たな謎を話し合っていると延々と終わらないだろう。
それに、やはりあれはただの人形であった。
因みにそれは今、夜一の手によってくたびれた椅子の上で、ゾンビの男と手を繋ぎ合わせて安らかに眠っている。
そんな中、声を上げたのは灯だった。
「これ……」
どう思います?
そう言って皆に見せたのは箪笥の中身。
そこには、どう考えても男性のものではない衣類、アルバム。
化粧道具までが取り揃えてあった。
「……一体?」
誠二郎が眉根を寄せる。
これらは全て、男の使っていない空き部屋から出て来たそうだ。
また、そこには男以外の誰が居た痕跡も無いが、キチンと手入れされていた、と言う。
「恐らく、ですが」
灯が口を開く。
恐らくだが、この謎は妖には直接関係が無さそうだ。
どちらかと言えば人間自体に関係する事では、と。
そこまでしか判明はしなかったが、それもまた明らかになる日が来るのだろうか。
妙な謎こそ残ったが、これで街にも平穏が訪れた。
寂れ行く屋敷がどうなるか、それを知る者は、まだ居ない。
日中。まだ太陽が昇りきっている時間。
覚者達が集まるは件の屋敷の前。
遠目に見える街を背に、話通り数キロは歩いただろうか。
今やこの区域に訪れる人間はいないのであろう。
『無人』となってそんなに日は経っていないはずなのだが、荒れた草木に加え、何処か寂しげな印象を持たせたそこは、酷く空気が濁っている感触を生み出していた。
もっと言うならば屋敷全体が重苦しくも感じる。
軽く見た感じ、何かが蠢いている様子は無い。
もっとも、屋敷を正面から見据えたこの状況では、という事だが。
まずは玄関扉……。
異常は無い。
錆びれた扉が、久方ぶりの来客を歓迎するように軋んだ音を上げ続けた。
玄関先は妖が徘徊していると言われた割には思ったより荒れておらず、むしろ整頓された家具や観葉植物が覚者達の目に留まる。
きっと家主は几帳面な性格だったのであろう。
埃こそ積もっているが、開かれた小窓のカーテンがきちんと金具のような物で留められている事からもそれが伺えた。
左手には廊下が伸び、覗き込んでみれば複数の扉。恐らくは家主の執務室だとかだろうが、これだけ在ると来客用の部屋も在るのかもしれない。
右手にも何個か扉が在る。が、こちらはそれよりも二階へ続くであろう大き目の階段が目に付く。
そこに寝室が在れば幾つかの電気が付いているだろうが、見上げれば薄暗い事が判る。
『雷麒麟』天明 両慈(CL2000603)からの進言も有り、昼間の突入となったが、より光源を確保する為なら良い判断であっただろう。
今はともかく、戦闘中となれば不意に明かりに被害が及ぶ事も考えられる。
そういう意味でも、昼間にしたのは正解だった。
「準備は良いかな?」
正面に物々しく待ち受ける大扉へと手を掛け、緒形 逝(CL2000156)は一度振り返って皆に確認を取った。
フルフェイスの奥が、横一列に並んだ覚者達を順に見渡す。
「ふー……ッ」
軽く息を吐き切った『蒼炎の道標』七海 灯(CL2000579)は閉じていた瞼をゆっくりと見開いた。
同時に、体内に宿る炎がより温度を上げていくのを感じ取る。
「えぇ、私は大丈夫です。いつでも」
頷いて返す仲間達を確認した後、逝は大扉に体重を掛ける。
玄関の扉よりは簡単に、そして更に重々し気に、金属の扉は道を開けた。
●囚われた者達
入って真っ先に顔を歪めたのは両慈だった。
とは言っても、それはほんの一瞬であったし、眉が動くか動かないかの些細な動作だったので誰も気付かなかったかもしれない。
後に続いた望月・夢(CL2001307)、『便利屋』橘 誠二郎(CL2000665)もそれに気付き、動作は無くとも身構えた。
「……臭うな」
『アフェッツオーソは触れられない』御巫・夜一(CL2000867)が誰にともなく呟く。
酷い異臭だ。
カビの臭いと腐敗した臭い。
それが同時に鼻孔を刺激しに来たならば、呼吸を整えるよりまず吐き切る事を優先しても頷ける。
原因は二つ。同時に……『振り返った』。
外との空気を隔てた中で、まるで異界に入り込んだかのような異臭の中、それはこちらに気付くとカタカタと音を立て始める。
果たしてあれを突き動かすモノが本当に愛で有るならば、あの様に禍々しく変わり果てて行くのだろうか。
もしくは、最早そんな感情は他の悪意有る何かに変貌し、見る影すら無いのだろうか。
それは隣に佇むもう一体の妖を見れば前者であるとも取れるし、また同じものを見て後者にも思えるだろう。
付喪神の類とあれば良かったのだが、一転して妖となるとは何ともあまりな星の巡り合わせか。
銀色の髪を揺らし、ナイフを構えた夢は目を細めて両者を見やり、そう思う。
屋敷の主であった男が身体ごとこちらへ振り向いた。
明らかに歓迎されてはいない。
濁り切った両の瞳は空中を仰ぎ、言葉は無くとも「出て行け」と解釈するには充分に口を半開きにし、そこから声とも取れぬ声を漏れ出させている。
一方で人形は笑っていた。いや、そう見えた。
何故なら上下を繋ぐ顎の関節部分は激しく、何度も噛み合わさり、両の手は抱擁を求めるかのように大きく広げていたからだ。
「さ……」
逝が直刀を取り出す。
窓から差し込む光が、ヘルメットのシールドに反射した。
「腹を空かせた悪食に喰われて貰うとしよう」
交戦に入る特有の、静から動へ変わる緊迫した空気の波が覆い込む。
逝を始めとし、夜一、灯、誠二郎が後に続いて飛び込んでいく。
ゾンビの前に位置どった逝が両手を広げると、部屋の両脇の窓が割れ、そこから呼び込んだ外の土を身体に纏わせる。
それが包み切る頃には、目にも止まらぬ速度で灯の鎖鎌がゾンビを二度斬り裂いていた。
上部から袈裟斬りに。反転させて横凪に。
入れ替わり、誠二郎の持つ丸棒がゾンビへと振り下ろされる。
素早く初手の攻撃が入ると、その緊張感高まる空気が和らいで行くのが感じ取れた。
「助かります!」
「……構わん」
両慈の術と自身の滾る炎の力でゾンビの爪を躱した灯は、横顔だけ見せて彼に礼を告げる。
夜一も同じく土行の力を利用し、自身の身体を固め備える。
その真横に長い髪を振りながら人形が飛び掛かる。
「おっと……」
対象は逝。だが、先手で術を行使したお陰か、予想よりも軽いダメージで済んだ。
続けざまに腕を振るおうとする人形へと後方の夢から怪光線が狙い撃たれる。
すんでの所で躱し……切れていなかった。
焦げた人形の黒髪から薄い煙が上がる。
一瞬、人形が静寂した。
扉を開けてから姿を見て、それは初めての事だったかもしれない。
そうして今一度自分が受けた攻撃を再度確認するかのように、ぎこちない動作で自身の髪をすくい上げ。
笑った。
それは人が人の言葉と思えぬ程の、どす黒い乾いた笑いだった。
奴が何を思っているのか理解しようとしているならば、それは虚しくも止めて置いた方が賢明であろう。
狂気に満ちた笑い声がリビングルームに響き渡る。
壊れるまで一生止む事は無いと思えた。
いや、既に壊れているのか。
そこに生きた者としての動作は何一つ無かった。
ただ、どのようかにして生み出された笑いを、人形のままに無表情で発し続ける。
機械。それとも違う。
これは『呪い』だ。
●愛の呪詛
入って来た時と同じ様に、人形がこちらを振り向いた。
ただし、その視線は夢へと向けられている。
それに釣られたか、ゾンビの対象もそちらへ注がれたようだ。
が、それには大よそ四人が立ち塞がる。
「そう簡単に……」
夜一が突破しようとするゾンビの腕に合わせ。
「いく訳無いでしょ」
逝が突進してくる人形に合わせ、カウンターで武器を振り抜いた。
倒れ込んだゾンビの方へと、灯の二連撃、誠二郎の棒が突き刺さる。
追撃を掛けるかのように、両慈が手を掲げると仰向けに倒れたゾンビへの上空に雷雲が立ち込めた。
その雲から落ちた、雷鳴の一撃。
ズン、と重い雷が横たわるゾンビを発光させる。
すぐさま起き上がったのは人形の方であったが、その攻撃も夜一の身体によって力を殺され今一つ強打とはならない。
ここでようやく起き上がったゾンビへ、再び灯の鎖鎌が振り下ろされた。
一撃目は頭部から腹部に振り下ろし。
二撃目を逆に斬り上げる。
そこへ追撃を掛けたのが身体の一部を金属へと変化させた夜一の右手だ。
やっと起き上がれた。
そう思った直後にはその腹部に夜一の腕がめり込んでいる。
思いもよらなかった衝撃に、もしそう言った感情を持ち合わせていたのなら、の話だが、ゾンビは驚嘆の瞳をその腕に向けた。
この男もこうなるつもりで人形を仕入れた訳では無いだろう。
それは自身の身体を穿つ腕の事だけを言っている訳では無い。
ただ愛する者が傍に欲しかった。
愛されたいと願った。
現実にそれが叶わないのであれば、創り出された存在に、自身の魂を注ぎ込みたかった。
気味が悪い、と一蹴するべきだろうか?
それも個人の考えだ。否定するべきでは無い。
しかしそう真っ向から拒否されていたところで、あの死ぬ思いさえしなければ、この男は生き方を変えはしなかっただろう。
人嫌い。
元はと言えば、そこから生まれたかもしれない惨劇。
普段は無愛想な両慈もそこに少しの理解を思ったが、それでも男に共感するに至る事は無い。
人間は千差万別。
実際にはほんの一握りかもしれないが、出会ってからこそ共感を覚える人間も居るという事を、彼は知っていたからだ。
屋敷に浮かぶ雷雲にほんの少しの憐れみを込め、両慈は雷を叩き落とす。
それがこの男に掛けてやれる最期の情だった。
もうこの男を愛している存在は悪意へと変わってしまった。
逝と誠二郎の攻撃を受け、二人が左右へ別れたその後ろに夜一が苦無を構える。
「さぁ……解放してやろう」
その軌跡は流れる水の如く。
精密に練り込まれた一撃は、あたかも最初からそこへ到達するのが決まっていたかのように、ゾンビの肉体へと吸い込まれる。
叫び声を上げる事は無かった。
代わりに聴こえた断末魔は、この世に縛られた心の思いを、いっぺんに屋敷の中へと吐き出していた。
死人形の身体が固まる。
崩れ落ちるように膝を付き、ダラリと垂れ下がった両腕に力が入っている様子は無い。
主が倒された事でこちらも意思がなくなったか……?
人形が僅かに開いた口から空気が漏れ出るのが感じ取れる。
……いや、合わせて何か聞こえないか?
灯は構えたままに耳を傾けてみた。
苦しそうに呟く掠れた女性の声。
「愛スル……ズット……一緒……嫌イ……殺、ス……ヤダ……」
苦しみ、憎しみ、恨み、妬み。
何となく、理解出来た。
同時に、理解するべきではないとも直感した。
それから放たれていたのは、主人を滅された事による憎しみ。
離れ離れになった悲しみ。
そんな負の感情が怨念となって生きる者への呪いを掛けようとしているのだ。
灯は咄嗟に身を引いた。
これは、一歩間違えれば自身を崩壊させるものであり、覚えるべきではない。そう頭が判断したからだ。
怪光線が幾度となく飛ぶ。
第三の目から放たれたその光線は人形の身体をことごとく掠めていく。
アンバランスな動きでそれを受け続ける人形であったが、その動きが突如として鈍る。
それが、ゾンビの魂が滅された瞬間からであった。
しかし、それはもしかしたら度々の怪光線を受け続けた事による『呪い』の効果がタイミング良く発現しただけかもしれない。
呪いは、人形だけの特権では無かったのだ。
その人形へと逝は素早く詰め寄る。
「何の未練が残っているかは知らんよ」
手に持った直刀が、人形の胸部へ突き刺さった。
人形の眼前ではヘルメット越しに逝の瞳が見据えている。
「だが壊す。悪く思うんじゃない」
穿たれた胸部から、一筋の線が走った。
人形の瞳から光が失せていく。
その時確かに見えたのだ。
悲しそうに瞼を細めゆく、死を悟った人形の顔を。
●屋敷の謎
二体の妖は討伐された。
だが、それでもまだ全ては解決していないように思える。
それが情報にあった『二階建てである事』や『人形の仕入れ先』等である。
逝が隈なく探索した結果は、同じような人形が出てくる事は無かった。
どうやら彼が入手したのはあの一体だけだったようだ。
その人形であるが、手触りや質感はまるで人間そのもの。
……とまで思えるような見事な繋ぎ目であった。
誰が作ったか判らない、つまり銘となるものが何処にも無いが、このような技を編み出せたのならばそれは一世一代の奇跡なのかもしれない。
一先ず、この事件は終わりを迎えた。
これ以上新たな謎を話し合っていると延々と終わらないだろう。
それに、やはりあれはただの人形であった。
因みにそれは今、夜一の手によってくたびれた椅子の上で、ゾンビの男と手を繋ぎ合わせて安らかに眠っている。
そんな中、声を上げたのは灯だった。
「これ……」
どう思います?
そう言って皆に見せたのは箪笥の中身。
そこには、どう考えても男性のものではない衣類、アルバム。
化粧道具までが取り揃えてあった。
「……一体?」
誠二郎が眉根を寄せる。
これらは全て、男の使っていない空き部屋から出て来たそうだ。
また、そこには男以外の誰が居た痕跡も無いが、キチンと手入れされていた、と言う。
「恐らく、ですが」
灯が口を開く。
恐らくだが、この謎は妖には直接関係が無さそうだ。
どちらかと言えば人間自体に関係する事では、と。
そこまでしか判明はしなかったが、それもまた明らかになる日が来るのだろうか。
妙な謎こそ残ったが、これで街にも平穏が訪れた。
寂れ行く屋敷がどうなるか、それを知る者は、まだ居ない。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし
