≪嘘夢語≫女神を救え! 聖域七星宮大決戦!
●春眠に響く天の声
「さあさあ、夢語第二幕の始まりじゃ。前回はうまくやったようじゃが、今回はどうかな?」
うららかな小春日和の五麟市。うとうとと昼寝をしている貴方の脳裏に、古妖《獏》の声が響く。
「今回お前達の前に立つのは、全ての隔者の頂点に立つ七人の黄金隔者《ゴールド・リジェクター》。しかも前回のような秘密兵器も無く、多対一というわけにもいかん。正々堂々タイマン勝負じゃ」
《獏》はそこで言葉を切り、ふぉっふぉっふぉっ、と笑う。
「まあ、どうせ夢じゃから深く考えずに楽しむがええ。本気の闘いをの。――さあ、バクー空間に引きずりこめい!」
その言葉と共に、貴方の意識は夢の中へと引きずりこまれた――。
●前回までのあらすじ
《BGM:Sagittarius》
七星宮決戦の幕は切って落とされた。
ついに隔者組織《七星剣》の本拠地・聖域七星宮の所在を突き止めた《F.i.V.E.》は、持てる戦力の全てを結集してその攻略に臨む。
しかし、七星宮を臨む攻性拠点《アタックキャンプ》での進撃準備の最中、後方支援の手伝いに来ていた久方真由美(nCL2000003)が、密かに陣中に忍び込んでいた隔者の放った黄金の矢に撃たれてしまう。
真由美の命を救うには、7時間以内に七星宮を突破し、最奥部にいる黄金隔者《ゴールド・リジェクター》筆頭、洲ヶ原紫苑に黄金の矢を抜かせるしかない。
もはや迷っている時間は無い。急げ、正義の覚者《トゥルーサー》達! 覚者達は紫苑がいる至星宮を目指し、一騎当千の黄金隔者が待ち受ける七星宮へと突入したのだった――。
俺達の中で、辿り着くのがたった一人でもいい!
何としても洲ヶ原紫苑を引きずり出し、真由美さんを救うんだ――!
「さあさあ、夢語第二幕の始まりじゃ。前回はうまくやったようじゃが、今回はどうかな?」
うららかな小春日和の五麟市。うとうとと昼寝をしている貴方の脳裏に、古妖《獏》の声が響く。
「今回お前達の前に立つのは、全ての隔者の頂点に立つ七人の黄金隔者《ゴールド・リジェクター》。しかも前回のような秘密兵器も無く、多対一というわけにもいかん。正々堂々タイマン勝負じゃ」
《獏》はそこで言葉を切り、ふぉっふぉっふぉっ、と笑う。
「まあ、どうせ夢じゃから深く考えずに楽しむがええ。本気の闘いをの。――さあ、バクー空間に引きずりこめい!」
その言葉と共に、貴方の意識は夢の中へと引きずりこまれた――。
●前回までのあらすじ
《BGM:Sagittarius》
七星宮決戦の幕は切って落とされた。
ついに隔者組織《七星剣》の本拠地・聖域七星宮の所在を突き止めた《F.i.V.E.》は、持てる戦力の全てを結集してその攻略に臨む。
しかし、七星宮を臨む攻性拠点《アタックキャンプ》での進撃準備の最中、後方支援の手伝いに来ていた久方真由美(nCL2000003)が、密かに陣中に忍び込んでいた隔者の放った黄金の矢に撃たれてしまう。
真由美の命を救うには、7時間以内に七星宮を突破し、最奥部にいる黄金隔者《ゴールド・リジェクター》筆頭、洲ヶ原紫苑に黄金の矢を抜かせるしかない。
もはや迷っている時間は無い。急げ、正義の覚者《トゥルーサー》達! 覚者達は紫苑がいる至星宮を目指し、一騎当千の黄金隔者が待ち受ける七星宮へと突入したのだった――。
俺達の中で、辿り着くのがたった一人でもいい!
何としても洲ヶ原紫苑を引きずり出し、真由美さんを救うんだ――!

■シナリオ詳細
■成功条件
1.久方真由美の生存
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
この依頼は参加者全員が見ている同じ夢の中での出来事となります。
その為世界観に沿わない設定、起こりえない情況での依頼となっている可能性が
ありますが全て夢ですので情況を楽しんでしまいしょう。
またこの依頼での出来事は全て夢のため、現実世界には一切染み出す事はありません。
※要約すると夢の世界で盛大な嘘を思いっきり楽しんじゃえ!です。
……というわけで皆様こんにちは。鳥海きりうです。よろしくお願いします。
聖域七星宮における七星剣との決戦シナリオ()です。敵本拠地である七星宮を突破し、そこにいる七人の黄金隔者を打ち倒し、久方真由美の命を救ってください。
攻略すべき宮、およびそこにいる黄金隔者のご紹介です。
・聖域七星宮(全体ロケーション)
《七星剣》本部である五行山に七つの宮が点在する、難攻不落の要塞です。
隣り合う宮の間には山道が開かれていますが、それ以外の場所は急峻な崖になっており、近道・裏道の類は存在しません。また、宮と宮の間の山道は平均およそ50kmの長さがあります。
また、第六の宮を護る水奈(ミナ)の超能力によって飛行を封じる結界が敷かれており、飛行によって宮をショートカットすることも出来ません。
●第一の宮:鉄塞宮
周囲を鋼鉄の壁に覆われた塞(とりで)の如き宮です。高さも含めて戦うのに充分なスペースがありますが、壁や天井を破壊することは不可能です。
・黄金隔者:琉星《メティオール》のジュウキ
鉄塞宮を護る黄金隔者。頑強な肉体と腕が変化した長大なチェーンハンマーを武器とするパワーファイター。
●第二の宮:樹界宮
ロケーションとしてはいわゆる樹海です。中央に山道があり通過には問題ありませんが、戦うとなると障害物が多く難渋するでしょう。
・黄金隔者:紅牙《ヘルイーター》のアカシャ
かつての古妖・アカシャグマ。古妖だったものがなんか色々あって隔者となった。圧倒的スピードと爪と牙を武器に戦う。あとものすごい大食い。『食うなっつって』の事件で一部覚者と交流がある。
●第三の宮:邪眼宮
周囲の壁に無数の眼球が浮かぶ不気味な宮です。障害物は無く、足場も目玉以外は良好です。
・黄金隔者:眼魔《アーリマン》のシーラ
第三の眼の能力を持つ黄金隔者。眼から放つ怪光線を武器に戦う。
●第四の宮:魔弾宮
四方を壁に囲まれ、さらに幅2メートルほどの柱が点在する宮です。壁と柱は剛性に優れ、強力な銃弾でも容易く跳ね返します。跳弾にご注意ください。
・黄金隔者:神銃《ゲイブリエル》のダン
本名・嵐田弾。腕が変化した機関銃を武器に戦う。『凶弾』の事件で一部覚者と交流がある。
●第五の宮:斬竜宮
比較的開けた地形に、巨大な竜の残骸が散乱しています。障害物がそこそこ多く、鋭く尖った巨大な骨には大きな激突ダメージがあります。
・黄金隔者:天剣《ダモクレス》のソータ
本名・鉤山掃太。辰(トカゲ)の能力とブロードソードを武器に戦う。『青女房の館』の事件で、一部覚者と交流がある。
●第六の宮:天望宮
七星宮の中で最も開けた地形で、壁も天井も存在しません。地上にも障害物は無く、それに隠れるような戦法は不可能です。
・黄金隔者:蒼翼《ブルーゲイル》のミナ
かつての古妖・青女房。古妖だったものがなんか色々あって隔者となった。新たに飛行能力を有し、強大な妖力で戦わずして相手を屈服させようとしてくる。しかし、相変わらず直接戦闘はからきし。『青女房の館』の事件で一部覚者と交流がある。
●第七の宮:至星宮
五行山の頂上、星空を仰ぐ七星宮最後の宮です。開けた地形で、特に戦闘に支障はありません。
・黄金隔者:空河《ヴェルトール》のシオン
全ての隔者の頂点に立つ、黄金隔者筆頭にして七星剣総帥。圧倒的な戦闘力を持ち、弱点を見つけてそこを突く、という攻略は不可能。
宮の間の移動時間も考えると、全員で一人ずつ始末していく、というやり方では制限時間内の攻略は不可能です。誰か一人を足止めに残し、強引に七星宮を突破していくしかないでしょう。
というか、そういうやり方であれば「お約束」として突破可能とします。タイマン推奨です。
もはやお気づきのことと思いますが、今回の定員7名というのはそのまま「一人一殺」の割り当てです。定員割れすると一人分の負担が激増し、生還は絶望的となります。ぜひともフルメンバーで決戦に臨んでください。
今回も作戦よりはハートが重要になります。皆様の熱いプレイングをお待ちしております。黄金隔者の中に見知った顔がいる方は、それも盛り込んで頂くとさらに燃え上がること請け合いです。
簡単ですが、説明は以上です。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
6日
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
7/7
7/7
公開日
2016年04月16日
2016年04月16日
■メイン参加者 7人■

●斧と球! 激突する力
第一の宮・鉄塞宮。
扉を勢いよく蹴り開けて飛び込んできた覚者達を、長大な鉄鎖球を携えた巨漢が出迎えた。「よく来たな、《F.i.V.E.》の小僧共!」
「俺《わし》こそが《琉星》こと、メティオールのジュウキ! ここを通りたくば、俺の鉄球を打ち破ってみせい!」
「……こいつは俺がやる。皆、先に行け」
《家内安全》田場義高(CL2001151)が進み出た。覚者達は頷き、出口へ向かって駆ける。「むう!?」
「そうは」「させるかあっ!」
スキルでの強化を終えた義高が鰐牙斧《ギュスターブ》で斬りかかる。ジュウキはその剛腕で受け止めるが、覚者達はその隙に鉄塞宮を出た。「お互いこういう図体だし、語り合うより殴り合うほうが分かり合えるってもんさ!」
「甘いな! 力とは敵を砕く為のもの! 仇成す敵と分かりあう事など無いわ!」
ジュウキが義高を押し返し、義高は鼻を鳴らして斧を構え直す。「早速始めようか。俺の名は大鰐《ギュスターブ》の田場義高。お前に恨みはないが、これも俺たちの宿命であろうさ」
「ふん……力はあるようだが、鰐は河面より星空を仰ぐのみ! 貴様の牙は俺には届かん!」
「だったら届かせるまでさ! そして味わえ、鰐の顎を!」
そう言い、義高は駆けた。ジュウキの鉄鎖球がそれを迎え撃つ。命中。鉄球が義高を打ち据え、義高は斧で受け止めた。「……おいおい……痛いじゃねぇか」倒れず、踏み止まる。咆哮し、再びジュウキ目掛けて疾った。義高が斧を振り上げ、ジュウキは身を翻して鉄球を振るった。命中。斧がジュウキを袈裟斬りにして、地面に食い込んだ刃が大地を割る。壁を削りながら鉄球が周回し、鎖が義高の身体に巻きついた。鎖が全て巻きついて、義高の身体を絡め取る。ジュウキが咆哮し、義高を捕らえたまま跳んだ。鉄球と共に、義高を地面に叩きつける構え。「少しは楽しませてくれたが……ここまでだ!」
「――面白ぇ!」
「何!?」
義高が、銃器の鎖を破った。斧を握り直し、ジュウキに振り上げる。ジュウキもまた逆の拳を義高に振り下ろした。命中。落着。拳が義高を地面に抉り込ませ、斧が重力でジュウキの身体に深く喰らいつく。「……なあ。楽しかったなぁ。そうじゃねぇか?」
「分かり合えるんだよ、きっと……たとえ敵同士でも、楽しいって気持ちを分かち合える……」
言って、義高は意識を失う。「……かも、知れんな」ジュウキもまた、義高の隣に転がるように倒れこんだ。
●休戦!? 樹界宮の少女達
第二の宮・樹界宮。
樹海の中央に開かれた山道を進む覚者達の前を、目にも止まらぬ速さで一つの影が横切った。「!」
「……それ以上前に進んだら……斬り刻む……」
「……皆、先に行ってて。何となくだけど、ここは僕が行った方がいい気がするんだ。――沙織、無理しちゃだめだよ?」
言って、獅子神・玲(CL2001261)が一歩前に出る。樹海の奥から影が飛び、「っ!」玲は避けずに受け止めた。爪が玲の腹を斬り裂き、玲はその影を抱くようにして捕縛する。
「……上で、待ってる」
《隔者狩りの復讐鬼》飛騨・沙織(CL2001262)が言い、他の覚者と共に先を急ぐ。影――《紅牙》のアカシャが気づいて顔を上げ、
「!」
すぐに玲に――いや、玲の手に向き直った。チョコレートが握られている。「よかったら、一時休戦して一緒に食べない?」言いながら、玲が真っ直ぐ見つめてくる。アカシャは一瞬目を丸くし――すぐにチョコをひったくった。食い始める。「まだまだあるよ。ほらほらほら」言いながら、玲はさらに豆とか弁当とかハンバーガーとかを取り出した。
「――君が何で古妖から隔者になったかは知らないけど、一緒に食事出来るのだから、君は本来良い存在なんだろうね。……君は何で隔者に……?」
アカシャはちらりと玲を見て、すぐまたチョコを食うのに戻った。玲は小さくため息を吐く。「ねぇ、もしよければ僕が力になるよ。だからこんな事やめて……一緒に外に出ないかい? 一飯を共に食べた仲じゃないか。それだけじゃだめかな?」
「だったら、友達になろうよ――アカシャ」
アカシャがまた玲を見る。チョコで汚れた口元を拭い、それからハンバーガーに手を伸ばした。玲は思わず吹き出した。食い終わったら話が通じるだろうか。
「……ていうか」
山道の先を見る。――今ならしれっといけるかもしれない。まだ五つも宮が残っている。――沙織がこの先で戦っている。「っ」立とうとした瞬間、腹の傷が痛んだ。そして、
「ダメ」
アカシャが、玲の腕を掴んでいた。――意外と強い力で。「ここにいて。先に行ったら、後ろから斬る」
「……行かないよ。ずっと、ここにいる」
微笑んで言い、玲は座り直した。アカシャは頷き、またハンバーガーを食う作業に戻った。
●剣閃! 激戦の邪眼宮
第三の宮・邪眼宮。
床も、壁も、天井も生々しい眼球で埋め尽くされたおぞましい宮を見渡し、菊坂結鹿(CL200432)は呟くように言った。「随分あっさり通しましたね」
「どうせ至星宮までは行けません。ならば貴女一人をここで止められれば充分」
結鹿の言葉に、黄金隔者・眼魔《アーリマン》のシーラはそう答えた。結鹿は太刀《蒼龍》を取り出し、尋ねる。
「一つ聞きたいことがあるんですが……これらの眼は、貴女の視覚と共有しているんですか?」
「何故?」
「だって、床に近いところにも眼がついてるんですよ? あれが共有されているんでしたら、スカートの中が覗かれてるじゃないですか?」
結鹿の問いに、シーラはくすりと笑う。「共有はしていません」
「しかし、これらの眼球は今まで私が殺してきた人間の眼。そしてその魂もそこに宿っています。つまり、貴女は今何十という老若男女にスカートを下から覗かれているわけです」
抜刀。
「エッチなのはいけません! 悪即斬です!」
「貴女もそのお仲間になりなさい!」
「なるか! 蒼龍《ラスタバン》の菊坂結鹿、参ります!」
結鹿が踏み込み、シーラが《破眼光》で迎え撃つ。結鹿も《薄氷》で応射した。ともに回避。両者が横に跳び、結鹿は再び走る。零距離。《蒼龍》の斬撃がシーラを襲う。回避。シーラは上体を退いてかわし、結鹿に《破眼光》を放つ。命中。結鹿が仰向けに倒れこみ、シーラがそこへさらに《破眼光》を放つ。それは立ち上がろうとした結鹿にまたも命中した。しかし、
「直撃のはず……まだ動く!?」
「この程度の傷では退きません! お覚悟を!」
結鹿は攻撃を受けながらも立ち上がり、シーラに踏み込んだ。熾烈な接近戦。剣戟と閃光が乱れ飛び、その間を鮮血の紅が彩る。――やがて、閃光が結鹿の胸を射抜き、《蒼龍》がシーラを袈裟に斬り裂いた。同時に倒れ――やがて、結鹿が起き上がる。「……それでは……先を、急ぎますので」
「……やめておきなさい……その傷では、辿り着けても戦うのは無理……むざむざ死にに行くようなものです……」
「私も、やらなきゃいけないことがあるんです。ここで立ち上がらなきゃ、女が廃るというものです――」
言って、満身創痍の結鹿はふらふらと歩き始めた。シーラはその後姿を眼だけで追い、やがて意識を失った。
●静かなる龍! 魔弾宮に吼える
「(――銃弾でも跳弾でも同じこと、進み方は一直線、そして空気を裂いて進む以上、音が出る。だから、わたしにとって怖い相手じゃない)」
第四の宮・魔弾宮。一人残って戦う《音楽教諭》向日葵御菓子(CL2000429)は、《海衣》で防御を固めながら黄金隔者・神銃のダンの放つ無数の銃弾を最小限の動きでかわしていた。鋭い聴力によって弾丸の動きを予測してかわす。かわしきれない弾丸は《海衣》が防いだ。「成程、やるな」
「しかし、守るばかりでは事態は進展しないぞ。気力を使い切る前に、攻撃の手を打つべきなんじゃないか?」
「ふむ。そういう考え方もありますね。――では、そろそろお見せしましょう。この水音《クグェル》の向日葵の力を!」
《水礫》。高圧縮された水の弾丸がダンを襲う。「ふん」ダンは苦も無く身を反らせて回避する。応射。機関銃から放たれる銃弾を御菓子は避ける。跳弾。これも鋭聴力で予測しかわす。「こっちの番だ――まだまだいくぜ!」フルオートで浴びせられる銃弾の雨。御菓子はよく防いでいたが、それも完全ではなかった。あまりに多くの銃弾が周囲を制圧し、逃げ場を奪い、数発が御菓子の身体を掠め始める。「くっ――!」
「さあどうする? 確かに意外と保たせているようだが――それも無限じゃない。切り札があるなら見せてみろ。それともあくまで自分のスタイルを貫くか?」
「(――確かに、このままでは頭打ち。流れをこちらへ引き戻す必要がありますね……!)」
勝負の時。意を決し、御菓子は最大の奥義を放った。「我が水は猛きもの、我が敵を食い破れ!」《水龍牙》。御菓子の腕から巨大な水龍が解き放たれ、ダンに襲い掛かる。「こ、これは――!?」直撃。逃げ切れなかったダンは水龍に飲み込まれ、凄まじい力で床に叩き落される。「や、やった――!?」御菓子は思わず呟く。
「――成程。まずまずだな」
「!?」
ダンは静かに立ち上がった。そして御菓子を見据える。「しかし、耐えられないほどじゃない。この技、大きい割りに威力がそこまで伸びないようだな。避けるには苦労するが、お前の気力を殺ぐには悪くない」
「……貴方も、やりますね」
「当然だ。俺は仮にも黄金隔者。しかし、お前も全力ではないだろう? さあ続けようか」
ダンの言葉に、御菓子は気を引き締める。――命数復活を使えば、確かにまだまだ戦える。負けるつもりは無い。だが――
「(この戦い、私の死力を尽くさなければならない――ごめんなさい皆さん。後は、お願いします)」
心の中で呟き、御菓子は《海衣》を張り直した。
●裁きの剣! 鬼畜外道に慈悲など要らぬ
第五の宮・斬竜宮。
「……ここは私に任せてください……あの男は……私が殺します」
沙織は言い、残る二人を先に行かせた。正面に立つ黄金隔者、天剣のソータを見据える。「さて、初めましてですね。私は飛騨沙織。隔者を……貴方を殺す者だ」
「何か自分語りがしたいなら殺す前に聞いてあげます……まあ、それで同情とかは一切しないが」
「……自分、か」
ソータは呟き、暫く考え、言った。「無いな」
「語るほどの自分なんて無い。俺はどこにでもいる、ただの隔者だ。お前らの敵だよ」
「……一応聞いてあげます。さっさと降伏して隔者をやめるなら……命だけは助けてあげますよ」
「俺も一応答えてやる。降伏なんてしねえよバーカ。ぐだぐだ言ってねえでさっさと来いや。お前ここにトークショーでもしに来たのか?」
「……いい答えだ」
瞬間、二人は零距離で激突した。ソータのブロードソードと沙織の二振りの刀《双刀・鎬》がぶつかる。「私は両親を、弟を、友達になろうとした子を殺し……私を嬲って、女の命を奪った隔者という存在を許さない!」
「俺が知るか!」
「貴方個人に恨みとかはないが――強いて言うなら隔者組織に属してる時点で同罪だ! だから死ね!」
「知るかよって!」
二人は一度離れ、またぶつか
「!?」
ろうとして、ソータの脚が止まった。《捕縛蔓》。「さあ、惨たらしくみっともなく、自身の過ちを悔いながら……死ね!」《五織の彩》。白光を噴き上げる双刀がソータに斬りかかる。
「しゃらくせえっ!」
「!?」
沙織の必殺の攻撃を、ソータも全力のフルスイングで打ち返した。そのまま剣を大地に突き立て、蔓を斬る。「いいだろう!」
「テメエの憎しみ、この《天剣》ことダモクレスのソータが受けて立つ! かかってきやがれ飛騨沙織! テメエの最期の女心にかけて!」
「知った風な口を利くな!」
叫び、二人は剣を構え直した。
●愛の詩! 天望宮に響け
第六の宮・天望宮。
「リーネの嬢ちゃん。俺は彼女に大事な用があるんでな。ここは俺に任せて行きな」
「……ご無事デ」
十禅寺・天空(CL2001311)が言い、《恋路の守護者》リーネ・ブルツェンスカ(CL2000862)は先に向かった。「……まあ、一人ぐらいなら、大丈夫でしょう」かつての青女房、黄金隔者・蒼翼のミナがそう呟く。
「久しぶりだね、青女房の嬢ちゃん。今はミナちゃんか? 可愛くて素敵な名前だ。さて、ちょっと見ない間に随分とイメチェンしたみたいだけど……俺の言う事は変わらない」
「……」
ミナは何も言わず、天空は息を整えて言った。
「ミナちゃん! 愛してます! 俺の為に毎日ご飯とお茶を作ってくれ! ……俺の生涯の伴侶になってくれないか?」
「……」
――暫しの沈黙。七星宮の空に星が瞬く。「……それを言いに、わざわざここまで来たんですか?」
「そうとも。プロポーズだ。前回の時、まじめにしてくれたら可能性あるって言ってたじゃないか――ハッハッハ! おじさんは隔者をやめろとか言うつもりはない……それが君の欲望の結果なら全てを受け入れよう。
まあ、君が自身を正してほしいと気持ちがあるなら全力でお説教して俺の嫁にするけどね」
「……」
ミナは無言で頬を掻いた。少し赤い。「あの、ええと」
「……どうしましょう……」
「どうにでも! 君の欲望の結果なら、全て受け入れよう!」
「えー……あ! 分かった! じゃあこうしましょう!」
ミナはぽんと手を打ち、言った。「本気で私が好きなら、ここで少しお話しましょう。この戦いが終わるまで。――ここより上には行かないでください。そうすれば私も総帥に面子が立ちますし、貴方にも悪い話ではないと思うのですが……?」
天空は少し考え、やがて親指を立て、天望宮の床に胡坐をかいた。
「いいとも! 超オッケー! 俺がここで止まっても、俺の仲間が何とかしてくれるだろうしな! 喜んで君のもとに残ろうじゃないか!」
「よかった。じゃあお茶の用意を致しますね、お客様」
「ちっちっち。――今だけでも、アナタと呼んでくれないか?」
「……………………………………………………………………………またの機会に」
●Feuer! 至星宮の決戦
多くの仲間達に助けられ、リーネは遂に七星宮の頂天、至星宮で洲ヶ原紫苑と対峙した。
「アナタがシオン、さんデスカ? 単刀直入に要件を言いマス、真由美さんに放った黄金の矢を抜いて頂けマセンカ? 人の命……真由美さんの生死が今の私達にとって、何よりも優先すべき事デス」
「……一人の女の命。その為だけに、この遥か七星宮を登って来たというのか」
シオンは呟き、玉座から立ち上がる。「まずは、よくぞここまで来たと誉めてやろう。お前達の覚悟と実力、しかと見届けた。――その女の命、条件次第では助けてやらんでもない」
「条件トハ?」
「代わりにお前が死ぬこと――あるいは、この私を倒すことだ!」
瞬間、シオンがリーネの目の前に現れた。腰だめに引いた拳をリーネに繰り出す。「ナ――徒手空拳!?」「まさか銃使いのお前が来るとはな! しかし、それも小さな誤算だ!」命中。シオンの拳がリーネを吹き飛ばす。応射。吹き飛びながらもリーネはライフルの狙いを定め、《B.O.T.》を撃ち出す。命中。しかし、「ふん!」シオンは目前に迫った貫通波動弾を右手で掴み、握り潰した。再びシオンが疾る。「っ――!」一瞬迷い、リーネは回復を選択した。《癒しの霧》で傷を癒す。零距離。シオンの拳とリーネのライフルが交錯する。「ぬう!?」「くあ――!」共に命中。カウンター気味の攻撃で、肩を撃たれたシオンがのけぞり、リーネは床に尻餅をつく。「やるな――だが、次は!」「くっ――!」逡巡する暇は無い。《癒しの霧》。超高速の攻防の中で、リーネはただそのパターンを繰り返した。自分の手番は回復に務め、反撃で削る。自分より強く弱点も無い敵には、基本に忠実に、そして全力で当たるしかない。一撃にさえ耐えられれば、いつかは――!
そして――果てしない攻防の末、遂にリーネの放った弾丸が、シオンの左胸を貫いた。「ぐお――!」「あ――!」
「シマッタ――! シオンさん、大丈夫デスカ!? 矢を――!」
「い、いや、これでいい……」
駆け寄るリーネにシオンはそう言い、そして地面に倒れ込んだ。
「私が死ねば、黄金の矢も跡形も無く消え去る……し、しかし、これで終わると思うな……これで……」
倒れた紫苑の身体から、虹のような七色のオーラが立ち昇る。それは七星宮の空を駆け下り、《F.i.V.E.》本陣――真由美のいる方向へと伸びていった。
そして、《F.i.V.E.》本陣の空が、暖かな光に包まれた。
●次回予告
《BGM:Soldier Dream (instrumental)》
聖域七星宮を攻略し、真由美を救った《F.i.V.E.》の前に、新たな敵が現れる!
遠い北極海より蘇る、黄金隔者を越える真なる敵、神隔者《ゴッド・リジェクター》!
圧倒的パワーとスピードで新 ―アラタナル― 新シリーズ開幕! 装いも新たに、覚者達の戦いが再び幕を開ける!
次回、『新たなる侵略者! 浮上・アスガルド北斗七星宮!』
君は、因子を感じたことがあるか!?
※五麟地区での放映は未定です。
第一の宮・鉄塞宮。
扉を勢いよく蹴り開けて飛び込んできた覚者達を、長大な鉄鎖球を携えた巨漢が出迎えた。「よく来たな、《F.i.V.E.》の小僧共!」
「俺《わし》こそが《琉星》こと、メティオールのジュウキ! ここを通りたくば、俺の鉄球を打ち破ってみせい!」
「……こいつは俺がやる。皆、先に行け」
《家内安全》田場義高(CL2001151)が進み出た。覚者達は頷き、出口へ向かって駆ける。「むう!?」
「そうは」「させるかあっ!」
スキルでの強化を終えた義高が鰐牙斧《ギュスターブ》で斬りかかる。ジュウキはその剛腕で受け止めるが、覚者達はその隙に鉄塞宮を出た。「お互いこういう図体だし、語り合うより殴り合うほうが分かり合えるってもんさ!」
「甘いな! 力とは敵を砕く為のもの! 仇成す敵と分かりあう事など無いわ!」
ジュウキが義高を押し返し、義高は鼻を鳴らして斧を構え直す。「早速始めようか。俺の名は大鰐《ギュスターブ》の田場義高。お前に恨みはないが、これも俺たちの宿命であろうさ」
「ふん……力はあるようだが、鰐は河面より星空を仰ぐのみ! 貴様の牙は俺には届かん!」
「だったら届かせるまでさ! そして味わえ、鰐の顎を!」
そう言い、義高は駆けた。ジュウキの鉄鎖球がそれを迎え撃つ。命中。鉄球が義高を打ち据え、義高は斧で受け止めた。「……おいおい……痛いじゃねぇか」倒れず、踏み止まる。咆哮し、再びジュウキ目掛けて疾った。義高が斧を振り上げ、ジュウキは身を翻して鉄球を振るった。命中。斧がジュウキを袈裟斬りにして、地面に食い込んだ刃が大地を割る。壁を削りながら鉄球が周回し、鎖が義高の身体に巻きついた。鎖が全て巻きついて、義高の身体を絡め取る。ジュウキが咆哮し、義高を捕らえたまま跳んだ。鉄球と共に、義高を地面に叩きつける構え。「少しは楽しませてくれたが……ここまでだ!」
「――面白ぇ!」
「何!?」
義高が、銃器の鎖を破った。斧を握り直し、ジュウキに振り上げる。ジュウキもまた逆の拳を義高に振り下ろした。命中。落着。拳が義高を地面に抉り込ませ、斧が重力でジュウキの身体に深く喰らいつく。「……なあ。楽しかったなぁ。そうじゃねぇか?」
「分かり合えるんだよ、きっと……たとえ敵同士でも、楽しいって気持ちを分かち合える……」
言って、義高は意識を失う。「……かも、知れんな」ジュウキもまた、義高の隣に転がるように倒れこんだ。
●休戦!? 樹界宮の少女達
第二の宮・樹界宮。
樹海の中央に開かれた山道を進む覚者達の前を、目にも止まらぬ速さで一つの影が横切った。「!」
「……それ以上前に進んだら……斬り刻む……」
「……皆、先に行ってて。何となくだけど、ここは僕が行った方がいい気がするんだ。――沙織、無理しちゃだめだよ?」
言って、獅子神・玲(CL2001261)が一歩前に出る。樹海の奥から影が飛び、「っ!」玲は避けずに受け止めた。爪が玲の腹を斬り裂き、玲はその影を抱くようにして捕縛する。
「……上で、待ってる」
《隔者狩りの復讐鬼》飛騨・沙織(CL2001262)が言い、他の覚者と共に先を急ぐ。影――《紅牙》のアカシャが気づいて顔を上げ、
「!」
すぐに玲に――いや、玲の手に向き直った。チョコレートが握られている。「よかったら、一時休戦して一緒に食べない?」言いながら、玲が真っ直ぐ見つめてくる。アカシャは一瞬目を丸くし――すぐにチョコをひったくった。食い始める。「まだまだあるよ。ほらほらほら」言いながら、玲はさらに豆とか弁当とかハンバーガーとかを取り出した。
「――君が何で古妖から隔者になったかは知らないけど、一緒に食事出来るのだから、君は本来良い存在なんだろうね。……君は何で隔者に……?」
アカシャはちらりと玲を見て、すぐまたチョコを食うのに戻った。玲は小さくため息を吐く。「ねぇ、もしよければ僕が力になるよ。だからこんな事やめて……一緒に外に出ないかい? 一飯を共に食べた仲じゃないか。それだけじゃだめかな?」
「だったら、友達になろうよ――アカシャ」
アカシャがまた玲を見る。チョコで汚れた口元を拭い、それからハンバーガーに手を伸ばした。玲は思わず吹き出した。食い終わったら話が通じるだろうか。
「……ていうか」
山道の先を見る。――今ならしれっといけるかもしれない。まだ五つも宮が残っている。――沙織がこの先で戦っている。「っ」立とうとした瞬間、腹の傷が痛んだ。そして、
「ダメ」
アカシャが、玲の腕を掴んでいた。――意外と強い力で。「ここにいて。先に行ったら、後ろから斬る」
「……行かないよ。ずっと、ここにいる」
微笑んで言い、玲は座り直した。アカシャは頷き、またハンバーガーを食う作業に戻った。
●剣閃! 激戦の邪眼宮
第三の宮・邪眼宮。
床も、壁も、天井も生々しい眼球で埋め尽くされたおぞましい宮を見渡し、菊坂結鹿(CL200432)は呟くように言った。「随分あっさり通しましたね」
「どうせ至星宮までは行けません。ならば貴女一人をここで止められれば充分」
結鹿の言葉に、黄金隔者・眼魔《アーリマン》のシーラはそう答えた。結鹿は太刀《蒼龍》を取り出し、尋ねる。
「一つ聞きたいことがあるんですが……これらの眼は、貴女の視覚と共有しているんですか?」
「何故?」
「だって、床に近いところにも眼がついてるんですよ? あれが共有されているんでしたら、スカートの中が覗かれてるじゃないですか?」
結鹿の問いに、シーラはくすりと笑う。「共有はしていません」
「しかし、これらの眼球は今まで私が殺してきた人間の眼。そしてその魂もそこに宿っています。つまり、貴女は今何十という老若男女にスカートを下から覗かれているわけです」
抜刀。
「エッチなのはいけません! 悪即斬です!」
「貴女もそのお仲間になりなさい!」
「なるか! 蒼龍《ラスタバン》の菊坂結鹿、参ります!」
結鹿が踏み込み、シーラが《破眼光》で迎え撃つ。結鹿も《薄氷》で応射した。ともに回避。両者が横に跳び、結鹿は再び走る。零距離。《蒼龍》の斬撃がシーラを襲う。回避。シーラは上体を退いてかわし、結鹿に《破眼光》を放つ。命中。結鹿が仰向けに倒れこみ、シーラがそこへさらに《破眼光》を放つ。それは立ち上がろうとした結鹿にまたも命中した。しかし、
「直撃のはず……まだ動く!?」
「この程度の傷では退きません! お覚悟を!」
結鹿は攻撃を受けながらも立ち上がり、シーラに踏み込んだ。熾烈な接近戦。剣戟と閃光が乱れ飛び、その間を鮮血の紅が彩る。――やがて、閃光が結鹿の胸を射抜き、《蒼龍》がシーラを袈裟に斬り裂いた。同時に倒れ――やがて、結鹿が起き上がる。「……それでは……先を、急ぎますので」
「……やめておきなさい……その傷では、辿り着けても戦うのは無理……むざむざ死にに行くようなものです……」
「私も、やらなきゃいけないことがあるんです。ここで立ち上がらなきゃ、女が廃るというものです――」
言って、満身創痍の結鹿はふらふらと歩き始めた。シーラはその後姿を眼だけで追い、やがて意識を失った。
●静かなる龍! 魔弾宮に吼える
「(――銃弾でも跳弾でも同じこと、進み方は一直線、そして空気を裂いて進む以上、音が出る。だから、わたしにとって怖い相手じゃない)」
第四の宮・魔弾宮。一人残って戦う《音楽教諭》向日葵御菓子(CL2000429)は、《海衣》で防御を固めながら黄金隔者・神銃のダンの放つ無数の銃弾を最小限の動きでかわしていた。鋭い聴力によって弾丸の動きを予測してかわす。かわしきれない弾丸は《海衣》が防いだ。「成程、やるな」
「しかし、守るばかりでは事態は進展しないぞ。気力を使い切る前に、攻撃の手を打つべきなんじゃないか?」
「ふむ。そういう考え方もありますね。――では、そろそろお見せしましょう。この水音《クグェル》の向日葵の力を!」
《水礫》。高圧縮された水の弾丸がダンを襲う。「ふん」ダンは苦も無く身を反らせて回避する。応射。機関銃から放たれる銃弾を御菓子は避ける。跳弾。これも鋭聴力で予測しかわす。「こっちの番だ――まだまだいくぜ!」フルオートで浴びせられる銃弾の雨。御菓子はよく防いでいたが、それも完全ではなかった。あまりに多くの銃弾が周囲を制圧し、逃げ場を奪い、数発が御菓子の身体を掠め始める。「くっ――!」
「さあどうする? 確かに意外と保たせているようだが――それも無限じゃない。切り札があるなら見せてみろ。それともあくまで自分のスタイルを貫くか?」
「(――確かに、このままでは頭打ち。流れをこちらへ引き戻す必要がありますね……!)」
勝負の時。意を決し、御菓子は最大の奥義を放った。「我が水は猛きもの、我が敵を食い破れ!」《水龍牙》。御菓子の腕から巨大な水龍が解き放たれ、ダンに襲い掛かる。「こ、これは――!?」直撃。逃げ切れなかったダンは水龍に飲み込まれ、凄まじい力で床に叩き落される。「や、やった――!?」御菓子は思わず呟く。
「――成程。まずまずだな」
「!?」
ダンは静かに立ち上がった。そして御菓子を見据える。「しかし、耐えられないほどじゃない。この技、大きい割りに威力がそこまで伸びないようだな。避けるには苦労するが、お前の気力を殺ぐには悪くない」
「……貴方も、やりますね」
「当然だ。俺は仮にも黄金隔者。しかし、お前も全力ではないだろう? さあ続けようか」
ダンの言葉に、御菓子は気を引き締める。――命数復活を使えば、確かにまだまだ戦える。負けるつもりは無い。だが――
「(この戦い、私の死力を尽くさなければならない――ごめんなさい皆さん。後は、お願いします)」
心の中で呟き、御菓子は《海衣》を張り直した。
●裁きの剣! 鬼畜外道に慈悲など要らぬ
第五の宮・斬竜宮。
「……ここは私に任せてください……あの男は……私が殺します」
沙織は言い、残る二人を先に行かせた。正面に立つ黄金隔者、天剣のソータを見据える。「さて、初めましてですね。私は飛騨沙織。隔者を……貴方を殺す者だ」
「何か自分語りがしたいなら殺す前に聞いてあげます……まあ、それで同情とかは一切しないが」
「……自分、か」
ソータは呟き、暫く考え、言った。「無いな」
「語るほどの自分なんて無い。俺はどこにでもいる、ただの隔者だ。お前らの敵だよ」
「……一応聞いてあげます。さっさと降伏して隔者をやめるなら……命だけは助けてあげますよ」
「俺も一応答えてやる。降伏なんてしねえよバーカ。ぐだぐだ言ってねえでさっさと来いや。お前ここにトークショーでもしに来たのか?」
「……いい答えだ」
瞬間、二人は零距離で激突した。ソータのブロードソードと沙織の二振りの刀《双刀・鎬》がぶつかる。「私は両親を、弟を、友達になろうとした子を殺し……私を嬲って、女の命を奪った隔者という存在を許さない!」
「俺が知るか!」
「貴方個人に恨みとかはないが――強いて言うなら隔者組織に属してる時点で同罪だ! だから死ね!」
「知るかよって!」
二人は一度離れ、またぶつか
「!?」
ろうとして、ソータの脚が止まった。《捕縛蔓》。「さあ、惨たらしくみっともなく、自身の過ちを悔いながら……死ね!」《五織の彩》。白光を噴き上げる双刀がソータに斬りかかる。
「しゃらくせえっ!」
「!?」
沙織の必殺の攻撃を、ソータも全力のフルスイングで打ち返した。そのまま剣を大地に突き立て、蔓を斬る。「いいだろう!」
「テメエの憎しみ、この《天剣》ことダモクレスのソータが受けて立つ! かかってきやがれ飛騨沙織! テメエの最期の女心にかけて!」
「知った風な口を利くな!」
叫び、二人は剣を構え直した。
●愛の詩! 天望宮に響け
第六の宮・天望宮。
「リーネの嬢ちゃん。俺は彼女に大事な用があるんでな。ここは俺に任せて行きな」
「……ご無事デ」
十禅寺・天空(CL2001311)が言い、《恋路の守護者》リーネ・ブルツェンスカ(CL2000862)は先に向かった。「……まあ、一人ぐらいなら、大丈夫でしょう」かつての青女房、黄金隔者・蒼翼のミナがそう呟く。
「久しぶりだね、青女房の嬢ちゃん。今はミナちゃんか? 可愛くて素敵な名前だ。さて、ちょっと見ない間に随分とイメチェンしたみたいだけど……俺の言う事は変わらない」
「……」
ミナは何も言わず、天空は息を整えて言った。
「ミナちゃん! 愛してます! 俺の為に毎日ご飯とお茶を作ってくれ! ……俺の生涯の伴侶になってくれないか?」
「……」
――暫しの沈黙。七星宮の空に星が瞬く。「……それを言いに、わざわざここまで来たんですか?」
「そうとも。プロポーズだ。前回の時、まじめにしてくれたら可能性あるって言ってたじゃないか――ハッハッハ! おじさんは隔者をやめろとか言うつもりはない……それが君の欲望の結果なら全てを受け入れよう。
まあ、君が自身を正してほしいと気持ちがあるなら全力でお説教して俺の嫁にするけどね」
「……」
ミナは無言で頬を掻いた。少し赤い。「あの、ええと」
「……どうしましょう……」
「どうにでも! 君の欲望の結果なら、全て受け入れよう!」
「えー……あ! 分かった! じゃあこうしましょう!」
ミナはぽんと手を打ち、言った。「本気で私が好きなら、ここで少しお話しましょう。この戦いが終わるまで。――ここより上には行かないでください。そうすれば私も総帥に面子が立ちますし、貴方にも悪い話ではないと思うのですが……?」
天空は少し考え、やがて親指を立て、天望宮の床に胡坐をかいた。
「いいとも! 超オッケー! 俺がここで止まっても、俺の仲間が何とかしてくれるだろうしな! 喜んで君のもとに残ろうじゃないか!」
「よかった。じゃあお茶の用意を致しますね、お客様」
「ちっちっち。――今だけでも、アナタと呼んでくれないか?」
「……………………………………………………………………………またの機会に」
●Feuer! 至星宮の決戦
多くの仲間達に助けられ、リーネは遂に七星宮の頂天、至星宮で洲ヶ原紫苑と対峙した。
「アナタがシオン、さんデスカ? 単刀直入に要件を言いマス、真由美さんに放った黄金の矢を抜いて頂けマセンカ? 人の命……真由美さんの生死が今の私達にとって、何よりも優先すべき事デス」
「……一人の女の命。その為だけに、この遥か七星宮を登って来たというのか」
シオンは呟き、玉座から立ち上がる。「まずは、よくぞここまで来たと誉めてやろう。お前達の覚悟と実力、しかと見届けた。――その女の命、条件次第では助けてやらんでもない」
「条件トハ?」
「代わりにお前が死ぬこと――あるいは、この私を倒すことだ!」
瞬間、シオンがリーネの目の前に現れた。腰だめに引いた拳をリーネに繰り出す。「ナ――徒手空拳!?」「まさか銃使いのお前が来るとはな! しかし、それも小さな誤算だ!」命中。シオンの拳がリーネを吹き飛ばす。応射。吹き飛びながらもリーネはライフルの狙いを定め、《B.O.T.》を撃ち出す。命中。しかし、「ふん!」シオンは目前に迫った貫通波動弾を右手で掴み、握り潰した。再びシオンが疾る。「っ――!」一瞬迷い、リーネは回復を選択した。《癒しの霧》で傷を癒す。零距離。シオンの拳とリーネのライフルが交錯する。「ぬう!?」「くあ――!」共に命中。カウンター気味の攻撃で、肩を撃たれたシオンがのけぞり、リーネは床に尻餅をつく。「やるな――だが、次は!」「くっ――!」逡巡する暇は無い。《癒しの霧》。超高速の攻防の中で、リーネはただそのパターンを繰り返した。自分の手番は回復に務め、反撃で削る。自分より強く弱点も無い敵には、基本に忠実に、そして全力で当たるしかない。一撃にさえ耐えられれば、いつかは――!
そして――果てしない攻防の末、遂にリーネの放った弾丸が、シオンの左胸を貫いた。「ぐお――!」「あ――!」
「シマッタ――! シオンさん、大丈夫デスカ!? 矢を――!」
「い、いや、これでいい……」
駆け寄るリーネにシオンはそう言い、そして地面に倒れ込んだ。
「私が死ねば、黄金の矢も跡形も無く消え去る……し、しかし、これで終わると思うな……これで……」
倒れた紫苑の身体から、虹のような七色のオーラが立ち昇る。それは七星宮の空を駆け下り、《F.i.V.E.》本陣――真由美のいる方向へと伸びていった。
そして、《F.i.V.E.》本陣の空が、暖かな光に包まれた。
●次回予告
《BGM:Soldier Dream (instrumental)》
聖域七星宮を攻略し、真由美を救った《F.i.V.E.》の前に、新たな敵が現れる!
遠い北極海より蘇る、黄金隔者を越える真なる敵、神隔者《ゴッド・リジェクター》!
圧倒的パワーとスピードで新 ―アラタナル― 新シリーズ開幕! 装いも新たに、覚者達の戦いが再び幕を開ける!
次回、『新たなる侵略者! 浮上・アスガルド北斗七星宮!』
君は、因子を感じたことがあるか!?
※五麟地区での放映は未定です。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
特殊成果
なし
