≪初夢語≫君らと僕のミックスからお宝をハント!
●
「これはね、夢なんですよ~」
うごめく虹色空間。
「年末年始メンテ中。凝視しないで下さい。いろいろな意味で」と立て看板が立てられている。
現場は、アナログらしい。
「私は、古妖・獏です」と名乗る直立二足歩行する人相の悪いマレーバク(ムチムチ)にそんなことを言われた場合、なんと答えるのがいいのだろうか。
「それでですねー、皆さんの夢、混じっちゃったんですよー。こんなことめったにあることじゃないんですけどねー。申し訳ないんですけど、ご自分の夢、回収してきてもらえますかぁ?」
有無を言わせぬスピーディーな展開。
トレジャーハントっぽい夢?
「たとえばですね。皆さんが桃太郎と浦島太郎と金太郎とかぐや姫と舌切り雀だったとするじゃないですか」
夢の関係者に、荒唐無稽という言葉は通用しない。
日本昔話合同チーム。
「お宝は、犬猿雉を仲間にして、鬼が島の鬼を倒して、亀に乗せられて、乙姫様の歓待という名のハニートラップを掻い潜り、竹やぶから情報提供者を助け出しつつ、最後は幸運度上げつつ推理ゲーしてゲットするになってる感じです」
それは、なんか違うだろ。
激しいツッコミに、なだらかな上肢関節をたわませて、マレーバク(ムチムチ)は、テンプレアメリカンのように首を振る。
「あなた方みんなの障害がいっしょくた。ゴールにはみんなのお宝セットになっちゃってるので、お話のテイストがぐっちゃぐちゃだと思うんですけど、まあ夢ですから荒唐無稽でいいんですよー」
開き直ったというか、仕様です。
玉手箱と海賊チックな宝箱とジェラルミンケースが、ドラゴンが守ってる海底の難攻不落の銀行の金庫に入ってたりするのかい?
答えはイエス。
「どなたがどんな夢見たんだか、守秘義務があるので私の口からは言えません~」
マレーバク(ムチムチ)は、割と職務に忠実っぽい。ドジっこだけど。
「こうなったらみんなでみんなの障害を乗り越えて、自分の夢を取り戻してください! 私はそれを頼りに夢の配列を整えます! みんなウィンウィン!」
情けは人のためならず。
回りまわって、自分のためだ!
「これはね、夢なんですよ~」
うごめく虹色空間。
「年末年始メンテ中。凝視しないで下さい。いろいろな意味で」と立て看板が立てられている。
現場は、アナログらしい。
「私は、古妖・獏です」と名乗る直立二足歩行する人相の悪いマレーバク(ムチムチ)にそんなことを言われた場合、なんと答えるのがいいのだろうか。
「それでですねー、皆さんの夢、混じっちゃったんですよー。こんなことめったにあることじゃないんですけどねー。申し訳ないんですけど、ご自分の夢、回収してきてもらえますかぁ?」
有無を言わせぬスピーディーな展開。
トレジャーハントっぽい夢?
「たとえばですね。皆さんが桃太郎と浦島太郎と金太郎とかぐや姫と舌切り雀だったとするじゃないですか」
夢の関係者に、荒唐無稽という言葉は通用しない。
日本昔話合同チーム。
「お宝は、犬猿雉を仲間にして、鬼が島の鬼を倒して、亀に乗せられて、乙姫様の歓待という名のハニートラップを掻い潜り、竹やぶから情報提供者を助け出しつつ、最後は幸運度上げつつ推理ゲーしてゲットするになってる感じです」
それは、なんか違うだろ。
激しいツッコミに、なだらかな上肢関節をたわませて、マレーバク(ムチムチ)は、テンプレアメリカンのように首を振る。
「あなた方みんなの障害がいっしょくた。ゴールにはみんなのお宝セットになっちゃってるので、お話のテイストがぐっちゃぐちゃだと思うんですけど、まあ夢ですから荒唐無稽でいいんですよー」
開き直ったというか、仕様です。
玉手箱と海賊チックな宝箱とジェラルミンケースが、ドラゴンが守ってる海底の難攻不落の銀行の金庫に入ってたりするのかい?
答えはイエス。
「どなたがどんな夢見たんだか、守秘義務があるので私の口からは言えません~」
マレーバク(ムチムチ)は、割と職務に忠実っぽい。ドジっこだけど。
「こうなったらみんなでみんなの障害を乗り越えて、自分の夢を取り戻してください! 私はそれを頼りに夢の配列を整えます! みんなウィンウィン!」
情けは人のためならず。
回りまわって、自分のためだ!

■シナリオ詳細
■成功条件
1.夢を楽しむ。
2.お宝をゲットする。
3.なし
2.お宝をゲットする。
3.なし
田奈アガサでございます。
と言うわけで――
■初夢依頼について
この依頼は参加者全員が見ている同じ夢の中での出来事となります。
その為世界観に沿わない設定、起こりえない情況での依頼となっている可能性が
ありますが全て夢ですので情況を楽しんでしまいしょう。
またこの依頼での出来事は全て夢のため、現実世界には一切染み出す事はありません。
※要約すると一夜限りの夢の出来事なので思いっきり楽しんじゃえ!です。
――以上を念頭に起きまして。
「ミックスドリームポンチなトレジャーハントにレッツゴー」です。
皆さんには、障害と宝物を提示していただきます。
相談では、自分がどんな障害を乗り越える夢を見たのか言っていただいて構いません。
ただし、誰の夢のどこが混じるかは、こちらでランダムに決定しますので、ヤマを張るか、最大公約数で攻略できるようにするかは皆さんにお任せします。
テンプレはこんな感じ。
【時間帯】夜明け、白昼、深夜等。
【場所】海底、雑踏、氷上等。
【障害】猛獣、鍵、多数の追手等
この障害は、みんなに等しく仲間に降りかかります。
自分の宝物を得るのにふさわしい障害を書いてください。
【宝物】あなたの宝物です。かつて持っていたでも、今所有しているでも、これから手に入れるでも構いません。
夢ですので、目が覚めれば消えてしまいます。
ですが、手に入れた幸せは味わうことが出来ます。
その幸せは、目が覚めても忘れません。
万一、失敗したとしても、何も失いません。
獏、がんばります。大丈夫!
【宝箱】箱。巾着。そのまま。生き物なら牢という場合もありでしょう。
【逸話】どういう訳で宝物なのか。
熱く激しく語ってください。行動がおろそかにならない程度に。
それでは、獏にお見送りされたところからスタートです。
新年のご多幸をお祈りいたします!
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
相談日数
6日
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2016年01月17日
2016年01月17日
■メイン参加者 8人■

●
人の顔も分からないくらい、日は傾いている。
気がつくと、下り坂に立っていた。
怖気とも寒気ともつかないものが、足の指から這うように上ってきて、背骨の芯を冷やす。
このままここに立ち止まっているわけにはいかない。
焦燥感が、覚者たちに周囲の把握を促した。
私は私、ここはどこ。
人恋しい。
両脇は身長を越す細竹が生えている。突っ込んだら、盛大に切り傷が出来るだろう。命に別状はないが確実に風呂で地獄が見られること請け合いの密生具合だ。
自分以外にも何人かいる。黒い影法師が人になる。
精々二人並ぶのが精一杯の細い道。
前後左右を見回せば、知っている顔がないではない。
「あやや? 誘輔さんも宝探しですか? 奇遇ですね~♪」
阿久津 ほのか(CL2001276)は、語尾を弾ませる。
兄の兄貴分は、ニアリーイコール兄だ。
「これは――夢だろうか」
『ゴシップ記者』風祭・誘輔(CL2001092)は人相の悪い直立二本足歩行マレーバクの『お告げ』を思い出した。
「だと思います~♪」
とりあえず、借りがある弟分の妹の夢を見るような精神構造は持ち合わせてない。
「これは、俺の夢だが、俺ひとりの夢と言うわけではないということか」
『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)は、渋く決めたが、内心はセンシティヴなハートに痛烈ダメージ、ハートビートは乱高下だ。
宝物といったら、愛するわんことにゃんこに他ならない。
ああ、不当な扱いを受けていませんように!
「私の大事な研究ノートがないッスよ。なくなったッスよ」
『猪突猛進』葛城 舞子(CL2001275)、この夢の中でそれだけは揺るがない鉄板設定、すなわち舞子の行動動機はそれで十分だ。
もとより、大学ノート十冊以上を持ち歩いているわけではないが、ひしひしとそれが自分の元にない喪失感を感じる。夢って怖い。とにかく分かるのだ。取り戻さなくては。
「今、割りと理不尽な目に合ってるのではと思ってます」
『アイティオトミア』氷門・有為(CL2000042)の宝物。
それがなんという名前なのか、有為にもわからない。
目の前に出されれば、ああ、それでした。と、言えるだろうに、それの名前が分からない。
分からないのに、それはないのだ。
宝物だと認識しているにも拘らず。何たる理不尽。
「うちのお宝は携帯ゲーム機なんやけどな……ただのゲーム機やないんや」
『キャンディータイガー』善哉 鼓虎(CL2000771)の目がマジだ。
「あの中には何百時間とやりこんだゲームのデータが入っとるんや!」
ゲーマーにとってのこの世のすべてがそこにある。
昔のゲームはそれぞれのカートリッジにメモリが入っていたから被害が少なかったが、いまどきはゲーム機が覚えているからもしものときは未曾有の大事故である。
あ、そーなんだー。で済ませられない気迫がここにある。
費やされた時間と気力体力時の運は何物にも換えがたい価値がある。価値とは、時としてひどく個人的なものなのだ。
「取り返さんわけにはいかんやろ!」
『愛求める独眼鬼』瀬織津・鈴鹿(CL2001285)の宝物は、かつて持ち、今はなく、未来に求めるものだ。
(お父さん、お母さん)
その為に戦っている。
夢でも、宝物を取り戻せるなら、その感触を味わいたい。
「僕の宝物はまだ手に入ってへん」
『相棒捜索中』瑛月・秋葉(CL2000181)の宝物は、過去にも現在にもない。
「でもいつか手に入れるもの。背中を預けられる相棒や」
どこの誰かは分からないけど、世界のどこかにいるはずだ。
「相棒は二人で一人、どっちかが欠けても駄目なんや。絶対助けたる」
夢の中とはいえ、救出できる者として存在しているのだから。
自分達はこの手に宝を手にしなくてはならない。そういう夢だ。
とにかく山の中だ。
「これは私の障害ですね~」
「自分のかもしれないッス」
「僕のかも知れひんなぁ」
森も範疇に入れると割りとかぶる。
「これからどうなる」
「上から、土ころびが転がってきます~」
ほのかが、指でコロンコロンとアクションさせて見せる。
「土ころび――」
語尾を下げて発音した舞子は一目散に走り出した。それを見て、語尾を上げた者は後を追う。
土ころびは分からないが、あの様子ではやばい奴や。
解説を止まって聞いたら死亡フラグだ。
「なんだそれ!」
「ぶっとくて短い蛇の妖怪!」
「こっちから悪さしなければ転がってくるだけなので、全力で避けて山を下りたらクリアできると思います」
ほのかの言葉に、全員がうなづく。
「追いつかれると噛み付かれるッス!」
「なんで蛇が転がって来るんだよ!」
追いかけてくるものを振り返ってはいけない。
人間は振り返りながら走れるようには出来ていないし、情報処理のために速度が落ちる。
土ころびは、『槌ころび』と書く例もある。野槌という別の妖怪と混同される場合も多い。
想像してください。
直径1メートル、厚さ30センチ以上の切り株にいい感じのグリップみたいな尻尾がついているのが、左右の細竹多重スプリングに乱反射しながら転げ落ちてくる様を。
落下と反射で加速され、ベクトルを読むこと、常人の領域にあらず!
「蛇ちゃうやろっ!?」
振り返った秋葉がつっこんだ。
そんなことはない。蛇だ。ただ、ちょっと噛み付く鈍器なだけで。
そう、鈍器。
押しつぶされることはないだろうが、原始人の棍棒で殴られる程度の衝撃を受けること請け合いだ。
無数に生い茂った細竹は強靭な弾性を示し、不定形の土ころびをジャグリングする。
背後から転がってくるはずのものが、斜め後方から自分の鼻先を掠めて、前を走るゲイルと誘輔の背中を痛打し、細田家に落ちたかと思うと、舞子の鼻面目がけて飛んでくる。
とっさに踏みとどまって、顔の前で腕を組み防御するが、衝撃は免れ得ない。
衝撃は思ったほどではない。薄目を開ければ薄青い防護壁が展開されていた。
「これ、私の夢ですから~」
ほのかが言う。
慣性を失い、止まるかと思えば、土ころびは妖。
自ら再び、細竹に身を投じ、執拗に覚者を追い回すのだ!
覚者達は、とにかく下に走り出した。
この細竹エリアさえ抜けてしまえば、勢い余った土ころびがコースアウトするのは間違いない。
「弱点は!?」
「それをしたためたノートが、自分の宝物ッス!」
舞子は叫んだ。もちろん本人だって覚えているのだが、ド忘れしている。
人には、失えない大事なものがある。
一番前を走っていたゲイルが立ち止まった。
向こう側が見えないほどの大河だ。
うっかり、悠久の時の流れを感じてしまう壮大さ。
空中に、いきなり丸だの三角だのが現れる。
「なんだ、これ」
「QTE! 即押しせなあかん!」
鼓虎が叫ぶが間に合わない。
「は?」
空中からボタンが消えた。と思った瞬間。
――一番最初の場所に戻った。
「なんだ、今のは」
「クイックタイムイベントや。多分、あれをこなさんと強制ループや」
多用すると、初見殺しってレビューの評価が低くなるぞ!
「なんで」
ゲームしない層には理不尽極まりない。
「それは、自分の障害が迷子だからと思うッス。木に印とかつけとけば抜けられるッス。小さい頃、迷子になったのが元になってるから確実ッス」
たいしたことないッスよ。舞子は言う。
「つまり、迷子回避のためのフラグを立ててなかったからあれが出たと。では、印をつけよう」
元々つけるつもりだったのだ。あれ、でも、なんでさっき付けそびれたんだ?
背後でゴロン。と音がした。
そうだ、ホットスタートだったからだ!
「走れ! その辺の竹を薙げ! 少なくとも蛇だかころびだかが跳ね返ってこなくなるだろ! ボタンが出たら、とにかくどつけ!」
「インテリやくざの歩いた後はぺんぺん草も生えなくなるんやで」
「俺はヤクザじゃねえ!」
この紋所が目に入らぬか! と、主張するための取材手帳はアイデンティティの集約だ!
●
「このセービングてなんだ」
「電源落とさなきゃいいんだろ」
夢の電源ってなんだろう。
切り裂いた細竹の破片が刺さったりしてなかなか満身創痍だが、舞子とほのかが癒しの滴で傷をふさいだ。
何しろ、目の前には河。
水に入ったら、失血しそうだ。
「これは私の夢です。注意は、『川の水を飲んではいけない』簡単です」
有為は、さらっと言った。
「念のため、飲んだらどうなる」
「何もかもすっかり忘れてしまいます」
それこそ、現世の初期化レベルで。
「この川の名は――」
「レテ」
ギリシア神話の三途の川です。ほんとにありがとうございました。
「これ、泳ぐしかないんだよな」
何にも考えてきてねーぞ。と、誘輔は天を仰いだ。
「私は歩きます」
立ち止まったら沈む水上歩行は、冥府下りにさも似たり。
躊躇したらゲームオーバーだ。
「もう気合で泳ぐしかないッスね! 大丈夫ッス! 泳ぎは得意ッス!!」
「先が見えないということに惑わされず、安定したペースで泳いでいこう」
舞子とゲイルは根性回路でどうにかすると言う結論に達したようだ。
じゃぶんじゃぶんと大きな水音がする。
「なんだ、あれ」
「河の渡し守、カロンの船です」
船。
「戦いになります。彼は、河を泳いで渡ることは許さないでしょうから」
一人に付き金貨一枚。生活がかかっている。
「許されないならしゃあないな、船でいこか。安心してぇな。 阿久津君の妹ちゃんをこんな冷たそうな川で泳がせるような真似せえへんよ?」
秋葉が煙草をくわえ直し、ハンドガンを船のへさきに立つ黒フードの人物に向けてぶっ放す。。
「そっちのほうが建設的だな――ほのかちゃんはともかく、初夢でまでテメエの面見なきゃいけねーなんて胸糞悪ィ。幸先悪ィぜ今年は」
それを皮切りに誘輔は満遍なく機関銃の弾を船に向かってばら撒いた。
ぼちゃん。
渡し守は、川に落ちる。
漕ぎ手を失った船が一艘。岸に流れ着いた。
「夢でなかったら、寝覚めが悪い話ですねぇ」
大丈夫。これ、夢だから!
●
対岸はそのまま運河に突入していた。
その突き当たりに――コモドドラゴン。
時速60キロで走り、人間は堅い靴を履いた足を残して全部食べる程度の危険度。
「うちの障害や! あいつを倒すと鍵を吐き出す!」
倒した後に、はらわたをかき混ぜなくてもいい全年齢対応仕様!
「ほ~お」
一同の目は、トレジャーハンターと化していた。
猛獣一頭、何するものぞ。
ぼこすかぼこすか。
吐き出された鍵を手に、 宝物部屋に走る。
扉に鍵を解除し開け放つと、そこはどこまでも続く宝物の牢獄だった。
「ナハトたん、桜たん!」
なりふり構わず、駆け出して叫んだ。
アラスカンマラミュートのナハトたんは堅牢な檻へ。
日本猫の桜たんは、頑丈な鍵がついた猫用ゲージへ。
「あぁもうやっぱり可愛いなぁ……ナハトたんと桜たんをもふもふ出来て幸せだなぁ」
慣れない世話を始めてから一年有余。
戸惑いの連続だったが、今ではいい思い出だ。
共有した思い出と今の幸せを抱きしめた。
複数の牢獄には、たくさんの人が閉じ込められている。
(もしお父さんとお母さんを見つけたら嬉し泣きしながら抱き着いて精一杯甘えるの)
鈴鹿は、回廊を走る。
誰かの夢。
現在、過去、未来。
いつか会いたい大事な人。
心の趣くまま。核心めいたそれに導かれ、鈴鹿は一つの檻の前。
大蓮小蓮が燕のごとく宙を舞い、錠前を切断する。
ここは夢だから、強い思いが力になる。
鍵が切れないなんて、ありえない!
(ずっと……ずっと会いたかったの! お母さんはぎゅってしてくれるし、お父さんは頭を撫でてくれるはずなの!)
泣く子を抱かぬ鬼子母神などあるわけもない。
鈴鹿のぼやけた視界、大きく腕を開いて駆け寄る懐かしい「母」。
「父」の大きな手のひらのぬくみを、開いた第三の目の辺りに確かに感じた。
ありがとうなの、獏さん。ここでお父さんとお母さんに会えて…また抱きしめてもらってよかったの)
それが、夢の力。
「これで現実でも、お父さんとお母さんに会える希望は失わないの」
明日を生きるための力。
「あんたや」
秋葉にはわかる。
顔は分からない。性別も分からない。年も。
特長になるものは何一つ分からない。まだ決まっていないのかもしれない。
だが、いつか見え、背中を預ける相棒だ。
「今度は、現実であおな」
それはただひたすらに未来に向かって結ぶ夢。
機関銃の弾丸が宝箱の鍵をぶっ飛ばす。
中からは、覚者達の宝物が詰め合わされていた。
各々手を入れ、自分の手に取り戻す。
鼓虎は無言だ。
ゲーム機だけではだめなのだ。
メモリーの全てを確認する作業が山積みだ。
やりこみ要素コンプしたデータがなくなっていたら軽く死ねる。
全ての確認が終わり、データの無事を確認した時、鼓虎の魂は極楽を味わっていた。
過去の掌握と現在の現状維持。
ほのかは、菊の模様の手鞠をそっと手に取った。
(小さい頃おばあちゃんがくれた宝物です♪ 座敷童ちゃんと一緒に遊んだ思い出もあるから、とっても大切なんですよぉ)
思い出のつまった大事なもの。
頬に寄せると、糸のひんやりとした感触がした。
有為は、質素な袋を手に乗った。やけに手になじむ。
袋の中身はカタチがない。
「―― 私は、オルペウスの因果推進機の基礎理論を動かすだけの熱量を持っていなかった」
だから、ここにあるのはそれのはずだ。
袋を開けるようなことはしない。
現時点で、観測してはいけない。
「二点間の座標を微小時間毎に操作する必要性からつまり私は」
足りない。全ての事象を表現するためにはまだ足りない。
(ネタ帳は記者の命 コレがなきゃ商売上がったりだ)
ページ一枚かけていなかったそれを、所定の位置に収める。
しっくり来る。こうでなくちゃいけない。ぶれない何かがあるから、物事の些細な変化に気がつくのだ。体感を馬鹿にしちゃいけない。
「俺は、スポーツ新聞の記者だぜ」
開けて、開けて、開けて、開けて――。
舞子は開けて、開けて、開けて、開けまくっていた。
「自分のノートッス!」
ぼろぼろのメモ。
一冊目の一枚目。
命を助けてくれた古妖の落書き。
いつかきっとお礼を言いたい妖の記憶をつなぐ大事なもの。
「取り戻したッス。もう放さないッスよ」
だきしめた。
壊れないように、丁重に。
●
気がつくと、どんぶらこっこと川を遡っていた。
船は先ほど強奪したボートではなく、豪勢な宝船だ。
そう言えば、正月の初夢だった。
「で、お前の宝物はなんだよ。瑛月?」
誘輔は、ご満悦で煙草をふかしている。
「聞くまでもないやろ。俺の二つ名知らんのかいな」
とても分かりやすい二つ名だ。
「相棒? まーだそんな夢見てんのか おめでたい奴だぜ」
「見続けるで。現実で会える日までな」
過去の余韻。
現在の確認。
未来の希望。
世に夢の種はつきまじ。
願わくば、古妖の気まぐれにも揺るがない強い「夢」を抱き続けていられるよう。
人の顔も分からないくらい、日は傾いている。
気がつくと、下り坂に立っていた。
怖気とも寒気ともつかないものが、足の指から這うように上ってきて、背骨の芯を冷やす。
このままここに立ち止まっているわけにはいかない。
焦燥感が、覚者たちに周囲の把握を促した。
私は私、ここはどこ。
人恋しい。
両脇は身長を越す細竹が生えている。突っ込んだら、盛大に切り傷が出来るだろう。命に別状はないが確実に風呂で地獄が見られること請け合いの密生具合だ。
自分以外にも何人かいる。黒い影法師が人になる。
精々二人並ぶのが精一杯の細い道。
前後左右を見回せば、知っている顔がないではない。
「あやや? 誘輔さんも宝探しですか? 奇遇ですね~♪」
阿久津 ほのか(CL2001276)は、語尾を弾ませる。
兄の兄貴分は、ニアリーイコール兄だ。
「これは――夢だろうか」
『ゴシップ記者』風祭・誘輔(CL2001092)は人相の悪い直立二本足歩行マレーバクの『お告げ』を思い出した。
「だと思います~♪」
とりあえず、借りがある弟分の妹の夢を見るような精神構造は持ち合わせてない。
「これは、俺の夢だが、俺ひとりの夢と言うわけではないということか」
『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)は、渋く決めたが、内心はセンシティヴなハートに痛烈ダメージ、ハートビートは乱高下だ。
宝物といったら、愛するわんことにゃんこに他ならない。
ああ、不当な扱いを受けていませんように!
「私の大事な研究ノートがないッスよ。なくなったッスよ」
『猪突猛進』葛城 舞子(CL2001275)、この夢の中でそれだけは揺るがない鉄板設定、すなわち舞子の行動動機はそれで十分だ。
もとより、大学ノート十冊以上を持ち歩いているわけではないが、ひしひしとそれが自分の元にない喪失感を感じる。夢って怖い。とにかく分かるのだ。取り戻さなくては。
「今、割りと理不尽な目に合ってるのではと思ってます」
『アイティオトミア』氷門・有為(CL2000042)の宝物。
それがなんという名前なのか、有為にもわからない。
目の前に出されれば、ああ、それでした。と、言えるだろうに、それの名前が分からない。
分からないのに、それはないのだ。
宝物だと認識しているにも拘らず。何たる理不尽。
「うちのお宝は携帯ゲーム機なんやけどな……ただのゲーム機やないんや」
『キャンディータイガー』善哉 鼓虎(CL2000771)の目がマジだ。
「あの中には何百時間とやりこんだゲームのデータが入っとるんや!」
ゲーマーにとってのこの世のすべてがそこにある。
昔のゲームはそれぞれのカートリッジにメモリが入っていたから被害が少なかったが、いまどきはゲーム機が覚えているからもしものときは未曾有の大事故である。
あ、そーなんだー。で済ませられない気迫がここにある。
費やされた時間と気力体力時の運は何物にも換えがたい価値がある。価値とは、時としてひどく個人的なものなのだ。
「取り返さんわけにはいかんやろ!」
『愛求める独眼鬼』瀬織津・鈴鹿(CL2001285)の宝物は、かつて持ち、今はなく、未来に求めるものだ。
(お父さん、お母さん)
その為に戦っている。
夢でも、宝物を取り戻せるなら、その感触を味わいたい。
「僕の宝物はまだ手に入ってへん」
『相棒捜索中』瑛月・秋葉(CL2000181)の宝物は、過去にも現在にもない。
「でもいつか手に入れるもの。背中を預けられる相棒や」
どこの誰かは分からないけど、世界のどこかにいるはずだ。
「相棒は二人で一人、どっちかが欠けても駄目なんや。絶対助けたる」
夢の中とはいえ、救出できる者として存在しているのだから。
自分達はこの手に宝を手にしなくてはならない。そういう夢だ。
とにかく山の中だ。
「これは私の障害ですね~」
「自分のかもしれないッス」
「僕のかも知れひんなぁ」
森も範疇に入れると割りとかぶる。
「これからどうなる」
「上から、土ころびが転がってきます~」
ほのかが、指でコロンコロンとアクションさせて見せる。
「土ころび――」
語尾を下げて発音した舞子は一目散に走り出した。それを見て、語尾を上げた者は後を追う。
土ころびは分からないが、あの様子ではやばい奴や。
解説を止まって聞いたら死亡フラグだ。
「なんだそれ!」
「ぶっとくて短い蛇の妖怪!」
「こっちから悪さしなければ転がってくるだけなので、全力で避けて山を下りたらクリアできると思います」
ほのかの言葉に、全員がうなづく。
「追いつかれると噛み付かれるッス!」
「なんで蛇が転がって来るんだよ!」
追いかけてくるものを振り返ってはいけない。
人間は振り返りながら走れるようには出来ていないし、情報処理のために速度が落ちる。
土ころびは、『槌ころび』と書く例もある。野槌という別の妖怪と混同される場合も多い。
想像してください。
直径1メートル、厚さ30センチ以上の切り株にいい感じのグリップみたいな尻尾がついているのが、左右の細竹多重スプリングに乱反射しながら転げ落ちてくる様を。
落下と反射で加速され、ベクトルを読むこと、常人の領域にあらず!
「蛇ちゃうやろっ!?」
振り返った秋葉がつっこんだ。
そんなことはない。蛇だ。ただ、ちょっと噛み付く鈍器なだけで。
そう、鈍器。
押しつぶされることはないだろうが、原始人の棍棒で殴られる程度の衝撃を受けること請け合いだ。
無数に生い茂った細竹は強靭な弾性を示し、不定形の土ころびをジャグリングする。
背後から転がってくるはずのものが、斜め後方から自分の鼻先を掠めて、前を走るゲイルと誘輔の背中を痛打し、細田家に落ちたかと思うと、舞子の鼻面目がけて飛んでくる。
とっさに踏みとどまって、顔の前で腕を組み防御するが、衝撃は免れ得ない。
衝撃は思ったほどではない。薄目を開ければ薄青い防護壁が展開されていた。
「これ、私の夢ですから~」
ほのかが言う。
慣性を失い、止まるかと思えば、土ころびは妖。
自ら再び、細竹に身を投じ、執拗に覚者を追い回すのだ!
覚者達は、とにかく下に走り出した。
この細竹エリアさえ抜けてしまえば、勢い余った土ころびがコースアウトするのは間違いない。
「弱点は!?」
「それをしたためたノートが、自分の宝物ッス!」
舞子は叫んだ。もちろん本人だって覚えているのだが、ド忘れしている。
人には、失えない大事なものがある。
一番前を走っていたゲイルが立ち止まった。
向こう側が見えないほどの大河だ。
うっかり、悠久の時の流れを感じてしまう壮大さ。
空中に、いきなり丸だの三角だのが現れる。
「なんだ、これ」
「QTE! 即押しせなあかん!」
鼓虎が叫ぶが間に合わない。
「は?」
空中からボタンが消えた。と思った瞬間。
――一番最初の場所に戻った。
「なんだ、今のは」
「クイックタイムイベントや。多分、あれをこなさんと強制ループや」
多用すると、初見殺しってレビューの評価が低くなるぞ!
「なんで」
ゲームしない層には理不尽極まりない。
「それは、自分の障害が迷子だからと思うッス。木に印とかつけとけば抜けられるッス。小さい頃、迷子になったのが元になってるから確実ッス」
たいしたことないッスよ。舞子は言う。
「つまり、迷子回避のためのフラグを立ててなかったからあれが出たと。では、印をつけよう」
元々つけるつもりだったのだ。あれ、でも、なんでさっき付けそびれたんだ?
背後でゴロン。と音がした。
そうだ、ホットスタートだったからだ!
「走れ! その辺の竹を薙げ! 少なくとも蛇だかころびだかが跳ね返ってこなくなるだろ! ボタンが出たら、とにかくどつけ!」
「インテリやくざの歩いた後はぺんぺん草も生えなくなるんやで」
「俺はヤクザじゃねえ!」
この紋所が目に入らぬか! と、主張するための取材手帳はアイデンティティの集約だ!
●
「このセービングてなんだ」
「電源落とさなきゃいいんだろ」
夢の電源ってなんだろう。
切り裂いた細竹の破片が刺さったりしてなかなか満身創痍だが、舞子とほのかが癒しの滴で傷をふさいだ。
何しろ、目の前には河。
水に入ったら、失血しそうだ。
「これは私の夢です。注意は、『川の水を飲んではいけない』簡単です」
有為は、さらっと言った。
「念のため、飲んだらどうなる」
「何もかもすっかり忘れてしまいます」
それこそ、現世の初期化レベルで。
「この川の名は――」
「レテ」
ギリシア神話の三途の川です。ほんとにありがとうございました。
「これ、泳ぐしかないんだよな」
何にも考えてきてねーぞ。と、誘輔は天を仰いだ。
「私は歩きます」
立ち止まったら沈む水上歩行は、冥府下りにさも似たり。
躊躇したらゲームオーバーだ。
「もう気合で泳ぐしかないッスね! 大丈夫ッス! 泳ぎは得意ッス!!」
「先が見えないということに惑わされず、安定したペースで泳いでいこう」
舞子とゲイルは根性回路でどうにかすると言う結論に達したようだ。
じゃぶんじゃぶんと大きな水音がする。
「なんだ、あれ」
「河の渡し守、カロンの船です」
船。
「戦いになります。彼は、河を泳いで渡ることは許さないでしょうから」
一人に付き金貨一枚。生活がかかっている。
「許されないならしゃあないな、船でいこか。安心してぇな。 阿久津君の妹ちゃんをこんな冷たそうな川で泳がせるような真似せえへんよ?」
秋葉が煙草をくわえ直し、ハンドガンを船のへさきに立つ黒フードの人物に向けてぶっ放す。。
「そっちのほうが建設的だな――ほのかちゃんはともかく、初夢でまでテメエの面見なきゃいけねーなんて胸糞悪ィ。幸先悪ィぜ今年は」
それを皮切りに誘輔は満遍なく機関銃の弾を船に向かってばら撒いた。
ぼちゃん。
渡し守は、川に落ちる。
漕ぎ手を失った船が一艘。岸に流れ着いた。
「夢でなかったら、寝覚めが悪い話ですねぇ」
大丈夫。これ、夢だから!
●
対岸はそのまま運河に突入していた。
その突き当たりに――コモドドラゴン。
時速60キロで走り、人間は堅い靴を履いた足を残して全部食べる程度の危険度。
「うちの障害や! あいつを倒すと鍵を吐き出す!」
倒した後に、はらわたをかき混ぜなくてもいい全年齢対応仕様!
「ほ~お」
一同の目は、トレジャーハンターと化していた。
猛獣一頭、何するものぞ。
ぼこすかぼこすか。
吐き出された鍵を手に、 宝物部屋に走る。
扉に鍵を解除し開け放つと、そこはどこまでも続く宝物の牢獄だった。
「ナハトたん、桜たん!」
なりふり構わず、駆け出して叫んだ。
アラスカンマラミュートのナハトたんは堅牢な檻へ。
日本猫の桜たんは、頑丈な鍵がついた猫用ゲージへ。
「あぁもうやっぱり可愛いなぁ……ナハトたんと桜たんをもふもふ出来て幸せだなぁ」
慣れない世話を始めてから一年有余。
戸惑いの連続だったが、今ではいい思い出だ。
共有した思い出と今の幸せを抱きしめた。
複数の牢獄には、たくさんの人が閉じ込められている。
(もしお父さんとお母さんを見つけたら嬉し泣きしながら抱き着いて精一杯甘えるの)
鈴鹿は、回廊を走る。
誰かの夢。
現在、過去、未来。
いつか会いたい大事な人。
心の趣くまま。核心めいたそれに導かれ、鈴鹿は一つの檻の前。
大蓮小蓮が燕のごとく宙を舞い、錠前を切断する。
ここは夢だから、強い思いが力になる。
鍵が切れないなんて、ありえない!
(ずっと……ずっと会いたかったの! お母さんはぎゅってしてくれるし、お父さんは頭を撫でてくれるはずなの!)
泣く子を抱かぬ鬼子母神などあるわけもない。
鈴鹿のぼやけた視界、大きく腕を開いて駆け寄る懐かしい「母」。
「父」の大きな手のひらのぬくみを、開いた第三の目の辺りに確かに感じた。
ありがとうなの、獏さん。ここでお父さんとお母さんに会えて…また抱きしめてもらってよかったの)
それが、夢の力。
「これで現実でも、お父さんとお母さんに会える希望は失わないの」
明日を生きるための力。
「あんたや」
秋葉にはわかる。
顔は分からない。性別も分からない。年も。
特長になるものは何一つ分からない。まだ決まっていないのかもしれない。
だが、いつか見え、背中を預ける相棒だ。
「今度は、現実であおな」
それはただひたすらに未来に向かって結ぶ夢。
機関銃の弾丸が宝箱の鍵をぶっ飛ばす。
中からは、覚者達の宝物が詰め合わされていた。
各々手を入れ、自分の手に取り戻す。
鼓虎は無言だ。
ゲーム機だけではだめなのだ。
メモリーの全てを確認する作業が山積みだ。
やりこみ要素コンプしたデータがなくなっていたら軽く死ねる。
全ての確認が終わり、データの無事を確認した時、鼓虎の魂は極楽を味わっていた。
過去の掌握と現在の現状維持。
ほのかは、菊の模様の手鞠をそっと手に取った。
(小さい頃おばあちゃんがくれた宝物です♪ 座敷童ちゃんと一緒に遊んだ思い出もあるから、とっても大切なんですよぉ)
思い出のつまった大事なもの。
頬に寄せると、糸のひんやりとした感触がした。
有為は、質素な袋を手に乗った。やけに手になじむ。
袋の中身はカタチがない。
「―― 私は、オルペウスの因果推進機の基礎理論を動かすだけの熱量を持っていなかった」
だから、ここにあるのはそれのはずだ。
袋を開けるようなことはしない。
現時点で、観測してはいけない。
「二点間の座標を微小時間毎に操作する必要性からつまり私は」
足りない。全ての事象を表現するためにはまだ足りない。
(ネタ帳は記者の命 コレがなきゃ商売上がったりだ)
ページ一枚かけていなかったそれを、所定の位置に収める。
しっくり来る。こうでなくちゃいけない。ぶれない何かがあるから、物事の些細な変化に気がつくのだ。体感を馬鹿にしちゃいけない。
「俺は、スポーツ新聞の記者だぜ」
開けて、開けて、開けて、開けて――。
舞子は開けて、開けて、開けて、開けまくっていた。
「自分のノートッス!」
ぼろぼろのメモ。
一冊目の一枚目。
命を助けてくれた古妖の落書き。
いつかきっとお礼を言いたい妖の記憶をつなぐ大事なもの。
「取り戻したッス。もう放さないッスよ」
だきしめた。
壊れないように、丁重に。
●
気がつくと、どんぶらこっこと川を遡っていた。
船は先ほど強奪したボートではなく、豪勢な宝船だ。
そう言えば、正月の初夢だった。
「で、お前の宝物はなんだよ。瑛月?」
誘輔は、ご満悦で煙草をふかしている。
「聞くまでもないやろ。俺の二つ名知らんのかいな」
とても分かりやすい二つ名だ。
「相棒? まーだそんな夢見てんのか おめでたい奴だぜ」
「見続けるで。現実で会える日までな」
過去の余韻。
現在の確認。
未来の希望。
世に夢の種はつきまじ。
願わくば、古妖の気まぐれにも揺るがない強い「夢」を抱き続けていられるよう。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし
