<五麟祭>後夜祭に華を咲かせて
●五麟祭開催!
五麟学園の文化祭、それは学園すべてが会場となる一大イベントである。
小中高大全ての生徒と校舎を使ったお祭りは、毎年かなりの客がやってくるイベントとなる。
展示を出すのは学生だけではない。手続きを取って検査に合格すれば、外部の人間も店を出すことができるのだ。
そんな祭が、もうすぐやってくる。
後夜祭。
五麟祭の最後には、大規模な打ち上げが予定されている。
太陽は眠ろうとも、まだ参加者達は眠らない。
祭の夜は、盛大に、華やかに。
グラウンドではキャンプファイアーが設置され。
この日の夜は、大量の花火が打ち上がり。大輪の雫が咲き乱れ。学園中が光の花々で彩られる。それぞれの想いを乗せて開いては、閉じることなく散っていく夜の花。
その下で、飲んで食べて騒いで……もちろん、静かに浸るのも良し。
学園祭に参加したお祝いに。
日々の記念の一つに。
とにかく騒ぐため。
それとも何気なく。
どのようにでも楽しむことができるのも、五麟祭の夜ならではだ。
場所は、光咲く五麟学園のグラウンド。
時間は、最後の光の雫が消えるまで。
「あ。花火、見に行くの?」
「うん。皆で楽しもうね」
学園内は早くも、活気付く。
さて、あなたはどうしよう?
五麟学園の文化祭、それは学園すべてが会場となる一大イベントである。
小中高大全ての生徒と校舎を使ったお祭りは、毎年かなりの客がやってくるイベントとなる。
展示を出すのは学生だけではない。手続きを取って検査に合格すれば、外部の人間も店を出すことができるのだ。
そんな祭が、もうすぐやってくる。
後夜祭。
五麟祭の最後には、大規模な打ち上げが予定されている。
太陽は眠ろうとも、まだ参加者達は眠らない。
祭の夜は、盛大に、華やかに。
グラウンドではキャンプファイアーが設置され。
この日の夜は、大量の花火が打ち上がり。大輪の雫が咲き乱れ。学園中が光の花々で彩られる。それぞれの想いを乗せて開いては、閉じることなく散っていく夜の花。
その下で、飲んで食べて騒いで……もちろん、静かに浸るのも良し。
学園祭に参加したお祝いに。
日々の記念の一つに。
とにかく騒ぐため。
それとも何気なく。
どのようにでも楽しむことができるのも、五麟祭の夜ならではだ。
場所は、光咲く五麟学園のグラウンド。
時間は、最後の光の雫が消えるまで。
「あ。花火、見に行くの?」
「うん。皆で楽しもうね」
学園内は早くも、活気付く。
さて、あなたはどうしよう?

■シナリオ詳細
■成功条件
1.五麟祭の後夜祭を楽しんでください
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
●舞台はグラウンド
キャンプファイアーを中心にして、花火が上がります。各種料理や飲み物も、手持ち花火の類も用意されています。持ち込みも可能。楽しみ方は、自由です。
●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『御崎 衣緒(nCL2000001)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】というタグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。
それでは、五麟祭の後夜祭をお楽しみください。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
相談日数
7日
7日
参加費
50LP
50LP
参加人数
27/∞
27/∞
公開日
2015年10月18日
2015年10月18日
■メイン参加者 27人■

●
「花火が上がるから何か食べ物を買ってから行こうか。ええっと、たこ焼きあるかなぁ」
「祭りに俺を誘うなんて。あんた、変わり者だよね」
依頼で知り合って親しくなった阿久津 亮平(CL2000328)と黒桐 夕樹(CL2000163)は、賑やかな空気を肌に感じながら歩いていた。亮平は露店でたこ焼きと、林檎飴を1つと烏龍茶も買う。夕樹は串焼きに目が行き数本購入。ついでにベビーカステラも……こういう時しか、あんま食べないし。
「たこ焼き、久しぶりに食べるなぁ。いただきます」
まずは一口。
すると、熱気が亮平の口の中で爆発した。
(……っ。どうしよう、思ってた以上に熱いっ。でもはふはふ熱がってる所を見られるわけには……横向いて見られないようにしようそうしよう)
腕時計で時間を確認し、亮平に話しかけようとして夕樹は疑問符を浮かべた。
「……阿久津さん、なんで横向いて食べてるんですか」
無表情ながら小首を傾げて相手を見遣る。
「……なんか、涙目になってません?」
「な、泣いてないよ」
懸命な努力の末。
何とか咀嚼。
「……はぁ、熱かったけど美味かった。たこ焼き、黒桐君も食べる?」
亮平のたこ焼きを受け取る。夕樹は串焼きを渡した。
「串焼きくれるの? ありがとう、こんがりしてて美味そうだね」
「後で、カステラも食べます?」
「カステラもくれるの? わぁ、懐かしいな。黒桐君は林檎飴好き? よかったら後で渡すね」
料理を食しているうちに、いよいよ時間だ。
最初の光の花が高く上がる。
「あ、花火があがった。そうだ、次は何色が上がるか当てっこしない? 俺は赤だと思うなぁ」
亮平は楽しげだ。。
夕樹は相手の横顔をチラリと見て。
「……じゃ、俺は黄色」
そう呟くと、打ちあがる花火に再び目を移した。
次の花火が赤だったらいい……なんて、ほんの少し思い浮かべて。
「お越し下さってありがとうございました」
柳 燐花(CL2000695)は学園祭に誘った蘇我島 恭司(CL2001015)をあちこちご案内して……花火で一日の締めくくり。
「いやいや、燐ちゃん助かったよ! 一人で動いてたら、どこが花火見物に良いかなんてわからないからね!」
喧騒も少なく、視界も広い。
良い場所を二人は確保する。
「お仕事で力を使ってばかりだと疲れますし、日常は大切なものです」
「うんうん、日常は大切だからねぇ……燐ちゃんも学校生活を大事にね?」
こういう事を最大限に楽しめるのが、学生の特権だ。
恭司の学生時代の話もいつか聞いてみたいと、燐花は思う。
「あの。勉強で、分からない所をお伺いしてもいいでしょうか」
「あー……うん、勉強ね! 僕もやったのは大分昔だからなぁ……出来る限りでよければ、燐ちゃんの力になるよ」
と話していて、ふと。
花火が二人を照らす。
「蘇我島さんと出会ってから、私、結構お喋りになったような気がします」
それは、きっと自分の拙い話を上手に拾ってくれるから。
……だから。
「言葉無しに分かり合えれば良いけれど、そうなるにも会話は大事だからね……燐ちゃんが会話を好きになってくれて良かったよ!」
恭司も燐花も花火から視線を移し。
真っ直ぐにお互いを見つめる。
「まだいろいろお話したいから……これからもよろしくお願いします」
――大事なひとなのです。
「此方こそ、これからもよろしくね、燐ちゃん」
――花火を見る燐ちゃんを撮りたかったけど……無粋だし止めとこう。
●
「たまきちゃん元気ぃ? 今日もたまきちゃんは可愛いですねぇ……えへへー」
秋ノ宮 たまき(CL2000849)にとって、ルームメイトで二つ上の従姉の三峯・由愛(CL2000629)はなんでも話せるいい友達だった。でも今夜はほろ酔い加減で、ふにゃふにゃしてて心配だ。
「このジュース、とっても美味しいですねぇー」
「お酒の飲みすぎよ……?」
「ねーねー膝枕してぇ? ねぇ?」
たまきちゃんと滅茶苦茶いちゃいちゃしたい……そんな声が聞こえるかのようだった。由愛は少し酒を飲んだだけで、酔っ払い状態。甘い声で擦り寄る。たまきは、膝枕に寝かせた由愛を介抱。冷えタオルを額にのっける。
「たまきちゃんの膝とっても気持ちいいですよぉ」
「ちょ、動かないで 膝がむずむずくすぐったいよ……由愛ねーさん」
膝上でごろごろする由愛に対し、たまきはかあと赤面する。
(いけない、うっかり子供の頃の呼び方がでちゃった!)
「……ねーさん呼び、おねーちゃん嬉しいなぁ、うふふー」
「由愛ねーさ……今のなし! はじめからやり直し!」
二人の、いちゃつきはまだ続く。
「学園祭も終わりか。さぁて後夜祭も水無月と一緒に楽しむかな」
極道とお嬢様。
浅葱 枢紋(CL2000138)と水無月 ひさめ(CL2000230)も後夜祭に参加する。
「やっぱ後夜祭と言ったらフォークダンスだよな。水無月、踊りに行こうぜ!」
(あ、憧れの先輩と踊ることになりました……! どうしよう、どうしよう……! ドキドキする……っ)
フォークダンスを踊りに枢紋は皆の輪の中に入るが、相手が来ないのを心配し戻って来る。ひさめは人見知り&恥ずかしがり屋の為、あまりの人の多さに目をぐるぐると回していた。
「せ、せんぱい……ご、ごめん、なさい……やっぱり、むりです……ごめんなさい」
「水無月、どうしたんだ? ……あぁわりぃ、失念してたぜ。んじゃ、ちょっとこっちに来いよ」
泣きそうになりながらひさめは枢紋の服の裾を掴む。
極道の少年は、令嬢の手を引いて人気の無い場所迄エスコートした。
「ほらここなら誰も見てねぇし誰もいねぇから気が楽だろ? だからさ、俺と踊ってくれませんか? 我が愛しのプリンセス……」
跪いて左手の甲にキス。
照れ笑いが漏れる。
「……って柄じゃねぇな。でもまぁ後夜祭だし楽しもうぜ?」
「ここなら静かで大丈夫、です。ありがとうございます、先輩って優しい、ですね」
ひさめは頬を染めながら微笑み。
二人きりで、打ち上がる花火の下で踊った。
(水無月、笑顔になって良かった……又思い出作りに行くかな)
(……また先輩とこうやって思い出をつくりたい、な)
●
明石 ミュエル(CL2000172)と円 善司(CL2000727)は、キャンプファイアーの傍に一緒にいる。今はまだ、友達以上恋人未満な距離感だ。
「こういう機会でしか、出来ないこと……焼きマシュマロ、作ってみよう……」
「事前に買っておいたマシュマロを焼こうぜ。もちろんキャンプファイアーで」
若干熱いけど我慢。
夜の火に、善司の金色の左目がちらちら輝く。
「円くんは、焼きマシュマロって、初めて……? アタシは……こないだ、キャンプで、作って……美味しかったから、また作ってみたいなって……思ってたの……」
「これあれだろ、外国で人気のおやつなんだろ。名前忘れたけど」
「焦げないように、気を付けながら……全体が、キツネ色になったら、クラッカーで挟んで……火傷しないように、気をつけながら、熱いうちに、ね……」
「割り箸に刺して焼いて、板チョコ割って一緒にビスケットで挟んで……よし」
出来たてを、善司はミュエルへと差し出す。
「おひとつ、どうぞ。めちゃくちゃレアな、俺の手料理だぜ?」
熱々のお菓子を食べる。
「俺にとっては最初で最後、高校での学園祭参加になる訳で。いつもサボってたからなぁ……ちゃんと出とけばよかった。今年はミュエルちゃんと一緒に楽しめてよかったよ。有難うな、ミュエルちゃん」
「地元では、友達いなかったから……学園祭って、あんまり、楽しくなかったけど……今年は、友達も、いるし……円くんと、一緒に居られたから……今までで一番、楽しい学園祭、だったよ……」
「……あのさ、また来年も……や、なんでもない。独り言」
「?」
鳴神 零(CL2000669)と明智 珠輝(CL2000634)は待ち合わせ。
「夏、早かったなぁ。もうちょっと夏らしい事したかったのだけど……」
だもんで浴衣姿の零である。
(明智さんと花火どっち見ればええねん! って見られてる!)
「……ふふ、夏は終わったと思っておりましたのに……! 浴衣の零さん、お美しいです……!」
珠輝の方は、むしろ花火より零さんをうっとりガン見。
(鳴神なんか見ても何もないでしょうに)
ウロウロオロオロ。
「変質者じゃなく、苦手なんです男性……ごあああ!」
真っ赤な顔を見られない為に、零は狐面を被りながら微妙な距離保つ。
(ああッでも近づきたい!)
「あぁ、失礼いたしました、見すぎですねそうですね」
珠輝は手をポムと叩き。
「あ、忘れてました」
がさごそ鞄を漁り、取り出したるは――
「天狗ゥゥ!!」
「似合いますか? ふふ」
真っ赤で立派なお鼻の天狗面を珠輝は被る。
「これなら近づけますかね、ふふ」
ド変態です弄んでください。
そんなオーラが見えるかのよう。
でもささやかな優しさが凄く嬉しい。
「ふふー、これじゃあ覚者っていうより妖ですねっ」
「今日は零さんとデートですので、少しでも距離を縮められればな、と……」
「……え!? デート!?」
精神的にも物理的にも
狐と天狗の距離が近付く。
(デートとは恋人同士がやるもので私達はファァァアなんか胸きゅんきゅんしたぁぁもっと明智さんの事知りたいなって思った☆)
「おや、夜風が強くなってきましたね……零さん、寒くありませんか?」
舞い上がる零に、珠輝は己のジャケットを渡すが――ここで終わらないのが彼である。
「あ、これでは薄手ですかね」
更に脱ごうとする露出狂。
「あっやめて脱がないで」
……恋かな。
●
「五麟祭も終わりか……冬佳さんは楽しめたかい?」
適当に陣取って座って、キャンプファイヤーを眺めながら。
酒々井・千歳(CL2000407)は水瀬 冬佳(CL2000762) にペットボトルのお茶を手渡す。
「見ている専門ですが……まあ。見ているだけでも面白いものですね、文化祭って」
ありがとう、とペットボトルを受け取りつつ。
同じくキャンプファイヤーを眺めながら、冬佳は隣に座る千歳とお喋りに興じた。
「酒々井君の方こそ、どうでした? 五麟祭……高校の文化祭は」
「この間の夏祭りもそうだったけれど、こういう雰囲気は嫌いじゃないね」
賑やかな所を見ているだけでも、自分もその一部になれた気がするし。
と言っても、それだけじゃまたいつも通りだろうし……何か引っ掛かるものがあるのも確かだ。
「あぁ、そうだ。何時だったか、前の学校でフォークダンスを授業で習ったよね」
――俺は踊る事は無かったけど。
「ええ。確かにやりましたね、フォークダンス」
――授業で習っただけで、それ以外で踊った事が無いのは私も同じなのだけど……私は機会があっても踊らなかっただけで。
「どうかな、俺と踊ってくれないかい? 冬佳さん。君となら良い思い出になると思うから」
千歳は手を差し出して、彼女の返答を待って。
冬佳は誘いに戸惑いつつ。私で良いのか、と彼を真っ直ぐに見返して。
「……喜んで。初めての踊り、確かに良い思い出になりそうです」
微笑を浮かべて応え、少女は手を取る。
了承を得た少年は柔らかな手を引いて――二人で踊りの輪に加わった。
「見てるだけじゃつまらない。私達も踊りましょ!」
「うーん、私酔っ払っちゃってましたか? すみません……せっかくのキャンプファイヤー、ダンスしないと勿体ないですね」
たまきは由愛の手を引っ張り、キャンプファイヤーを囲んでダンスを踊る。
「今年の夏は色んな体験をした。一生忘れられない事も。FiVEに所属して依頼を受け始めて……大変な事もあるけど充実してる。由愛はどう?」
「私も……戦って傷つくことも多いですけど、ここに来る前よりずっと楽しいと思います。これからも、一緒に頑張りましょうね?」
酔いは醒めたはずなのに。
由愛は頬を上気させた。
「わたあめは食べられるし花火も食べれるのかなー?」
八百万 円(CL2000681) は、食べ物をむしゃむしゃ食べて花火振り回して走り回っていた。
「おかしーはなびーふじーたなかー」
ゲイル・レオンハート(CL2000415)は、皆の様子を肴にする。
「楽しかった五麟祭ももうすぐ終わりか……昼間は楽しく参加したことだし、夜は静かに過ごしてみるとしようか」
自分で作っておいたクッキーを食べながら。酒を飲み、静かに浸る。皆でワイワイ賑やかに見る花火も良いものだが、こうやって静かに、空に咲く光の花を眺めるのもまた悪くない。
「覚者も一般人も関係なくこうやって皆が同じ場所で楽しく騒いで飲んで……こんな日々を守るためにも明日からまた頑張っていかないとな」
だが、今は一先ず祭を最後まで楽しむとしよう。
だって祭りはまだ終わってはいないのだから。
「未来のことを考えるのも大事なことだが、今としっかり向き合うことも大事なことなのだ、うむ」
酒々井 数多(CL2000149)と環 大和(CL2000477)は一緒に花火をみながら祭を過ごしていた。
「なんだかいろいろ回って疲れちゃった」
「わたしもいろいろ回ってみたわ。最近学園生活よりも仕事の請負が増えてきて疲れていたから良い気晴らしになったわ」
「あっという間に終わったわね。文化祭」
数多は水筒に入れておいた紅茶と、出し物企画での余り物の栗のシフォンケーキを差し出す。大和も持ってきたお菓子を交換する。
「秋に見る花火もとても綺麗ね」
上がる花火の綺麗さにため息をついて。
グラウンド近くの芝生に腰を下ろして、お菓子をつまむ。
「栗が美味しい季節ね。実は私も『栗餡のかるかん』を持ってきたのよ。和菓子を扱っている出し物があってそこでね。数多さんのことだから紅茶を持ってきてくれると思ったの。紅茶にも合いそうな和菓子といえばこれかと思ってね」
「大和さんのもおいし。このお菓子かるかんっていうのね」
「数多さんの紅茶、栗のシフォンにも和菓子にもあうブレンドね。さすがだわ」
「わりと美味しいでしょ? それ。生クリームつけたほうがもっと美味しいのだけれども、そっちは売り切れ。それともカロリー控えめでいいのかしら?」
「カロリーは……そうね。今日は特別オーバーしても良いことにしておくわ。数多さんは食べている以上に鍛錬で消費していそうね」
クスクス笑いながら他愛ない女子トーク。
1年前ならきっとこんなふうに笑えなかった。
「あのね、大和さん。ひとついい? これからも、仲良くしてね?」
「私も数多さんに出会えてよかったわ。こちらこそよろしくね」
●
同じ学年の友達である月歌 浅葱(CL2000915)と守衛野 鈴鳴(CL2000222)は一緒にほのぼの楽しく花火で遊ぶ。
「ふっ、花火の締めはやっぱりこれですねっ。線香花火っ。散る儚げな火花に趣があるのですよっ。いざっ……」
浅葱が勢いよく線香花火に火をつける。
が、ぽとっと小さな花はすぐに落ちてしまう。
「むむむっ、難しいですねっ」
「空を彩るおっきな花火もいいですけど、こういうのも雰囲気があって、キレイですよね」
「鈴鳴さんほど持たせたいですけどっ。これは……練習あるのみですねっ」
ぐっと励むが……また、ぽとん。
「むむ、たおやかさが必要ですかねっ。鈴鳴さんみたいなっ」
「たおやかだなんて……私、聞いたことあるんです。火薬の所を捻って少し斜めに傾けると、長持ちするらしいんですよっ」
照れくさそうに鈴鳴は笑って。
二人でお喋りしながら豆知識を実行し試行錯誤。
「こうして揺らして花火同士近づけても大丈夫っ。はっ、くっついちゃいましたねっ」
「わ、わっ。くっついちゃった……もしかすると、仲良しさんになったのかも知れませんね」
「儚いものも熱い心で集まると強くなるっ。そんな気がしませんか? 素敵な絆の輝きですねっ」
「こんな風に誰かと繋がって、一層明るく輝くようになって。そういう風になれたら、とっても素敵ですよねっ」
明かりにほのかに照らされながら満面の笑み。
そんな風に仲良くなれたら……嬉しい。
「あ、でも、これ以上くっつけたら落ちちゃうかな……」
「むむっ、もっと追加して大玉にしちゃうの禁止ですかっ」
空に咲く華、賑やかな笑い声。
すれ違う生徒が「先生」と彼に声を掛ける。
その声が、心地よい。
隣に居る彼を見る、頬が緩むのが自分でも分かる。
冷泉 椿姫(CL2000364)はアーレス・ラス・ヴァイス(CL2000217) の手をそっと握る。
(何とか花火を一緒に見られるようには間に合わせたが……)
思った以上に忙しかったアーレスは方々を駆け回る羽目に。
すっかり妻を放っておく形になってしまった。
妻の手を握る力が少しだけ強くなる、寂しがらせたかと心配して妻の横顔を見た。
美しい。
本当に嬉しい時の彼女の表情、彼が彼女に惹かれた表情。
花火が夜空を照らす。だが隣には花火よりずっと綺麗な存在がある。
一緒に居られることを素直に嬉しいと思う。
二人して空を見上げれば。
花火が華やかに空を彩り、輝く。
「アーレス先生」
妻に先生と呼ばれるのは気恥ずかしい、過去をよく知るこの人に言われるのは尚更だ。
人妖を憎み、覚者も自分も全てを憎んだ者が共に生きたいと願った。
(彼の生徒達を見つけたら、そのまま引っ張っていきましょうか。折角の学園祭ですから、素敵に仕事をしている時の貴方の姿を、もう少し見ていたい)
学園祭は、仕事の姿を見る事が出来て。
孤児院の時とも、少し違う先生の姿がそこにはあって。
「わたしのたったひとりあいしたひと」
知り合いに会ったら紹介しましょう。
私の隣に居てくれる人を。
「わたしだけのだんなさま」
素敵な先生だと、思っていますよ。
「はー遊んだ遊んだー!! バトルロワイヤルで全力で戦い、仮装喫茶店で仮装して売り子をし、あちこち模擬店巡りもし……遊び尽くした!! 今日はほんと、いい一日だったなあ」
鹿ノ島・遥(CL2000227)は、満足げだ。
「でも、祭りももう終わりかと思うと、寂しい気持ちになってくるなあ。後悔は無いけど、なんか今日という日が終わるのがすごく惜しい……」
少し寂しそうな顔をして、キャンプファイヤーを見つめる。逆に興奮しているのはウィチェ・F・ラダナン(CL2000972)だ。
「キャンプファイヤーをこうして間近で見るの初めてです! なんでしょう、凄く気持ちが騒がしくなります。わー!って感じです! 皆さまはわー!ってなりませんか? わー!」
「キャンプファイヤーって言ったらマイムマイムだよね。この日の為の授業でも練習したしね」
工藤・奏空(CL2000955)の提案に、紅茶を飲む陽渡・守夜(CL2000528) をはじめ皆も乗り気だ。
「フォークダンスか、やったことないけどやってみるよ」
「わ……マイムマイムですか? 男女の出会いの踊りと聞いたことがあります! 素敵な恋の始まりになったり……い、いえなんでもないです!」
「えっ、マイムマイム? ええと、なんか手を繋いで踊るやつだっけ? そっか、キャンプファイヤーが目の前にあるんだもんな……ふんっ!」
遥は己の頬をパンッと叩き。
「よし、踊るか! 祭りの最後のシメに、思いっきり思い出になるように!」
「あ……あの……宜しくお願いします」
「もちろん参加します! マーイムマイムー♪」
おずおずと手を差し伸べた奏空の手を、ウィチェが掴んで踊り出す。遥は何やら空手の型のようになっていた。
「……緊張して足を踏んでしまったら申し訳ないです……その時はワタシの足も踏んでください……!」
「大丈夫、きちんとエスコートするから」
代わる代わるの相手を守夜は、真面目に務めた。
(実は私、今まで噂には聞いてはいたのですが、「マイムマイム」を踊った事がありません……)
未経験者の賀茂 たまき(CL2000994)は仲間の冗談も真に受ける。
「このリズミカルでコミカルな音楽はほんと楽しいよね! でもマイムってなんだろ? こうやって皆でたき火を囲ってぐるぐる怪しげな踊り踊って。まさか魔神「マイム」召喚する儀式……! とかじゃないよね」
「皆さんの踊りを見ながら、見よう見まねになってぎこちない踊りになってしまうかも知れませんが……魔神マイムさんを召喚する為に頑張って踊りますね!」
変な話をしながらも楽しく踊り。
こうして皆の思い出が作られる。
花火もやって、観て。今年の夏から秋にかけて、色々な事を体験できた事がよみがえった。
(此処に来て良かった)
沢山の初めてを体験出来た。
「マイムマイムも初めてでしたし、楽しかったです!」
「花火が上がるから何か食べ物を買ってから行こうか。ええっと、たこ焼きあるかなぁ」
「祭りに俺を誘うなんて。あんた、変わり者だよね」
依頼で知り合って親しくなった阿久津 亮平(CL2000328)と黒桐 夕樹(CL2000163)は、賑やかな空気を肌に感じながら歩いていた。亮平は露店でたこ焼きと、林檎飴を1つと烏龍茶も買う。夕樹は串焼きに目が行き数本購入。ついでにベビーカステラも……こういう時しか、あんま食べないし。
「たこ焼き、久しぶりに食べるなぁ。いただきます」
まずは一口。
すると、熱気が亮平の口の中で爆発した。
(……っ。どうしよう、思ってた以上に熱いっ。でもはふはふ熱がってる所を見られるわけには……横向いて見られないようにしようそうしよう)
腕時計で時間を確認し、亮平に話しかけようとして夕樹は疑問符を浮かべた。
「……阿久津さん、なんで横向いて食べてるんですか」
無表情ながら小首を傾げて相手を見遣る。
「……なんか、涙目になってません?」
「な、泣いてないよ」
懸命な努力の末。
何とか咀嚼。
「……はぁ、熱かったけど美味かった。たこ焼き、黒桐君も食べる?」
亮平のたこ焼きを受け取る。夕樹は串焼きを渡した。
「串焼きくれるの? ありがとう、こんがりしてて美味そうだね」
「後で、カステラも食べます?」
「カステラもくれるの? わぁ、懐かしいな。黒桐君は林檎飴好き? よかったら後で渡すね」
料理を食しているうちに、いよいよ時間だ。
最初の光の花が高く上がる。
「あ、花火があがった。そうだ、次は何色が上がるか当てっこしない? 俺は赤だと思うなぁ」
亮平は楽しげだ。。
夕樹は相手の横顔をチラリと見て。
「……じゃ、俺は黄色」
そう呟くと、打ちあがる花火に再び目を移した。
次の花火が赤だったらいい……なんて、ほんの少し思い浮かべて。
「お越し下さってありがとうございました」
柳 燐花(CL2000695)は学園祭に誘った蘇我島 恭司(CL2001015)をあちこちご案内して……花火で一日の締めくくり。
「いやいや、燐ちゃん助かったよ! 一人で動いてたら、どこが花火見物に良いかなんてわからないからね!」
喧騒も少なく、視界も広い。
良い場所を二人は確保する。
「お仕事で力を使ってばかりだと疲れますし、日常は大切なものです」
「うんうん、日常は大切だからねぇ……燐ちゃんも学校生活を大事にね?」
こういう事を最大限に楽しめるのが、学生の特権だ。
恭司の学生時代の話もいつか聞いてみたいと、燐花は思う。
「あの。勉強で、分からない所をお伺いしてもいいでしょうか」
「あー……うん、勉強ね! 僕もやったのは大分昔だからなぁ……出来る限りでよければ、燐ちゃんの力になるよ」
と話していて、ふと。
花火が二人を照らす。
「蘇我島さんと出会ってから、私、結構お喋りになったような気がします」
それは、きっと自分の拙い話を上手に拾ってくれるから。
……だから。
「言葉無しに分かり合えれば良いけれど、そうなるにも会話は大事だからね……燐ちゃんが会話を好きになってくれて良かったよ!」
恭司も燐花も花火から視線を移し。
真っ直ぐにお互いを見つめる。
「まだいろいろお話したいから……これからもよろしくお願いします」
――大事なひとなのです。
「此方こそ、これからもよろしくね、燐ちゃん」
――花火を見る燐ちゃんを撮りたかったけど……無粋だし止めとこう。
●
「たまきちゃん元気ぃ? 今日もたまきちゃんは可愛いですねぇ……えへへー」
秋ノ宮 たまき(CL2000849)にとって、ルームメイトで二つ上の従姉の三峯・由愛(CL2000629)はなんでも話せるいい友達だった。でも今夜はほろ酔い加減で、ふにゃふにゃしてて心配だ。
「このジュース、とっても美味しいですねぇー」
「お酒の飲みすぎよ……?」
「ねーねー膝枕してぇ? ねぇ?」
たまきちゃんと滅茶苦茶いちゃいちゃしたい……そんな声が聞こえるかのようだった。由愛は少し酒を飲んだだけで、酔っ払い状態。甘い声で擦り寄る。たまきは、膝枕に寝かせた由愛を介抱。冷えタオルを額にのっける。
「たまきちゃんの膝とっても気持ちいいですよぉ」
「ちょ、動かないで 膝がむずむずくすぐったいよ……由愛ねーさん」
膝上でごろごろする由愛に対し、たまきはかあと赤面する。
(いけない、うっかり子供の頃の呼び方がでちゃった!)
「……ねーさん呼び、おねーちゃん嬉しいなぁ、うふふー」
「由愛ねーさ……今のなし! はじめからやり直し!」
二人の、いちゃつきはまだ続く。
「学園祭も終わりか。さぁて後夜祭も水無月と一緒に楽しむかな」
極道とお嬢様。
浅葱 枢紋(CL2000138)と水無月 ひさめ(CL2000230)も後夜祭に参加する。
「やっぱ後夜祭と言ったらフォークダンスだよな。水無月、踊りに行こうぜ!」
(あ、憧れの先輩と踊ることになりました……! どうしよう、どうしよう……! ドキドキする……っ)
フォークダンスを踊りに枢紋は皆の輪の中に入るが、相手が来ないのを心配し戻って来る。ひさめは人見知り&恥ずかしがり屋の為、あまりの人の多さに目をぐるぐると回していた。
「せ、せんぱい……ご、ごめん、なさい……やっぱり、むりです……ごめんなさい」
「水無月、どうしたんだ? ……あぁわりぃ、失念してたぜ。んじゃ、ちょっとこっちに来いよ」
泣きそうになりながらひさめは枢紋の服の裾を掴む。
極道の少年は、令嬢の手を引いて人気の無い場所迄エスコートした。
「ほらここなら誰も見てねぇし誰もいねぇから気が楽だろ? だからさ、俺と踊ってくれませんか? 我が愛しのプリンセス……」
跪いて左手の甲にキス。
照れ笑いが漏れる。
「……って柄じゃねぇな。でもまぁ後夜祭だし楽しもうぜ?」
「ここなら静かで大丈夫、です。ありがとうございます、先輩って優しい、ですね」
ひさめは頬を染めながら微笑み。
二人きりで、打ち上がる花火の下で踊った。
(水無月、笑顔になって良かった……又思い出作りに行くかな)
(……また先輩とこうやって思い出をつくりたい、な)
●
明石 ミュエル(CL2000172)と円 善司(CL2000727)は、キャンプファイアーの傍に一緒にいる。今はまだ、友達以上恋人未満な距離感だ。
「こういう機会でしか、出来ないこと……焼きマシュマロ、作ってみよう……」
「事前に買っておいたマシュマロを焼こうぜ。もちろんキャンプファイアーで」
若干熱いけど我慢。
夜の火に、善司の金色の左目がちらちら輝く。
「円くんは、焼きマシュマロって、初めて……? アタシは……こないだ、キャンプで、作って……美味しかったから、また作ってみたいなって……思ってたの……」
「これあれだろ、外国で人気のおやつなんだろ。名前忘れたけど」
「焦げないように、気を付けながら……全体が、キツネ色になったら、クラッカーで挟んで……火傷しないように、気をつけながら、熱いうちに、ね……」
「割り箸に刺して焼いて、板チョコ割って一緒にビスケットで挟んで……よし」
出来たてを、善司はミュエルへと差し出す。
「おひとつ、どうぞ。めちゃくちゃレアな、俺の手料理だぜ?」
熱々のお菓子を食べる。
「俺にとっては最初で最後、高校での学園祭参加になる訳で。いつもサボってたからなぁ……ちゃんと出とけばよかった。今年はミュエルちゃんと一緒に楽しめてよかったよ。有難うな、ミュエルちゃん」
「地元では、友達いなかったから……学園祭って、あんまり、楽しくなかったけど……今年は、友達も、いるし……円くんと、一緒に居られたから……今までで一番、楽しい学園祭、だったよ……」
「……あのさ、また来年も……や、なんでもない。独り言」
「?」
鳴神 零(CL2000669)と明智 珠輝(CL2000634)は待ち合わせ。
「夏、早かったなぁ。もうちょっと夏らしい事したかったのだけど……」
だもんで浴衣姿の零である。
(明智さんと花火どっち見ればええねん! って見られてる!)
「……ふふ、夏は終わったと思っておりましたのに……! 浴衣の零さん、お美しいです……!」
珠輝の方は、むしろ花火より零さんをうっとりガン見。
(鳴神なんか見ても何もないでしょうに)
ウロウロオロオロ。
「変質者じゃなく、苦手なんです男性……ごあああ!」
真っ赤な顔を見られない為に、零は狐面を被りながら微妙な距離保つ。
(ああッでも近づきたい!)
「あぁ、失礼いたしました、見すぎですねそうですね」
珠輝は手をポムと叩き。
「あ、忘れてました」
がさごそ鞄を漁り、取り出したるは――
「天狗ゥゥ!!」
「似合いますか? ふふ」
真っ赤で立派なお鼻の天狗面を珠輝は被る。
「これなら近づけますかね、ふふ」
ド変態です弄んでください。
そんなオーラが見えるかのよう。
でもささやかな優しさが凄く嬉しい。
「ふふー、これじゃあ覚者っていうより妖ですねっ」
「今日は零さんとデートですので、少しでも距離を縮められればな、と……」
「……え!? デート!?」
精神的にも物理的にも
狐と天狗の距離が近付く。
(デートとは恋人同士がやるもので私達はファァァアなんか胸きゅんきゅんしたぁぁもっと明智さんの事知りたいなって思った☆)
「おや、夜風が強くなってきましたね……零さん、寒くありませんか?」
舞い上がる零に、珠輝は己のジャケットを渡すが――ここで終わらないのが彼である。
「あ、これでは薄手ですかね」
更に脱ごうとする露出狂。
「あっやめて脱がないで」
……恋かな。
●
「五麟祭も終わりか……冬佳さんは楽しめたかい?」
適当に陣取って座って、キャンプファイヤーを眺めながら。
酒々井・千歳(CL2000407)は水瀬 冬佳(CL2000762) にペットボトルのお茶を手渡す。
「見ている専門ですが……まあ。見ているだけでも面白いものですね、文化祭って」
ありがとう、とペットボトルを受け取りつつ。
同じくキャンプファイヤーを眺めながら、冬佳は隣に座る千歳とお喋りに興じた。
「酒々井君の方こそ、どうでした? 五麟祭……高校の文化祭は」
「この間の夏祭りもそうだったけれど、こういう雰囲気は嫌いじゃないね」
賑やかな所を見ているだけでも、自分もその一部になれた気がするし。
と言っても、それだけじゃまたいつも通りだろうし……何か引っ掛かるものがあるのも確かだ。
「あぁ、そうだ。何時だったか、前の学校でフォークダンスを授業で習ったよね」
――俺は踊る事は無かったけど。
「ええ。確かにやりましたね、フォークダンス」
――授業で習っただけで、それ以外で踊った事が無いのは私も同じなのだけど……私は機会があっても踊らなかっただけで。
「どうかな、俺と踊ってくれないかい? 冬佳さん。君となら良い思い出になると思うから」
千歳は手を差し出して、彼女の返答を待って。
冬佳は誘いに戸惑いつつ。私で良いのか、と彼を真っ直ぐに見返して。
「……喜んで。初めての踊り、確かに良い思い出になりそうです」
微笑を浮かべて応え、少女は手を取る。
了承を得た少年は柔らかな手を引いて――二人で踊りの輪に加わった。
「見てるだけじゃつまらない。私達も踊りましょ!」
「うーん、私酔っ払っちゃってましたか? すみません……せっかくのキャンプファイヤー、ダンスしないと勿体ないですね」
たまきは由愛の手を引っ張り、キャンプファイヤーを囲んでダンスを踊る。
「今年の夏は色んな体験をした。一生忘れられない事も。FiVEに所属して依頼を受け始めて……大変な事もあるけど充実してる。由愛はどう?」
「私も……戦って傷つくことも多いですけど、ここに来る前よりずっと楽しいと思います。これからも、一緒に頑張りましょうね?」
酔いは醒めたはずなのに。
由愛は頬を上気させた。
「わたあめは食べられるし花火も食べれるのかなー?」
八百万 円(CL2000681) は、食べ物をむしゃむしゃ食べて花火振り回して走り回っていた。
「おかしーはなびーふじーたなかー」
ゲイル・レオンハート(CL2000415)は、皆の様子を肴にする。
「楽しかった五麟祭ももうすぐ終わりか……昼間は楽しく参加したことだし、夜は静かに過ごしてみるとしようか」
自分で作っておいたクッキーを食べながら。酒を飲み、静かに浸る。皆でワイワイ賑やかに見る花火も良いものだが、こうやって静かに、空に咲く光の花を眺めるのもまた悪くない。
「覚者も一般人も関係なくこうやって皆が同じ場所で楽しく騒いで飲んで……こんな日々を守るためにも明日からまた頑張っていかないとな」
だが、今は一先ず祭を最後まで楽しむとしよう。
だって祭りはまだ終わってはいないのだから。
「未来のことを考えるのも大事なことだが、今としっかり向き合うことも大事なことなのだ、うむ」
酒々井 数多(CL2000149)と環 大和(CL2000477)は一緒に花火をみながら祭を過ごしていた。
「なんだかいろいろ回って疲れちゃった」
「わたしもいろいろ回ってみたわ。最近学園生活よりも仕事の請負が増えてきて疲れていたから良い気晴らしになったわ」
「あっという間に終わったわね。文化祭」
数多は水筒に入れておいた紅茶と、出し物企画での余り物の栗のシフォンケーキを差し出す。大和も持ってきたお菓子を交換する。
「秋に見る花火もとても綺麗ね」
上がる花火の綺麗さにため息をついて。
グラウンド近くの芝生に腰を下ろして、お菓子をつまむ。
「栗が美味しい季節ね。実は私も『栗餡のかるかん』を持ってきたのよ。和菓子を扱っている出し物があってそこでね。数多さんのことだから紅茶を持ってきてくれると思ったの。紅茶にも合いそうな和菓子といえばこれかと思ってね」
「大和さんのもおいし。このお菓子かるかんっていうのね」
「数多さんの紅茶、栗のシフォンにも和菓子にもあうブレンドね。さすがだわ」
「わりと美味しいでしょ? それ。生クリームつけたほうがもっと美味しいのだけれども、そっちは売り切れ。それともカロリー控えめでいいのかしら?」
「カロリーは……そうね。今日は特別オーバーしても良いことにしておくわ。数多さんは食べている以上に鍛錬で消費していそうね」
クスクス笑いながら他愛ない女子トーク。
1年前ならきっとこんなふうに笑えなかった。
「あのね、大和さん。ひとついい? これからも、仲良くしてね?」
「私も数多さんに出会えてよかったわ。こちらこそよろしくね」
●
同じ学年の友達である月歌 浅葱(CL2000915)と守衛野 鈴鳴(CL2000222)は一緒にほのぼの楽しく花火で遊ぶ。
「ふっ、花火の締めはやっぱりこれですねっ。線香花火っ。散る儚げな火花に趣があるのですよっ。いざっ……」
浅葱が勢いよく線香花火に火をつける。
が、ぽとっと小さな花はすぐに落ちてしまう。
「むむむっ、難しいですねっ」
「空を彩るおっきな花火もいいですけど、こういうのも雰囲気があって、キレイですよね」
「鈴鳴さんほど持たせたいですけどっ。これは……練習あるのみですねっ」
ぐっと励むが……また、ぽとん。
「むむ、たおやかさが必要ですかねっ。鈴鳴さんみたいなっ」
「たおやかだなんて……私、聞いたことあるんです。火薬の所を捻って少し斜めに傾けると、長持ちするらしいんですよっ」
照れくさそうに鈴鳴は笑って。
二人でお喋りしながら豆知識を実行し試行錯誤。
「こうして揺らして花火同士近づけても大丈夫っ。はっ、くっついちゃいましたねっ」
「わ、わっ。くっついちゃった……もしかすると、仲良しさんになったのかも知れませんね」
「儚いものも熱い心で集まると強くなるっ。そんな気がしませんか? 素敵な絆の輝きですねっ」
「こんな風に誰かと繋がって、一層明るく輝くようになって。そういう風になれたら、とっても素敵ですよねっ」
明かりにほのかに照らされながら満面の笑み。
そんな風に仲良くなれたら……嬉しい。
「あ、でも、これ以上くっつけたら落ちちゃうかな……」
「むむっ、もっと追加して大玉にしちゃうの禁止ですかっ」
空に咲く華、賑やかな笑い声。
すれ違う生徒が「先生」と彼に声を掛ける。
その声が、心地よい。
隣に居る彼を見る、頬が緩むのが自分でも分かる。
冷泉 椿姫(CL2000364)はアーレス・ラス・ヴァイス(CL2000217) の手をそっと握る。
(何とか花火を一緒に見られるようには間に合わせたが……)
思った以上に忙しかったアーレスは方々を駆け回る羽目に。
すっかり妻を放っておく形になってしまった。
妻の手を握る力が少しだけ強くなる、寂しがらせたかと心配して妻の横顔を見た。
美しい。
本当に嬉しい時の彼女の表情、彼が彼女に惹かれた表情。
花火が夜空を照らす。だが隣には花火よりずっと綺麗な存在がある。
一緒に居られることを素直に嬉しいと思う。
二人して空を見上げれば。
花火が華やかに空を彩り、輝く。
「アーレス先生」
妻に先生と呼ばれるのは気恥ずかしい、過去をよく知るこの人に言われるのは尚更だ。
人妖を憎み、覚者も自分も全てを憎んだ者が共に生きたいと願った。
(彼の生徒達を見つけたら、そのまま引っ張っていきましょうか。折角の学園祭ですから、素敵に仕事をしている時の貴方の姿を、もう少し見ていたい)
学園祭は、仕事の姿を見る事が出来て。
孤児院の時とも、少し違う先生の姿がそこにはあって。
「わたしのたったひとりあいしたひと」
知り合いに会ったら紹介しましょう。
私の隣に居てくれる人を。
「わたしだけのだんなさま」
素敵な先生だと、思っていますよ。
「はー遊んだ遊んだー!! バトルロワイヤルで全力で戦い、仮装喫茶店で仮装して売り子をし、あちこち模擬店巡りもし……遊び尽くした!! 今日はほんと、いい一日だったなあ」
鹿ノ島・遥(CL2000227)は、満足げだ。
「でも、祭りももう終わりかと思うと、寂しい気持ちになってくるなあ。後悔は無いけど、なんか今日という日が終わるのがすごく惜しい……」
少し寂しそうな顔をして、キャンプファイヤーを見つめる。逆に興奮しているのはウィチェ・F・ラダナン(CL2000972)だ。
「キャンプファイヤーをこうして間近で見るの初めてです! なんでしょう、凄く気持ちが騒がしくなります。わー!って感じです! 皆さまはわー!ってなりませんか? わー!」
「キャンプファイヤーって言ったらマイムマイムだよね。この日の為の授業でも練習したしね」
工藤・奏空(CL2000955)の提案に、紅茶を飲む陽渡・守夜(CL2000528) をはじめ皆も乗り気だ。
「フォークダンスか、やったことないけどやってみるよ」
「わ……マイムマイムですか? 男女の出会いの踊りと聞いたことがあります! 素敵な恋の始まりになったり……い、いえなんでもないです!」
「えっ、マイムマイム? ええと、なんか手を繋いで踊るやつだっけ? そっか、キャンプファイヤーが目の前にあるんだもんな……ふんっ!」
遥は己の頬をパンッと叩き。
「よし、踊るか! 祭りの最後のシメに、思いっきり思い出になるように!」
「あ……あの……宜しくお願いします」
「もちろん参加します! マーイムマイムー♪」
おずおずと手を差し伸べた奏空の手を、ウィチェが掴んで踊り出す。遥は何やら空手の型のようになっていた。
「……緊張して足を踏んでしまったら申し訳ないです……その時はワタシの足も踏んでください……!」
「大丈夫、きちんとエスコートするから」
代わる代わるの相手を守夜は、真面目に務めた。
(実は私、今まで噂には聞いてはいたのですが、「マイムマイム」を踊った事がありません……)
未経験者の賀茂 たまき(CL2000994)は仲間の冗談も真に受ける。
「このリズミカルでコミカルな音楽はほんと楽しいよね! でもマイムってなんだろ? こうやって皆でたき火を囲ってぐるぐる怪しげな踊り踊って。まさか魔神「マイム」召喚する儀式……! とかじゃないよね」
「皆さんの踊りを見ながら、見よう見まねになってぎこちない踊りになってしまうかも知れませんが……魔神マイムさんを召喚する為に頑張って踊りますね!」
変な話をしながらも楽しく踊り。
こうして皆の思い出が作られる。
花火もやって、観て。今年の夏から秋にかけて、色々な事を体験できた事がよみがえった。
(此処に来て良かった)
沢山の初めてを体験出来た。
「マイムマイムも初めてでしたし、楽しかったです!」
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし

■あとがき■
後夜祭へのご参加ありがとうございました。
プレイングはどれも楽しく読ませてもらいました。
皆さんのおかげで、お祭りに色々と華を添えることが出来ました。楽しい想い出の、一つになれれば幸いです。
プレイングはどれも楽しく読ませてもらいました。
皆さんのおかげで、お祭りに色々と華を添えることが出来ました。楽しい想い出の、一つになれれば幸いです。
