<南瓜夜行2018>お祭りの不安をはらい楽しもう
<南瓜夜行2018>お祭りの不安をはらい楽しもう


●十月はハロウィンの時期
 ハロウィン。
 元はケルトの感謝祭で、秋の収穫を行い悪霊を追いはらう宗教的な意味合いだった。それが巡り巡って、今では悪霊や英雄の仮装をして街を練り歩く夜のパーティとなっていた。祭りの意義は時代とともに変化する。ハロウィンもまた、時代により変化し続ける祭りのひとつだった。
 とまれ、十月の町はハロウィンによる仮装者であふれていた。本番である三十一日を待たずして様々な仮装で歩く人もおり、その中には古妖の格好をする者もいる。そしてそんな火葬に紛れて、本物の古妖も現れることもある。
 はいここまで去年のコピペ。今年は些か事情が異なっていた。
 七星剣の暗躍により、人の間では古妖に対する不安が広がっていた。FiVEもそう言った事件に対応しているが、人々の中にはある種の不安を抱える者もいる。つまり『そのつもりになれば古妖は人を殺すこともできる』という危惧だ。そう言ったものと共に祭りをすることに対する懸念は、小さいが確かに渦巻いていた。
 無論、今更ハロウィンを中止するわけにはいかないし、古妖に来るなと言っても聞いてくれるはずがない。ならば――

●ハロウィンていうかコスプレパーティの警備をお願いします
「トリックオアトリート! ハロウィンの警護だよー」
 久方 万里(nCL2000005)は集まった覚者達に向けて説明を開始する。あと御菓子頂戴とせがんできた。
「大きなハロウィンパーティがあるんだけどそこに古妖が混じってるかもしれない、って不安の声があるの。実際そこで古妖が暴れる事件を見たって夢見さんはいないけど、不安がる人はそれで納得しないの。
 なので、覚者が警護していますってことでハロウィンを行うことを承諾したみたい」
 何かあった時に対応できる人を用意する。古妖の存在に不安を抱える人もそういうことならと妥協したとか。
「警護方法は簡単! 仮装してパーティに参加すること。しかめっ面で注意を見るとかして空気壊しちゃダメだよ!」
 それは普通に仮装行進しているだけなのでは? と思われがちだが、周囲に溶け込むということは重要である。まさかFiVEがいるとは思わなかった、と相手の油断を誘うことが肝要だ。
「じゃあ頑張ってねー」
 ひらひらと手を振って送り出す万里。覚者達はその声に送られて会議室を出た。


■シナリオ詳細
種別:イベント
難易度:楽
担当ST:どくどく
■成功条件
1.コスプレしてハロウィンの警護をする
2.なし
3.なし
 どくどくです。
 仮装にかかる費用は自己負担で。

 三行でわかる説明!
 ハロウィンだ!
 怪しい奴がいるかも!(実際はいない)
 仮装しながら警護し、ついでにハロウィンを楽しんじゃえ!

●NPC
 にぎやかしで三名ほどいます。絡まれなければ空気と化します。
 あとどくどくのシナリオで出てきた七星剣以外のNPC(古妖も含む)が混じっているかもしれません。

●場所情報
 京都のメインストリート。ストリート全部がハロウィンコスプレパーティ会場となっています。露店やオープンカフェなどもあり、大盛況。『トリックオアトリートされる大人役』までいます。
 時刻は夜。周りにはいろいろな仮装をした人や、古妖がいます。大きさが違うとかざら。参加者も古妖が混じっているのは暗黙の了解として納得しています。「ああ、よくできたこすぷれだなぁ(棒」とか。
 メタな事を言うと、本当に何も起きません。ルールを守らないカメラマンが数名捕まる程度です。警護の名目でハロウィンを楽しんでください。

 皆様のプレイングをお待ちしています。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
(3モルげっと♪)
相談日数
6日
参加費
50LP
参加人数
20/∞
公開日
2018年11月06日

■メイン参加者 20人■

『スーパーコスプレ戦士』
立花 ユネル(CL2001606)
『五麟マラソン優勝者』
奥州 一悟(CL2000076)
『探偵見習い』
賀茂・奏空(CL2000955)
『想い重ねて』
蘇我島 燐花(CL2000695)
『想い重ねて』
蘇我島 恭司(CL2001015)
『エリニュスの翼』
如月・彩吹(CL2001525)
『地を駆ける羽』
如月・蒼羽(CL2001575)
『月々紅花』
環 大和(CL2000477)
『鬼灯の鎌鼬』
椿屋 ツバメ(CL2001351)
『涼風豊四季』
鈴白 秋人(CL2000565)
『ちみっこ』
皐月 奈南(CL2001483)
『天を翔ぶ雷霆の龍』
成瀬 翔(CL2000063)
『モイ!モイ♪モイ!』
成瀬 歩(CL2001650)
『居待ち月』
天野 澄香(CL2000194)
『天を舞う雷電の鳳』
麻弓 紡(CL2000623)


 仮装だらけの夜の街はまさに別世界。夜を練る歩く妖魔や英雄たちは互いを認め合いながら楽しく盛り上がっている。
「ゆねるんの今年の仮装は魔法少女なの!」
 銀髪のウィッグ、度入りカラコン(オッドアイ)、メイク、ピンクを基調とした衣装そしてなりきりの心。『スーパーコスプレ戦士』立花 ユネル(CL2001606)は入念に準備を重ね、今日と言う日を待っていた。ユネル自身の可愛さもあって、彼女の周りを多くの人が取り囲っていた。
「そしてエステルちゃんも似合ってるの!」
「あの、ありがとうございます」
 金髪の『エフィルディス』はユネルの相方魔法少女としてコスプレデビューしていた。最も当人にはその自覚もコスプレが何なのかもわかっていないようだが。
「エステルちゃんは癒し系だと思うから、ゆねるんは敢えてカッコイイ路線でいくの!
 基本はカメラに笑顔、そしてポーズ! やってみて!」
 コスプレの基本を色々教えこむユネル。こうして異邦人は世俗に染まっていくのであった。
(……『そのつもりになれば人を殺すこともできる』という点においては、私達覚者も同じなのですけれど……)
 古妖に対する街の不安の声を思い出しながら上月・里桜(CL2001274)は胸に手を当てる。だがそれも覚者に限ったことではない。刃物一つあれば人は人を殺せる。要は心の問題なのだ。
 白無垢の着物、白の衣被。憂いを含んだ表所はどこかはかなげさを感じさせる。さながらそれは春に消える雪女を彷彿させた。あるいは悲恋の中で魂を落とした女幽霊か。
「‥…いけません、お仕事ですね。街の人達と古妖さんには不安なく楽しんでいただかないと」
 ハロウィン柄の袋から取り出す御菓子。それはこの日の為に里桜が作ってきたものだ。得意の料理を振るう機会だ。大量のお菓子を参加者に配っていた。
「八起さんもひとついかがですか? 味見してみてくださいね」
「わあ、ありがとうございます! とってもおいしいですね」
 三つ目の少年はお菓子を受け取り、満面の笑顔を浮かべる。
「大丈夫だよ、怪我を見せて」
『秘心伝心』鈴白 秋人(CL2000565)は白衣と聴診器と言う医者の格好をし、街を見張っていた。祭りの高揚で発生するトラブルやそこで起きた怪我などを見て回っている。簡素な物なら応急手当で済まし、傷が深ければ源素を使っていた。
「せんせー。わたしもみてー」
「おいどんもー」
 中には傷があるのがデフォルトである死体蘇り系の古妖までやってくるのだが。
「はいはい。痛い所は何処かな」
 それをぞんざいに扱わないのが秋人と言う人間だ。たとえ冗談でも痛いと言った場所を見て、処理をする。例え真似事でも真剣に診るという行為で伝わることもあるのだ。
「レッツダンス!」
 掛け声と共に『鬼灯の鎌鼬』椿屋 ツバメ(CL2001351)が踊り始める。血とメイクをふんだんに使ったゾンビスタイル。胸に刺さった包丁が妙にリアルだった。そしてダンス仲間に声をかけてメイクしてもらい、ゾンビのダンスラインが完成していた。
 音楽とともに街を歩くゾンビ集団。映画のゾンビのようなノロノロとしたものではなく、ダンサーらしい張りのある動きだ。それでいて大きく叫んでから停止し、ゾンビらしさを失っていない。
「嵐山だったら渡月橋で牛若と弁慶やるんだけど、四条大橋じゃなちと様になんねえなぁ」
 言いながらメインストリートを歩く『五麟マラソン優勝者』奥州 一悟(CL2000076)。頭に嵌めた金の輪。赤い棒と赤い中華な着物。その姿はまさに西遊記の孫悟空。足元に雲を書いた段ボールをつけて、颯爽とハロウィンを進んでいた。
「あ、そんごくーだ。さるだー」
「とりっくおあとりーと」
 そんな一悟に近づいてくる子供達。一悟はあらかじめ用意しておいた御菓子やラムネを手にして、大げさに驚いた。
「なんて魔女と幽霊だ! この斉天大聖を驚かせるなんて!? お菓子をあげるからイタズラは許してくれ~」
「わーい。ありがとー」
 満足して去っていく子供達を見送り、一悟は次に脅かされる子供を探していた。
「……脅かされ、役? 大人って大変」
 そんな一悟を見ながら首をかしげる桂木・日那乃(CL2000941)。黒い三角帽子に黒い服。オレンジのリボンとカボチャのバスケット。そんな魔女の格好で日那乃はハロウィンの街を歩いていた。
「ハロウィン……お菓子、あげる……」
 日那乃は脅かす脅かさないにかかわらず、作ってきたカボチャクッキーを配っていた。上げる対象は子供だけじゃなく大人にも、である。ハロウィンがどうとかは関係なかった。
(ん。ほとんどの人は、古妖狩人や七星剣じゃない普通の人)
 昨今の空気による緊張をほぐすように日那乃は息を吐く。そして思考を切り替え、今を楽しもうと歩き出す。
「魔女仲間はっけーん!」
 元気よく野武 七雅(CL2001141)が日那乃を指差す。その手にはたくさんの食べ物。ただしこちらは屋台で買った物ばかりである。 焼きそば、たこやき、リンゴ飴。それぞれの屋台で購入したのか、焼きそばだけでも三つはある。
「魔女っ子同士で集合写真~」
 黒い三角帽子に黒いマント。手にはほうきをもってばっちりの魔女スタイル。そして七雅はおなじ魔女のコスプレをした人を見つけては、一緒に写真を撮っていた。そしてまた別の魔女や仮装行列を求めて走り出す。
「はわ! 警備を忘れて普通に楽しんでるの! ……でもこれが平和ってことなの!」
「そうなの。ナナンもそう思うのぉ!」
 七雅の意見に同意する『ちみっこ』皐月 奈南(CL2001483)。奈南は一足先にサンタのコスプレをしてハロウィンに参加していた。赤い帽子に赤い服。大きな袋を背負い、御菓子を貰うためにハロウィンの街を歩いていた。
「トリックオアトリート! なのだ!」
 明るく大きな奈南の声。それは祭りを明るく盛り上げ、世の不安を払しょくする様な元気を含んでいた。人を恐れてこの場にいない古妖がいるかもしれない。そんな古妖に来年こそ参加してもらうために奈南は大声で叫ぶのだ。
「今年来れなかった古妖ちゃん達も来年は参加出来るといいなぁってナナンは思うのだ!」
「…………」
 もふもふした毛玉を抱えながら『月々紅花』環 大和(CL2000477)は無言で手を動かしていた。黒いネコミミをつけた化け猫の仮装。大和の綺麗な黒髪もあって、その姿は和風の神秘を醸し出していた――すねこすりを抱いて一心不乱にぎゅっとしていなければ。
『すねこすりがいるならば、仮装で参加した人が転ばないように見張ってあげないといけないわね。後人より小さい古妖が踏まれないためにも保護しなくては』
 という名目で大和は小さい古妖や可愛い古妖を見つけては抱え上げ、安全な場所まで運んでいた。その際に抱きかかえたり、落としたりしないように強く抱きしめることがあるがそれは作業場避けれない事なのだ。
「…………はふ」
 抱きしめれば身を寄せるように応えるすねこすり。その感覚に大和は思わずため息をついていた。


「ここまで街に警戒の意識が高まっているのは件の七星剣の動きのせいなのでしょう」
 黒スーツに猫耳尻尾。そんな黒猫スタイルの篁・三十三(CL2001480)は街の空気を感じ取り静かに呟く。昨今の七星剣の動きは古妖と人間の仲を裂くように動いている。何が目的かは知らないが、平和を乱すのなら捨ててはおけない。
「しかしこんな格好、知り合いにバレたら――」
 ハロウィンで警備するため仕方ないとはいえ、今の自分の格好に少し恥ずかしさを感じる三十三。そこに、
「あ 三十三じゃない?」
「うん とってもよく似合ってる」
 黒い頭巾をかぶった『エリニュスの翼』如月・彩吹(CL2001525)と狼の耳と尻尾をつけた 『地を駆ける羽』如月・蒼羽(CL2001575)が声をかける。
「違います人違いです」
「何を言ってるんだ。よく似合ってるぞ」
 目を背ける三十三に、お構いなしとばかりにサムズアップして答える彩吹。蒼羽は三十三の気持ちを察して、苦笑していた。彩吹は諦めたように肩をすくめる三十三の方を叩く。
「せっかくだし一緒に街を歩こう」
「いや、警備が――」
「ああ、ごめん。パトロールしよう。御菓子配って回ろう」
「あ 御菓子は買ったものだから心配しないで」
 さりげなくフォローする蒼羽。そんな兄を睨む彩吹。そして三人は通りを歩きだす。
「とっりくおあとりーと! すみちゃん、いぶちゃん、つむちゃん、お菓子ちょーだい!」
 それを見かけた『モイ!モイ♪モイ!』成瀬 歩(CL2001650)が走って手を差し出す。とんがり帽子に竹箒。小さな魔女に三人は足を止めた。
「わーい、さとみんに耳としっぽあるよ! あゆみとおそろいだね、ほら!」
 三十三の格好を見て、歩はさんかく帽子を取って狐の耳を見せた。満面の笑みを浮かべてその手を引っ張ろとする。
「ねえねえ、一緒にあそぼう!」
「って、歩。さとみんの邪魔しちゃダメだろー」
「三十三くんは警備のお仕事中だから、遊ぶのはもうちょっと後で、ね?」
「いーんじゃない? 祭りに溶け込むという意味で」
 そんな歩を止めるように、狼男の『天を翔ぶ雷霆の龍』成瀬 翔(CL2000063)と白雪姫の『居待ち月』天野 澄香(CL2000194)が声をかける。その後ろから赤ずきん姿の『天を舞う雷電の鳳』麻弓 紡(CL2000623)がやってくる。
「すみちゃん、とりっくおあとりーと!」
「はい、どうぞ。可愛い魔女にはクッキーをあげますね」
 お菓子をねだる歩にカゴからクッキーを出して渡す澄香。そして澄香は翔の方に向き直る。
「ほら、翔くんも言わないと」
「澄香姉ちゃん、オレもう中学生だぜ。とりっくおあとりーととかするほど子供じゃないんだぜ、しねーよ!」
 澄香の言葉に、腕を組んで答える翔。大人のアピールだろうか。同じ狼の格好をした蒼羽の立ち方を真似しているのかもしれない。
「そうですね、中学生はもう子供じゃないので、それじゃあお菓子はいらないんですね?」
「うぐ……澄香姉ちゃんのクッキーは欲しい……。
 ま、まあ、未成年は子供だしな、うんっ! トリックオアトリート!」
 あっさり前言を翻す翔に小さくほほ笑み、クッキーを渡す澄香。少し大人びてきた翔に驚きながら、こういう所は変わらないと懐古していた。
「んー。、翔になら悪戯されてもいいよ?」
 そんな翔に紡がにまーっと笑って言い放つ。狼と赤ずきん。お話通りなら食べられる関係。
「言ったな。じゃあイタズラしてやる……って何したらいいんだ?」
「こういうことっ」
「むぎゅ」
 紡は翔の開いた口に御菓子を投げ込む。お化けのクッキーが翔の口の中で割れた。
「いぶちゃん澄ちゃんに可愛いーっ」
 その勢いのまま、紡は彩吹と澄香に抱き着いた。赤ずきんと黒ずきんと白雪姫。絵本の中から出てきたような光景だ。それを見守る狼二匹と魔女と黒猫。【宵闇】のハロウィン行進の始まりだった。
「翔くんは僕とお揃いだね」
「くぅ、やっぱり大人と子供の差は大きいぜ。オレも早く大きくなりたい!」
「覚醒したら大人になるのにね、相棒」
「そんなに慌てて大人にならなくてもいいと思いますよ」
「黒猫さんって魔女のつかいまだよね? だったら、さとみんはあゆみのつかいま決定なの!」
「なら仕方ないかな……はは」
「あ、あれ本物の古妖かも」
 そんなことを言いながらパレードを歩く七人。
 楽しい声は、まだまだ尽きそうになかった。


(たまきちゃんと警護と言う名目でデート! ……のはずだったんだけどなぁ)
 黒いマントに燕尾服。牙をつけた吸血鬼スタイルの『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)は魔女服を着ている『意志への祈り』賀茂 たまき(CL2000994)の方を見て肩をすくめた。
「みんなー、とりっくおあおりーと!」
『とりっくおあとりーと』
 正確にはたまきがつれている子供達の方を見て。
 奏空とたまきがつれているのは人間の子供だけではない。子供型の古妖も一緒に歩いていた。座敷童や変化した子ぎつね小だぬき。そう言った子供達と手を繋ぎ、ハロウィンを楽しんでいる。
「まあみんな仲良く過ごせるようにするのも目的だし、いいや!」
「どうしたんですか、奏空さん?」
「何でもない! ハッピーハロウィン!」
 吹っ切ったように奏空も掛け声をあげる。物陰から参加しずらそうにしている古妖を見つけては誘い、子供達に脅かされてお菓子を渡し。
「それじゃあ、イルミネーションだ!」
 火を吹ける古妖を見つけ、思いついたように奏空は手を叩く。古妖の力が怖くない、ということをアピールするために祭りを彩らせようと提案したのだ。
「私の合図で炎を放ってくださいね、せーの!」
 危険がないように配慮しながらたまきは魔女の杖を振るう。掛け声と共に赤青金と色とりどりの炎が夜の街を照らしていく。さながら音のない花火のように瞬きで消える幻灯。それを見ながら奏空はたまきの手を握っていた。
「奏空さん」
 ん、と振り向こうとする奏空の頬に柔らかい感覚が触れる。古妖の炎で映し出された二人の影が、そっと重なっていた。
「今日は、奏空さんも、お疲れ様でした。ふふ……!」
 間近で微笑むたまき。何をされたのかを悟る奏空。
 桃色の炎が、ハロウィンの通りを照らしていた。

祭りの喧騒から少し離れたところに、二人の吸血鬼がいた。 猫耳の可愛らしい女吸血鬼とマントが似合う中年に足を踏み入れかけた男の吸血鬼だ。
「吸血鬼って人間を餌にせずお互いに血を吸えば平和なのでは」
「確か吸血鬼同士だと、主従関係が生まれるんじゃなかったかな?」
『想い重ねて』柳 燐花(CL2000695)の言葉に『想い重ねて』蘇我島 恭司(CL2001015)は顎に手を当てて答える。
「ならば、私が従者ですね……。ってあの。それだと恋人さんから家族に代わるのですか?」
 頷く燐花。しかしふと気づいて問い返す。問いかける言葉にはこれまでの雑談にはない真剣さが含まれており、不安げに瞳が揺れている。
「恋人から家族って、そっち? 流石に、その答えは予想外だったかな。
 でも家族でもいい――」
 笑ってはぐらかそうとするが恭司だが、燐花は恭司のマントを握り、不安に震える声で精一杯の意地を示す。
「……姪っ子も、娘も嫌です……」
 恋人として見てほしい。青の瞳がそう訴えていた。恭司はそれに気づいて頭をかく。
「恋人から家族なら、夫婦になるんだよ」
 告げられた言葉に心臓が跳ね上がる燐花。平静を装いながら、何とか口を開いた。
「……こういう時は、不束者ですが、と言えばいいのでしょうか?」
「ちゃんとした告白は、もうちょっと先になるけど……ね?」
 真っ直ぐな言葉に照れる恭司。揺れる燐花の尾を見て、燐ちゃんも照れてるのかと安堵する。
「あの……ハロウィンの悪戯じゃないです、よ、ね?」
「悪戯されたのは僕の方なんだけどね。でもまあ――」
 こういうのも悪くない。そう思いながら、恭司は燐花を抱き寄せ、その頭を撫でた。


 感謝祭の仮装行列は大きなトラブルもなく終わる。
 人と古妖が手を取り合えるのか。ある人は言う。これはその証左だと。ある人は言う。これは偶々うまくいっただけだと。
 人を忌む古妖はいる。人を喰う古妖はいる。人を弄ぶ古妖はいる。
 だけど同様に、人を愛する古妖がいて。人とあそぶ古妖がいて。人の生活を共にする古妖がいる。
 その事実すべてを踏まえて、共に歩んでいくしかないのだ。
 
 ただいまは、祭の無事を祝おう。
 ハッピーハロウィン!
 

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
『カボチャランラン』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員




 
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