《島根動乱》吾輩の 裏をかくとはみご、うぎゃあ
《島根動乱》吾輩の 裏をかくとはみご、うぎゃあ


●島根県
 島根県を妖が跳梁跋扈する。
 誰かに命令されたかのように組織だって動く妖の群れは建物を壊し、人々を恐怖に貶める。妖の恐ろしさは単純な戦闘力の高さもあるが、人に対する凶暴性が最も脅威と言えるだろう。言葉も通じず、ただ人を襲う何か。それに恐怖せすにはいられない。
 そして島根を襲った妖には一様にして一つの特徴があった。
 その肉体に日本刀のような刃を宿しているのだ。

●八重垣神社
「この『発明王の生まれ変わり』、今回の動乱の真実を見切った」
 顎に手を当てて燕尾服を着た男がしたりと笑う。
「本当か、『発明王』!」
「さすが我らが頭脳! 稀代の天才! してその真実とは!?」
 燕尾服の男の言葉に賛同する覚者達。彼らは『偉人列伝』と呼ばれる前世持ちのみで構成された覚者組織である。自分達の前世が偉人だと信じてやまないちょっとまあ、思い込みの強い(オブラート包み)覚者達だ。
 彼らは妖の被害にあい行く当てのない人たちを護衛していた。兎にも角にも安全な場所を探さなければと探し回っていた時、燕尾服の男が何かにひらめいたようだ。
「今まで出会った妖は体の一部に日本刀を宿し、そして人を襲うよりも場所の占拠に力を注いでいる。おそらく何かの命令を受けているのだろう。
 となれば、妖が占拠しない安全地帯もあるはずだ!」
「成程確かに。してその安全地帯とは?」
『発明王』と呼ばれた男は指を立てて断言する。
「連中は刀を探しているという。ならばその刀のない場所――例えばこの八重垣神社などは安全圏だ。何せあそこは夫婦円満の神社。刃傷沙汰など縁遠い場所だからな。
 仮に妖が群れとなって近づいて来ても、鷹の目などで監視をすれば先にこちらが気付く。襲われる可能性としては妖がこの神社を目標としていて、かつ単体で攻めてきた時のみ。そのようなことなどないと断言しよう!」
 おお、湧き上がる感嘆の声。そして彼らは八重垣神社に移動する。一旦ここに腰を落ち着け、今後のことを考えようとした時――
「妖が迫って来たぞ!」
「馬鹿な、この『発明王』が裏をかかれただと!?」
 頭を抱える『発明王』。彼らは不意を突かれ、対応に遅れてしまった。

●FiVE
「ということがあるようです」
 言ってため息を吐く久方 真由美(nCL2000003)。燕尾服の覚者に悪意はなく、推測もあてずっぽうだが情報を無視しているわけではないので、一概に攻めることはできないと言った顔をしている。
「防衛に廻っている覚者達は不意を突かれて瓦解寸前です。皆さんは八重垣神社に向かい、妖を止めてください」
 八重垣神社の地図と、妖のデータが渡される。防衛している覚者達は不意を突かれてほとんどが戦闘不能だ。戦力としては当てにしない方がいいかもしれない。
 妖が神社占拠を優先するとはいえ、そこに人がいれば襲い掛かってくるだろう。放置していい案件ではない。
「背後に高ランクの妖がいることはほぼ確定しています。どうか気を付けて」
 心配するような真由美の声を聞きながら、覚者達は現地に向かった。


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:普通
担当ST:どくどく
■成功条件
1.妖の打破
2.なし
3.なし
 どくどくです。
 島根動乱パワースポット編その二。

●敵情報
・処刑人(×1)
 心霊系妖。ランク3。首切り用の日本刀を持った幽霊です。白装束を着た侍の姿をしています。
 宙を舞う刀を使役しています。

 攻撃方法
斬る 物近列  手にした日本刀で切り裂いてきます。
慈悲 物近単  回復による癒しを止め、潔く死ねるようにします。【致命】【必殺】
怨念 特遠列  怨霊の声で不快感を与えます。【呪い】
呪突 特近貫2 呪いの力を凝縮し、真っ直ぐに突き出します。(100%、50%)

・飛燕(×2)
 物質系妖。ランク1。空を舞う刀です。飛行を持たないキャラのブロックを無視します。

攻撃方法
斬る 物近単 自身を回転させて切り裂いてきます。
舞う 物近単 舞うように斬り裂いてきます。【二連】【溜1】

●NPC
・偉人列伝
 前世持ちだけで構成された覚者グループです。そのほとんどが倒れています。戦闘可能なのは『発明王の生まれ変わり』だけで、体力と気力が半減している状態です。

『発明王の生まれ変わり』山田・勝家
 過去に何度か(割としょーもない経緯で)FiVEと抗戦した覚者です。前世持ちの木行。体力と気力が半分の状態です。なお山田の状態は成功条件に関係ありません。
『錬覇法』『葉纏』『仇華浸香』『大樹の息吹』『覚醒爆光』『韋駄天足』等を活性化しています。

●場所情報
 島根県八重垣神社。時刻は昼。明るさや足場、広さなどは戦闘に影響しません。
 戦闘開始時、『発明王(×1)』が敵中衛に、『処刑人(×1)』『飛燕(×2)』がいます。
 事前付与は一度だけ可能です。
 
 皆様のプレイングをお待ちしています。

状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(1モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
4/6
公開日
2018年05月11日

■メイン参加者 4人■



「八重垣神社って島根のパワースポットの一つなのよ。スサノオノミコトとイナタヒメノミコトの夫婦神を奉っている」
 移動中、歴史に詳しい芦原 ちとせ(CL2001655)が今回の戦闘場所である神社について教えてくれた。中学教諭ということもあって、それなりに知識のある関係者から話を聞いていたのだろう。
「なんでもイナタヒメノミコトが地面に植えた二本の椿の枝が芽吹いて一つになった夫婦椿というのがあって、一心同体や夫婦愛の象徴になっているみたい」
「確かに争いごととは無関係に思えますね……」
 上月・里桜(CL2001274)はちとせの説明に首をひねる。島根を襲っている妖は人を襲うよりも、誰かに統率されるように動いている。妖の凶暴性からすれば珍しいことだ。さらに言えば夫婦円満を謡う神社を襲うというのは考えにくい。
「神社そのものが何らかの力を持っているとか……。特異点なのでしょうか?」
「可能性は、あるよね……」
 里桜の言葉に頷く『ホワイトガーベラ』明石 ミュエル(CL2000172)。特異点と呼ばれる場所が持つ土地の力。その力は人間の源素や古妖の妖力などとは、比べ物にならないと言われている。もし妖がそれを得ようとしているのなら――?
(もしかしたら、被害は島根だけじゃ……なくなる、かもしれない……)
「旅芸人一座の『いじんれつでん』の一人、山田ルイ54世ちゃんを助けるのだ!」
 青ざめるミュエルの隣で『ちみっこ』皐月 奈南(CL2001483)が元気よく声を出す。五四代も続く山田王朝の最後の一人。彼が潰えれば山田王朝は滅び、この世の光が消えてしまうのだ。そうならないために奈南は戦う――なんてことはなく。
「助けるのが終わったら、芸を一つずつ見せてもらうんだからぁ!」
「……ああ、円周率ダンス……」
 山田の芸を知っているミュエルは、そう言えばそんなことあったなぁ、程度に呟いた。事実今はそこが問題ではない。
 現場に到着した覚者は現状を確認する。倒れ伏す覚者。戦場外に避難した人達。唯一残った『発明王』が倒れれば、妖は境内に雪崩れ込むだろう。そこにいる人達は神社占領の目的で殺されるだろう。
「くぅ。死ぬ前に鬼盛シビカラキムチラーメンセアブラマシマシを食べたかった――あ、ギョーザ二枚で!」
「まだ余裕はありそうですね」
 奮戦する『発明王』。傷ついて入るが、まだ余裕はありそうだ。とはいえ静観していい状態ではない。
 新たな覚者の到来に妖が視線を向ける。白装束を着た生気のない顔をした人間。だがそこから感じる圧力は、高ランクの妖であることを示していた。その圧力に臆することなく。覚者達は神具を構える。
 八重垣神社で島根を守る戦いの火蓋が、切って落とされた。


「まったく……手がかかるんだから……」
 頭痛と共にミュエルが走る。その先は『発明王』の元だ。因子の力を強く活性化させて両足を器物化し、一気にかける。妖の攻撃範囲を意識しながら最短距離で『発明王』の元に向かった。
 妖の攻撃範囲に入ったと思った瞬間に、処刑人の刃が翻った。胴を断つ容赦のない一撃。ミュエルはそれを器物化した足で流すように受け止める。斬撃の威力を利用する形で跳躍し、『発明王』の元にたどり着く。
「ふはははは。これこそが『発明王』の策略! 援軍による状況打破は戦いの基本! 今までのは高ランク妖を誘い、仕留める為の隙を見せるための演技――」
「……帰って、いい?」
「は、調子に乗りました。あと回復などいただけると非常に助かるのですが」
(まあ、働いてもらわないと、困るんだよね……。実力は、あるんだし……)
 額に指をあて、先ほどよりも頭を痛めるミュエル。単純な能力で言えば『発明王』は充分な戦力になる。この性格と予測をことごとく外すことさえなければ、だが。
「思ったよりもお元気そうで、安心しました」
 呆れるような安堵するような。どちらとも取れる口調で里桜がため息を吐く。結果はどうあれ、行く当てのない島根の人々を安全な場所に誘導しようとしていたのだ。その善意を無駄にするわけにはいかない。術符を握りしめ、戦場を見る。
 仲間、妖、そして逃げた人達が隠れているだろう場所。その位置関係を頭に入れて源素を符に込める。里桜の意に添うように術が飛び、仲間達を囲うように展開する。それは結界。術符内にいる仲間を癒す為の力の力場。結界内を優しい光が包み込み、その中にいる仲間の傷を塞いでいく。
「行く当てのない人たちを護衛してくださり、感謝申し上げます。今は傷を癒すことに専念してください」
「おお、此方こそ感謝の言葉もない。この借りはいつか吾輩の知恵と推理力を披露することでお返ししよう!」
「まあ。無理のない程度でお願いしますね」
 たおやかに返答する里桜。承諾したともやんわり断わったとも取れる言葉である。
「よーし、じゃあナナンも行くよー!」
『ホッケースティック改造くん』を振り上げてナナンこと奈南が元気よく走る。ホッケースティック型の神具をぶんぶん振り回し、妖に迫る。見た目はスポーツ器具だが曲り無しにも神具。その威力は推して知るべし。
 閃光を放ち、妖の動きを止める。生まれた隙を逃すことなく奈南は処刑人の懐に飛び込んだ。足を刈るような神具の一閃。大振りを予測した処刑人はそれを避けるが、奈南はその威力を殺すことなくコマのように回転し、二激目を放つ。振りかぶった一撃が胴を打った。
「ぐるぐるぐるー! あ、山田ルイ54世ちゃん大丈夫?」
「吾輩そんな名前じゃ……この山田ルイ54世は不滅である! よきにはからえー」
「わーい。ナナン頑張っちゃうねー。次はかくれんぼだ!」
(あ、子供にはウケがいいんだ、この人)
 奈南の調子に合わせる『発明王』を見て、そんなことを思うちとせ。教師的な視点から見れば、子供のノリに合わせる幼稚園の保育士と言った感じか。或いはそういう性格なのかもしれない。
「わたしのギュスターブに砕けぬ敵なし。そしてギュスターブの牙に敵うものもない。喰い破られる覚悟ができたらくるといい!」
 声高らかに宣言をしてちとせは妖に向かう。鰐の魂を宿したと言われる斧を手に一歩一歩妖に近づいていく。堂々たる歩みは妖の注意を引き、武を嗜んだ歩みは美しくもありそして隙が無い。達人は所作一つで武を示す。その一例と言えよう。
 ちとせの歩みが武器の交錯範囲に入ると同時、きん、と金属音が響いた。処刑人の刀とちとせの斧が交錯した音だ。互いにその一打で相手の実力を推し量る。交差した武器ごしに妖を見る。人を殺してきた処刑人の冷たい目。静かに伝えられる殺意に応じるように神具に力を籠める。
「多くの命を絶ってきた処刑人だろうけど、今度は貴方の命が絶たれる時。辞世の句を考えておきなさい!」
 妖は言葉を返さない。ただ静かに殺意をもってちとせに向き合うだけだ。それが答えだとばかりにちとせの神具を弾き返す。
 ランク3。並の覚者なら一軍をもって相対するほどの強さを有している。二十人近くの偉人列伝は、その脅威により壊滅状態となった。
 対し此方は四名。発明王を入れても五名と言った状況だ。遠くから見る島根の人達の不安は広がるばかり。
 だが処刑人に挑むFiVEの覚者に絶望の色はない。歴戦を潜り抜けた彼らの経験と実力が恐れを振り払う。
 命を護る者と、命を絶つ者。その戦いは激化する。


「『発明王』、復・活! 如何なる苦難もこの智謀の前には塵芥同然! この戦い、易々と切り抜けられると断言し――あ、真面目に働きます」
 ある程度体力が回復し、口上を述べる『発明王』。断言する前に覚者の冷たい視線に気付いて神具を構える。
(喋らないと強いんだけどなぁ……)
 というのはFiVE覚者の総意である。それでも進んで前衛に立ってくれる辺りは(調子に乗っているとはいえ)ありがたい。
「いっくよー、そりゃそりゃそりゃあ!」
 間延びした声をあげながら奈南が神具を振るう。ホッケースティックを振り回す見た目十三歳の少女はミスマッチだがどこか可愛げな所がある。だがその一撃は強烈の一言。ランク1の妖を次々と打ち落としていく。
「一気に、いっくよー! えーい!」
 肩に力を籠めず、笑顔を浮かべる奈南。そんなリラックス状態が体の状態を最大限に引き上げていた。遊ぶように繰り出される重量ある殴打。遠心力が加わった神具の一撃が妖を襲う。二本目の宙を舞う刀も、その一撃で動かなくなった。
「やったぁ! 次は処刑人だね!」
「相手はランク3です。気を緩めずにあたりましょう」
 ここからが本番、とばかりに里桜が口を開く。テンポよくランク1を廃することが出来たが、ランクが一つ上がればその強さは激変する。体力や攻撃力もさることながら、使用する技も厄介になってくるのだ。
(回復手として厄介なのは……『慈悲』でしょうか)
 首を狩る処刑人。回復効果が届かないほどの傷を与える一撃を受ければ、その仲間の回復が一手遅れる。僅か一手の遅れが敗因に繋がる事は戦場の常だ。いざとなれば近づいて術を施すつもりとばかりに、里桜は体を前に傾ける。
「焦らずに。確実に攻めていきましょう」
「うん……今回は、攻めていく、よ……」
 三色スミレの造花の神具を手にミュエルが頷く。攻撃も回復も防御もこなせるミュエルの強みは、状況に応じてのスタイル変化である。パーティの足りない部分を補うように動く。その働き方は彼女のお人好しな性格を示しているかである。
「守る、って……決めた、から……」
 途切れ途切れながらも、ミュエルははっきりと主張して術式を発動させる。妖の脅威から皆を守る。仲間も、島根の人達も、その全てを守る。閉鎖的な環境からFiVEに来た少女が様々な経験を経て進んだ一歩。その思いを込めた毒の風が妖を包み込む。
「確実に、削っていく……よ」
「ならわたしが一気に!」
『ギュスターブ』を構え、ちとせが処刑人の前に立ちふさがる。薙刀術で学んだすり足で相手の間合いを詰めながら、相手の隙を伺う。激しく打ち合いながらも心の中は穏やかに。激情でもなく平静でもない。その二つを同居させ、制御した心。
(敵を討つ激しい炎と、凪の湖面のような穏やかさ。これこそが――)
 す、と滑るように歩を進めるちとせ。進む動作と同時に腰と肩が動き、手にした神具を振りかぶる。武の神髄は派手な技ではない。幾度となく繰り返された基本の型。そこから派生する所作こそが極み。半身からの上段振り下ろし。その一撃が妖を深く傷つける。
「その動き、見切ったぁ!」
 奈南、ちとせ、『発明王』を先頭に妖をブロックし、中衛の里桜とミュエルを守るように展開する覚者達。
 だがしかし、無傷とはいかない。処刑人の刃は矢面に立っている三人を中心にその猛威を振るう。
「まだまだ負けないよぉ!」
「ここで朽ちるは運命にあらず! 今が勝負所だっ!」
 奈南とちとせは命数を燃やし、その猛攻に耐える。その炎を神具に乗せるかのように苛烈に攻め立てた。
 奈南とちとせが妖に向かって迫る。攻撃の一歩手前で互いの位置を変えるように、同時に左右に移動した。単純なフェイント。妖もそれで動揺はしないと刃を向き直す。ちとせの斧と奈南のホッケースティックが同時に迫る。上からの斧。胴を薙ぐスティック。二つ同時には防げない。処刑人は身を引いてそれを避ける。
 一歩引いた処刑人が見たのは、祈るようなミュエルの姿。彼女が放つ毒の風は、処刑人を的確に穿つ。まるでそこに来るのが分かっていたかのような読み――否、奈南とちとせにこの場所に誘導させられたのだと気付く。
 毒が体を蝕んでいく感覚に耐えながら。処刑人は呪いの言葉を放つ。今まで自分が殺してきた者の怨嗟。それを凝縮して解き放った。呪いの力が覚者達の足を止める。それを見逃す妖ではない。刀を構え、呪いで足を止めるちとせの首を斬ろうと迫り――
 ――胴を斧で薙がれた。
 処刑人が見たのは里桜の生み出す高純度の源素の水が呪いを浄化していく姿。それにより動けるようになったちとせの一撃が処刑人を薙いだのだ。
 だが妖は通常の生物とは異なる。胴を薙がれて両断されてもなお、動き回った。両手で地面を叩くように跳躍し、せめて道連れとちとせに噛み付こうと跳躍する。その執念の一撃は――
「これでおしまいだよっ!」
 軽快な声と共に振りかぶられたホッケースティック。またの名を『ホッケースティック改造くん』。奈南の一打がその執念を打ち砕いた。
 地面を転がる処刑人。数多の命を奪って来た幽鬼は最後まで命を奪おうともがき、そして消えていった。


「わーい、山田ルイ54世ちゃん、おつかれさまー。
 それじゃあ、芸を披露してほしいなー」
「なんたる無茶ぶり……!? しかしそれに答えてこその『発明王』!」
 戦いが終わってひと段落した後、奈南は『発明王』を始めとした偉人列伝の人達に芸を要求した。予想外の申し出に驚くも、負けじと芸を披露する『発明王』。
「わーい。アンコールアンコール!」
 それを見て手を叩く奈南。
「それにしても……何故妖達は神社を占拠しようとしたのでしょうか?」
 里桜は首をひねって思考する。この妖達が高ランク妖に統率されているのは間違いない。つまりはその高ランク妖が何を考えているか、という事だ。七星剣の金剛は特異点を穢すことで自分に有利な何かを導こうとしている。それと関係するのだろうか?
「八重垣神社と言えば……スサノオノミコトとクシナダヒメの結婚が有名だよね?」
 神社の由来を思い出すつとせ。『八雲立つ出雲八重垣妻込みに八重垣造る其の八重垣を』と歌を詠んだ後にクシナダヒメと結婚したという。夫婦杉と呼ばれる二本の杉が夫婦円満を象徴している。
「うむ。ヤマタノオロチ伝説の結びの部分だな。正確には二人が居を構えたのは須佐と呼ばれる場所で、その後にこの神社にやってきたと言う。
 まあ、スサノオやヤマタノオロチ云々は今の島根の事件とは全く関係がないだろうがな!」
 言って笑う『発明王』。
(あ……、これ、また裏目引く、パターンだ……)
 そんな『発明王』を見てミュエルはこっそり溜息をついた。それなりに実力がある覚者なのだが、どうしてこう肝心な部分で予測を外すのだろうか。それさえなければ、ただのお調子者でしかないのに。……まあ、それも大概だが。

 そしてミュエルの経験則通り――
 FiVEの調査により、島根の動乱にヤマタノオロチが関与していることが関与していることが分かるのであった。


■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし




 
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