【儚語】クローゼット・チャイルド
●とある家庭の朝
とん、とん。湯気が立つスープをこぼさぬよう、女性は慎重に階段を上がる。
「朝ご飯、持ってきたわよ」
突き当りの部屋の前で、彼女はトレーを一旦床に置いた。部屋の主が扉を開けようとしているのか、ガチャガチャと音を立てて扉が揺れる。
「そんなにお腹が空いてたの? すぐ開けるから待ってなさい」
女性が鍵を開けるやいなや、勢いよく扉が開き、驚いた女性がよろめく。
「母さん、俺の話を聞いて!」
部屋の中から年端もいかない少年が飛び出し、女性の手首を掴んだ。だが。
「部屋から出るなと言ってるだろう!」
女性の近くに立っていた男が、お母さん、と呼ばれた女性を抱きかかえ、少年を突き飛ばした。
「父さん! 聞い……ッ」
バンッ!
叩き付けるように閉めた扉に、すかさず鍵が掛けられる。防音加工でもされているのだろうか、少年の叫びは微かな雑音にしかならない。
「あなた、シュウに食事を……」
「朝食抜くくらい大丈夫だ。今日は俺が戻るまでここを開けるなよ」
「……わかったわ」
ひっくり返った食事を片付ける彼女に背を向け、男は階段を下りていく。
「ずっと大人しかったのに、今朝に限ってどうしたってんだ……」
男が泣きそうなくらい顔を歪めたのは、手に食い込んだ爪の痛みか、それとも。
●とある工場の昼
「知識(ちおり)さん、社長が呼んでるっス」
「ああ、今行く」
浮かない顔をしていた男は、部下の言葉に気を引き締めた。息子の事も気掛かりだが、今日は自分の、そして家族の転機なのだ。
「失礼します」
「ああ、知識君。急に退職願なんてどうしたんだい」
恰幅の良い白髪の男性が、心配そうに知識の顔を覗き込んだ。
「田舎の父が、腰を悪くしまして。私が帰らないと、老老介護になるんですわ」
「そうか、それは大変だね。ところで、君は息子さんが居たよね?」
知識の背に、冷たい汗が伝う。
「――ずっと学校に行っていないそうだが、どうしたんだい?」
いつの間にか作業の手を止めた工員達が、知識を取り囲むように立っていた。
●とある会議室
「正直、私達だけでは扱いきれない案件が出てくるかもしれませんので」
夢見の人員を確保して欲しい。そう言ったのは、他でもない夢見の久方 真由美(nCL2000003)だった。
「シュウ、というまだ小学生の男の子なんですが、自宅の子供部屋にかれこれ一年近く軟禁されています。実は、お父さんの職場が憤怒者の集まりのようで……」
これまでは憤怒者組織という程のものでなく、『覚者を快く思わない人が集まった』程度の町工場だったが、最近になって陰で武器の製造を始めたらしい。
息子の存在を隠して働き続けていたが、限界を感じた父親は、とうとう退職届を提出した。
「……ですが、以前から『息子が覚者らしい』と噂されていたようで、武装した同僚に囲まれる事態となっています」
このままでは、覚者を庇っていた父親は殺され、その後自宅に乗り込んだ工員達に因って夢見の少年と母親も殺されてしまう。
「憤怒者達は拳銃を持っていますが、素人なので制圧は難しくないでしょう。少年の家の周辺で待機して迎撃するか、父親も助けるなら工場に向かって下さい」
工員の数は10名、社長は指示を出しているだけのようだ。
「彼は父親が武装した同僚に囲まれる未来を見ていましたが、ご両親に聞いて貰えず……、未来なんか見えても役に立たない、と部屋で泣いているようです。どのようにFiVEへの協力を仰ぐか……皆さんの言葉なら、きっと彼に届くと信じてます」
とん、とん。湯気が立つスープをこぼさぬよう、女性は慎重に階段を上がる。
「朝ご飯、持ってきたわよ」
突き当りの部屋の前で、彼女はトレーを一旦床に置いた。部屋の主が扉を開けようとしているのか、ガチャガチャと音を立てて扉が揺れる。
「そんなにお腹が空いてたの? すぐ開けるから待ってなさい」
女性が鍵を開けるやいなや、勢いよく扉が開き、驚いた女性がよろめく。
「母さん、俺の話を聞いて!」
部屋の中から年端もいかない少年が飛び出し、女性の手首を掴んだ。だが。
「部屋から出るなと言ってるだろう!」
女性の近くに立っていた男が、お母さん、と呼ばれた女性を抱きかかえ、少年を突き飛ばした。
「父さん! 聞い……ッ」
バンッ!
叩き付けるように閉めた扉に、すかさず鍵が掛けられる。防音加工でもされているのだろうか、少年の叫びは微かな雑音にしかならない。
「あなた、シュウに食事を……」
「朝食抜くくらい大丈夫だ。今日は俺が戻るまでここを開けるなよ」
「……わかったわ」
ひっくり返った食事を片付ける彼女に背を向け、男は階段を下りていく。
「ずっと大人しかったのに、今朝に限ってどうしたってんだ……」
男が泣きそうなくらい顔を歪めたのは、手に食い込んだ爪の痛みか、それとも。
●とある工場の昼
「知識(ちおり)さん、社長が呼んでるっス」
「ああ、今行く」
浮かない顔をしていた男は、部下の言葉に気を引き締めた。息子の事も気掛かりだが、今日は自分の、そして家族の転機なのだ。
「失礼します」
「ああ、知識君。急に退職願なんてどうしたんだい」
恰幅の良い白髪の男性が、心配そうに知識の顔を覗き込んだ。
「田舎の父が、腰を悪くしまして。私が帰らないと、老老介護になるんですわ」
「そうか、それは大変だね。ところで、君は息子さんが居たよね?」
知識の背に、冷たい汗が伝う。
「――ずっと学校に行っていないそうだが、どうしたんだい?」
いつの間にか作業の手を止めた工員達が、知識を取り囲むように立っていた。
●とある会議室
「正直、私達だけでは扱いきれない案件が出てくるかもしれませんので」
夢見の人員を確保して欲しい。そう言ったのは、他でもない夢見の久方 真由美(nCL2000003)だった。
「シュウ、というまだ小学生の男の子なんですが、自宅の子供部屋にかれこれ一年近く軟禁されています。実は、お父さんの職場が憤怒者の集まりのようで……」
これまでは憤怒者組織という程のものでなく、『覚者を快く思わない人が集まった』程度の町工場だったが、最近になって陰で武器の製造を始めたらしい。
息子の存在を隠して働き続けていたが、限界を感じた父親は、とうとう退職届を提出した。
「……ですが、以前から『息子が覚者らしい』と噂されていたようで、武装した同僚に囲まれる事態となっています」
このままでは、覚者を庇っていた父親は殺され、その後自宅に乗り込んだ工員達に因って夢見の少年と母親も殺されてしまう。
「憤怒者達は拳銃を持っていますが、素人なので制圧は難しくないでしょう。少年の家の周辺で待機して迎撃するか、父親も助けるなら工場に向かって下さい」
工員の数は10名、社長は指示を出しているだけのようだ。
「彼は父親が武装した同僚に囲まれる未来を見ていましたが、ご両親に聞いて貰えず……、未来なんか見えても役に立たない、と部屋で泣いているようです。どのようにFiVEへの協力を仰ぐか……皆さんの言葉なら、きっと彼に届くと信じてます」

■シナリオ詳細
■成功条件
1.夢見の少年をFiVEへ引き入れる事
2.少年の母親の無事
3.なし
2.少年の母親の無事
3.なし
夢見の少年に危険が迫っています。助けてあげてください。
●夢見の少年とご家族
・シュウ君
夢見。
元々は活発な子だったようですが、現在は自宅子供部屋に軟禁中。
・父親
覚者を快く思わず、現在の職場に就職。子供が発現し、家に閉じ込めました。
・母親
ただの一般人です。夫に言われるがままに子供を閉じ込めていますが、何かあれば必死に子供を守ろうとします。
●憤怒者
・町工場の社長(非武装)
・工員10名
工員は全員拳銃を所持していますが、動く標的を撃った事の無い素人です。
●補足
この依頼で説得及び獲得できた夢見は、今後FiVE所属のNPCとなる可能性があります。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
7日
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2015年10月06日
2015年10月06日
■メイン参加者 8人■

●接触
辞表を出した社員を、同僚たちが取り囲んだ――と言えば、社員が仲間に今までの労をねぎらわれている図のようであるが、実際には誰もが拳銃を手に、物々しい雰囲気を醸していた。
「社長、これはどういう事でしょう」
心底驚いたような表情と声色を作りながらも、頭は努めて冷静に。この場を何とか切り抜けようと、知識は必死に思考を巡らせるが、
「わかってるんだろう?」
お見通しだと言わんばかりの社長に睨まれ、言葉を詰まらせる。自信たっぷりの様子から察するに、既に身辺を調べられていたか。
「息子は、病気で」
「何の?」
「それは、あの」
息子が発現した時点で辞めるべきだった。そもそもこの会社に入った事が間違いだったか?
自分のせいでこれから子供が殺されるのだという現実に、ただ目の前が暗くなっていくのを感じていた。その時、
『知識さん、聞こえますか。貴方と貴方の家族を助けに来ました』
誰の物とも知れない、少なくとも自分を取り囲む同僚達の物ではない、声がした。聞こえるというよりは、閃いたという感じの、不思議な感覚。
『このままでは家族ごと殺されてしまいます。私達に貴方達を助けさせてはいただけませんか?』
送心によって伝えられた『蒼炎の道標』七海 灯(CL2000579)の言葉に、知識は右へ左へと忙しなく目を動かす。迷彩で隠れている彼女の姿を捉える事は出来ないが、藁にも縋る思いで、こくりこくりと何度も首を縦に振った。
その動作を彼の了承と判断し、灯が窓の外に向けて身振りでOKを示す。
「1、2……感情の数を確認、恐らく奥に全員揃っています」
「罠の類も無さそうですねぇ。やっている事の割には不用心、詰めが甘いと申しますか」
工場の中を探っていた『レヴナント』是枝 真(CL2001105)が配置を伝え、『名も無きエキストラ』エヌ・ノウ・ネイム(CL2000446)が憤怒者といっても付け焼刃程度だと口角を上げた。
「行くわよ」
『ロンゴミアント』和歌那 若草(CL2000121)の声に覚者達は小さく頷き、一斉に地面を蹴った。
●襲撃
当然、周囲に気を配っている社員は居た。しかし、工場の中は、発砲音を誤魔化す為か、いくつかの機械が作動したままとなっている。機械の稼働音に、足音と息遣いを紛れさせる事は容易い。
一人の社員が侵入者の存在に気付くが、声を上げるよりも早く、覚者達は飛び出した。
「瑞光の使徒エル・モ・ラーラ。幼き絶望の涙を受け止め、只今降臨!」
淡黄色の翼を広げ、『瑞光の使徒”エル・モ・ラーラ”』新田・茂良(CL2000146)が声を張り上げれば、社員達の意識は少年へと向けられた。自身から視線が逸れたその瞬間、知識は指示された後方の機械の陰へ転がり込む。慌てて銃口を戻した男の前に、『アフェッツオーソは触れられない』御巫・夜一(CL2000867)が立ちはだかった。
「申し訳ないが、この人を殺されたら困る」
左右異なる色の目に見下ろされ、男は蛇に睨まれた蛙のように動けない。何よりも、黒く輝く刺青は。
「覚者……ッ」
「そう。お前たちの大嫌いな、な」
「なんか知らんが……う、撃て撃て! 覚者を殺すんだ!」
恰幅の良い白髪の男が叫んだ。真由美から聞いた社長の特徴に一致している。
「聞け! 私達は殺しに来てない、貴方達を止めに来ただけ」
「こうなっては無理でござろうなあ。まずは鎮圧せねばなるまい」
こうなる事を予期していたのか、『直球勝負の田舎侍』神祈 天光(CL2001118)は水のベールを纏い、社員達を見渡す。多少は武力を行使せざるを得ない状況に『裏切者』鳴神 零(CL2000669)は面の奥で唇を噛んだ。
ぱん。一発の発砲音を皮切りに、覚者達は動いた。
「え」
狙いは定めたはずだ。だが、弾丸は何もない壁にめり込んだだけだった。
「武器を捨ててください」
鮮やかな鶸萌黄の髪を見紛うはずもない。いつ避けられたのか、狙っていたはずの女は隣で投降を求めてきた。
「来るな!」
二発目が撃たれる事は無かった。若草の精度の高い攻撃に弾かれ、既に銃は床に転がっていたからだ。夜一は流れ弾に警戒しつつ、ガムテープで手早く社員を拘束する。
『ここは危ないので、外へ』
「君は……」
送心で語りかけながら、灯は知識に手を差し伸べた。まだいくらか狼狽えてはいたが、少なくとも目の前の彼らは自分に危害を加える存在では無さそうだと判断し、促されるままに走り出す。
「逃がしませ……ぎゃあ!」
逃げる知識達に銃口を向けた若い社員に、茂良が申し訳なさそうにエアブリットを放った。空気の塊に叩き付けられ、あっさりと気を失う。
「この……っ」
中年の男が茂良を撃とうとしたが、近くの同僚を巻き込みそうだったからか、それとも幼い少年を撃つ事を咎める程度の良心は持ち合わせていたか、引き金を引く事を躊躇った。僅かな隙を見逃してやるはずもなく、天光が流転の名を持つ刀の背で男を殴り倒す。
「え、霧……?」
屋内で、自然現象のはずがない。意思を持つかのように纏わりつく霧の中心で、顔の半分を仮面で覆う男がくつくつと笑う姿に、社員達は背筋に冷や水を浴びせられたような感覚に陥った。
「ば、化け物!」
「嗚呼、嗚呼! 今、化け物と仰いましたか。その化け物もどきに刃向かおうとしたのは?」
罵声にも気を悪くするような素振りを見せず、ますます笑みを濃くしてエヌが男に近付いた。震える手からひょいと銃を取り上げ、投げ捨てる。
「かのドン・キホーテを思わせるほど無意味で趣のある人たちではありませんか」
「ひいぃッ」
「お前達、撃て、いいから撃つんだ!」
次々と部下たちが拘束されていく様に青ざめ、社長は喚きたてる。その姿に目を細め、これまで事の成り行きを見守っていた真が、ふうと息を吐いた。
ドンッ!
素早く振り抜かれた突剣が、瞬時に機械を分断する。
「次は」
――体を断つ、と。目は口ほどに物を言う。銀糸のような前髪の合間から覗く、透き通った瞳が、そう語っていた。ばちばちと火花を散らす機器と自身の体を交互に見やり、社長がへたり込む。戦意を奪うには、十分だった。
優に身の丈を超える長さの太刀を鞘から抜かぬまま、恐慌状態の社員を押し退け、零は項垂れる社長の前へと歩み出る。
「貴方はどうして覚者を敵に回すの?」
「聞いてどうする。俺達一般人の気持ちが、覚者に分かるものか」
言い草から察するに、嫉妬だろうか。
「私も、憤怒者と言う生き物が死ぬほど嫌いなんですよ。……家族が、憤怒者に殺されたんです。私が覚者になったという理由で、ただの人だったのに」
真は独り言のように呟いた後、ちらりと社長を一瞥し、
「それは人を殺すに値するものなのですか?」
問うた。だが、答える様子の無い男にしびれを切らし、背を向ける。本当ならば、憤怒者など殺したい程に憎い。
「後は任せた」
「引き受けたでござる」
全員から拳銃を取り上げた夜一が天光とエヌに社員達の身柄を任せ、覚者達はその場を後にする。
工場を出る前に、零はくるりと向き直った。
「私達、分り合えないのかな。だって同じ、人。化け物じゃないよ」
「さて、どうしてこうなったものか、聞いてみたいのでござるが」
まず謝罪をし、更には手当までした天光に、社長は毒気を抜かれたような表情をした。後ろで自分達を観察するように眺めるエヌの事が気になるようだが、ようやく社長も口を開く。
「……得意先を、持ってかれたんだよ。覚者たくさん雇ってるデカイ企業と契約したみたいでさ」
よくある話だった。
「分かってんだよ。覚者自体も、覚者利用して成長する企業も悪くはないって。上手く立ち回れないウチが悪いんだ」
それでも溜まった鬱憤を、恨みをぶつけたい。八つ当たりに等しい、くだらない動機だった。
「――此方にもそなた等にも、己が身が傷つけば悲しむ人が居るでござる」
もう二度とこんな事をしないで欲しいと言えば、社長は素直に頷いた。
「さっきのお嬢ちゃん達にも、すまなかったと伝えておいてくれるか。いかなる理由も人の命には値しない、とも」
天光が口の端を緩め、エヌを振り返る。
「通報せずに彼らの身柄はF.i.V.E.に任せたいと思うのだが、いかがでござろう」
「通報云々につきましては、僕はノータッチです。目の前の他人がどうなろうとも、その周辺につきましても非常に興味がありませんのでね」
●訪問
「そうでしたか。息子の他にも、その儚? ……の因子を持つ方が居る、と」
知識が運転するミニバンに乗り込み、覚者達は彼の自宅へと向かっていた。身を挺し、親身に気遣う灯を、知識が信用した結果だろう。母親も交えてシュウの今後について話をする機会を得られたのだ。
「そこに見えるのが、うちです」
工場から車で数分程度。父親を救うと同時に、閑静な住宅街を戦場にせずに済んだ事も成果の一つだろう。
「あらあなた、こんな時間にどうし……、え?!」
「話は家の中でするから」
「え、ええ」
母親は夫が覚者と共に帰宅した事に戸惑いを隠せない様子であったが、知識に経緯を聞き、今にも泣きそうな顔で繰り返し頭を下げた。
「今回は何とか間に合いましたが、このままでは僕らの手に負えない事態にも
発展しかねる上に、シュウ君も己の理解をされぬまま孤独で心身を苛まれる状況も
止めることは出来ません」
年齢の割にしっかりとした口調で話をする茂良に、二人は好感を持ったようだった。神妙な面持ちで、少年の話を聞いている。
「彼の力を理解し、支えられる環境が必要だと思います。例えば……僕位の年齢の覚者も家族と日常を謳歌し、安心して勉学に励める場所があるとすれば、如何でしょうか」
「そんな都合の良い場所が……?」
「言うまでもありませんが、貴方が子供に行っている事は、完全に虐待です」
顔を見合わせた両親に、真は厳しい口調で切り出した。憤怒者である以前に親として何をしてきたのか目を逸らすな、と。
「……言い方は悪いですが、あの子は利用価値が高い。生活に困る状況にはならないでしょう」
「――なるほど。息子はあなた方に協力すれば、保護して頂ける、と」
利用という言い方に一瞬眉を寄せたが、歯に衣着せぬ物言いが、逆に信用させるに至ったようだ。
しばし逡巡した後、父親は静かに話し始めた。
「以前、突然気が触れたように暴れ出した覚者を見た事がありましてね。あれ以来、覚者を怖いと思うようになりまして」
「破綻者……」
「閉じ込めたのは息子を守る為でもありましたが、息子が怖かったからでもあるんですよ。でも、息子と同い年くらいかな、茂良君は力を使いこなしてるんだね。……息子も覚者に対してしかるべき対応が出来る所に、任せた方が良いのかもしれない」
知識はポケットの中から鍵を取り出し、テーブルの上に置いた。
「今日のような事があっても、我々では守れない。息子を、よろしくお願いします」
階段を上がる覚者の背に、知識は声を掛けた。
「話が終わったら、部屋から出てくるように伝えてもらえますか。私が一緒に食事しようと言っていた、と」
●誘い
ノックをする。無反応。若草は借りた鍵を使い、そっと扉の隙間から中を覗く。
「……誰」
部屋の隅にうずくまるように腰かけ、少年は泣き腫らした目で、じとりと扉の方を睨んでいた。
「シュウ君、はじめまして」
「父さんをどうした」
「お父さん、助かったわよ」
「え?!」
足がもつれそうになりながら、廊下へと飛び出す。階下から微かに聞こえる両親の話し声に、少年は呆けたように口をぽかりと開けていた。
「なんで? 俺の夢、はずれた……? あ、やべ、怒られる」
慌ただしく部屋に戻る少年の姿に夜一は苦笑いを浮かべながらも、柔らかい声色で話し掛けた。
「そっちに行っても良いかい?」
「……うん。誰?」
「オレは御巫夜一。君は?」
「知識、柊……ねえ、覚者だよな? 父さんは、何で」
先程聞こえた父親の声はいつもと何ら変わりがなくて。ならば目の前の人達は父親が招き入れたのだろうが、憤怒者の父が覚者を家に入れるわけがなくて。
まったく状況が分からないという風で、訝し気に覚者達の顔を見回す。
「シュウ君が一生懸命お父さんのことを助けようとしたから、オレたちに声が届いたんだよ」
「それって……」
「私は今日、救いに来た。君と君の家族、憤怒者も一緒に」
かがんで視線の高さを合わせ、零が答える。
「皆が、父さんを助けてくれたって事?!」
ありがとう。飛び跳ねたり、飛びついたり、握手を求めたり、くるくると忙しなく表情を変えながら、繰り返し礼を述べる。
「少し、お話いいかしら」
若草が微笑むと、我に返って照れ臭そうに頬を掻いた。
「オレたちはある能力者集団に所属してる」
「君と同じ力を持つ人が、お父さんの危機も僕達に教えてくれました! 君が父親を守りたいと心から願った事も、ね」
「俺と同じ力……、この力って、未来を見るだけで」
役に立たない、と続けるより先に、零が諭すように言う。
「シュウ君の力は、使い方を間違えなければきっと多くを救える」
「……覚醒してから、その夢見の能力でいくつか見えた未来があったと思う。この状況では、救ってあげられなかった、未来」
これまでに見たものを思い出したのか、目を伏せたシュウの頭を、若草がそっと撫でた。
「よかったら、私たちと一緒に戦ってくれないかしら」
戦場に出るわけではないが、組織に所属して戦うというのはどういう事かを包み隠さず説明し、協力を求める。
「未来って、変わるんだ……」
「変えるの。悲しいことも私たちがハッピーエンドに変えるから」
「祈りを受けて動く者は、ここに居ますよ」
茂良の人好きのする笑顔を向けられ、シュウも釣られてはにかんだ。
「俺の見る嫌な夢、全部。明るい未来に変えて欲しい」
両親の居るリビングの外で、深呼吸を一つ。この部屋に入るのは久方ぶりだ。夜一が大丈夫だ、と耳元で囁き、小さな背を押す。彼から貰った飴玉をお守りのように握り締め、シュウは部屋の扉を開けた。
彼らと共に誰かを救いに行くのだと、両親に告げる為に。
辞表を出した社員を、同僚たちが取り囲んだ――と言えば、社員が仲間に今までの労をねぎらわれている図のようであるが、実際には誰もが拳銃を手に、物々しい雰囲気を醸していた。
「社長、これはどういう事でしょう」
心底驚いたような表情と声色を作りながらも、頭は努めて冷静に。この場を何とか切り抜けようと、知識は必死に思考を巡らせるが、
「わかってるんだろう?」
お見通しだと言わんばかりの社長に睨まれ、言葉を詰まらせる。自信たっぷりの様子から察するに、既に身辺を調べられていたか。
「息子は、病気で」
「何の?」
「それは、あの」
息子が発現した時点で辞めるべきだった。そもそもこの会社に入った事が間違いだったか?
自分のせいでこれから子供が殺されるのだという現実に、ただ目の前が暗くなっていくのを感じていた。その時、
『知識さん、聞こえますか。貴方と貴方の家族を助けに来ました』
誰の物とも知れない、少なくとも自分を取り囲む同僚達の物ではない、声がした。聞こえるというよりは、閃いたという感じの、不思議な感覚。
『このままでは家族ごと殺されてしまいます。私達に貴方達を助けさせてはいただけませんか?』
送心によって伝えられた『蒼炎の道標』七海 灯(CL2000579)の言葉に、知識は右へ左へと忙しなく目を動かす。迷彩で隠れている彼女の姿を捉える事は出来ないが、藁にも縋る思いで、こくりこくりと何度も首を縦に振った。
その動作を彼の了承と判断し、灯が窓の外に向けて身振りでOKを示す。
「1、2……感情の数を確認、恐らく奥に全員揃っています」
「罠の類も無さそうですねぇ。やっている事の割には不用心、詰めが甘いと申しますか」
工場の中を探っていた『レヴナント』是枝 真(CL2001105)が配置を伝え、『名も無きエキストラ』エヌ・ノウ・ネイム(CL2000446)が憤怒者といっても付け焼刃程度だと口角を上げた。
「行くわよ」
『ロンゴミアント』和歌那 若草(CL2000121)の声に覚者達は小さく頷き、一斉に地面を蹴った。
●襲撃
当然、周囲に気を配っている社員は居た。しかし、工場の中は、発砲音を誤魔化す為か、いくつかの機械が作動したままとなっている。機械の稼働音に、足音と息遣いを紛れさせる事は容易い。
一人の社員が侵入者の存在に気付くが、声を上げるよりも早く、覚者達は飛び出した。
「瑞光の使徒エル・モ・ラーラ。幼き絶望の涙を受け止め、只今降臨!」
淡黄色の翼を広げ、『瑞光の使徒”エル・モ・ラーラ”』新田・茂良(CL2000146)が声を張り上げれば、社員達の意識は少年へと向けられた。自身から視線が逸れたその瞬間、知識は指示された後方の機械の陰へ転がり込む。慌てて銃口を戻した男の前に、『アフェッツオーソは触れられない』御巫・夜一(CL2000867)が立ちはだかった。
「申し訳ないが、この人を殺されたら困る」
左右異なる色の目に見下ろされ、男は蛇に睨まれた蛙のように動けない。何よりも、黒く輝く刺青は。
「覚者……ッ」
「そう。お前たちの大嫌いな、な」
「なんか知らんが……う、撃て撃て! 覚者を殺すんだ!」
恰幅の良い白髪の男が叫んだ。真由美から聞いた社長の特徴に一致している。
「聞け! 私達は殺しに来てない、貴方達を止めに来ただけ」
「こうなっては無理でござろうなあ。まずは鎮圧せねばなるまい」
こうなる事を予期していたのか、『直球勝負の田舎侍』神祈 天光(CL2001118)は水のベールを纏い、社員達を見渡す。多少は武力を行使せざるを得ない状況に『裏切者』鳴神 零(CL2000669)は面の奥で唇を噛んだ。
ぱん。一発の発砲音を皮切りに、覚者達は動いた。
「え」
狙いは定めたはずだ。だが、弾丸は何もない壁にめり込んだだけだった。
「武器を捨ててください」
鮮やかな鶸萌黄の髪を見紛うはずもない。いつ避けられたのか、狙っていたはずの女は隣で投降を求めてきた。
「来るな!」
二発目が撃たれる事は無かった。若草の精度の高い攻撃に弾かれ、既に銃は床に転がっていたからだ。夜一は流れ弾に警戒しつつ、ガムテープで手早く社員を拘束する。
『ここは危ないので、外へ』
「君は……」
送心で語りかけながら、灯は知識に手を差し伸べた。まだいくらか狼狽えてはいたが、少なくとも目の前の彼らは自分に危害を加える存在では無さそうだと判断し、促されるままに走り出す。
「逃がしませ……ぎゃあ!」
逃げる知識達に銃口を向けた若い社員に、茂良が申し訳なさそうにエアブリットを放った。空気の塊に叩き付けられ、あっさりと気を失う。
「この……っ」
中年の男が茂良を撃とうとしたが、近くの同僚を巻き込みそうだったからか、それとも幼い少年を撃つ事を咎める程度の良心は持ち合わせていたか、引き金を引く事を躊躇った。僅かな隙を見逃してやるはずもなく、天光が流転の名を持つ刀の背で男を殴り倒す。
「え、霧……?」
屋内で、自然現象のはずがない。意思を持つかのように纏わりつく霧の中心で、顔の半分を仮面で覆う男がくつくつと笑う姿に、社員達は背筋に冷や水を浴びせられたような感覚に陥った。
「ば、化け物!」
「嗚呼、嗚呼! 今、化け物と仰いましたか。その化け物もどきに刃向かおうとしたのは?」
罵声にも気を悪くするような素振りを見せず、ますます笑みを濃くしてエヌが男に近付いた。震える手からひょいと銃を取り上げ、投げ捨てる。
「かのドン・キホーテを思わせるほど無意味で趣のある人たちではありませんか」
「ひいぃッ」
「お前達、撃て、いいから撃つんだ!」
次々と部下たちが拘束されていく様に青ざめ、社長は喚きたてる。その姿に目を細め、これまで事の成り行きを見守っていた真が、ふうと息を吐いた。
ドンッ!
素早く振り抜かれた突剣が、瞬時に機械を分断する。
「次は」
――体を断つ、と。目は口ほどに物を言う。銀糸のような前髪の合間から覗く、透き通った瞳が、そう語っていた。ばちばちと火花を散らす機器と自身の体を交互に見やり、社長がへたり込む。戦意を奪うには、十分だった。
優に身の丈を超える長さの太刀を鞘から抜かぬまま、恐慌状態の社員を押し退け、零は項垂れる社長の前へと歩み出る。
「貴方はどうして覚者を敵に回すの?」
「聞いてどうする。俺達一般人の気持ちが、覚者に分かるものか」
言い草から察するに、嫉妬だろうか。
「私も、憤怒者と言う生き物が死ぬほど嫌いなんですよ。……家族が、憤怒者に殺されたんです。私が覚者になったという理由で、ただの人だったのに」
真は独り言のように呟いた後、ちらりと社長を一瞥し、
「それは人を殺すに値するものなのですか?」
問うた。だが、答える様子の無い男にしびれを切らし、背を向ける。本当ならば、憤怒者など殺したい程に憎い。
「後は任せた」
「引き受けたでござる」
全員から拳銃を取り上げた夜一が天光とエヌに社員達の身柄を任せ、覚者達はその場を後にする。
工場を出る前に、零はくるりと向き直った。
「私達、分り合えないのかな。だって同じ、人。化け物じゃないよ」
「さて、どうしてこうなったものか、聞いてみたいのでござるが」
まず謝罪をし、更には手当までした天光に、社長は毒気を抜かれたような表情をした。後ろで自分達を観察するように眺めるエヌの事が気になるようだが、ようやく社長も口を開く。
「……得意先を、持ってかれたんだよ。覚者たくさん雇ってるデカイ企業と契約したみたいでさ」
よくある話だった。
「分かってんだよ。覚者自体も、覚者利用して成長する企業も悪くはないって。上手く立ち回れないウチが悪いんだ」
それでも溜まった鬱憤を、恨みをぶつけたい。八つ当たりに等しい、くだらない動機だった。
「――此方にもそなた等にも、己が身が傷つけば悲しむ人が居るでござる」
もう二度とこんな事をしないで欲しいと言えば、社長は素直に頷いた。
「さっきのお嬢ちゃん達にも、すまなかったと伝えておいてくれるか。いかなる理由も人の命には値しない、とも」
天光が口の端を緩め、エヌを振り返る。
「通報せずに彼らの身柄はF.i.V.E.に任せたいと思うのだが、いかがでござろう」
「通報云々につきましては、僕はノータッチです。目の前の他人がどうなろうとも、その周辺につきましても非常に興味がありませんのでね」
●訪問
「そうでしたか。息子の他にも、その儚? ……の因子を持つ方が居る、と」
知識が運転するミニバンに乗り込み、覚者達は彼の自宅へと向かっていた。身を挺し、親身に気遣う灯を、知識が信用した結果だろう。母親も交えてシュウの今後について話をする機会を得られたのだ。
「そこに見えるのが、うちです」
工場から車で数分程度。父親を救うと同時に、閑静な住宅街を戦場にせずに済んだ事も成果の一つだろう。
「あらあなた、こんな時間にどうし……、え?!」
「話は家の中でするから」
「え、ええ」
母親は夫が覚者と共に帰宅した事に戸惑いを隠せない様子であったが、知識に経緯を聞き、今にも泣きそうな顔で繰り返し頭を下げた。
「今回は何とか間に合いましたが、このままでは僕らの手に負えない事態にも
発展しかねる上に、シュウ君も己の理解をされぬまま孤独で心身を苛まれる状況も
止めることは出来ません」
年齢の割にしっかりとした口調で話をする茂良に、二人は好感を持ったようだった。神妙な面持ちで、少年の話を聞いている。
「彼の力を理解し、支えられる環境が必要だと思います。例えば……僕位の年齢の覚者も家族と日常を謳歌し、安心して勉学に励める場所があるとすれば、如何でしょうか」
「そんな都合の良い場所が……?」
「言うまでもありませんが、貴方が子供に行っている事は、完全に虐待です」
顔を見合わせた両親に、真は厳しい口調で切り出した。憤怒者である以前に親として何をしてきたのか目を逸らすな、と。
「……言い方は悪いですが、あの子は利用価値が高い。生活に困る状況にはならないでしょう」
「――なるほど。息子はあなた方に協力すれば、保護して頂ける、と」
利用という言い方に一瞬眉を寄せたが、歯に衣着せぬ物言いが、逆に信用させるに至ったようだ。
しばし逡巡した後、父親は静かに話し始めた。
「以前、突然気が触れたように暴れ出した覚者を見た事がありましてね。あれ以来、覚者を怖いと思うようになりまして」
「破綻者……」
「閉じ込めたのは息子を守る為でもありましたが、息子が怖かったからでもあるんですよ。でも、息子と同い年くらいかな、茂良君は力を使いこなしてるんだね。……息子も覚者に対してしかるべき対応が出来る所に、任せた方が良いのかもしれない」
知識はポケットの中から鍵を取り出し、テーブルの上に置いた。
「今日のような事があっても、我々では守れない。息子を、よろしくお願いします」
階段を上がる覚者の背に、知識は声を掛けた。
「話が終わったら、部屋から出てくるように伝えてもらえますか。私が一緒に食事しようと言っていた、と」
●誘い
ノックをする。無反応。若草は借りた鍵を使い、そっと扉の隙間から中を覗く。
「……誰」
部屋の隅にうずくまるように腰かけ、少年は泣き腫らした目で、じとりと扉の方を睨んでいた。
「シュウ君、はじめまして」
「父さんをどうした」
「お父さん、助かったわよ」
「え?!」
足がもつれそうになりながら、廊下へと飛び出す。階下から微かに聞こえる両親の話し声に、少年は呆けたように口をぽかりと開けていた。
「なんで? 俺の夢、はずれた……? あ、やべ、怒られる」
慌ただしく部屋に戻る少年の姿に夜一は苦笑いを浮かべながらも、柔らかい声色で話し掛けた。
「そっちに行っても良いかい?」
「……うん。誰?」
「オレは御巫夜一。君は?」
「知識、柊……ねえ、覚者だよな? 父さんは、何で」
先程聞こえた父親の声はいつもと何ら変わりがなくて。ならば目の前の人達は父親が招き入れたのだろうが、憤怒者の父が覚者を家に入れるわけがなくて。
まったく状況が分からないという風で、訝し気に覚者達の顔を見回す。
「シュウ君が一生懸命お父さんのことを助けようとしたから、オレたちに声が届いたんだよ」
「それって……」
「私は今日、救いに来た。君と君の家族、憤怒者も一緒に」
かがんで視線の高さを合わせ、零が答える。
「皆が、父さんを助けてくれたって事?!」
ありがとう。飛び跳ねたり、飛びついたり、握手を求めたり、くるくると忙しなく表情を変えながら、繰り返し礼を述べる。
「少し、お話いいかしら」
若草が微笑むと、我に返って照れ臭そうに頬を掻いた。
「オレたちはある能力者集団に所属してる」
「君と同じ力を持つ人が、お父さんの危機も僕達に教えてくれました! 君が父親を守りたいと心から願った事も、ね」
「俺と同じ力……、この力って、未来を見るだけで」
役に立たない、と続けるより先に、零が諭すように言う。
「シュウ君の力は、使い方を間違えなければきっと多くを救える」
「……覚醒してから、その夢見の能力でいくつか見えた未来があったと思う。この状況では、救ってあげられなかった、未来」
これまでに見たものを思い出したのか、目を伏せたシュウの頭を、若草がそっと撫でた。
「よかったら、私たちと一緒に戦ってくれないかしら」
戦場に出るわけではないが、組織に所属して戦うというのはどういう事かを包み隠さず説明し、協力を求める。
「未来って、変わるんだ……」
「変えるの。悲しいことも私たちがハッピーエンドに変えるから」
「祈りを受けて動く者は、ここに居ますよ」
茂良の人好きのする笑顔を向けられ、シュウも釣られてはにかんだ。
「俺の見る嫌な夢、全部。明るい未来に変えて欲しい」
両親の居るリビングの外で、深呼吸を一つ。この部屋に入るのは久方ぶりだ。夜一が大丈夫だ、と耳元で囁き、小さな背を押す。彼から貰った飴玉をお守りのように握り締め、シュウは部屋の扉を開けた。
彼らと共に誰かを救いに行くのだと、両親に告げる為に。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし
