炎の通路の奥に
炎の通路の奥に


●大きな成果を求めて
 奈良県のとある遺跡。
 それは、某市の町外れにおいて、ボーリング調査を行っていた際に発見された。
 きっかけはボーリングマシンから突然炎が湧き出て、工事現場で働いていた男性達が焼死した事件。この原因は、地中から現れた炎の塊のような妖であったという。
 妖が出現するとあって、この場所の土地計画……商業施設が建設予定だったらしいが、白紙に戻された。
 これにより、考古学者達は炎が噴き出すその場所に興味を抱き、調査を考えるのだが、妖を倒さねば始まらない。考古学者はほとんどが非覚者。この為、F.i.V.E.に妖討伐依頼が舞い込んだのだ。

 F.i.V.E.の会議室。
 新たな遺跡調査、雑魔討伐の依頼ということで集まる覚者の姿を確認し、入室してきた『薄幸の男の娘』菜花・けい(nCL2000118)が難しい表情のままで語りかけてきた。
「現在、炎の遺跡(仮称)の調査がなかなか進まなくてのう……」
 けいはそのまま説明を始める。その遺跡の通路は炎に包まれており、一般人である考古学者達を多いに悩ませているところらしい。
 炎が消えた領域は増えてきたものの、未だ通路のみ。通路から得られる情報はさほど多くはない為、せめて何か小部屋などを発見したいところだが……。
「前回の探索は入り口から南へ移動し、分岐点まで来ているとのことじゃの」
 そこから、祭壇のある小部屋に行く事ができるのではと、学者達は推測しているが……。その行く手を、炎のトラップが行く手を遮っているらしい。これは侵入者避けのものじゃないかと見られるが、まだ分析は出来ていない。ちなみに、以前出たタイプと同じもののようである。
「奥には、妖のおる可能性が非常に高いから、油断せんようにの」
 当面の目的は、この通路の先の探索だ。考古学者達の予想通りであれば、調査も大きく進展するかもしれない。
「それでは、よろしくお願いするのじゃ。無理はせんようにの」
 いつも身を張る覚者達を気遣い、けいは会議室を出る覚者達へとそう告げたのだった。


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:普通
担当ST:なちゅい
■成功条件
1.小部屋に現れる雑魔を倒す
2.なし
3.なし
初めましての方も、
どこかでお会いしたことのある方もこんにちは。なちゅいです。

こちらは、遺跡関連シナリオですが、
どなた様でも参加できますよう
シリーズシナリオとはなっておりません。
予めご了承願います。
なお、今回は『炎の遺跡(仮称)』4回目の探索です。

●敵
○妖(自然系)
 いずれも、浮遊、火傷無効状態にあります。

※ランク2×1……仮称、翼持ち
 直径25メートルの火球の左右に炎の翼が生えております。
 後述の同ランクの妖より強い力を持ちますが、
 ランク3には及ばない程度の力です。
・炎舞……特全・炎傷
・特攻……物近貫3・解除
・修復……遠単・HP回復・BSリカバー50%

※ランク2×4……仮称、顔付き
 直径20センチ余りある大きさの火の玉で、人の顔が浮かんでおります。
・火柱……特近列・火傷
・炎上……特遠単・怒り
・かぶりつき……物遠単・HP吸収

なお、火傷系BSと下記特別ルールのHP減少のダメージは重複します。

●状況
はしごで降りた場所は、炎が消えています。
詳しくは特別ルールをご参照くださいませ。

入り口から、65m、80m南と小部屋の手前には、
2、3ターンに一度壁から通路を塞ぐ炎が発する箇所があります。
通り抜けは可能ですが、
対策なしにこれを食らうとダメージ(HP50減少)を負います。
大まかな情報は以上の通りですが、
差支えがありませんでしたら、
前回の探索報告、
「思い切って炎の中へ!」(id=1052)もご参照ください。

こちらはプレイヤー情報となりますが、
今回は入り口南にある小部屋へと突入します。
現れる火の玉は遺跡の封印を解くべく暴れております。
この場所の封印はすでに破壊されており、
部屋に突入した覚者達はこの雑魔の討伐に当たることとなります。

●当シナリオ特別ルール
炎上エリア突入時は
1ターン(10秒)経過ごとにHPが10減少し、
戦闘以外でも回復することがありません。
今回は、入り口底から南50mの範囲の炎が消えています。
また、今後の展開次第で
このルール適用除外エリアが広がる可能性があります。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(1モルげっと♪)
相談日数
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
7/8
公開日
2017年04月01日

■メイン参加者 7人■

『五行の橋渡し』
四条・理央(CL2000070)
『在る様は水の如し』
香月 凜音(CL2000495)
『静かに見つめる眼』
東雲 梛(CL2001410)
『マジシャンガール』
茨田・凜(CL2000438)
『探偵見習い』
賀茂・奏空(CL2000955)
『赤き炎のラガッツァ』
ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)

●4度目の炎の遺跡
 炎の遺跡へと降り立つF.i.V.E.の覚者達。
「い~せきたんさく~♪」
 五麟学園大学部にて、考古学を専攻する『五行の橋渡し』四条・理央(CL2000070) は委員長然としているイメージも大きいが、嬉しそうに歌う彼女は子供のようにも見える。
「色々大変な事があるけど、だからこういう遺跡調査系任務は楽しみなんだ」
「久しぶりの遺跡探索、超楽しみなんよ」
 こちらも、楽しそうにしている『マジシャンガール』茨田・凜(CL2000438)。未知の遺跡に、皆心を躍らせているようだ。
 そんな中、遅々として進まぬ調査に『慧眼の癒し手』香月 凜音(CL2000495)はやや不満顔だ。
「この遺跡との付き合いは何回目だったか……」
「なかなか探索が進まないな。やっぱ、炎が厄介なんかな」
「あんま深い事は考えてねーけど、そろそろ何か見つけられるといいんだが」
 『静かに見つめる眼』東雲 梛(CL2001410)も遺跡は楽しみな様子。ただ、凜音は納得のいく答えが出せず、返答をぼかしつつも新発見に期待を寄せる。
「この遺跡ももう何回か来てるけど、ついにそれっぽい場所に行けるみてーだな」
 小学生の『守人刀』獅子王 飛馬(CL2001466)にとっては、考古学についてよく分からない部分も多い。それでも遺跡での新発見とあらば、わくわくしてしまうものだ。
「今回は前回の通路の先、南側の奥まで行くことが出来るんだね!」
 『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955) は事前に、前回発見されたドローンについても聞いていたが、こちらは単に通路のトラップに焼かれて落ちてしまった模様。しかし、その炎は術式によるものでなく、物理的な炎らしいことが分かっている。
 そんな彼は、また何か落ちているものが持ち帰ることが出来るようにと、折り畳み式の耐熱バックを用意していたようだ。
「そろそろこの暑さにも慣れてきた……なんて、言えたもんじゃねーよなぁ……」
 凜音はその熱気にうんざりとする。突入口周辺は炎がすっかり消えていると言うのに、遺跡の中はまだまだ焼け付くような暑さだ。
「ぼやいても始まらねー。さっさと片付けてしまいますかね」
 首を振りつつ、英霊の力を引き出す凜音は仲間と共に、遺跡通路を南へと歩いていくのである。

●遺跡のトラップの対処法
 各自覚醒し、覚者達は遺跡内を歩き出す。
 『赤き炎のラガッツァ』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)。覚醒して銀色の髪に赤い瞳となり、かなり雰囲気が違って見える。
 ラーラはメンバーで唯一、火の属性を持つ。その彼女ですらも、この遺跡の通路には暑さを覚えてしまうらしく、手で自らを仰いでいた。
「相変わらずの熱気ですね」
 気を抜くと、彼女の苗字であるビスコッティ……イタリアの焼き菓子のようになりそうだと冗談めかす。
 もっとも、目の前の見えてきた炎に包まれる通路を前にすれば、それも冗談とは思えなくなるのだが。
 燃え盛る炎。それは直接メンバー達の体へと纏わり付き、じわりじわりとその身を焦がす。
 空色の刺青を輝かせる凜は仕掛けが多そうだと考え、出来る限り周囲に手をつかないようにと歩く。
 一方、械の因子持ちで、覚醒しても大きな変化が見られない飛馬。彼は迫り来る炎に敢然と立ち向かっていく。そして、その回復にと髪を灰色に変色させた凜音が立ち回っていたようだ。
「わりーけど、気力が尽きたら回復頼むな」
 仲間を十全に動けるように配慮するが、気力ばかりはどうしようもないとのことで、凜音は仲間に助けを請う。
 気力回復は、覚醒し瞳を赤く染める理央が当たるとのこと。炎の中へと突入してすぐ、その理央は以前撮影した噴射口から炎を発するのを見つめる。
「俺の持ってる技能じゃ、対処は難しそうかな」
 同じく、それを目にした梛。第三の瞳を開眼させていた彼は首を振る。念の為にとエネミースキャンを試みるが、あくまでトラップである為か、有用な情報を引き出すことは出来ない。
「そう言えば、以前は噴出した炎に攻撃する人は居なかったね」
 唸りこむ理央は早速、水の礫を壁の隙間にある噴射口から発する炎へと浴びせかける。
「これで、何か変化があるかな?」
 壁の炎には、ほとんど効果がなかった術式。ただ、礫の当たった場所はそれ以上に効果を発揮し、炎の壁を打ち砕く。
「おおー、消えてる!」
 髪を金髪にし、桃色に変色した瞳と、かなり見た目の変わった奏空が驚きの表情を見せた。
 ただ、そのタイミングで発された炎にしか効果はないらしい。一時すれば、炎の壁は現れてしまう。それでも、タイミングを図って通り抜けるよりは十分に猶予ができ、メンバー達は比較的余裕を持って通り抜けることが出来たようだ。

 その後、メンバー達は炎のダメージをできるだけ抑える為、全力で通路を移動する。ただ、メンバーの中にも温度差があったようで、移動を行わぬ者もいた為に侵攻の足並みが乱れてしまう。
 この為、2度目の炎の壁の地点で先を行くメンバーが遅れるメンバーを待つこととなる。
 そうして、結局は足の遅いメンバーに合わせる形となり、一行の体力が徐々に削られる。ラーラはやや減り行く体力に息を切らしていたようだ。
 そこも通過し、一行はついに分岐点に到着する。
「何かないかなー」
 凜はそう呟きつつ、周囲を見回す。分かれ道は、直角に左へと折れる道と右斜め前に向かう道があることを確認した。彼女はお菓子を落として目印にしようとするが……、お菓子は瞬時に燃えてしまう。
 ともあれ、まずは考古学者の依頼通り、右奥を目指す。結局は炎に耐えつつ足並みを揃えるメンバー達。
 またも待ち受ける炎の壁は、奏空が超直感と鋭聴力を働かせ、場所を察知する。分岐点から30mほどいった場所だ。
 彼は飛馬と共に炎が止むのを待つのだが、飛馬がその間に自身の強化をと、岩の鎧と水のベールを纏っていく。
 駆けつけたラーラも、出来る限り自身の強化をと英霊の力を引き出し、さらに集中も行っていたようだ。
 また、奏空も火へと攻撃を試そうと考え、手にする大太刀・虔翦を一振りする。どうやら、特殊攻撃は効力を発揮するようで、炎の壁が一時的に消えることを確認し、この場を通り抜けていた。

 程なく、覚者達は突き当たりにある小部屋へとたどり着く。
 周囲の炎が燃え盛る状況は変わらない。じりじりと減る体力に対し、梛が凜音と分担しつつ大樹の息吹を仲間達へと振りまいた。
 メンバーが揃ったところで、その中へと全員足を踏み入れる。中には、明らかに意志を持つ幾つかの火の玉の姿が……。
「うえ、聞いてはいたけど、今回、顔付きめっちゃいるな」
 前回までは、顔がない格下の火の玉が多めの編成だったが、今回は全体的に一段階上といった編成だ。
「……今回は更に、上の個体が出てきてるみたいですね」
「翼持ってるやつ、油断できねーな」
 構えを取る飛馬、ラーラは、顔つき、かつ左右に炎の翼が1体交じっているのを確認する。メンバーはそれを翼持ちと仮称することとした。
 小部屋を調べたいところだが、そいつらはこの場に侵入してきた覚者達を敵と見なして飛んで来る。
「良い子に甘い焼き菓子を、悪い子には石炭を……イオ・ブルチャーレ!」
 叫ぶラーラ。それが口火となり、戦いの火蓋が切られたのだった。

●小部屋に救う火の玉集団
 火の玉の妖。
 その数は翼付きが1体に、顔付きが4体。いずれもランク2と推察される。
 奏空が力を引き出し、すぐさま敵陣へと雷を叩き落とす。
 群がる敵はそれを浴びながらも、覚者達へと炎を伴って突撃したり、あるいは炎自体を操ったりして、メンバーの周囲を燃やしてくる。
 飛馬が前に出ようとするが、敵の動きは速い。自在に空間を飛ぶ敵は側面から覚者達を狙ってくる。
 ラーラもメンバーの中央にいたが、翼持ちの炎は覚者全員を焼いてくる。炎による傷をその身に負いながら、彼女は煌炎の書を開き、宙に魔法陣を描いていく。そこから発生するのは、流転の炎。一所に留まらぬ炎は手近な顔付きを狙う。
 その上で、ラーラはエネミースキャンを使い、敵の能力を探ろうとした。だが、分析が必ず成功するわけでもない為、ラーラは繰り返し試みることとなる。
「前にいるなら、好都合だ」
 敵はかなり前のめりに攻めてきていた。お陰でこちらが包囲されかける形となっているが、梛は自身の側に咲かせた花の匂いを強く引き出し、敵陣へと浴びせかける。
 香りは強い力となり、匂いを感じなさそうな火の玉にすらもその効力を発揮し、その炎の勢いを若干ではあるが弱めていく。
 防御態勢を整える飛馬は、次なる敵の攻撃に備えながらも仲間へと飛ぶ攻撃を受け止める。
 理央も後方から治癒力を高める香りを濃縮し、仲間達へと振り撒いていく。それを受け、凜は一度水の竜を呼び出して火の玉へと浴びせかけてから、仲間の回復へと回り始める。
(大ケガしたりしないように気をつけるんよ)
 とはいえ、側面に回ってきていた顔付きが怪しく瞳を光らせ、彼女の顔面を炎上させてくる。怒りを覚えると、それだけでスキルを使う集中が出来なくなるのが非常に厄介だ。
 そんな敵を、凜音はしっかりと確認する。
「翼持ち左右の顔付きの体力は減ってきているな」
 戦場を俯瞰しつつ、彼は仲間へと敵の状態を伝える。
 もちろん、凜音もただ黙って見ているだけではない。後方にいながらも、サイドに回ってきていた敵が上げてくる火柱が彼の身を焦がすのだ。
 先ほど気力回復を頼んだこともあり、凜音は全体を見ながら、仲間の回復をメインに当たって行くのである。

 しばし、妖の炎に耐えながら、覚者達は回復、攻撃を繰り返すこととなる。
 飛馬は仲間に襲い掛かる顔付きのかぶりつきを、2本の刀を使って受け止めた。それならまだいいのだが、面倒なのは上半身を発火させ、こちらの理性を奪ってくることだ。
 奏空は薬師如来の加護を受けた睡蓮の神秘の水を仲間に振りまき、回復と同時に理性を取り戻させつつ、自然系妖が相手とあって、呼び起こした雷雲から雷を叩き落とし、感電した妖を消滅させた。
 覚者達はエネミースキャンを多用し、敵の体力の減少度合いを逐一確認する。
「次、こっちだ」
 今度は梛が倒すべき、残り体力の少ない敵を指し示す。
 それを受け、サイドに回りこんできていた顔付きを、理央は水竜で飲み込ませて鎮火させてしまう。
 その間も、翼持ちが特攻を仕掛け、覚者達の傷を広げていく。凜音は潤しの雨を仲間達へと降らせ、回復を行いながらも仲間に告げる。
「そいつ倒した方がいんじゃね?」
 凜音が指差すのは、梛に対する形の顔付き。再び奏空の落とす雷がそいつを霧散させてしまう。
 順調に覚者達は妖を攻め立てていたかに見えたが、凜が微妙に火の玉に絡まれていた。敵が減ったことで飛馬がそいつを抑え始めてはいたが……。
 翼持ちがそこで、炎の舞を覚者達へと浴びせかけてくる。凜はそれに耐えられず、刹那失いかけた意識を魂の力で呼び戻す。
(まだ、倒れてられないんよ)
 そうして、彼女は癒しの滴を仲間へと振り撒く。
 仲間が落とされかけたのに、ラーラは少しだけむっとする。相手は炎の使い手。それだけに、彼女は対抗心を抱いていたのだ。
 燃え上がる流転の炎。それをラーラは連続して顔付きへと叩き込む。炎と炎がぶつかり合うが、ラーラの紅の炎が勝る。顔付きは苦しそうな表情を浮かべていたが、その顔が消えた直後、体をも無くしてしまった。
 理央も立ち回りがうまくいかぬ部分はあったようだが、戦闘面において、しっかりとした戦闘方針があったこともあり、戦い抜くことが出来ていたようだ。
 その彼女が気力を分け与えることで、凜音は浄化成分を凝縮し、敵の攻撃による火傷を癒していく。
「そろそろだな」
 しかし、戦いにも終わりがやってくる。翼付きも次第に勢いが衰えていき、自らに気力を使うことで再燃させようとしていたのだ。
 ラーラの繰り出す流転の炎、そして、凜が水竜を飛ばし、奏空が雷を落とすのに続き、梛がすかさず投げ飛ばした種を急成長させ、炎の妖の体を縛り付ける。植物が炎を縛り付けるという摩訶不思議な光景は、妖と術式のなせる業だろう。
 ジタバタと羽を動かしていた翼持ちだったが、植物の勢いに負け、燃え尽きてしまうこととなる。
 落下し、消滅する炎。覚者達はそれをしばしの間見つめていたのだった。

●小部屋に飾られたものは
 翼付きを倒し、メンバー達は武器を構えたまま警戒を行う。
「気のせいか、相手が前回よりも強い気がするんだよなぁ……」
「翼を持つ炎の妖か……、ますます『朱雀』みたいだね」
 凜音の言葉に、奏空が推論を展開する。
 遺跡の奥にそれだけ入ったから、強い個体が出現したのだろうか。それとも、何かを守っているのか、ただ棲み付いたのか……。
「そういうのもいつか、分かればいいな」
 とりあえずは妖の気配が消えたことで、覚者達は戦闘態勢を解く。
 ただ、依然として通路や部屋中が炎で包んだまま。この部屋の調査を、メンバー達は速やかに行う。
 傷を負っていた凜が部屋内を見回し、天井も見上げる。宙には、守護使役のライライさんも飛んでいた。
 この部屋には、何かが張り巡らされた後がある。残念ながら燃えてボロボロになってしまっていたが、それは封印を施す為の呪符にも見えた。
「妖が壊したがる封印……か。何かが封じられてるってのは間違いねーよな」
「より深く進めば、ランクが3や4に届くような妖も出てきたりして……。そういう意味では、封印を守ることも大事そうです」
 どう見ても、ここの封印は壊されてしまっている。これが全部壊されるようなことになると……。飛馬、ラーラは顔を顰める。
「『朱雀』……四神の遺跡か」
 以前、大亀が現れる遺跡が調査されていたと梛は語る。これが玄武ならば、中央にも何かあるのだろうか。
「麒麟とか黄龍とかだっけ」
 何かを祭る為の遺跡。儀式の為の遺跡なのだろうかと梛は思考する。
 そして、部屋の奥に小さな祭壇がある。それに気づいた奏空が近づき、そこに置かれていたものを手に取る。
 それは、青く縁取りされた小さな鏡だった。だが、それには強い魔力が込められており、持っているだけで力が沸いてくる様にも思える。彼はしっかりと用意したバッグにそれを仕舞っていた。
 一頻り調べた頃には、心なしか部屋を包む炎の勢いが収まってきたようにも思えたが、それを確認できるほど余力はない。
「そろそろ撤収しようか」
 傷を負うメンバーもいる。奏空の提案もあって、メンバーは入り口へと急いで戻っていくのだった。

 ようやく外へと出て、涼しげな空気に梛が目を細める。
「そういえば、なんであの遺跡はこんなに熱いのかな」
 遺跡に現れる妖を討伐したことで炎が収まるのが確認されているが。かと言って、それだけで収まらぬ部分もあるから分からぬところ。その因果関係がうまくつかめるとよいのだが……。
 ともあれ、メンバー達は蒼い鏡を手土産に、考古学者へと調査報告に向かうのだった。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
『蒼の鏡』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:工藤・奏空(CL2000955)



■あとがき■

リプレイ、公開です。

鏡を発見したあなたへ、
遺跡探索における活躍も考慮し、
MVPをお送りします。

今回は参加していただきまして、
本当にありがとうございました!




 
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