『首』落ちる
『首』落ちる


●花言葉
 百合。大きな花弁に強い香り、色んな行事で使われている存在感がある花である。
 「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉に使われる程に『清楚』という言葉がピッタリの花だ。
 しかし、それは見た目の話。

 実際はーー……

「落ちる、落ちる……」
 人の形をした茎、頭部の部分には複数の百合が開花している。
 ずるり、ずるり、と足の様な根を引き摺りながら前に進む。
 人々が付けた花の印象、意味を嫌う百合は突如『妖』となってまったのだ。
「首、落ちる……」
 と、震えながら言うと、頭の百合がボトリと地面に落ちた。
 それは、人の頭が首から取れて落ちるのと酷似している。

 埼玉県、日本で一番百合を生産しているその地にある花卉農家の1つのビニールハウス。
 そこで栽培されていた百合が突如、動き出し1ヶ所に集まると人の形へと成った。
「え? な、なに……こ、れ……」
 それを見てしまった農家は、腰を抜かして地面に尻餅をつき戸惑いと驚きが入り交じった声で言う。
「落ちる、首……」
 百合が頭部の花を、首が落ちるかのように花の部分を地面に落とす。
 落ちた花から蔓が伸び、子供位の大きさだが人の形に形成する。
「落とす、落とす」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
 農家は手足をじたばたと動かし、四つん這いの状態でビニールハウスから出ようとする、が。
 蔓は逃げようとする農家の首に巻き付ける。
「落ち、なさい」
 ギューと蔓は農家の首を絞め、百合の花のように首を落とした。

●F.i.V.E.
「皆さん、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます」
 久方 真由美(nCL2000003)はアナタ達に軽く一礼をする。
「埼玉県の山の麓にあるビニールハウスで栽培されている百合が妖となり、人の首を落とし回ります。皆さんには、その妖になった百合を退治して欲しいのです」
 真由美はゆっくりと説明を始めた。
「ただ、戦闘となる場所はビニールハウスが建ち並んでいいますので、火系の攻撃をするさいは注意してください。現地までの移動手段はF.i.V.E.で用意しておりますので、それを使うと良いでしょう。花卉農家には連絡をして、九重さんが現地で人払いをしてくださっています。それでは、吉報をお待ちしております」
 真由美はアナタ達に向かって微笑んだ。


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:普通
担当ST:紅玉
■成功条件
1.妖『百合』『小百合』の討伐
2.なし
3.なし
『ぽとり、ぽとり、枯れた百合は頭を落とす。女は、枯れた百合を焚き火に投げ入れた。震える手、まるで人の頭を焼く罪人になった気分だ、と言った』
こんにちは、ルビーの和名の紅玉です。
皆さんの参加をお待ちしております。

●場所
埼玉県の山の麓(昼)
沢山のビニールハウスが建ち並んでいます。
サイズは大きい(高さ3メートル、奥行き10メートル位)のを想像して下さい。

●一般人
農家には伝えているので、ビニールハウスには近寄りません。
花卉農家の敷地内ですが、家の子供が遊びに来る可能性があります。

●敵

『百合』1体
ランク2の生物系
全長4メートルの大きな人形の百合。
ヒトの様に声を発する事も可能。
自らの頭を落とし、小百合を増やす事が可能。
・百合の香り「甘い百合の香りを出す」(遠単、毒)
・首取り「首という首を蔓で締め付ける」(遠単)
・百合の蜜「花から透明な蜜を飛ばす」(遠列、痺れ)

『小百合』16体(増える可能性アリ)
ランク1の生物系
30センチ位の人形の百合
・自爆「対象に抱き付いてその身を散らす」(特近単、毒)
・首取り「1ヵ所の首を蔓で絞めて地面に叩きつける」(遠単)

●NPC
九重 蒼玉
基本皆様のサポートをしていますが、指示があれば従います。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(0モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
公開日
2017年03月06日

■メイン参加者 8人■

『月下の白』
白枝 遥(CL2000500)
『ボーパルホワイトバニー』
飛騨・直斗(CL2001570)
『冷徹の論理』
緒形 逝(CL2000156)
『赤き炎のラガッツァ』
ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)

●言霊
「……他人の印象を押し付けられるのは、嫌ですね」
 大辻・想良(CL2001476)はビニールハウスの中で開花している百合を見て思った事を口にする。
「他者による一方的なイメージの押しつけは辛いですよね。それに、匂いが強いと嫌う人もいるようですが、僕は好きですよ」
 勒・一二三(CL2001559)が想良の言葉に同意するように頷きながら答える。
「百合って純白とか良いイメージの方が多いと思ってたけど……ううん、人が勝手にイメージした物を押し付けられるのは苦しいよね。花言葉で贈り物を決めたりするけれど、花からすれば余計な事なのかな……」
 『月下の白』白枝 遥(CL2000500)は複雑な面持ちで百合を見る。
「言霊。古来から言葉には力が宿ると云われています。なので、言うに魂と書いて言魂とも言いますね」
 と、九重 蒼玉が説明する。
「手塩にかけて育てて百合が妖化とは農家の方も不運ですね」
 望月・夢(CL2001307)は妖と化していく百合に視線を向けた。
「首を落とす妖ねぇ……クククッ! まさに俺にうってつけの敵じゃねェか! なあなあ! 俺にその見事な首狩らせてくれよ! さあさあ、姉さん……鬼哭丸沙織よ。今宵も存分に血を浴びせ……首を狩ろう!」
 狂人染みた嬉々とした声を上げる『ボーパルホワイトバニー』飛騨・直斗(CL2001570)は、ビニールハウスの屋根を破り巨大化していく百合を見上げながら両手を広げた。
「百合関係の依頼って言ったら、前に百合の花の頭したマッチョが浜辺に現れた事件があったけねーあれ以来私はホッケに軽い殺意が湧いてるよ。まぁ、今はそんな事どうでもいいんだよ」
 『異世界からの轟雷』天城 聖(CL2001170)は深支子の翼を羽ばたかせた。
「へえ……首ねえ。花言葉は何だ、オレンジ色のヤツが物騒な花言葉じゃなかったっけ? おっさん覚醒したら手首と足首が無いんだけど、この首1つに誘導出来るのかしら。主翼と尾翼に節なんざ無いぞう? まあ柔軟性が無くて地上戦に向かないカタチだが、そんな気遣い餌相手にゃ要らんな。腹を空かせた悪食に軒並み喰われて貰おうかね」
 と、緒形 逝(CL2000156)は覚醒した己の手足を見て肩を竦ませた。
「ビニールハウスのことを考えると炎柱に召炎帝はNGですね……火焔連弾も気を付けないと。妖をやっつけるのも大事ですが、農家さんの生活を守るのも大事なことです」
 『赤き炎のラガッツァ』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)は立ち並ぶビニールハウスに視線を向けながら夢見の言葉を思い出す。
 ざわざわ。
 風のないビニールハウス内の全ての百合が一つの妖となり。
 ぼとぼと。
 その頭の百合が地面に落ち。
 しゅるしゅる。
 120cm程の子供位の大きさになり、次々と増えていき夢見が言っていた数の16体にあっという間に『小百合』は増えた。
「念のため結界を張っておきましょう。これだけ妖がいる中に子供が来たら大変です」
 ラーラは守護使役のペスカを呼び、金の鍵を受け取ると魔導書の封印を解くと素早く結界を張る。
「生物系の妖は、ランクが低いと元に戻ることもあるって聞きましたけど。百合、いくらかでも戻らないかな……」
 想良は前衛に立ち艶舞・寂夜で眠りをいざなう空気感を再現し、眠る小百合がいるかぐるりと見回す。
「とくに植物であった貴方はそれを拒む言葉を持っていなかった……。ですが、だからといって人の首を落としてもいいことにはなりません」
 と、言って一二三は『百合』を見据えながら後方から演舞・清爽で仲間の身体能力を上げる。
 本当に『百合』は人を憎むあまりに首を落とそうとしているのか?
 逆に、人が『百合』は首を落ちるのと似ているから、そうするのと思ってしまっているのか?
 考えても答えに辿り着かない今は、覚者としてただ人に害をなすべき妖を元に戻すか倒すだけだ。
「回復は任せて、でも無理はしないでね」
 遥は中衛から仲間を回復中心に『小百合』が増えた場合の対処役として立つ。
「邪魔だ、有象無象。首を狩られたくなければそこを退け!」
 直斗が妖刀・鬼哭丸沙織の刀身を鞘から抜き、威風で『小百合』達を遠ざけさせながら『百合』の元へと一直線に向かう。
「私は、私の役目を果たしましょう」
 後方から夢は、藤色の上着を翻し迷霧の粘りつく様な霧を発生させ『小百合』達を『虚弱』にする。
「百合とホッケが全く関係ないと思ってるみんな!全くもってその通りだよ! だからこれは私の私怨、……誰のための何のための何に対しての復讐か、私もぜんっぜんわかんないけど!」
 くるっと轟を持ち直し聖は、『小百合』の群れに星の様に輝く粒を降らせる脣星落霜を放つ。
「もう、ツルが何処から分からないから厄介だよねー。最悪、空に逃げれば良いけどね」
 ツルの長さにも限度があるだろうと、聖は何となくそう思った。
「……百合は喰えるのよな。味は兎も角ね」
 ここで栽培されている百合は食用では無いが、逝が食べれると思えば『ソレ』は食材の部類に入るのだろう。
「悪食も大喜びだ、おやつがこんなに有るんだもの。片っ端から地烈で引き裂いて貪り喰ってやろうねえ!」
 ヘルメット越しの瞳に映る『小百合』の群れは、逝にとってはただの『悪食のおやつ』だ。
『首落ちる。首落ちる』
 騒めく百合の頭。
 ねっとりと、覚者達の鼻に纏わりつくように甘い匂いが漂う。
 人が与えし言霊の恐ろしさをその身に刻まれる。

●斬首
 想良の守護使役『天』が小さな翼をたばたかせ、ぐーるぐーるとビニールハウスの周囲を『ていさつ』する。
「おいおい、もっと歯応えねェぞ……じゃねぇと、すぐに首狩って殺しちまうぞ」
 と、つまらなそうに直斗は香仇花で弱った『小百合』をぐしゃりと踏む、が。
 潰したのは花のハズ。
「ヒヒッ!」
 直斗の靴底から小さな水風船を潰したかのように弾ける感触、そして人と同じ血が四方に飛び散った。
「花のクセに! 面白い仕掛けだな!」
 虫を潰す無邪気な子供の様に直斗は何度も、何度も『小百合』を踏む。
 夢は悲し気に瞳を伏せ思う『落ちた百合の花弁を首と例えた者は酷だ』と。
 一寸の虫にも五分の魂。
「ククク、やれば」
 『小百合』達は直斗の足に抱き着き自爆する。
「出来るじゃねぇかァ!」
 体の半分が鮮血に染まった直斗は、痛がるどころか歓喜の声を上げる。
「数が、多すぎます」
 夢は雷の鎖で捕縛する捕縛雷を『小百合』達に使うが、自爆して減ってくれるが『百合』から遠ざけようとする。
「楽しむのは勝手だけど、仲間の命も農家の生活も掛かっているのだから気を付けてよね」
 遥は癒しの滴で直斗の傷を癒す。
「もう、こンなにばらばらなンだから……そこは気にするだけムダだな」
 と、言って直斗は殆ど壊れたビニールハウスを指す。
「適宜、危なくなったら勝手に下がっておくれ」
 逝は悪食で『小百合』の残骸をヘルメットの下から口に入れた。
 瑞々しく柔らかく、そしてつるっとした花弁の触感を感じながら一気に呑み込み胃に収まる。
 噛んではいないのに逝の舌には血に近いモノの味がしつこく纏わりつく。
「増えたさね」
「暇より、マシだな」
 『百合』の頭が地面にボトボト落ち、新たな『小百合』達が加わる。
「これじゃ、きりがありません! でも、引き下がるなんて選択はありません!」
 煌炎の書で攻撃するラーラは増える『小百合』達を見て力強く言った。
「やっぱ何と言っても狙うのはあの百合頭でしょ!」
 聖は、地面から生える蔓を迸る雷の如く避けながら飛ぶ。
「遅いね! 私は、異世界からの轟雷。そんな遅い蔓で捕まえられる雷だと思う?」
 『百合』の背後に着地した聖は、電気を纏っている杖『轟』に巨大な雷の刃を纏わせる。
 バチバチと雷が弾ける音と共に轟を振るうと、『百合』の体に無数の傷を作りながら緑色の破片が舞う。
「百合にもホッケにも何の罪もない。だけどお前は死ね!! 」
 と、声を上げながら聖は『百合』を指す。
「必要、かな……?」
 想良は演舞・舞衣でBS『毒』を受けた仲間の状態異常を回復する。
「産まれ来る小百合は僕も減らします」
 一二三は、小さな雷雲を発生させ雷を落とす召雷を『小百合』の群れに向かって放つ。
「さて、小百合は飽きてきたさね。あゝ、百合の方も有ったわね」
  と、言って逝は直刀・悪食の柄を握る。
「その頭は、どんな味がするのかしらね?」
 逝は地面を力強く蹴り、『百合』との距離を一気に詰めると直刀・悪食を鞘から刀身を抜き『百合』の体を横一閃に斬る。
「意外さね。逃げないのね」
 ちら、とヘルメット越しに『百合』の後姿を見ながら言う。
 呪いの武具で傷付けられた『百合』は、妖刀ノ楔の効果により体内を縛られてしまった。
『首、首……く、首』
 騒めく白い百合の花、繰り返される言葉、そして雌蕊から滴る蜜は後衛に飛ばされる。
「っ!」
 後衛に居た夢、一二三、蒼玉の3名は地面に膝を着き痺れた部位を手で押さえた。

●意味
「よォ、百合の妖怪。貴様も首を落とすのが趣味か? 俺も同じ趣味だ。仲良くしようぜ。勿論、どっちが首を落とすかの勝負だ! ギャハハハ! なあ、首を寄越せよ! 俺にその首狩らせろ!」
 己より大きな『百合』に親し気に、そして狂った様に笑い声を上げながら直斗は言葉を投げる。
「……っと、ちょっとエキサイトしすぎて抑えてた人格が出てきそうになっちまった。だが、貴様が悪いんだぜ? 俺と同好の士が居ると思うと……殺したくなる」
 吊り上がる口元を手で押さえ、直斗は首を取るモノ同志と思っている『百合』に対して好意ではなくどろりとした憎悪の牙を向ける。
 体内を縛られても、まるで花弁とは『別のモノ』の様にボトボトと落ち『小百合』や『蜜』が落ちる。
「事実あれが落とされてチビが作られるわけだし、こう……何とかなんない?」
「もう、母体である『百合』を倒すしか思いつきません」
 聖の言葉にラーラは『小百合』を倒しながら答えた。
「大丈夫、ですか?」
 想良は後衛の3人の異常状態を回復させながら視線を向けた。
「大辻様、ありがとうございます」
 夢は想良にお礼の言葉を言うと、開眼している第三の目で怪光線を放つ破眼光を『百合』に向かって放つ。
 威力は兎に角、彼女はBSの『呪い』を狙ってした攻撃だ。
「後は只管に地烈で喰い散らすだけのお仕事よ、ほらおいで遠慮はしないでおくれ! 瞬きの間の事なんだから!」
 と、埼玉の山に声を響かせながら逝は、地を這うような軌跡から跳ね上がるような連撃の地烈を『小百合』も巻き込みながら放つ。
 『百合』の首……否、白い花弁が茎の様な体からポンと離れ宙を舞う。
「その体、みじん切りにしてあげるよ!」
 翼を羽ばたかせ、聖は再び空へ飛び上がり『百合』を見下ろす姿は雷神の様。
「鉄槌、は私には合わないね。……滅ぼす、私の雷でね!」
 と、言って雷斬を使った轟を手に聖は避雷針に落ちる雷の如く真っ直ぐに『百合』へと滑空する。
「異世界からの轟雷を甘く見ないでね、って言っても分からないか」
 雷の刃で切り裂かれる『百合』を背にして聖は杖を地面に立てる。
「あーあ、つまんねェ」
 気の抜けた声で言いながら直斗は、猛け狂う獣の様な一撃である猛の一撃で『百合』の頭に咲いている花を全て切り落とす。
 『百合』はぐしゃ、と大きな体が地面に崩れて緑色の山と成る。
「終わった様ですね……全部、花の無い百合に戻っています」
 ラーラは『百合』の残骸に手を伸ばしエネミースキャンで確認をする。
「妖化した百合に、イメージの押しつけをしていたのは百合を育てていた農家の方でしょうか?」
 と、百合の残骸を眺めながら一二三が言う。
「分からない、でも僕はこの百合は綺麗だと思うよ」
 残骸の山から無傷の百合を取り出しながら遥が答える。
「さて百合の野郎、何で首を落としてたのかねェ。案外、花の寿命が近づいてたから少しでも自分の存在を刻みたかったんじゃねーの?」
 落ちている百合の花弁を手に取り、ソレを眺めながら直斗は彼なりの答えを言う。
「どうでしょう? 確か、百合は清純、純潔、母性の象徴として歴史が海外では残されている様です」
 夢はそっと一輪の百合を手にする。
「はい、リリー(百合)は女神『ヘラ』さんを象徴する花として有名です」
 その隣で無事な百合を拾い集めるラーラはこくりと頷いた。
「そんな細かい事より、ビニールハウスに被害が出ても一般人の死亡がないならまだいいんじゃない?」
 と、聖はただの百合もどった花など興味なさそうに言う。
「おっさんは残って農家の人達とビニールハウスの修繕に手伝おうか」
 逝はボロボロになったビニールハウスをぐるりと見回す。
「さ、帰ろ帰ろ」
 聖は一足先にビニールハウスから出ていく。
「百合の首なんぞ、あっさりと落ちるからな。まさしく一花咲かせたかったんじゃねーのかね」
 踵を返し、直斗も興味あった対象も討伐されたからだろう足早にビニールハウスから出る。

「買うなんて、そんな! 貰って下さい。飾って『綺麗』だと言ってくれるだけでも、その百合は本望だと思います」
 百合を買うと申し出た遥に、花卉農家は小さく首を振って百合を想う言葉を優しい声色で言う。
「本望……はい、そうさせてもらいます」
 思っていたのと反対の言葉を聞いて一二三は安心した様子で答える。
「はい、では遠慮なく貰うね。妖化しちゃうとちょっと怖いけど、やっぱり綺麗だよね」
「私も毎日リリーに『綺麗』と言ってあげたいです」
 2輪の百合を手にしている遥の言葉を聞いて、ラーラは綺麗に束ねた百合をぎゅっと優しく抱きしめた。
「そういえば、首が落ちるといえば牡丹の花もそうだったかな? さすがに牡丹の花まで妖化したりしない、よね……?」
 ふと、思った事を口にする遥。
「言霊、口にすれば本当になってしまいますよ?」
「あはは……うん、イメージしちゃ駄目だね」
 蒼玉が口元に人差し指を添えるのを見て、遥は想像したモノをふるふると首を振って払う。
 人の悪いイメージが集まり、ソレが力となり百合を妖と化したのかもしれない。
 それとも、百合が人から与えられた印象を否定する為に妖と化したのか?
 それを理解する事は百合になってみないと分からないのかもしれない。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし



■あとがき■

参加して下さった皆様、リプレイ遅くなってしまい申し訳ありません。
先月、10日間程入院をしておりました。
好戦的な方、百合を想う方、毎回違う想いがあって本当に楽しかったです。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
参加、本当にありがとうございました!




 
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