クリスマス2017 SS
きっかけは単純なことだった。一緒に洋画を見ていたらラブシーンに突入したのだ。
冬佳がぽそりと囁いた。
「あの二人素敵ですね」
夕暮れに染まる部屋で、恋人同士の男女が誓いのキスを果たし、愛を確かめるというよくあるシーンだ。
「冬佳さんはああいうのが好きなの? やってみる?」
少し意地悪な笑みを浮かべた千歳が尋ねた。
「酒々井君、意地悪です」
恋人の少しすねた顔が可愛らしい。
「俺は、いつだって君をみていた」
映画通りの台詞。とん、と冬佳がもたれていた壁に千歳の腕が置かれ、距離が縮まる。
「君は俺のすべてだ」
クールに見える冬佳とて、少女である。愛する男性が潤んだ瞳で近づいて来れば心は跳ねるもの。
「私も、あなたとなら」
冬佳も同じように、映画の台詞を紡ぎ出せば、二人の距離はゼロになる。
夕日の部屋で口づけする恋人たち。映画のワンシーンを切り取ったその一瞬が永遠になればいいと思う。
『愛しています』
映画の中の恋人たちが、彼らの想いを代弁するように宣言した愛の言葉に気恥ずかしくなり二人は離れた。
そして、どちらからでもなく自然に笑いがこぼれ、もう一度唇を重ねられる。
「――――」
紡がれた言葉は映画ではなく、彼ら自身の愛の誓いの言葉だった。
冬佳がぽそりと囁いた。
「あの二人素敵ですね」
夕暮れに染まる部屋で、恋人同士の男女が誓いのキスを果たし、愛を確かめるというよくあるシーンだ。
「冬佳さんはああいうのが好きなの? やってみる?」
少し意地悪な笑みを浮かべた千歳が尋ねた。
「酒々井君、意地悪です」
恋人の少しすねた顔が可愛らしい。
「俺は、いつだって君をみていた」
映画通りの台詞。とん、と冬佳がもたれていた壁に千歳の腕が置かれ、距離が縮まる。
「君は俺のすべてだ」
クールに見える冬佳とて、少女である。愛する男性が潤んだ瞳で近づいて来れば心は跳ねるもの。
「私も、あなたとなら」
冬佳も同じように、映画の台詞を紡ぎ出せば、二人の距離はゼロになる。
夕日の部屋で口づけする恋人たち。映画のワンシーンを切り取ったその一瞬が永遠になればいいと思う。
『愛しています』
映画の中の恋人たちが、彼らの想いを代弁するように宣言した愛の言葉に気恥ずかしくなり二人は離れた。
そして、どちらからでもなく自然に笑いがこぼれ、もう一度唇を重ねられる。
「――――」
紡がれた言葉は映画ではなく、彼ら自身の愛の誓いの言葉だった。
