バレンタイン&ホワイトデーSS 2016
一緒にチョコづくり
チョコの作り方を教えてほしい、それを受けたのが先日の事だ。
板チョコを包みから取り出していく彼女の様子を見つつ、誰に渡すのだろうかと思いが胸の中で渦巻くが、それは直ぐに引っ込んでしまう。
「んしょ、んしょ」
教え通りにチョコを刻み始めるひさめだが、その慣れない手つきは見ている方がハラハラする。
手を出した方がいいのかどうなのか、後ろで忙しなく手を彷徨わせつつ、不安いっぱいに彼女の背中を見守っていたが。
「ぐるぐる~……」
今度は溶かしたチョコをかき回していれば、それに目を回して後ろへよろけていく。
「水無月!?」
流石に倒れる前に背中を受け止めると、水色の合間から見える白い頬には、跳ねたチョコレートが雫となって滴っていた。
「水無月、チョコついてるぞ」
「えっ?」
そのまま顔を寄せると、そこへと唇を寄せて雫を舌先で掬いあげれば、ひひさめの何時もの表情に朱が差し込む。
ちょっとした悪戯だったはずだったが、思った以上の反応に、こちらも視線を逸らしながら軽く頭を掻く。
「わりぃ……ぁ、ところでそれ、誰に渡すんだ?」
「それ……は」
枢紋が誤魔化すように胸に残っていた疑問を投げかけると、ひさめの頬はぶぁっと真っ赤に染まり、彼を見上げた。
言葉はない、だが誰が見てもその仕草の意味は分かることだろう。
板チョコを包みから取り出していく彼女の様子を見つつ、誰に渡すのだろうかと思いが胸の中で渦巻くが、それは直ぐに引っ込んでしまう。
「んしょ、んしょ」
教え通りにチョコを刻み始めるひさめだが、その慣れない手つきは見ている方がハラハラする。
手を出した方がいいのかどうなのか、後ろで忙しなく手を彷徨わせつつ、不安いっぱいに彼女の背中を見守っていたが。
「ぐるぐる~……」
今度は溶かしたチョコをかき回していれば、それに目を回して後ろへよろけていく。
「水無月!?」
流石に倒れる前に背中を受け止めると、水色の合間から見える白い頬には、跳ねたチョコレートが雫となって滴っていた。
「水無月、チョコついてるぞ」
「えっ?」
そのまま顔を寄せると、そこへと唇を寄せて雫を舌先で掬いあげれば、ひひさめの何時もの表情に朱が差し込む。
ちょっとした悪戯だったはずだったが、思った以上の反応に、こちらも視線を逸らしながら軽く頭を掻く。
「わりぃ……ぁ、ところでそれ、誰に渡すんだ?」
「それ……は」
枢紋が誤魔化すように胸に残っていた疑問を投げかけると、ひさめの頬はぶぁっと真っ赤に染まり、彼を見上げた。
言葉はない、だが誰が見てもその仕草の意味は分かることだろう。
