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　明けぬ夜。偽物の太陽の如く、眼下に広がる炎々と燃ゆる赤い世界。
　火の粉が風に乗り、白髪と白尾も朱に染まった事件の首謀者は目を細めて立ち上がった。
　風のつてに聞いたある結末は。
「アルカの部隊は退いたか。部下は悪くねえよ、よくやってくれた。
　はーぁー、俺様が血雨を使ってＦｉＶＥ覚者を引き付け切れなかった汚点が、あっという間に広がりそうで。どうするー斗真ぁー」
　逢魔ヶ時紫雨が用意した予定は着々と狂っている。
　何が悪かったか、どこで狂い始めたか。それが最早、ＦｉＶＥに興味を持った時点で狂いが生じていたのなら、修正する術は無い。
　ＦｉＶＥの規模を甘く見過ぎていたか。ヒノマル陸軍を相手にした時の彼等は、まだ、ここまで育っていなかったはずであった。
　異常な速度で急成長する覚者組織。
　天才は潰すべきだ。芽を出す前に、花になる前に。必ずＦｉＶＥは、これからの日本の中心に置かれる存在だ。
　それをなんとなくで紫雨が察していたのは、彼もまた異常な速度で成長し、未だ発展途上の子供であるからだろう。
「ＦｉＶＥ居場所と、規模と、知れぬ因子の存在」
　この情報だけで、七星剣は――否、七星剣以外も高く買ってくれるだろう。
「まっ、今からその組織も無くなる予定だけど……、まさかなぁ、消滅するのは俺様の方だったりして！！」

＜ 逢魔ヶ時 紫雨　| VC/もめん子 ＞