クリスマスSS 2015

 広い和室に置かれた、大きなクリスマスツリー。
 ボール飾りにモール、リボンの付いた小さなベル。
 それらを飾り付ける時から少し――否かなり、十夜 七重は危うかった。
 肩の羽織を落としそうになりながら、懸命に背伸びをし両手を上げている。
 そうして果敢にも彼が天辺に飾る星を手にした時、義妹の十夜 八重は「あらあら」と口元へと手をあてた
「仕方ありませんね」
 クスクス、クスクス。
(ちょっと……少し、だけ、届かないな……)
 本当は全然届いていないが、そこは彼の優秀な脳が変換する。
「兄様、こちらをどうぞ」
 八重の声に顔を向ければ、彼女の手には踏み台。
 トナカイの絵が描かれた可愛いらしい代物だ。
 ――疑いようもなく、それ、子供用だろ。
 ジト目で見ても、八重はニコニコ笑顔を崩さない。
 七重を弄るのが生き甲斐の彼女が、こんなチャンスを逃す筈もない。
 視線を暫し泳がせた七重が、台を使わず再び挑戦しようとすれば。
「ふふ、兄様のために特別に用意しましたのに……」
 金色の瞳で睨んでみても、相手は楽しそうに笑っていた。
 憮然とした顔で見てはいても、笑顔で居られると咎められずにいる。
 ひとつ溜め息をつきながら、七重は前に置かれた踏み台へと片足を乗せた。

●発注キャラクター●
十夜 八重(CL2000122)
十夜 七重(CL2000513)
担当ST:巳上倖愛襟
イラスト:ぺいゆ

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