鬼の王・温羅を撃破し、深春・クェーサーを仲間に迎え入れたアーク。 国内主流七派『六道』の六道紫杏の暗躍も始まろうとしていたが、それはさて置き…… 彼女の受け継いだレイザータクトの力を陣営に加えた彼等に万華鏡が新たなる事件を告げる。 アザーバイドの少年に追われる少女を保護したアークは彼女から事情を聴取する。 少女、エウリス・ファーレは『フュリエ』という種族である。ふとした切っ掛けからリンク・チャンネルで通じてしまった異世界から『閉じない穴』の此方側、ボトム世界に迷い込んだ彼女を追いかけていたのは彼女等が敵対する『バイデン』という種族だった。 ラ・ル・カーナとは元々全てが女性形を取る知的種族『フュリエ』が平和を謳歌していた世界らしい。この世界には元来危険な生物や敵意のようなものは存在していなかったらしいが、現在のラ・ル・カーナには危険な動植物が巣食い、彼女等の敵『バイデン』が跋扈している状況だという。 アークに保護されたエウリスの望みは自分の世界『完全世界』ラ・ル・カーナに帰還する事。そして、今滅亡の危機に瀕する同郷の仲間達を救って貰う事だった。アークは、リベリスタ達の意見を採択した結果、助けを求める彼女に応える事を決定した。 この決定を受けてラ・ル・カーナへの介入を決めたアークは素早く動き出す事になる。 リベリスタ達の先遣隊はフュリエの指導者・シェルン・ミスティルとの会談で、『ラ・ル・カーナをおかしくした大本の元凶があの忌まわしきミラーミス・R-type』である事を知ったアークは、ラ・ル・カーナ側の橋頭堡の建造に着手した。 リベリスタ達はフュリエの要請を受け、ラ・ル・カーナに蔓延る危険を排除していく。 一方で異世界からの来客の訪れを察知したのはバイデン側も同じであった。 幾つかの事件で交戦状態に入ったアークとバイデンは敵対状態に突入する。バイデン達は『戦う意志を持たない女性形のフュリエ』とは対照的な『戦う事しか知らない男性形の種族』である。バイデンの指導者・プリンス・バイデンは不敵に笑う。彼の傍らにはボトムにやって来た少年・イザーク・フェルノの姿もあった。 そして、ラ・ル・カーナそのものであるミラーミス世界樹エクスィスに唯一リンクする事が出来るシェルンはその異変に眉を曇らせていた。 程無くして。アーク側がラ・ル・カーナに作った橋頭堡を舞台に本格的戦端は開かれた。 危険な巨獣を狩るバイデンの大部隊がアーク側の戦力と激しく激突する。 アーク側は橋頭堡に備えた防衛力を如何無く発揮し、これを良く守ったが……バイデン側の突破力はその防御すらをも破るものになった。プリンスの激しい突撃に揺れる橋頭堡。 アークの奮闘虚しく橋頭堡は陥落し、彼等は一旦ボトム・チャンネルへの撤退を余儀なくされる。しかし、戦いの中で敵に囚われたリベリスタが居たのはアークの痛恨であった。 非常に好戦的なバイデンがボトムに逆侵攻してくる可能性は低くない。捕虜の扱いも含めてアーク側は難しい舵取りを要求される。 果たしてアークの下した結論は早いタイミングでのバイデンとの再戦――果断なる『箱舟の復讐』であった。囚われた仲間を救出し、橋頭堡を奪還するという乾坤一滴の大作戦である。 一方で激動する状況の中、バイデンに囚われた捕虜達は命を繋ぐ為の試練に挑む事になる…… かくてラ・ル・カーナに再突入したリベリスタ達はバイデンと再度激しく激突する。 戦場に同道したフォーチュナ・名古屋・T・メルクリィを命を賭して守り抜いたルカルカ・アンダーテイカー(BNE002495)の犠牲はあったが……決死の覚悟を決めたフォーチュナ達の支援もあり、リベリスタ側は健闘する。 戦いはそれでも危険な状況を示していたが、戦う決意を固めたフュリエ達の参戦で状況が動き出す。完全世界で戦う勇気を持ち得なかった彼女等の変化はそこが完全世界でなくなった意味を示していた。同時に紆余曲折を経て帰還した捕虜達は、バイデンの誇り高い戦士としての一面に触れ、フュリエに聞いた『悪逆非道のバイデン像』に疑問を抱く。彼等も又、本来持ち合わせない『寛容』を生み出していた。 漸く暫くの平穏を迎えたラ・ル・カーナ。 フュリエの協力で『忘却の石』の力を手に入れたアークは、短い夏休みを満喫する。 しかし平和は長くは続かなかった。 シェルンの招待を受けたリベリスタ達の頭上に異変が現れたのだ。 天の裂け目から覗く眼球はあのR-typeが再びこのラ・ル・カーナに出現した事を示していた。 その接近遭遇は極僅かな時間だったが、狂い始めた完全世界を破壊するには十分であった。 暴走を始めた世界樹エクスィスに引きずられ、崩壊していくラ・ル・カーナ。 異世界の破滅を前に戦略指令室長・時村沙織は決断を下した。 自身の――日本のリベリスタの宿敵とも言えるR-typeによる崩壊を見過ごす事は出来なかった。そして決断を下したのは母なる世界樹を救う事を決めたフュリエも、まさに今世界樹の影響で変異し、絶滅の危機を迎えようとしていたバイデンも同じだった。 かくて始まった決戦は世界を救う為のものになる。 プリンスの特攻からシェルンと共に世界樹内部に侵入したリベリスタ達は『忘却の石』を利用した世界樹のリセットを企図し、混沌の迷宮と化した『彼女』の中を行く。 リベリスタの犠牲を出しつつも最奥に到着した彼等の諦めない勇気が世界の破滅に光を点した。 R-typeによって植えつけられた憤怒の呪いをリセットしたエクスィスは浄化され、怪異と化したその美しい樹は消失し、新たな新芽へと姿を変えた。 疲労困憊の戦場にはバイデンとフュリエ、リベリスタ……それぞれが残り変異は収束したのだった。 だが、元来完全世界には有り得なかった強い感情は傷と痛みを生み出した。 アーク内部でも紛糾を見せた『究極の決断』の後、フュリエは動き出し、アークを加えた三者の事態は最終局面を迎える。 フュリエはバイデンを許せず、バイデンもまたフュリエに許しを請う事は出来なかった。 子供のような彼等は変わり始めたが――全てを変えるには唯、時間が足りなかったのだ。 異世界変異はバイデンの滅亡をもって完全に終結し、フュリエは何時かの理解と再会を誓って去るリベリスタ達を送り出した。 リベリスタの胸に安堵と痛みを残し、かくて事件は終わったのだ。 ★登場人物・重要事項Check! ラ・ル・カーナ 完全世界と呼ばれる異世界。月が三つあり、一日は四十八時間である。 緑の植生に溢れた世界で世界の端は底の知れない崖と化している。平面世界。 元々は人間型の知的生命体はフュリエと呼ばれる女性形の種族だけだったが、R-typeが接近した事で受けた世界樹エクスィスの悪影響でバイデンや巨獣と呼ばれる危険な種族、動植物が生まれ始めた。 世界樹エクスィスの悪影響は本編開始時点でその勢いを増しており、緑の世界は半分以上が荒野と化していた。荒野はバイデンの勢力圏であり、フュリエは滅亡の危機に瀕していた。 世界樹エクスィス 母なる樹。ラ・ル・カーナの中央に聳える巨大な樹木にしてミラーミス。 ミラーミスとはその世界の神であり、世界そのもの。ラ・ル・カーナで生まれた全ての生命体や物質はエクスィスが生み出したものである。 世界樹の守り人であるシェルンはエクスィスと繋がる事が可能で、ラ・ル・カーナ内部限定でフォーチュナ能力に似たものも含め、様々な超能力を使う事が出来る。 その詳細は不明だが、世界樹をリセットした時、黒髪の少女が現れたという情報もある。 フュリエ 元々ラ・ル・カーナに存在していた人型知的生命体。全て女性形。 争うという事を知らず、戦う意志や勇気を持ち得なかった。 種族は全て姉妹のような存在で、互いに気分や価値観を共有する傾向がある。 テレパシーに似た共感能力で繋がっている。肉体的には脆弱だが、神秘的な力の行使は上手い。 フィアキィと呼ばれる妖精のような種族をパートナーにしている。 ラ・ル・カーナ異変で勇気や怒り、憎悪を獲得し、『不完全』な存在と変わった。 最終的にはバイデンを滅亡させる決断を下し、ラ・ル・カーナ異変の終末に痛みを添えた。 バイデン R-typeの影響に侵されたエクスィスが新たに生み出した人型知的生命体。全て男性形。 戦う事が全ての価値観の第一で、闘争以外には余り興味が無い。 種族は全て兄弟のような存在で、交配によって増える事は無い。 肉体的には極めて強靭。フュリエに比べれば原始的だが文化的でもある。 ラ・ル・カーナ異変で寛容や優しさ、妥協を獲得し、『不完全』な存在と変わった。 最終的には彼等の長らくの暴虐非道を許し切れなかったフュリエによって滅亡させられているが、彼等もまたフュリエに対して心から反省し、詫びる心境に至っていなかったのは確実である。 フィアキィ 妖精のような羽の生えた光の塊。 ラ・ル・カーナでフュリエと共に歩むパートナー。 フュリエの力(ミステラン)の行使には重要な役割を負っているようだ。 巨獣 バイデンを除くラ・ル・カーナの危険な動植物の総称。 個体差があるが、基本的に怒りと破壊欲求に満ちている。 バイデンとは波長が合う為、彼等に使われている事もある。 最強の個体はプリンスの乗騎・グレイトバイデン。 エウリス・ファーレ 異世界から逃れてきた最も歳若いフュリエ。末の子。 早くからボトムの人々に触れた為か、生来の活発さ故か、余りフュリエらしくない。 アークがラ・ル・カーナを引き上げた後もボトムに残り友人達の助けにならんとしている。 シェルン・ミスティル 齢千年を超えるフュリエの長。 エクスィスの最初の娘と呼ばれ、彼女と通じ合う世界樹の守り人である。 様々な超能力や叡智を持ち、戦闘能力も高い。冷静で知的だが厳格でもある。 フュリエには珍しく断固とした部分を持っている。 イザーク・フェルノ 異世界から迷い込んだシェルンを居ったバイデンの少年。 プリンス・バイデンからは時期バイデンを背負う者と目されている有望株。 最終決戦では戦死したプリンスに代わりバイデンを纏め上げ、壮絶な死を遂げた。 リベリスタには友情にも近しい微妙な感情を抱いていたようだ。 プリンス・バイデン 生まれてから一度も敗れた事の無かった最強のバイデン。 闘争に明け暮れるバイデンの平均寿命は極めて短いが、彼は初期から生存している。 その戦闘力たるや通常のバイデンの数倍とも言われる、規格外。 ラ・ル・カーナ異変でバイデンが滅亡の危機に瀕した時、狂化した世界樹エクスィスに壮絶な特攻を果たし死亡した。 戦士の儀 バイデンが他人に価値観を認める為の通過儀礼。 つまる所、本気の殺し合いで強さを認められれば彼等は大分好意的になるという事。 『忘却の石』 ラ・ル・カーナ原産の魔石。 記憶をリセットする力を持っているらしい。 世界樹エクスィスの狂化を浄化し、世界滅亡の危機を救う鍵となった。 アーク研究開発室により研究転用が進められ、スキルリセットの必須アイテムとして活用されている。 六道紫杏 通称『六道の兇姫』。 フィクサード国内主流七派『六道』首領・六道羅刹の異母妹。 マッドサイエンティストでバロックナイツ・ジェームズ・モリアーティと繋がりがある。 この頃からキマイラ計画と呼ばれる人造エリューションの量産計画を実行に移しつつあった。 ●ラ・ル・カーナ編● ■12/09/25 世界を飲み干す者 ■12/08/09 箱舟の復讐 ラ・ル・カーナMAP ■12/08/07 バイデン・レポート 戦士の儀 ■12/07/12 バイデン襲来対応MAP ラ・ル・カーナ橋頭堡 |