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( ゜∀゜)o彡

●『リンク・カレイド』、悩む
「……ふう」
 仕事を終え、甘いココアを手にアーク所属のリベリスタのリストを捲るのは、
 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)。
 日頃アークを代表するフォーチュナとして、カレイドシステムの核として。
 若干15歳の身でありながら労働に勤しむ彼女であるが、この日。
 彼女は久々に難題に直面していた。中等部の宿題とかそんなチャチな物では断じてない。
 アークが恒常的に抱える難題。それが此処に来て表出して来たからである。
 そう――人材不足、だ。
 2010年、10月24日。始まりの日より早1年半が経とうとしている。
 新興と蔑まれ続けて来たアークに、この間息を吐く暇など無かった。
 ナイトメアダウン以降激減した国内の有力リベリスタ達。
 その穴を埋めようと彼らはそれこそ寝食を削ってまで業務に打ち込んで来た。
 犠牲も、出た。平坦な道などこれっぽっちも無かった。
 それでもアークは歩き続けている。その業績は徐々に世間の評価を得、
 何より新米だったリベリスタ達を徐々に熟練の革醒者へと育てつつある。
 彼らの任務達成率と生還率は一般的なリベリスタ組織の比では無い。
 それこそ、精度に於いても保有戦力に於いても圧倒的に先を行くオルクス・パラストと比べてすら。
 生きて還る事は組織の発展に必要不可欠な事だ。人的資源は有限なのである。

 だが、一方でこれに伴い問題も噴出する。全ての発端は先の三ツ池公園での戦いである。
 この戦いでアークは世界最悪にして最強と名高いフィクサード組織、
 『バロックナイツ』の一角を討った。これは歴史的快挙とすら言える偉業である。
 だが、それがある種の火種を招いた事を否定するのは難しいだろう。
 アークが、リベリスタが台頭するとはフィクサードらにとって厄介極まりない出来事なのだ。
 当然の様に、日本を統べるフィクサード組織主流七派とてそれは例外では無い。
 彼らが何とかアークの発展、成長を抑制しようとするのは至極自然な流れであり、
 そして如何せん。国内のリベリスタは、その総数からして国内のフィクサードより圧倒的に少ない。
 アークがオルクル・パラストを筆頭とした欧州から、リベリスタを大量に招いているのも
 その辺りに原因がある。勿論アークも、アークに属するリベリスタ達もその辺りは良く承知している。
 その為彼らは引き抜きや勧誘に余念が無い。そうして集められた者も決して少なくは無い。
 だが、それでも尚足りないのだ。
 アークに寄せられる期待は大きく、期待に比例して集められる敵意もまた大きい。
 結果として、アーク所属のリベリスタ達の実力は間違いなく向上しているにも関わらず、
 業務その物は全く楽になっていない、と言う結果を齎す事になる。
 それ所か、三ツ池公園に空いた大穴の影響で国内の不安定さは尋常のそれではない。
 既に崩界の危機に片足を突っ込んでいるのだ。いつ世界が滅んでも可笑しくない。
 其処に来て、岡山の『鬼』である。余裕が無い。人手が、足りない。

 現在アークの歩んでいる道は薄氷の上に敷かれている。
 これを何とかするには、まず土台造りである。人材補充とサポートシステムの補強が必要だ。
 後者は、彼女の実の父親。『研究開発室長』真白智親(nBNE000501)が昼夜を問わず取り組んでいる。
 であるなら、彼女がアプローチすべきは前者。果たして自分に何が出来るか、イヴは悩んでいた。
 1つ。抜本的な改革にはならずとも状況を多少好転させられる手段が無いではない。
 アークに護送されたフィクサードと言うのは大体において説得に失敗したケースが多い。
 これらのフィクサードはその後幾ら道理を説こうと宥め透かせようとそうそう納得したりはしない。
 それでも放置しておく訳にはいかないので、拘束し続ける事になる。
 リソースの無駄遣い以外の何物でもない。百害有ったとして利は精々一か二か。
 可能であるなら、彼らをリベリスタに転向させたい。
 マイナスをプラスに転じられるならその益は単純に倍加する筈である。
 だが、その困難を彼女は誰より良く知っている。万華鏡を見つめ続けた、彼女で有れば。
「……仕方無い、か」
 故に。もしも其処に一縷の可能性があるなら、その適性は度外視して賭けざるを得ない。
 例えそれがどれ程非人道的な行為を伴い、アークのリベリスタ達から邪悪ロリと罵られようとも。
「――エフィカさん、今大きい方の会議室開いてる?」
「えっ、あ。はい、使えますけど」
 偶々通りかかった『敏腕マスコット』エフィカ・新藤(nBNE000005)が突然呼び止められたのは
 正にそんな折りの出来事である。

●『閃剣』と言う男
 『閃剣』常盤 総司郎。
 かつてアークと戦い、アークに敗れたフィクサードに在って、
 彼ほど幾度もリベリスタ達の前に立ちはだかった者は決して多くない。
 彼と彼の率いるフィクサード組織はアークと実に四度相対し、そして――敗れた。
 それはアークの輝かしい戦果の1つである。
 だが、彼と彼の部下達はアークによって命を奪われはしなかった。見事に生き残り、生き延びた。
 生きて還る事が力であると言うのであれば、彼らは紛れも無く一定の力を有していたと言える。
 そしてアークの管理下に置かれていた彼らは、今……本部内、大会議室に集められてた。
「――断る」
 取り付く島も無い、とはこのことである。あっさりと告げたのは年の頃30過ぎの男。
 だが、その瞳に宿った色は冴え冴えとして冷たく、その癖何処か威厳を感じさせる。
 体には猫科の動物の様に引き絞られた筋肉を纏い、相応の実力者であれば一目しただけで
 彼の3m圏内へ踏み込む事を躊躇うだろう。
 然り。彼はナイトメアダウン以前の革醒者であり、元は有力なリベリスタである。
 その剣撃閃光の如しと称された彼の手元には、けれど勿論武器などは無い。
 だが徒手に在ってすら他者を退かせ得るならば、それは一流の武人であると言うべきだろう。
 総司郎は静かに対するイヴを見つめ頭を振る。

「確かに、我々はお前達に敗れた。その上で、同志の命を永らえさせてくれた事、感謝しよう。
 だがそれとこれとは話が別だ。我々は己の意地と矜持と誇りを賭けてお前達と戦った。
 そして敗れた以上如何なる裁きを下されようと異存無い、が、かつての敵に降る事だけは出来んよ」
 その後ろには2人の人間が付き従う。黒い軍服を纏った総司郎より幾らか年上の男。
 『サー』の称号を持つ抜き身の刃の様な鋭い眼差しの中年。サー・ブラック。
 そして、彼らの組織に於ける四天王筆頭にして最強の男。
 半裸にカイゼル髭と言う特徴的過ぎる装いの壮年。グラン・バロン。
「申し出は真に在り難く。しかし我々と貴方方は袂を分かった身。
 己が正義を信ずるなら貫かれると宜しい。それを賞賛する事は出来ずとも、見届けさせて頂く所存」
「ですな。この技、この力、振るう場が無い事を嘆く部分が無い訳ではありませんぞ。
 ですが如何せん。魂を賭す事を許されぬ戦場では私の心の紳士が猛りませんからな」
 口々に、同意を反す2名。彼らこそが総司郎の率いた組織の幹部。彼曰く――同志、である。
「……と、言う事だ。申し訳無いが――」
 難しそうな表情のイヴ。其処へ響くノックの音。
「失礼しますっ! イヴさん室長から許可が――!?!?!?」
 慌てて扉を開けて入って来たエフィカに、イヴ+3人の視線が集まる。
 びくっと背を震わせ壁際に逃げるエフィカ。それもその筈。何気なくさらっと流してしまったが、
 バロンは今も尚半裸なのである。筋骨隆々の半裸である。変態である。おまわりさんこの人です。

「ふむ、実に可憐だ。悪くない……いや、良い」
「む、これからが楽しみな花ですな」
「落ち着きたまえ同志諸君。お嬢さんが怯えている。そしてナイスおっぱい」
 だが残念ながら、3人とも変態なのだ。
「あ、あああああのっ、あのっ! イヴさん本気でやるんですかこれ!?」
「やる」
 赤面しながら涙目のエフィカに、頷くイヴは何も聞こえない何も見えないと言う感じで
 心の壁を張っているのが見て分かる。背に腹は代えられない。例え幾らこの場で駆逐したくても。
「……何ですか、それは?」
 そのやり取りに、ブラックが目を止める。如才無いと言うべきか。
 幻想をすら見通す目を持つ彼に一切の不意討ちは通じない。視線はエフィカが抱える資料に注がれる。
 そして彼がそれに目を留めたと言う事は、それこそが今回の切り札。
 そう、イヴは彼らに言ったのだ。とある組織に属していた彼ら。
 その同志を含めアークの管理下にあるフィクサード総勢20名に、自分達の傘下に入れと。
 通る訳の無い交渉の所以は、このジョーカーに賭ければこそ。
「決断は、これを見てからでも遅くない」
 エフィカの持つ資料の1部を抜き、差し出す。
 其処には確かに『戦略司令室長』時村 沙織(nBNE000500)の承認印。そして――
『輝け!第一回アーク( ゜∀゜)o彡選手権の御案内』の文字。

●( ゜∀゜)o彡がいっぱい
「「「…………」」」
 沈黙。沈黙である。3人が凍り付いた様に動かない。理解不能の存在を目の当たりにしたかの如く。
 「面白そうだから」と許可を出した沙織こそ脅威である。
 この厳しい世情下、こんな行事を実施したら社会的にデッドエンドを迎えて可笑しくない。
 時代外れの男尊女卑であるとか女性の権利を護ろうとか言う主張の団体を敵に回す所業。
 態々指摘せずともこの企画立派なセクハラであろう。とんだ死亡フラグである。
「――……正気か?」
 語尾が震える声音で問う、総司郎。その問いに、イヴが無表情に頷く。
「アークは、貴方達を裏切ったりはしない」
 手が震える。声も出無い。ぐうの音も無い。見事な策である。
 これを否定し、避ける事は彼らの生き様その物の否定であり、強いては全同志の否定である。
 それを己がプライドを護る為だけに決断する事は、総司郎にも。
 そして他の2人にも出来はしなかった。資料を受け取り、奥歯を噛み締める。
「……見るだけ、見よう。この場での解答は、控えさせて貰う」
 引き絞る様な苦しげな声で告げる総司郎のその言葉。それがこの場での勝敗を確かに決する。
 籠の中の鳥を出す事には成功した。後は――如何に彼らを心変わりさせるかだ。
「……エフィカさん」
「はいっ!?」
 さっさと会議室から逃げようとしていたエフィカの背に、イヴの声が降る。
「これ、受付に貼って来て」
「えええええええっ!? む、無理ですよっ! 女の子だって一杯居るんですよ!?」
 慌てるエフィカに押し付けられる資料、と言うかチラシ。

「大丈夫、アークのリベリスタならやってくれる」
 エフィカ曰く。
「自信満々なイヴさんの瞳には、時村室長が厄介事を押し付ける時と同じ輝きが宿ってました」
 そんなこんなで秘密結社「おっぱいがいっぱい団」久々の惨状である。
 決して、誤字では無い。



■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:弓月 蒼  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年03月19日(月)00:07
56度目まして。シリアス&ダーク系STを目指してます弓月 蒼です。
( ゜∀゜)o彡を何と読むか。それは皆さんの心の中に。
( ゜∀゜)o彡( ゜∀゜)o彡( ゜∀゜)o彡( ゜∀゜)o彡( ゜∀゜)o彡以下詳細です。

●依頼成功条件
 選手が10名以上である
 おっぱいがいっぱい団を感動させる

●輝け!第一回アーク( ゜∀゜)o彡選手権
※注意!
 参加者の皆さんは以下の3箇所のどの役割を担当するか選択し、
 数字をプレイング先頭に記述して下さい。
 プレイング先頭に数字が無い場合、リプレイに登場しない可能性が有ります。

【1】選手
 選手としてエントリーします。
 自己PR、衣装、アピールする手段等を記述して下さい。
 コスプレ衣装を筆頭に大抵の服飾類は時村財閥の総力を結集して用意されます。
 また、得点が最も多かった選手が優勝です。 

【2】審査員
 エントリーした選手の採点を行います。
 自己の属性を最大3種類まで挙げて下さい。(【Dカップ以上】【貧乳】等)
 属性に対応した選手に1属性につき1ポイント入ります。
 特に胸と関係の無い属性でも一向に構いません。(【高身長】【15歳以下】【可愛い系】等)

【3】その他
 舞台設営や実況中継、撮影や音響等、諸々の雑務をこなします。
 審査員で参加するNPC等に個人的に絡みたい場合もこちらをどうぞ。
 特に制限等は有りませんが、選手権を台無しにする行動には
 相応のペナルティが課せられる事が有ります。
 真白イヴ、エフィカ・新藤もこちらで行動しています。
 ただしNOBU、天原和泉は今回は不参加です。

●おっぱいがいっぱい団幹部+α
※下記メンバーは審査員として参加します。

・『閃剣』常盤総司郎
 34歳。元おっぱいがいっぱい団総帥。おっぱい聖人。男。独身。
 かつてアールタイプと相対した事も有る元リベリスタのフィクサード。
 属性:【バランス】【清楚】【ぽろり】

・サー・ブラック
 41歳。元おっぱいがいっぱい団幹部。おっぱい軍人。男。独身。
 幻想殺しと精神無効を所有する自制心に長けるフィクサード。
 属性:【軍服】【セクシー】【綺麗系】

・グラン・バロン
 57歳。元おっぱいがいっぱい団四天王筆頭。変態紳士。男。独身。
 自動回復する絶対者。カイゼル髭の半裸フィクサード。
 属性:【たゆん】【ぺたん】【ゆさゆさ】

・時村沙織
 34歳。特務機関アーク戦略司令室長。男。独身。
 言わずと知れた時村財閥の御曹司。実質アークの総責任者。
 趣味と実益を兼ねて今回の企画にGOサインを出した人。
 属性:【癒し系】【女性】【ロリ】

●第一回アーク( ゜∀゜)o彡選手権特設会場
 アークの大会議室を用います。100人入っても大丈夫です。
 会場設営等は主にアークの女性オペレーター達やセンタービルの受付嬢らが行います。
 積極的に雑務を請け負う事でエントリーを免れたとかいやいやそんなまさか。
 
参加NPC
エフィカ・新藤 (nBNE000005)
 


■メイン参加者 94人■
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
デュランダル
霧島・神那(BNE000009)
ナイトクリーク
ウーニャ・タランテラ(BNE000010)
ホーリーメイガス
悠木 そあら(BNE000020)
デュランダル
神楽坂・斬乃(BNE000072)
覇界闘士
アナスタシア・カシミィル(BNE000102)
クロスイージス
深町・由利子(BNE000103)
覇界闘士
ティセ・パルミエ(BNE000151)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
ホーリーメイガス
アリステア・ショーゼット(BNE000313)
ナイトクリーク
斬風 糾華(BNE000390)
スターサジタリー
エナーシア・ガトリング(BNE000422)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
デュランダル
石川 ブリリアント(BNE000479)
プロアデプト
マリア・ナイチンゲイル(BNE000536)
マグメイガス
雲野 杏(BNE000582)
ソードミラージュ
絢堂・霧香(BNE000618)
デュランダル
源兵島 こじり(BNE000630)
デュランダル
新城・拓真(BNE000644)
覇界闘士
鈴宮・慧架(BNE000666)
クロスイージス
白石 明奈(BNE000717)
プロアデプト
リスキー・ブラウン(BNE000746)
クロスイージス
祭 義弘(BNE000763)
ナイトクリーク
マーシャ・ヘールズ(BNE000817)
プロアデプト
彩歌・D・ヴェイル(BNE000877)
ソードミラージュ
ツヴァイフロント・V・シュリーフェン(BNE000883)
ソードミラージュ
戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)
ナイトクリーク
五十嵐 真独楽(BNE000967)
デュランダル
卜部 冬路(BNE000992)
ソードミラージュ
紅涙・りりす(BNE001018)
覇界闘士
レイ・マクガイア(BNE001078)
マグメイガス
シルフィア・イアリティッケ・カレード(BNE001082)
スターサジタリー
モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)
プロアデプト
阿野 弐升(BNE001158)
スターサジタリー
リーゼロット・グランシール(BNE001266)
覇界闘士
陽渡・守夜(BNE001348)
ホーリーメイガス
臼間井 美月(BNE001362)
マグメイガス
風宮 悠月(BNE001450)
クロスイージス
ツァイン・ウォーレス(BNE001520)
スターサジタリー
霧島・斑鳩(BNE001577)
プロアデプト
如月・達哉(BNE001662)
ホーリーメイガス
大石・きなこ(BNE001812)
ホーリーメイガス
アンナ・クロストン(BNE001816)
ナイトクリーク
クリス・ハーシェル(BNE001882)
マグメイガス
音更 鬱穂(BNE001949)
ナイトクリーク
黒部 幸成(BNE002032)
デュランダル
小崎・岬(BNE002119)
ソードミラージュ
レイライン・エレアニック(BNE002137)
デュランダル
イーシェ・ルー(BNE002142)
スターサジタリー
エルフリーデ・ヴォルフ(BNE002334)
ソードミラージュ
安西 郷(BNE002360)
ホーリーメイガス
エリス・トワイニング(BNE002382)
マグメイガス
宵咲 氷璃(BNE002401)
覇界闘士
葛木 猛(BNE002455)
ホーリーメイガス
氷夜 天(BNE002472)
ソードミラージュ
ルカルカ・アンダーテイカー(BNE002495)
覇界闘士
焔 優希(BNE002561)
デュランダル
ディートリッヒ・ファーレンハイト(BNE002610)
デュランダル
羽柴 壱也(BNE002639)
マグメイガス
小鳥遊・茉莉(BNE002647)
スターサジタリー
白雪 陽菜(BNE002652)
ソードミラージュ
ユーフォリア・エアリテーゼ(BNE002672)
ソードミラージュ
リンシード・フラックス(BNE002684)
クロスイージス
ヘクス・ピヨン(BNE002689)
クリミナルスタア
桐咲 翠華(BNE002743)
クリミナルスタア
井上 良子(BNE002771)
ホーリーメイガス
エルヴィン・ガーネット(BNE002792)
クリミナルスタア
山川 夏海(BNE002852)
クリミナルスタア
晦 烏(BNE002858)
デュランダル
結城・宗一(BNE002873)
インヤンマスター
九曜 計都(BNE003026)
クリミナルスタア
竜造寺・成銀(BNE003040)
ホーリーメイガス
ティアリア・フォン・シュッツヒェン(BNE003064)
スターサジタリー
桜田 京子(BNE003066)
マグメイガス
斎藤・なずな(BNE003076)
ソードミラージュ
津布理 瞑(BNE003104)
スターサジタリー
ユウ・バスタード(BNE003137)
デュランダル
東雲・紫(BNE003264)
覇界闘士
霧谷 燕(BNE003278)
インヤンマスター
小雪・綺沙羅(BNE003284)
★MVP
ナイトクリーク
フィネ・ファインベル(BNE003302)
ホーリーメイガス
氷河・凛子(BNE003330)
インヤンマスター
明神 涼乃(BNE003347)
インヤンマスター
風宮 紫月(BNE003411)
ダークナイト
夜乃神 璃杏(BNE003413)
ダークナイト
小松 知世(BNE003443)
ダークナイト
柿木園 二二(BNE003444)
プロアデプト
アルバート・ディーツェル(BNE003460)
クリミナルスタア
キャロライン・レッドストーン(BNE003473)
スターサジタリー
アルメリア・アーミテージ(BNE003516)
マグメイガス
田中 良子(BNE003555)
プロアデプト
阿久津 甚内(BNE003567)
ダークナイト
アルトゥル・ティー・ルーヴェンドルフ(BNE003569)
ナイトクリーク
蛇穴 タヱ(BNE003574)

●( ゜∀゜)o彡
 ( ゜∀゜)o彡それは魔法の言葉。
 ( ゜∀゜)o彡それは現存する奇蹟。
 ( ゜∀゜)o彡それは渇望、人は( ゜∀゜)o彡に悩み( ゜∀゜)o彡に望みを託す。
 ( ゜∀゜)o彡には夢と希望が詰まっている。だからこそ、人は何時の世も――

●輝け!第一回アーク( ゜∀゜)o彡選手権開会式
 開幕前の主催者挨拶。
 「そんな訳で、適当に盛り上がってくれ。ん? ああ、俺は今回あくまで審査員なんで。
 実行犯? 責任者? はは何を言ってるんだか分からないなその手の話は秘書を通してくれないか。
 それにアークの司令はあくまでうちの親父だろう? まあ、精々楽しめよ」
 以上、清々しくもぬけぬけと言い切った時村沙織戦略司令室長の弁である。
 実の父親に冤罪を押し付ける事にも微塵も躊躇しないのは冷徹な戦略家、時村沙織の一面であろう。
 だが何でこんなところでそんな一面を発揮しているのか。誕生日の意趣返しか。
 その辺はきっと突っ込んではいけないアークの暗部なのだ。嗚呼、大人って汚い。
「まあ、俺も男だ。嫌いじゃないが……」
 その流れを見ていた祭 義弘(BNE000763)、何処か遠くを見る様に瞳を細める。
 手元にはプログラム。つらづらと記されたエントリーメンバー実に53名。
 これだけでも普通に考えて何事かと思うだろう惨状である。
 その上関係者諸々含めると94名。そこに元おっぱいがいっぱい団幹部+沙織。
 お手伝いのエフィカとイヴを含めると100名入る筈の大会議室が一杯一杯である。
 未だかつて、此処までの人数がこの会議室へ集まった事が有ろうか、いや、無い。
「どの参加者も千差万別なれど皆良きもの。( ゜∀゜)o彡°に貴賎無しに御座るよ、うむ。」
 器具の状態を確認していた黒部 幸成(BNE002032)が隣で頷けば、
 デジタルカメラの設置を手伝っていたエリス・トワイニング(BNE002382) が無表情に首を傾げる。
「よく……わからない。けど……皆……楽しそう」
 きょとんと瞬く仕草に幸成が目線を向ければ、エリスがカメラを向けているのは審査員含めた男性陣。
「なんか……やけに……にやけている……男の人が……多いから」
「ちょ、エリス殿それは駄目で御座る! 御容赦を! 殿中で御座るよ!」
 慌ててストップを掛ける幸成、不思議そうにそれに応じるエリス。
 2人を見ていた義弘の、プログラムを握る手に力が篭もる。何でこうなった。

「さあ、やってまいりました第一回アーク( ゜∀゜)o彡選手権」
 朗々とした声が響く舞台裾。設置されたマイクの最終テストも兼ねて実況席に着くのは、
 新田・快(BNE000439)、隣には御厨・夏栖斗(BNE000004)と結城 竜一(BNE000210) が並ぶ。
「センタービル特設会場より、実況は私、新田快。解説はThe残念イケメン・御厨夏栖斗、
 第一級ペロリスト・結城竜一でお送りいたします」
「どうも、解説の御厨夏栖斗です。本日は( ゜∀゜)o彡選手権と言う事で、
 エフィカちゃんとイブちゃんのポロリが期待されますね!」
「ポロリときたらロリでしょう、解説の結城竜一です。
 昨今、ロリへの風当たりが強いため、エフィカたんイヴたんは俺が守ります」
 アークの誇るお笑い(←ここ重要)御三家は本日もご機嫌麗しゅう御座います。
「なお、特別ゲストにはエフィカ新藤さん、真白イヴさんをお招きしております」
 続く快の台詞に何か呼ばれてしまった真白イヴ(nBNE000001)さんとエフィカ・新藤 (nBNE000005)さん。
 君達そんな所でナにやってるの。
「会場には既に三高平が誇るおっぱいでっぱいちっぱいがところ狭しと
 豪華絢爛咲き誇っています( ゜∀゜)o彡( ゜∀゜)o彡( ゜∀゜)o彡( ゜∀゜)o彡( ゜∀゜)o彡
 ちなみに僕は巨乳が好きですが、ロリコンの竜一さんはいかがですか?」
「いやぁ、やはりロリでしょう。ふくらみかけのちっぱいに、少女特有の体型。
 精一杯背伸びをしようとする彼女たちの姿に、思わず俺の心のツクヨミの水も沸き立ちます。
 お前の( ゜∀゜)o彡が俺のCOOLをHOTに変える」
「勿論バランスが一番大切だと思う私ではありますが、
 それではゲストの御2人にも御意見を伺ってみましょう。如何ですかイヴさん」
 軽妙に語る快とは裏腹に、そんな所でマイクを向けられてもその振り乙女にどう返せというのか。
 イヴさんさらりと聞こえないふり。流石のエフィカさんも困惑した様に微笑むのみ。
「どうも緊張してらっしゃるようですね。ともあれ以上5名でお送り致します」
 気まずい沈黙に暗雲立ち込める実況席。誰だこの3人に解説任せた奴。

 とは言え、そんな会場の様子を見てぽつりと呟く真白さんちのイヴさん。一人シリアス。
「……まずい事になった」
「えっ、何がですか?」
 想定以上の参加者、そして想定以上のエントリー数。何はなくとも54名。
 何処と無く諦め混じりにゲスト席に着いていたエフィカの声に、小さなフォーチュナの目線が向く。
「選手53人。今午前10時。1人ずつアピールする時間を10分取ると……終わるのは?」
「……19時で御座るな」
 運営側の人間として舞台設営に余念の無い幸成が答えれば、エフィカの口元が僅か引き攣る。
 まさかの9時間耐久レース。それはもう( ゜∀゜)o彡選手権とかそんな生易しい物では無いだろう。
 我慢大会である。苦行である。エントリが最後で水着の選手は水着で9時間待つのか、あんまりだ。
「いや、そりゃ流石に無理が無いか?」
 カメラの設置を終えたディートリッヒ・ファーレンハイト(BNE002610)の問い掛けに、
 イヴの瞳が鋭利な色を宿す。責任者が知らぬ存ぜぬを掲げる以上は彼女が動く以外に無い。
 若干14歳にして運営管理に余念が無いイヴさんマジエンジェルである。
「急遽、3人ずつ各10分で消化する事にする」
 苦肉の策。それでも3時間である。途中休憩を挟むならば全体で4時間近くなるだろう。
 まあ、その位しかないだろうなあ、と思いつつも幸成とディートリッヒの目線が交わる。
 言葉にこそ出さない物の2人の視線は暗にこう言っていた。
 いや、幾ら何でも本気過ぎるだろう。
「室長さん室長さん、お疲れ様ですアークってこわいですね!」
「いや、いつもこうじゃないんだぜ?」
「……本当ですか?」
「お茶とお菓子を持って来させよう」
 審査員席に確りと陣取っている沙織に話しかけるアルトゥル・ティー・ルーヴェンドルフ(BNE003569)
 の言こそ至言であろうが、視線を逸らさず微笑みながら話を逸らす彼の相手は流石に少々早い。
(――流石、アークは変態揃いだぜ!)
 そんなやり取りを横目に、義弘を含めた大の男3人の胸を満たすのは
 まさに彼が危惧したその一言である。いや、本当に――――なんで、こうなった。

●エントリーNo1~12
 No1、アルメリア・アーミテージ(BNE003516)
 No2、五十嵐 真独楽(BNE000967)
 No3、井上 良子(BNE002771) の場合

 各員の服装は前者より、スリットの深いタイトなチャイナドレス。
 キャミソールにパーカー、マイクロミニのスカートにランドセル。
 そして、ごく普通の制服である。並べられた三者三様。突出して目を引いたのは真独楽である。
(折角のアピールいっぱいできる機会は見逃せないよぉ。だって女のコだもん!)
 女の子と自己顕示欲は切っても切れない間柄。
 周囲を包む観客を前に、真独楽はあくまで攻めの姿勢である。
「胸はぺたんこだけど、大きさだけじゃないよね!」
 周囲に呼びかけながらくるりと回ってみせ、ランドセルで自然体をアピール。
 審査員席から感嘆の声が漏れる。そして選手席から悲鳴が上がる。
「きゃーっYESYESYEーS! まこにゃん最高! らぶりーまこにゃんぺろぺ、
 あっちょっと何よ離しなさいよ、まーこーにゃーん!」
 フェードアウトしていく何者かの声を余所に、ポーズをとってカメラへウインク。
「パパだぁいスキ!な、フツーの女のコだぞ!」
 愛嬌たっぷりに纏めた真独楽に負けてられないのは“ぺたん”枠のアルメリアである。
「世界中の可愛い子は皆私の物よっ、大丈夫。私可愛い、可愛いは正義」
 拳を握って一歩踏み出す。ひらりふわりと揺れるスリット。
 チラリと見える御足が可愛らしい感じの風貌と相俟ってギャップによる評価を引き出す。
「惜しい、実に惜しいなあ……」
 審査員安西 郷(BNE002360)はギャップ萌をこよなく愛する男である。
 だが、彼のストライクはむしろ“大きい”タイプ。たゆん、ふよん、とした質感が足りない。
 そう、例えば――
「唸れ刃、仁義の為に剣と成れ! 火薬の塵霧を、その白き剣先で霞み斬れ!」
 何か台上でノリノリで歌い出した良子の双丘には見てはっきり分かる程の膨らみがある。
 これで中学生と言うのだから昨今の子供の発育の良さは侮れない。
 だが一方で、これまた惜しい。
「嗚呼、嗚呼、唯胸に抱く一つのことは。Aha―! 紅椿の名の下に! 紅椿の名の下に!」
 高らかに、声を上げる良子はこう……萌えるとかギャップとかそういう概念を凌駕して余りある。
 ( ゜∀゜)o彡は好きだ。気の強い( ゜∀゜)o彡は大好きだ。でも、恐い( ゜∀゜)o彡はその……一寸……

 No4、臼間井 美月(BNE001362)
 No5、卜部 冬路(BNE000992)
 No6、エルフリーデ・ヴォルフ(BNE002334)  の場合

 続いて台上に上がったのは三高平大学付属付属初等部制服の16歳。
 ……初等部制服の16歳。アザーバイド識別名『えっちっち』常連の美月が着込んで来たそれは、
 正にギャップ萌えの極地とも言うべきそれである。実にあざとい。
 おまけに美月の胸は同年代に比べてもかなり大きいのである。小学生? いやいや御冗談を。
「……ひゃっ、わっ」
 更に全身を朱に染めもじもじと歩いていた美月はこれまた派手に台上で転ぶ。
 それもこれも彼女が式神に用意させた衣装が原因である。幾ら小柄でも16歳。
 丈はギリギリのぱつんぱつんである。コスプレの域を一足飛びで通り越し背徳の香りがする。
「素晴らしい! ( ゜∀゜)o彡は正義! 正義なんだ! このギャップ萌えに3000点!」
 郷、大歓喜――だが、続く冬路とて負けてはいない。
「あ、あの、えっと。冬路と申すんじゃ、けど……むむむ胸を見せればいいんじゃろか……!」
 まずい、この子今回の催しの主旨を良く分かっていない!
 しかも載せられ易く騙され易いタイプである。着込んだ軍服に性格が全く噛み合わない。
 そして巨乳と言って差し障り無いその頂きが張られた瞬間、跳ぶボタン。
 弾ける胸、ぽろり、とかたゆん、とかそんな気易い物ではない。そう、強いて言うなれば、ばいーん。
 実に頭の悪い表現である。
「……むっ、見事……!」
 がたっと、特別審査員サー・ブラックが腰を浮かしかけている。
 実に頭の悪い審査員である。
(これは必要な事、崇高な任務の一つよ、エルフリーデ……)
 そんな自己暗示と決意の、台上に立っていたエルフリーデもこれには度肝を抜かれる。
 そこまで、そこまでしなくては行けないのか。彼女の中の大切な物。
 良識とか自重とか尊厳とかそう言う物が崩れていく音が聞こえる。えっちっちとは訳が違うのだ。
「そ、その……肉じゃがを、作ってきたのだけど……」
 俯きがちに、用意した手料理を審査員席に差し出す両の手。
 腕で挟まれた胸元は極々自然に寄せられ、その柔らかさを演出しながらも、照れた表情で上目遣い。
 媚びと恥じらいの絶妙なバランスに、審査員席の男性陣数名が前屈みになる。
「っていうかバランスバランスうっせえんだよ! でけぇの最高だよ!」
「何言ってるんだ、でかいだけ、ちいさいだけじゃ世界は救えないんだよっ!」
 それを受けての実況席、実況放置して何か大喧嘩である。

 No7、ユーフォリア・エアリテーゼ(BNE001362)
 No8、レイライン・エレアニック(BNE000992)
 No9、大石・きなこ(BNE002334)  の場合

 最初の3人を置き去りにするかの如く、( ゜∀゜)o彡による大攻勢。
 並べられたその威容はシベリア山脈である。でかぁー――い! 説明不要!
「ぐ、ぬぬ……っ」
 中でも還暦を迎えたレイラインには不利な戦場だと言える。
 フリフリなゴスロリにミニスカート。恥ずかしげな面持ちは確かにある種の愛らしさを醸し出す。
 低い身長も相俟って何処か犯罪チックである。が、しかし。
 ゴシックロリータはフリルが多過ぎて胸元が目立ち難いのである。
 それでも平時であれば相応に( ゜∀゜)o彡であった事だろう。だが、その後ろに魔が潜む。
「はーい、皆さんの好きな( ゜∀゜)o彡ですよー。ほーらジャンプ、ジャンプ」
 ビキニに、体操服に、ブルマ。そして圧倒的なまでの(  ゜ ∀ ゜)○彡
「なん……だ……と……!?」
 愕然と呟く石川 ブリリアント(BNE000479)。視界はぶるんぶるんと揺れる御胸様一色である。
 埋まりたい。ふかふかしたい。いや、いっそおっぱに埋もれて死ぬも本望。
 ブリリアント道は( ゜∀゜)o彡に死す事と見つけたり。
「だ、騙されにゃぎゃーっ!」
 目元を押さえて逃げ出すレイライン。勝者は残り敗者は消える。
 それは( ゜∀゜)o彡選手権の過酷な宿命。時はまさに( ゜∀゜)o彡戦国時代である。
「あらあら~、どうしてしまったんでしょ~?」
 そして雄は並び立たず。対するはほんわりのんびり癒し系オーラを武器に、
 その( ゜∀゜)o彡を生かすユーフォリア。スリットが入ったロングスカートにブラウスと言う、
 天然入った隣のお姉さんを髣髴とさせる自然体なスタイルには、ほんのりセクシーさが交ざる。
 綺麗なお姉さんは好きですか?
「大好物ですわ~っ!!!」
 被りつきで見ていた審査員の小鳥遊・茉莉(BNE002647)さん大興奮である。
 でもとりあえずお婆ちゃん、鼻血拭け。
「おっぱいがいっぱい団の皆さんもこれから宜しくお願いします~」
 ふわりと頭を下げる際に押し付けられる2つの球体。
 その独特の空気に気圧されたか、きなこさんも負けてはいない。
「こうなったら、最後の奥の手です」
 体操服を脱いで水着姿に!(キャストオフ)
 そして引っ掛かる水着の上! 解ける紐! ビキニって恐いッ! そして思いがけず全てが露に……!

 つ【見せられないよ】
「……危ない所でした」
 控えていたスタッフの氷河・凛子(BNE003330) 奇蹟のインターセプトである。

 No10、音更 鬱穂(BNE001949)
 No11、小崎・岬(BNE002119)
 No12、神楽坂・斬乃(BNE000072)  の場合

 とは言え、誰もが皆納得尽くで。理解の上で。この選手権にエントリーしている訳では無い。
 ネガティブを地で行く鬱穂等はその筆頭である。何故か選手として登録されていた彼女は、
 けれど自分の胸に余り良いイメージが無い。
「着やせするね。とか言われることがありますがだからなんだっていうんでしょうか……」
 大きければ肩が凝る。激しく動けば痛いし、体の線が出る服を着れば殊更にじろじろ見られるのだ。
 そもそもこんな物を見て何が嬉しいのだろう。しかも台上。どう考えても場違いじゃないか。
 段々落ち込んで来た鬱穂がゆるゆると台上から退こうとする一方で、
 中央では異常にポジティブな声が響き渡る。
「来た! 二次性徴来た! これで勝つる! ボクは幼児体型を辞めるぞLKK団―!」
 何時も某アレな組織相手の囮にされている岬の心からの叫びである。
 その胸元にはこれとはっきり分かる丘隆こそ無いが、仄かな膨らみが見て取れる。
 羽織った中学制服も相俟って、これからが楽しみな逸材である。
「制服は投げ捨てるものー!」
 恥じらいこそ不足している物の、躊躇無く衣服を脱ぎ去るその姿に実況席の竜一が拳を握る。
「まったく( ゜∀゜)o彡道は地獄です。いや、ここはパラダイスですが。」
 誰も聞いてません。
 他方、その姿に特別審査員。半裸の変態紳士、グラン・バロンが瞳を細め大きく頷く。
「うむ、成長なされましたな。そのままに精進なされるが宜しい」
 誰も聞いてません。
「バーローン、ちょっとちょっと!」
 しかしそんな彼にお呼びが掛かる。御相手は高校制服の斬乃である。
「折角だし、手合わせしてくれないかな?」
 バトルでアピールしたいと言い出す斬乃。胸のボタンは今まさにピンチだと言うのに。
「ふむ、宜しい。一手御指南致しますぞ」
 動く半裸、震える上腕二等筋。それ( ゜∀゜)o彡やない、筋肉や。
「そうこなくっちゃ!」
 勿論、スタイリッシュにアクションなどしよう物なら唯でさえ引っ張られ続けた胸元のボタンである。
 その尽力も虚しく弾け飛ぶは世の理。盛者必衰にして諸行無常である。
 飛び散る汗。響き渡る悲鳴。胸元を抑え赤面する斬乃。あらゆる意味で男性審査員総立ち。

「えっちなのはいけないと思うのです><。」
 以上、審査員席よりエナーシア・ガトリング(BNE000422)の言である。
「……私もそう思うわ」
 イヴさんの些細な裏切りを余所に、大会は順調に進行して行く。

●エントリーNo13~24
 No13、アナスタシア・カシミィル(BNE000102)
 No14、斬風 糾華(BNE000390)
 No15、桐咲 翠華(BNE002743)  の場合

「……」
 目線を完全に背け動かない糾華。彼女には色々と思う所が有った。主義主張も有った。
 勿論、自身にある種のプライドを持っている彼女である。手抜きをする性格では無い。
 何時も通りのゴスロリドレスは本気の証。が、今回ばかりは一緒に舞台に上がった面子が悪過ぎた。
 右を向けばぼいーん、左を向けばたゆーん、おまけに後者の翠華は自身と身長すら大差無い。
「あぁ……どうして参加しちゃったのかしら……馬鹿! 私の馬鹿っ!
 こうなる事は分かってたじゃないっ! あとカズト君、覚えてなさい……っ!」
 勿論実際は慎ましやかな胸や年少域の女性に特別な評価を下す人間は審査員に少なくない(オブラート)
「うぅーん、糾華殿かぁ、強敵だねぃ」
 ぴったり系タートルネックニットを着込んだアナスタシア。
 セクシー系お姉さん属性の彼女からすれば、糾華の繊細な少女らしさは脅威では有ったのだが、
 人間、隣の芝生は大概青く見える物である。
「さーあ総帥達、今度こそちゃんと審査して貰おうか!」
「……あの時の娘か。良かろう、受けて立つ」
 ひらりと早脱ぎで水着に着替えた瞬間にばいんと揺れるアナスタシアの巨艦に撃ち抜かれ、
 にやりと笑むおっぱいがいっぱい団総帥、総司郎。
 その余波を受けてくらりと糾華の足元が揺れる。唇を噛みながら見つめる自分の胸。
「こんな、こんな、ほのかなのが良いって人、皆ロリコンっぽいのばっかりじゃない……ッ!」
「否! 夢はきっと追いつく。今はただ瑞々しい果実であれ!
 それは今この一瞬のみに与えられた至高の輝きなのでございます。
 少女に罵られるはこの界隈では御褒美。覚悟のない者はどきたまえ此処は戦場でございますよ!」
 即時応じる審査員、竜造寺・成銀(BNE003040)。これ以上も無く本物さんである。
 紅椿組はこんなのを擁していて本当に大丈夫なのか。思わず手で顔を覆う糾華。
「全く、少女は騒がしくていけないわ。ここは『大人の女』の出番の様ね」
 その前へ立ち塞がる翠華。アナスタシアにも負けず劣らずの大山を頂く割に、
 外見年齢は小学生。狙い過ぎと言うなかれ好きでこんな状態になってしまった訳では無い。
「何か困った事とかあったら、この『お姉さん』に任せなさい?」
 前屈みに胸を強調するセクシーポーズ。だが、あくまで見た目は小学生である。
「ロ リ ス イ カ k t k r !」
 成銀の叫びに名前どおりの翠華のスイカが屈辱で震えた。
「ロリって言うな――っ!」
「きゃー! 桐咲姉さーん! ナイス( ゜∀゜)o彡!」
「お前もかーっ!」
 成銀、及び撮影班のツァイン・ウォーレス(BNE001520)の額に何処からとも無くチョークが飛んだ。

 No16、霧島・神那(BNE000009)
 No17、シルフィア・イアリティッケ・カレード(BNE001082)
 No18、雲野 杏(BNE000582) の場合

「フワーッハッハッハ!ギャラリーを感動させずして何の為のリベリスタか!」
 巨大な胸張って高笑いを上げるスリングショットの褐色乙女。神那。
「スタイル……特に胸には自信があるわ!
 私が言うのも何だけど、でかけりゃいいって訳じゃないのよね!」
 美乳を自負する高らかな頂に己がプライドを託すマイクロビキニのシルフィア。
「普段はがさつでアレな感じだけどアタシも一応女子なので!
 あ? 誰が地だって? 何よちょっと痺れさせて欲しいみたいね?」
 演技の端々から本音が漏れまくるヘビメタクイーン、黒ビキニの杏。
 舞台に上がった3人に、先のロリ属性の反動か審査員の何人かが完全に引く。
 1人ならともかく見事にこう、鞭を持たせたら似合いそうな御姉様が3人である。偏りが酷い。
「雲野杏、縄跳びします!」
「行くぞカワイコちゃん! 覚悟の貯蔵は十分か!」
「って、ええー!?」
 突然ビールを掛け出す神那。一応使用しているのはノンアルコールビールである。
 良い子も安心、アークだよ☆
 とは言え、ビール特有のぬるぬる感。
 水で塗れたビキニは重みを増し、端からぽろりを覚悟していた杏のビキニがずり落ちる。
「きゃっ、きゃーっ!」
 此処で悲鳴。けれど縄跳びは止められない。恥じらいながらも揺れるおっぱ
 つ【見せられないよ】
 三高平の平和と公序良俗は凛子が護ります。
「こっ、こっの良くもやったわね――!」
 扇情的なポーズなど何処吹く風。ビールを目一杯注がれたシルフィアが神那に組み付く。
 元々スリングショットである。少しでも激しく動けば容易くずれる。
 つ【見せられないよ】
「イヤーン、濡れちゃったわ~ん」
 もう濡れるとか濡れないとかそういう問題じゃないとかそんな突っ込みは無粋であろう。

「女性の( ゜∀゜)o彡が好きだから。そして( ゜∀゜)o彡の大きい女性が好きだからっ!
 ( ゜∀゜)o彡なくして、生命無しっ( ゜∀゜)o彡万歳っ! 褐色万歳っ! 筋肉質万歳っ!!」
 審査員席で陽渡・守夜(BNE001348)が全力で万歳三唱する。
 さすが何時死ぬとも知れぬリベリスタ、その躊躇いの無さはいっそ見事である。
「クールなお姉さんって素敵だよな。見下したような目で見られたい。罵られたい。
 包んでもらいたい。その胸で! いや、今揺れ続けるその( ゜∀゜)o彡で!」
 ドM発言に余念が無いリスキー・ブラウン(BNE000746)もまた大きく頷く。
 日本はリベリスタ達のお陰で今日も平和である。

 No19、リーゼロット・グランシール(BNE001266)
 No20、アンナ・クロストン(BNE001816)
 No21、絢堂・霧香(BNE000618)  の場合

「アークは本当に大丈夫なのでしょうか……」
 日本よりアークがピンチです。
 良識有る発言は現実から目を逸らし続けられなかった、リーゼロットのもの。
 それを聞いて瞳を閉ざし頷くのは額から発光すると専らの噂の委員長肌、アンナである。
「ず、頭痛がしてきた……いや、やるわよ。出た以上はやるけど、ねえ……」
 制服姿に黒いストッキングが眩しい。若々しさと瑞々しさが同居するその姿に、
 オプションで鞄が付けば立派な女学生の出来上がりである。
 軍服をきっちりと着こなすリーゼロットとは好対照な凛々しさと言えるだろう。
 そしてもう一人もまた、そこに締めの一筆を加える。画竜点睛である。
(あの、鈍っ感も、流石に、これなら、少しは意識してくれる筈……っ!)
 鈍感との駆け引きは、恋する乙女の最終戦争である。どちらかが行き着く所まで行くしかない。
 黒袴にさらしのみと言う思い切った装いを晒す霧香の表情は羞恥と重圧で一杯一杯。
「み、見たければ見ればいいよ! 採点するがいいよ!」
 赤面しながら視線は泳ぐ。その最中、審査員席に見事に視線をそらしたその顔を見つけ、
 悔しくも更に赤くなってしまうのはこの際仕方の無い事であろう。
(アークってのは本当に、何でもありだよな……
 まあ、極力直視しない様にすれば……って。何か凄い視線を感じるんだが)
 いっそ、恥をかくなら見て欲しい人に見て欲しいと言う心情。
 恥ずかしがってるのだから見ない方が良いに違いないと言う先入観。
 鈍感との駆け引きは(以下略)
「さて、それでは少しアピールでもしましょうか」
 凛々しさを前面に押し出す3人の中でも頭一つ抜きん出たリーゼロットに、
 用意されたのはエアガンと的。軽い銃声と放たれる弾丸、揺れる胸。
「Очень хорошо!」
 軍服と美しさに独特の拘りを持つサー・ブラック。スタンディングオベーション。
 それにほんの僅か口元だけ微笑むと、確りと敬礼を返すリーゼロット。
 だが、こうなると特に何をするとも考えていなかったアンナにかかるプレッシャー。
(あ、アピール……アピールっていってもその。無いわよそんなの!?)
 内心の動揺を隠す様に舞台上で鞄を抱き立ち竦むアンナ。
 抱いた鞄。潰れる胸。ふにーっとはみ出るそれ。アンナさん、そう言えば巨乳様で御座いました。
「ちょ、ちょっと! まじまじと見るな! ばかぁー!」
 視線に気付いて慌てる仕草に、同性であるエナーシアが満足気に票を入れる。
「( ゜∀゜)o彡を露出しているなんて卑猥だし、服に覆われてるからこその想像の余地って大事よね」
 Exactly(仰るとおりでございます)

 No22、源兵島 こじり(BNE000630)
 No23、小松 知世(BNE003443)
 No24、斎藤・なずな(BNE003076)  の場合

 その3人が舞台上へ上がった瞬間。時が止まった。
 有るべき物が無い。ふよんとかたゆんとかそういう物が、無い。否、全く無い訳では無い。
 良く見れば、恐らくは視認可能なのだろう。だが、まさかの3人揃い踏み。
 ぺたーんである。慎ましやかであり密やかである。そして勿論ロリでも幼女でも、無い。
「成長期(笑)」
 そんな発言をした一人の男が会場から消えた。それは恐らく幕間に行われた瑣末な出来事。
「おっぱいがいっぱい団の諸君」
 裸の上に軍服を羽織る、と言う暴挙に出たこじりの声が朗々と響く。
 かつて、その言葉に踊らされ魂を賭けた男達が居た。であれば彼女の声とはハーメルンの笛である。
「君達は( ゜∀゜)o彡を興じると言うが、実際にはむさ苦しいおっさんばかり。
 それで良いの? 満足? 見るがいいわ、この素晴らしい楽園を」
 軍服を脱ぎ捨てる。思わず凛子が札を持って立ち上がる。だが、それは杞憂である。
 裸体は何時しか白のスクール水着に。
「……この娘。分かっておりますな」
「これが噂に聞く後継者候補殿、か」
 サー・ブラックと総司郎が頷き合う。己が“無さ”を武器に変える。その魅せ方や見事と。
「天は乳の上に乳を作らず。乳の下に乳を作らず。乳に貴賤貧富の別なし」
 更に進み出る、なずなもまたスクール水着である。周囲を見回し拳を握る。
 重圧に負けて泣きそうになった。立ち並ぶ霊峰に後退りそうになった。だが、此処は退けぬ。
「私の体に恥ずべき部分など一つも無い! さぁ! 好きなだけ見るが良い!!」
 仁王立ちするその威容。神々しさすら感じる二人に勇気付けられて、
 真面目で控えめな知世すらが一歩進み出る。
 こんなはしたないこと出来る訳が無いと思っていた。例え彼が勧めてくれたとしても。
 けれど自信を持って胸を張り立ち並ぶこの年下の二人の気高さはどうだろう。
 負けてはいられない。彼女には理由があり、そして見て欲しいと想う人が居る。
「二二君、見てて下さい。これが――」
 大切な付け羽を着けて、柿木園家側近としての誇りを胸に。人前へと自ら出る。
 普段まずしない肌を晒す様な行為。例え羞恥に焼かれても、もう躊躇いは無かった。
「ヒュー、知世もやる時はやるねぇ。たまんねぇなァおい!」
 審査員席で柿木園 二二(BNE003444)がにやつくと同時に、眩しそうに目を細める。
 嗚呼、態々水着まで用意した甲斐が有ったと言う物である。
「こじりさんさいこー! まあ僕ってこじりさんの全部を愛しちゃってるしさ!」
「おい、何かさっきと言ってる事違ってるぞこいつ」
「リア充爆発しろ」
 ところで、実況席がまるで実況をしてくれません。

●輝け!第一回アーク( ゜∀゜)o彡選手権の昼休み
 大凡、半数弱がPRを終え、この時点でのトップは斬風糾華、取得21点。
 アークは代表だけでなくもう本格的に駄目だと言う事を満天下に示しつつも、
 流石に延々舞台だけを見ている訳にもいかない。挟まれる休憩、銘々に動く関係者達。
 その中に在って、異彩を放つ2人組が居た。
「久しぶりだな、『閃剣』……思ったよりも、元気そうだ」
「初めまして、お噂は伺っています」
 新城・拓真(BNE000644)と風宮 悠月(BNE003411)。
 アークでも有数の実力者である2人を前に、けれど対峙する総司郎は薄く笑みを浮かべる。
 その風貌には見覚えが在った。以前、己に双剣を叩き込んでくれた若造である。
「それなりに、な。お前の剣が真っ直ぐに過ぎた御蔭も少なからず有るだろうが」
 己を下したその武芸の腕に一定の敬意を示そうと、彼の態度はあくまで組織の長としての物。
 少なくとも、同志を後ろに控えて同じ目線で言葉を交わす訳にはいかないか。
「以前の戦いの際、一つだけ……聞き忘れた事がある」
 けれど続く言葉、興味深そうに目線を向ければ、差し出されるのは古い写真。
「新城弦間、俺の祖父だ。この人を、知らないか?」
「――――」
 問い掛けに、瞳を閉ざす。開いた間隙は幾秒か。開いた片目に、怪訝の色が浮かぶ。
「聞いてどうする」
 それが、答。淡々と感情の無い声音。
「──あの人は、強かっただろうか」
 返る言葉に、思いがけず笑う。何処かで聞いた様な言葉であり、誰もが一度は通る道だろう。
 強かったか。けれどそれを問う以上彼の中に既に答えは在るのだ。
「誠の双剣」
「……?」
 続く言葉に瞬く。聞き覚えの無い語句。音だけなら聖なる剣だろうが、それはすぐに否定される。
「新城弦間。直接は知らんよ世代が違う。だが、師から多少なら聞いている。
 ――最も誠実なる剣。道無き道を切り拓き続けた男……そうか、死んでいたのか」
 であれば、先の沈黙は黙祷か。拓真が俯き、拳を握る。
「誇り無き剣は人語に上らん。俺の様にな」
 後は自分で考えろとばかりに手を振る総司郎に、代わりに対する悠月。

「……やがて時が来るでしょう。十二年前の再来『そのもの』かはともかくとして」
 その言葉に、驚いた様な視線を向けたのは総司郎のみではない。
 彼を含めた幹部勢3人は全て一世代前の革醒者である。ナイトメアダウンは他人事ではない。
「私達は起ちます。その為の箱舟です。……私の両親が、そうした様に」
 その声は静かに、けれどだからこそ苦く。総司郎が視線を伏せる。
「例え今でなくとも、何時か……あなた達の力を、貸しては頂けないでしょうか」
「――――無駄よ」
 けれど、その言葉を引き裂く声。
 状況を見守っていた宵咲 氷璃(BNE002401)が不意に割り込む。
 彼女とて、端から口を出す心算だった訳ではない。それは余りエレガントとは言い難い。
 だが、黙っているべきとも思わなかった。歯に絹を着せないのが彼女の在り方。
 そして『これ』がそこまで敬意を払う人間であると、氷璃にはどうしても思えない。
「幾ら取り繕っても、私は貴方を軽蔑している。
 再びR-TYPEが現れれば、崇拝対象も同志も見捨てて貴方は逃げる。違うかしら」
 既に、一度逃げた者。仲間も、師をも見棄てて恐怖に駆られ踵を返した者。
 その罪は、重責は、軽くない。彼女の問いに、けれど総司郎は答えられない。
 この問答に限っては、如何なる言葉も無力である。
 果たして総司郎自身も、どうして“そうではない”と言い切る事など出来るだろう。
「臆病者の負け犬。私は貴方をそう評価しているわ。『閃剣』常盤総司郎――」
 返答は無い。思わず席を立とうとしたバロンとブラックを手で制し、
 見返し、頷く。然りと。
「だろうな、その評価は正しい」
 そうして、何か考え込む様に両目を閉じる。興味を無くした氷璃は審査員席の沙織の元へ。
 だが、此方は此方で一筋縄では行かない事態なのである。
 ――大体は自業自得ではある訳だが。

「さおりん、お茶どうぞ、お茶菓子も持ってきたです。いちごもどうです?美味しい季節なのですよ」
 甲斐甲斐しく世話を焼くのは何時もの通りの悠木 そあら(BNE000020)
 犬耳と尻尾がはたはた揺れるその姿は、一見しただけならじゃれ付く仔犬の様だけれど。
「あっ、大丈夫です。邪魔しないです安心して下さい。
 今回はお仕事ですし、我慢して見守るのです。大事な時は我慢出来る女、そあらです」
「全く、お前は本当に落ち着きが無いな……」
 呆れた様に、けれど其処に在るのが当たり前である様に。
 ぽんぽんと、頭に載せられる手は普段女性に対しては如才無い沙織にしては気安い物。
「あっ、また子ども扱いですか!?」
「してないよ、お前はお前だろ」
 さらりと耳をくすぐる返答に、怒ったわんこがもう笑う。
「全く仕方の無いさおりんなのです。はい、あーん♪」
 その様を見つめ、足を止める。今更に分かっていた事ではあるけれど。
 氷璃の視線に陰が重なる。自分が瞳を伏せている事に自分で驚く。
 彼女は人より長い生を生きている。情動もまた緩やかであり、それは時に冷徹とも言われる。
 けれど、人は所詮何処まで行っても人。それは彼の塔の魔女すらが証明している。
 自分の全てを、理解している訳では無い。自分の全てが、理解出来る訳でも無い。
「お酒を呑み過ぎたら酔うものよ。ね」
 以前口にした言葉を繰り返す。それは至上の美酒であろうか。或いはそれを罪と呼ぼうとも。
「Jusqu'a ce que la mort nous separe」
 止まった足が動き出す。凍った時間が動き出す。
 そう、例え内側で何を想おうと、彼女は一途なまでに彼女であり続けるだけ。
 世話焼きの仔犬と融け掛かった氷の天使。
 2人の間に挟まれて、当の沙織の真意は知れず。
「試しに一度くらい何かを踏み外しても良いんじゃないかしら?」
「それは一緒に踏み外そうと言うお誘いかな」
「ええ、貴方がそう望むなら」
 けれどそれでも良い。大切なのはこの時、この瞬間と言う永遠なのだから。
 
 一方、すぐ隣の特別審査員席でもハプニング真っ最中。
「我は一目見た瞬間心奪われた。その鋭さ、角度、長さ。実に良いぞ!最高だ!」
 自称黄昏の魔女、田中 良子(BNE003555)が拳を握り詰め寄る相手は、
 まさかの半裸紳士。鋭角的に曲がった髭も鮮やかなグラン・バロン(57)である。
「数十年後にキャラ被りそうで嫌なんだよっ!」
 実況席からのそんな声も豪快なスマイルで悠然と流す実にジェントルメンな彼であるが、
 しかし斬乃相手の大立ち回りで息一つ切れていない正真正銘の実力者。
 本来であれば“危険なフィクサード”である。その彼に詰め寄る良子たるや何と言う剛の者。
「ひっぱりたい。ものっそいひっぱりたい・びょんびょんのばして遊びたーいー!」
「む、淑女の申し出とあらば受けぬ訳にも行きますまい。
 とは言え私の髭はデリケートですからな。余り力一杯引っ張られてはなりませんぞ」
「了解した。じゃあじゃあ、一緒に肩車もしてくれると我はとても嬉しい!」
 交渉成立。2m近い半裸の巨漢の上に乗りながら会場を巡る良子の瞳がきらきら輝く。
「いや、獣性と知性がほど良く混ざった素敵紳士だよね。嫌いじゃない。ヤッてみたくもある」
 それを観察する紅涙・りりす(BNE001018)の視線も行ったり来たり。興味津々である。
 鍛え上げられたその肉体も去る事ながら、りりすは元々己が美学に殉ずる者を好む。
 けれど美学に振り回される者と、美学を乗りこなす者は似て非なる。
 前者を狂信、後者を求道と言う訳だが、そのどちらもを持ち合わせて居なくてはつまらない。
 過度の偏りは興が醒める。バランスの問題である。
「まぁ、僕は無闇に牙向かない素敵さめらーだから我慢するけど」
 その点バロンの見せる理性と本能の両立した変態っぷりは悪くない。珍しくそわそわするさめらー。
 良子を肩車して持ち上げるその瞬間、りりすが打って出る。
「だけど紳士の嗜みとして、蝶ネクタイはつけるべきだと僕は思う!」
「おや、これは失敬」
 突然差し出された蝶ネクタイを徐に着けてみせるバロン。実に紳士である。
 おしゃれがあがった、へんたいがぐーんとあがった! 実に変態である。
「うぉおおおお!? 良く似合っているぞ! 見事だグラン・バロン!」
「お褒めに預かり光栄ですな!」
 何やらほのぼのした光景を展開する巨漢、少女、さめらー。変態とは思えない人望っぷりである。

 実況席でそれを見ていた竜一が2つ隣に座る少年を見てふと呟く。
「や、君らすでにキャラ被ってるし」
「でも僕は認めないッ!」
 真実は何時も残酷な物である。

●エキシビジョン~No30
 事態は密やかに、けれど速やかに進行していた。
「む、むむむむ無理ですっ!? え、ちょ、本当に、本気で無理ですってばっ!」
 舞台裏。上がるエフィカの悲鳴。何が起こったかをダイジェストで説明しよう。
「エフィカ、緊急事態だ! 室長が今すぐ之を着てステージ裏まで来る様言ってたぞ!」
「えっ、室長がですかっ? あ、分かりましたちょっと行って来ます」
 差し出した紙袋を持ってぱたぱたと駆けて行くエフィカ。
「エキシビジョンで登録しておいた」
 それを見送るツァインに、またもさらっと自分の安全の為に身内を売ったがイヴが頷く。
 ツァインのシルエット過多な悪い顔が笑みを浮かべる――計画通り――!
「ご休憩中の皆様、これよりエフィカ・新藤さんによるエキシビジョンが行われます
 アークの敏腕マスコットによる可憐なアピールをどうぞお楽しみ下さい」
 こんな時だけ働く実況席に、舞台裏のエフィカは既に涙目である。
「だ、だってあんな! あんな人がいっぱい居る前ですよっ!」
「ええ、分かります。その気持ちは良く分かります」
 うんうんと頷く凛子。同性としてそれが如何に恥ずかしいかは良く分かる心算である。
 後でツァインには少々厳しめのお説教が必要であろう。が――一方でこれはお祭。
 参加しないよりは参加した方が思い出に残ると言う節も一利有る。良し悪しは、ともかくとして。
「でもとりあえず出てみませんか、見た感じ衣装も露出は少なそうですし」
「あ、それは……その……」
 確かに。露出は少ない。袋の中身は巫女服である。
 でも、露出が、どうとか言う、問題では、無い、の、ですよっ!
「ご休憩中の皆様――」
 繰り返されるアナウンスに何でこんな事になってしまったのか、と肩を落とすも
 邪悪なるツァインの暗躍によって既に逃げ場など無い。
 巫女服を持つ手がふるりと震え、意を決してエフィカが告げる。
「だ、だったらせめて選手じゃなくゲストでっ! ゲストでお願いしますっ!!」
 人生は何時も過酷な物である。
 
 NoXX、エフィカ・新藤
 の場合

「……」「……え、エフィカ、新藤、です」
「……」「……えっと、その、ま、回りましょうかっ」
「……え、あ、お好きにどうぞ」「……は、はいっ……」
 耳まで赤く染め、緋袴に白無垢を羽織り、言葉少なに俯く受付の天使が其処に居た。
 綺麗な着付けである。特におかしい所は無い。
 何せ、紙袋に正しい着付けの方法を記した封書まで入っていたのだから。
「……うちらの大将も、偶にはいい事するじゃねえか!」
 奇妙な沈黙と緊張が続く会場で、審査員席の霧谷 燕(BNE003278)がガッツポーズをする。
 未成熟な体躯に鈴を転がす様な声音。見て分かる程の戸惑いと恥じらいは燕のど真ん中である。
「この燕さん、可愛い子は大歓迎だぜ!」
 一体何が大歓迎なのか。三高平のダークサイドは深くて暗い。
「んー……あざとい、と言うべきなのかな。」 
 審査員と言って登録して貰った筈なのに、渡された白ブラウスに赤吊りスカート。
 素直に着替える辺りが可愛らしさか。審査員席の花子さん。
 小雪・綺沙羅(BNE003284)の視線はけれど酷く冷静である。彼女は参加者を一つの基準で見る。
 即ち、売れるか、売れないか。マーケティングの良し悪しがそのまま点数に繋がる訳だ。
(可憐属性は匙加減を間違えるとぶりっ子になってしまう繊細な硝子細工。
 その点、このエフィカさんはどうかな。自覚的にやってるならアウトだけど)
 例え可愛らしさを全面に出していても無自覚、と言うのは大きな武器である。
 発信側はそれによって何が変わる訳でも無いが、受け取る側の印象は大きく変わる。
「……あっ」
「……お?」
 その内面を見極めんと瞳を細めていた綺沙羅が気付く。その声に、隣の燕の視線が向く。
「まさか……恥ずかしがり方が過剰だと思ったら……!」
 呟く様な小さなその声、この時審査員席に電撃走る。
「ウッヒョォ! そういうことかよ。頑張ったなァエフィカチャン」
 合点が行ったニニが大きく頷き、それに燕が目を丸くする。
 だが、全体の雰囲気や風貌を重視する彼女には、( ゜∀゜)o彡を見通す眼力が足りない。
 エフィカは巫女服を“正しい着付けの方法”で着て来たのである。
「本人達が納得しているのなら良いと思っていたが……それにしても思い切った物だ」
 私より胸の大きい者に入れる票は無い。と言い切って久しいクリス・ハーシェル(BNE001882)が、
 感心した様に小さく頷く。でも全部悪いのはツァインです。

 結果、エフィカの得票はこの時点でのトップと並ぶ事になる。

 No25、蛇穴 タヱ(BNE003574)
 No26、東雲・紫(BNE003264)
 No27、ティアリア・フォン・シュッツヒェン(BNE003064) の場合

「No25、蛇穴タヱです。今日は沢山のお兄ちゃん達に会えるって聞いて来ました。
 ちょっと恥ずかしいけど、頑張っちゃいまーす!」
(ここでもアッピールして取り入っとけば、後々お金がガッポガポってェ寸法よ。にひひ)
 そんなことを考えていた時代が私にも有りました。Byタヱ
「この服じゃ目立たないものねえ。 ふふ、じゃあ期待に応えまして、ね♪」
 甘いロリータドレスでやって来たかと思えば、にこにこ柔らかな笑顔で可憐さアピールしてから、
 ドレスを脱ぎ捨て水着になる事で己の豊満な肢体を最大限有効活用するティアリア。
「ちょっと刺激が強いかしら? ふふっ」
 水着の胸元を意図的に寄せ上げ、肩紐をずらす事で故意にぽろりを誘発させるブービートラップ。
 小悪魔的なサディストスマイルが混ざれば特定属性の大きいおにーさん方に効果絶大である。
「うおおおおっ! 今こそ、俺の瞬間記憶と! 念写が! その真価を――!」
 それにしてもこの男実にリスキーである。正義のジャーナリスト(笑)
(嗚呼、お嬢様も成長なされた。執事として感無量と言わざるを得ません……)
 細々とした雑務を請け負っていたシュッツヒェン家筆頭執事。
 アルバート・ディーツェル(BNE003460)に至っては何処か眩しい物を見る様な眼差しで、
 お嬢様のぽろりを眺める始末。完璧に親馬鹿目線である。
「お嬢様の艶姿、しかとこの目に焼きつかせて頂きましょう」
 ハンカチを取り出し目元を拭うアルバート。どうしてこんなになるまで放っておいたんだ。
「東雲紫、13歳! 中学生です!」
 もう片側。上がったのは二次性徴期に入ったばかりの高い声。
 の、筈であるのに胸はすいか。胸はすいか。もう一度言おう。胸はすいか。
 ティアリアにすら決して劣らぬ( ゜∀゜)o彡はもう何か理不尽の産物である。
 そんな物を無理に中学の制服に包む物だから背徳感とエロスがリミットオフ。
「えへへ、どうかな? 似合う? セクシー?」
 腕で胸元を寄せて上げる仕草は不意打ちからの疾風居合い斬り。
「……ち、違う。俺はストイックでシリアス。そうだ。その筈だ」
 思わず票を入れようとしていた審査員。焔 優希(BNE002561)が苦悶に震える。
 これが心情依頼であれば、その煩悶もまた舞台を盛り上げるスパイスとなっただろう。
 だが、残念ながら此処は( ゜∀゜)o彡
「外見より内面……いや解っている、それはこの場の主旨に反している。だが――!」
「あれ、ほむほむ! ほむほむじゃないか!」
 静まれ俺の右手。俺の理性がギガクラッシュ。もう何もブレイクフィアー。

 そんな決意と共に票を入れようとした瞬間かかる旧友にして宿敵、葛木 猛(BNE002455) の声。
「――――!?」
「何だ、お前も男だったんだなあ……」
 その“大丈夫、俺は分かってるよ”的な慈愛顔が人を傷付ける事もあるのである。
「う、うああああああああああああああああああああ!!」
 優希、夕陽に向かってダッシュ。全く、ムチャシヤカ゛ッテ

 No28、ツヴァイフロント・V・シュリーフェン(BNE000883)
 No29、アリステア・ショーゼット(BNE000313)
 No30、白石 明奈(BNE000717) の場合

「アイドル募集中と聞いて」
 違います。
「騙されたっぽい! あ、でも部長もクロストンもいるのかよ!」
 明奈含め、ゲーム研究会『Just Luck』所属の変わらず割とアレな乙女達である。
 悪い大人に騙されないか心配でならない。閑話休題。
「まー。見せるだけなら無料だ! 元気いっぱい夢いっぱいにアピールしちゃうぜ!」
 ぴーすぴーす!と明るくからりと笑ってみせる明奈。そのポジティブさは見事。
 流石はバレンタインの暗黒面に落ちかけていた一人の少年を救っただけの事はある。
 ただ1つ残念だったのは、どうすれば胸が大きくなるか質問の余地が無かった事だろうか。
「諸君、これは我々の美を表す良い機会であるといえよう。
 体格とそれに合う衣類とは文化の表れであり、その探求と記録とは世代を生きる者の使命である。
 而も服飾は時代固有に止まらず、時に過去を学ぶ者により後世まで受け継がれるのだ」
 かっちりと軍服を着込み演説を続けるツヴァイフロント。ぺたんである。
「おっきなお胸は育ったらそれまでだけどっ! 育つ過程は今しか見られないんだからっ!!」
 赤面を隠さず、ミニのチャイナと言う挑戦をしてのけたアリステア。言わずもがな。
(がまんがまん……! こうやって人前に出れば、もしかしたら私を
 見染めてくれるおじさまがいるかもしれないんだから……!)
 だが、誰が彼女のらの勇気と熱意を否定出来るだろう。
「特に小さいのが好きって事でもないんだが……それがどうした、これもステータスだ。
 そんな気迫あふれるアピールにはつい一票を入れざるを得ない(きりっ」
「そうだな、小さいのは良いことだ」
 審査員席で熱弁を揮うエルヴィン・ガーネット(BNE002792)に、さもありなんとクリスがうなずく。
「そもそも何ゆえに皆そんなに大きい乳を有難がるのか。
 私としてはそう、慎ましやかな方がむしろ好みではあるのだけれど。
 ……決して足りないのでも貧しいのでも無いと声を大にして主張したい。しないけどね」
 何かが琴線に触れたのか、彩歌・D・ヴェイル(BNE000877)もまたエルヴィンに同意を示したか。
 アリステアの不屈の闘志はその恥じらいも相俟って予想以上に多くの票を集めて行く。
「……で、真逆その崇高な行いを劣情などで汚すまいな? ロリ線を越えるは死線を越えると知れ」
 しかしアークでそれを実行しようとすると、恐らく半数がガス室送りになる悲劇。
 そう、これは悲劇と称するしかない余りにも凄惨な現実である。
「がまん、がまん……で、でもやっぱり恥ずかしいもん! うわぁぁぁん!!」
 アリステア、泣きながら逃走。だが哀しいかな。この時点での得票数――暫定、1位。

●エントリーNo31~No41
 No31+32、熱海プラス ~青春旅情編~ の場合

「あれ?」
 舞台上に上がったシルエット。それが2つであった事に実況席から怪訝そうな声が上がる。
 桜田 京子(BNE003066)と戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)。
 2人揃って熱海プラス。何で熱海なのかは誰にも分からない。
「ふーははー! この熱気、鼓動、ソウルがヒートにビートッ!!
 ( ゜∀゜)o彡が、会場に満ち溢れています! さあ、わたしたちも魂を解き放ちましょう、京子さん!
 冬の( ゜∀゜)o彡ファッションといえば、これ、タートルネックセータァー―――――!!!」
 観客、審査員の疑問等何処吹く風。走る。突っ走る舞姫さん。最初からエピローグだぜ。
 流石は三高平の誇る残念乙女代表。黙っていれば美少女。口を開けばただこれを討つ。
 立てば炸薬座ればドカン歩く姿は消し炭の花。通った先にはぺんぺん草一本生えない舞姫さんである。
「いや、わりとホンキで出る気とか無かったんですけど、戦場ヶ原先輩が無理矢理……」
 そして毎度の事ながら巻き込まれる京子。走り出したら止まらない先輩を持つと大変である。
「さあ京子さんアピールですよアピール! 私達の( ゜∀゜)o彡で世界を制す――」
「駄目です先輩、ありません」
 きっぱりと。言うべき所はしっかりと言う京子の言葉に、視線がゆっくり下を向く舞姫。
「……ありませんか」
「……ありません」
「……無いんですか」
「……無いんです」
「(´●ω・`)」
 何処と無く、落ち切れなかった微妙な空気にそっと視線をそらす舞姫。尚、彼女の方はそれなりにある。
「な、なんですかその目は! えーえー、どーせ小さいですよ! 審査員の人達も誰も喜びませんよ!」
 京子さん自棄である。ぶかぶかのタートルネックセーターは確かに愛らしい物の、
 如何せん( ゜∀゜)o彡をアピールするには無理が有り過ぎる。うっふーんとかやっても無駄である。
 持つ者と持たざる者。この業界は決して優しくは無い。
(……沙織さんは、どうかな)
 ふっと、つい向けてしまった京子の視線の先。特別審査員席に座る沙織と視線が合う。
 何処か悪戯っぽさを滲ませる笑みに、振られる片手。かっと頬に朱が上る。
 関係無い関係無いと、繰り返す事数度。気にしてなどいない。気になってなど、いないのだから。

 No33、白雪 陽菜(BNE002652) 
 No34、鈴宮・慧架(BNE000666)
 No35、津布理 瞑(BNE003104) の場合

「何故こんな事に……」
 気付けばエントリーされてしまっていた慧架の服装は桜の着物。
 本選手権中でも貴重な和装にある種の拘りを持つ宗一が、珍しく驚いた様に眼を開けたか。
 これなら( ゜∀゜)o彡を気にする事もない。直視には抵抗のある一部良識ある男性の味方である。
「……」
 隣の霧香が尋常では無い殺気を漂わせて見ている気がするが、気の所為であると信じたい。
「何てことでしょう……! これではラブリー店長の折角の( ゜∀゜)o彡が!」
 何でこんな事になったのかと問われたなら大体この人の所為。
 審査員席のモニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)ががたたっと席を立つ。
 勝手に推薦してエントリーしておいて何てことも無い訳であるが、
 主であるお嬢様の事も放って置いて彼女の( ゜∀゜)o彡こそが至上と認ずるモニカにとって
 この曲線の暈し具合は痛恨である。これでは張りも形も分かった物では無い。
「瞑……、オマエは虎だ! 虎になるんだッ!!」
 そんな舞台の裏側、何処かで聞いた様な台詞を紡ぎながら拳を握るのは九曜 計都(BNE003026)
 抉り込む様に打ち込む必要は無いが、セコンドとして、サポーターとして。
 そして何より友人として、彼女のアドバイスはシンプル極まる。
「つぶつぶ! 氷の心だ! 友情などいらぬ! ( ゜∀゜)o彡こそすべて!
 オマエはそう、戦う( ゜∀゜)o彡、ウォーズ( ゜∀゜)o彡になるんだ!!!」
「コーホー、こうなったらやるしかねぇっ!」
 瞑、本当にそれで良いのか。
「巨乳の右と左で10点+10点の20点! いつもの倍のジャンプがくわわって×2倍の40点っ!
 そしていつもの3倍の回転をくわえれば40点×3…アシュレイをうわまわる120点( ゜∀゜)o彡だーっ!」
 残念だ。おっぱいからクローが出れば彼の塔の魔女をすら超えられた物を。
 無茶な動きは体に過度の負担をかけ、哀れウォーズ( ゜∀゜)o彡はブラを剥ぎ取られ
 素( ゜∀゜)o彡を晒すという屈辱に身を落とし――
 つ【見せられないよ】
「ふわぁぁぁ~……ん、出番待ってたら寝ちゃってた……」
 そんなどたばたの最中、一際遅れて目元をごしごししながら舞台へ上がる陽菜。
 その服装はぶかぶかのYシャツ1枚。手には何故かソフトクリームを携えている。
 ぽたりぽたりと落ちる白い滴は既にそれが溶けている事を示しているが、
 寝不足ででもあったのか。片目を擦る陽菜は気付かない。
「んー……? あ。好きな物は、ソフトクリームとか、猫とか……はい、あ~ん」
 寝惚け眼でふわふわと、指で掬った融けたソフトクリームが、審査員席の茉莉に差し出される。
「こっ、これはこれでありですわー! 役得ですわー!」
 だからお婆ちゃん、良い加減鼻血拭こうか。

 No36、ウーニャ・タランテラ(BNE000010)
 No37、ルカルカ・アンダーテイカー(BNE002495)
 No38、マリア・ナイチンゲイル(BNE000536) の場合

「ふふん、ウーニャ様が変態どもの目の保養に来てやったわよ、ありがたく拝見なさい!」
「ピンクは淫乱の底力みせるの。つるぺたせくしーなの。行くわようにゃ!」
「「うっふーん」」
 ……紐である。
「紐じゃないわよ水着よ! この選手権のために専門店に一緒に買いに行ったの」
 それは何の専門店なのか。
「ごめんね、僕たち、追い詰め過ぎたよね……」
 何故か優しい眼差しで微笑む審査員席の霧島・斑鳩(BNE001577)
 ぺたんの気持ちはぺたんが一番良く分かるとでも言うのか、その表情には憐憫の欠片もない。
 ただただ、菩薩の如き慈悲の微笑みである。
(あぁ小さいのは僕だけじゃない! 胸のサイズ何て、本当は関係無かったんだ……!)
 人、それを同類相憐れむという。
「一番エロいの出せ」って言ったら店員どん引きだったわ」
「うん。それは普通にアウトだと思うな」
 人、それを同属嫌悪という。
「でもルカのせくしーと魅力を見せるには、これ以外の正装なんてないのよ!」
 速度特化は皆そう言うんだ。
 とは言え、細身の体躯に紐オンリー。インパクトは絶大である。
 だが、インパクトだけでは勝てないのがこの( ゜∀゜)o彡選手権の厳しさ。
 対するマリアとて黙って押されている訳ではない。
「ねぇ……注射、して頂けますか?」
 超ミニの際どい白衣の天使が自らの体躯を撫でるように手を這わし、
 甘く囁く様に審査員へと流し目を投げ掛ける。その秋波はまさに男心を弄ぶ背徳の花。
「巨乳とメカは良い物だ」
 アークの監視下にある如月・達哉(BNE001662)が両手で口元を隠し頷く。
 彼は娘を愛しており妹を愛しておりメタルフレームの女性をこよなく愛している。
 そして大きいは正義である。VIVA巨乳。
 ゆれる( ゜∀゜)o彡には世界を救うだけのポテンシャルがあると信じている。
「……僕は……何をやっているんだろうな……」
 投票を終えた達哉が遠くを見つめる。それは誰もが突き当たる問。
 けれど誰にでも等しく通じる様な答えは――無い。自らの手で、探すしか無い。

「これじゃもう一押し足りない……最終手段、ぽろりよ」
「えっ、ぽっぽろり? そ、それはちょっと……アッ――」
 探すしか、無いのだ。 

 No39、羽柴 壱也(BNE002639)
 No40、ユウ・バスタード(BNE003137)
 No41、氷夜 天(BNE002472) の場合

「なんでわざわざひんにゅうをさらさなければいけないのかわたしにはまったくわかりませんです
 きがついたらここにいたですむなもとがぶかぶかなのはきのせいですなんですかこれははやくきがえさ」
 以上死んでいるメイド服姿な壱也の呟きである。実況席のエフィカ同様目にハイライトが無い。
「ひんにゅうもぶんかでありじゅようがあるですきっとあるですきしょうかちです
 つよくいきていきますあしたのごはんはぎゅうにゅうときゃべつとみそです」
 豆腐や鶏肉が良いって説もありますよね。
「えっと、おっぱい見せればいっぱい団さんが奢って下さるんですよね?
 楽しみにしてますよー。ふふふ」
 緩やかに、けれど何処か艶やかに笑うユウはこの場における勝ち組である。
 頭に付いた兎耳。バニーガールと言う服装は凹凸が相当はっきりしていないと着られない。
 有り体に言って、剥がれて、落ちる。冗談でも跳ねたりしたら確実である。
「無意味に飛び跳ねてみたりして。兎ちゃんだから。ぴょんぴょーん♪」
 その点、ユウに不安は無い。ゆっさゆさ。ゆっさゆさである。
 壱也の翌日のメニューに牛肉が追加される日も近い。
「僕は、宣言する。いかなる( ゜∀゜)o彡も、皆等しく宝であると――!
 ……負け惜しみでは無い。多分、決して」
 それを見ていた天。性別不明、戸籍上は女。自称美少年。
 けれど周囲を見回し、そっと虚ろな目で呟く壱也の方に立ち位置を寄せるのは、
 複雑にして深遠なる乙女心と言う物であろう。打算って言うな。
「ぺたんで悪いかコンチクショウ、ハイウエストで可愛く決めて
 堂々と開き直ってやる――!」
 とは言え、天の選んだ服装たるやシフォン素材を幾重にも重ね、裾をフリルで飾った白ワンピ。
 大きく開いたラウンドネックが想像力の余地を残しつつ全体的に清純派押しである。
「男の娘は個人的に好みだ」
「そうだな、一つの美の前に性差等と言うのは些細な問題だ」
 以前雄っぱいをすら許容してみせた総司郎と個人的な嗜好を持つクリスとが頷き合う。
「にしても、大分数が減ってきたな」
 この時点までこれと言ったハプニングも無く、ジュースやお茶などを売り歩いていた
 猛が周囲を見回す。残すところ選手は11名。全体の8割消化しラストスパート。
 だが、波乱は最後にやって来るのである。

●エントリーNo42~No53

 No42、ティセ・パルミエ(BNE000151)
 No43、ヘクス・ピヨン(BNE002689)
 No44、深町・由利子(BNE000103) の場合

 開口一番。
「代表さんにはもう一度会わないといけないと思ってました」
 拳を握って宣言するティセの眼差しは真剣である。
 彼女はかつて総司郎のおっぱい宣言により昏倒させられたと言う屈辱的な過去を持つ。
 そしてその時投げ掛けた問いに、総司郎は未だきちんとした答えを返していないのである。
「AカップからHカップまでの8組のバストを選ぶとしたらどれが好きですか?」
「Dだ」
 即時断言。元Cカップだったティセの耳がぴんと立ち、思わず胸元を隠す。
 最近まだ育っている気がする彼女からすると、その即答は微妙に身の危険を感じる閾値。
「とは言え、人は( ゜∀゜)o彡だけに非ず。( ゜∀゜)o彡もまた人也。
 ある者はあるなりに、ない者はないなりに、己が魅力を誇れば良いと思うがね」
 敢えてバランスとは言わず、生かし方であるとかつての総帥はかく語る。
「あの、ヘクスバストサイズとか測った事ないのですが……」
 其処に投下される爆弾。ぐるぐる眼鏡の向こうで眉を寄せながら上がる右手。
 そもそも3サイズなどそれほど重要だと思った事が無いヘクスである。
「でもそう言えば、最近、胸の皮が張ってるのか多少痛い気がします
 何なら測って貰えないでしょうか」
「な……っ!?」「馬鹿な……!」
 絶句するサー・ブラックとグラン・バロン。YesロリータNoタッチ。
 二次性徴近辺の女子の3サイズを測るとか問答無用でアウトである。
「……分かりました、それでは僭越ながら私が」
 そんな時は困ったときの凛子さん出動。・・・暫くお待ち下さい・・・
「Aですね。成長期なので1つ大きいサイズを着けると良いでしょう」
 何だか中学校の健康診断の様になってしまいながらも、
 こくこくと頷くヘクスの姿はそれはそれでなかなかに、普段見せない愛嬌の感じられる物であり。
「え……ええと……44番……深町・由利子……ですっ!」
 高校生制服を着込んできた団地妻がそんなほのぼのわーるどを台無しにする。
(こ、こんな服装……似合わないわよぉ……っ!)

 良妻賢母を地で行く貞淑な人妻もアンバランスな制服から来る羞恥と、
 注がれる男達の視線の前では、熱い吐息を溢すと共に女の顔を覗かせてしまう。
 張り詰めたブラウスのボタンは、はちきれる前に自らの手で下から順に解かれていき、
 いよいよその姿を現し始めた美しい曲線は首筋と同様の朱を滲ませる。
 流れる汗は谷間を滴り、緊張に乾いた唇を湿らそうと這わせる舌先すらも艶かしく。
 その痴態は見る者の視線を離さない。ほう、っと吐き出した吐息は甘く、切なく。
(ああっ、見てる……会場の皆さんが……恥ずかしい……でもっ)
 つ【見せられないよ】
 失敬、危うくフラ■ス書院文庫になる所でした。

 No45、フィネ・ファインベル(BNE003302)
 No46、リンシード・フラックス(BNE002684)
 No47、レイ・マクガイア(BNE001078) の場合

 レイは想う。ああ、男性のなんと愚かな事か。
 大きさ、形、そんな外観に拘泥し本質を理解しない。「巨乳」という一括りで見られる哀しみを。
「私は確かに巨乳だ。が、それだけではないのです」
 その繊細な心情を、大抵に於いて男性は理解し得ない。だが一方で道理であろう。
 人は己が見た目に拘る物だが、さても人は見た目のみに非ず。( ゜∀゜)o彡もまた然り。
「グラン・バロン……覚えていますか? 貴方に倒された私の事を。
 あれから色々ありました。まだ未熟な技ですが、貴方に見てもらいたいのです」
 真摯に、誠実に告げる言葉と、美しい舞の如き武技。呼気と動作と縦揺れの絶妙なバランス。
「……積み上げましたな」
 何処か嬉しそうにバロンが頷く。その目線は常とは異なり確かに胸元から瞳へと向き。
 けれど、武の道は長く険しい。一つの峰を超えたバロンからすれば、レイはまだ伸びる。
 その先を信じればこそ、浮かぶのは先達ならではの寂寥感漂う笑みであり。
「……だぁーっ! シリアス過ぎて死にそうです! こういうのが見たいんでしょう貴方達は!」
 そんな空気に我慢出来なくなったレイ、渾身のセクシーポーズ。
「良かった! それでこそレイだ! わーい、レイだいすきー♪」
 余りの緊迫感に機を逸していた審査員。ブリリアントが安心と共に、
 その御椀型でロケットな理想の( ゜∀゜)o彡にふかふかと身を沈める。おいこら審査員。
「いいなあ……あれ」
 おいこら実況解説。

 だが、戦いはそれで終わらない。
 ハシビロコウ。コウノトリ目ハシビロコウ科の鳥類の一種である。

「フィネ、今回はお仕事、だから。頑張り、ます……っ」
 白いロリータ服に、抱いたぬいぐるみは目付きの悪いコウノトリ。
 その鋭い眼光も、後ろの彼女を隠し切るまでは行かない。元より恥ずかしがりのフィネである。
 小柄だと言ってもぬいぐるみに隠れ切る程では無い。そして彼女は見られる事に慣れていない。
「は、恥ずかしくて、動けなくなった訳、では、ありません、よ……っ!」
 はわあわと、慌てる仕草は一部の審査員の多数の嗜好を極めて的確に射抜いていた。
「場馴れしておらず、恥ずかしがる……その初々しい姿、堪りません」
「Tre's jolie。素敵な天使ね」
 審査員席、阿野 弐升(BNE001158)のガッツポーズに、エナーシアが大きく頷く。
 恥じらい、可憐さ、露出を控えめにけれどあくまで少女らしさを振り撒く。
 その絶妙なバランスを、フィネは望むと望まざるとに関わらず見事に満たしていた。
 だが、まさかと言う無かれ。この場にはもう一人ジョーカーが居たのだ。
「な、なんですか、この、衣装……メイド服の割には、妙に、露出が多い、ような……」
 恐らく壱也の着せられていた物と同系統だと思われます。
「あ、あの、えと……い、いらっしゃいませ、ご主人様……♪」
 とりあえず舞台に上げられ、とりあえずノリでそれっぽい台詞を呟いてみた物の、
 いっぱいいっぱいのリンシード。外に露出している体表全面血の回り過ぎで真っ赤である。
「え、む、胸の大きさですか……? その、み、見てのとおり、ですけど……」
 例え余り無くとも、緊張すれば分かる事もある。
 着けてないのだ。そんなお年頃ではないのだ。彼女は未だ11歳。セフト。否、アウトである。
「やっぱり淑やかさや慎ましさって重要なファクターよね」
 彩歌が困った様に微笑みながら票を入れる傍ら、先ほどからずっと語り続けていた弐升。
「っていうか、ぶっちゃけ女体であるだけで十分なんですが。
 女体ってやわっこいじゃないか、さわり心地いいじゃないか。神秘じゃないか!
 畜生なんで俺は女性じゃないんだ! むぎょあー!」

 その取り乱しっぷりたるや幸成がスタァァァップ!する寸前である。恥ずかしがり系少女恐るべし。

 No48、マーシャ・ヘールズ(BNE000817)
 No49、明神 涼乃(BNE003347)
 No50、山川 夏海(BNE002852) の場合

「なかなかにナイスな変態揃い。アークの先行きは明るいようで」
 マーシャの一言に撃ち抜かれた選手権の審査員諸君、挙手。
 まあ、でも裸セーターでおっぱいたゆんたゆんなマーシャさんも割とギリギリで御座います。
 着エロと言う方向は何処かの後継者候補殿を連想する物の、
 実際は然程マニアックとも言えない模様。アイディアは某熱海プラスとほぼ同一。
 だが特一級の破界器が所有者を選ぶ様に、武具とは使用者と担い手とではその価値を異とする。
 であるなら、敢えて言うべきだろう。これこそが“素肌にセーター”の真価であると。
「レイには劣るだろうが……ふかふかだな」
 でかい。そして、エロい。ブリリアントが気圧された様に一歩退く。
「……なるほど、自分がするのと人がしているのを見るのとでは多少印象が違う物だな」
 其処に追加される巨艦。それはまるで無敵艦隊。イージス艦の大軍勢である。
 涼乃もまた、ニットセーターにストールと言う軽装。その双胸は己が威光を指し示す。
「だが、胸とは何のためにある?
 生涯ただ一人の愛する者へ尽くすためにあるものだろうが、それは一面に過ぎない」
 抱え上げる。人は其処に母性を見る。
 実際に子供を育てた事のある女性だけが持つ一種独特の包容力。
「そう、子育てだ。女の形をして生まれ、機会が訪れれば自ずとこれに活かすだろう。
 私は五回。五回、我が身を削る思いで用いた。お前達の目に私の……これは、どう映る?」
 劣情を許さぬその厳かなる力強さ。これもまた( ゜∀゜)o彡の本質である。
 審査員にそれなりに混ざった女性陣達が考え込む。もう一人。最後のイージス艦を前にして。
「山川夏海、11歳だよー。え、スリーサイズ? うー……最近測ってないけど」
 ごにょごにょ、と語られた数字は革醒の恐ろしさを人類に思い知らせる値である。
 具体的には壱也の口元から人間を人間たらしめている、
 何やらとても大切な筈の物がふよふよと抜けて行きそうな勢いの。
「お、大人のいけないコスプレとか言われるけど、
 本当に小学生だし……小学生なんだよー? ほら、リコーダーもあるし!」
 ばきゅーんなスタイルに初等部制服とランドセル。
 口元に寄せたリコーダーは胸元に挟まってどうにも動き辛そうである。
「あれ、んっ。これ、……吹きにくい」
 尚、何故か実況席でガッツポーズしている名前に竜の付く男性一名。それも撮るエリス。
 恐らくこの映像は某方の妹様も目の当たりにする機会が有るかと思われます。
 生きろ。

 No52、イーシェ・ルー(BNE002142)
 No53、キャロライン・レッドストーン(BNE003473) の場合

「( ゜∀゜)o彡。素晴らしい響き。見てよし揉んでよし。
 大きさで好き嫌い分けるなんて審査員失格よ。( ゜∀゜)o彡と私に詫びて吊ってきな。
 一糸纏わぬ( ゜∀゜)o彡も素晴らしいが服の上から見るのも悪くない。
 あと谷間! 谷間大事よね! 指を入れたくなるような谷間!
 だけど私は敢えて下乳を押す。服の下部からこぼれる( ゜∀゜)o彡!
 貧乳の鎖骨からのウエストにかけてのライン……いいよね、頬ずりしたくなる
 って言うかぶっちゃけちゃうと、ちょっと位揉んじゃっても良いんじゃないかな?」
 この人は何を言ってるんだ。
「自分のアピール? あぁうん。特にない」
 ぶぶー! アウトーっ!
 余りにフリーダム過ぎる夜乃神 璃杏(BNE003413)。同参加者の( ゜∀゜)o彡を、
 揉もうと試みた為無念の脱落。と言うか事此処に到って本当に何をしているのか。
「あ、危なかったッス! 獅子身中の虫とかこの事ッスね!」
 危うく襲われかけたイーシェであるが、身に纏うフルプレートのお陰で事無きを得る。
 流石本家鎧ガールは一味違うのである。鎧が無かったら危なかったぜ!
「まあ、でもスタイルには結構自信あるんで、出場した以上は頑張らせてもらうッス!」
 頑強且つ硬質的な白銀の輝きは褐色の肌と張りのある( ゜∀゜)o彡へ。
 水着姿で髪を下ろしたイーシェが纏うのは健康的な色気である。
「イエーイエーイ! 一票宜しくーッス!」
 ぴーすぴーすと愛嬌を撒く姿に、初っ端の戦慄抜け切らぬ審査員席がほっと息を吐く。
「アメリカはエンターテイメントの本場よォ? 魅せ方は熟知してるわあ」
 そうして最後のエントリー。キャロラインはカウガールの格好でPR。
 セクシーポーズと投げキッスと言った如何にも異国情緒の感じられる仕草には、
 自由の国を連想させる奔放さが随所に見られる。
 健康的な色気に対抗する大人のセクシー。これも一つの異文化コミュ二ケーションだろうか。
「全く、本当にアークは変態ばっかりだぜ!」
 嘯いたエルヴィンの掌は確りと重ね合わされて、首肯一つ。
 いや、本当にごちそうさまでした。

●輝け!第一回アーク( ゜∀゜)o彡選手権閉会式
「――第一回アーク( ゜∀゜)o彡選手権第3位。アリステア・ショーゼット。22点」
 蛍の光が流れたりする事こそ無い物の、半日に及ぶ激戦を乗り越えたアーク本部大会議室。
 裏方に回った者も、選手として舞台に上がった者も、
 誰もが何かをやり遂げた様な顔で台上の表彰を見つめる。因みに第3位は逃亡中につき、不在。
「第2位、リンシード・フラックス。23点」
「……えっ」
 全く予期しないタイミングで名を呼ばれ、がたがたと席を立つリンシード。
 彼女からすれば漸く終わったと思っていた恥の上塗りである。
「う……あ、ありがとう……ござい……ます」
 脱げていないメイド服。裾の短さが気になるそれを必死に抑えつつ。
 受け取った表彰状を手に、人間らしさと人形と任ずる自意識の狭間で彷徨う少女は頬を染めて俯いた。
「そして第1位。最優秀選手。フィネ・ファインベル25点」
 おおおっ、と上がった歓声と共に響き渡る拍手の音。けれど、けれど、けれど。
「………え、あ、え……えっ!?」
 ハシビロコウさん、出番です! と言わんばかりにこれを掲げるも、
 残念ながら物言わぬハシビロコウさんはフィネの事を守ってはくれないのである。
 頭の中が真っ白になりつつもふわふわと。まるで夢の中を歩く様な足取りで拍手の渦を割るフィネ。
 何でこうなったのか。何でこうなってしまったのか。それは誰にも分からない。
 だが、勝因は簡単である。人と言うのは意外に懐古主義な物らしい。
 恥ずかしがりで、清楚で、愛らしく、天使の様な少女に憧れる者は決して少なく無かった。
 実の所、それだけの話。あれやこれやと語ってみせようと、それだけの話である。
「おめでとう。恥ずかしかっただろうに、頑張ったな」
 主催者である沙織直々に手渡される賞状。それに万感を込めた大勢の拍手。
 それが、第一回アーク( ゜∀゜)o彡選手権の優勝者へと与えられた物の全て。
 別に誰に誇れる訳でも無い。だから何と言う訳でも無い。
 けれど、誰もがその一瞬の為だけに、競い合い、楽しみぬいたのだ。
 であれば、誰がそれを恥じるだろうか。同じ阿呆なら踊らなければ損。
 ――お祭等と言う物は、元よりそういう物である。

 ――――と、綺麗に纏まった筈だったのだが。

「ちょいと失礼しますよ……っとアイツなんですけどね? 実はアンタさんが気になるみたいでして……」
 選手権後の特別審査員席。バロンに話し掛けたのは阿久津 甚内(BNE003567)。
 その視線の向こうにはマリアが気だるげに佇んでいる。まさかの枕営業である。
「良いスよぉ……?アレがまた中々に……こう……ででして……さらに……!」
 つ【見せられないよ】の札を持った凛子が身構える物の、それを聞くバロンは喉を鳴らして笑うのみ。
「今日は三人で、でしょうか」
「こちらさん次第で かな……」
 何とも真意の読めないバロンに、肩を竦める甚内。だが、似た様な事はやはり考える物なのだろう。
「これから先な、アークに加われは世界のおっぱいが拝めるぜ
 今回で判ったろ、魅惑のワールドワイドおっぱいだぜ?」
 アークとの契約書を手に、総司郎に近付く晦 烏(BNE002858)。
 その手にはこの選手権中の各種映像を映したDVDが握られている。
「このままフィクサードとして過ごすならこれが最期のおっぱいだけれども、
 リベリスタに転向したら国内だけでなく世界を極める事も可能だぜ」
 その煽り文句は、確かに魅力的だろう。平の団員であればそれだけで転び得る程に。
「さて、どうするよ」
 ぽふりと置かれた手。それを見ていたブラックが、傍を通りかかった沙織に問う。
「アークと言う奴は何時もこんな風なのか?」
「良くも悪くも、受け皿が広いのがうちの売りでね」
 聞いたサー・ブラックがあたかも呆れた様に肩を竦める。だが、其処に張り詰める様な切迫感は無い。
「でもでもだれだって譲れないだいじなもの、あるものです。
 それが、ええと。お、おっぱいだった、だけで……
 きっときっとほんとうは、悪いひとじゃないとアル思います! です!」
 喧嘩している様にでも見えたのだろうか。沙織の後ろを付いて回っていたアルトゥルが、
 思わず声を上げる物の、けれど彼らはフィクサード。
 己が私欲の為に力を振るい、力無き者を虐げた人間が悪くない筈も、無い。

「……お人良しだな」
「セイギノミカタってのはそう言うもんだろう」
 大小の差はあれ、一つの組織の代表同士。まるで鏡写しの様に肩を竦める。
 明確な契約。ペナルティ。課す事など幾らも出来た。
 例えばそう。彼らがアークに属するなら、当分は監視が必要不可欠になるだろう。
 けれど、互いにそれを明言する事は無い。明言する必要も――無い。
「思っておられる程お硬い組織ではないですよ、アークは」
 悠月と拓真。彼らの勧誘に最も積極であった2人が手を差し伸べる。
 其処へ手を伸ばしたりはしない。代わりに、緩やかに、打ち付けられるのは握った拳。
「油断するな、我々は何時お前達の寝首を掻くか知れんぞ」
「アークが新生おっぱいがいっぱい団と呼ばれる日も遠くは無さそうですな」
「別段お前達に降る訳では無い。だが、( ゜∀゜)o彡を愛する者は須らく同志だ」
 拳に拳を打ちつけた拓真が、不器用に笑う。
「……上手く、纏まったみたい」
「……そうですか、良かったです」
 少し離れた実況席。見つめるのはイヴとエフィカ。但し後者は巫女服である。
「イベント、御疲れ様です。…なんというか、その、凄い熱気で……」
 ペットボトルの差し入れにやって来た、風宮 紫月(BNE003411)が
 疲れ切ったエフィカの風貌に苦笑いを浮かべつつ背をぽふぽふと撫でる。
 何とこれだけの人数がいて彼女の精神状態を心配してくれたのが、
 紫月だけと言うのも実に酷い話である。( ゜∀゜)o彡の魔力は良識を狂わせる禁断の果実。
 スイカであるか蜜柑であるか林檎であるかはこの際さておく。
「きょ、今日さえ過ぎれば、きっとまた良い事があるでしょうから……」
 目がハイライトが無いを通り越してグラデーションになりつつあった、
 エフィカを撫でるその手に、涙交じりで受付の天使が縋りつく。
「うわぁぁぁん、紫月さんっ、私頑張りましたっ! 頑張りましたよねっ!?」
 涙ながらに語る巫女服マスコットの嘆きを単に請け負う紫月。
 そんな華やかなのか悲劇なのか良く分からない舞台からはひっそり目線を逸らし、
 イヴは新たにアークの末席を担う事になった3人の背に、ぽつりと声を掛けるのである。

「ようこそ、アークへ」

 でも、大体全ての原因はこの子です。そんなイヴさんマジエンジェル。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
参加者の皆様はお疲れ様でした。STの弓月蒼です。
大変お待たせして申し訳御座いません。
イベントシナリオ『( ゜∀゜)o彡』をお届け致します。
この様な結末に到りましたが、如何でしたでしょうか。

死力を尽くしました。採点判定は全エントリー53名。
1人残さずステータスシートと首っ引きで行っております。
MVPは見事優勝を勝ち取られたフィネ・ファインベルさんへ。
その他2、3位の方々には名声にボーナスを差し上げます。

スケジュール管理の未熟さが露呈してしまい申し訳御座いません。
この度は御参加ありがとうございます、またの機会にお逢い致しましょう。