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ももいろ★ざんげしつ

●鳩が豆鉄砲を喰らったら
「……は?」
 その日、リベリスタの浮かべる羽目になったのは丁度そんな――何とも言えない表情だった。
「いやですねぇ。聞こえなかったんですか?」
「はぁ、やれやれ」と些かムカつくポーズで大仰な溜息を吐き出す『清廉漆黒』桃子・エインズワース(nBNE000014)のアレな笑顔は何時もの通り。要するに彼女と関わるとそういう目に遭う事が多い、という真理なのだがその辺りは一先ずさて置いて。
「もう一度言いますよ。ええと、桃子さん暇な時に近所の教会で神様の為の奉仕活動に勤しんでいる訳ですが、今度そこの神父様がどうしても外せない用件で丸一日、教会を空にせざるを得なくなりまして。そのお留守番を頼まれたんですよ」
「お前が……神に……ね……」
「ホーリーメイガスなめんなよ!」
「……まぁ、一応そこまではよしとしよう」
「話が分かる人は桃子さん好きですよ。
 それでですね。神父様がご不在なので当然と言うべきか、教会の懺悔室も閉まる訳なんですが、こう。彼はとても熱心で敬虔な方なので『何時如何なる時にも、何人の前にも神の戸は開いていなければならぬ!』と熱弁をなさいまして。うーん、最初は(つまんなさそだから)お断りしたんですけどね。『桃子君! まるで此の世に舞い降りた天使のような君ならば――私に代わって子羊の話を聞く事も出来るだろう!』と。それはそれは熱烈に……」
「そこだ、そこ。誰が天使だ、誰が」
「え?」
「……え?」
 ……小首を傾げる桃子に取り敢えずリベリスタは黙る事にした。
「そこで開催です。第一回『ももいろ★ざんげしつ』。どんどんぱふぱふ♪」
 どうしてかは知らないがやたら嬉しそうな桃子は既に止めて止まる雰囲気では無い。
「神父様のご期待にお応えして、桃子さん一肌脱ごうと思います。
 どんなに薄汚れた方の身勝手な懺悔でも相談でも。この私がズバッと解決いたしましょう!」
 桃子はそう言うと何とも言えない表情のまま固まったリベリスタの手元に、カラープリントされたチラシを押し付ける。
 そこでは漫画調にデフォルメされた桃子らしきキャラクターが「ちゅうとうのへいわからちじょうのもつれまでこのわたしにおまかせです!」とか胡散臭いキャッチを飛ばしている。
「真面目な懺悔から人生相談、各種人生の攻略法に差し入れ、冷やかし、エトセトラ。
 教会でパーティ! 君も桃子さんとあくしゅ!」
「……おーい。趣旨分かってるのか、趣旨」
「ぇー?」
 桃子は手を頬に当て、眉根を寄せた。もう一度困ったように小首を傾げ。
「懺悔だけとかつまんないじゃないですか。暇そうですし」
「……」

 ……神父、アンタ騙されてるよ!


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:YAMIDEITEI  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年11月24日(木)23:24
 YAMIDEITEIっす。
 桃子に懺悔したり人生相談したりするシナリオ。
 ご利益はありませんよ、以下詳細。

●任務達成条件
 ・教会行けば?

●教会
 三高平郊外の白い壁の綺麗な教会。
 平日(当日)の昼間は近所の子供が顔を出す位です。
 桃子は何を思っているのか時折手伝いに顔を出すようです。
 ちなみに不在の神父様は熱血漢で思い込みが激しいです。桃子が天使に見えるらしい。

●シナリオの備考
 懺悔でも人生相談でも晩飯のおかずの話でもなんでも構いません。
 懺悔室で神に代わり話を聞く桃子が気まぐれに気の向いた基本的に何の役にも立たず、時折そうでもないかも知れない良く分からないアドバイスだか提言だか弄りだか冗談のような答えを返してくれます。原則的にプレイングには懺悔室で二人きり、桃子に聞いて欲しい内容を書く事を推奨しますが、桃子に付き合わされたNPCを構う、神父や桃子に代わり子供と遊んであげる、『ももいろ★ざんげしつ』閉幕後(桃子が飽きたらとも言います)、教会内でパーティ(罰当たり)をする等、そういうプレイングをかけても構いません。

●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間と参加者制限数はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・イベントシナリオでは全員のキャラクター描写が行なわれない可能性があります。
・獲得リソースは難易度Very Easy相当(Normalの獲得ベース経験値・GPの25%)です。
・特定の誰かと絡みたい場合は『時村沙織 (nBNE000500)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合(絡みたい場合)は参加者全員【グループ名】というタグをプレイングに用意するようにして下さい。(このタグでくくっている場合は個別のフルネームをIDつきで書く必要はありません)
・NPCを構いたい場合も同じですが、IDとフルネームは必要ありません。名前でOKです。
・内容は絞った方が描写が良くなると思います。

●参加NPC
・桃子・エインズワース
・時村沙織
・真白智親
・真白イヴ
・将門伸暁
・天原和泉


 以上、宜しければご参加下さいませませ。
参加NPC
 


■メイン参加者 0人■
■サポート参加者 42人■
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)

悠木 そあら(BNE000020)
ホーリーメイガス
ナハト・オルクス(BNE000031)
デュランダル
鬼蔭 虎鐵(BNE000034)
ホーリーメイガス
来栖・小夜香(BNE000038)
デュランダル
神楽坂・斬乃(BNE000072)
覇界闘士
アナスタシア・カシミィル(BNE000102)
ナイトクリーク
犬束・うさぎ(BNE000189)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
マグメイガス
高原 恵梨香(BNE000234)
ナイトクリーク
花咲 冬芽(BNE000265)
スターサジタリー
エナーシア・ガトリング(BNE000422)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
ソードミラージュ
天月・光(BNE000490)
ソードミラージュ
閑古鳥 比翼子(BNE000587)
覇界闘士
大御堂 彩花(BNE000609)
デュランダル
マリアム・アリー・ウルジュワーン(BNE000735)
ソードミラージュ
戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)
デュランダル
斜堂・影継(BNE000955)
ソードミラージュ
紅涙・りりす(BNE001018)
スターサジタリー
モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)
クロスイージス
中村 夢乃(BNE001189)
ホーリーメイガス
ニニギア・ドオレ(BNE001291)
インヤンマスター
龍泉寺 式鬼(BNE001364)
クロスイージス
アウラール・オーバル(BNE001406)
スターサジタリー
立花・英美(BNE002207)
スターサジタリー
結城・ハマリエル・虎美(BNE002216)
クロスイージス
セリオ・ヴァイスハイト(BNE002266)
マグメイガス
宵咲 氷璃(BNE002401)
ソードミラージュ
ルカルカ・アンダーテイカー(BNE002495)
スターサジタリー
白雪 陽菜(BNE002652)
覇界闘士
三島・五月(BNE002662)
クリミナルスタア
古賀・源一郎(BNE002735)
ホーリーメイガス
エルヴィン・ガーネット(BNE002792)
クリミナルスタア
セシウム・ロベルト・デュルクハイム(BNE002854)
クリミナルスタア
烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)
クリミナルスタア
宮代・久嶺(BNE002940)
ホーリーメイガス
ティアリア・フォン・シュッツヒェン(BNE003064)
スターサジタリー
桜田 京子(BNE003066)

ココメロ・ルナール(BNE003101)
スターサジタリー
ユウ・バスタード(BNE003137)
覇界闘士
石蕗 温子(BNE003161)

●神の声は迷える子羊をうんたらかんたら。
 信仰とは人生の助けである。
 勿論、全ては――『信じるものが正しく、そして正しい信じ方をしたならば』ではあるが――
「桃子様、なんでこんなエロい呼び出しタイトルだったわけ? 十六歳男子シャワー浴びてはせ参じたというのに!」
 ――三高平郊外の白い教会。穏やかな佇まいを見せる神の家でそんな声を上げたのは夏栖斗だった。
 本来、この家を取り仕切る信仰に熱心で善良な――人を疑う事を知らない素晴らしい人格者はその人格者に相応しい『人を見る目の無さ』を発揮して、その留守を一人の少女に預けたのだ。
「浴びるな、帰れ」
 神の家の管理人に『天使のよう』と認められたその少女こそ――即ち騒ぎ立てる夏栖斗を一の太刀疑わず、二の太刀要らず。一刀両断に切り捨てた箱舟に潜り込んだ悪魔・特務機関の白き闇、清廉漆黒――桃子・エインズワースその人なのである。
「桃子さんマジ桃子さんっ!」
 少女を見つめる瞳は畏怖か、それとも別の何かか――
 有体に表現するならば><な顔をした冬芽が余りにもらしいと言えばらしすぎる示現流の煌きにテンションを上げている。
「桃子さんならどんな悩みも一刀両断してくれるかなって思って遊びにきましたっ♪
 つまりぶっちゃけ、レベルが低いんですがどうしたらいいでしょうかっ!
 べ、別に経験値が欲しくって会いにきたわけじゃないんだからねっ!」
「アウト!」
 桃子の合図を目ざとく見つけた光が背後からざばざばと水を被せる。
「ううー。酷い……え、やり直し? 桃子さんマジ天使さんっ!
 お悩み相談? 質問!
 ずばり、桃子さんって聖水でダメージ受けたりしま――」
 魔王の眼光に射すくめられ、冬芽が石化したのはさて置いて。
 郊外の小さな教会は今日一際の賑わいを見せていた。
「だって、ももいろ★ざんげしつとか企画ものDVDみたいじゃん……」
 カラフルなイラストの配されたチラシを片手に夏栖斗が唇を尖らせた。教会の留守番を「どうしても」と頼まれた桃子は「退屈だから」という理由で今日のこの日を自分色の企画に染めたのである。
 それは身も蓋もない人生相談室。効果が望めるかを測るには石像になった冬芽の引き攣った笑顔を見れば十分である。
 ももいろ、とは言ってもそこに夏栖斗の期待した『嬉し恥ずかし♪』の展開等用意されている筈も無く。
「っつってもなー、僕基本特に懺悔することないと思わない?
 まずイケメンだし、成績はそこそこ、ちょっとわがままでキュートな彼女のいるリア充だしさ。
 ていうかうちの彼女マジ超天使? 桃子様もうちの彼女見習って天使になるといいよ」
「黙れ、童貞」
「あの、桃子さん、どうして僕のプライベートが赤裸々になってるんっすか?
 名声っすか? なんすか? それもしかして三高平中が知ってるとかないよね? 彼女居るのにDTとか皆知らな――げふ!」
 鍛え上げられた夏栖斗の腹に唸りを上げたホーリーメイガスの拳がめり込んだ。
 取り敢えず静かになった教会で「ふぅ」と一仕事終え息を吐き出した桃子は輝く笑顔で誘蛾灯に群がる虫の如く、危うい魅惑と強迫観念に突き動かされてこの場を訪れたアークの仲間達に向き直った。
「そんな所で止まってないで、ささ。どうぞ。教会は怖くないですよ?」
 そこには、
「ここどこ? 地獄? 地獄って桃子さんいるのか……話に聞いた以上の恐ろしさだ……!
 まーでも大丈夫! 星と太陽に祝福されたこのあたしが来た以上この教会は最強!」←これからもずっとだよ(ry
「ねぇ、桃子お嬢さん。ちゅーしてやろうか?」
 比翼子にりりす、
「デーッデーッデー。モニカがあらわれた。コマンド?」
「教会を訪れるだけで報酬を頂ける簡単な依頼と聞いて参ったぞ」
 モニカに式鬼、
「私は教会育ちなのに懺悔というのをしたことがないのよね。
 主に恥じるような事はそもそも行わない、そう言えばそれまでだけど」
 エナーシア、
「桃子嬢は天使。異論は認めない。ここの神父とは仲良くなれそうだ。不在なのが残念過ぎる」
 何時もと何一つ変わらず至上主義のブレないセリオに、
「うーっすももこー。三高平いちせくしーなルカがあそびにきたぞー」
 凡そ懺悔という行動からは程遠い実に深遠なるルカルカ、
「エア彼氏じゃないリアル彼氏がめっさ欲しくてもうすぐクリスマスだしロマンティックな一時を夜景の見えるレストランで愛してるよ舞姫きゃっわたしもよ見つめ合う二人呼吸を止めてやがて唇が重なりやーんファーストキスなんてスイーツな未来が欲しいんですけどどうしたらいいでしょう、どうしようもないですね、ガッデム!」
 改行さえ忘れた芸人・舞姫の姿もある。
「桃子さんに懺悔しに行くなんて弱みを握って下さいと言ってるようなものなのです。
 さおりんは懺悔する事あるなら桃子さんじゃなくあたしにするといいのです」
 沙織の周りをくるくると周りながら必死にアピールするそあらの姿もある。
「懺悔ねぇ」
「無いのですか? 本当に? ちゃんと思い出すです。
 思い出せないなら思い出させてやるのです――」
 角度は長身の沙織を斜め下四十五度から見上げる完璧さ。
 腕を自然な所作で彼の首に回し、何処と無く小悪魔を思わせる上目遣いで彼女は言う。
「あたしをメロメロにした罪は重罪なのです」
「上手い事言うね、お前も。じゃあ、誓いの口付けでもしとく?」
「マリア様が見てる前じゃちょっと恥ずかしいのです。
 教会では特別な時までとっておきたいのです。だって女の子だもん……」
 ……(´・ω・`*)なそあらさんはさて置いて。
 面々は個々人様々な事情を携えてこの教会を訪れたのである。
「にこにこ。きらきら」
 桃子が湛えるのは神父が天使と錯覚したのも無理からぬ極上の微笑である。
(一見すれば)慈愛に満ち、(一見すれば)この上ない優しさを抱き、(一見すれば)非の打ち所の無い金髪碧眼の美少女そのもの――欧羅巴圏の連想する理想的な天使の造形はそれが故に否が応なくリベリスタ達にプレッシャーを感じさせるのだった。
「桃子さん桃子さん桃子さん桃子さん桃子さん桃子さん(中略)桃子さん桃子さん桃子さん桃子さん桃子さん桃子さん!!!」
 金髪少女に並々ならぬ異常欲求を抱えるナハトが辛抱たまらず発狂……じゃなくて騒ぎ出す。
(許しを請うているわけではありませんが!!!
 許されても許されなくても、金髪少女への愛は変わらないのだわ!!!)
 一種、ストイックでさえある。
「うわぁ……」
 金髪少女の陽菜がドン引いた声をぽつりと漏らす。
 教会の奥には十字を背負う少女の影。まるで悪魔の顎のようにぽっかりと口を開けた桃色の闇目掛けて勇者達は一歩を踏み出した。
「まぁ、盲信や狂信は罪深いものだけれど。
 そう信じている間は救われるのなら、桃子が天使でも良いんじゃないかしら?」
 ドライ極まりない氷璃さん。
「ふふ……桃子、面白いわ。
 最高に面白いわね。大好きよ、あなた。さあ、今回はどんな愉快な事態になるかしら。ふふっ」
 僕も大好きです。邪悪ロリ。
 ……じゃなくて、何故か楽しそうなティアリアはさて置いて――ももいろ★ざんげしつ、只今、開幕。

●取り敢えず懺悔
 神の門戸は罪深き誰にも開かれる――


・虎鐵の場合

「最近娘が天使過ぎてこまってるのでござぁ……
 天使度がまして他の男に取られないか心配で心配で。
 週三日は学校に様子見にいくようになったのでござる……」

 ――父親というものは大変ですね。

「そうでござるよな! だって悪い虫がついたらと思うともう拙者いてもたってもいられなくなって……
 いや、本当は拙者が結婚したいんでござるよ? でも娘の幸せを考えると何か胸からこみ上げるもので……板挟みで。
 この拙者の現状にどうかアドバイスをして頂けるといいでござる!」

 ――だがロリコン、てめーは別だ! でも面白いからもっとやれ!

「そうでござるな! よし、もっとやるでござる。拙者勇気がわいてきたでござるよ!」

 ――都合のいい所しか聞いてねー!


・小夜香の場合

「……とりあえず最近の奴かしらね。
 報告書を見て貰えれば分かると思うけど――『意識と自我の儚い形状』について懺悔するわ」

 ――ふむふむ。

「エリューションに寄生された人へ攻撃と回復を繰り返し、生き地獄を見せた挙句、結局は助けるのは諦めて殺しちゃったんだもの。
 平気な顔は出来ないわよ。最初から一思いに殺すべきだったんじゃないか? そう思ったらたまらなくて……ずっと悩んでるわ。
 ……ま、つまるところは私の力不足が悪いのだけど」

 ――そうですねぇ。結局は懺悔ってのは残された自分が人ならぬ神なんてものに都合よく許しを請う行動なのですから。
 別に当事者に謝っている訳でも、謝れる訳でもなく。考えてみたら随分虫のいい話ですし、勝手に神様が許しちゃったとしても、そりゃ痛い思い、苦しい思いをした誰かは報われませんよねぇ。
 でも、ですね。貴方に限らず人間の力なんてもの不出来で、掌は零れ落ちる運命を掬い取るには余りにも小さ過ぎる。「誰かの為に何かをしたい」「少しでも良い未来を描く為に足掻きたい」何て感情や努力を無駄や無力と切り捨てるのは余りにも酷なんじゃないかなと思いますね。失敗する位なら最初から諦めたらいい、何て結論は嫌いです。そういうのを私は『惰弱』と呼ぶべきだと思いますよ。だから、ももこさん公認。『貴方は間違った事はしていません』。ホントですよ。


・斬乃の場合

「ちょっとー! 桃子さん、なんであたしは……その……
 胸のネタでばかり弄られるのー! ちょっと説明してみなさいよー!
 あたし実はあなたが黒幕なんじゃないかって思ってるんだけど!!!」

 ――闇の精霊さんを召喚してみましょう。ふむふむ。何々。
 そのおっぱいじゃ仕方ないな、だそうです。私も全く同感です。そのおっぱいじゃ仕方ない。

「なにそれ! 意味わかんない!
 相談内容は、そういうキャラから脱却するにはどうしたらいいのかな、ってことなんだけど!
 なんか良いアイデアを頂戴よー!!!」

 ――そのねがいはかみのちからをこえている!

「――ちょっ! 神弱くない!? ねぇ、神! 動け神!!!」


・うさぎの場合

「懺悔室で桃子さんに相談です。
 と言うかお願いと言うか……姉君、梅子さんへの愛と彼女の魅力を語って下さい。思いっ切り」

 ――!

「いや理由はあるんですよ。
 今一人暮らしですからね私、友達は居ますけどそれは家族じゃない。
 ぶっちゃけ寂しくてですね……だから、『家族愛』に触れたいなあと。身近で一番羨ましい姉妹って言うと、ダントツで桃子さん達なんですよ。
 睦まじくて、気が置けなそうで、楽しそうで」

 ――姉さんの何がいいかって浅はかな所なんですよ。
 例えばつい先日の出来事ですが、姉さん自動販売機の下で五百円拾ったそうなんです。
 百円なら良くある事かも知れませんが五百円。余程嬉しかったんでしょうね、拾得物横領の大罪を犯した姉さんはダッシュで家に帰ってくるなりテンションアッパーで大騒ぎするんです。「ももこ、五百円拾ったのだわ! ふふん、あたしの今日の運勢はミラクルラッキーなのだわー!」って。私が「姉さんは幸せね」って優しく言ってあげると姉さんは私のパソコンを覗き込んで「桃子も家の中にばかり居ちゃ大きなチャンスを掴み損ねるのだわー」って大威張りでうっすい胸を張って、「なにこれ。ワロス曲線? 0がいっぱいなのだわ。ゲームなんかやってんじゃないのだわ!」とか偉そうに……可愛い姉さん。それからついこないだも……(以下延々)


・竜一の場合

「あ、すいません。
 顔にはモザイクと音声は変えてください。
 あ、ない? じゃあ仮面つけます。ヘリウムガス下さい」

 ――三高平市在住、三高平団地方お住まいの可愛い恋人と妹が居る結城竜一(18)さん、後がつかえてるのでとっととどうぞ!

「ういーっす、相変わらず鬼畜で悪魔っすね、桃子さん。
 イヴたん攻略法を教わりにきました。
 どうもドン引きされているような気がします。
 俺としては彼女を怯えさせたり怖がらせたいわけじゃないわけで。
 あ、いえ、そんな姿もモチロン可愛らしいわけですけども。
 でも、俺が見たいのは笑顔なわけで。お兄ちゃん大好き、とかイヴたんに言われて抱きつかれたいわけです。
 どうかシスター★ピーチ、迷える子羊に天啓を……!」

 ――記録は終わりましたのでご退出下さい。

「え、ちょ……え……?」

 ――次の相談者は、結城・ハマリエル・虎美(17)さんですよ。

「ちょwwwwwwwwwww」


・という訳で虎美の場合

「聞いてシスター★ピーチ
 ちょっと言いにくいんだけど……聞いてシスター★ピーチ 
 お兄ちゃんが最近あの女ばっか見るの……」

 ――浮気ですか!

「是非お兄ちゃん攻略法を伝授して頂きたく!
 ピーチって賢そうだし、なんか近いものを感じるからさ……
 家で二人の時は抱っこしてくれたりなでなでしてくれたりぺろぺろしてくれたりするんだけどね。
 この間は久しぶりにお風呂入ったし、えへへー♪
 ……でもほら、やっぱり最近はおかしいの。
 家でもあの女の話するし、三人の時はあっちばっか構うし、お仕事での結婚式もあっちと挙げるしぐぎぎ……!
 やっぱピッキングマンでお部屋捜索とかするべき? ねぇ、どう思う?」

 ――ももこさん竜一さんの極秘情報を手に入れました。

(再生中)

「私は構ってくれない癖に……お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお(ry」

 ――そんな貴方にじゃじゃーん。恋する乙女のマストアイテム・『桃印のスタンガン』!
 対リベリスタ用に調整された電撃でお兄ちゃんの心臓(ハート)をハード・トゥ・キルですよ!

「待っててね、お兄ちゃん!!!」


・エナーシアの場合

「桃子さん自身に謝りたい事があって来たのだわ」

 ――む?

「私はとても臆病で警戒心が強いので何に対してもそんな感じの反応だけれど、大好きと言われて怖いはなかったわ。
 桃子さんは周りからそういう反応を受けやすいように見えるので特に……ね」

 ――ふむふむ。

「ごめんなさいね、桃子さん。本当は大好きと言われて嬉しかったわ」

 ――今! 今私、恋に落ちる音がした! した!

(……やっぱり怖いのだわ……)


・比翼子の場合

「やー桃子さん! アークの誇る大悪魔が神様のものまねなんてなんともジョークの効いたおかしい話だね!
 ……ってごめんなさい調子乗りましたマジすみません反省します……」

 ――日和るなら立ち向かうな、これ常識ですよ?

「はい。反省します……
 懺悔すること……あたし最強だしあんまりないなぁ。しいて言えば……
 ……こないだ、閑古鳥商店潰れちゃった……
 頑張ってたんだけどな……やっぱりあたしに家族を守るなんて無理だったのかな……
 ぐす……三高平に引っ越さなきゃいけなくなったのもあたしのせいだし……
 どうすればいいのかな……桃子さん……」

 ――あなたのせいじゃありませんよ。結果が出ない努力なんてないものと同じ、何て傲慢な決め付けに過ぎません。そう言うももこの目は優しかった。

「ナレーションまで自分で読むんだね、桃子さん……」

 ――潰れたら立て直せばいいんです。何、どうせ腐る程金持ってる時村の金です。遠慮する事はありませんよ。
 レッツ、再申請。「あたしの閑古鳥商店、燃え尽きても火の中から華麗に復活! まるでフェニックスのように!!!」これで解決です。
 次はきっとうまくいきますよ。家族想いの貴方のその心は、間違いない本物なのですから。そう言うももこの目は優しかった。

「少し元気が出てきたよ! でも読むんだね、ももこさん!」

 ――コンサルタント料、三十万円になります♪

「……え?」

 ――え?


・彩花の場合

「折角の機会ですし本音を晒しますわ。
 モニカの事、普段は馬鹿だの迷惑だの邪魔だの阿呆だの変人だのと罵り合ってる仲ですけれど、これでも本当は感謝しているんです。
 多忙な父母に代わって幼少の頃からよく世話してもらいましたし、戦闘のノウハウや仕事に関しても教わった事は沢山ありますし」

 ――腐れ縁、何て言葉は照れ隠し半分なんですね。可愛いですよ、お嬢様。

「……そう言われると複雑ですけど。
 大御堂重工の三高平支部も正直言って彼女の助けがなければ成り立ちませんわ。ですからたまには感謝の気持ちを……
 ……本人には間違ってもバラさないで下さいね? 調子に乗られてもムカつきますし」

 ――大丈夫です。ここで聞いた内容は守秘あるのみです。
 神に誓ってこのももこさんが墓までお嬢様の秘密を守りましょう。守ってニヤニヤニタニタお二人の掛け合いを見守りましょう。

「……そう言われると複雑なんですけど。
 ……………と言うか、何処からか『嘘吐き』とか『これでずっと一緒だね、お兄ちゃん』とか具体的な亡者の呻きのような声が」


・マリアムの場合

「私ね、最近ね。インドって呼ばれるの。ねぇねぇ、これっておかしいわよね?
 私本当にエジプト生まれなのよ?
 あっつーい砂漠でピラミッドとかラクダに乗ったりしてたのよ?
 それなのにどうしてインドって呼ばれちゃうの!?
 というかインド生まれの子とか三高平市なら一人や二人いるでしょ!?」

 ――あー、ピンク色の変な猫とかですね。

「もぉー! 何なのよー!
 私こんなに淑女ちっくに頑張ってるのにー!
 その内見知らぬ人に『あ、インド生まれのマリアムさんですか?』
 とか言われちゃったらどうするのよー……」

 ――可愛いなぁ、インド。←小声

「今インドって言わなかった!?
 もうやだ……桃子ちゃん、私にハグとかチューさせて! それで私に癒しをプリーズ!」

 ――どこまでもくればーにだきしめてやる!(ぎゅぅ)


・京子の場合

「三高平に来て間もないので、ネタになる事なんて少ないんですが……
 おねぇが居なくなって、三高平に来て、私は普通に戦ってるけど……別に仇を討ちたいとかそんな事考えてるわけじゃなくて。
 私、おねぇが居なくなった時に寂しくて寂しくて、死んじゃいそうな人の傍に居てあげたいって、それだけなんです」

 ――京子さん……

「だから、私の心配をする全ての人にごめんなさい。私と一緒に居てくれる全ての人にありがとう。
 それから、おねぇが『沙織さん、心配してくれてありがとう、大好きです』って言ってた気がします。
 まぁ、こんなの沙織さんに聞かれない方がいいんですけどね」

 ――同感ですね。聞いたら格好悪い顔が見れるかも知れませんよ。
 それにもう一人、わざわざ聞いちゃうお馬鹿な人も……

「え……?」

 ――いえいえ、何でも。京子さんは皆に愛されてるって事ですよ。


・影継の場合

「神父に人生相談に乗って貰えると聞いて来ましたよ。
 え、同じコーポの神父? あれに人生相談しろって? 無理ですハハハ」

 ――超越させられちゃいそうですしね。

「まだ中二で居たいお年頃なんです。
 最近、ある女の子が気になって仕方がありません。
 フライエンジェで姉さん大好きとか言っている、腹黒そうに見えて腹黒くない、ちょっぴり腹黒な美少女です。
 その娘のことを見ると脈拍数は高まり顔への血流量は変化し息をするのも苦しくなります」

 ――トキメキの予感ですか? 影継★メモリアルですか?

「そう、この感情は……『恐怖』!」←自己判定

 ――チッ……

「この恐怖を克服しなくては戦闘者として失格となってしまう気がします。自分はどうすれば良いのでしょうか!」

 ――修正してやる!

「良く考えたら、考えなくてもこの声は……!?」←事故判定


・りりすの場合

「好きになった子が振り向いてくれないんだよ。あ、あと人にふれんどりぃに話しかけられない。ついでに素敵あーてぃふぁくと欲しい。超ほしい。たすけて桃子お嬢さん」

 ――即物的な相談ですねぇ。

「あ、あと僕好みの素敵な人と殺伐したい。超したい。
 どこぞの殺人鬼とか逆毛ホストとかみたいなのでなくて、うそつきんぐみたいのがイイ。僕だけを見てくれるとなおいい。
 桃子お嬢さんのくろいぢんみゃくとけんりょくでなんとかならないかしら?」

 ――では『そういう人』の出現率を上げるおまじないをしておきましょう!

「効くの?」

 ――神(やみ)のみぞ知る、です。


・夢乃の場合

「桃子さん桃子さん。最近世界があたしに冷たいような気がするんです。
 残念女子代表とか、今日も一人とか、騙されやすいとか」

 ――残念女子で今日も一人で騙され易いじゃないですか。

「桃子さんまで言った!?
 確かにおいしすぎるんですけど、このままでは素敵な殿方が見つかりません! 一体どうしたら良いと思います?」

 ――あー、はいはい。条件はー?←やる気の無い結婚紹介所職員みたいな顔をして。

「何か心が篭ってない気がするんですけど!?
 ええとですね、ただちょっと格好良くて爽やかでスマートで包容力があって切れ者で……」

 ――沙織さん?

「うわああああん!
 あたしの事を大切にしてくれて一途にあたしの事だけ見てくれる彼!
 後半重視。くれぐれも後半重視ですよ!」

 ――該当者なし。

「酷ッ!?」


・エーデルワイスの場合

「我が心の大天使 桃子様。どうか迷える私に救いの手を……」

 ――苦しゅーない。

「温泉の時(男湯盗撮)も、写真展の時(展示写真剥がす)も……とある人物に捕まったのですよぉ。
 どうしたら出し抜けるでしょう?
 私にどうか託宣を、貴方様の聖なる混沌の加護を~!」

 ――うーん。

「憎い時村沙織のあんちくしょうをギャフンと言わせたいのです!」

 ――下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるの心で頑張りましょうね!


・久嶺の場合

「桃子! いえ、桃子様! ぜひとも聞いて欲しい話があるのですわ!」

 ――凄い勢いですね。

「アタシには双子の姉がいて、とっても可憐で……
 好きで好きでしょうがないのよ!
 でも、最近お姉さまにぺったりくっつく悪い虫がいて……
 一緒の布団で寝たり、一緒にお、お、お風呂とか入っちゃったりなんかしてるのよ!?
 羨ましい! アタシもお姉さまと一緒にお風呂入ったりちゅっちゅしたりしたい! どうすればいいの!」

 ――消せ。

「……え、消せ? 消すってその……」

 ――消せ。

「……………なるほど」


・ユウの場合

「こんにちは、桃子さん。今日も天使ですね」

 ――幸福ですか? リベリスタ。

「はい、幸福です。天使様。
 さて、お話と言うのは他でもありません。
 私、今日本のご飯にハマっておりまして」

 ――ほうほう。

「えーと。つまり、お箸が上手く持てないのです。
 願わくば牛丼屋で隣り合ったあの赤鉛筆おじさんの様な流麗な箸さばきで、牛皿定食をずるずるぞよぞよと頂きたいのです! 何か、良い練習法やコツなどは無いでしょうか?」

 ――豆でも箸で摘まんで移してろ!


・温子の場合

「神なんかこの世に居ない。
 だけど三つ編みしてる子は悪い人じゃないって、近所のイケメンのおにーさんが言ってたのよ。
 神は信じないけど、イケメンのおにーさん……じゃなかった。
 アーク所属の人は、信じることにしているの。三つ編みだし」

 ――いい心がけですね。

「だからパパママにも言えない悩みを打ち明けるわ。
 最近、自分のケモ化部分にアレルギー起こしている気がするんです。どうしたらいいでしょうか?」

 ――何も感じなくなる魔法のお薬とかありますけど、使いますか?

「……安全なの?」

 ――どうでしょう?


・セシウムの場合

「今ここに懺悔しましょう……僕が過去に行った悪事について……」

 ――どーぞー。

「始まりは二十年前でした……僕にはカリウムという弟がいたんです……
 ある夏の一日でした……彼がプリンを冷蔵庫に入れている姿を見てしまったのです……
 冷蔵庫にプリンがあれば食う、ソレは自然の摂理です……誰だってそーする、僕だってそーする。
 しかし弟は激怒し……そして十六歳の今に至るまで口すら聞いてくれません。
 一体どうしたらいいでしょうか……」

 ――調教が足りませんね。

「は……?」

 ――私が姉さんのプリンを勝手に食べた事はのべ二百七十四回に達していますが、毎回最終的には姉さんが謝ってきます。涙目で。

「……」

 ――世の中とはそういうものです。


・ニニギアの場合

「数日前からおみくじは凶だし、占いは最悪だし、たんすは足の小指を攻撃してくるし……ついてない感じなのよね。
 えーと、とりあえず何か懺悔しておこうかしら。この前ブリーフィングルームにあったドーナツをつまみ食いしたのは私です」

 ――成る程。

「あれ、誰のだったのかな」

 ――私のです。

「え?」

 ――姉さんと二人で食べようと思って買っておいたとっておきです。

「()」←進行形大凶


・陽菜の場合

「教会の懺悔室でお祈りすればなんでも許してもらえると聞いて……
 日頃から悪戯しまくってて懺悔することなんて数え切れないけど、今日はその中でも非常に重要な案件を持ってきたよ」

 ――神は全てをお許しになられますよ。

「実はこないだ本部に行った時、小腹が空いたから冷蔵庫にあった高級プリンを勝手に食べちゃいました。
 神は許してくれますよね? ……カップの横に『ももこ』って書いてあったけど」

 ――神は全てを許します。

「良かったぁ!」

 ――でも私は許しません。

「え」

 ――許しません。

●教会の外
「教会に押しかけるドM共、もとい懺悔するリベリスタ達。
 ……なんとなく来て見たが、酷い光景だなオイ」
 エルヴィンの一言は全く正しいものだった。
「そう、ここは地獄の一丁目。唯の懺悔で終わることはないでしょう。
 最初から、そうなる筈も無かったのです」
 何か恐ろしいモノを見て燃え尽きたような顔をしたニニギアと陽菜をずるずると運び出したのはメイド服に身を包んだ五月である。
 案の定、懺悔は酷い有様を炸裂させていた。
 何故だか赤面して地面をのたうち回った舞姫等は可愛いもので、結城兄妹の行く末等誰も口にする者は無い。
「桃子の方も気懸りではあるが……」
 苦笑めいた源一郎は何時もと同じように教会に集まった子供の世話を焼きながら一瞬だけ教会の方へちらりと視線を投げた。
「今日、神父様居ないんだってなー」
 快活な男の子がそんな風に言う。
「まぁ、役者不足かも知れんが我慢してくれ」
「遊んでくれるなら何でもいいよ」
 源一郎に応える子供の様子は屈託も無い。
 思いの外、少年少女と遊んでやろうというリベリスタは多かった。
「アウラさん! 来てくれたんですか?
 じゃあ一緒にお揃いのエプロンつけましょう♪」
「フリルのエプロンは勘弁して!?」
 嬉しそうにフリルのエプロンを手にする英美と逃げ腰のアウラール。
「あら智親さんも引っ張り出されたんですか?
 ふふ……私もお手伝いをさせていただきますね!」
「まぁ、うちはイヴを育てた実績があるからな!」
「智親、うざい」
 英美の視線の先で頭をわしわしとする智親を鬱陶しそうに払いのけながらイヴが言う。
(……エイミーは結構家庭的だな……)
 柔らかい表情を見せた英美の横顔を眺めるアウラールの内心の惚気は置いておく事として。
 すぐに打ち解けた子供達は元気一杯である。
(そういや、桃子って普段ここではどんな感じなんだ?
 優しいお姉さん、ガキ大将……どんな姿だとしてもしっくりくるな)
 エルヴィンの疑問を解決したのはアナスタシアの問いかけだった。
「皆から見て桃子殿って、どういう風に見えてる?」
 その問いかけは光にして闇である。
「……ウン、モモコオネエチャンキレイデヤサシクテボクラミンナダイスキナンダ」
「あぁ……」
 頷くアナスタシア。聞かなきゃ良かった。
 穏やかな時間を過ごしているのは快も同じ。
「こないだはハロウィンお疲れ様。今日は落ち着いて話が出来るかな?」
「皆さん、賑やかな方が多いですから……」
 和泉と共にお茶を啜り、ほっと一息。
「温泉旅行は大騒ぎだったよ。今度は和泉さんも一緒に行けるといいね。これ、お土産の湯の花」
「そうですね。今度は御一緒出来れば……あ、ありがとうございます」
 快は普通の話がしたかったのだ。同年代なら話も弾む。
 日々激しい戦いに身を置く彼にとって心休まるこの時間はかけがえの無いモノになる筈だった。

 ――ぴんぽんぱんぽん。三高平市からお越しの経験些少な新田快(22)様、懺悔室で桃子さんがお呼びです。
 至急、懺悔室までお越し下さい。繰り返します。三高平市からお越しの……

 ――差し入れのついでにパシられたらしいモニカが拡声器で呼び出し放送の真似事を始めるまでは。

「……」
「……………」
「……行くんですか?」
「懺悔する事なんか無いけどねッ!」
 快の目に宿る露は殆ど生理的なものである。
 魔窟ではきっと毒舌メイドとか邪悪ロリとか大魔王とか碌でもないのが手ぐすね引いて待っているのだ。
 しかし、彼は退く事は無い。行く先が懺悔室ならぬ折檻部屋だったとしても。呼び出される謂れが無かったとしても。
 彼はそう。三高平の――

「シュゴシンッ!」←断末魔

 ――なのだから。

●クリムゾン
 喧騒の無い教会の墓地。
 真っ赤に染まった世界の中で恵梨香は大きく息を吐き出した。
 冷たい土の下に眠る両親、そして兄。
 思考を向ければ張り裂けそうになった悲劇も少しずつそのディティールを失っている。
「私は、私が終わる時まで……」
 敵を滅し、殺し続ける。
 復讐は誓いで、誓いを罪と呼ぶのならばそれでも構わない――
 今の自分に『何も無い』と考える間違いを彼女は知っていた。
 仲間が居る。それ以上に、生きる目的を与えてくれた人がいる――
 相変わらず自分の事に頓着しない彼の様子を思い浮かべ、恵梨香は溜息を吐いたけれど。
 その表情は決して苦々しいものでは無かった。

「一対一で話しましょうか、桃子。
 わたくしはあなたが好きよ。あなたはわたくしの事嫌いかしら?」
 ティアリアの問いかけに小首を傾げた桃子は小さく笑って言った。
「私、割と皆さん好きですよ。特に私を好いてくれる方は、とっても」
 時に死屍累々を積み上げて、時に何となく役に立った懺悔室も概ね終わり。
 暮れなずむ夕陽に視線を向けながら教会の長椅子に腰掛けたティアリアと桃子は無為な時間を過ごしていた。
「あなたの懺悔も聞いてみたいわね?」
 冗句めかして言うティアリアを桃子は軽くかわす。
「私、心をめくるのは好きですけど、めくられるのは余り得意じゃないんです」
「奇遇ね。同じ」
「ですから、私の言葉も同じです。『あなたの懺悔も聞いてみたいのですけれど』」
 淑女が二人、夕暮れの教会にくすくすと笑う。
「――後程、あっちの人達を問い詰める、で妥協しましょう」
「名案ね」
 彼女達の視線の先には役目を終えた懺悔室がある。
『今』そこに居るのは――滑り込んだ不埒者が一組、である。
「こんな所でじゃれるのは、何だかとても背徳的ね」
「見えない天使より、触れるこの羽。優先順位ははっきりしてるさ」
「あら。何事も場を楽しむ為のスパイスよ?」
「オーケー。取り敢えずこの場は神を信じておく事にしよう」
 瀟洒なやり取りで言葉遊びを繰り返す――氷璃と沙織のやり取りである。
 実に食えない、一筋縄で行かないこの二人。時々に応じて『遊ぶ』事に余念が無い。
「背徳は蜜の味と言うけれど、一体どんな味かしら?」
「自惚れて頂戴」とそう言う代わりに氷璃は涼しい視線を沙織に流した。
 薄い唇は蟲惑を湛え、抱きしめれば折れてしまいそうな華奢な身体は狭い部屋の中、彼に傾ぐ。
「何処まで、本気だか」
「さあ? 何処まで本気なのかしら。試してみる?」
 くすくすと笑みを漏らして氷璃はしてやった、といった顔をした。
「そうしよう」
 その直後、あっさりとした返答と共に頤が持ち上げられた、唇に指先が触れた。その時までは。
 コン・ゲームは終わらない。
 部屋の外で今か今かと待ち侘びる桃子とティアリアを退屈させないその程度には――

「……で、何をしましたか?」
「してねぇよ」
「……あら、酷い。沙織、貴方惚ける心算?」

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 YAMIDEITEIっす。
 いやぁ、15000超えちゃうとは。
 イベシナはどうも書き過ぎが酷くなるようで。
 まぁ、42だったので一応白紙以外は全員描写しました。

 重傷者七人はイベシナ記録では。

 シナリオお疲れ様でした。

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レアドロップ:『桃印のスタンガン』
カテゴリ:アームズ
取得者:結城・ハマリエル・虎美(BNE002216)