<ヒノマル戦争>若狭湾防衛戦・第三区
●若狭湾攻防戦
11月某日。中 恭介(nCL2000002)が、ファイヴ会議室に覚者たちを集めていた。
「皆、早速ヒノマル陸軍が戦闘を挑んできた。場所は若狭湾。
ここでの戦闘に敗北すると湾の海路や港を彼らに押さえられることになる。
京都への、ひいては五麟市への侵略が容易なものとなってしまうだろう。
そんな事態をさけるため、皆にはこの勝負に勝って貰いたい」
『FH協定』
戦闘に関係の無い民間人に被害を出したくないファイヴ。
兵器製造など戦争の準備を邪魔されたくないヒノマル陸軍。
双方の条件を満たすものとして、戦争におけるルール、つまり協定を結んでいる。
双方『ほぼ同格』の総合戦闘力を持ったチームを編成し、民間人に直接的被害の出ない場所で戦闘を行なうこと。
またファイヴが所属覚者を長期拘束できないため、ヒノマル側・ファイヴ側双方どちらが敗北した場合でも捕虜獲得や兵器鹵獲をせず、撤退を許すこと。
こうしたチーム戦で互いに要所を制圧・もしくは奪還し、来たるべき決戦の日に両者同時に拠点を襲撃・及び防衛し合うものである。
互いにルールの曲解や、逆手に取った悪用はしないことで合意している。
「秩序ある戦争を望むとのことだが、それはこちらも望むところだ。皆、頼んだぞ!」
●
ウォーターバイクを巧みに操る一団がある。
『第二覚醒隊隊長』久米ヒサシの率いるヒノマル陸軍の戦闘チームである。
水面を交差するようにジグザグに走行し、時には飛び跳ねて回転するさまはアクロバットバイクの演技風景にすら見える。
「タイチョー! このバイクすげーや! どんなにあらっぽくしても壊れねえ!」
「術式で殴ってもヒビ一つはいらねえっすよ。どういう仕組みなんです?」
「バッカヤロウ、勉強しろ勉強をッ!」
久米はウィリーしながら笑った。
「開発部の連中が作った戦闘用水上装備だッ。鎧や盾にして纏ったら動けなくなるくれー重いが、バイクとしてなら運用できるッ。つまりは不死身の馬ってワケだッ!」
「なぁる、どおりで扱いがえらく難しいわけだ! 俺たちじゃなきゃあ乗りこなせませんや!」
「けどこいつがあればファイヴにも有利に戦えますね!」
笑い会う部下たち。
そんな中。
「ちょっと待ちな!」
海の底から、なぜか鮮明に声が響いてきた。
直後である。水柱をあげ、無数のイルカが海面に飛び出してくるではないか。
そのイルカたちは海面から上半身を出し、久米たちをにらみ付けている。
先頭のイルカがにやりと笑い、そして喋った。
「アタシらは『イルカさんチーム』。アタシらを守ると誓ってくれた人間(しんゆう)たちのため、ファイヴに協力するよ!」
「イルカ……? いや、古妖だなッ。なるほど了解、野郎どもッ――!」
久米は拳を上げた。
「全力で相手をしてやろうぜッ!」
11月某日。中 恭介(nCL2000002)が、ファイヴ会議室に覚者たちを集めていた。
「皆、早速ヒノマル陸軍が戦闘を挑んできた。場所は若狭湾。
ここでの戦闘に敗北すると湾の海路や港を彼らに押さえられることになる。
京都への、ひいては五麟市への侵略が容易なものとなってしまうだろう。
そんな事態をさけるため、皆にはこの勝負に勝って貰いたい」
『FH協定』
戦闘に関係の無い民間人に被害を出したくないファイヴ。
兵器製造など戦争の準備を邪魔されたくないヒノマル陸軍。
双方の条件を満たすものとして、戦争におけるルール、つまり協定を結んでいる。
双方『ほぼ同格』の総合戦闘力を持ったチームを編成し、民間人に直接的被害の出ない場所で戦闘を行なうこと。
またファイヴが所属覚者を長期拘束できないため、ヒノマル側・ファイヴ側双方どちらが敗北した場合でも捕虜獲得や兵器鹵獲をせず、撤退を許すこと。
こうしたチーム戦で互いに要所を制圧・もしくは奪還し、来たるべき決戦の日に両者同時に拠点を襲撃・及び防衛し合うものである。
互いにルールの曲解や、逆手に取った悪用はしないことで合意している。
「秩序ある戦争を望むとのことだが、それはこちらも望むところだ。皆、頼んだぞ!」
●
ウォーターバイクを巧みに操る一団がある。
『第二覚醒隊隊長』久米ヒサシの率いるヒノマル陸軍の戦闘チームである。
水面を交差するようにジグザグに走行し、時には飛び跳ねて回転するさまはアクロバットバイクの演技風景にすら見える。
「タイチョー! このバイクすげーや! どんなにあらっぽくしても壊れねえ!」
「術式で殴ってもヒビ一つはいらねえっすよ。どういう仕組みなんです?」
「バッカヤロウ、勉強しろ勉強をッ!」
久米はウィリーしながら笑った。
「開発部の連中が作った戦闘用水上装備だッ。鎧や盾にして纏ったら動けなくなるくれー重いが、バイクとしてなら運用できるッ。つまりは不死身の馬ってワケだッ!」
「なぁる、どおりで扱いがえらく難しいわけだ! 俺たちじゃなきゃあ乗りこなせませんや!」
「けどこいつがあればファイヴにも有利に戦えますね!」
笑い会う部下たち。
そんな中。
「ちょっと待ちな!」
海の底から、なぜか鮮明に声が響いてきた。
直後である。水柱をあげ、無数のイルカが海面に飛び出してくるではないか。
そのイルカたちは海面から上半身を出し、久米たちをにらみ付けている。
先頭のイルカがにやりと笑い、そして喋った。
「アタシらは『イルカさんチーム』。アタシらを守ると誓ってくれた人間(しんゆう)たちのため、ファイヴに協力するよ!」
「イルカ……? いや、古妖だなッ。なるほど了解、野郎どもッ――!」
久米は拳を上げた。
「全力で相手をしてやろうぜッ!」

■シナリオ詳細
■成功条件
1.戦闘に勝利する
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
久米率いるヒノマル陸軍チームが所有しているのは『海座頭RX』という一人用ウォーターバイクです。これは水上でのアクロバティックな動きや高速機動をサポートするもので、攻撃によって破壊されないほか、認証した相手以外では操作できないという特異性を持っています。
久米たちはこれを用いて騎乗戦闘を行ないます。
対してファイヴチームには『イルカさん』という古妖が協力団体として加わっています。
これは【PIXIE】シリーズで友達になった古妖『イルカさん』たちで、ファイヴのために駆けつけました。
彼らは高速水泳やアクロバティックな動作のほか『不死身』『特殊言語で遠くと会話する』『陸上で普通に生活できる』といった特異性があります。戦闘能力はもっていないので、相手のウォーターバイクに匹敵する騎乗要素と考えてください。
敵のデータは以下の通り。
・『第二覚醒隊隊長』久米ヒサシ:詳細不明
・『第二覚醒隊』畑:詳細不明
・『第二覚醒隊』前田:詳細不明
・『第二覚醒隊』エリク:詳細不明
・『第二覚醒隊』ウルト:詳細不明
相手の戦闘力がはっきりしていませんが、全員が常に高速で走り回るという戦闘状況自体が特殊なため『離れて遠列攻撃でかき乱す担当』『動き回りながら射撃スキルで落とす担当』『騎馬戦のようにすれ違いざまに近接戦闘をしかける担当』に分かれることが予想されます。
特に久米は近接戦闘が得意そうな性格をしています。
(プレイングのリソースから考えても)騎乗戦闘をうまくこなす方法と味方の連携に力を注げば勝ちが見えてくるでしょう。
==============================
・補足ルール1
EXプレイングにてこちらからの攻撃アクションを投票できます。
ヒノマル陸軍のもっている施設や侵攻に必要なルートの中で、『攻撃したい場所』をEXプレイングに書いて送ってください。
『3票以上』ある選択肢を票が多い順に中恭介が採用していきます。
票が固まらなかった場合全て無効扱いとなり、中恭介が適当に選びます。
投票は本戦争期間中ずっと有効です。
・補足ルール2
ヒノマル陸軍に所属する主要覚者の能力は殆どが未解明です。
しかし戦闘の中で能力を探り出すことで今後の依頼にその情報を反映することができます。
・補足ルール3
性質上『FH協定』をこちらから一方的に破棄することが可能です。
ただしそのためには『依頼参加者全員』の承認を必要とします。
協定を破棄した場合、互いに無秩序状態になり、捕虜の獲得や兵器の鹵獲、リンチによる完全殺害が可能になる反面、民間人や協力団体にも多大な被害が出ます。
※エネミースキャンについての追加ルール(当依頼限定)
ターンを消費してスキャンに集中したり、敵の能力を深く推察したり、調査する部分を限定したり、数人で分担したりといったプレイングがあるとスキャンの判定にボーナスをかけます。
==============================
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
6日
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
6/6
公開日
2016年11月17日
2016年11月17日
■メイン参加者 6人■

●イルカさんと若狭湾
ボートを止めた海の上。『ちみっこ』皐月 奈南(CL2001483)は甲板から大胆にジャンプした。
彼女をキャッチするように滑り込むイルカさん。
「金ぴかちゃん、久しぶりだねぇ!」
「だねー」
キャッキャと笑いながら身体を撫でる奈南。
すぐそばで、『ホワイトガーベラ』明石 ミュエル(CL2000172)と『願いの翼』天野 澄香(CL2000194)は苦笑しあっていた。
二人のまたがるイルカたちが話しかけてくる。
「大丈夫かい、ミュエルちゃん」
「嫌なら、やめてもいいんですよ?」
首を振るミュエル。
「ううん。アタシ、約束したから……」
血があふれるほどに握りしめた『もうひとりのアタシ』の誓いを思い出す。
イルカさんたちが傷つき、利用される世界なんて。
「遺跡のみんなが、ずっと平和に暮らせる国を、守るから」
「……」
澄香のまたがるイルカさんが瞑目する。
「だから、アタシたちは一緒に戦うことにしたのさ。アンタがみんなの平和を守るなら、アタシはアンタの平和を守る。今日はその、初陣だよ」
「頑張りましょう。みんなに応えるために」
澄香がぐっと拳を握って見せる。
ミュエルは強く頷いた。
「世話になる。よろしくな」
「よろしくね」
クールなイルカさんの頭を撫でてから、香月 凜音(CL2000495)は待機する相手チームたちを見た。
久米ヒサシ率いる第二覚醒隊。彼らとの戦闘によってこの区域の制圧是非を決めるのだ。
「戦争ってよりスポーツだな。必要なのは分かるんだが、相手の大将の口車にのるってのは頂けないよな。すっきりしない」
「『逆ですよ』」
『研究所職員』紅崎・誡女(CL2000750)が横につけてきた。
「『相手がこちらの要求に従っているんです。戦略的には無視して自由に活動できるヒノマル陸軍が、私たちを制圧するまでは殆どの活動が制限されているんです。それとも……』」
誡女は『皆殺しゲームがお好きですか』と言いかけて手を止めた。凜音くらいの子供にとって、戦争は銃と爆弾で敵を皆殺しにしたら勝ちのゲームに見えるものだ。
区別の付かない対象に比較を持ち出すのは酷な話である。
なので。
「『ルールの中で、戦って勝てば、全てがうまくいきますよ』」
と説明しておいた。
「そうだぞ。だからルールを理解することや状況を利用することは、未来を掴むことになる。例えば今回はウォーターバイクとイルカさんの勝負になるが、機動性と堅牢さで劣る反面柔軟性と連帯で優れている。ここを活かすことでより有利に動くことが出来るんだ」
とかいいながら、『侵掠如火』坂上 懐良(CL2000523)がイルカさんにほおずりしていた。
「……言ってることとやってることが違うんじゃないか」
「何を言う、人馬一体の騎士がどれだけ強いか」
「そろそろいいかッ!?」
久米が腕組み姿勢のまま呼びかけてくる。
懐良は身体を起こし、どこからともなく槍を抜く。
「オッケー、どっからでもかかってこい!」
「そうさせてもらうぜッ!」
●海座頭RXとイルカさん
妖精の森で出会った古妖イルカさん。水上レースを経験しているミュエルたちにとって、イルカさんの速さと動きの柔軟さはよく知っている。
地味に深く長く潜っていると水に溶けるという性質があるので潜水行動には向かないが、それは相手の水上バイクと同じ条件である。ちょっと潜るくらいなら可能な辺りを考えればむしろ有利と言えるだろう。
「いっくよー! ナナン、突撃するのだ!」
ホッケースティックを振りかざし、イルカさんと共に突撃する奈南。
対する畑はアサルトライフルを片手持ちし、奈南めがけて流し打ち。
「あれは痛そうだ。つかまってて!」
「うん!」
イルカの頭にがしりとつかまって身を屈める奈南。ジグザグに走るイルカさんが相手の弾を回避していく。
すれ違いざまに奈南がホッケースティックを打ち込むが、鋭く舵を切った畑によって弾かれてしまった。
戦闘練度に差はあるが、イルカさんとの絆で戦力差を埋めているようだ。
「なるほど、な」
凜音は頷いて回復を開始。単体と全体のスキルを使い分けて気力消耗を押さえる基本スタイルだ。
「六人しかいないんだ。一人もかけないようにしよう……っと!」
横合いから激しい電撃が浴びせられる。
海座頭RXで回り込んできたエリクの雷獣だ。
電撃に耐えながらイルカに呼びかける凜音。
「攻撃が届かない位置に行けない? その上で回復が届く位置にさ」
「そんなの無理だよお」
言っている間にソードオフショットガンを構えた前田が突っ込んでくる。
「回復スキルを使ったな。まずはお前からだ!」
「しまったな……」
凜音はイルカの頭をぽんぽんと叩き、前田から逃げ始めた。
敵の編成はほとんどが遠距離攻撃タイプ。凜音もきっちり被弾範囲内にいるのだ。とはいえ防衛の要なので、自分から真っ先に落とされるわけにはいかない。
そんな彼とすれ違う懐良。
「バトンタッチだ。任せろ!」
懐良は前田の直前でイルカをジャンプさせると、槍を振り込んで攻撃。
前田はショットガンを盾にして斬撃を防御した。
「ああっ、こいつ強い、強いです!」
「弱音吐くなッ!」
海座頭RXをジャンプさせ、直接体当たりを仕掛けてくる久米。
懐良は一旦イルカさんにぺったりくっつけた。頭上すれすれを通過していくバイク。
久米はコンパクトにターンをかけると、腰から背中から器用に装剣されたアサルトライフルを抜いた。
「ヘイ青年、俺が相手だ!」
「後回しには、出来なさそうだな」
懐良は槍を構え直すと、イルカさんに合図を送った。
誡女は迷霧を展開しながらエネミースキャンを継続していた。
一度だけ集中スキャンをかけてはみたが、そう簡単には成功してくれない。
だが、誡女なりに考えはあった。
まずは相手の因子や五行を解析。続けてスキル構成を解析していくという順序だ。
ここまで分かれば大雑把なスペックも予想がつくし、なによりファイヴに存在する膨大な資料と照らし合わせれば大体の対策はつくのだ。特に戦闘スキルに関するデータサンプルは事欠かない。
小声で呟きながら、脳内のメモにしっかりと書きとめていく。凜音にもエネミースキャンを手伝って貰っているが、そちらはあまり芳しい効果は出ていないようだ。
「エリクは天行、恐らく暦。錬覇法による火力強化からの雷獣や脣星落霜を警戒すべき。ウルトは……」
ぐっと身体を傾け、水龍牙の攻撃を受け流す。
「水行の翼。回復スキルを使う様子がありませんが……攻撃支援型?」
探り出したデータの共有は一応行なってみるが、今回すぐに役立てる機会は少ないだろう。皆あまり気にしていないし、今回に限っては大雑把な役割分担さえ分かっていればいい。
眼鏡をかけたショートカットの女性、ウルト。
彼女の運転するウォーターバイクは他のものと比べてやや運転技能に劣っていた。だが本人の身体能力がずば抜けているせいか、恐ろしくバランス感覚がよかった。
イルカさんから仲間のスキャンデータを聞いたミュエルは、手の中でサシェを握りしめた。
「なら、これが効くよね」
全力で棘散舞を投擲。
激しく炸裂したサシェがウルトのバランスを大きく崩すが、彼女はすぐに体勢を立て直した。
強引にバイクをターンさせ、ミュエルめがけて突っ込んでくる。
「来るの……? えっと」
どうしよう。
そう思っている間に、ウルトはバイクのシートに立ち上がり、すれ違いざまに飛びかかってきた。
強烈な膝蹴りがミュエルを襲う。
すぐさまウルトは翼を広げて流れていったバイクへ追いついていく。
蹴り飛ばされたミュエルだが、急いでターンしたイルカさんにキャッチされて水没は免れた。
「大丈夫ですか!?」
すぐそばにつけてくる澄香。
ミュエルが頷くと、澄香はタロットカードを取り出した。
「一緒にやりましょう。二人でやれば、きっと」
「二人じゃ無いよ。四人さ」
イルカさんが呼びかけてくる。
澄香は笑って、ミュエルと小さくタッチしあった。
「回り込むよ。つかまって!」
一撃離脱のつもりで距離をとろうとしていたウルトの後ろを、ミュエルと澄香が追跡する。
ウルトはちらりと後ろを確認。拳銃を抜いた。
そんな彼女の側面から速度をあげて追い抜くミュエル。
サシェを翳し、投げる姿勢。
射撃によって打ち払おうと銃を向けたその瞬間、澄香がウルトの後頭部めがけてタロットカードを放った。
術式がはじけ、ウルトに直撃。ウォーターバイクから転げ落ち、海へと落ちていった。
●久米と第二覚醒隊
軍隊が歩兵だけだった時代は遙か昔に終わり、馬に乗り象に乗り、馬車や移動砲塔、バイクに戦車に戦闘機と機械化が進んでいる。今では無人攻撃機が前線を飛び交う時代だそうだ。
そんな所を鑑みて、誡女は久米たちにドライブテクニカの技術があるだろうとアタリをつけていた。
「やはり。第二覚醒隊は機械化兵の出身とみるべきですね」
ここまでくればスキャンはむしろ、確証を得ながらの答え合わせにすぎない。
相手は機械の操縦技術。
こちらはイルカさんとの絆。
第一の勝負所はそこだろう。
第二に、相手の機動力に振り回されて分断されてしまわないか。
第三に、敵が『どの程度まで』勝ちに拘るかだ。
相手はプロの戦争屋だ。場合によっては負けや撤退も作戦の内だろう。
具体的には、命数復活の有無や戦闘不能者何割で撤退するかといった所だ。
ちなみに……。
「全員が命数復活をして、全員戦闘不能になるまで戦おうとした場合……この勝負、負けるかも知れませんね」
何とかショットガントレットで前田と打ち合う誡女。
それを囲むように畑とエリクが展開。集中砲火をしかけてくる。
凜音と奈南が急いで回復にあたったが、誡女が戦闘不能になるまでそう長くはなかった。
「4対5か。まだ大丈夫かな」
「大丈夫にはさせませんよ!」
前田と畑が互いに交差しながら凜音に狙いをつけてくる。
「下がって、はやく……っ」
ミュエルが仇華浸香を展開。畑たちを巻き込むが、ウルトがスピンをかけながら凜音の前に回り込んできた。
「こうなったら粘るしかねえか」
凜音は自己回復を開始。
しかし防御に乏しい凜音の体力がすりつぶされるのは早かった。回復によるホバリングがきかないほどの速さで轟沈。
その間に畑はミュエルの毒にやられてぶくぶくと水に沈んでいく。
奈南は彼らの様子をきょろきょろと見てから、スティックをぎゅっと握った。
「ま、まけないからねぇ! 皆を元気いっぱいにするよぉ!」
奈南はスティックにぎゅーっと願いを込めた奈南の元気が光になって仲間へと分け与えられていく。
「悪いな少女。そろそろアンタの番だッ!」
久米がライフルの狙いを定めてくる。
そんな彼の頬を、ミュエルの投げたトゲがかすめた。
「ちっ――!」
即座に狙いをチェンジ。ミュエルに向けて連射をしかける久米。
毒の塗られた弾がミュエルの身体に浴びせられ、イルカさんから転落する。
体力的には多少頑丈な彼女だが、後ろから迫った前田のショットガンによって押し込まれた形になった。
眼鏡にスキンヘッドで小太りという、兵隊にしては珍しい体格の前田がバイクにもたれかかっている。
「リーダー。これで2体3ですね」
「いちいち報告しなくていいんだよッ!」
一方で、奈南がスティックを降って応援している。
「がんばってねぇ! イルカさんたちも応援してるよぉ!」
「懐良くん……」
「分かってる。二人同時に、リーダーから攻め落とす」
「いい度胸だぜッ!」
久米は前田を後ろに下がらせると、バイクのエンジンをふかした。
「いきます!」
澄香と懐良が同時に走り出し、久米も正面から迎え撃つように走り出す。
衝突の瞬間が勝負だ。
久米は術式性の毒を活性化させた銃剣を構えている。
「今です!」
澄香はイルカから飛び上がって離脱。
と同時に懐良はイルカごと水面下に潜った。
「何――こんにゃろッ!?」
澄香は翼を広げて高度をとり、頭上からエアブリットを乱射。
懐良は水面下から突き上げるようにチャージアタックを繰り出した。
咄嗟に術式性の毒を周囲にまき散らしてバイクから離脱する久米。
久米は海へと落ちたが、一方の澄香たちは毒に犯されて皮膚のいくつかがはじけただけでなんとか持ちこたえることができた。
海面から顔を出す久米。
「くぅー……ダメか! 前田、帰るぞ!」
「えっ、いいんですか?」
「いいんだよッ!」
●
久米たち第二覚醒隊は敗北を認めて撤退を開始。
戦闘不能となったウルトたち(でも普通に海をじゃぶじゃぶ泳いでいる)を一旦回収すると、海座頭RXのエンジンをふかした。
「ナナンはね」
急に語りかけた奈南に、久米が振り返る。
「話せないようになっちゃう戦争はダメだって思うのだ! みんなと傷付けない約束があるけど、暴力坂ちゃんはそれを守ってよね!」
「お嬢さん」
久米は、戦闘中とはうってかわった落ち着いた口調で言った。
「戦争とは、ルールを守って話し合いながら正しく行なう大人の戦いなのです。たかだか国内組織間の約束すら守れないようなら、私たちは海外で戦争なんてできないのですよ」
「約束、守るの?」
「当然。あなた方もそれを守れる人々ならば、よいのですが」
久米は懐のケースから眼鏡を取り出し、装着した。
「もし協定が決裂するようなら、ある意味私たちは負けたようなものでしょう。それでは……」
手を振り、撤退の合図を出す久米。
「いずれ一億人の代わりに、たった千人で殺し合いましょう」
去りゆく第二覚醒隊を見送る奈南たち。
一緒に戦ってくれたイルカさんたちをねぎらって、彼女たちも町へと戻った。
次の戦いは、もう始まっている。
ボートを止めた海の上。『ちみっこ』皐月 奈南(CL2001483)は甲板から大胆にジャンプした。
彼女をキャッチするように滑り込むイルカさん。
「金ぴかちゃん、久しぶりだねぇ!」
「だねー」
キャッキャと笑いながら身体を撫でる奈南。
すぐそばで、『ホワイトガーベラ』明石 ミュエル(CL2000172)と『願いの翼』天野 澄香(CL2000194)は苦笑しあっていた。
二人のまたがるイルカたちが話しかけてくる。
「大丈夫かい、ミュエルちゃん」
「嫌なら、やめてもいいんですよ?」
首を振るミュエル。
「ううん。アタシ、約束したから……」
血があふれるほどに握りしめた『もうひとりのアタシ』の誓いを思い出す。
イルカさんたちが傷つき、利用される世界なんて。
「遺跡のみんなが、ずっと平和に暮らせる国を、守るから」
「……」
澄香のまたがるイルカさんが瞑目する。
「だから、アタシたちは一緒に戦うことにしたのさ。アンタがみんなの平和を守るなら、アタシはアンタの平和を守る。今日はその、初陣だよ」
「頑張りましょう。みんなに応えるために」
澄香がぐっと拳を握って見せる。
ミュエルは強く頷いた。
「世話になる。よろしくな」
「よろしくね」
クールなイルカさんの頭を撫でてから、香月 凜音(CL2000495)は待機する相手チームたちを見た。
久米ヒサシ率いる第二覚醒隊。彼らとの戦闘によってこの区域の制圧是非を決めるのだ。
「戦争ってよりスポーツだな。必要なのは分かるんだが、相手の大将の口車にのるってのは頂けないよな。すっきりしない」
「『逆ですよ』」
『研究所職員』紅崎・誡女(CL2000750)が横につけてきた。
「『相手がこちらの要求に従っているんです。戦略的には無視して自由に活動できるヒノマル陸軍が、私たちを制圧するまでは殆どの活動が制限されているんです。それとも……』」
誡女は『皆殺しゲームがお好きですか』と言いかけて手を止めた。凜音くらいの子供にとって、戦争は銃と爆弾で敵を皆殺しにしたら勝ちのゲームに見えるものだ。
区別の付かない対象に比較を持ち出すのは酷な話である。
なので。
「『ルールの中で、戦って勝てば、全てがうまくいきますよ』」
と説明しておいた。
「そうだぞ。だからルールを理解することや状況を利用することは、未来を掴むことになる。例えば今回はウォーターバイクとイルカさんの勝負になるが、機動性と堅牢さで劣る反面柔軟性と連帯で優れている。ここを活かすことでより有利に動くことが出来るんだ」
とかいいながら、『侵掠如火』坂上 懐良(CL2000523)がイルカさんにほおずりしていた。
「……言ってることとやってることが違うんじゃないか」
「何を言う、人馬一体の騎士がどれだけ強いか」
「そろそろいいかッ!?」
久米が腕組み姿勢のまま呼びかけてくる。
懐良は身体を起こし、どこからともなく槍を抜く。
「オッケー、どっからでもかかってこい!」
「そうさせてもらうぜッ!」
●海座頭RXとイルカさん
妖精の森で出会った古妖イルカさん。水上レースを経験しているミュエルたちにとって、イルカさんの速さと動きの柔軟さはよく知っている。
地味に深く長く潜っていると水に溶けるという性質があるので潜水行動には向かないが、それは相手の水上バイクと同じ条件である。ちょっと潜るくらいなら可能な辺りを考えればむしろ有利と言えるだろう。
「いっくよー! ナナン、突撃するのだ!」
ホッケースティックを振りかざし、イルカさんと共に突撃する奈南。
対する畑はアサルトライフルを片手持ちし、奈南めがけて流し打ち。
「あれは痛そうだ。つかまってて!」
「うん!」
イルカの頭にがしりとつかまって身を屈める奈南。ジグザグに走るイルカさんが相手の弾を回避していく。
すれ違いざまに奈南がホッケースティックを打ち込むが、鋭く舵を切った畑によって弾かれてしまった。
戦闘練度に差はあるが、イルカさんとの絆で戦力差を埋めているようだ。
「なるほど、な」
凜音は頷いて回復を開始。単体と全体のスキルを使い分けて気力消耗を押さえる基本スタイルだ。
「六人しかいないんだ。一人もかけないようにしよう……っと!」
横合いから激しい電撃が浴びせられる。
海座頭RXで回り込んできたエリクの雷獣だ。
電撃に耐えながらイルカに呼びかける凜音。
「攻撃が届かない位置に行けない? その上で回復が届く位置にさ」
「そんなの無理だよお」
言っている間にソードオフショットガンを構えた前田が突っ込んでくる。
「回復スキルを使ったな。まずはお前からだ!」
「しまったな……」
凜音はイルカの頭をぽんぽんと叩き、前田から逃げ始めた。
敵の編成はほとんどが遠距離攻撃タイプ。凜音もきっちり被弾範囲内にいるのだ。とはいえ防衛の要なので、自分から真っ先に落とされるわけにはいかない。
そんな彼とすれ違う懐良。
「バトンタッチだ。任せろ!」
懐良は前田の直前でイルカをジャンプさせると、槍を振り込んで攻撃。
前田はショットガンを盾にして斬撃を防御した。
「ああっ、こいつ強い、強いです!」
「弱音吐くなッ!」
海座頭RXをジャンプさせ、直接体当たりを仕掛けてくる久米。
懐良は一旦イルカさんにぺったりくっつけた。頭上すれすれを通過していくバイク。
久米はコンパクトにターンをかけると、腰から背中から器用に装剣されたアサルトライフルを抜いた。
「ヘイ青年、俺が相手だ!」
「後回しには、出来なさそうだな」
懐良は槍を構え直すと、イルカさんに合図を送った。
誡女は迷霧を展開しながらエネミースキャンを継続していた。
一度だけ集中スキャンをかけてはみたが、そう簡単には成功してくれない。
だが、誡女なりに考えはあった。
まずは相手の因子や五行を解析。続けてスキル構成を解析していくという順序だ。
ここまで分かれば大雑把なスペックも予想がつくし、なによりファイヴに存在する膨大な資料と照らし合わせれば大体の対策はつくのだ。特に戦闘スキルに関するデータサンプルは事欠かない。
小声で呟きながら、脳内のメモにしっかりと書きとめていく。凜音にもエネミースキャンを手伝って貰っているが、そちらはあまり芳しい効果は出ていないようだ。
「エリクは天行、恐らく暦。錬覇法による火力強化からの雷獣や脣星落霜を警戒すべき。ウルトは……」
ぐっと身体を傾け、水龍牙の攻撃を受け流す。
「水行の翼。回復スキルを使う様子がありませんが……攻撃支援型?」
探り出したデータの共有は一応行なってみるが、今回すぐに役立てる機会は少ないだろう。皆あまり気にしていないし、今回に限っては大雑把な役割分担さえ分かっていればいい。
眼鏡をかけたショートカットの女性、ウルト。
彼女の運転するウォーターバイクは他のものと比べてやや運転技能に劣っていた。だが本人の身体能力がずば抜けているせいか、恐ろしくバランス感覚がよかった。
イルカさんから仲間のスキャンデータを聞いたミュエルは、手の中でサシェを握りしめた。
「なら、これが効くよね」
全力で棘散舞を投擲。
激しく炸裂したサシェがウルトのバランスを大きく崩すが、彼女はすぐに体勢を立て直した。
強引にバイクをターンさせ、ミュエルめがけて突っ込んでくる。
「来るの……? えっと」
どうしよう。
そう思っている間に、ウルトはバイクのシートに立ち上がり、すれ違いざまに飛びかかってきた。
強烈な膝蹴りがミュエルを襲う。
すぐさまウルトは翼を広げて流れていったバイクへ追いついていく。
蹴り飛ばされたミュエルだが、急いでターンしたイルカさんにキャッチされて水没は免れた。
「大丈夫ですか!?」
すぐそばにつけてくる澄香。
ミュエルが頷くと、澄香はタロットカードを取り出した。
「一緒にやりましょう。二人でやれば、きっと」
「二人じゃ無いよ。四人さ」
イルカさんが呼びかけてくる。
澄香は笑って、ミュエルと小さくタッチしあった。
「回り込むよ。つかまって!」
一撃離脱のつもりで距離をとろうとしていたウルトの後ろを、ミュエルと澄香が追跡する。
ウルトはちらりと後ろを確認。拳銃を抜いた。
そんな彼女の側面から速度をあげて追い抜くミュエル。
サシェを翳し、投げる姿勢。
射撃によって打ち払おうと銃を向けたその瞬間、澄香がウルトの後頭部めがけてタロットカードを放った。
術式がはじけ、ウルトに直撃。ウォーターバイクから転げ落ち、海へと落ちていった。
●久米と第二覚醒隊
軍隊が歩兵だけだった時代は遙か昔に終わり、馬に乗り象に乗り、馬車や移動砲塔、バイクに戦車に戦闘機と機械化が進んでいる。今では無人攻撃機が前線を飛び交う時代だそうだ。
そんな所を鑑みて、誡女は久米たちにドライブテクニカの技術があるだろうとアタリをつけていた。
「やはり。第二覚醒隊は機械化兵の出身とみるべきですね」
ここまでくればスキャンはむしろ、確証を得ながらの答え合わせにすぎない。
相手は機械の操縦技術。
こちらはイルカさんとの絆。
第一の勝負所はそこだろう。
第二に、相手の機動力に振り回されて分断されてしまわないか。
第三に、敵が『どの程度まで』勝ちに拘るかだ。
相手はプロの戦争屋だ。場合によっては負けや撤退も作戦の内だろう。
具体的には、命数復活の有無や戦闘不能者何割で撤退するかといった所だ。
ちなみに……。
「全員が命数復活をして、全員戦闘不能になるまで戦おうとした場合……この勝負、負けるかも知れませんね」
何とかショットガントレットで前田と打ち合う誡女。
それを囲むように畑とエリクが展開。集中砲火をしかけてくる。
凜音と奈南が急いで回復にあたったが、誡女が戦闘不能になるまでそう長くはなかった。
「4対5か。まだ大丈夫かな」
「大丈夫にはさせませんよ!」
前田と畑が互いに交差しながら凜音に狙いをつけてくる。
「下がって、はやく……っ」
ミュエルが仇華浸香を展開。畑たちを巻き込むが、ウルトがスピンをかけながら凜音の前に回り込んできた。
「こうなったら粘るしかねえか」
凜音は自己回復を開始。
しかし防御に乏しい凜音の体力がすりつぶされるのは早かった。回復によるホバリングがきかないほどの速さで轟沈。
その間に畑はミュエルの毒にやられてぶくぶくと水に沈んでいく。
奈南は彼らの様子をきょろきょろと見てから、スティックをぎゅっと握った。
「ま、まけないからねぇ! 皆を元気いっぱいにするよぉ!」
奈南はスティックにぎゅーっと願いを込めた奈南の元気が光になって仲間へと分け与えられていく。
「悪いな少女。そろそろアンタの番だッ!」
久米がライフルの狙いを定めてくる。
そんな彼の頬を、ミュエルの投げたトゲがかすめた。
「ちっ――!」
即座に狙いをチェンジ。ミュエルに向けて連射をしかける久米。
毒の塗られた弾がミュエルの身体に浴びせられ、イルカさんから転落する。
体力的には多少頑丈な彼女だが、後ろから迫った前田のショットガンによって押し込まれた形になった。
眼鏡にスキンヘッドで小太りという、兵隊にしては珍しい体格の前田がバイクにもたれかかっている。
「リーダー。これで2体3ですね」
「いちいち報告しなくていいんだよッ!」
一方で、奈南がスティックを降って応援している。
「がんばってねぇ! イルカさんたちも応援してるよぉ!」
「懐良くん……」
「分かってる。二人同時に、リーダーから攻め落とす」
「いい度胸だぜッ!」
久米は前田を後ろに下がらせると、バイクのエンジンをふかした。
「いきます!」
澄香と懐良が同時に走り出し、久米も正面から迎え撃つように走り出す。
衝突の瞬間が勝負だ。
久米は術式性の毒を活性化させた銃剣を構えている。
「今です!」
澄香はイルカから飛び上がって離脱。
と同時に懐良はイルカごと水面下に潜った。
「何――こんにゃろッ!?」
澄香は翼を広げて高度をとり、頭上からエアブリットを乱射。
懐良は水面下から突き上げるようにチャージアタックを繰り出した。
咄嗟に術式性の毒を周囲にまき散らしてバイクから離脱する久米。
久米は海へと落ちたが、一方の澄香たちは毒に犯されて皮膚のいくつかがはじけただけでなんとか持ちこたえることができた。
海面から顔を出す久米。
「くぅー……ダメか! 前田、帰るぞ!」
「えっ、いいんですか?」
「いいんだよッ!」
●
久米たち第二覚醒隊は敗北を認めて撤退を開始。
戦闘不能となったウルトたち(でも普通に海をじゃぶじゃぶ泳いでいる)を一旦回収すると、海座頭RXのエンジンをふかした。
「ナナンはね」
急に語りかけた奈南に、久米が振り返る。
「話せないようになっちゃう戦争はダメだって思うのだ! みんなと傷付けない約束があるけど、暴力坂ちゃんはそれを守ってよね!」
「お嬢さん」
久米は、戦闘中とはうってかわった落ち着いた口調で言った。
「戦争とは、ルールを守って話し合いながら正しく行なう大人の戦いなのです。たかだか国内組織間の約束すら守れないようなら、私たちは海外で戦争なんてできないのですよ」
「約束、守るの?」
「当然。あなた方もそれを守れる人々ならば、よいのですが」
久米は懐のケースから眼鏡を取り出し、装着した。
「もし協定が決裂するようなら、ある意味私たちは負けたようなものでしょう。それでは……」
手を振り、撤退の合図を出す久米。
「いずれ一億人の代わりに、たった千人で殺し合いましょう」
去りゆく第二覚醒隊を見送る奈南たち。
一緒に戦ってくれたイルカさんたちをねぎらって、彼女たちも町へと戻った。
次の戦いは、もう始まっている。
