遺跡の内部に現れた通路
●未探索の通路へ
奈良県のとある山。
ここでは以前、大雪による地滑りによって、なんらかの遺跡が発見されていた。
その際、考古学者がこの中を調べたいという申し出があり、『F.i.V.E.』の覚者達はその中の捜索を行い、勾玉1つを発見するに至っている。
その後、考古学者たちの調査により、覚者達が探索した部分の調査をある程度済ませてくれたようである。
「その調査結果を簡単に説明すると、じゃな」
『F.i.V.E.』内にて、『薄幸の男の娘』菜花・けい(nCL2000118)が覚者達に説明を行う。この場が特異点である可能性、だ。
特異点。パワースポットと呼ばれる場所。日本国内では、古墳や寺社、遺跡、洞窟、古くから伝えられた聖域などを指す。この五麟大学考古学研究所が建つ場所周辺も、古くは特異点と呼ばれていた場所だったそうだ。
「昔の人がそれを分かっていたのじゃろうな。なぜ勾玉を納めたのかなど、背景については今後の調査次第だが、封印を施した形跡があることから、何かを懸念しておったのは間違いないようじゃな」
ただ、遺跡内部に直接出入りできるようになり、封印が解かれいる。そして、力が集まる場所には、妖も集まってしまう。前回、探索した最中にも、壁から妖が現れていた。
「その妖が、どうやら別の通路にも潜んでおったようじゃな」
どうやら、以前に地殻変動などがあった為か、遺跡内は所により通路が分断されている。奥の探索が難しい場所が多々あり、前回は探索を見送った場所があった。
考古学者達はこの通路の探索にも着手しようとしたのだが、前回の探索報告にあった妖と同様の個体が5体も確認されたという。これを討伐して欲しいというのが今回の依頼だ。
「前回は静音もおったのじゃが、今は色々と忙しいようでな」
前回は翼人の少女、河澄・静音が手伝ってくれたのだが、今回は今いる覚者達のみで探索に当たる形だ。しかも、敵の数は前回よりも多い。できる限り念入りに準備をしていく必要があるだろう。
また、その先の通路も念の為に探索して欲しいと、考古学者からは依頼があっている。また妖がいたのでは、二度手間になってしまうからだ。
「説明は以上じゃ。おそらく、また勾玉が発見されると思うでの。皆が使えるように持ち帰って欲しいのじゃ」
けいは最後に、覚者達へとそう願うのだった。
奈良県のとある山。
ここでは以前、大雪による地滑りによって、なんらかの遺跡が発見されていた。
その際、考古学者がこの中を調べたいという申し出があり、『F.i.V.E.』の覚者達はその中の捜索を行い、勾玉1つを発見するに至っている。
その後、考古学者たちの調査により、覚者達が探索した部分の調査をある程度済ませてくれたようである。
「その調査結果を簡単に説明すると、じゃな」
『F.i.V.E.』内にて、『薄幸の男の娘』菜花・けい(nCL2000118)が覚者達に説明を行う。この場が特異点である可能性、だ。
特異点。パワースポットと呼ばれる場所。日本国内では、古墳や寺社、遺跡、洞窟、古くから伝えられた聖域などを指す。この五麟大学考古学研究所が建つ場所周辺も、古くは特異点と呼ばれていた場所だったそうだ。
「昔の人がそれを分かっていたのじゃろうな。なぜ勾玉を納めたのかなど、背景については今後の調査次第だが、封印を施した形跡があることから、何かを懸念しておったのは間違いないようじゃな」
ただ、遺跡内部に直接出入りできるようになり、封印が解かれいる。そして、力が集まる場所には、妖も集まってしまう。前回、探索した最中にも、壁から妖が現れていた。
「その妖が、どうやら別の通路にも潜んでおったようじゃな」
どうやら、以前に地殻変動などがあった為か、遺跡内は所により通路が分断されている。奥の探索が難しい場所が多々あり、前回は探索を見送った場所があった。
考古学者達はこの通路の探索にも着手しようとしたのだが、前回の探索報告にあった妖と同様の個体が5体も確認されたという。これを討伐して欲しいというのが今回の依頼だ。
「前回は静音もおったのじゃが、今は色々と忙しいようでな」
前回は翼人の少女、河澄・静音が手伝ってくれたのだが、今回は今いる覚者達のみで探索に当たる形だ。しかも、敵の数は前回よりも多い。できる限り念入りに準備をしていく必要があるだろう。
また、その先の通路も念の為に探索して欲しいと、考古学者からは依頼があっている。また妖がいたのでは、二度手間になってしまうからだ。
「説明は以上じゃ。おそらく、また勾玉が発見されると思うでの。皆が使えるように持ち帰って欲しいのじゃ」
けいは最後に、覚者達へとそう願うのだった。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.全ての妖の討伐
2.通路の奥にある勾玉の確保
3.なし
2.通路の奥にある勾玉の確保
3.なし
どこかでお会いしたことのある方もこんにちは。なちゅいです。
以前、探索した遺跡ですが、
寸断された奥の通路に現れた妖の討伐を願います。
●遺跡
山中にばっくりと口を開けた裂け目から、遺跡の通路に入ることができますが、
そこは正規の入口ではないようです。
遺跡内は、枝分かれしている道が続いています。
今回探索するのは、
前回、NPC、河澄・静音が一度宙を飛び、探索しかけた場所です。
1人での探索は危険と判断したこともあり、
前回は探索を断念しております。
また、高い場所ですが、
考古学者達がその場所に昇る為のはしごを掛けてくれています。
準備に当たっては、スキル活性、装飾品などの確認を願います。
基本的には、それ以外は採用できませんが、
これは有用と判断したもののみ、採用する場合があります。
また今回も、通路最奥に小さな祭壇があります。
前回同様、勾玉があるものと思われます。
●敵
○妖……自然系、ランク2×2体。ランク1×3体。
周囲の土と岩が3メートルほどの人型に固まり、動き出したものです。
パンチ(物近単・弱体)、踏み潰し(物近単・溜め2)、
タックル(物近単・ノックB)、石つぶて(特全・出血)を行使して来ます。
前回と違って、敵が確実に存在していることと、その場所は分かっています。
ただ、数が多くなっておりますので、油断は禁物です。
●補足
拙作『封印の解けた遺跡』もご参照くださいませ。
読まなくとも、今シナリオには影響ございません。
また、今回は河澄・静音は参戦しません。
高等部入学を控え、ちょっと忙しいようです。
あしからずご少々くださいませ。
それでは、今回も楽しんでいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします!
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
6日
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2016年03月31日
2016年03月31日
■メイン参加者 8人■

●遺跡探索に臨む
奈良県にある遺跡までやってきた『F.i.V.E.』の覚者達。
「古代の遺跡探索に妖か……、以前見た映画のようだなぁ。うむ、なんだか楽しそうだ」
「謎多き遺跡探索! やっぱりドキドキするよね! 楽しそう!」
『白い人』由比 久永(CL2000540)、『調停者』九段 笹雪(CL2000517)の2人は、これから始まる遺跡探索に心を躍らせる。とはいえ、普段からおっとりしている久永と、ふにゃふにゃした雰囲気の笹雪。外見ではあまりそうは見えない2人である。
「遺跡探索なんて、メッチャ冒険してる感ありそうやん。もしかしたら、その辺の遊園地よりも楽しいかも?!」
茨田・凜(CL2000438)もまた、楽しみにしていた1人である。仕事にもなるし、まさに一石二鳥の依頼だ。
「でも 妖さんも沢山居るようなので 気持ちを引き締めて行かないと! ……ですね」
賀茂 たまき(CL2000994)もまた、ワクワク、ドキドキしてはいたが、やはり危険は付き物。はやる気持ちをぐっと抑える。
「以前に調査した遺跡にまた入れるとはね。こういうのの積み重ねは好きだな」
唯一、前回も探索に参加していた、『五行の橋渡し』四条・理央(CL2000070)。今回は何が発見できるだろうか。進展があるなら、こうして探索を行う甲斐があるというものだが。
「遺跡の探索ってドキドキしますよね……。何が見つかるのかも気になりますが」
『エピファニアの魔女』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)も多少は心臓をバクバクさせている。だが、考古学者が妖の姿を確認していると言う。
「学者さん達が安全に調査できるように、私達も頑張りましょう」
ラーラの呼びかけに頷くメンバー達は早速、前回と同じく亀裂からロープを垂らして遺跡の中へと入っていく。
「わあ、こういうの、わくわくするね」
白枝 遥(CL2000500)も冒険心をくすぐられているのだが、自然の洞窟を使った遺跡だという。転ばないように足元に注意し、彼はロープをつたって降りていくのだった。
●通路を進む中で
遺跡へと入っていく覚者達。
「遺跡の守護者って感じだよね、こういうの!」
遺跡の装飾に古妖を表す物なんてないかなと考えて笑顔を見せる笹雪を始め、メンバーは本当に楽しそうである。
この遺跡に突入するのが初めての者も多い。だからこそ、メンバー達は入念に準備を行っていた。
各自、明かりとなる懐中電灯、あるいは、守護使役を用意しているのはもちろんだが、ラーラなどは遠くを見渡せるよう超視力、足場の悪さを考えてハイバランサー、敵の出現に備えてしのびあしと、状況に応じて動けるようにとスキルを充実させている。ただ、天性の方向音痴である彼女は、仲間からはぐれぬようにと気がけていたようだ。
『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)は備品を取り揃えていた。ヘッドライド、登山用靴、ロープ、カメラ、ライターに油。マッピング用の道具も用意してきている。
凜はというと。……なぜかお菓子。仲間達の視線が彼女へと集まる。
「遠足の必需品……じゃなくて、分かれ道があったときの目印に使うつもりなんよ」
そう言いつつ、マイペースな凜はそれを口の中に入れ、ボリボリと美味しそうに食べていた。
そんな中、ランタン片手に最前列を進む理央は、前回の探索経験を生かした行動を行う。
理央は前回の探索において、機能していない壁の明かりを確認していた。それもあって、彼女は今回、これを使おうと油と灯心をセットし、その明かりを機能させる。
「前回はこういうのを有効活用できなかったんだよね」
灯された明かりを見て、理央は表情を綻ばせていた。
さらに、理央は前回マッピングされた遺跡内の地図を用意し、今回マッピングを担当する凜へと渡す。学者達がハシゴを掛けてくれた先。ここからがマッパー凜の本領発揮だ。
凜もお菓子を食べてばかりではない。きっちりとマッピングをしていき、分かれ道では、宣言した通りにお菓子を足元に落とし、目印とする。
その地図作成の手伝いを、奏空と久永が行う。
奏空は超視力で四方を注視し、凜へと通路の情報を伝える。持っているライターを使い、通路の空気の流れを確認し、遺跡の構造把握に努めていた。
「やっぱり、こういう未知なものを探索するって楽しい!」
嬉しそうにはしゃぐ奏空。探索もそうだが、たまきと一緒だということも大きい。
一方のたまきは、覚えているスキルの都合もあって、役に立てるかどうかと心配そうにしていた。
それでも、超視力で仲間と同じく細かな部分で構造的に違うところがないかを確認していたし、土の心によって崩れかけている場所を事前に仲間へと知らせてくれる。たまきなりに仲間の役に立っていたようだ。
久永は赤い翼で飛び立ち、高い場所、あるいは空洞などの探索に当たっていた。
「かめらを持ってこれば良かったのだろうが、余は使い方が分からんでなぁ」
カメラは奏空が持ってはいたが、久永には使いこなすことができず。その代わり、瞬間記憶を使い、できる限り気になることを記憶しておこうと考える。
「ふむ……、これだけ広い遺跡なら、隠し部屋があっても良いと思うのだが」
壁なども気になる久永。叩いているうち、周りと比べて不自然に軽い音を立てる場所があったが……。だからといって、それを起動させる為の手段に乏しい。
とはいえ、思わぬ発見をした彼がそれを仲間に伝達すると、奏空がロープを駆使してその場にやってきて、怪しげな壁をカメラで撮影する。同じく、白い翼で飛んできた遥も他に空洞がないかと確認していたのだが、軽く叩くだけでは何ら変化が見られない。
壁の仕掛けが分からず爆破も考えたが、それによって遺跡が崩れてしまう可能性もある。この場所は専門家に判断を委ねることにし、覚者は元の通路を先へと進んでいく。
ともしびを使い、進んでいた笹雪が、鋭聴力で何かを聞き分ける。そろそろ学者の報告にあった妖の出現区域のはずだ。
「何か聞こえるよ」
徐々に大きくなる音。前方の通路の壁がガラガラと音を立てて崩れ、岩石の塊が人の形を取って通路を塞いでくる。その数5体。そいつらはわらわらと覚者に近づいてきた。
「感情探査してたのに、何も感じなかったんよ」
やや不服そうな顔をしていた凜。クッキーを食べつつ歩いていたこともアリ、目の前の妖がビスケットに見えてしまうが。気を抜くことなく覚醒してその対処には当たり始める。
笹雪はというと、覚醒して目をしっかり見開き、英霊の力を引き出して自身の力を高めている。
ラーラは敵に備え、先んじて自身の攻撃力を高め、集中を行っていた。
「良い子に甘い焼き菓子を、悪い子には石炭を……イオ・ブルチャーレ!」
大きな帽子を被った魔道使いの姿へと変わっていたラーラは、敵の殲滅の為に詠唱を始めるのだった。
●通路を塞ぐ妖の群れ
奥へ行く為には、岩石の妖を倒さねばならぬが、それ以前に、こいつらが考古学者から依頼された討伐対象に違いない。
(土と岩の人型ってことは、『ゴーレム』なんかな?)
敵の姿は、アニメや漫画などに出てくるゴーレムを彷彿とさせる。これは自然発生したものなのか、それとも何者かの傀儡なのか……。
凜がそんなことを考えていると、後方の妖2体が石つぶてを投げつけてくる。
(飛び道具には、気をつけないといけないんよ)
これまでも幾度か油断して飛び道具を食らい、重傷を負った経験のある凜は、それに対して冷静に対処する。
遥もまた、石つぶてに気をつけていた。覚者全体へと飛ばすそれは、決して浅い傷ですむ威力ではない。
石つぶてに耐えた奏空。金髪に桃色の瞳へと変貌していた彼は力を高めた後、高密度の霧を展開し、妖の身体能力を低下させていく。さほど道幅が広くない通路に、敵は並ぶ。さすがに5体が前に出ることはできず、力の弱い妖3体が盾になるようにして前に出ていたようだ。
「アクションシーンは素早く爽快に終わらせちゃおう!」
笹雪は叫びながらも仲間の真ん中まで進み、敵の頭上へと雷雲を発生させ、激しい雷を叩き落とす。それは前に立つ妖3体へと広がり、身体に痺れを走らせていた。
「手始めに、これでも試してみるとしようか」
以前の依頼での傷が完治していない久永。それでも彼は味方の中衛に位置取って術式を操り、敵陣に眠りへと誘う空気を起こす。
いくらか眠ってくれれば御の字と放った術だったが、効果は覿面。後ろ2体は耐えていたが、手前の3体はあっさりと眠ってしまった。
そこを目掛けて、理央は符を1枚取り出し、それを燃え上がらせる。その上で術式を行使し、地面から燃え盛る火の柱を出現させ、敵の体を焼き払う。
「ボク本来の属性からは外れるけど、物理攻撃主体の敵ならこっちの方が痛いよね」
理央の天性の術式は水行。しかしながら、彼女は敢えて攻撃力の高い火行を行使する。その分気力も多く使用するわけだが……。効果が目に見えて分かるかと言われれば、微妙なところである。
ダメージを負った妖はすぐに眠りから覚めていたようだ。敵が動き出す前にと、覚醒したことで、亜麻色の髪を黒く、そして、瞳を赤く染めたたまきもまた、英霊の力によって力を高めていく。
「えっと、前より数が多いんだよね……」
遥は冷静に状況を判断し、前に立つ仲間を水のベールで包み込む。
体勢を整え、拳を繰り出そうとする妖。その姿を見ていた凜は仲間全体を心地のいい空気で包み込み、身体能力を高める。
「妖さん達はやっぱり、遺跡にある何かを守る為にいるんでしょうか……?」
ラーラは目の前の妖が現れた理由を考える。しかしながら、妖は彼女が口にした考えに答えることなく拳を振り上げる。
いずれにせよ、攻撃を仕掛けてくる以上、覚者としては倒すべき敵でしかない。
ラーラは出現させた炎を大きくして放つと、まるで津波のように大きく波打つ炎が敵陣を飲み込む。さらに燃え上がる妖。手前にいた3体の妖は、覚者達の連続攻撃になす術なく崩れ去り、物言わぬ岩石へと戻っていったのだった。
「3体……、あと2体だね」
撃ちもらしがないようにと、遥はその数をしっかりと数えるのである。
残る敵は後ろにいた上位の妖2体。
そいつらは前に進み出て、身体を直接覚者達に叩きつけてきた。たまき、奏空がそれをくらってしまい、メンバー達は陣形を乱されてしまうが、すぐに態勢を整え直す。
その間、笹雪が敵のブロックを行う。それと同時に、彼女は妖目掛けて再度雷を落とす。
「すみません、すぐ戻ります!」
たまきは笹雪へと防御シールドを張り、すぐさま前方へと駆け出す。殴打を受けたたまき、奏空には、凜は神秘の力を含んだ滴を振りまき、遥も癒しの力を持つ液体をぽとりと落として2人の体力を回復させていた。
その後も、覚者達は列攻撃メインで妖へと術式を飛ばす。
久永も雷を叩き落とし、妖の身体になおも痺れを走らせる。自然系の敵ということもあり、やはり術式の効果は覿面だ。
ただ、それでも相手はランク2。一度動けば、強力な一撃を繰り出してきて、覚者を苦しめる。理央も場合によっては潤しの雨を降らして回復へと当たっていた。
なかなか覚者を倒せず、妖も焦れていたのかもしれない。1体が身構え、足をゆっくりと振り上げてくる。踏み潰しのモーションだ。前回、1人がこれによって重傷を負っている。これを食らうと致命的だと覚者は誰もが構える。
しかしながら、たまきがそこで大きな術符を投げつける。通常のものよりも大きいのは、彼女が符の大きさで力を増しているからだ。
符は足を振り上げた妖の足元から巨大な岩槍を呼び起こし、妖の体を貫く。すると、そいつは動きを止めてしまい、ただの瓦礫と成り果ててしまった。
ラーラも一気呵成に妖を攻め立てる。詠唱を行う彼女が術式を発動させると、拳大の大きさの炎の塊を連続で飛ばす。1つは敵の足元に。燃え上がる炎で踏み潰しを牽制しながらも、もう1つは胸部へと飛んでいく。
前衛へと戻った奏空が妖の手前に躍りかかり、逆手に持った双刀・天地の刃を叩き込む。妖の身体に亀裂が走り、周囲に巻き散るように岩石は飛び散った。
「逆境逆転燃え展開はまた次回、お楽しみに!」
妖の完全討伐を確認した笹雪が最後にそう叫び、戦いの幕は下りたのである。
●遺跡の奥の祭壇
妖を倒した覚者達は、妖が邪魔して進めなかった通路の先へと進む。
その先はすぐに部屋があり、行き止まりになっていた。
「遺跡の最奥には光る骸骨があるのだぞ。……ないのか?」
久永が口にした言葉に、数人のメンバーが恐怖で身を震わせる。
そこは、前回と同じように自然の洞窟を流用していた場所で、何かが祀られているのかと思わせる飾りが部屋中に確認できる。やはり、これらは風化の跡が見られた。
それらを目にした奏空は、部屋の様子を残すべく、カメラのシャッターを切っていたが、途切れ途切れの飾りでは、得られる情報は乏しいかもしれない。
「前回の祭壇との違い、あったりするのかな」
「いや、見た目はほとんど違いを感じないな」
笹雪が素朴な疑問を口に出す。すると、理央が周囲の明かりを灯しつつ答えた。一新たな敵の出現がありうるかもと考えて緊張感を持っていたメンバーは、糸が切れたように座り込んでしまう。
それならと正面にある祭壇を、遥が調べ始めた。
「にしても、なんで祭壇を分けたんだろうね。何か理由があるのかな?」
前回の祭壇の部屋とは別の場所だった。そして、場所を地図と照らし合わせると……。遺跡に突入した場所を中央とすれば、今回の場所は南西部に当たる。ちなみに、前回の祭壇の部屋は北西部にあるようだ。
それはそれとして。遥は程無く橙色の勾玉を発見した。駆け寄った凜もそれをまじまじと眺めていた。
たまきはというと、この勾玉を取ることで何かが起きないかと心配しており、超視力を働かせていた。何も起きる様子はなかった為、彼女はほっと胸を撫で下ろしていたようだ。
「そもそも、誰が、なんでこんな場所に、勾玉を置いたんだろう」
地滑りで遺跡が見つかるにしても、タイミングが良すぎるのではと、遥は丁寧に勾玉を包み、なくさないようにとバッグに仕舞いつつ考える。
「あたしも不思議に思うんだよ」
笹雪は別の疑問を持ち出す。この勾玉は、パワースポットに長く納められていたから力を持ってしまったのか、あるいは、元々不思議な力を持っていたのか……。
「それに、昔の人はどうやってパワースポットの存在を知ったのかな」
実は昔から覚者は存在していたのか。あるいは、古妖がこの場所の存在を教えてくれたのか。……分からないことは実に多い。
「大昔から存在していたと思われる特異点は、卑弥呼などのシャーマン的存在がもう知ってたのかもしれないね」
奏空も推論を口にする。普通の人間が手に負えないような力を、迂闊に触れられぬように封印したのではないかと。
「その神秘の力は突如、全国に出現した妖や俺達覚者と何等かの繋がりがあるのかもね」
特異点に触れることによって力を得られたり、無害であったものが妖として生成されたり……。もしそうなら、隔者組織に知られたら厄介なことになるかもしれない。
久永も懸念を口にする。
「この遺跡は封印されていたそうだが、勾玉はその一部を担っていたりせぬだろうな?」
祭壇に安置されていた以上、古人が大切なものだと理解していたのではと彼は推論を語る。勾玉は持ち出してもよかったのだろうか。
「まぁ……今更な気もするがな」
この勾玉は2つ目。また、『F.i.V.E.』にとっては有益であることを考えれば、この処置はしかるべきと言ってよいだろう。
「また何か、新しく分かるといいね」
笹雪は不安を払拭するように、仲間へと語りかける。どのみち、現状は推論を並べているに過ぎない。
ともあれ、目的は達成した。帰って考古学者に報告しようと誰からともなく声が上がる。
「帰りも安全に気をつけませんとね」
たまきはそう仲間へと呼びかける。遺跡を出るまでが遺跡探索。覚者達は気をつけながらも元来た道を戻っていくのだった。
奈良県にある遺跡までやってきた『F.i.V.E.』の覚者達。
「古代の遺跡探索に妖か……、以前見た映画のようだなぁ。うむ、なんだか楽しそうだ」
「謎多き遺跡探索! やっぱりドキドキするよね! 楽しそう!」
『白い人』由比 久永(CL2000540)、『調停者』九段 笹雪(CL2000517)の2人は、これから始まる遺跡探索に心を躍らせる。とはいえ、普段からおっとりしている久永と、ふにゃふにゃした雰囲気の笹雪。外見ではあまりそうは見えない2人である。
「遺跡探索なんて、メッチャ冒険してる感ありそうやん。もしかしたら、その辺の遊園地よりも楽しいかも?!」
茨田・凜(CL2000438)もまた、楽しみにしていた1人である。仕事にもなるし、まさに一石二鳥の依頼だ。
「でも 妖さんも沢山居るようなので 気持ちを引き締めて行かないと! ……ですね」
賀茂 たまき(CL2000994)もまた、ワクワク、ドキドキしてはいたが、やはり危険は付き物。はやる気持ちをぐっと抑える。
「以前に調査した遺跡にまた入れるとはね。こういうのの積み重ねは好きだな」
唯一、前回も探索に参加していた、『五行の橋渡し』四条・理央(CL2000070)。今回は何が発見できるだろうか。進展があるなら、こうして探索を行う甲斐があるというものだが。
「遺跡の探索ってドキドキしますよね……。何が見つかるのかも気になりますが」
『エピファニアの魔女』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)も多少は心臓をバクバクさせている。だが、考古学者が妖の姿を確認していると言う。
「学者さん達が安全に調査できるように、私達も頑張りましょう」
ラーラの呼びかけに頷くメンバー達は早速、前回と同じく亀裂からロープを垂らして遺跡の中へと入っていく。
「わあ、こういうの、わくわくするね」
白枝 遥(CL2000500)も冒険心をくすぐられているのだが、自然の洞窟を使った遺跡だという。転ばないように足元に注意し、彼はロープをつたって降りていくのだった。
●通路を進む中で
遺跡へと入っていく覚者達。
「遺跡の守護者って感じだよね、こういうの!」
遺跡の装飾に古妖を表す物なんてないかなと考えて笑顔を見せる笹雪を始め、メンバーは本当に楽しそうである。
この遺跡に突入するのが初めての者も多い。だからこそ、メンバー達は入念に準備を行っていた。
各自、明かりとなる懐中電灯、あるいは、守護使役を用意しているのはもちろんだが、ラーラなどは遠くを見渡せるよう超視力、足場の悪さを考えてハイバランサー、敵の出現に備えてしのびあしと、状況に応じて動けるようにとスキルを充実させている。ただ、天性の方向音痴である彼女は、仲間からはぐれぬようにと気がけていたようだ。
『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)は備品を取り揃えていた。ヘッドライド、登山用靴、ロープ、カメラ、ライターに油。マッピング用の道具も用意してきている。
凜はというと。……なぜかお菓子。仲間達の視線が彼女へと集まる。
「遠足の必需品……じゃなくて、分かれ道があったときの目印に使うつもりなんよ」
そう言いつつ、マイペースな凜はそれを口の中に入れ、ボリボリと美味しそうに食べていた。
そんな中、ランタン片手に最前列を進む理央は、前回の探索経験を生かした行動を行う。
理央は前回の探索において、機能していない壁の明かりを確認していた。それもあって、彼女は今回、これを使おうと油と灯心をセットし、その明かりを機能させる。
「前回はこういうのを有効活用できなかったんだよね」
灯された明かりを見て、理央は表情を綻ばせていた。
さらに、理央は前回マッピングされた遺跡内の地図を用意し、今回マッピングを担当する凜へと渡す。学者達がハシゴを掛けてくれた先。ここからがマッパー凜の本領発揮だ。
凜もお菓子を食べてばかりではない。きっちりとマッピングをしていき、分かれ道では、宣言した通りにお菓子を足元に落とし、目印とする。
その地図作成の手伝いを、奏空と久永が行う。
奏空は超視力で四方を注視し、凜へと通路の情報を伝える。持っているライターを使い、通路の空気の流れを確認し、遺跡の構造把握に努めていた。
「やっぱり、こういう未知なものを探索するって楽しい!」
嬉しそうにはしゃぐ奏空。探索もそうだが、たまきと一緒だということも大きい。
一方のたまきは、覚えているスキルの都合もあって、役に立てるかどうかと心配そうにしていた。
それでも、超視力で仲間と同じく細かな部分で構造的に違うところがないかを確認していたし、土の心によって崩れかけている場所を事前に仲間へと知らせてくれる。たまきなりに仲間の役に立っていたようだ。
久永は赤い翼で飛び立ち、高い場所、あるいは空洞などの探索に当たっていた。
「かめらを持ってこれば良かったのだろうが、余は使い方が分からんでなぁ」
カメラは奏空が持ってはいたが、久永には使いこなすことができず。その代わり、瞬間記憶を使い、できる限り気になることを記憶しておこうと考える。
「ふむ……、これだけ広い遺跡なら、隠し部屋があっても良いと思うのだが」
壁なども気になる久永。叩いているうち、周りと比べて不自然に軽い音を立てる場所があったが……。だからといって、それを起動させる為の手段に乏しい。
とはいえ、思わぬ発見をした彼がそれを仲間に伝達すると、奏空がロープを駆使してその場にやってきて、怪しげな壁をカメラで撮影する。同じく、白い翼で飛んできた遥も他に空洞がないかと確認していたのだが、軽く叩くだけでは何ら変化が見られない。
壁の仕掛けが分からず爆破も考えたが、それによって遺跡が崩れてしまう可能性もある。この場所は専門家に判断を委ねることにし、覚者は元の通路を先へと進んでいく。
ともしびを使い、進んでいた笹雪が、鋭聴力で何かを聞き分ける。そろそろ学者の報告にあった妖の出現区域のはずだ。
「何か聞こえるよ」
徐々に大きくなる音。前方の通路の壁がガラガラと音を立てて崩れ、岩石の塊が人の形を取って通路を塞いでくる。その数5体。そいつらはわらわらと覚者に近づいてきた。
「感情探査してたのに、何も感じなかったんよ」
やや不服そうな顔をしていた凜。クッキーを食べつつ歩いていたこともアリ、目の前の妖がビスケットに見えてしまうが。気を抜くことなく覚醒してその対処には当たり始める。
笹雪はというと、覚醒して目をしっかり見開き、英霊の力を引き出して自身の力を高めている。
ラーラは敵に備え、先んじて自身の攻撃力を高め、集中を行っていた。
「良い子に甘い焼き菓子を、悪い子には石炭を……イオ・ブルチャーレ!」
大きな帽子を被った魔道使いの姿へと変わっていたラーラは、敵の殲滅の為に詠唱を始めるのだった。
●通路を塞ぐ妖の群れ
奥へ行く為には、岩石の妖を倒さねばならぬが、それ以前に、こいつらが考古学者から依頼された討伐対象に違いない。
(土と岩の人型ってことは、『ゴーレム』なんかな?)
敵の姿は、アニメや漫画などに出てくるゴーレムを彷彿とさせる。これは自然発生したものなのか、それとも何者かの傀儡なのか……。
凜がそんなことを考えていると、後方の妖2体が石つぶてを投げつけてくる。
(飛び道具には、気をつけないといけないんよ)
これまでも幾度か油断して飛び道具を食らい、重傷を負った経験のある凜は、それに対して冷静に対処する。
遥もまた、石つぶてに気をつけていた。覚者全体へと飛ばすそれは、決して浅い傷ですむ威力ではない。
石つぶてに耐えた奏空。金髪に桃色の瞳へと変貌していた彼は力を高めた後、高密度の霧を展開し、妖の身体能力を低下させていく。さほど道幅が広くない通路に、敵は並ぶ。さすがに5体が前に出ることはできず、力の弱い妖3体が盾になるようにして前に出ていたようだ。
「アクションシーンは素早く爽快に終わらせちゃおう!」
笹雪は叫びながらも仲間の真ん中まで進み、敵の頭上へと雷雲を発生させ、激しい雷を叩き落とす。それは前に立つ妖3体へと広がり、身体に痺れを走らせていた。
「手始めに、これでも試してみるとしようか」
以前の依頼での傷が完治していない久永。それでも彼は味方の中衛に位置取って術式を操り、敵陣に眠りへと誘う空気を起こす。
いくらか眠ってくれれば御の字と放った術だったが、効果は覿面。後ろ2体は耐えていたが、手前の3体はあっさりと眠ってしまった。
そこを目掛けて、理央は符を1枚取り出し、それを燃え上がらせる。その上で術式を行使し、地面から燃え盛る火の柱を出現させ、敵の体を焼き払う。
「ボク本来の属性からは外れるけど、物理攻撃主体の敵ならこっちの方が痛いよね」
理央の天性の術式は水行。しかしながら、彼女は敢えて攻撃力の高い火行を行使する。その分気力も多く使用するわけだが……。効果が目に見えて分かるかと言われれば、微妙なところである。
ダメージを負った妖はすぐに眠りから覚めていたようだ。敵が動き出す前にと、覚醒したことで、亜麻色の髪を黒く、そして、瞳を赤く染めたたまきもまた、英霊の力によって力を高めていく。
「えっと、前より数が多いんだよね……」
遥は冷静に状況を判断し、前に立つ仲間を水のベールで包み込む。
体勢を整え、拳を繰り出そうとする妖。その姿を見ていた凜は仲間全体を心地のいい空気で包み込み、身体能力を高める。
「妖さん達はやっぱり、遺跡にある何かを守る為にいるんでしょうか……?」
ラーラは目の前の妖が現れた理由を考える。しかしながら、妖は彼女が口にした考えに答えることなく拳を振り上げる。
いずれにせよ、攻撃を仕掛けてくる以上、覚者としては倒すべき敵でしかない。
ラーラは出現させた炎を大きくして放つと、まるで津波のように大きく波打つ炎が敵陣を飲み込む。さらに燃え上がる妖。手前にいた3体の妖は、覚者達の連続攻撃になす術なく崩れ去り、物言わぬ岩石へと戻っていったのだった。
「3体……、あと2体だね」
撃ちもらしがないようにと、遥はその数をしっかりと数えるのである。
残る敵は後ろにいた上位の妖2体。
そいつらは前に進み出て、身体を直接覚者達に叩きつけてきた。たまき、奏空がそれをくらってしまい、メンバー達は陣形を乱されてしまうが、すぐに態勢を整え直す。
その間、笹雪が敵のブロックを行う。それと同時に、彼女は妖目掛けて再度雷を落とす。
「すみません、すぐ戻ります!」
たまきは笹雪へと防御シールドを張り、すぐさま前方へと駆け出す。殴打を受けたたまき、奏空には、凜は神秘の力を含んだ滴を振りまき、遥も癒しの力を持つ液体をぽとりと落として2人の体力を回復させていた。
その後も、覚者達は列攻撃メインで妖へと術式を飛ばす。
久永も雷を叩き落とし、妖の身体になおも痺れを走らせる。自然系の敵ということもあり、やはり術式の効果は覿面だ。
ただ、それでも相手はランク2。一度動けば、強力な一撃を繰り出してきて、覚者を苦しめる。理央も場合によっては潤しの雨を降らして回復へと当たっていた。
なかなか覚者を倒せず、妖も焦れていたのかもしれない。1体が身構え、足をゆっくりと振り上げてくる。踏み潰しのモーションだ。前回、1人がこれによって重傷を負っている。これを食らうと致命的だと覚者は誰もが構える。
しかしながら、たまきがそこで大きな術符を投げつける。通常のものよりも大きいのは、彼女が符の大きさで力を増しているからだ。
符は足を振り上げた妖の足元から巨大な岩槍を呼び起こし、妖の体を貫く。すると、そいつは動きを止めてしまい、ただの瓦礫と成り果ててしまった。
ラーラも一気呵成に妖を攻め立てる。詠唱を行う彼女が術式を発動させると、拳大の大きさの炎の塊を連続で飛ばす。1つは敵の足元に。燃え上がる炎で踏み潰しを牽制しながらも、もう1つは胸部へと飛んでいく。
前衛へと戻った奏空が妖の手前に躍りかかり、逆手に持った双刀・天地の刃を叩き込む。妖の身体に亀裂が走り、周囲に巻き散るように岩石は飛び散った。
「逆境逆転燃え展開はまた次回、お楽しみに!」
妖の完全討伐を確認した笹雪が最後にそう叫び、戦いの幕は下りたのである。
●遺跡の奥の祭壇
妖を倒した覚者達は、妖が邪魔して進めなかった通路の先へと進む。
その先はすぐに部屋があり、行き止まりになっていた。
「遺跡の最奥には光る骸骨があるのだぞ。……ないのか?」
久永が口にした言葉に、数人のメンバーが恐怖で身を震わせる。
そこは、前回と同じように自然の洞窟を流用していた場所で、何かが祀られているのかと思わせる飾りが部屋中に確認できる。やはり、これらは風化の跡が見られた。
それらを目にした奏空は、部屋の様子を残すべく、カメラのシャッターを切っていたが、途切れ途切れの飾りでは、得られる情報は乏しいかもしれない。
「前回の祭壇との違い、あったりするのかな」
「いや、見た目はほとんど違いを感じないな」
笹雪が素朴な疑問を口に出す。すると、理央が周囲の明かりを灯しつつ答えた。一新たな敵の出現がありうるかもと考えて緊張感を持っていたメンバーは、糸が切れたように座り込んでしまう。
それならと正面にある祭壇を、遥が調べ始めた。
「にしても、なんで祭壇を分けたんだろうね。何か理由があるのかな?」
前回の祭壇の部屋とは別の場所だった。そして、場所を地図と照らし合わせると……。遺跡に突入した場所を中央とすれば、今回の場所は南西部に当たる。ちなみに、前回の祭壇の部屋は北西部にあるようだ。
それはそれとして。遥は程無く橙色の勾玉を発見した。駆け寄った凜もそれをまじまじと眺めていた。
たまきはというと、この勾玉を取ることで何かが起きないかと心配しており、超視力を働かせていた。何も起きる様子はなかった為、彼女はほっと胸を撫で下ろしていたようだ。
「そもそも、誰が、なんでこんな場所に、勾玉を置いたんだろう」
地滑りで遺跡が見つかるにしても、タイミングが良すぎるのではと、遥は丁寧に勾玉を包み、なくさないようにとバッグに仕舞いつつ考える。
「あたしも不思議に思うんだよ」
笹雪は別の疑問を持ち出す。この勾玉は、パワースポットに長く納められていたから力を持ってしまったのか、あるいは、元々不思議な力を持っていたのか……。
「それに、昔の人はどうやってパワースポットの存在を知ったのかな」
実は昔から覚者は存在していたのか。あるいは、古妖がこの場所の存在を教えてくれたのか。……分からないことは実に多い。
「大昔から存在していたと思われる特異点は、卑弥呼などのシャーマン的存在がもう知ってたのかもしれないね」
奏空も推論を口にする。普通の人間が手に負えないような力を、迂闊に触れられぬように封印したのではないかと。
「その神秘の力は突如、全国に出現した妖や俺達覚者と何等かの繋がりがあるのかもね」
特異点に触れることによって力を得られたり、無害であったものが妖として生成されたり……。もしそうなら、隔者組織に知られたら厄介なことになるかもしれない。
久永も懸念を口にする。
「この遺跡は封印されていたそうだが、勾玉はその一部を担っていたりせぬだろうな?」
祭壇に安置されていた以上、古人が大切なものだと理解していたのではと彼は推論を語る。勾玉は持ち出してもよかったのだろうか。
「まぁ……今更な気もするがな」
この勾玉は2つ目。また、『F.i.V.E.』にとっては有益であることを考えれば、この処置はしかるべきと言ってよいだろう。
「また何か、新しく分かるといいね」
笹雪は不安を払拭するように、仲間へと語りかける。どのみち、現状は推論を並べているに過ぎない。
ともあれ、目的は達成した。帰って考古学者に報告しようと誰からともなく声が上がる。
「帰りも安全に気をつけませんとね」
たまきはそう仲間へと呼びかける。遺跡を出るまでが遺跡探索。覚者達は気をつけながらも元来た道を戻っていくのだった。

■あとがき■
リプレイ、公開です。
偶然が重なっている部分もありますが、
MVPはさらなる通路らしきものの発見を行ったあなたへ。
戦闘でも多数の敵を眠らせるなど、
活躍していただきました。
妖の討伐はもちろんですが、
勾玉の入手、そして、新たな通路、
遺跡について様々な可能性を討論できました。
考古学者達もこれを聞き、
色々な方向性からさらなる調査を進めることでしょう。
ともあれ、今回はお疲れ様でした。
ゆっくりとお休みくださいませ。
勾玉ゲット!
勾玉名:会心の勾玉
偶然が重なっている部分もありますが、
MVPはさらなる通路らしきものの発見を行ったあなたへ。
戦闘でも多数の敵を眠らせるなど、
活躍していただきました。
妖の討伐はもちろんですが、
勾玉の入手、そして、新たな通路、
遺跡について様々な可能性を討論できました。
考古学者達もこれを聞き、
色々な方向性からさらなる調査を進めることでしょう。
ともあれ、今回はお疲れ様でした。
ゆっくりとお休みくださいませ。
勾玉ゲット!
勾玉名:会心の勾玉
