封印の解けた遺跡
●遺跡に眠る物は……
『F.i.V.E.』の覚者達は、奈良県のとある山へとやってきていた。
そこには、『頑張り屋の和風少女』河澄・静音(nCL2000059)の姿もある。
「ここですわね。では、改めて状況の確認を致しますわ」
静音は報告書を手にし、覚者へと説明を行う。
きっかけは、先日各地に降ったという大雪。これにより、この山で小規模な地滑りが起きたのだ。
幸いにも、人的被害はなかったものの。この影響で、横に3メートル、幅1メートルほどの裂け目が山に発見された。その中には空洞が確認されており、足場が舗装されていたり、壁に照明を付けた跡があったことから、なんらかの遺跡ではないかと推察されている。
「すぐにでも、考古学者のチームが調査を行う予定でしたが、昨今は妖出現の可能性が否定できない状況です。危険性を考慮した考古学者の調査チームから、『F.i.V.E.』へと妖の討伐依頼がありましたわ」
どれくらい前の遺跡かは分からないが、閉鎖された空間にあった遺跡。妖が住み着いていても不思議ではない。危険と隣り合わせで働く考古学者の勘はおそらく正しいのだろう。
さて、遺跡の内部だが、洞窟のようになっている。元々あった自然の洞窟を流用しつつ、掘り進めたものではないかというのが、現状の見解だ。
所々に落盤が起こっており、捜索範囲には限りがあるようだが、それでも、何者の手が入っていることは間違いなく、ここに何かがあるのは間違いないと考古学者も語っている。
「分からないことも多い遺跡ですわ。何が起こっても対処できるよう、万全の状態で探索に臨みたいのですが……。皆様、準備はよろしいですか?」
静音が改めて覚者に問うと、覚者達はこれは大丈夫かと、持ちこむ物の確認を行う。
「問題ございませんでしたら、まいりましょう。探索の基本方針は皆様にお任せいたします。どうぞ、よろしくお願いしますわ」
静音はそう告げ、頭を下げる。準備のできた覚者一行は、山の斜面に口を開いた遺跡を目指すのだった。
『F.i.V.E.』の覚者達は、奈良県のとある山へとやってきていた。
そこには、『頑張り屋の和風少女』河澄・静音(nCL2000059)の姿もある。
「ここですわね。では、改めて状況の確認を致しますわ」
静音は報告書を手にし、覚者へと説明を行う。
きっかけは、先日各地に降ったという大雪。これにより、この山で小規模な地滑りが起きたのだ。
幸いにも、人的被害はなかったものの。この影響で、横に3メートル、幅1メートルほどの裂け目が山に発見された。その中には空洞が確認されており、足場が舗装されていたり、壁に照明を付けた跡があったことから、なんらかの遺跡ではないかと推察されている。
「すぐにでも、考古学者のチームが調査を行う予定でしたが、昨今は妖出現の可能性が否定できない状況です。危険性を考慮した考古学者の調査チームから、『F.i.V.E.』へと妖の討伐依頼がありましたわ」
どれくらい前の遺跡かは分からないが、閉鎖された空間にあった遺跡。妖が住み着いていても不思議ではない。危険と隣り合わせで働く考古学者の勘はおそらく正しいのだろう。
さて、遺跡の内部だが、洞窟のようになっている。元々あった自然の洞窟を流用しつつ、掘り進めたものではないかというのが、現状の見解だ。
所々に落盤が起こっており、捜索範囲には限りがあるようだが、それでも、何者の手が入っていることは間違いなく、ここに何かがあるのは間違いないと考古学者も語っている。
「分からないことも多い遺跡ですわ。何が起こっても対処できるよう、万全の状態で探索に臨みたいのですが……。皆様、準備はよろしいですか?」
静音が改めて覚者に問うと、覚者達はこれは大丈夫かと、持ちこむ物の確認を行う。
「問題ございませんでしたら、まいりましょう。探索の基本方針は皆様にお任せいたします。どうぞ、よろしくお願いしますわ」
静音はそう告げ、頭を下げる。準備のできた覚者一行は、山の斜面に口を開いた遺跡を目指すのだった。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.遺跡を十分に探索し、何らかの成果を得ること。
2.妖の討伐。
3.なし
2.妖の討伐。
3.なし
奈良県の山中に、何かの遺跡が発見されました。
覚者の皆様に、こちらの遺跡の探索を願います。
●遺跡
山中にばっくりと口を空けた裂け目から、遺跡の通路に入ることができますが、
そこは正規の入口ではないようです。
遺跡内は、枝分かれしている道が続いています。
所々、土に埋もれていますが、ある程度の探索が可能です。
OPでは未公開情報として、可動範囲の最奥に小さな祭壇があります。
どうやら、何かが祭られているようですが……。
準備に当たっては、スキル活性、装飾品などの確認を願います。
基本的には、それ以外は採用できませんが、
これは有用と判断したもののみ、採用する場合があります。
●敵
○妖……ランク2×3体。
周囲の土と岩が3メートルほどの人型に固まり、動き出したものです。
パンチ(物近単・弱体)、踏み潰し(物近単・溜め2)、
タックル(物近単・ノックB)、石つぶて(特全・出血)を行使して来ます。
遺跡のどこに潜んでいるかは不明です。
●NPC
河澄・静音がお邪魔します。
邪魔にならないよう動きますが、
作戦方針に沿って効率的に動かしたいという要望がありましたら、
プレイングで指示を願います。
それでは、今回も楽しんでいただければ幸いです。よろしくお願いいたします!
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
6日
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2016年02月09日
2016年02月09日
■メイン参加者 8人■

●遺跡探索に臨んで
覚者達の姿は奈良県某所にあった。
とある山で起こった地滑りによって現れたという遺跡。9人の覚者がそこを囲んでいる。
「山の中の遺跡、ですか。このような場所にも、人の手が入って、いるのですね」
「うわぁ~、こんな舗装もされてるような遺跡が隠されてるなんて、すっごく不思議ですねぇ」
そこを見下ろす『突撃巫女』神室・祇澄(CL2000017)、菊坂 結鹿(CL2000432)。裂け目の中は薄暗いが、確かに通路らしきものが広がっているのが分かる。
「ふぅん……。地下遺跡なんてワクワクするわね」
「遺跡の探索か。いつぞやも遺跡探索があったが、今回は何が見つかるのか」
自身も研究者のはしくれだから、興味があると主張する『女帝』エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496)。情報屋の『鴟梟』谷崎・結唯(CL2000305)も妖の可能性が示唆されていてもなお、楽しみだと考えている。
「何を意図した遺跡なのでしょう? 興味は尽きませんね」
「未調査の遺跡の調査。妖退治のついでな感があるけど、こういうのは心躍るよ」
巫女であり、大学生でもある祇澄は、目を隠すほどに伸びた前髪の下から、遺跡を覗き見る。同じく大学生の『五行の橋渡し』四条・理央(CL2000070)は良い発見がありますようにと、少しだけ表情を緩ませて願っていたようだ。
「戦闘集団という意識しかなかったが、こういう活動もするんだな」
雪が降った後だということで、葦原 赤貴(CL2001019)は防寒具を着こんでいた。そして、彼は仲間達の為にと使い捨てカイロを渡す。幾分か、冷えた覚者達の体を温めてくれていたようだ。
赤貴は使役に懐中電灯を持たせようと考える。うまくいくなら、戦闘時に持たせてみたいと考えたのだ。しかし、いくら体を変形させても物を持つことは難しい。乗せてもいまいち照明としては安定しない。仕方なく、赤貴は戦闘時に関しては、仲間の照明を頼りにすることに決めた。
さて、『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)は裂け目の中に向け、ロープを垂れ下げる。
「もし、高低差のある場所があったら、頼るかもしれん」
「分かりましたわ。お任せくださいませ」
場合によるが、あまりに高い場所、または床が大きく裂けた場所があるなら、その確認を頼みたいというゲイルに、静音は快く引き受けてくれるそうだ。
ロープや蜘蛛糸を使い、遺跡の中へと入っていったメンバー達。
「分からない事だらけだ。足場が舗装されてるのは、有り難いけどね」
遺跡の内部を見回し、『笑顔の約束』六道 瑠璃(CL2000092)は呟く。この場は舗装され、雪が積もった山中よりは比較的歩きやすい。
「ここに眠るのは、邪か蛇か……。それとも、私達の味方でしょうか?」
「妖関係か、能力者関係か、全く関係がないのか……。早く奥まで行きたいわね」
「なんでもいいから、見つかるといいなぁ♪」
エメレンツィアと祇澄、それに結鹿は、この中に眠る何かに期待を膨らませる。
「さて、この遺跡に何があるか見せてもらうぞ」
結唯もまた、サングラスの下から遺跡内部を見回す。
メンバー達は懐中電灯を灯し、遺跡の探索を始めるのだった。
●遺跡に眠るものとは
日が届かぬ遺跡内。壁には明かりが備え付けられてはいたものの、その全てが機能していない。油などの準備を行えば、次に来る機会があれば、用意してもいいかもしれない。
「現れるかもしれない妖って、ガーディアンとかゲームで出てくるゴーレムみたいな感じなのかなぁ?」
結鹿は現状、いるかも分からぬ妖を警戒する。超視力を活性化させてはいたものの、道中は薄暗く、視界はよくない。果たしてどこまで役に立つか……。
さて、メンバーは大まかではあるが、前、中、後衛と分かれ、探索を行う。
入口から見て奥側は、瑠璃、赤貴、ゲイルが歩く。
舗装されている箇所はあるものの、元は自然の洞窟。その為、赤貴はハイバランサーを使って足場に警戒している。現状は問題なさそうだが、何かあった時……例えば、上下移動が必要な場合。最悪、仲間の滑落に備え、蜘蛛糸をいつでも取り出せるようにと考えている。
(天井や壁なら、ぱっと見じゃ見分けがつかない可能性もあるから、集中力を切らさないようにしないと)
瑠璃は暗視と、守護使役の『かぎわける』を併用し、前方の警戒に注力している。
ゲイルも懐中電灯を使って周囲をしっかりと照らし、足を取られぬように、また、何か見落としがないようにと気を付ける。見落としがあった場所に妖が潜んでいたなら、目も当てられない事態になりえるからだ。それに関しては、鋭聴力も合わせ、敵の襲撃を察知できるようにと努める。
(マッピングはやってくれるらしいから、安心だな)
ゲイルがちらりと後ろに視線を受けると、中央に位置取る理央がマッピングをしてくれていた。
中央には、その理央とエメレンツィア、静音の姿がある。
エメレンツィアは仲間の好意も手伝って中央に布陣させてもらい、超視力で先を見渡しながら進む。静音もメンバーの力になるべく、できる範囲で周囲の探索を行う。
理央は先述の通り、マッピングを行っていた。方眼用紙複数枚と筆記用具を所持し、白チョークと方位磁石も用意している。
仲間の懐中電灯の光を頼りに、理央は方向を確認しつつ方眼用紙へとマッピングを行う。分岐点に来たら、進行方向の目立たぬ場所に白チョークで印をつけ、迷わないようにする対策も忘れない。
「この先、分かれ道、ですね。こちらは行き止まり、こちらは……先があります」
それをサポートするのは、後方にいる祇澄だ。土の心で地形を読み取り、それを理央に伝えていたのだ。100メートルという制限もあり、彼女は分岐点では左に進もうと提案していた。進行方向を共有すべく、ゲイルが仲間全員にそれを伝える。
(ふふ……、それにしても、こういう時ススムは本当に頼りになるわ)
エメレンツィアは足元に気を付けながら、後ろの祇澄を気がけていた。
(普段はおっちょこちょいなのに、ねぇ?)
くすりと笑うエメレンツィア。さすがに本人に告げることは止めたようだが。
その祇澄を含め、後方には結唯と結鹿がいる。
懐中電灯を持つ祇澄は周囲の地形を把握しつつ、第六感を働かせて妖の奇襲を警戒する。
「道が枝分かれしてて、でっかい不思議だね」
あちらこちらを警戒しつつ、結鹿は落盤によって塞がれた右手側の通路を目にした。
「細かい探索は足場を組むなりしてやらないと、行けなそうかなぁ……」
その先に興味はあるが、この場は仲間からはぐれぬようについていく。
(どういう遺跡かは不明だが、祭壇なんぞあれば、交霊術が使える)
他の仲間と同様、足元に気を払う結唯はハイバランサーを使って歩く。別の場所でも、交霊術はうまく使うことができるだろうか。
また、遺跡であるなら、生活の痕跡があるのではと彼女は考える。
(なんらかの文章が書いてある代物とか、住居なんかもあるだろう)
折角だからと、彼女はその辺りにも力を入れて探索を行う。
さて、前列メンバーに改めて視点を移せば、赤貴が時折、カメラのシャッターを押す。これは、後ほど考古学者に見せることで何かが分かるかもしれないと考えてのことだ。
瑠璃は、この遺跡に足を踏み入れた人間がいた可能性を考える。仮にあれば、妖に襲われ、遺体となっているのではないか。
だが、それを確認することはできない。それがあったなら、妖の出現するポイントとなるのではと思ったのだが……。
(あまり足下から出てくるってのは、考えづらいかな?)
瑠璃も考えごとを行う。道幅は3人歩けば、余裕がほとんどなくなるほどの幅。足場は所々崩れはしているが、それでも、彼はその可能性は低いと踏む。
メンバーが歩いていると、前方の両壁が崩れるのを目の当たりにする。……いや、それは壁に潜んでいた妖……岩石が石を持ち、巨大な人の姿を取ったものだ。
結鹿はやっぱりと思いつつ、表情を引き締めて妖と対する。ゲイルも着流しを肩肌脱ぎにし、現れた妖に立ち向かう。
「さあ、女帝の前に跪きなさい。邪魔する者は許さないわよ?」
エメレンツィアが声高らかに、妖へと告げる。
他のメンバー達も、警戒を強めていた為か、すぐさま現れた敵に向かって構えを取り、戦闘態勢に入るのだった。
●意識を持った岩石の妖
現れた2体の妖。土や岩石が意志を持って動いているところを見ると、自然系の類だろうか。
妖へと真っ先に仕掛けたのは瑠璃だ。彼は正しく構えを取り、大鎌『クレセントフェイト』を振るう。岩石で構成された敵の身体に斬撃痕を残す。返す刃でその痕を一層深くしていたようだ。
その上で、敵2体の周囲に深い霧を発生させていたのは、結鹿だ。
「ただの子供と甘く見ないで下さいね」
彼女は土の力を得て自らの強化も行い、敵へと挑む。
妖は2体ともに前衛として立つようだ。ならばと、結唯は敵の足元から巨大な岩槍を突き出す。岩石に岩を突き立てる形だが、確かに妖にはダメージが入っているようだ。
仲間が敵に接近して攻撃する者が多いと判断したゲイルは一歩下がり、後方から襲撃がないかと警戒しつつ、水礫を放つ。
理央も術式戦を想定して戦いを繰り広げる。
(不本意ながら、こういった術式戦の腕はそれなりにあるんだよね)
彼女は敵陣に火柱を立ち上らせて、焼き尽くそうとする。
やや遅れて妖も動き、1体がパンチを、1体がタックルを繰り出してくる。赤貴はそれによって突き飛ばされながらも、前に出つつ敵へと斬りかかっていく。
妖の力任せの攻撃で傷つく赤貴に対しては、静音が神秘の力を含む雫を落とし、傷を癒していたようだ。
エメレンツィアは気力の心配を減らそうと、自ら海のベールを纏う。さらに、理央にもベールをと考えていたようだ。
そのエメレンツィア達の背後に突如としてもう1体、同じ妖が姿を現す。
(やはり……な)
瑠璃は後方に視線を向ける。どうやら、分岐の別方向に潜んでいた物が戦闘の合間に近づいてきたらしい。
「っ、そっち!」
しかし、メンバー達はそれに気づき、即座に対応する。祇澄は後方に控え、術符を飛ばしていった。
前方に2体と後方に1体。敵の姿はゲームに出てくるゴーレムを彷彿とさせる。遺跡にいるそいつらは番人のようにも思えるが、和風の洞窟には酷く不釣り合いだ。
「わたしだって、負けられません」
後方から出てきた敵は気になるものの。貫通力のある氷を飛ばす。
その氷は岩や土でできた体を貫いて。妖の目から光が消え、その場に崩れ落ちる。
だが、新手の1体は後衛メンバーへと迫り、力を溜めていた。
ガイルもそのまま新手の相手を行う。強力な一撃を行うのは間違いない。その前に撃破できるようにと、水の礫を飛ばす。
「ここは通しません!」
祇澄も新手の対応を続け、近場のそいつ目がけて鋼鉄と化した拳を叩きつける。
だが、撃破するには手数が足りず。他のメンバーも最初現れた妖の対処に気を取られており、対処が少し遅れてしまう。
妖は高く足を上げ、力の限り踏み潰す。その真下には、結唯がいた。対処することができなかった彼女は、一度は潰えかけてしまうが、命の力に頼って起き上がる。そして、腕を鋼鉄化し、妖の体に拳を叩き付けた。
さて、前方の妖に対して攻撃を続けるメンバー。妖は石の礫やタックルを駆使し、覚者達の体力を大きく削る。
そこで、回復重視で動く静音が癒しの霧を展開し、仲間の体を癒す。自身の体力にも時に気を掛ける。できる限り仲間の力になれるようにと動いていたようだ。
「回復の追加、いくよ」
理央も敵のパンチを浴びて体を弱らせた仲間を、神秘の力を宿した深層水で回復する。
(この術式、遠くまで届くと便利なんだけど)
近場にしか届かないのが深層水のスキル。今回は中央に位置取らせてもらっていることもあり、状況に対応して全員に使うことができるが……。
それはそれとして。理央はそれだけではなく、隙あらば、水の礫を飛ばし、妖へと浴びせかける。
幾度目かに放たれた理央の水礫が妖の中心部を貫くと、両目から光を失い、物言わぬ土と岩に戻っていった。
これで残るは、後ろから現れた1体のみ。覚者達は陣形を乱された形になっていた為、メンバーによってはポジションを変更しつつ、妖の対処を続ける。
赤貴は力を強めた後で気の弾丸を飛ばして応戦する。だが、敵もまた、石の礫をバラ撒いてきた。それは赤貴にも命中し、傷口から血を流してしまう。
(セキもいつも頑張ってるわよね。頑張っている子を見ると何か嬉しくなるわね)
回復しようとする仲間を制し、エメレンツィアが癒しの滴を彼へと落とす。仲間に声をかけたのはスキルの無駄打ちを防ぐ為だ。
「あら、大丈夫? ふふ、まだ戦えるわよね」
まだ戦える。赤貴は力をもらい、更なる攻撃を繰り出していく。
対する敵はまたも力を溜める。またも踏み潰しを行うつもりだ。
こちらもまた、ゲイルが即座に対応する。次は先んじて潰さねば。気力は理央が回復してくれる。彼はただ、水の礫を飛ばし、比較的柔らかい土の部分に風穴を開く。
ただ、妖が活動を止めたわけではない。瑠璃はそれを察し、遺跡内に小さな雷雲を呼び寄せる。そして、妖の巨体に雷を落とす。
「……終わりだ」
その一撃で体を維持できなくなった妖は、その場に崩れ落ちていった。
妖がいなくなった跡には、瓦礫が残る。それを見つつ、理央が念の為にと癒しの霧を使い、体力の回復を行う。
「しっかり体勢を立て直さないとね」
彼女は自らの精神力を転化し、仲間の気力回復にも当たっていた。
「そうだ、みんなの為に腕によりをかけて、お弁当つくってきたんです」
結鹿は探索に備え、弁当を用意してきていたのだ。寒い遺跡内で冷えた体を気遣い、温かいお茶もある。
メンバーはやや狭いこの場所ではなく、少しだけ移動し、見通しのいい場所まで来たところで、結鹿は弁当を広げた。
「お腹すくと集中力も欠けますからね、皆さんどうぞ♪」
どこまで続くか分からぬ探索において、これには仲間達も喜ぶ。しっかりと英気を養った覚者達は、改めて探索を再開した。
●祭壇に納められし物
ゴーレムを倒したメンバーは、その後、行ける範囲内で探索を続ける。人の手が入った遺跡ではあったが、人が住んでいた形跡はなかなかに確認できず、単なる通路として続く道を進む。
祇澄によれば、場所によっては床下に空洞がある場所も確認できていたので、その箇所は避けて歩く。
また、ゲイルが考えたように、おそらく過去の地滑りや断層によって、高い場所に行ってしまった通路や、遺跡内部にある裂け目が発見された。
蜘蛛糸では移動が難しい場所もあり、空を飛べる静音に調べてもらう。その際、ゲイルが送受信・改を使い、連絡を取り合う。
どうやらかなり先まで伸びている通路もあるようだ。新たな妖の危険があり、傷つくメンバーもいたことから、その探索は断念することにした。
やがて、覚者達はとある小部屋までたどり着く。そこも自然の洞窟を流用してはいたが、何かが祀られているのかと思わせる飾りが部屋中に確認できる。年代が経っているのか、所々に風化の跡が見られたが……。
「何かありそうな感じだけど……」
通路とは違う装飾が目につくこの場所には、素人目に見ても何かあると瑠璃は考える。
もしかしたら、妖的な力がないかとエメレンツィアは確認できる範囲で調べる。自身の持つ神道や伝承などの知識に基づき、祇澄も見分を行う。すると……。
「これは……」
彼女は祭壇の奥に、祭られているそれを発見し、取り出す。それは黄色の勾玉だった。なんとなくだが、それを持つことで気分的に楽になったような気がした。
「念の為、お預かりさせていただきましょうか」
祇澄は丁寧にその勾玉を布に包み、大切に懐へとしまう。
メンバー達はその後、しばらくその祭壇のある部屋を調べたが、とりわけ、危険なものは確認できなかった。
理央、エメレンツィアは祭壇を写真で撮り、依頼者、考古学者達に報告をと考える。後は彼らの仕事だ。
パーティーの消耗具合も考え、今回は探索をここで打ち切ることにする。覚者達は元来た道をたどり、この遺跡を後にしたのだった。
覚者達の姿は奈良県某所にあった。
とある山で起こった地滑りによって現れたという遺跡。9人の覚者がそこを囲んでいる。
「山の中の遺跡、ですか。このような場所にも、人の手が入って、いるのですね」
「うわぁ~、こんな舗装もされてるような遺跡が隠されてるなんて、すっごく不思議ですねぇ」
そこを見下ろす『突撃巫女』神室・祇澄(CL2000017)、菊坂 結鹿(CL2000432)。裂け目の中は薄暗いが、確かに通路らしきものが広がっているのが分かる。
「ふぅん……。地下遺跡なんてワクワクするわね」
「遺跡の探索か。いつぞやも遺跡探索があったが、今回は何が見つかるのか」
自身も研究者のはしくれだから、興味があると主張する『女帝』エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496)。情報屋の『鴟梟』谷崎・結唯(CL2000305)も妖の可能性が示唆されていてもなお、楽しみだと考えている。
「何を意図した遺跡なのでしょう? 興味は尽きませんね」
「未調査の遺跡の調査。妖退治のついでな感があるけど、こういうのは心躍るよ」
巫女であり、大学生でもある祇澄は、目を隠すほどに伸びた前髪の下から、遺跡を覗き見る。同じく大学生の『五行の橋渡し』四条・理央(CL2000070)は良い発見がありますようにと、少しだけ表情を緩ませて願っていたようだ。
「戦闘集団という意識しかなかったが、こういう活動もするんだな」
雪が降った後だということで、葦原 赤貴(CL2001019)は防寒具を着こんでいた。そして、彼は仲間達の為にと使い捨てカイロを渡す。幾分か、冷えた覚者達の体を温めてくれていたようだ。
赤貴は使役に懐中電灯を持たせようと考える。うまくいくなら、戦闘時に持たせてみたいと考えたのだ。しかし、いくら体を変形させても物を持つことは難しい。乗せてもいまいち照明としては安定しない。仕方なく、赤貴は戦闘時に関しては、仲間の照明を頼りにすることに決めた。
さて、『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)は裂け目の中に向け、ロープを垂れ下げる。
「もし、高低差のある場所があったら、頼るかもしれん」
「分かりましたわ。お任せくださいませ」
場合によるが、あまりに高い場所、または床が大きく裂けた場所があるなら、その確認を頼みたいというゲイルに、静音は快く引き受けてくれるそうだ。
ロープや蜘蛛糸を使い、遺跡の中へと入っていったメンバー達。
「分からない事だらけだ。足場が舗装されてるのは、有り難いけどね」
遺跡の内部を見回し、『笑顔の約束』六道 瑠璃(CL2000092)は呟く。この場は舗装され、雪が積もった山中よりは比較的歩きやすい。
「ここに眠るのは、邪か蛇か……。それとも、私達の味方でしょうか?」
「妖関係か、能力者関係か、全く関係がないのか……。早く奥まで行きたいわね」
「なんでもいいから、見つかるといいなぁ♪」
エメレンツィアと祇澄、それに結鹿は、この中に眠る何かに期待を膨らませる。
「さて、この遺跡に何があるか見せてもらうぞ」
結唯もまた、サングラスの下から遺跡内部を見回す。
メンバー達は懐中電灯を灯し、遺跡の探索を始めるのだった。
●遺跡に眠るものとは
日が届かぬ遺跡内。壁には明かりが備え付けられてはいたものの、その全てが機能していない。油などの準備を行えば、次に来る機会があれば、用意してもいいかもしれない。
「現れるかもしれない妖って、ガーディアンとかゲームで出てくるゴーレムみたいな感じなのかなぁ?」
結鹿は現状、いるかも分からぬ妖を警戒する。超視力を活性化させてはいたものの、道中は薄暗く、視界はよくない。果たしてどこまで役に立つか……。
さて、メンバーは大まかではあるが、前、中、後衛と分かれ、探索を行う。
入口から見て奥側は、瑠璃、赤貴、ゲイルが歩く。
舗装されている箇所はあるものの、元は自然の洞窟。その為、赤貴はハイバランサーを使って足場に警戒している。現状は問題なさそうだが、何かあった時……例えば、上下移動が必要な場合。最悪、仲間の滑落に備え、蜘蛛糸をいつでも取り出せるようにと考えている。
(天井や壁なら、ぱっと見じゃ見分けがつかない可能性もあるから、集中力を切らさないようにしないと)
瑠璃は暗視と、守護使役の『かぎわける』を併用し、前方の警戒に注力している。
ゲイルも懐中電灯を使って周囲をしっかりと照らし、足を取られぬように、また、何か見落としがないようにと気を付ける。見落としがあった場所に妖が潜んでいたなら、目も当てられない事態になりえるからだ。それに関しては、鋭聴力も合わせ、敵の襲撃を察知できるようにと努める。
(マッピングはやってくれるらしいから、安心だな)
ゲイルがちらりと後ろに視線を受けると、中央に位置取る理央がマッピングをしてくれていた。
中央には、その理央とエメレンツィア、静音の姿がある。
エメレンツィアは仲間の好意も手伝って中央に布陣させてもらい、超視力で先を見渡しながら進む。静音もメンバーの力になるべく、できる範囲で周囲の探索を行う。
理央は先述の通り、マッピングを行っていた。方眼用紙複数枚と筆記用具を所持し、白チョークと方位磁石も用意している。
仲間の懐中電灯の光を頼りに、理央は方向を確認しつつ方眼用紙へとマッピングを行う。分岐点に来たら、進行方向の目立たぬ場所に白チョークで印をつけ、迷わないようにする対策も忘れない。
「この先、分かれ道、ですね。こちらは行き止まり、こちらは……先があります」
それをサポートするのは、後方にいる祇澄だ。土の心で地形を読み取り、それを理央に伝えていたのだ。100メートルという制限もあり、彼女は分岐点では左に進もうと提案していた。進行方向を共有すべく、ゲイルが仲間全員にそれを伝える。
(ふふ……、それにしても、こういう時ススムは本当に頼りになるわ)
エメレンツィアは足元に気を付けながら、後ろの祇澄を気がけていた。
(普段はおっちょこちょいなのに、ねぇ?)
くすりと笑うエメレンツィア。さすがに本人に告げることは止めたようだが。
その祇澄を含め、後方には結唯と結鹿がいる。
懐中電灯を持つ祇澄は周囲の地形を把握しつつ、第六感を働かせて妖の奇襲を警戒する。
「道が枝分かれしてて、でっかい不思議だね」
あちらこちらを警戒しつつ、結鹿は落盤によって塞がれた右手側の通路を目にした。
「細かい探索は足場を組むなりしてやらないと、行けなそうかなぁ……」
その先に興味はあるが、この場は仲間からはぐれぬようについていく。
(どういう遺跡かは不明だが、祭壇なんぞあれば、交霊術が使える)
他の仲間と同様、足元に気を払う結唯はハイバランサーを使って歩く。別の場所でも、交霊術はうまく使うことができるだろうか。
また、遺跡であるなら、生活の痕跡があるのではと彼女は考える。
(なんらかの文章が書いてある代物とか、住居なんかもあるだろう)
折角だからと、彼女はその辺りにも力を入れて探索を行う。
さて、前列メンバーに改めて視点を移せば、赤貴が時折、カメラのシャッターを押す。これは、後ほど考古学者に見せることで何かが分かるかもしれないと考えてのことだ。
瑠璃は、この遺跡に足を踏み入れた人間がいた可能性を考える。仮にあれば、妖に襲われ、遺体となっているのではないか。
だが、それを確認することはできない。それがあったなら、妖の出現するポイントとなるのではと思ったのだが……。
(あまり足下から出てくるってのは、考えづらいかな?)
瑠璃も考えごとを行う。道幅は3人歩けば、余裕がほとんどなくなるほどの幅。足場は所々崩れはしているが、それでも、彼はその可能性は低いと踏む。
メンバーが歩いていると、前方の両壁が崩れるのを目の当たりにする。……いや、それは壁に潜んでいた妖……岩石が石を持ち、巨大な人の姿を取ったものだ。
結鹿はやっぱりと思いつつ、表情を引き締めて妖と対する。ゲイルも着流しを肩肌脱ぎにし、現れた妖に立ち向かう。
「さあ、女帝の前に跪きなさい。邪魔する者は許さないわよ?」
エメレンツィアが声高らかに、妖へと告げる。
他のメンバー達も、警戒を強めていた為か、すぐさま現れた敵に向かって構えを取り、戦闘態勢に入るのだった。
●意識を持った岩石の妖
現れた2体の妖。土や岩石が意志を持って動いているところを見ると、自然系の類だろうか。
妖へと真っ先に仕掛けたのは瑠璃だ。彼は正しく構えを取り、大鎌『クレセントフェイト』を振るう。岩石で構成された敵の身体に斬撃痕を残す。返す刃でその痕を一層深くしていたようだ。
その上で、敵2体の周囲に深い霧を発生させていたのは、結鹿だ。
「ただの子供と甘く見ないで下さいね」
彼女は土の力を得て自らの強化も行い、敵へと挑む。
妖は2体ともに前衛として立つようだ。ならばと、結唯は敵の足元から巨大な岩槍を突き出す。岩石に岩を突き立てる形だが、確かに妖にはダメージが入っているようだ。
仲間が敵に接近して攻撃する者が多いと判断したゲイルは一歩下がり、後方から襲撃がないかと警戒しつつ、水礫を放つ。
理央も術式戦を想定して戦いを繰り広げる。
(不本意ながら、こういった術式戦の腕はそれなりにあるんだよね)
彼女は敵陣に火柱を立ち上らせて、焼き尽くそうとする。
やや遅れて妖も動き、1体がパンチを、1体がタックルを繰り出してくる。赤貴はそれによって突き飛ばされながらも、前に出つつ敵へと斬りかかっていく。
妖の力任せの攻撃で傷つく赤貴に対しては、静音が神秘の力を含む雫を落とし、傷を癒していたようだ。
エメレンツィアは気力の心配を減らそうと、自ら海のベールを纏う。さらに、理央にもベールをと考えていたようだ。
そのエメレンツィア達の背後に突如としてもう1体、同じ妖が姿を現す。
(やはり……な)
瑠璃は後方に視線を向ける。どうやら、分岐の別方向に潜んでいた物が戦闘の合間に近づいてきたらしい。
「っ、そっち!」
しかし、メンバー達はそれに気づき、即座に対応する。祇澄は後方に控え、術符を飛ばしていった。
前方に2体と後方に1体。敵の姿はゲームに出てくるゴーレムを彷彿とさせる。遺跡にいるそいつらは番人のようにも思えるが、和風の洞窟には酷く不釣り合いだ。
「わたしだって、負けられません」
後方から出てきた敵は気になるものの。貫通力のある氷を飛ばす。
その氷は岩や土でできた体を貫いて。妖の目から光が消え、その場に崩れ落ちる。
だが、新手の1体は後衛メンバーへと迫り、力を溜めていた。
ガイルもそのまま新手の相手を行う。強力な一撃を行うのは間違いない。その前に撃破できるようにと、水の礫を飛ばす。
「ここは通しません!」
祇澄も新手の対応を続け、近場のそいつ目がけて鋼鉄と化した拳を叩きつける。
だが、撃破するには手数が足りず。他のメンバーも最初現れた妖の対処に気を取られており、対処が少し遅れてしまう。
妖は高く足を上げ、力の限り踏み潰す。その真下には、結唯がいた。対処することができなかった彼女は、一度は潰えかけてしまうが、命の力に頼って起き上がる。そして、腕を鋼鉄化し、妖の体に拳を叩き付けた。
さて、前方の妖に対して攻撃を続けるメンバー。妖は石の礫やタックルを駆使し、覚者達の体力を大きく削る。
そこで、回復重視で動く静音が癒しの霧を展開し、仲間の体を癒す。自身の体力にも時に気を掛ける。できる限り仲間の力になれるようにと動いていたようだ。
「回復の追加、いくよ」
理央も敵のパンチを浴びて体を弱らせた仲間を、神秘の力を宿した深層水で回復する。
(この術式、遠くまで届くと便利なんだけど)
近場にしか届かないのが深層水のスキル。今回は中央に位置取らせてもらっていることもあり、状況に対応して全員に使うことができるが……。
それはそれとして。理央はそれだけではなく、隙あらば、水の礫を飛ばし、妖へと浴びせかける。
幾度目かに放たれた理央の水礫が妖の中心部を貫くと、両目から光を失い、物言わぬ土と岩に戻っていった。
これで残るは、後ろから現れた1体のみ。覚者達は陣形を乱された形になっていた為、メンバーによってはポジションを変更しつつ、妖の対処を続ける。
赤貴は力を強めた後で気の弾丸を飛ばして応戦する。だが、敵もまた、石の礫をバラ撒いてきた。それは赤貴にも命中し、傷口から血を流してしまう。
(セキもいつも頑張ってるわよね。頑張っている子を見ると何か嬉しくなるわね)
回復しようとする仲間を制し、エメレンツィアが癒しの滴を彼へと落とす。仲間に声をかけたのはスキルの無駄打ちを防ぐ為だ。
「あら、大丈夫? ふふ、まだ戦えるわよね」
まだ戦える。赤貴は力をもらい、更なる攻撃を繰り出していく。
対する敵はまたも力を溜める。またも踏み潰しを行うつもりだ。
こちらもまた、ゲイルが即座に対応する。次は先んじて潰さねば。気力は理央が回復してくれる。彼はただ、水の礫を飛ばし、比較的柔らかい土の部分に風穴を開く。
ただ、妖が活動を止めたわけではない。瑠璃はそれを察し、遺跡内に小さな雷雲を呼び寄せる。そして、妖の巨体に雷を落とす。
「……終わりだ」
その一撃で体を維持できなくなった妖は、その場に崩れ落ちていった。
妖がいなくなった跡には、瓦礫が残る。それを見つつ、理央が念の為にと癒しの霧を使い、体力の回復を行う。
「しっかり体勢を立て直さないとね」
彼女は自らの精神力を転化し、仲間の気力回復にも当たっていた。
「そうだ、みんなの為に腕によりをかけて、お弁当つくってきたんです」
結鹿は探索に備え、弁当を用意してきていたのだ。寒い遺跡内で冷えた体を気遣い、温かいお茶もある。
メンバーはやや狭いこの場所ではなく、少しだけ移動し、見通しのいい場所まで来たところで、結鹿は弁当を広げた。
「お腹すくと集中力も欠けますからね、皆さんどうぞ♪」
どこまで続くか分からぬ探索において、これには仲間達も喜ぶ。しっかりと英気を養った覚者達は、改めて探索を再開した。
●祭壇に納められし物
ゴーレムを倒したメンバーは、その後、行ける範囲内で探索を続ける。人の手が入った遺跡ではあったが、人が住んでいた形跡はなかなかに確認できず、単なる通路として続く道を進む。
祇澄によれば、場所によっては床下に空洞がある場所も確認できていたので、その箇所は避けて歩く。
また、ゲイルが考えたように、おそらく過去の地滑りや断層によって、高い場所に行ってしまった通路や、遺跡内部にある裂け目が発見された。
蜘蛛糸では移動が難しい場所もあり、空を飛べる静音に調べてもらう。その際、ゲイルが送受信・改を使い、連絡を取り合う。
どうやらかなり先まで伸びている通路もあるようだ。新たな妖の危険があり、傷つくメンバーもいたことから、その探索は断念することにした。
やがて、覚者達はとある小部屋までたどり着く。そこも自然の洞窟を流用してはいたが、何かが祀られているのかと思わせる飾りが部屋中に確認できる。年代が経っているのか、所々に風化の跡が見られたが……。
「何かありそうな感じだけど……」
通路とは違う装飾が目につくこの場所には、素人目に見ても何かあると瑠璃は考える。
もしかしたら、妖的な力がないかとエメレンツィアは確認できる範囲で調べる。自身の持つ神道や伝承などの知識に基づき、祇澄も見分を行う。すると……。
「これは……」
彼女は祭壇の奥に、祭られているそれを発見し、取り出す。それは黄色の勾玉だった。なんとなくだが、それを持つことで気分的に楽になったような気がした。
「念の為、お預かりさせていただきましょうか」
祇澄は丁寧にその勾玉を布に包み、大切に懐へとしまう。
メンバー達はその後、しばらくその祭壇のある部屋を調べたが、とりわけ、危険なものは確認できなかった。
理央、エメレンツィアは祭壇を写真で撮り、依頼者、考古学者達に報告をと考える。後は彼らの仕事だ。
パーティーの消耗具合も考え、今回は探索をここで打ち切ることにする。覚者達は元来た道をたどり、この遺跡を後にしたのだった。

■あとがき■
なちゅいです。リプレイをお届けいたします。
MVP、祭壇で発見したものに関しては、
探索での貢献に加え、祭壇発見時の行動を考慮し、
お送りいただきました。
まだまだ、この遺跡には何か隠されているかもしれません。
新たな発見がありましたら、ご報告いたします。
気長にお待ちくださいませ。
今回、参加していただいた方々は、
本当にありがとうございました!
MVP、祭壇で発見したものに関しては、
探索での貢献に加え、祭壇発見時の行動を考慮し、
お送りいただきました。
まだまだ、この遺跡には何か隠されているかもしれません。
新たな発見がありましたら、ご報告いたします。
気長にお待ちくださいませ。
今回、参加していただいた方々は、
本当にありがとうございました!
