日本一早い海開き!
●沖縄ビーチ、早くもスタート!
「皆さん、沖縄旅行はいかがですか?」
久方 真由美(nCL2000003)がチケットの束を手に現われ、そんなことを言った。
最近なんやかんやあって沖縄への出入りが楽になったファイヴに、皆さんでどうぞと送られたビーチサイドホテルのチケットである。
なんでもまだ三月の後半だというのに海開きができるくらい暖かい地域なのだそうで、そのためにこのために作られた人工ビーチで遊べるという。
「日中はビーチで遊んで、夜はホテルディナーを楽しめます。最近とっても大変でしたから、骨休めもいいですよね」
「皆さん、沖縄旅行はいかがですか?」
久方 真由美(nCL2000003)がチケットの束を手に現われ、そんなことを言った。
最近なんやかんやあって沖縄への出入りが楽になったファイヴに、皆さんでどうぞと送られたビーチサイドホテルのチケットである。
なんでもまだ三月の後半だというのに海開きができるくらい暖かい地域なのだそうで、そのためにこのために作られた人工ビーチで遊べるという。
「日中はビーチで遊んで、夜はホテルディナーを楽しめます。最近とっても大変でしたから、骨休めもいいですよね」

■シナリオ詳細
■成功条件
1.ビーチでバカンス!
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
チケットには近隣のホテルの宿泊券とビーチ遊びができるあれこれ一式がセットになっております。
●沖縄ビーチ
沖縄南部に作られた人工のビーチです。人工と言うだけあって様々な施設がそろっています。
ビーチバレー、バーベキュー、マリンスポーツ、海水浴、レンタサイクルに至るまでよりどりみどりでございます。
夜はホテルディナーをお楽しみいただけます。(沖縄の伝統料理は個性が強いのでまた別の機会にとなっております。どうしてもと思ったら個人経営の居酒屋あたりをお勧めします)
とはいえ描写両の都合上『あれもこれも全部やる』と書くとどっか一つだけ描かれることになるでしょう。一通り楽しむにしても、プレイングはどこか一つに絞ることをお勧めします。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
相談日数
8日
8日
参加費
50LP
50LP
参加人数
18/30
18/30
公開日
2017年03月24日
2017年03月24日
■メイン参加者 18人■

●一足先に夏になれ
潮の香りと海鳥の声。青空に飛び上がるビーチボール。
ここは沖縄の人工ビーチ。日本一海開きが早いと自称するこの浜には、春をすっとばして夏を楽しみたくなった少年少女が集まっていた。
ということで、みんな期待しているであろうたわわな水着美女からご覧頂きたい。
「えっ? 水着は着ないわよ」
サングラスをあげたシルフィア・カレード(CL2000215)がカメラ(ないけど)を見た。
腰の所できゅっと結んだTシャツとデニムホットパンツという組み合わせである。
……これはこれで。
「前の水着入らなくなってきたのよね。というわけで、今日は料理を楽しむことにしましょうか」
シルフィアはそう言うと、個人経営っぽい料理屋へ入っていった。
「おじさーん、まずはビールと唐揚げ!」
昼から酒をかっくらってみるプレイ、である。
さて、いきなり大人の休日っぽくなってきたので一転して少年少女の休日をお送りしたい。
「たまきちゃん、しっかりつかまっててね」
「はい……」
工藤・奏空(CL2000955)と賀茂 たまき(CL2000994)が海の上でひっついていた。
要約しすぎなのでカメラを引くと、爽快なジェットスキーを楽しんでいた。
空気式のボートに二人で乗っかってウォーターバイクに引っ張って貰うやつである。
「すごいスピードだね」
「落とされないように、しがみつかないとですねっ」
などと少年少女が青春しているのを、ユアワ・ナビ子(nCL2000122)は能面みたいな顔でウォーターバイクで引っ張っていた。
「あの、ありがとうございます」
「ところでナビ子って運転大丈夫なの?」
「心配ないよ。ウォーターバイクレジャーのバイト経験があるよ」
「安心ですねっ」
「五分でやめたよ」
「不安だ!」
と言った途端、芸術的なスピンをしてバイクもろともひっくりかえった。
ぷはあといって海から顔を出す奏空とたまき。
二人は顔を見合わせると、からからと笑った。
一方こちらは海水浴用ビーチ。
成瀬 翔(CL2000063)は浜にあぐらをかいてぼーっとしていた。
お日様が気持ちいいからっていうのもあるけど、下に海パンはいてきてその場ですぱーんと脱ぐ彼と違って女子の着替えには時間がかかるからだ。要するにツレ待ちである。
「かけるー」
「おっ、やっと来たか」
振り返り、翔は暫く固まった。
麻弓 紡(CL2000623)がウォーターガン片手に立っている。
ホルターネックのバンドゥビキニである。バンドゥがなにかは文字で説明しづらいのでググってくれ。そして想像してくれ。
この水着をきて帽子とパーカー装備した紡のピンナップを想像してくれ。
暫く見とれていた翔の顔に、ウォーターガンの水を浴びせる紡。
「あぶっ!? やりやがったな紡!」
「ごめんごめん。ぼーっとしてたから、なんとなく?」
首を傾げ、さあ行こうと言って手を出した。
一度目を背け、頬をかき、色々一旦忘れてから、翔は紡の手を取った。
二人して子供に戻り、ビーチへと駆けてゆく。
……といったような光景を眺めながら、香月 凜音(CL2000495)と神楽坂 椿花(CL2000059)はラジオ体操をしていた。
「凜音ちゃん! 海なんだぞ! 泳げるんだぞ!」
「わかったわかった。海はにげねーから準備体操しよーな」
「たいそうしなくても大丈夫だよ?」
「そういうのが一番危ないんだ。ほら、身体後ろに反らせ」
「ぐえー」
背中くっつけて腕組みつつ互いの胸を伸ばすやつ……を、椿花のぶんだけやる凜音。
「わかったんだぞ、ちゃんと準備体操してから泳ぐんだぞ」
「はいはいよくできました」
椿花を一旦開放すると、頭をわしゃわしゃとやった。
くすぐったそうにする椿花。
「ふふー、椿花、ちゃんと出来るんだぞ!」
暫くその調子で体操してから、二人は海の浅いところへとやってきた。
浮き輪をつけてちょんと水に足をつける椿花。
「つめたいぞっ!」
「海だからな」
「きもちいいぞっ!」
「海だからな」
わーいと言って走って行こうとする椿花の浮き輪を掴むと、凜音はその辺にぷかぷか浮かべてやった。浮き輪を揺らされてきゃっきゃする椿花をながめつつ、自分も一緒に浮かんでみる。
三月とは思えないほどの太陽と空気。そして冷たくて気持ちよい海。
「ほんと、夏がもう来たような気分だな」
夏が早く来たのは彼らだけでは無い。
夏場になると必ずやる日焼け止めCMみたいな酒々井 数多(CL2000149)の水着姿を、鹿ノ島・遥(CL2000227)は拝むように眺めていた。っていうか実際両手を合わせて拝んでいた。
「センパイあざーっす! デートに応じてくれてあざーっす!」
「大声で言わないでよ! 恥ずかしいでしょ!」
数多の照れ隠しパンチ――が道路標識のポールをへし折った。
それを上体をねじるだけの紙一重で回避した遥は、いやーあははといって笑った。
「いいじゃん、いつも水着みたいなもんじゃんか」
「人を痴女みたいにいうな」
数多の照れ隠しチョップ――がベンチの背もたれを切断した。
すり足だけで体勢を一切変えずに回避した遥はうへへーといって笑った。
ぷくーっと頬を片方だけ膨らませる数多。
「センパイ、海なんだし泳ごうぜ! 勝負しようぜ!」
「あんたなんでも勝負なのね」
「デートって楽しいことするんだろ? だったら勝負しかねーや!」
ビッとカラテの構えをとる遥。
数多は半眼で自分の頭をわしわしすると、悩んでいたのがばからしいみたいな顔でラッシュガードのファスナーにてをかけた。
「あっ、そうだ」
「なんだ? ハンデなしだぞ!」
胸元までファスナーを下ろした所で、数多は手を止めた。
「……後ろむいてて」
どこもかしこもカップルだらけだみてーな顔で浜に寝転がる切裂 ジャック(CL2001403)。
海パンにパーカーを羽織っただけの姿でいられるのも沖縄の陽気ならではである。
もうこのまま砂と一体化してしまおうかと手足を投げ出してだらけていると、上から片目の少女が覗き込んできた。というか神々楽 黄泉(CL2001332)である。
「あ、自殺志願者」
「じさつしがんしゃゆーな!」
がばっと起き上がったジャックを、黄泉は空手チョップで再び寝かせた。
「なにすんの。てかなにしてんの?」
「迷った」
「迷子センターならあっち」
「子供扱い、しない」
再び起き上がろうとしたジャックをチョップで再度寝かす黄泉。
黄泉は精一杯に胸を張った。
「私、ジャックより、ふたつお姉さん」
「…………」
「…………」
波の音を暫く聞いてから、ジャックはゆっくり起き上がった。
チョップをキャッチして振り返る。
「ところで水着もってねーの?」
「もってきてない」
「もったいねえな。買ってやるよ」
ジャックは起き上がり、財布を手に取った。
「ありが、と」
この後、アイス化ってベンチに座ったり座られたりと、黄泉に懐かれることになるジャックであった。
ジャックが黄泉に人間椅子の才能を見いだされている頃、ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)は砂浜でペスカと砂遊びをしていた。
砂のお城をぺたぺたやって積み上げていくラーラ。
「ほーらペスカ、お城ですよー」
海のほうを見るペスカに、ラーラは苦笑した。
「別に泳げないわけじゃないんですけど、砂遊びがなんだか楽しくて」
彫り込みを入れて綺麗なお城にすると、最後にペスカの名前を刻んでみた。
「よくできたので、ペスカのお城にしましょうね」
なんだかキャッキャしてる気がするペスカをお城のてっぺんに乗せると、ラーラは満足げに腕組みをした。
ラーラがペスカといっしょに作った砂山が波にさらわれているころ、向日葵 御菓子(CL2000429)と菊坂 結鹿(CL2000432)はレンタサイクルでサイクリングを楽しんでいた。
見渡すほどの自然のなかを舗装されたサイクリングロードを走って行く。
「いい? それぞれの土地にはそれぞれの文化や風習があるの。沖縄といえばサトウキビ、トロピカルフルーツ、サンゴ礁の海、ハイビスカス、沖縄そば、カチャーシー、紅型などなど、思いつくだけでもこれだけあげられるけど……やっぱり、自分の手足で体感しないともったいないよね!」
「うん……」
サイクリング。といっても歩くよりもすこし早いくらいの速度でゆっくりと景色が流れていく。
独特のにおいや空気。日差しや音や動物の声を感じながらペダルをこげば、いままでの自分とちょっとだけ離れたような気分になれた。
日常の見かたがちょっと変わる。そんな時間だ。
「わたしとしては、三線やカチャーシーを体験してみたいかな。結鹿ちゃんはどんな体験がしてみたい?」
「えっと、今の……」
今のままで充分新鮮な体験ができていますと思ったけれど、これで終わるのももったいない。
結鹿は思い切って言ってみた。
「沖縄のお料理とか、沢山知りたいです!」
「決まり! それじゃあどんどんいってみよう!」
海パンとシャツだけで砂浜に体育座りをしていると、もはや今が夏なのではという気分になってくる。およそ四ヶ月強早い夏だ。
葦原 赤貴(CL2001019)は表情のよくわからないしかめっ面で波間を眺めていたが、自分を呼ぶ声に振り返った。
「お待たせシマシタ!」
水着姿のリーネ・ブルツェンスカ(CL2000862)が、両手をバンザイして現われた。
控えめに言って扇情的な、人によっては裸と変わらないような水着である。
「ドウシマシタ?」
「いや……」
赤貴は目をそらして、シャツをその場に置いた。
「海に来たんだ。泳ごう」
「いいデショー、向こうまで競争デース!」
自分のスタイルに自覚がないのかなんなのか、リーネは子供のように笑って海へ走り出した。
肩をすくめ、自分も海へと向かう赤貴。
……という様子を、瀬織津・鈴鹿(CL2001285)は海面から顔半分だけを出して眺めていた。
「ぶくぶくぶく……ごぼぼぼぼ……」
なんつったかわかんないので翻訳すると、『仲良しそうなの。お手伝いしてあげるの』と言っています。
やがて鈴鹿はちゃぷんと海中へ沈むと、赤貴とリーネの間をうねるように泳ぎ抜け、なぞのトルネードをかけて海面から飛び出した。
両手に持つは海パンと水着。
「テレビで見たの! オードーのやつなの!」
わーいと言って頭上で水着を振り回す鈴鹿。一方で自分の水着が奪われたことに気づいたリーネは両手で胸やらを隠してうずくまった。
「な、なにするのデスカー!」
「あらあらリーネちゃん、おもしろいことになってるわねん」
後ろからぬるっと現われる魂行 輪廻(CL2000534)。びっくりして背筋を伸ばすリーネ。
輪廻はリーネの方を掴んでぐるっと反転させると、赤貴の方へ向けた。
急いでバスタオルやらなんやらを取り出している赤貴が、ぴたりと止まった。
「うふふ、赤貴くんには女の子の裸は刺激が強かったかしらん?」
「そっ……違う! そういうことでは……」
目をそらしてタオルを突き出す赤貴。
リーネはそれをわたわたしながら受け取って、自分の身体に巻いた。
「み、見ました?」
「……すまん」
リーネは溶けるように水中に沈んでいった。
「ウウ、お嫁に行けマセン」
「なんと言っていいのか、わからないが、その……」
視線を戻すと、輪廻がここぞとばかりに水着を脱いで腕で隠すポーズをとっていた。
「アンタまで脱ぐな!」
「あらん、リーネちゃんはよくて私じゃダメかしらん?」
「そういうことを言ってるんじゃ、ああ……!」
目を覆って軽く錯乱する赤貴である。
輪廻は手品みたいに隙間無く水着を着直すと、にんまりと笑った。
「やあねん、冗談よん」
鈴鹿は楽しげにはしゃぎ回り、リーネは感情豊かに慌て、あの赤貴までもが慌てた様子を晒している。
嗚呼。
輪廻は空を見て、深く深く息をついた。
今日の空は、やけに青い。
潮の香りと海鳥の声。青空に飛び上がるビーチボール。
ここは沖縄の人工ビーチ。日本一海開きが早いと自称するこの浜には、春をすっとばして夏を楽しみたくなった少年少女が集まっていた。
ということで、みんな期待しているであろうたわわな水着美女からご覧頂きたい。
「えっ? 水着は着ないわよ」
サングラスをあげたシルフィア・カレード(CL2000215)がカメラ(ないけど)を見た。
腰の所できゅっと結んだTシャツとデニムホットパンツという組み合わせである。
……これはこれで。
「前の水着入らなくなってきたのよね。というわけで、今日は料理を楽しむことにしましょうか」
シルフィアはそう言うと、個人経営っぽい料理屋へ入っていった。
「おじさーん、まずはビールと唐揚げ!」
昼から酒をかっくらってみるプレイ、である。
さて、いきなり大人の休日っぽくなってきたので一転して少年少女の休日をお送りしたい。
「たまきちゃん、しっかりつかまっててね」
「はい……」
工藤・奏空(CL2000955)と賀茂 たまき(CL2000994)が海の上でひっついていた。
要約しすぎなのでカメラを引くと、爽快なジェットスキーを楽しんでいた。
空気式のボートに二人で乗っかってウォーターバイクに引っ張って貰うやつである。
「すごいスピードだね」
「落とされないように、しがみつかないとですねっ」
などと少年少女が青春しているのを、ユアワ・ナビ子(nCL2000122)は能面みたいな顔でウォーターバイクで引っ張っていた。
「あの、ありがとうございます」
「ところでナビ子って運転大丈夫なの?」
「心配ないよ。ウォーターバイクレジャーのバイト経験があるよ」
「安心ですねっ」
「五分でやめたよ」
「不安だ!」
と言った途端、芸術的なスピンをしてバイクもろともひっくりかえった。
ぷはあといって海から顔を出す奏空とたまき。
二人は顔を見合わせると、からからと笑った。
一方こちらは海水浴用ビーチ。
成瀬 翔(CL2000063)は浜にあぐらをかいてぼーっとしていた。
お日様が気持ちいいからっていうのもあるけど、下に海パンはいてきてその場ですぱーんと脱ぐ彼と違って女子の着替えには時間がかかるからだ。要するにツレ待ちである。
「かけるー」
「おっ、やっと来たか」
振り返り、翔は暫く固まった。
麻弓 紡(CL2000623)がウォーターガン片手に立っている。
ホルターネックのバンドゥビキニである。バンドゥがなにかは文字で説明しづらいのでググってくれ。そして想像してくれ。
この水着をきて帽子とパーカー装備した紡のピンナップを想像してくれ。
暫く見とれていた翔の顔に、ウォーターガンの水を浴びせる紡。
「あぶっ!? やりやがったな紡!」
「ごめんごめん。ぼーっとしてたから、なんとなく?」
首を傾げ、さあ行こうと言って手を出した。
一度目を背け、頬をかき、色々一旦忘れてから、翔は紡の手を取った。
二人して子供に戻り、ビーチへと駆けてゆく。
……といったような光景を眺めながら、香月 凜音(CL2000495)と神楽坂 椿花(CL2000059)はラジオ体操をしていた。
「凜音ちゃん! 海なんだぞ! 泳げるんだぞ!」
「わかったわかった。海はにげねーから準備体操しよーな」
「たいそうしなくても大丈夫だよ?」
「そういうのが一番危ないんだ。ほら、身体後ろに反らせ」
「ぐえー」
背中くっつけて腕組みつつ互いの胸を伸ばすやつ……を、椿花のぶんだけやる凜音。
「わかったんだぞ、ちゃんと準備体操してから泳ぐんだぞ」
「はいはいよくできました」
椿花を一旦開放すると、頭をわしゃわしゃとやった。
くすぐったそうにする椿花。
「ふふー、椿花、ちゃんと出来るんだぞ!」
暫くその調子で体操してから、二人は海の浅いところへとやってきた。
浮き輪をつけてちょんと水に足をつける椿花。
「つめたいぞっ!」
「海だからな」
「きもちいいぞっ!」
「海だからな」
わーいと言って走って行こうとする椿花の浮き輪を掴むと、凜音はその辺にぷかぷか浮かべてやった。浮き輪を揺らされてきゃっきゃする椿花をながめつつ、自分も一緒に浮かんでみる。
三月とは思えないほどの太陽と空気。そして冷たくて気持ちよい海。
「ほんと、夏がもう来たような気分だな」
夏が早く来たのは彼らだけでは無い。
夏場になると必ずやる日焼け止めCMみたいな酒々井 数多(CL2000149)の水着姿を、鹿ノ島・遥(CL2000227)は拝むように眺めていた。っていうか実際両手を合わせて拝んでいた。
「センパイあざーっす! デートに応じてくれてあざーっす!」
「大声で言わないでよ! 恥ずかしいでしょ!」
数多の照れ隠しパンチ――が道路標識のポールをへし折った。
それを上体をねじるだけの紙一重で回避した遥は、いやーあははといって笑った。
「いいじゃん、いつも水着みたいなもんじゃんか」
「人を痴女みたいにいうな」
数多の照れ隠しチョップ――がベンチの背もたれを切断した。
すり足だけで体勢を一切変えずに回避した遥はうへへーといって笑った。
ぷくーっと頬を片方だけ膨らませる数多。
「センパイ、海なんだし泳ごうぜ! 勝負しようぜ!」
「あんたなんでも勝負なのね」
「デートって楽しいことするんだろ? だったら勝負しかねーや!」
ビッとカラテの構えをとる遥。
数多は半眼で自分の頭をわしわしすると、悩んでいたのがばからしいみたいな顔でラッシュガードのファスナーにてをかけた。
「あっ、そうだ」
「なんだ? ハンデなしだぞ!」
胸元までファスナーを下ろした所で、数多は手を止めた。
「……後ろむいてて」
どこもかしこもカップルだらけだみてーな顔で浜に寝転がる切裂 ジャック(CL2001403)。
海パンにパーカーを羽織っただけの姿でいられるのも沖縄の陽気ならではである。
もうこのまま砂と一体化してしまおうかと手足を投げ出してだらけていると、上から片目の少女が覗き込んできた。というか神々楽 黄泉(CL2001332)である。
「あ、自殺志願者」
「じさつしがんしゃゆーな!」
がばっと起き上がったジャックを、黄泉は空手チョップで再び寝かせた。
「なにすんの。てかなにしてんの?」
「迷った」
「迷子センターならあっち」
「子供扱い、しない」
再び起き上がろうとしたジャックをチョップで再度寝かす黄泉。
黄泉は精一杯に胸を張った。
「私、ジャックより、ふたつお姉さん」
「…………」
「…………」
波の音を暫く聞いてから、ジャックはゆっくり起き上がった。
チョップをキャッチして振り返る。
「ところで水着もってねーの?」
「もってきてない」
「もったいねえな。買ってやるよ」
ジャックは起き上がり、財布を手に取った。
「ありが、と」
この後、アイス化ってベンチに座ったり座られたりと、黄泉に懐かれることになるジャックであった。
ジャックが黄泉に人間椅子の才能を見いだされている頃、ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)は砂浜でペスカと砂遊びをしていた。
砂のお城をぺたぺたやって積み上げていくラーラ。
「ほーらペスカ、お城ですよー」
海のほうを見るペスカに、ラーラは苦笑した。
「別に泳げないわけじゃないんですけど、砂遊びがなんだか楽しくて」
彫り込みを入れて綺麗なお城にすると、最後にペスカの名前を刻んでみた。
「よくできたので、ペスカのお城にしましょうね」
なんだかキャッキャしてる気がするペスカをお城のてっぺんに乗せると、ラーラは満足げに腕組みをした。
ラーラがペスカといっしょに作った砂山が波にさらわれているころ、向日葵 御菓子(CL2000429)と菊坂 結鹿(CL2000432)はレンタサイクルでサイクリングを楽しんでいた。
見渡すほどの自然のなかを舗装されたサイクリングロードを走って行く。
「いい? それぞれの土地にはそれぞれの文化や風習があるの。沖縄といえばサトウキビ、トロピカルフルーツ、サンゴ礁の海、ハイビスカス、沖縄そば、カチャーシー、紅型などなど、思いつくだけでもこれだけあげられるけど……やっぱり、自分の手足で体感しないともったいないよね!」
「うん……」
サイクリング。といっても歩くよりもすこし早いくらいの速度でゆっくりと景色が流れていく。
独特のにおいや空気。日差しや音や動物の声を感じながらペダルをこげば、いままでの自分とちょっとだけ離れたような気分になれた。
日常の見かたがちょっと変わる。そんな時間だ。
「わたしとしては、三線やカチャーシーを体験してみたいかな。結鹿ちゃんはどんな体験がしてみたい?」
「えっと、今の……」
今のままで充分新鮮な体験ができていますと思ったけれど、これで終わるのももったいない。
結鹿は思い切って言ってみた。
「沖縄のお料理とか、沢山知りたいです!」
「決まり! それじゃあどんどんいってみよう!」
海パンとシャツだけで砂浜に体育座りをしていると、もはや今が夏なのではという気分になってくる。およそ四ヶ月強早い夏だ。
葦原 赤貴(CL2001019)は表情のよくわからないしかめっ面で波間を眺めていたが、自分を呼ぶ声に振り返った。
「お待たせシマシタ!」
水着姿のリーネ・ブルツェンスカ(CL2000862)が、両手をバンザイして現われた。
控えめに言って扇情的な、人によっては裸と変わらないような水着である。
「ドウシマシタ?」
「いや……」
赤貴は目をそらして、シャツをその場に置いた。
「海に来たんだ。泳ごう」
「いいデショー、向こうまで競争デース!」
自分のスタイルに自覚がないのかなんなのか、リーネは子供のように笑って海へ走り出した。
肩をすくめ、自分も海へと向かう赤貴。
……という様子を、瀬織津・鈴鹿(CL2001285)は海面から顔半分だけを出して眺めていた。
「ぶくぶくぶく……ごぼぼぼぼ……」
なんつったかわかんないので翻訳すると、『仲良しそうなの。お手伝いしてあげるの』と言っています。
やがて鈴鹿はちゃぷんと海中へ沈むと、赤貴とリーネの間をうねるように泳ぎ抜け、なぞのトルネードをかけて海面から飛び出した。
両手に持つは海パンと水着。
「テレビで見たの! オードーのやつなの!」
わーいと言って頭上で水着を振り回す鈴鹿。一方で自分の水着が奪われたことに気づいたリーネは両手で胸やらを隠してうずくまった。
「な、なにするのデスカー!」
「あらあらリーネちゃん、おもしろいことになってるわねん」
後ろからぬるっと現われる魂行 輪廻(CL2000534)。びっくりして背筋を伸ばすリーネ。
輪廻はリーネの方を掴んでぐるっと反転させると、赤貴の方へ向けた。
急いでバスタオルやらなんやらを取り出している赤貴が、ぴたりと止まった。
「うふふ、赤貴くんには女の子の裸は刺激が強かったかしらん?」
「そっ……違う! そういうことでは……」
目をそらしてタオルを突き出す赤貴。
リーネはそれをわたわたしながら受け取って、自分の身体に巻いた。
「み、見ました?」
「……すまん」
リーネは溶けるように水中に沈んでいった。
「ウウ、お嫁に行けマセン」
「なんと言っていいのか、わからないが、その……」
視線を戻すと、輪廻がここぞとばかりに水着を脱いで腕で隠すポーズをとっていた。
「アンタまで脱ぐな!」
「あらん、リーネちゃんはよくて私じゃダメかしらん?」
「そういうことを言ってるんじゃ、ああ……!」
目を覆って軽く錯乱する赤貴である。
輪廻は手品みたいに隙間無く水着を着直すと、にんまりと笑った。
「やあねん、冗談よん」
鈴鹿は楽しげにはしゃぎ回り、リーネは感情豊かに慌て、あの赤貴までもが慌てた様子を晒している。
嗚呼。
輪廻は空を見て、深く深く息をついた。
今日の空は、やけに青い。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし
