<ヒノマル戦争>湯涌温泉制圧戦! ぽろりもあるよ!
<ヒノマル戦争>湯涌温泉制圧戦! ぽろりもあるよ!



 古都金沢の中心部を大きく外れ、田畑の奥にあるというさびれた温泉街をゆく。
 道を更に緑豊かな森林の奥へと進めば、そのホテルが姿を表わす。
 大正の時代を思わせる優雅な造りを眺めるうちに、マイクロバスは停車した。
 手作り感あふれるバス停には『きっすいそーへようこそ!』と毛筆で殴り書きされていた。
「大黒さんに言われて来てみたけど……本当に作っちゃったんだなあ、このホテル」
 黒いつば広帽子をかぶり黒いコートを纏うというおかしな格好をしているが、片手に携えた抜刀剣が彼の風格を強めていた。
 ホテルのロビーを潜ると、スキンヘッドにサングラスの大男が両手を広げて待ち構えていた。
「へい!」
「らっ!」
「しぇい!」
 その後ろから天然パーマの男と死んだ目の男がそれぞれ現われ、屈伸運動からのウサギ跳びという謎の体操をし始めた。
「あ、どうも大黒さん。ご無沙汰してます。覚醒隊が実戦投入されるとか」
「そうなんですよMENさん。この拠点も制圧対象になってるらしくて、今回はスケジュールもブッピガァンしたんでここでやっちゃおうかと」
「はあ、でも……ここってことはアレですよね」
「アレですね」
「アレです」
 ビッと親指を立てる三人。後ろのカウンターからにょきっと生えるガスマスクとレスラーマスク。
「アーイクイクゥー!」
「ブッチャーしようぜ!」


「皆も知っていると思うが、現在ファイヴとヒノマル陸軍はFH協定による戦争状態にある。一般人に被害を出さない代わりにチーム戦の勝敗によって拠点制圧の是非を決めることになっている。今回制圧するのは第六覚醒隊が本拠地とする湯涌温泉のとあるホテルだ」

 ホテルといっても経営はしていない。
 なんかアニメの舞台になったのに十年前に取り壊されたとかで、第六覚醒隊がお金を出し合って再建したいわゆる再現聖地である。
 地元が乗っかった感じでお祭りをやるものだから観光地化し始め、昨今はホテル経営も視野に入れているとかいないとか。
 勿論温泉はちゃんと湧くし細かいところまで拘って作られているので、宿泊もばっちりできる施設らしい。
「戦いはここの庭……だと俺は思っているんだが、ある提案がなされている。この提案に乗るかどうかは、皆で相談して決めてくれ。提案というのは……」


「ドキッ! 混浴温泉チームバトル! ぽろりもあるよ!?」
「ア゛ァーイグイグイグウウウッ!」
 腰にタオルを巻いたスキンヘッドの男通称『マフィア』は両手の人差し指と小指を立ててガスマスクの『ドラク』と共に奇声をあげていた。
 同じくタオル一枚の大黒はありもしない眼鏡をクイックイやって言った。
「村では案外もてなされた前回の報復(建前)のためこの広~い混浴温泉でもってタオル一枚のドキドキバトルを行なおうというこの企画」
「バトルと温泉で汗を流して一石二鳥ですね!」
「折角オハナちゃんと混浴温泉できると思ったのにここ男しかいねーからよお! 思わず湯船にブッチャーするところだったぜ!」
「ロリは来ますか!? ロリは来ますよね! ハアハア!」
「来るとも!」
「「よっしゃあああああああ!!」」
 ヒノマル戦争の中で相当に浮いた連中による拠点防衛戦が、始まろうとしていた。


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:普通
担当ST:八重紅友禅
■成功条件
1.戦闘に勝利する
2.なし
3.なし
 こちらはシーズンシナリオ<ヒノマル戦争>のひとつです。
 戦闘の勝敗によって拠点制圧の是非が決まります。

 今回制圧するのは第六覚醒隊が管理する再現聖地『きっすいそー』です。
 『通常バトル』か『温泉バトル』のどちらを選ぶかによって到達できる成功度が大きく変わります。
 具体的には下の補足をご覧ください。

・通常バトルの場合
 第六覚醒隊の七人と普通に戦闘して勝敗を決めます。勝つと大事な聖地を失って第六覚醒隊のやる気がまあまあ下がります。

・温泉バトルの場合
 第六覚醒隊の七人と温泉に入るに相応しい格好でバトルをします。(※バスタオルしか着用しませんが、装備値は正常に加算した状態となります)
 第六覚醒隊自体はこの状況に割と満足しているので、両者ノリノリで勝利した場合大成功判定となり、第六覚醒隊の好意でこの後温泉旅館がファイヴに開放されます。
 具体的には温泉旅館で一晩過ごす特別なイベントシナリオが発動します。
 決戦に先んじる形で命数回復が行なえるため、非常に重要な補給要素となるでしょう。

●エネミーデータ
 前回の戦闘で得られた情報を上乗せしたデータとなっております。
・『第六覚醒隊長』大黒トモカズ:木現
 →死んだ目をしている変態。
 →前回使用を確認したスキル:仇華浸香、大樹の息吹
・『第六覚醒隊』マフィア:土械
 →スキンヘッドにサングラスの変態。
 →前回使用を確認したスキル:蔵王・戒、琴富士
・『第六覚醒隊』シャドウ:水彩
 →鬼畜でロリコンの変態。
 →前回使用を確認したスキル:海衣、水龍牙
・『第六覚醒隊』ブッチャー:火暦
 →常時ナチュラルハイの変態。
 →前回使用を確認したスキル:錬覇法、豪炎撃
・『第六覚醒隊』ドラク:天獣
 →ガスマスクとデスクローを装備したドMの変態。
 →前回使用を確認したスキル:天駆、白夜
・『第六覚醒隊』MEN:火彩
 →日本刀での居合術に長けたプロゲーマー。白夜や飛燕、地烈といった体術が得意。

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・補足ルール1
 EXプレイングにてこちらからの攻撃アクションを投票できます。
 TOPの専用ページの中で【攻撃可能】となっている拠点を一つだけEXプレイングに書いて送ってください。(新規の捜索依頼や発見していない拠点への投票は締め切っています)
 3票集まった時点で有効となり、票の多い順に依頼が作成されます。
 ※当WAVEが最終投票チャンスとなります。ここで必要数に達しなかった場合は依頼が流れます。

・補足ルール2
 以前の依頼で判明した主要敵の能力が事前情報に反映されています。

・補足ルール3
 性質上『FH協定』をこちらから一方的に破棄することが可能です。
 ただしそのためには『依頼参加者全員』の承認を必要とします。
 協定を破棄した場合、互いに無秩序状態になり、捕虜の獲得や兵器の鹵獲、リンチによる完全殺害が可能になる反面、民間人や協力団体にも多大な被害が出ます。

※エネミースキャンについての追加ルール(当依頼限定)
 ターンを消費してスキャンに集中したり、敵の能力を深く推察したり、調査する部分を限定したり、数人で分担したりといったプレイングがあるとスキャンの判定にボーナスをかけます。

・FH協定
 ファイヴとヒノマル陸軍の間に交わされた戦争上の協定です。
 戦闘に関係の無い民間人に被害を出したくないファイヴ。
 兵器製造など戦争の準備を邪魔されたくないヒノマル陸軍。
 双方の条件を満たすものとして、戦争におけるルール、つまり協定を結んでいます。
 双方『ほぼ同格』の総合戦闘力を持ったチームを編成し、民間人に直接的被害の出ない場所で戦闘を行なうこと。
 またファイヴが所属覚者を長期拘束できないため、ヒノマル側・ファイヴ側双方どちらが敗北した場合でも捕虜獲得や兵器鹵獲をせず、撤退を許すこと。
 こうしたチーム戦で互いに要所を制圧・もしくは奪還し、来たるべき決戦の日に両者同時に拠点を襲撃・及び防衛し合うものである。
 互いにルールの曲解や、逆手に取った悪用はしないことで合意しています。
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状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(3モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
公開日
2017年01月02日

■メイン参加者 8人■


●湯涌温泉きっすいそーへようこそ
「皆さんあけましておめでとうございます!」
「「おめでとうございます!」」
 浴衣を着て宴会場に並んだ第六覚醒隊の皆さんが一斉に頭を下げた。
 同じく横に並んだ『研究所職員』紅崎・誡女(CL2000750)が二度見する(レアな光景)。
 瓶を片手に振り返るエルフィリア・ハイランド(CL2000613)。
「え、なに。これって年明けっていう時間軸なの? どう考えても年末のクリスマス前後だった筈じゃ」
「あー収録はその時期なんですけどオンエアが――」
「オンエアをするな!?」
「大丈夫! ラジオ! ネットラジオだから!」
 早速混乱し始める宴会場の様子を、『ベストピクチャー』蘇我島 恭司(CL2001015)はきわめて遠くの世界を見る目で眺めていた。
「うん……なんだろうこの空間……戦争? なんだよね?」
「蘇我島さん、おつぎします」
「あ、どうもありがとうね」
 しずしずと瓶をつぐ『スピードスター』柳 燐花(CL2000695)。
 子供ながらの無防備さと静謐さを備えた燐花の首筋から胸元までのラインが浴衣の襟からちらりとのぞく。
 当然下着などつけるような格好では無い。慣れていないのか帯が緩み、くいくいと襟元を直す燐花の姿に全国の男性陣が感じることは、尊さとありがたさの二つのみである。
 もう気づいてると思うけど今回のリプレイ終始このテンションでいくからね。
「案外、まともな親睦会でしたね」
「そうかな……僕ら、大変なめにあったと思うんだけど」
「お風呂には浸かれましたし」
「漬かれたけれども」
 恭司はおよそ一時間前の出来事を思い返して、眼鏡の曇る思いをした。
 さあ、回想シーン行ってみよう。

「ア、アノ……このタオル、ちょっと短くないデスカ? ウ、ウゥ……」
 腰をくねっとひねってバスタオルの裾をのばそうとする『『恋路の守護者』』リーネ・ブルツェンスカ(CL2000862)。
 ドイツ女性ならではの白く透き通った肌と膝まで伸びた金髪のコントラストはいわずもがな、彼女のわがままなボディラインがタオルと髪によってよけいに強調され、見る者の心を引きつけた。
「別につけなくてよくない?」
 タオルを肩にかついだ『介錯人』鳴神 零(CL2000669)――に、高速で飛びかかって強制的にバスタオルを巻き付ける『白焔凶刃』諏訪 刀嗣(CL2000002)。
「おまえ! おまえ馬鹿か! 最初からとってんじゃねえよ!」
「いじゃないですか別に」
 タオルを肩にかついで仁王立ちする大黒トモカズとマフィア――に刀の鞘をぶんなげる刀嗣。
「おまえ! おまえ馬鹿か!」
「カップルで共同風呂とかきてんじゃねーよ! ブッチャーすんぞ!」
「アアアアアアアイグイグイグーゥ!」
 腰にタオルを巻いたブッチャーとドラクが独特のテンションで混ざってきた。
 混ざってきたっていうか、ドラクに至っては腰を拘束で前後にカクカクさせながら柱にしがみついていた。
 刀嗣は顔を覆った。
「なんなんだよ……なんなんだよこいつらは……」
 巻き付けられたタオルをくいくいやりながら首を傾げる零。
「敵でしょ? こいつら倒したら温泉入れるんでしょ?」
「そういうこと言ってんじゃねえよ」
「わーい! 温泉たのしみ! みんなで貸し切りなんてすごいねー!」
 身体にバスタオルを巻いた『sylvatica』御影・きせき(CL2001110)が露天風呂へとかけだしていった。
 汚れを知らぬ手足とあどけない横顔。男女のさかいがギリギリ曖昧な15歳という世代ゆえの中性的な顔立ちと振る舞いに感じるのは、尊さとありがたさだけである。
 咳払いをして喉の調子を整える誡女。
「折角の機会ですから、頑張りましょう」
「ハプニング起きるといいわね」
「ええ……えっ?」
 真顔で言うエルフィリアを、誡女は二度見した。

●新春にぶっ込むに相応しい空気
「あ゛~」
 白目を剥いて舌を出した大黒が両乳首を左右交互かつリズミカルにこりこりしながら回想を中断させた。
「……って、今の僕の回想じゃなかったの!? ああでも、うん、確かに僕のだったら困るけど!」
「心がぴょんぴょんするんじゃ~」
 同じ動作でこりこりするマフィア。
 旅館だっつってんのに魚介を使った美味しいカレーがお膳で出されるという謎の状態だが、お子様舌のきせきはそれをうまうま食べていた。
「それにしても、皆強かったねー! ゲームみたいで、すっごく楽しかったよ!」
「え、そうデス? そうデスネ……ウーン……まあ?」
 きわめて曖昧に頷くリーネ。
「でも、ハズカシイめにあいマシタ……」 
 顔を真っ赤にしてうつむいた。
 回想の雲が頭上にほわんほわん浮かび上がる。

「えーい! みじんぎりー!」
 きせきは露天風呂の石床を裸足で走り、タオルを靡かせながら大胆に相手へ飛びかかった。
 対するはつば広帽子にサングラス、そして腰のタオルのみというニューフェイスMEN。
 彼はどこからともなくコインを取り出すと、空中にピンッと回転させて弾き上げた。
 独特のきらめきに一瞬目を奪われるきせき――に超高速で六連続の斬撃が繰り出され、きせきはそれを咄嗟に双刀ではじき返した。
 気づいた頃にはMENの刀が白鞘へと既に納められ、姿勢も最初の直立フォームに戻っている。
「すごい! 今のどうやったの!? もっとみせてみせてー!」
 動のきせきと静のMENがぶつかり合う。
 それをよそに、リーネは大黒たちの前にどんと両手を広げて立ち塞がった。
「私の強みは防御力! どんな攻撃もはじき返してミセマース! どこからでもかかって――キャーッ!」
「てがすべりまくりんぐ!」
 思いっきり乳を掴みにかかるマフィアに、リーネは股間蹴りで対抗した。
「たわば! けど……我々の業界ではご褒美です……!」
「ヒイッ! 近づかないでクダサーイ! 触らないでクダサーイ!」
「不可抗力! これは不可抗力ですよお嬢さん! と言うわけで俺と、やらなーいかー」
 ブルース調に歌を口ずさみながらじりじり近寄ってくるマフィア。
「た、タスケテクダサーイ!」
「私たち任せなさい」
「たち?」
 背中をあわせて水鉄砲を構えたエルフィリアを誡女。二度見する誡女。
「非薬・鈴蘭をくらいなさいな」
 と言いながらエルフィリアはマフィアの顔にファ○リーズをしゅっしゅした。
「ぐああああああああ! 危険植物の持つ毒を更に濃縮し危険度を増した液体が流れ込みまひゅうううううう!」
「ほんとに?」
「もっとスゴイのクレヨオオオオオオオ!」
 ガスマスクとタオルしかつけてないドラクががに股で両手を振り上げた蛮族フォームで飛びかかってくる。
「あぶないっ、演舞・清爽を――!」
 誡女は咄嗟にシャンプーを手のひらににゅにゅっと出すと風呂椅子に座ったエルフィリアの頭を後ろからわしゃわしゃと泡立て始めた。
「あ~、演舞・清風を更に発展させた高等演舞で身体能力が更にアップされるわー」
「ほんとうに?」
「『次の方並んでくださいね。お背中流して回るので』」
「はーい!」
 きせきたちが座って並ぶなか、零と刀嗣は大黒を挟み撃ちにしていた。
「いいか、こいつの裸を見ていいのは俺だけだ。脳みそえぐらないといけねえ。だから見るな。これは俺からの親切だ」
「つまり命数を払えば裸が見られる?」
「そういうこと言ってんじゃねえ!」
 刀嗣が炎の刀を出現させた。何者をも焼き尽くす心の炎が空気すらも焼きながら大黒へと迫る。
 大黒は赤のテ○ガを出現させた。特殊なバルブがカップ内を真空に近い状態にし驚異の吸いつき感を実現する。
「おい。今俺の剣を防御したのか?」
「今現在してるじゃないですか」
「納得できねえ……そして絵面を説明したくねえ……」
 顔をそらす刀嗣。
 すると零が胸元を隠して半歩下がった。
「ちょっと、こっちみてんじゃないわよ諏訪クン!」
「みてねーよ! 頭湯だってんのかアホが!」
「そういういちゃつきは貸し切り温泉かラブホの中でやれやー!」
 ブッチャーを振り上げたブッチャー(ややっこしい)がキエーとかいいながら飛びかかってくる。
 刀をぶち当ててガードする零。
「この状況、流石に座視しちゃあだめだよね……」
 恭司はスタンロッドを取り出すと、ベロ出しチュー○ュートレインしているマフィアたちの背後からそーっと近づいて突き立てた。
「ビガジュウ!」
「ライジュウ!」
 骨をすけすけにしてしびれるマフィアたち。
「……今だよ燐ちゃん。けどタオルはとれないように気をつけてね」
「混浴の場でタオルを外すのは失礼ですしね」
「そうじゃなくてね」
「けれど、子供のことですし皆さんあまり気にしないかと思いますが」
「そうじゃなくてね」
「ヒョヒョヒョ、タオルが濡れて重いでしょう。僕が預かってあげましょう。もしくは十万円で買います」
 ハサミを両手に持ったシャドウがここぞとばかりに飛びかかってくる。
「そんなに高価なタオルではありませんよ」
 燐花はそう言って小太刀を握ると、シャドウの猛攻をしのぎながら天駆と飛燕を繰り出した。
 身体全体の細胞を活性化する事で反応速度を大幅にアップさせ、目にも止まらぬスピードで2連撃を放ちました。
 対するシャドウは螺旋海楼を繰り出した。
 激流の渦を足下に発生させてタオルがめくれあがる様を正座で鑑賞しま――。
 恭司が風呂桶を投げつけた。
「させるかっ!」
「ほびろんっ!?」

●日本にその名をとどろかせる隔者と覚者の一大組織どうしによる日本の未来をかけた戦争の風景
「乳首あてフーフーゲエエエエエエエエエエムッ!」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!」
 説明しよう。乳首当てフーフーゲームとは乳首を晒してシルバー○ャリオッツのポーズをとった相手に対し、挑戦者が目隠しをしてストローをくわえ、三回だけフッてやって乳首に息を吹き当てて相手にイイ声を出させたら(みんなが)勝ちのゲームである。乳首を冷たくぬらしていくと更に盛り上がるぞ!
 じゃあそういうわけだから目隠しをしてストローをくわえシャドウの乳首に向かってフーフーする燐花さんをご想像させる暴挙にでようか。
「燐ちゃんやめっ……やらなくていいから、そういうのは」
「いえ、レクリエーションを途中で投げ出すのは親睦会としていかがなものかと思いますし」
「正論!」
「あれえ!? もはや回想シーンのテイすら守らなくナリマシタヨ!?」
 軽乱れしたリーネが虚空を振り返った。
「いいんだよもう。あんなもん思い出したくもねえ」
「そお? 最後どんなだったかあんまり覚えてないんだけど」
 畳に寝転がって完全にふてくされた刀嗣と、お刺身ぱくぱくして上機嫌な零。
 そんな二人が天井を見上げると、ほわんほわんと回想っぽいゆらぎが生まれた。

「大樹の息吹ー」
 きせきはそう言ってスポンジをにぎにぎするとお肌にうれしいと女子に話題の白樺樹液石けんをこすりつけて泡立たせた。
 そして誡女の腕に優しくこすりつけていく。
「あーはい螺旋海楼」
 後ろからざばーって桶でお湯をかけるシャドウ。
 勢いよくタオルが外れ、誡女は咄嗟に胸元を隠した。
「……! ……!?」
 恥ずかしがる自分の反応に自分で納得いかないみたいな顔をしているが、ちゃっかり迷霧はしていた。あっこれ伏線です。
「大丈夫? 新しいタオルもってこようか?」
「いえ……お気になさらず。見て楽しい身体でもありませんから」
「ウオオオオン! スゴイノクレヨオオオオオオウ!」
 暫くおあずけを食らっていたドラクがアイアンクローを露出させてのけぞり、獣の如く叫んだ。
「ヒョオオオオオオオオウッ!」
 そして大ジャンプからの高速回転をかけると、誡女たちへと飛びかかる。
 あわや裸の美女とショタがピンチだ。
 そんなあからさまな窮地に、エルフィリア先生が!
「圧投」
 鞭でべしんと叩き付けた。
「アァン!?」
 反射的に跪くドラク。
 尻に素足を乗せ、ぐりぐりと踏むエルフィリアです。
 相手を投げる時に特殊な力の加え方をする事で局部に圧力を感じさせ続ける責めです。
「悪いわねえ、ヒールをはいてからシてあげたかったけど」
「アーイグイグイグゥーッ!?」
 踵をぐりぐりとねじるように踏むエルフィリアに、ドラクはがくがくしながら血を吹いた。ガスマスクの裏からあふれるほど血を吹いてぐったりとうつ伏せになった。
「「ドラクゥー!」」
「よくもドラクを許せない! 次お願いします!」
 マフィアたちが襲いかかる。そんな彼らに立ち塞がるリーネ。
「ここは通さないデス! バリアはりましたから、ここからバリアはりましたから、もう触ってくるのもナシデスカラ!」
 リーネが必死に壁のジェスチャーするさなか、大黒が普通に歩み寄っていった。
 目の前に立って、とりあえず頬をベンッと叩く。
「え? ……え?」
 なんで急に頬を叩かれたの? という顔で相手や周囲を見てみるが、大黒はただじーっと見ているだけだった。
「ア、アノ……なんで私叩かれたんデスカ?」
「強いて言うなら趣味ですね。元気で真面目そうな女子の頬をひっぱたいて困惑してるさまをじーっと見つめるのとかたかまるじゃないですかあ」
「変態ダー!」
「隙あり!」
「ブッチャーだ!」
 マフィアとブッチャーのクロスアタックが炸裂。
 リーネが安全ピンで一生懸命補強したタオルが五センチ間隔で細切れにされた。
「キャー! み、見ないでクダサーイ!」
 胸元を隠しながら手近なタオルを掴んで引っ張る。
 引っ張られたのは燐花のタオルだった。
 きょとんとした顔で裸体(霧で大事なところが隠れたやつ)を晒す燐花――を見て成仏するシャドウ。
「もう思い残すことはないです。ガクッ」
「シャドオオオオオオオオオオ!」
「ちょ、ちょっと。返してね、それ……」
 リーネを回復しながらひょいっとタオルを回収する恭司。
「あーだめデス! タオルないとだめデース!」
 とかいいながら別のタオルをひっつかんでいくリーネ。そしてひっぺがされる零のタオル。
「「うつくしい……!」」
 目を焼かれて倒れるマフィア。
「え? なにが? いいから温泉明け渡しなさいよ! ぶっころすわよ!」
 刀振り回して大黒を追いかけ回す零(全裸)。
「おまえ! タオルつけろってあれほっ……おまえー!」
 バスタオルを持って全速力で追いかける刀嗣。
「たすけてー! 刀もった人が追いかけてくるぅー!」
「最初っからでしょそれ!」
 その状況を楽しむがごとく逃げ回す大黒。
「私は温泉にはいるの! はいれないならなぐる!」
「おちつけ! 殴っても温泉には入れねえよ!」
「HANASE!」
 羽交い締めにする刀嗣を振り払って暴れる零。
 その光景を、『すわくんが冷静なこといってるー』みたいな顔で眺める仲間たち。
 最終的には抱え上げた零を温泉に叩き込むという諏訪湯煙パワーボムでフィニッシュKOとなった。

「で、結局……」
 エルフィリアが手酌しながら横を向いた。
 スマホをいじっていた誡女がはっとして振り返る。
「『今本部に連絡を入れました。湯涌温泉の制圧を完了、ヒノマル・ファイヴ両管理者同意の上で温泉設備の利用許可が下りたそうです』」
「よかったわねえ」
「アーイグゥー!」
 ヒールでドラクを踏みながら、エルフィリアはおグラスをぐいっとやった。

 ――敵拠点『湯涌温泉』の制圧に成功しました!
 ――敵拠点『湯涌温泉』が利用できます!

■シナリオ結果■

大成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし




 
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