<ヒノマル戦争>残虐空間制圧作戦
●残虐空間とザンギャクコア
「現在ヒノマル陸軍との戦争状態にある。FH協定によって一般人への被害は無いが、この期間中にどれだけの拠点を制圧・防衛できるかが決戦の鍵となるだろう」
中 恭介(nCL2000002)は集まった覚者たちに今回の依頼について説明していた。
「以前、協力組織の『五行戦隊カクセイジャー』から、敵協力組織『残虐帝国』のアジトとなる拠点の情報を提供してもらった。今回はこの拠点の制圧作戦を立てることになる……が、少々段階の分かれる話になるので、間違えないようによく聞いて欲しい」
まず『残虐空間』について知っておかねばならない。
これは古妖残虐大帝が生み出す特殊な空間で、現実とは別の次元に存在している。
残虐空間では大帝をはじめとする様々な『怪人』が存在しており、こちらの次元へ進撃する機会をうかがっているのだ。
特に恐ろしいのは『ゲート』の存在である。
これを用いることで残虐大帝は自らの兵を直接ファイブの本拠地に送り込むことが可能となり、戦略的にも是非潰しておきたい手段だ。
「ゲートは『ザコ』と呼ばれる最弱の兵隊を十人程度呼び出すだけならすぐに作れるが、大隊規模で移動させるとなると数ヶ月を要するらしい。それが可能なゲートは『若狭湾』『琵琶湖』の二箇所で確認されている。これを制圧することは、今回大きな価値を持つだろう」
なので今回目指すべき目標はこうなる。
最低達成条件:『若狭湾』『琵琶湖』のゲート出入り口を制圧する。
できれば達成したい条件:残虐大帝を倒してゲートの作成能力をなくす。
達成できたらすごい条件:残虐大帝と幹部怪人全員を倒して現実次元での活動能力を著しく失わせる。
「だが気をつけてくれ。残虐空間では全ての怪人がフルパワー状態で存在している。普通のやり方ではまず全滅はできないと考えた方がいいだろう。とはいえ、ゲートの出入り口を制圧するだけでも充分に価値はある。皆、気をつけて戦ってくれ!」
「現在ヒノマル陸軍との戦争状態にある。FH協定によって一般人への被害は無いが、この期間中にどれだけの拠点を制圧・防衛できるかが決戦の鍵となるだろう」
中 恭介(nCL2000002)は集まった覚者たちに今回の依頼について説明していた。
「以前、協力組織の『五行戦隊カクセイジャー』から、敵協力組織『残虐帝国』のアジトとなる拠点の情報を提供してもらった。今回はこの拠点の制圧作戦を立てることになる……が、少々段階の分かれる話になるので、間違えないようによく聞いて欲しい」
まず『残虐空間』について知っておかねばならない。
これは古妖残虐大帝が生み出す特殊な空間で、現実とは別の次元に存在している。
残虐空間では大帝をはじめとする様々な『怪人』が存在しており、こちらの次元へ進撃する機会をうかがっているのだ。
特に恐ろしいのは『ゲート』の存在である。
これを用いることで残虐大帝は自らの兵を直接ファイブの本拠地に送り込むことが可能となり、戦略的にも是非潰しておきたい手段だ。
「ゲートは『ザコ』と呼ばれる最弱の兵隊を十人程度呼び出すだけならすぐに作れるが、大隊規模で移動させるとなると数ヶ月を要するらしい。それが可能なゲートは『若狭湾』『琵琶湖』の二箇所で確認されている。これを制圧することは、今回大きな価値を持つだろう」
なので今回目指すべき目標はこうなる。
最低達成条件:『若狭湾』『琵琶湖』のゲート出入り口を制圧する。
できれば達成したい条件:残虐大帝を倒してゲートの作成能力をなくす。
達成できたらすごい条件:残虐大帝と幹部怪人全員を倒して現実次元での活動能力を著しく失わせる。
「だが気をつけてくれ。残虐空間では全ての怪人がフルパワー状態で存在している。普通のやり方ではまず全滅はできないと考えた方がいいだろう。とはいえ、ゲートの出入り口を制圧するだけでも充分に価値はある。皆、気をつけて戦ってくれ!」

■シナリオ詳細
■成功条件
1.戦闘に勝利する
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
勝敗によって拠点制圧の是非が決まります。
今回は敵協力組織『残虐帝国』の本陣へ攻め入ることになるため、かなり内容が複雑になっています。
よく読み、よく相談し、方針や作戦をキッチリと固めて挑んでください。
こちらも文字数の許す限り補足でお助けします。
敵は残虐帝国のボスと幹部チーム。
味方はファイヴの覚者チームに加え、五行戦隊カクセイジャーが協力します。
●エネミーデータ
・『残虐帝国大帝』残虐大帝:後衛
→A強カウ、A強反射、P飛行、特敵全大ダメージ【解除】【麻痺】
→覚者六人前の戦力。防御は物特共に普通だが体力がきわめて豊富。火力激高。
・『怪人』ヤツアタリ:前衛
→疑似白夜、疑似十六夜、疑似灼熱化。
→覚者一人前。の戦力。火力撃高。低防御。
・『怪人』サカウラミ:中衛
→疑似潤しの雨、疑似潤しの滴、疑似演舞・舞音、疑似深想水、疑似清廉珀香
→覚者一人前。高特攻、低防御。
・『怪人』ネタミ:中衛
→特遠単【凶】、特遠列【呪い】【不運】
→覚者一人前。防御と体力高め
・『怪人』ヒガミ:中衛
→特遠単【負荷】【封印】、特遠列【弱体】【鈍化】
→覚者一人前。防御と体力高め
●味方戦力
全員命数復活あり。
・レッド:火行暦
→前衛アタッカー、中級体術を一通り取得
・ブルー:水行暦
→前衛アタッカー・ヒーラー、弐式術式まで習得
・グリーン:木行暦
→後衛アタッカー・BSサポーター、弐式術式まで習得
・ブラウン:土行暦
→後衛体術式ヒーラー・こまごましたサポーター
・イエロー:天行暦
→前衛ディフェンダー
※連携について
一人につき1キャラずつ連携プレイングを書くか、誰か一人をコマンダーにして連携のハブとするかのどちらかを推奨。
●成功条件と大成功条件について
最低成功条件は協定におけるチーム戦闘に勝利することです。
残虐大帝も無駄に倒されたくないので、部下の怪人が3人倒された所で撤退するでしょう。要するにこちらの勝利となります。
しかしその場合、『若狭湾』『琵琶湖』のゲートを封鎖できるだけで、敵のパワーそのものを大きく落とすことはできません。
そのため、以下の大成功条件について補足します。
・残虐大帝を倒し、ザンギャクコアを破壊する(難易度一段階上昇=『難』)
敵のボスである残虐大帝を倒すことで自動的にザンギャクコアを破壊。ゲートの作成能力を失わせます。
こうすることで、決戦時ほぼ無限にザコ兵士を生み出すという残虐大帝の得意技を封じることができます。
手段としては、幹部怪人を『2体まで』倒した状態で、残りの怪人二人にブロックをかけて押さえ込み、残りのメンバー全員で残虐大帝へ総攻撃を仕掛けます。
残虐大帝は覚者チーム一つ分の戦闘力を持っているので、こちらの戦力が(命数復活や体力を含めた総合的なもの)が七割をきった場合はこの作戦を諦めたほうがよいでしょう。
・幹部怪人と残虐大帝全員を倒し、残虐帝国を実質上壊滅させる。(難易度二段階上昇=『至難』)
普通に考えて無理な作戦を言います。
下手すると1~2ターンで沈んでしまいかねない敵の猛攻を防ぎ、味方全員の体力をマックス付近に保ち、尚且つ敵の体力を全員一割程度でキープし、BSをきわめて上手に使ってリカバリー不能にし、超火力の全体攻撃をもつ仲間を因術体未四枠で限界まで強化した上で敵全員をいっぺんに戦闘不能にするイリュージョンみたいな作戦が成功した場合のみ可能です。
要求するPCスペック、相談やプレイングを含むリアルPLスペックなどあらゆる要素を依頼参加前から要求する凄まじい難易度です。
==============================
・補足ルール1
EXプレイングにてこちらからの攻撃アクションを投票できます。
※補足が長くなったので、補足ルール1~3を省略します。
==============================
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
6日
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
6/6
公開日
2016年12月12日
2016年12月12日
■メイン参加者 6人■

●残虐空間へ
琵琶湖の西側に開いていた残虐空間へのゲート。
立ち入り禁止のテープを潜り、五行戦隊カクセイジャーとファイヴの六人が現われた。
首を傾げてゲートをにらむ『黒い太陽』切裂 ジャック(CL2001403)。
「残虐空間ってなんやろって思っていたけど、ははーんそういうことね」
「だ、大丈夫かなあ……僕たちが来るにはまだ早いんじゃ……」
「ええい、ここまで来て怖じ気づくでないわ!」
ビクビクするグリーンを丸めた新聞紙で叩くざーちゃん。
そのざーちゃんの口に飴ちゃん突っ込みつつ、『彼誰行灯』麻弓 紡(CL2000623)がゲートへ振り返った。
「ボクらのコンビネーション、見せつけてやろう。ね、ブラウンちゃん」
「よろしくね」
ぱちんとハイタッチする紡とブラウン。
ざーちゃんが飴ちゃん転がしながら言った。
「よいか。ゲートを広げられるのはこの一回だけじゃ。リトライはできないと思っておくのだぞ?」
「はい……この結果が決戦に大きく影響するんですよね。頑張らないと」
強く魔導書を握りしめる『エピファニアの魔女』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)。
レッドと『花守人』三島 柾(CL2001148)が互いにがっしりと手を握りあい、続けて拳をぶつけ合った。
「よろしくな。今度こそ、残虐大帝を倒す!」
「ああ、柾たちと一緒なら誰にも負けないぜ!」
並び立ち、横目で頷き会う賀茂 たまき(CL2000994)とイエロー。
「一緒に皆さんをお守りしましょう。これまで以上に、頑張りましょうね……!」
「戦いの経験はたまきさんたちの方がずっと上なんだな。打ち合わせ通りに動くから、よろしくなんだな!」
腕組みをするブルーの肩を、『小さなヒーロー』成瀬 翔(CL2000063)が強く叩いた。
不敵に笑うブルーと翔。
「三度目の正直だ。今度こそ……!」
「ああ、倒す!」
腕が入るかどうかの小ささだったゲートが大きく開いていく。
皆は頷きあうと、ゲートを維持する係のざーちゃんを残して残虐空間へと飛び込んでいった。
残虐空間。それは負の感情によって生まれた『怪人』たちが生み出した異次元空間である。
空には黒い稲妻が走り、遠くには大きく禍々しい城がそびえ立っている。
「フハハハハ! よくぞここまでやってきたと褒めてやろう、カクセイジャーとファイヴの戦士たちよ!」
雷鳴と共に現われたのは、残虐大帝とフルパワーの幹部怪人たち。
そして周りをぐるりと囲むザコ兵の大軍である。
「これだけの兵が……」
「けど、ザンギャクコアを破壊すれば兵隊を現実空間には出せなくなる。俺たちの狙いはそれだ」
「はい……がんばりましょう!」
「変身シーンは一緒にやろうぜ、翔!」
「おう!」
レッドは剣を、翔はスマートホンを翳して叫んだ。
「「カクセイチェンジ!!」」
11人の覚者たちが同時に覚醒。
それぞれの武器をフルパワー状態で漲らせると、残虐帝国へと走り出した。
ザコを蹴散らすパートも怪人と組み合うパートも今回はない。
最初からクライマックスだ。
「ブルー、超純水だ! 自分を守って、ネタミやヒガミのBSにかかった仲間を深想水で回復するんだ!」
「いいアイデアだ。任せろ!」
刀を天に掲げて自らに水の鎧を纏わせていくブルー。
その一方で、翔はスマートホンを操作。
「ラーラ、合体技でいくぞ!」
「はい……!」
翔のスマホから立体陰陽陣が浮き上がり、全方位を囲むようにラーラの魔方陣が発生。
「良い子に甘い焼き菓子を、悪い子には石炭を」
「神の雷!」
「イオ・ブルチャーレ!」
高速回転した連想陰陽魔方陣が赤い稲妻がまき散らし。ヤツアタリへと降り注ぐ。
「ぐおおおおおおおっ!? くそぉ! また俺様から……この鬱憤は貴様で晴らしてくれる!」
「そうはさせるか!」
レッドが前へ飛び出し、ヤツアタリの打撃を受け止める……が、あまりのパワーにレッドを含めた周りの仲間たちがまとめて吹き飛ばされる。
「さすがにフルパワーだと前みたいにいかないか……!」
「だいじょーぶっ」
紡がふわりと飛び上がり、スリングショットに祈りの力を込めてレッドへと発射した。
エネルギーが身体に溶け込み、力がわき上がっていく。
「リーダー、一発目決めて来ちゃって!」
「ありがとう! いこう、柾! 合体技だ!」
「ああ……!」
レッドは剣に全エネルギーをため込み、柾は拳にエネルギーを集中。
二人は一度交差アタックをしかけると、素早いターンで柾がアッパーカット。
飛び上がったヤツアタリめがけ、レッドが跳躍からの大上段斬りを繰り出した。
「ぐっ、ぐあああああああ! 俺様がっ、こ、こんな簡単に……嘘だああああああ!」
大爆発をおこして消滅するヤツアタリ。
レッドと柾はそれぞれ背を向け、ギラリと見栄を切った。
「な、なんという勢い……ウウラメシイ!」
サカウラミがばたばたと身体を揺すり、負の力を味方全体に行き渡らせていく。
「疑似清廉珀香ですね。グリーンさん!」
「任せて! 僕だって!」
グリーンはスプレーガンを取り出すと、味方全体に行き渡るように術式性の対抗薬をまき散らした。
びしりと指を突きつけるジャック。
「聞け、残虐! 世界の征服なんざさせやしねえ。日本も必ず救って見せる! 俺は希望を捨てない。俺は夢(平和)を諦めない。俺は大切な人がいる世界を護る。妬みも八つ当たりもひがみも逆恨みもそんな負の感情全て背負って、笑い飛ばして俺は生きる!!」
言葉を力に紡ぎ上げるかのごとく、ジャックは氷の槍を形成していく。
「今日、ここでお前の野望を打ち砕く!! 覚悟しな!!」
放たれた槍がサカウラミを貫通。余った衝撃がぶつかり、残虐大帝はマントを生み出して防御した。
「ああっ、残虐大帝陛下!」
サカウラミが慌てて回復の術を編み上げようとする間に、たまきが勢いよく駆け込んだ。
「イエローさん!」
「なんだな!」
イエロは自らの身体を転がしてサカウラミへ突撃。
衝突によろめいたところで、たまきがリュックに入っている分厚い封筒を両手で引き抜き術式伝達。
爆発したように解き放たれた大量の護符に加速を受けて、たまきはサカウラミへと高速突撃をしかけた。
「ギャッ!?」
巻き添えをくって吹き飛ばされるネタミとヒガミ。
上半身を失ったサカウラミはしばらくばたばたしたかと思うと、仰向けに倒れて爆発した。
「ヒイイッ! サカウラミさんまで!」
「この若さ、ね、ねたましい……!」
しりもちをついたヒガミとネタミはじたじたと残虐大帝のところまで下がっていった。
顔を見合わせるジャックやラーラたち。
「清廉珀香や超純水でBS対策はばっちりやけ。ネタミやヒガミのBS攻撃もこれで恐くない」
「皆さんも強化や補助でしっかり固めていますし……さあ、作戦通りに行きましょう!」
「狙うは、ザンギャクコア!」
瞬く間にヤツアタリとサカウラミを倒されてしまった残虐帝国の幹部怪人たち。
周囲のザコ兵たちもざわざわとし始める。
「むう……」
暗黒のマントで自らを包み、唸る残虐大帝。
ラーラと柾は頷き合った。
小さな魔方陣を大量に生み出し、腕を突っ込むラーラ。
炎のエネルギーをガントレットに込め、強く加熱させる柾。
「なにをやろうとしているかは知らないが……!」
「やらせませんよお!」
ネタミとヒガミがそれぞれ禍々しいビームを放ってくるが、レッドとグリーンが間に割り込んで代わりに攻撃を受けた。
「くっ……これはキツいぜ!」
「けど、今だよ!」
膝を突いたレッドとグリーン。彼らの前へ出て、ラーラと柾は残虐大帝へと突撃した。
「あなたの防御――」
「打ち破る!」
二人の拳は残虐大帝のマントで弾かれる――かと思いきや、炎の力がマントを焼き尽くし、残虐大帝のボディをがら空きにしてしまった。
「何っ!?」
「ああっ! 残虐大帝陛下のマントが……!」
「知らなかったのか? 双撃って技だ。敵の補助や強化を【解除】できる」
すぐさま飛び退いて構える柾たち。
そんな彼らに、残虐大帝は笑った。
「フ、フハハハハ……なるほど。愚かなる人間どもと思っていたが、少しはやるようだな。だがここまでだ!」
杖をとり、振りかざす残虐大帝。
暗黒の雷が起こり柾やラーラ、カクセイジャーたちをうった。
「そおれもう一発!」
返す刀で杖を振り、雷を重ねていくる残虐大帝。
「くっ、またあの【麻痺】効果だ!」
「しびれて動けない。それに、体術も封じられる!」
レッドとブルーが膝をつく。
その様子に紡がハッとした。
「ブラウンちゃん、この攻撃って……」
「【解除】効果だ。清廉珀香も超純水もはがされちゃってる!」
「な……しまった! 解除効果があることを、完全に忘れていた……!」
「こうなったら、アドリブで行くしか……!」
翔はしびれる身体を起こし、演舞・舞音の陣を起動させた。
なんとか立ち上がろうとするラーラたち。
そこへ、ネタミが拡散ビームを発射した。
「ここまでされて諦めないなどと……ネタマシイ!」
【呪い】と【不運】の力がラーラたちを縛り付ける。
更にヒガミも拡散ビームを発射。
「お前たちの足を引っ張ってやる! お前たちさえいなければ世界征服なんて簡単なんですよ!」
地面を這うように走ったビームが柾たちの足を掴み、【弱体】と【鈍化】の力で絡みついてくる。
「さあ、とどめだ!」
杖を掲げる残虐大帝。
「危ない、みんな!」
レッドたちが前に飛び出し、ジャックや紡たちの盾になる。
暗黒の雷に打たれたレッドたちはがくりと膝をつき、変身を解いて倒れた。
「レッド、みんな!」
「なぜ盾になったんです。まだ私たちは……!」
グリーンは薄目を開け、煤のついた顔で笑った。
「この世の悪と戦えるのは僕たちだけじゃない。けど、君たちが居れば……きっと悪に打ち勝てる。そう思うんだ。だから……」
がくりと気を失うグリーン。
紡とジャックは、こくりと頷きあった。
「小癪なことを。この残虐空間を貴様らの墓場にしてくれるわ!」
再び放たれる暗黒の雷。
ジャックは拳をぎゅっと握りしめると、全力で回復術式を放った。
同じくステッキを振り上げて回復術式を展開する紡。
二人の力が残虐大帝の雷とぶつかり合い、はじけていく。
「翔……これを……」
レッドがわずかに起き上がり、翔にタブレットPCを突きだした。
「DXカクセイパッドだ。お前なら、これを使いこなせる」
「……レッド。わかった、任せてくれ!」
翔はタブレットを手に取ると、二本指を筆にして陰陽文字を画面に入力した。
ホログラムで空中に浮き上がる立体陰陽陣。
陣は巨大な雷の竜となり、ネタミとヒガミへと襲いかかる。
「な、なんで私たちに……!」
「この力……やはりネタマシイ!!」
爆発の中に包まれる怪人たち。
「たまき、今だ!」
「はい……!」
たまきは御朱印帳を展開させると、大地の術式を組み上げた。
急速に隆起した大地がネタミを貫通。
「ヒギッ!? ギャアアアアアアア!?」
爆発を起こし、ネタミは消滅してしまった。
「みなさん、条件は達成しました。カクセイジャさんたちを抱えて撤退します!」
叫ぶたまき。対して残虐大帝は、杖を振って彼我の間に大きな亀裂を生み出した。
大地が直接割れ、大きな谷に阻まれる。
「よかろう、ファイヴとカクセイジャーどもよ。琵琶湖と若狭湾のゲートは貴様らにくれてやる。せいぜい決戦の日を楽しみにするのだな! フハハハハハハハハ!」
●ゲート封鎖
閉じるゲートから飛び出してきたジャックたちは、その場にごろごろと転がった。
「おおっ、皆生きて帰ってきたか! よくやっ……ゴホン、我が家臣ならば当然であるぞ!」
ざーちゃんが胸を張って出迎えていた。
ゆっくりと起き上がる翔たち。
「ザンギャクコアを破壊することはできなかったけど、ファイヴを狙うためのゲートは封鎖することができた」
「はい、これで決戦でヒノマル陸軍の大隊を直接送り込まれることは無くなりました」
「でもザコ兵を無限に生み出すんだよね。大丈夫かなあ……」
「大丈夫だ。俺たちは負けない!」
グッと拳を突き出す柾たち。
ブルーやレッドも彼らに拳を合わせた。
「その時は、俺たちも駆けつけるぜ! 勝とう、皆!」
――拠点『残虐空間』の限定制圧に成功しました!
琵琶湖の西側に開いていた残虐空間へのゲート。
立ち入り禁止のテープを潜り、五行戦隊カクセイジャーとファイヴの六人が現われた。
首を傾げてゲートをにらむ『黒い太陽』切裂 ジャック(CL2001403)。
「残虐空間ってなんやろって思っていたけど、ははーんそういうことね」
「だ、大丈夫かなあ……僕たちが来るにはまだ早いんじゃ……」
「ええい、ここまで来て怖じ気づくでないわ!」
ビクビクするグリーンを丸めた新聞紙で叩くざーちゃん。
そのざーちゃんの口に飴ちゃん突っ込みつつ、『彼誰行灯』麻弓 紡(CL2000623)がゲートへ振り返った。
「ボクらのコンビネーション、見せつけてやろう。ね、ブラウンちゃん」
「よろしくね」
ぱちんとハイタッチする紡とブラウン。
ざーちゃんが飴ちゃん転がしながら言った。
「よいか。ゲートを広げられるのはこの一回だけじゃ。リトライはできないと思っておくのだぞ?」
「はい……この結果が決戦に大きく影響するんですよね。頑張らないと」
強く魔導書を握りしめる『エピファニアの魔女』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)。
レッドと『花守人』三島 柾(CL2001148)が互いにがっしりと手を握りあい、続けて拳をぶつけ合った。
「よろしくな。今度こそ、残虐大帝を倒す!」
「ああ、柾たちと一緒なら誰にも負けないぜ!」
並び立ち、横目で頷き会う賀茂 たまき(CL2000994)とイエロー。
「一緒に皆さんをお守りしましょう。これまで以上に、頑張りましょうね……!」
「戦いの経験はたまきさんたちの方がずっと上なんだな。打ち合わせ通りに動くから、よろしくなんだな!」
腕組みをするブルーの肩を、『小さなヒーロー』成瀬 翔(CL2000063)が強く叩いた。
不敵に笑うブルーと翔。
「三度目の正直だ。今度こそ……!」
「ああ、倒す!」
腕が入るかどうかの小ささだったゲートが大きく開いていく。
皆は頷きあうと、ゲートを維持する係のざーちゃんを残して残虐空間へと飛び込んでいった。
残虐空間。それは負の感情によって生まれた『怪人』たちが生み出した異次元空間である。
空には黒い稲妻が走り、遠くには大きく禍々しい城がそびえ立っている。
「フハハハハ! よくぞここまでやってきたと褒めてやろう、カクセイジャーとファイヴの戦士たちよ!」
雷鳴と共に現われたのは、残虐大帝とフルパワーの幹部怪人たち。
そして周りをぐるりと囲むザコ兵の大軍である。
「これだけの兵が……」
「けど、ザンギャクコアを破壊すれば兵隊を現実空間には出せなくなる。俺たちの狙いはそれだ」
「はい……がんばりましょう!」
「変身シーンは一緒にやろうぜ、翔!」
「おう!」
レッドは剣を、翔はスマートホンを翳して叫んだ。
「「カクセイチェンジ!!」」
11人の覚者たちが同時に覚醒。
それぞれの武器をフルパワー状態で漲らせると、残虐帝国へと走り出した。
ザコを蹴散らすパートも怪人と組み合うパートも今回はない。
最初からクライマックスだ。
「ブルー、超純水だ! 自分を守って、ネタミやヒガミのBSにかかった仲間を深想水で回復するんだ!」
「いいアイデアだ。任せろ!」
刀を天に掲げて自らに水の鎧を纏わせていくブルー。
その一方で、翔はスマートホンを操作。
「ラーラ、合体技でいくぞ!」
「はい……!」
翔のスマホから立体陰陽陣が浮き上がり、全方位を囲むようにラーラの魔方陣が発生。
「良い子に甘い焼き菓子を、悪い子には石炭を」
「神の雷!」
「イオ・ブルチャーレ!」
高速回転した連想陰陽魔方陣が赤い稲妻がまき散らし。ヤツアタリへと降り注ぐ。
「ぐおおおおおおおっ!? くそぉ! また俺様から……この鬱憤は貴様で晴らしてくれる!」
「そうはさせるか!」
レッドが前へ飛び出し、ヤツアタリの打撃を受け止める……が、あまりのパワーにレッドを含めた周りの仲間たちがまとめて吹き飛ばされる。
「さすがにフルパワーだと前みたいにいかないか……!」
「だいじょーぶっ」
紡がふわりと飛び上がり、スリングショットに祈りの力を込めてレッドへと発射した。
エネルギーが身体に溶け込み、力がわき上がっていく。
「リーダー、一発目決めて来ちゃって!」
「ありがとう! いこう、柾! 合体技だ!」
「ああ……!」
レッドは剣に全エネルギーをため込み、柾は拳にエネルギーを集中。
二人は一度交差アタックをしかけると、素早いターンで柾がアッパーカット。
飛び上がったヤツアタリめがけ、レッドが跳躍からの大上段斬りを繰り出した。
「ぐっ、ぐあああああああ! 俺様がっ、こ、こんな簡単に……嘘だああああああ!」
大爆発をおこして消滅するヤツアタリ。
レッドと柾はそれぞれ背を向け、ギラリと見栄を切った。
「な、なんという勢い……ウウラメシイ!」
サカウラミがばたばたと身体を揺すり、負の力を味方全体に行き渡らせていく。
「疑似清廉珀香ですね。グリーンさん!」
「任せて! 僕だって!」
グリーンはスプレーガンを取り出すと、味方全体に行き渡るように術式性の対抗薬をまき散らした。
びしりと指を突きつけるジャック。
「聞け、残虐! 世界の征服なんざさせやしねえ。日本も必ず救って見せる! 俺は希望を捨てない。俺は夢(平和)を諦めない。俺は大切な人がいる世界を護る。妬みも八つ当たりもひがみも逆恨みもそんな負の感情全て背負って、笑い飛ばして俺は生きる!!」
言葉を力に紡ぎ上げるかのごとく、ジャックは氷の槍を形成していく。
「今日、ここでお前の野望を打ち砕く!! 覚悟しな!!」
放たれた槍がサカウラミを貫通。余った衝撃がぶつかり、残虐大帝はマントを生み出して防御した。
「ああっ、残虐大帝陛下!」
サカウラミが慌てて回復の術を編み上げようとする間に、たまきが勢いよく駆け込んだ。
「イエローさん!」
「なんだな!」
イエロは自らの身体を転がしてサカウラミへ突撃。
衝突によろめいたところで、たまきがリュックに入っている分厚い封筒を両手で引き抜き術式伝達。
爆発したように解き放たれた大量の護符に加速を受けて、たまきはサカウラミへと高速突撃をしかけた。
「ギャッ!?」
巻き添えをくって吹き飛ばされるネタミとヒガミ。
上半身を失ったサカウラミはしばらくばたばたしたかと思うと、仰向けに倒れて爆発した。
「ヒイイッ! サカウラミさんまで!」
「この若さ、ね、ねたましい……!」
しりもちをついたヒガミとネタミはじたじたと残虐大帝のところまで下がっていった。
顔を見合わせるジャックやラーラたち。
「清廉珀香や超純水でBS対策はばっちりやけ。ネタミやヒガミのBS攻撃もこれで恐くない」
「皆さんも強化や補助でしっかり固めていますし……さあ、作戦通りに行きましょう!」
「狙うは、ザンギャクコア!」
瞬く間にヤツアタリとサカウラミを倒されてしまった残虐帝国の幹部怪人たち。
周囲のザコ兵たちもざわざわとし始める。
「むう……」
暗黒のマントで自らを包み、唸る残虐大帝。
ラーラと柾は頷き合った。
小さな魔方陣を大量に生み出し、腕を突っ込むラーラ。
炎のエネルギーをガントレットに込め、強く加熱させる柾。
「なにをやろうとしているかは知らないが……!」
「やらせませんよお!」
ネタミとヒガミがそれぞれ禍々しいビームを放ってくるが、レッドとグリーンが間に割り込んで代わりに攻撃を受けた。
「くっ……これはキツいぜ!」
「けど、今だよ!」
膝を突いたレッドとグリーン。彼らの前へ出て、ラーラと柾は残虐大帝へと突撃した。
「あなたの防御――」
「打ち破る!」
二人の拳は残虐大帝のマントで弾かれる――かと思いきや、炎の力がマントを焼き尽くし、残虐大帝のボディをがら空きにしてしまった。
「何っ!?」
「ああっ! 残虐大帝陛下のマントが……!」
「知らなかったのか? 双撃って技だ。敵の補助や強化を【解除】できる」
すぐさま飛び退いて構える柾たち。
そんな彼らに、残虐大帝は笑った。
「フ、フハハハハ……なるほど。愚かなる人間どもと思っていたが、少しはやるようだな。だがここまでだ!」
杖をとり、振りかざす残虐大帝。
暗黒の雷が起こり柾やラーラ、カクセイジャーたちをうった。
「そおれもう一発!」
返す刀で杖を振り、雷を重ねていくる残虐大帝。
「くっ、またあの【麻痺】効果だ!」
「しびれて動けない。それに、体術も封じられる!」
レッドとブルーが膝をつく。
その様子に紡がハッとした。
「ブラウンちゃん、この攻撃って……」
「【解除】効果だ。清廉珀香も超純水もはがされちゃってる!」
「な……しまった! 解除効果があることを、完全に忘れていた……!」
「こうなったら、アドリブで行くしか……!」
翔はしびれる身体を起こし、演舞・舞音の陣を起動させた。
なんとか立ち上がろうとするラーラたち。
そこへ、ネタミが拡散ビームを発射した。
「ここまでされて諦めないなどと……ネタマシイ!」
【呪い】と【不運】の力がラーラたちを縛り付ける。
更にヒガミも拡散ビームを発射。
「お前たちの足を引っ張ってやる! お前たちさえいなければ世界征服なんて簡単なんですよ!」
地面を這うように走ったビームが柾たちの足を掴み、【弱体】と【鈍化】の力で絡みついてくる。
「さあ、とどめだ!」
杖を掲げる残虐大帝。
「危ない、みんな!」
レッドたちが前に飛び出し、ジャックや紡たちの盾になる。
暗黒の雷に打たれたレッドたちはがくりと膝をつき、変身を解いて倒れた。
「レッド、みんな!」
「なぜ盾になったんです。まだ私たちは……!」
グリーンは薄目を開け、煤のついた顔で笑った。
「この世の悪と戦えるのは僕たちだけじゃない。けど、君たちが居れば……きっと悪に打ち勝てる。そう思うんだ。だから……」
がくりと気を失うグリーン。
紡とジャックは、こくりと頷きあった。
「小癪なことを。この残虐空間を貴様らの墓場にしてくれるわ!」
再び放たれる暗黒の雷。
ジャックは拳をぎゅっと握りしめると、全力で回復術式を放った。
同じくステッキを振り上げて回復術式を展開する紡。
二人の力が残虐大帝の雷とぶつかり合い、はじけていく。
「翔……これを……」
レッドがわずかに起き上がり、翔にタブレットPCを突きだした。
「DXカクセイパッドだ。お前なら、これを使いこなせる」
「……レッド。わかった、任せてくれ!」
翔はタブレットを手に取ると、二本指を筆にして陰陽文字を画面に入力した。
ホログラムで空中に浮き上がる立体陰陽陣。
陣は巨大な雷の竜となり、ネタミとヒガミへと襲いかかる。
「な、なんで私たちに……!」
「この力……やはりネタマシイ!!」
爆発の中に包まれる怪人たち。
「たまき、今だ!」
「はい……!」
たまきは御朱印帳を展開させると、大地の術式を組み上げた。
急速に隆起した大地がネタミを貫通。
「ヒギッ!? ギャアアアアアアア!?」
爆発を起こし、ネタミは消滅してしまった。
「みなさん、条件は達成しました。カクセイジャさんたちを抱えて撤退します!」
叫ぶたまき。対して残虐大帝は、杖を振って彼我の間に大きな亀裂を生み出した。
大地が直接割れ、大きな谷に阻まれる。
「よかろう、ファイヴとカクセイジャーどもよ。琵琶湖と若狭湾のゲートは貴様らにくれてやる。せいぜい決戦の日を楽しみにするのだな! フハハハハハハハハ!」
●ゲート封鎖
閉じるゲートから飛び出してきたジャックたちは、その場にごろごろと転がった。
「おおっ、皆生きて帰ってきたか! よくやっ……ゴホン、我が家臣ならば当然であるぞ!」
ざーちゃんが胸を張って出迎えていた。
ゆっくりと起き上がる翔たち。
「ザンギャクコアを破壊することはできなかったけど、ファイヴを狙うためのゲートは封鎖することができた」
「はい、これで決戦でヒノマル陸軍の大隊を直接送り込まれることは無くなりました」
「でもザコ兵を無限に生み出すんだよね。大丈夫かなあ……」
「大丈夫だ。俺たちは負けない!」
グッと拳を突き出す柾たち。
ブルーやレッドも彼らに拳を合わせた。
「その時は、俺たちも駆けつけるぜ! 勝とう、皆!」
――拠点『残虐空間』の限定制圧に成功しました!
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし

■あとがき■
レアドロップ
取得キャラクター:『小さなヒーロー』成瀬 翔(CL2000063)
取得アイテム:DXカクセイパッド
取得キャラクター:『小さなヒーロー』成瀬 翔(CL2000063)
取得アイテム:DXカクセイパッド
