情熱X ~プロジェクト大陸~
【F村S2】情熱X ~プロジェクト大陸~


●テレビ取材が来る!
 ヒノマル陸軍がファニーなテンションで攻めてきてから半月あまりが経った頃。
 ついに、というかやっと、ファイヴ村を特集するべくテレビ取材が入ります。
 二時間スペシャルの特番を組んでファイヴ村のあらゆる部分を取材するそうです。
 これまであった色々なこと。
 苦労したこともあれば、思いがけない幸運や巡り合わせもありました。
 振り返りながら、紹介していきましょう。
 あなたの作った、ファイヴ村を。


■シナリオ詳細
種別:シリーズ
難易度:簡単
担当ST:八重紅友禅
■成功条件
1.ファイヴ村をテレビに紹介する
2.なし
3.なし
 シリーズ第二弾の第四回。このテレビ取材編を挟んで第五回でシリーズ満了となります。
 第五回は村の今後を決定するべく後続を決めたり育てたりする回となる予定です。

 というわけで今回は
 『どんなことをしているか』
 『どんな所から始めたのか』
 『どんな理由があったのか』
 『どんなことに困っているのか』
 くわえて
 『どんなことが嬉しかったのか』
 それを担当ごとに振り分けて語っていきましょう。

 明確に担当が分かれているところもありますし、なにげに一緒にやっている部分も少なくないでしょう。
 特に立ち上げ時はみんな一緒にスタートだったので、その辺は被ってくるかもしれません。
 番組のどのパートを担当するかを話し合ったり、どこを推したいかを各メンバーで主張し合ったりという形でご相談ください。
 できあがった番組は各地方のケーブルテレビで放送されます。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
(0モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
公開日
2017年01月03日

■メイン参加者 6人■

『正義のヒーロー』
天楼院・聖華(CL2000348)
『希望を照らす灯』
七海 灯(CL2000579)
『田中と書いてシャイニングと読む』
ゆかり・シャイニング(CL2001288)

●情熱X 人と古妖が過ごす村づくり
「きゅーじゅはーち、きゅーじゅく、ひゃーく……はいリモコンどーこだ!」
 大宴会場のど真ん中で行なわれたリモコン隠しイベント。
 これは古妖『リモコン隠し』が約三十年の月日をへていま再び脚光を浴びたことへの祝賀会である。
 その幹事を務めるのは『村の王子様』プリンス・オブ・グレイブル(CL2000942)。
 誰あろう、あの国民的ヒーロー『ファイヴ』の一員である。

 国内一万種以上といわれる古妖の存在。彼らは長らく存在を無視されてきたが、Aショック移行の現代では立派な問題と化していた。
 本当は存在した妖怪たち。
 彼らの特徴は千差万別で、リモコンを隠すだけのものや歩くタンスや田畑を腐らせる悪鬼など様々。そんな存在に対し国は一切対応することができずにいた。
 しかし、ここ……通称ファイヴ村にはそんな古妖たちが人間と共存する村作りがしっかりと行なわれていたのである。
 ――ふだんは何をしているんですか?
「余? 余はね、働かないことに全力を尽くしてるよ。けどたまには働かないとダメな時ってあるよね」
 そう言ってやってきたのは古妖と人が共同で使う仮住居だ。
 住処を追われた古妖や人を受け入れるための施設で、ここで彼らの新生活をサポートするのだ。
 勿論生活に必要なのはお金。つまり仕事である。
「トコロテンです。トコロテンでできてること以外、なにも取り柄とかなくて……適度に冷やしておかないとカサカサになるし僕なんてほんとは死んじゃったほうがいいんだ……」
「ユー、お化け屋敷いきなよ」
「えっ」
「あそこ涼しいし、めっちゃぴったりだよ」
「えっ、えっ?」
「ギャルさわり放題かーらのー!?」
「きゃーきゃーいわれ放題からーらのー!?」
「「モテモテ街道! パーリナーイ!」」
「わーい!」
 市長のベンと王子のプリンスはこうして住民たちの悩みを聞き、適切な職場への斡旋を続けている。

 村の事業は様々だ。
 農業林業酪農畜産漁業に養殖、第一次産業を粗方網羅しているだけでなく、エンターテインメントや飲食や建築の分野にまで幅広く対応している。
「最初に気を遣ったのはブランド作りだったかな」
 『天使の卵』栗落花 渚(CL2001360)はトマトのパッケージを取り出して言った。
 こようトマトと名付けられたそれは、あえて形をいびつにした地産野菜である。
「見た目が違ってても仲良く出来る古妖はいるんだよってメッセージを込めてるの。じゃあ、就職斡旋所に案内するね」
 渚に案内されてやってきたのは『コヨーワーク』。
 古妖専門の職業斡旋所である。
「在宅訪問して職業を斡旋するプリンスたちはまれなケースなの。ここにはね、いろんな古妖が仕事を求めてやってくるの。最近は県外からも来る人たちがいるんだよ」
 この施設は仕事を求める古妖と、逆に人手を求める関係施設を結ぶ役割をもっていた。
 スタッフのデータを特別に見せて貰うと……。
 ――すごい数のリストですね。全部古妖ですか?
「そうなの。何が出来るか、なにをして欲しいか。それを合致させるのは簡単じゃなかったんだ。これをクリアすると、こんどは『何をしたいか』を聞けるようになったんだよ。それで立ち上がったのがコヨープロジェクト」
 壁のポスターには、妖怪たちで組んだバンドの写真。
 しかし……。
 古妖が参画できる社会を目指すことは、やはり難しいという。
「一部のひとが持ってるイメージはぬぐいきれないんだ。ずっと昔の人が人種の違いに偏見を持っていたみたいに、突然存在を認められた古妖に偏見を持ってしまってるの。それを無くしていけば、きっと当たり前に共存する社会が作れるんじゃないかなって、思ってるよ」

 人と古妖が共存する社会。
 それは決して不可能なことではない。
 現に村の農業区画では人と古妖が共同で収穫作業に当たっていた。
 管理しているのは『ファイヴ村管理人農林担当』エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496)だ。
「農園と牧場は、一般的なそれと大差ないわ。働いているスタッフが異なるってだけね。けどそれが、大きな強みにもなってるの」
 粘液でできたダモさんという古妖が粉塵を吸い取り、骨でできた妖怪たちが作物を抜き取っていく。
「人にできないことをできる古妖は沢山いるわ。逆に、人が当たり前にできることができない古妖もいるの。二足歩行ですら、古妖にとては珍しいことなのよ」
 空を浮かぶ提灯が作物をフックでぶら下げ、トラックへと積み込んでいく。
 まるで機械化されたかのような収穫風景はしかし、ほとんどが人力によるものなのだ。
「さてと、それじゃあ他の施設を紹介していくわね」
 人と古妖が適材適所で働く現場は農園だけではない。
 木を植えては伐採する林業区画や、牛や豚や鶏を育てる畜産区画。サザナミ村の港など……。
 どこも人と古妖がそれぞれの知恵と技術をあわせて、できるかぎりの事業を行なっていた。
「人間は確かに万能だけど、それは道具を使ってるからよ。道具が無ければ火もおこせない。けど、それを手足を動かす程度の気軽さで可能にできる古妖たちがいれば、互いの力を合わせて大きな事業を興すことが出来るの。けれど、こうして作っていくだけじゃダメね。販路を拡大するために、色んな人の協力を得たわ」
 例えば大手フードチェーンのムラキヨグループはファイヴとの提携事業を通じて全国に買い手を作っている。
 村の事業だけに値段が高いかとおもいきや、王手一次産業グループと比べて遜色の無い価格構成なのだ。
 これもまた、古妖と人で互いを埋め合って生まれたコストパフォーマンスと言えるだろう。
 次に案内されたのはふわもこ動物園。
 マックス村に作られたテーマパークである。
「ここではふわふわヒツジさんやすねこすりが働いているんですよ!」
 出迎えてくれたのは『ファイヴ村管理人芸能担当』ゆかり・シャイニング(CL2001288)である。
 一般的な動物も扱うが、職員の多くは古妖。それも動物と変わりないような容姿をしたスタッフが、サービス業として客とふれあうというものだ。
「この村のテーマは『人と古妖の共存』です。それは私たちが共存するってだけじゃなくて、皆にもそれができるってことを伝える必要もあったんです」
 はじめはこの『すねこすり』という小動物とさほどかわらない無害な古妖から始めたという。
 ゆかりが見せてくれたのは当時の写真だ。
「すねっこキャラバンって言うんです。もうずっと昔のことみたいですけど……ファイヴ村も私も、ここから始まったんです」
 今はそのすねこすりたちは毎日ふわもこ動物園で大道芸を見せている。
「さ、そろそろサザナミ村の資料館にご案内しましょう!」

 サザナミ村は同市内に存在する海辺の村だ。
 マックス村と並んで『ファイヴ村』と呼ばれ、ここでも多くの古妖が人と共存している。
 そのシンボルマークとも言うべき灯台の中には、ファイヴ村の歴史を紹介する資料館が作られていた。
 出迎えてくれたのは管理人の『雷切』七海 灯(CL2000579)だ。
「元々ファイヴ村は、妖の被害によって放棄された荒れ地でした。ここを開拓して住人を呼び戻すという依頼で、私たちファイヴが動いたんです」
 ――『人と古妖の共存』はその頃からのテーマだったんですか?
「そうですね。当時は古妖を捕まえて悪用しようとする組織の対応もしていて、誤解や偏見に晒される古妖たちを知りました。彼らが人や動物と変わらず、生きているということもです」
 ――ファイヴはそんな仕事も?
「ファイヴの基本理念は神秘の解明と人の開放です。今日本のみならず世界で問題化している古妖対策は、排除や制御といったやり方で対応できるものではありません。新しい大陸を発見した人種のように、です。互いに理解しあい、共存することで彼らは解明され、『あたりまえのもの』になるでしょう。その第一歩を、実際に作っていこう。私たちはそんな考えから、このファイヴ村を作ったんです」
 資料館には当時の写真や道具が展示され、その苦労と理念が伝わってくる。
「これはかなり初期の村ですね。家が三軒しかなくて。その一軒は副村長のお家兼集会場でした。それで、斜め上は辰巳さんのお家で……あ、辰巳さんというのはこの村に初期からいる古妖なんです」
 ――そんな昔から古妖の住民を?
「元々そういったテーマでしたから。ファイヴが対応した事件の中で住処を追われた古妖や人がいれば、村に招待していました。勿論『保護』ではありません。みな家をもつため、生活するために働く必要がありました。辰巳さんも畑仕事を担当することで、しっかりとこの村の一員になったんですよ。他にも豆腐屋さんを運営した一つ目小僧さんや、この灯台を管理してくれている木の子さん……他にも様々な古妖が働いています」
 資料館には、少女を囲む男たちの写真も飾られていた。
「それは俺が初めておっきい事業に手をつけた時の写真だぜ!」
 すねこすり帽子を被って現われたのは、管理人の『魔法少女ブレイズ』天楼院・聖華(CL2000348)である。
「俺は村の発展にはインフラが必要だって思ったんだ。水道とか、電気とか。最初の村にはそれすらなかったんだ」
 写真の男たちはそれぞれ電気工事や土木工事の会社で働くスタッフたちだという。
 下の名簿にはしっかりと企業名も書かれていた。
 ――そのためにはかなりのコストがかかったのでは?
「そうなんだ。俺、百万円を使ってなんとかしようって思ったけど……それで作れたのは電柱たったの二本だけでさ。あやうく絶望するところだったぜ。けどこのおじさんたちは俺に協力してくれたんだ。井戸を掘ったり、電線をつなげたりして、村のインフラ整備をほとんどタダで請け負ってくれた。その分のお金は返したかったけど……今はどうなってるんだろうな」
 そんな聖華に、番組が事前に撮影したビデオレターを見せてみた。
『天楼院さん。いや、聖華ちゃん。こんにちわ! ナマズ電気の大久保です。あの時は子供にお願いされたら仕方ないなって気持ちで、趣味くらいのつもりで整備をしたんですが……今はそのかいもあって沢山工事の依頼が入っています。テーマパークや、マンションですね。おかげで儲かったって言ったら変ですけど、あの時僕らを頼ってくれたこと、今でも嬉しく思ってます。また困ったことがあったら是非うちに来てくださいね! 待ってます!』

 ゆかり氏は言う。
「最初は衝突があったりもしましたね。ふわもこ動物園で働いてくれているアマゾネスさんたちやぬりかべ団は最初喧嘩してましたし、資金も集まらなくてまともな生活を保障できるのか、最初はすごく心配でした」

 渚氏は言う。
「けど、そのたびにみんなで頭を抱えて知恵を出し合って、そして色んな人に協力してもらって、今があるって思うよ」

 灯氏は言う。
「私はこの村と、村を一緒に創り上げていった仲間を誇りに思います」

 聖華氏は言う。
「お、俺だけじゃ無いんだ。ゲイルとか、禊とか、久永とか、秋人とか、みんな、いっぱい助けてくれてさ……」

 エメレンツィア氏は言う。
「この村を通じて、種族の垣根をこえる喜びと……あと人を動かす大変さを学んだわ。そのことに、私は感謝したい」

 プリンス氏は言う。
「よかったこと? そうだなあ、ダディ上をニポンに誘えるようになったことかな。今は自信を持って言えるよ。ニポン、おもしろいとこだよ」

 人と古妖が共存する土地、ファイヴ村。
 明日もまた、新しい人と古妖がやってくる。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし




 
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