<南瓜夜行>取られたお菓子に紛れて~静音の誕生日
<南瓜夜行>取られたお菓子に紛れて~静音の誕生日


●お菓子が取られちゃった!!
 ハロウィン。
 本来は秋の収穫を祝い悪霊を追い出すケルトの祭りだが、巡り巡って今では仮装行列のようになっている。
 悪霊に見つからないようにするための仮装なのだが、別に悪霊を倒してしまっても構わないのだろう? とばかりにヒーローヒロインの仮装も多い。

 さて、そんな仮装の中に古妖が混じっていることもある。人に似た古妖は、この時期人間の仮装を装って――変な言葉だがそれはともかく――町に交じっている。本番前の練習と言ってしまえば、多少奇異な目で見られるが素通りされるらしい。
 問題は、古妖の中には人にいたずらするものもいるわけで……。

 ハロウィンを前にして、『F.i.V.E.』ではその準備が進む。
 そこで、準備を進める覚者達へと『頑張り屋の和風少女』河澄・静音(nCL2000059)が訴えかける。
「すみません、協力していただきたいのですが……」
 静音の話によると。どうやら、ハロウィン用に用意していたお菓子が、いたずら大好きの古妖達に盗まれてしまったのだという。
「片手に載るくらいの小さな女の子に、羽根が生えたような……。日本古来の存在で例えるのは難しいのですが、西洋でいうところのピクシーですね」
 妖怪と妖精は紙一重という話もある。もしかしたら出所は同じなのかもしれないが……。
 ともあれ、これが1体ならば問題はないものの。大量に現れるから始末が悪い。現れるピクシーは15体ほどと見られている。
 とはいえ、彼女達に人を傷つける能力はほぼ皆無だ。せいぜい、爪楊枝みたいな針でちくりと刺すくらいのもの。懲らしめるにしても、攻撃をするのは止めておきたい。
 あれやこれやと準備している中、余計に手間を増やされ、『F.i.V.E.』のスタッフらも迷惑しているという。
「皆で捕まえて、お仕置きしていただければと思いますわ」
 静音もピクシー捕獲に参加するようだが、彼女は準備があるからと覚者達へと頭を下げてから会議室を出て行く。
 彼女が去った後、入れ替わるように『薄幸の男の娘』菜花・けい(nCL2000118)がこっそりと会議室へと入ってくる。彼もまた、この1件について頼みがあるという。
「実はの。お菓子に紛れて、静音に贈る予定のプレゼントも取られてしまったようなのじゃ」
 10月30日は静音の誕生日。その為にけいや、『F.i.V.E.』のスタッフがこっそりと用意していたプレゼントも、ピクシー達に奪われてしまったという。
「静音には気づかれぬようにしてほしいのじゃ。できれば、うちらから直接渡したいでのう」
 折角、けい達が準備したプレゼント。よろしく頼んじゃぞと彼もまた、小さく頭を下げたのだった。


■シナリオ詳細
種別:イベント
難易度:楽
担当ST:なちゅい
■成功条件
1.お菓子を取り返す。できれば、プレゼントも!!
2.なし
3.なし
こんにちは、なちゅいです。
ハロウィン用のお菓子が取られてしまいました。
皆様に取り返していただきますよう願います。

●概要
○古妖、ピクシー(仮称)15体が持ち去った
ハロウィンに向けて用意していたお菓子を、
取り返してください。
ピクシーの身長は15センチ程度。
背中に4枚の羽がついております。
いたずらそのものが目的なので、
とっ捕まえれば問題ありません。
なお、覚者の皆様が駆けつけたタイミングでは、
お菓子はまだ食べられてはいません。

ピクシー達は森の中で、
いたずらできたことを喜び合っております。
集団でいるので、見つけるのは容易です。
お菓子はビニールの中に詰め込まれており、
取り返した場合は、事後、
そのお菓子は普通に食べることが出来ます。
他の参加者の方と美味しく頂くと良いでしょう。
その場合、名前とID、呼び方などの記入を願います。

どんなお菓子だったかは
皆様でご自由に設定していただけますが、
市販のお菓子などは、直接名前の記述ができませんので、
ご了承願います。

また、取られたお菓子の中に、
水色に青いリボンで包まれた箱があります。
10月30日は河澄・静音の誕生日でもありますので、
取り返していただいた上、
事後に祝っていただけると幸いです。

●NPC
河澄・静音もお菓子を取り戻すべく参戦します。
なお、彼女は水色の箱が自分へのプレゼントとは知りません。

それでは、よろしくお願いいたします。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
(0モルげっと♪)
相談日数
9日
参加費
50LP
参加人数
6/50
公開日
2016年11月09日

■メイン参加者 6人■


●悪戯好きの妖精達
 女性ばかりの覚者達は、悪戯好きな妖精が住まう森を前にする。
「悪戯好きの妖精さんにも困った物ですわね」
「いたずらピクシーさんたちから、お菓子をとりかえすの」
 いのり、七雅は意気込みを口にする。一行はピクシー達からハロウィン用のお菓子を奪い返しに向かう。
「妖精さんって可愛らしいんですが、悪戯が好きなのですね……」
「全く、悪戯好きにもほどがあるわね」
 澄香もエメレンツィアも、嘆息する。ハロウィンらしいといえばらしいのだが……。
「ハロウィンは『お菓子をくれないと悪戯しちゃうよ』が趣旨ですから、『悪戯もお菓子も両方というはルール違反』と教えてあげないとですね」
「そうですわね……!」
 澄香の言葉に、静音は気合を入れていた。
「ハロウィンのお菓子が盗られて、その中に、誕生日プレゼントも?」
 ついつい声を出してしまう想良。妖精が取っていったお菓子に紛れ、『F.i.V.E.』スタッフの用意した静音へのプレゼントが紛れている。
「……取り返すの、手伝います。プレゼントに込められた想いが、ちゃんと届くように……」
 その静音も同行している為、エメレンツィアは口元に指を立てると、想良も同じく指を立てた。
「こっそり誕プレ奪還ミッション、スタートだー」
 虫取り網を片手に持った紡は、やる気なさげにえいえいおーと腕を上げるのだった。

●妖精達にお仕置き!
 森を歩くメンバー達。
 ピクシー達の居場所を突き止めるべく、七雅、想良が守護使役のちゅんと天の力を借りて森の中を偵察する。
 いのりも守護使役ガルムの力を借りてクンクンしながら歩くと、木々の香りに紛れて甘い匂いが漂う。
 程なく、一行はお菓子の山を発見する。その上を、羽根の生えた小さな女の子の妖精達が飛び回っていた。
「「きゃー」」
 慌てる15体のピクシー達が逃げていく。澄香、紡は彼女達を捕まえようと、飛行した上で手にした虫取り網を振り回す。
「あんまり逃げ回らないで頂戴? そうしたら、痛くはしないわよ」
 元よりエメレンツィアにその気はないが、ちょっとだけ驚かせるつもりのようだ。
「さあ、持って行った包みを返してくださる?」
 エメレンツィアは水色の包み……大切なシズネへの誕生日プレゼントを探す。
「順調に集まってる?」
 エメレンツィアに問われた静音はピクシーに翻弄され、少々苦戦していた様子だった。

 想良はピクシー達へと濃い霧を発し、彼女達の動きを鈍らせようとする。少しでも捕まえやすくなればとの配慮だ。
 それでも逃げるピクシーに、想良は次に眠りへと誘う空気を発して彼女達を眠りに誘う。いのりもまた、演舞・寂夜を使い、ピクシー達を眠らせていく。七雅は眠ったピクシーを、両手で優しく捕まえていた。
 眠っていないピクシーには、紡がお菓子を返してもらう代わりにと持ってきたオバケましゅまろを差し出す。
「これと交換、ね?」
 恐る恐るそれを手に取るピクシーは一かじり。その甘さににっこりと微笑む。
「私が持ってきたお菓子をあげますから、そちらのお菓子は返して下さいませんか」
 澄香も優しく声をかけ、怖がらせないようにお菓子の交換を持ちかける。すると、そのピクシーは青いリボンで装飾された水色の箱を差し出してくれた。澄香はそれを、そっとバッグにしまいこむ。
 そうして、覚者達は全てのピクシーを捕まえた。
「いたずらでみんなのお菓子をとっちゃ、めっ! なの!」
「お菓子はまだしも、皆の気持ちの籠ったプレゼントを持って行ってはいけませんわ」
 七雅、いのりは優しく語り掛ける。ちょっと反省していたピクシー達へ、七雅はお菓子を一緒に食べようと促す。
「折角ですから……ね?」
 いのりは小さく微笑み、ピクシー達へと何か語りかけていた。

●その包みの中身は……
 『F.i.V.E.』に戻った覚者達は一息つくが、彼女達は静音を囲んで……。
「ハッピーバースデー! 静音おねーちゃん!」
「はっぴばーすでーとぅーゆー」
「えっ……?」
 七雅、紡の言葉に、静音が驚く。
「皆さんも、静音様のお誕生日をお祝いしてくださいませ」
 いのりと七雅が合図をすると、ピクシー達が現れて誕生日を祝う歌を歌い、踊りを舞い始めた。
「河澄さん、誕生日おめでとうございます」
 想良は改めて挨拶し、お菓子を食べるよう促す。紡もオバケましゅまろをプレゼントに静音へと差し出していた。
「ふふ、お誕生日おめでとう、シズネ」
 エメレンツィアはクッキーを差し出し、これからも仲良くしましょうと声をかけると、静音は「はい」と嬉しそうに微笑む。
 そんな彼女に、『F.i.V.E.』のスタッフから先ほどの水色の箱が差し出される。中に入っていたのは、青いワンピースだ。
「ありがとうございます。とても嬉しいですわ……」
 静音は嬉しそうに礼を言い、それを抱きしめていた。
「良ければ、お料理食べませんか?」
 澄香が焼き上げたチョコケーキを持ってくる。そんな彼女に、紡は「トリックオアトリート」と、南瓜チョコを差し出していた。
 ささやかに開かれたパーティ。覚者達はお菓子を食べ合い、ピクシーと一緒に楽しい時間を過ごしたのだった。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
『ハロウィンのお菓子』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員



■あとがき■

リプレイ、公開です。
まず、このシナリオ成立に当たって、
プレイヤーの皆様、運営の方々に
多大なる感謝を。
ささやかながらに、
記念品をお送りいたします。

MVPは、
プレゼントを発見していただいたあなたと、
ささやかながら開かれたパーティーに、
ピクシー達も招待するきっかけを作った
お二人へ。

今回は参加していただき、
本当にありがとうございました!!




 
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