<南瓜夜行>ランタンと幽霊の逆襲?
●状況
ハロウィン。
本来は秋の収穫を祝い悪霊を追い出すケルトの祭りだが、巡り巡って今では仮装行列のようになっている。
悪霊に見つからないようにするための仮装なのだが、別に悪霊を倒してしまっても構わないのだろう? とばかりにヒーローヒロインの仮装も多い。
さて、そんな仮装の中に古妖が混じっていることもある。人に似た古妖は、この時期人間の仮装を装って――変な言葉だがそれはともかく――町に交じっている。本番前の練習と言ってしまえば、多少奇異な目で見られるが素通りされるらしい。
問題は、古妖の中には人にいたずらするものもいるわけで……。
●4人集まってツクモノ戦隊!
街はオレンジと黒一色。
人々の目に留まるのはジャック・オー・ランタンを中心にし、コウモリやオバケ等を可愛くしたモノがお店のガラス、内装に飾られていた。
すると、突如街中に白い布と見た事のあるオレンジ色の球体がふわふわと浮いていた。
「この時期はなんと! 悪戯しても良いそうだ」
「それならば、日頃モノを大切にしないヤツを懲らしめるのだ!」
と、浮いている布と球体は何かヒソヒソと話す。
「皆のもの、今こそ我らの力を見せるのだー」
「ツンちゃん、ツンちゃん」
と、球体がツンちゃんと呼んだ布をつつく。
「なんだ、クノ」
「それって~正義?」
「無論!」
クノの問いにツンは答える。
「モンちゃんも~ノンちゃんも~参加するの~?」
「うむ、少し離れた場所でやるそうだ」
「うふふ~何だか正義のヒーローみたいだね」
クノは嬉しそうにくるりと宙で回る。
「作戦開始だ―っ!」
ツンとクノは筆を手にし駆け出した。
「始まったか」
黒猫のぬいぐるみ姿のモンは呟いた。
「わしらもやるとしようかのう」
ちょっとリアルな蝙蝠のオモチャ姿のノンは、クヒヒヒと怪しく笑う。
「トリック・オア・トリート!」
と、陽気な声でノンは言う。
「よく出来たオモチャだなー?」
一般人は、喋る蝙蝠のオモチャ姿であるノンを引っ張ったり叩いたりする。
「モノを大事にせんかーっ!」
蝙蝠の頭は真っ赤になり一般人の顔にダイブ!
「いってー!」
そりゃそうだ、蝙蝠のオモチャは柔らかめのゴムで出来ているが強く当たれば痛い。
「べーっ、じゃ! おお、モンは達筆じゃな」
ノンは、モンがお店の窓に描いた絵を見て頷く。
「キャー! うちのお店に落書きしたの誰よ!」
絵に気付いた店員が出てきて、茹でタコの様に顔を真っ赤にして怒る。
「ふん、絵の良さが分からぬか……少なくともガラス殿は喜んでおる」
と、黒猫のぬいぐるみ姿のモンは呟いた。
●F.i.V.E.
「皆、集まってくれてありがとうね。もー! 大変な事が起きるんだよ!」
久方 万里(nCL2000005)が屈託のない笑顔で覚者達を見る。
「ハロウィン気分のとある街で古妖が悪戯しちゃうから。皆には、その悪戯を阻止して欲しいんだよ! 全部で4体、布のオバケ、プラスチックのカボチャ、黒猫のぬいぐるみ、リアルな蝙蝠のオモチャだよ。じゃ、宜しくね!」
と、笑顔で万里は覚者達を見送った。
ハロウィン。
本来は秋の収穫を祝い悪霊を追い出すケルトの祭りだが、巡り巡って今では仮装行列のようになっている。
悪霊に見つからないようにするための仮装なのだが、別に悪霊を倒してしまっても構わないのだろう? とばかりにヒーローヒロインの仮装も多い。
さて、そんな仮装の中に古妖が混じっていることもある。人に似た古妖は、この時期人間の仮装を装って――変な言葉だがそれはともかく――町に交じっている。本番前の練習と言ってしまえば、多少奇異な目で見られるが素通りされるらしい。
問題は、古妖の中には人にいたずらするものもいるわけで……。
●4人集まってツクモノ戦隊!
街はオレンジと黒一色。
人々の目に留まるのはジャック・オー・ランタンを中心にし、コウモリやオバケ等を可愛くしたモノがお店のガラス、内装に飾られていた。
すると、突如街中に白い布と見た事のあるオレンジ色の球体がふわふわと浮いていた。
「この時期はなんと! 悪戯しても良いそうだ」
「それならば、日頃モノを大切にしないヤツを懲らしめるのだ!」
と、浮いている布と球体は何かヒソヒソと話す。
「皆のもの、今こそ我らの力を見せるのだー」
「ツンちゃん、ツンちゃん」
と、球体がツンちゃんと呼んだ布をつつく。
「なんだ、クノ」
「それって~正義?」
「無論!」
クノの問いにツンは答える。
「モンちゃんも~ノンちゃんも~参加するの~?」
「うむ、少し離れた場所でやるそうだ」
「うふふ~何だか正義のヒーローみたいだね」
クノは嬉しそうにくるりと宙で回る。
「作戦開始だ―っ!」
ツンとクノは筆を手にし駆け出した。
「始まったか」
黒猫のぬいぐるみ姿のモンは呟いた。
「わしらもやるとしようかのう」
ちょっとリアルな蝙蝠のオモチャ姿のノンは、クヒヒヒと怪しく笑う。
「トリック・オア・トリート!」
と、陽気な声でノンは言う。
「よく出来たオモチャだなー?」
一般人は、喋る蝙蝠のオモチャ姿であるノンを引っ張ったり叩いたりする。
「モノを大事にせんかーっ!」
蝙蝠の頭は真っ赤になり一般人の顔にダイブ!
「いってー!」
そりゃそうだ、蝙蝠のオモチャは柔らかめのゴムで出来ているが強く当たれば痛い。
「べーっ、じゃ! おお、モンは達筆じゃな」
ノンは、モンがお店の窓に描いた絵を見て頷く。
「キャー! うちのお店に落書きしたの誰よ!」
絵に気付いた店員が出てきて、茹でタコの様に顔を真っ赤にして怒る。
「ふん、絵の良さが分からぬか……少なくともガラス殿は喜んでおる」
と、黒猫のぬいぐるみ姿のモンは呟いた。
●F.i.V.E.
「皆、集まってくれてありがとうね。もー! 大変な事が起きるんだよ!」
久方 万里(nCL2000005)が屈託のない笑顔で覚者達を見る。
「ハロウィン気分のとある街で古妖が悪戯しちゃうから。皆には、その悪戯を阻止して欲しいんだよ! 全部で4体、布のオバケ、プラスチックのカボチャ、黒猫のぬいぐるみ、リアルな蝙蝠のオモチャだよ。じゃ、宜しくね!」
と、笑顔で万里は覚者達を見送った。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.ツン、クノ、モン、ノンを戦闘不能にさせる、もしくは説得する。
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
ストレートな内容ですので、初心者でも参加しやすい内容となっております。
皆さんの参加をお待ちしております。
●場所
とある街(昼)
夢見によって出現場所は既に特定しております。
●一般人
お店の店内には居ますが、外はほとんど居ません。
●敵
古妖(4体)
ツン
布のオバケ姿の古妖。
熱血漢な性格で正義のヒーローになりたがっている。
・攻撃方法
1、ツンボム!(特近列)『かっこよく墨をまき散らす』
2、ツンキーック!(近単)『かっこいいキック』
3、ツクモノ戦隊!『かっこいいポーズをして戦隊モノの様な派手な演出が出る。色は赤』
クノ
プラスチックのカボチャ姿の古妖
優しくてのんびり屋な性格でツンをサポートしている。
・攻撃方法
1、クノの願い(特遠単)『祈ると傷が癒える』
2、クノぱわー(特遠単)『クノと似たカボチャを頭上に落とす』
3、ツクモノ戦隊!『可愛いポーズをして戦隊モノの様な派手な演出が出る。色は桃』
モン
黒猫のぬいぐるみ姿の古妖
クールな芸術家で参謀。
・攻撃方法
1、モンの罠(特遠列)『何故か踏むと滑るバナナの皮が!』
2、モンの美徳(特遠単)『カラフルな絵の具で顔を塗られ、視界が悪くなる』
3、ツクモノ戦隊!『可愛いポーズをして戦隊モノの様な派手な演出が出る。色は青』
ノン
リアルな蝙蝠のオモチャ姿の古妖
お茶目で賑やか担当。
・攻撃方法
1、ノン渾身の体当たり(近単)『ただの体当たり。ただし女性優先』
2、ノンの笑い声(全)『つられて笑ってしまう』
3、ツクモノ戦隊!『可愛いポーズをして戦隊モノの様な派手な演出が出る。色は黄』
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
6日
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
5/8
5/8
公開日
2016年11月14日
2016年11月14日
■メイン参加者 5人■

●悪戯だけ?
一足現場に付いた覚者達は、肌寒い中でツクモノ戦隊が現れるのを待つ。
「はろうぃん? とりっくおぁとりーと? おかしをくれないと悪戯する、悪戯して良い時、なの? なら、別に良いの、じゃないの? 悪戯して良い日、なのに、止めなきゃいけない、の? ……人間社会、やっぱり、難しいの」
『アンシーリーコートスレイヤー』神々楽 黄泉(CL2001332)は、夢見が見たツクモノ戦隊達の話を思い出しながら首を傾げた。
それもそうだ、お菓子をくれないなら悪戯する行事なのだから何故止める必要があるのかが分からない。
「さぁ、トリックオアトリートですっ。賑やかに悪戯で楽しむのはハロウィンらしくて良いものですっ。ですが、楽しみ合えないトリックとトリートは駄目なものっ」
『独善者』月歌 浅葱(CL2000915)が明るい声で飛び跳ねる。
「ツクモノ戦隊かぁ。戦隊ものって、男なら一回は憧れるものだよね!」
『残念な男』片桐・戒都(CL2001498)は幼い少年の様に瞳を輝かせながら言う。
「そうだろ! そうだろう!」
ふよふよと浮いていてる布が嬉しそうに頷く。
「わっ! 戦隊ポーズしてよ!」
「いーよ~♪」
戒都の言葉にクノは楽しそうに頷くと、ツンがマフラー付きマスクを被りポーズを取る。
「「ツクモノ戦隊!」」
2体がポーズと声を合わせると、戦隊モノの様な派手な演出と共に桃色と赤い色の煙が上がる。
「こう?」
何故か黄泉もマネしてポーズを取る。
「こうっ! だ!」
ツンがビシッとポーズをもう一度決める。
「ちょっと、楽しい、かも」
教えられた通りに黄泉がポーズを取ると、クノが後ろで戦隊モノの様な派手な演出を出してあげる。
「………何だこのふざけた連中は。……そういえば去年もこの様な妖や古妖が暴れていたな……やれやれ……またか」
『雷麒麟』天明 両慈(CL2000603)は呆れた表情で額に手を添える。
「物を大切にしない人は確かにいます。ですが、今この場所で悪戯をしても、解決はしないと思うのです」
そんな中、依頼内容を忘れてはいない『迷い猫』柳 燐花(CL2000695)はツンとクノに優しい声色で話す。
「でもねぇ~悪戯するのは『よーしきび』ってヤツだってノンちゃんが言ってたの~」
クノは首を傾げる。
「天が知る地が知る人知れずっトリートのお時間ですっ」
と、声を上げると浅葱は飛燕でツンを攻撃する。
「ならばリーダーとして戦うまでだ!」
ツンは筆をぶんぶんと振り回しながら墨をまき散らす。
「真っ暗、よく見えない、ここ?」
黄泉はスイカ割りの要領で鬼の金棒を振り上げた。
「あぶないよ~」
クノがくるんと宙で回るとプラスチックの南瓜が現れ黄泉の頭に落とす。
「痛い、の」
ゴンッと鈍い音と共に黄泉は痛くて自分の頭を押さえた。
「あれ? 数が足りなくない?」
戒都は首を傾げた。
目の前に居るのは布のオバケ『ツン』とカボチャのオモチャ『クノ』だけだ。
「あぁ! 出現場所が2つ書かれています!」
燐花は夢見から貰った地図に赤ペンで囲まれている部分が2つある事に気付いた。
「さっさと片付けてモンとノンを探さないと見失う可能性もあるな……」
両慈は錬覇法で己の力を高める。
「ふっ、物には物の、人には人の正義があるものですがっ伝わらない懲らしめ方に意味は無いのですよっ」
対抗心に火が付いたツンは浅葱と対峙する。
「ツンキーック!」
「なんのっ!」
キックにはキックで対抗する浅葱。
「け、喧嘩はダメですよ~」
クノが慌ててツン浅葱を癒す。
「クノさんは戦闘意思はない様ですね」
燐花はクノの様子を見て呟く。
「ええいっ! 余計な事をするな! これは、正義なのだ!」
ツンはクノを叱責すると浅葱を睨みつけるが、黒くつぶらな瞳なので迫力はない。
「ちょっとだけ痛いけど、ごめんな?」
戒都は薄氷をツンに向けて放つ。
「だめなのよ~」
ツンを庇うように前に出たクノに小さな氷が当たる。
間髪入れずに両慈がクノを中心に脣星落霜で凍らせた。
「やれやれ……この時期はどうにもやり辛い敵が多いな……」
「ふっ、悪戯には悪戯で対抗ですよっ」
筆を振るおうとするツンに向かって浅葱は駆け出し、布を取り出すとバッと布のオバケを包んだ。
●悪戯開始
「む、ツン達から合図が来ないのう」
たまに通りかかる一般人に悪戯する蝙蝠のオモチャ『ノン』は首を傾げた。
「時間に厳しいヤツなのに……様子を見に行こう」
「そうじゃな」
黒猫のぬいぐるみ『モン』の言葉にノンは頷き覚者達とツン達が居る場所へと向かった。
「こらーっ! 出せー!」
布の中で暴れるツン。
「暴れると、潰すよ?」
「まぁまぁ、そんな物騒な事を言わないでな?」
黄泉がツンが包まれた布を掴もうとするが、戒都が素早く浅葱の手から取り抱き締める。
「む……」
「ほら、あと2体も探さないといけないだろう?」
少しムッとした表情になり黄泉は戒都を見上げる。
「うひょーおなごじゃー!」
ノンが滑空して黄泉の胸にダイブしモゾモゾと動く。
「ひゃっ……! 何処触ってる、の」
黄泉はノンを掴み地面に叩きつける。
「だ、大丈夫?」
燐花が地面に叩きつけられたノンを抱き上げる。
「ワシ……ダメかもしれん……」
「え、ええ!?」
ノンの言葉に燐花は慌てふためく。
「絆創膏ならあるけど大丈夫か?」
戒都はポケットから絆創膏を取り出しノンの顔に貼ろうとする。
「……うへ……うへへ……ぴちぴち……」
「元気なようだな……」
両慈はノンの首根っこを掴み睨む。
「ち、違うんじゃ! これは、出来心で下心ではないのじゃ! うひひひひひひっ!」
と、つぶらな瞳を潤ませながらノンは変な笑い声を上げる。
「ふっ」
つられて笑う浅葱は直ぐに収まる。
「あはははははっ!」
戒都は腹部を手で押さえて笑い声を上げる。
「下品な笑いだ。美しくない」
と、モンが言うと何故かバナナの皮が空から降って来た。
「へっ? ……わあっ!」
降って来たのに驚き思わずバナナの皮を踏んでしまいコケる覚者達。
「……見た?」
素早くスカートを押さえながら黄泉は仲間を見渡す。
「で、出来心じゃよ!」
頬を赤らめるノンは口元を押さえる。
「……忘れろ、今すぐに」
壊れたテレビを叩く様にバンバン、と黄泉はノンのゴムで出来た頭を叩く。
「大丈夫か?」
「はい、私は平気です」
両慈はコケた燐花に駆け寄り手を差し伸べる。
「美学のない……はっ!」
「悪戯は悪戯で返すっ」
モンが気付いた時には浅葱の手によって何故か黒から三毛へと変えられていた。
仕返しをした彼女の手にはモン愛用の筆が握られていた。
「絵の具で毛がーっ!」
元々はぬいぐるみのモン、ふわふわの生地に塗られた絵の具が乾燥してひび割れていた。
「ノン」
「なんじゃ?」
戒都はバンバンと黄泉に叩かれているノンを呼ぶ。
「ハロウィンは悪戯するだけじゃないんだぜ? もっかいトリックオアトリートって言ってみてくれないかな?」
と、笑顔で戒都は言いながら蝙蝠の手を取る。
「トリックオアトリートじゃ」
ノンは首を傾げながら言う。
「ハッピーハロウィン」
戒都はノンの手に可愛いネコの形をした飴を渡す。
「これが本当のハロウィンな」
「モノを大切に扱うことは大切ですから、人も物もニッコリなハロウィンにしちゃいましょうっ」
戒都と浅葱は笑顔で頷く。
「うん、平和が一番だよね~」
クノはくるりと宙で回るとにっこりと笑う。
「ふっ、こうやって甘いお菓子もあるのですよっ」
浅葱はクノの小さな手にお菓子を握らせる。
「貴方たちのお姿や決めポーズを使って、ハロウィンのイベントとして『物を大切にしましょう』と呼びかけてみるとか。小さい子は素直に聞いてくれると思いますよ」
両手を胸元で合わせると燐花は提案する。
「ふざけたヤツらではあるが、気持ちは真っ直ぐだしな」
両慈はツンを布から取り出し見つめる。
「やるなら準備開始です」
燐花が声を上げると仲間は『おー』と声を上げた。
●巷で人気『ツクモノ戦隊』
ハロウィンという事もあったのか、丁度街で仮装行列が行われていたので子供達を公園に集めた覚者達。
「がおー」
やる気のない声で黄泉が恐竜のきぐるみを着て舞台を歩く。
「出たな物を壊すきょーりゅーめっ!」
ツンがビシッと黄泉を指す。
「え~と、私たちがきたからには~」
クノがくるりと宙で回転する。
「これ以上のモノは」
燐花達の手によって絵の具を洗い落としてもらい、元の黒猫のぬいぐるみに戻ったモンが尻尾を立てる。
「あっ! 壊しはぁ~させない~のじゃぁ~」
何を勘違いしたのか顔に能面を被ったノンが声を上げる。
「「ツクモン戦隊!」」
4体がそれぞれのポーズを取ると、戦隊モノの様な派手な効果とそれぞれの色の煙が上がる。
「ぎゃーお」
恐竜(黄泉)は容赦なくツクモノ戦隊を襲う。
『ツクモノ戦隊ぴーんち!』
と、舞台の横で燐花が戦隊モノの舞台で必ず居る『お姉さん』役をしている。
「はははー! 正義のピンチを助ける正義の味方参上ですっ」
高い場所から舞台へとカッコよく降りてきたのは浅葱。
「とうっ!」
浅葱とツンは一緒に恐竜(黄泉)に向かってキックをする。
「痛い……がおー……」
ころん、と後ろに倒れる恐竜(黄泉)は白旗を上げる。
「物を大切にしないとダメですっ」
「うん、モノは大切にする……がお」
浅葱は黄泉に手を差し出す。
「じゃないと、モノを大切にしない恐竜になってしまうのですよ~」
「でも、ツクモノ戦隊がいる限り物を大切にさせますっ」
クノを肩に乗せた浅葱が握り拳を頭上に振り上げた。
「めでたし、めでたしかな」
「これで、あの古妖達も大人しくなれば良いんだが……」
子供たちにお菓子を配る両慈と戒都は顔を見合わせる。
『でも、皆が物を大切にしていてくれている限りはツクモノ戦隊が守ってくれます』
と、最後に燐花は笑顔で言った。
晴れ渡る空がオレンジ色に染まる中、冬の足音が少しずつ近付いてくる音がする。
それでも仮装した子供たちの元気な歓声が響き。
ツクモノ戦隊は、この街をひっそりと守ると覚者達に告げた。
「ありがとう、覚者達」
彼らにとってのヒーローは覚者達なのかもしれない。
一足現場に付いた覚者達は、肌寒い中でツクモノ戦隊が現れるのを待つ。
「はろうぃん? とりっくおぁとりーと? おかしをくれないと悪戯する、悪戯して良い時、なの? なら、別に良いの、じゃないの? 悪戯して良い日、なのに、止めなきゃいけない、の? ……人間社会、やっぱり、難しいの」
『アンシーリーコートスレイヤー』神々楽 黄泉(CL2001332)は、夢見が見たツクモノ戦隊達の話を思い出しながら首を傾げた。
それもそうだ、お菓子をくれないなら悪戯する行事なのだから何故止める必要があるのかが分からない。
「さぁ、トリックオアトリートですっ。賑やかに悪戯で楽しむのはハロウィンらしくて良いものですっ。ですが、楽しみ合えないトリックとトリートは駄目なものっ」
『独善者』月歌 浅葱(CL2000915)が明るい声で飛び跳ねる。
「ツクモノ戦隊かぁ。戦隊ものって、男なら一回は憧れるものだよね!」
『残念な男』片桐・戒都(CL2001498)は幼い少年の様に瞳を輝かせながら言う。
「そうだろ! そうだろう!」
ふよふよと浮いていてる布が嬉しそうに頷く。
「わっ! 戦隊ポーズしてよ!」
「いーよ~♪」
戒都の言葉にクノは楽しそうに頷くと、ツンがマフラー付きマスクを被りポーズを取る。
「「ツクモノ戦隊!」」
2体がポーズと声を合わせると、戦隊モノの様な派手な演出と共に桃色と赤い色の煙が上がる。
「こう?」
何故か黄泉もマネしてポーズを取る。
「こうっ! だ!」
ツンがビシッとポーズをもう一度決める。
「ちょっと、楽しい、かも」
教えられた通りに黄泉がポーズを取ると、クノが後ろで戦隊モノの様な派手な演出を出してあげる。
「………何だこのふざけた連中は。……そういえば去年もこの様な妖や古妖が暴れていたな……やれやれ……またか」
『雷麒麟』天明 両慈(CL2000603)は呆れた表情で額に手を添える。
「物を大切にしない人は確かにいます。ですが、今この場所で悪戯をしても、解決はしないと思うのです」
そんな中、依頼内容を忘れてはいない『迷い猫』柳 燐花(CL2000695)はツンとクノに優しい声色で話す。
「でもねぇ~悪戯するのは『よーしきび』ってヤツだってノンちゃんが言ってたの~」
クノは首を傾げる。
「天が知る地が知る人知れずっトリートのお時間ですっ」
と、声を上げると浅葱は飛燕でツンを攻撃する。
「ならばリーダーとして戦うまでだ!」
ツンは筆をぶんぶんと振り回しながら墨をまき散らす。
「真っ暗、よく見えない、ここ?」
黄泉はスイカ割りの要領で鬼の金棒を振り上げた。
「あぶないよ~」
クノがくるんと宙で回るとプラスチックの南瓜が現れ黄泉の頭に落とす。
「痛い、の」
ゴンッと鈍い音と共に黄泉は痛くて自分の頭を押さえた。
「あれ? 数が足りなくない?」
戒都は首を傾げた。
目の前に居るのは布のオバケ『ツン』とカボチャのオモチャ『クノ』だけだ。
「あぁ! 出現場所が2つ書かれています!」
燐花は夢見から貰った地図に赤ペンで囲まれている部分が2つある事に気付いた。
「さっさと片付けてモンとノンを探さないと見失う可能性もあるな……」
両慈は錬覇法で己の力を高める。
「ふっ、物には物の、人には人の正義があるものですがっ伝わらない懲らしめ方に意味は無いのですよっ」
対抗心に火が付いたツンは浅葱と対峙する。
「ツンキーック!」
「なんのっ!」
キックにはキックで対抗する浅葱。
「け、喧嘩はダメですよ~」
クノが慌ててツン浅葱を癒す。
「クノさんは戦闘意思はない様ですね」
燐花はクノの様子を見て呟く。
「ええいっ! 余計な事をするな! これは、正義なのだ!」
ツンはクノを叱責すると浅葱を睨みつけるが、黒くつぶらな瞳なので迫力はない。
「ちょっとだけ痛いけど、ごめんな?」
戒都は薄氷をツンに向けて放つ。
「だめなのよ~」
ツンを庇うように前に出たクノに小さな氷が当たる。
間髪入れずに両慈がクノを中心に脣星落霜で凍らせた。
「やれやれ……この時期はどうにもやり辛い敵が多いな……」
「ふっ、悪戯には悪戯で対抗ですよっ」
筆を振るおうとするツンに向かって浅葱は駆け出し、布を取り出すとバッと布のオバケを包んだ。
●悪戯開始
「む、ツン達から合図が来ないのう」
たまに通りかかる一般人に悪戯する蝙蝠のオモチャ『ノン』は首を傾げた。
「時間に厳しいヤツなのに……様子を見に行こう」
「そうじゃな」
黒猫のぬいぐるみ『モン』の言葉にノンは頷き覚者達とツン達が居る場所へと向かった。
「こらーっ! 出せー!」
布の中で暴れるツン。
「暴れると、潰すよ?」
「まぁまぁ、そんな物騒な事を言わないでな?」
黄泉がツンが包まれた布を掴もうとするが、戒都が素早く浅葱の手から取り抱き締める。
「む……」
「ほら、あと2体も探さないといけないだろう?」
少しムッとした表情になり黄泉は戒都を見上げる。
「うひょーおなごじゃー!」
ノンが滑空して黄泉の胸にダイブしモゾモゾと動く。
「ひゃっ……! 何処触ってる、の」
黄泉はノンを掴み地面に叩きつける。
「だ、大丈夫?」
燐花が地面に叩きつけられたノンを抱き上げる。
「ワシ……ダメかもしれん……」
「え、ええ!?」
ノンの言葉に燐花は慌てふためく。
「絆創膏ならあるけど大丈夫か?」
戒都はポケットから絆創膏を取り出しノンの顔に貼ろうとする。
「……うへ……うへへ……ぴちぴち……」
「元気なようだな……」
両慈はノンの首根っこを掴み睨む。
「ち、違うんじゃ! これは、出来心で下心ではないのじゃ! うひひひひひひっ!」
と、つぶらな瞳を潤ませながらノンは変な笑い声を上げる。
「ふっ」
つられて笑う浅葱は直ぐに収まる。
「あはははははっ!」
戒都は腹部を手で押さえて笑い声を上げる。
「下品な笑いだ。美しくない」
と、モンが言うと何故かバナナの皮が空から降って来た。
「へっ? ……わあっ!」
降って来たのに驚き思わずバナナの皮を踏んでしまいコケる覚者達。
「……見た?」
素早くスカートを押さえながら黄泉は仲間を見渡す。
「で、出来心じゃよ!」
頬を赤らめるノンは口元を押さえる。
「……忘れろ、今すぐに」
壊れたテレビを叩く様にバンバン、と黄泉はノンのゴムで出来た頭を叩く。
「大丈夫か?」
「はい、私は平気です」
両慈はコケた燐花に駆け寄り手を差し伸べる。
「美学のない……はっ!」
「悪戯は悪戯で返すっ」
モンが気付いた時には浅葱の手によって何故か黒から三毛へと変えられていた。
仕返しをした彼女の手にはモン愛用の筆が握られていた。
「絵の具で毛がーっ!」
元々はぬいぐるみのモン、ふわふわの生地に塗られた絵の具が乾燥してひび割れていた。
「ノン」
「なんじゃ?」
戒都はバンバンと黄泉に叩かれているノンを呼ぶ。
「ハロウィンは悪戯するだけじゃないんだぜ? もっかいトリックオアトリートって言ってみてくれないかな?」
と、笑顔で戒都は言いながら蝙蝠の手を取る。
「トリックオアトリートじゃ」
ノンは首を傾げながら言う。
「ハッピーハロウィン」
戒都はノンの手に可愛いネコの形をした飴を渡す。
「これが本当のハロウィンな」
「モノを大切に扱うことは大切ですから、人も物もニッコリなハロウィンにしちゃいましょうっ」
戒都と浅葱は笑顔で頷く。
「うん、平和が一番だよね~」
クノはくるりと宙で回るとにっこりと笑う。
「ふっ、こうやって甘いお菓子もあるのですよっ」
浅葱はクノの小さな手にお菓子を握らせる。
「貴方たちのお姿や決めポーズを使って、ハロウィンのイベントとして『物を大切にしましょう』と呼びかけてみるとか。小さい子は素直に聞いてくれると思いますよ」
両手を胸元で合わせると燐花は提案する。
「ふざけたヤツらではあるが、気持ちは真っ直ぐだしな」
両慈はツンを布から取り出し見つめる。
「やるなら準備開始です」
燐花が声を上げると仲間は『おー』と声を上げた。
●巷で人気『ツクモノ戦隊』
ハロウィンという事もあったのか、丁度街で仮装行列が行われていたので子供達を公園に集めた覚者達。
「がおー」
やる気のない声で黄泉が恐竜のきぐるみを着て舞台を歩く。
「出たな物を壊すきょーりゅーめっ!」
ツンがビシッと黄泉を指す。
「え~と、私たちがきたからには~」
クノがくるりと宙で回転する。
「これ以上のモノは」
燐花達の手によって絵の具を洗い落としてもらい、元の黒猫のぬいぐるみに戻ったモンが尻尾を立てる。
「あっ! 壊しはぁ~させない~のじゃぁ~」
何を勘違いしたのか顔に能面を被ったノンが声を上げる。
「「ツクモン戦隊!」」
4体がそれぞれのポーズを取ると、戦隊モノの様な派手な効果とそれぞれの色の煙が上がる。
「ぎゃーお」
恐竜(黄泉)は容赦なくツクモノ戦隊を襲う。
『ツクモノ戦隊ぴーんち!』
と、舞台の横で燐花が戦隊モノの舞台で必ず居る『お姉さん』役をしている。
「はははー! 正義のピンチを助ける正義の味方参上ですっ」
高い場所から舞台へとカッコよく降りてきたのは浅葱。
「とうっ!」
浅葱とツンは一緒に恐竜(黄泉)に向かってキックをする。
「痛い……がおー……」
ころん、と後ろに倒れる恐竜(黄泉)は白旗を上げる。
「物を大切にしないとダメですっ」
「うん、モノは大切にする……がお」
浅葱は黄泉に手を差し出す。
「じゃないと、モノを大切にしない恐竜になってしまうのですよ~」
「でも、ツクモノ戦隊がいる限り物を大切にさせますっ」
クノを肩に乗せた浅葱が握り拳を頭上に振り上げた。
「めでたし、めでたしかな」
「これで、あの古妖達も大人しくなれば良いんだが……」
子供たちにお菓子を配る両慈と戒都は顔を見合わせる。
『でも、皆が物を大切にしていてくれている限りはツクモノ戦隊が守ってくれます』
と、最後に燐花は笑顔で言った。
晴れ渡る空がオレンジ色に染まる中、冬の足音が少しずつ近付いてくる音がする。
それでも仮装した子供たちの元気な歓声が響き。
ツクモノ戦隊は、この街をひっそりと守ると覚者達に告げた。
「ありがとう、覚者達」
彼らにとってのヒーローは覚者達なのかもしれない。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし

■あとがき■
どたばたなハロウィーンシナリオに参加していただきありがとうございました。
様々な正義、彼らに対する反応が全員違って楽しかったです。
一つの良き思い出となれば幸いです。
様々な正義、彼らに対する反応が全員違って楽しかったです。
一つの良き思い出となれば幸いです。
