帰ってきたカクセイジャー! 残虐大帝襲来!
【魁英雄譚】帰ってきたカクセイジャー! 残虐大帝襲来!


●ヒーロータイム
 妖はびこる日本の町。
 逃げ惑う人々の波をかき分け、走る五人の若者たちがいた!
「そこまでだ、自動車妖!」
「ギギッ……!?」
 自動車が変化した妖が、スチールの腕を振り回して振り返る。
「カクセイレッド!」
「カクセイブルー!」
「カクセイイエロー!」
「カクセイグリーン!」
「カクセイブラウン!」
 五人の若者は一列に並び、一斉にポーズをとった。
「「五行戦隊、カクセイジャー!」」
「ギギイ!」
 彼らを目下の敵と認識したのか、周囲からあふれ出た排気ガスの妖が無数の人の形をとり、次々に襲いかかる。
 だがしかし!
「町の未来は僕らが守る!」
 草刈り鎌を取り出したブラウンが排気ガス妖を次々に撃破。
 いい位置に回り込んだグリーンが、自前の武器を取り出した。
「グリーンバルカン!」
 バルカン砲の掃射によって排気ガス妖が一斉消滅。
 その様子を見て、自動車妖が怒り狂ったように突撃を仕掛けてくる。
「その攻撃、甘口なんだな!」
 イエローが妙に硬いカレー皿を翳して自動車妖の突撃を受け止める。
「今なんだな!」
「おう! 行くぜブルー!」
「指図するな!」
 口では反抗しつつも、レッドと完全に息を合わせたブルーは二人で同時に跳躍。
「レッドソード!」
「ブルーブレイド!」
 二人の交差斬撃が自動車妖に炸裂。
「ギ、ギギギイー!」
 自動車妖はじたじたともだえ、そして爆発四散した。
 武器を構えたまま、爆発に背を向ける五人。
 そこへ……。
「ふははははははは! よく自動車妖たちを倒したな! 褒めてやろうカクセイジャーよ!」
「その声は……残酷大将軍!」
 振り向くレッド。
 両手を腰に当てて、胸をぐいっと張る残酷大将軍がそこにはいた。
 というか幼女がいた。
 大体5歳くらいの幼女が、私立幼稚園みたいな制服を着て胸を張っていた。
 胸の名札に『ざーちゃん』とか書いてあった。
「褒美に今日の晩ご飯をハンバーグにしてやろう!」
「おーよしよし、お料理してえらいねー」
「カレーもつけるんだな」
「うるさいうるさい! 頭をなでなでするにゃー!」
 ブラウンたちに頭を撫でられて、残酷大将軍。

 説明せねばなるまい。
 かつてカクセイジャーとファイヴ覚者たちの活躍によって倒された残酷大将軍は封印の眠りについた。
 しかし倒される間際に己の悪しき心を浄化されたせいで、清い心をもった古妖として再び誕生したのだ。
 残酷パワーはごく僅かなものとなり、せいぜい他人が後にとって置いたおかずを横取りする程度の残酷さに留まった残酷幼女ことざーちゃんは、今カクセイジャー第六の戦士(自称)としてメンバーに加わっているのだ。
「わかったらさっさとスーパーに行くのだ! 卵の特売日だということを、忘れたわけではあるまいな!」
「はいはい」
 じゃー抱っこしてあげましょーねーとか言って抱きかかえようとしたその時。
 彼らの周囲で攻撃的な火花が散った。
 咄嗟に身構え、振り返るレッドたち。
「誰だ!?」
「この私に誰何を問うとは笑止千万……」
 そこには、突如として黄金の鎧に包まれた古妖が現われたのだ。
「我こそは残虐大帝! この地球を征服すべく残虐空間からやってきたのだ。我が配下に加わるなら生かしてやろう。抵抗するなら、死あるのみだ!」
「誰が配下になんて加わるか!」
「あせるなレッド、見ろ!」
 残虐大帝を名乗る鎧の古妖は、周囲に禍々しい瘴気をまき散らすと次々に悪しき古妖を生み出していった。
「カクセイジャーよ、貴様たちの活躍は知っている。まずはここで息絶えるがいい!」

●出動、ファイヴ!
 同時刻、久方 相馬(nCL2000004)の予知をうけ、六人の覚者たちが現地へと向かっていた。
 任務は、救出!
 理由は、正義!


■シナリオ詳細
種別:シリーズ
難易度:普通
担当ST:八重紅友禅
■成功条件
1.カクセイジャー五人の生存
2.なし
3.なし
 帰ってきたカクセイジャー。
 これはかつて完結したシリーズシナリオのプラスワンシナリオとなっております。
 参加優先権はそのまま生きていますが、描写量がふくらむことが予想されるため6人シナリオとさせて頂いております。

●シチュエーションデータ
 カクセイジャー5人が残虐大帝の部下(悪しき古妖たち)に取り囲まれている所からスタート。
 ここへ格好良く乱入し、旧交を温めつつ古妖たちと戦いましょう。
 場所は二車線道路と駐車場がくっついた場所です。
 住民は既に逃げた後となっております。
 カクセイジャーの戦闘力は大体レベル20前後。
 ざーちゃんは戦闘力がありませんが、一応ブラウンに守られています。

●エネミーデータ
 残虐大帝は後ろで見ているだけなので戦闘には参加しません。
 その代わり部下の悪しき古妖たちがちょっと手強い。
 彼らは『怪人』という種類の古妖で、人々の悪い心や邪念から生まれています。
・ヤツアタリ:体力の高い前衛アタッカー。物近列攻撃が強い。
・ネタミ:後衛ジャマー『特遠単【呪い】【不運】』の技が強力。
・ヒガミ:後衛ジャマー『特遠列【弱体】【鈍化】』の技が強力。
・サカウラミ:中衛ヒーラー。負の力による回復スキルが豊富。
・ザコ×10:能力の低い文字通りの雑魚。棍棒で戦う。

 敵の強さはなかなかのものですが、ここで倒さなければならないわけではありません。
 こちらの強さが分かれば相手も撤退していく可能性があります。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(2モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
公開日
2016年10月29日

■メイン参加者 6人■

『天を翔ぶ雷霆の龍』
成瀬 翔(CL2000063)
『花守人』
三島 柾(CL2001148)
『天を舞う雷電の鳳』
麻弓 紡(CL2000623)
『願いの花』
田中 倖(CL2001407)

●カクセイジャー&ファイヴ!
「「ゴゴーッ!」」
 棍棒をもったザコや余裕そうに近づいてくるヤツアタリたちに囲まれ、カクセイジャーは絶体絶命のピンチを迎えていた。
「ここまでか」
「せめてざーちゃんだけでも……」
「何をごちゃごちゃ抜かしてやがる! このヤツアタリさまのはけ口となれ!」
 巨大な剣を振りかざす。
 その時。
 あたりに激しい火花が散った。
 突然の攻撃に二歩三歩と後じさりするヤツアタリ。
「誰だ!」
「誰だって? よく聞いてくれたぜ!」
 スマートホンをタッチして、『ファイブレッド』成瀬 翔(CL2000063)は前に突き出すポーズをとった。
「ファイブレッド、成瀬翔!」
 翼を広げ、ロッドを掲げる『彼誰行灯』麻弓 紡(CL2000623)。
「ブルー、麻弓紡」
 眼鏡を中指であげる『スーパー事務員』田中 倖(CL2001407)。
「シルバー、田中倖」
 これカラー言わなきゃダメなの? という顔できょろきょろした後、大きな魔方陣を背後に展開して印を結ぶ『エピファニアの魔女』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)。
「ラーラ・ビスコッティ!」
 同じく長いロール式の護符を手足に巻き付けていた賀茂 たまき(CL2000994)がハッとして両手を挙げた。
「か、賀茂たまきです!」
 仕方ねえなという顔で首を振り、『花守人』三島 柾(CL2001148)が最後にファイティングポーズをとった。
「三島柾。六人そろって――」
「ファイヴ、見参だぜ!」
 翔の後ろで爆発が起こった。
 『おおっ』と言って身を乗り出すレッド。
 一方で目を細めるヤツアタリ。
「どこがファイヴだ、六人居るじゃねえか!」
「そこは気にするんじゃねー! とにかく、助けに来たぜ!」
「来てくれたか、翔……みんな!」
「当然、いくぜラーラ!」
「はいっ!」
 スマートホンのアプリ画面を複雑になぞる翔。
 眼前に現われた升目状の魔方陣パズルを複雑に組み替えるラーラ。
「くらえ、天の怒り!」
「良い子に甘い焼き菓子を、悪い子には石炭を……イオ・ブルチャーレ!」
 天空から無数の光が降り注ぎ、着弾と共に爆炎を巻き起こしていく。
 ザコたちが次々にひっくり返り、その奥から別のザコたちが駆けだしてくる。
「カクセイジャーの皆さん、お目にかかるのは初めてですね。彼らは任せてください!」
 倖は眼鏡を光らせると、跳躍と共に覚醒。
 足にメカニカルなウサギ足ブーツを装着すると、ザコの一人を蹴倒して着地。
 繰り出してくる棍棒を避けつつ腕をとり、一本背負いからの腕ひしぎへと展開。タップするザコ。
「ぐぬぬ……見たことの無いやつもおるのだ。いったいふぁいぶは何人おるのだ?」
「たくさんだよ」
 紡は棒キャンディをざーちゃんの口に突っ込むと、ぱちんとウィンクした。
「雨ちゃん舐めててね。応援よろしくー」
「子供扱いするでない! わしは残酷大魔……んまんまあまーい」
 速効で落ちるざーちゃんをみてけらりと笑う紡。
「俺たちも行くぞ!」
「応!」
 レッドたちがザコの群れに飛び込んでいく。
 と同時に柾やたまきたちも飛び込んでいった。
「レッドソード!」
「ブルーブレイド!」
「グリーンバルカン!」
 ザコたちを蹴散らす三人。
 その一方でたまきが丸めたポスターサイズの護符を右へ左へスイングし、ザコを空の彼方へ吹き飛ばしていく。
「きりがありませんっ」
「だが、俺たちの敵じゃない」
 柾はザコの群れを駆け抜けていくと、高速で彼らの腹や顎にパンチを一発ずつ叩き込み、次々に吹き飛ばしていく。
 一方で、ざーちゃんと紡を守るべくイエローとブラウンがザコをはねのけていた。
「ええい、なにをやっている。ヤツアタリ!」
「オオウッ!」
 ヤツアタリはうなりを上げて走り出すと、レッドたちを一斉に薙ぎ払った。
 火花を散らし、吹き飛ばされるレッドたち。
 グリーンと柾はお互いを支え合うように立ち上がると、ヤツアタリをにらんだ。
「なんて破壊力なんだ……」
「あいつから倒すのが良さそうだ。連携できるか?」
「フン、誰に言っている」
 ブルーが刀にオーラを溜め始める。
 柾はパチンと指を鳴らした。
「今だ!」
「了解でございます!」
 空中を激しく跳躍した倖(口調が若干変)が反転きりもみキックを繰り出し、ヤツアガリの心臓部を破壊した。
「ぐおおっ!?」
「これで奴は致命状態。回復の隙を与えず、畳みかけるのです!」
「よっしゃあ!」
 レッドとブルーのクロススラッシュが炸裂。
 更に急接近した柾とたまきがアシンメトリーパンチを叩き込んだ。
「ぐううっ、ま、まずい……貴様ら俺様の盾になれ!」
 近くのザコをかき集めて盾にするヤツアタリ。
 だがしかし。
「させません!」
 ラーラが魔方陣を六つ同時に起動させた。
 それぞれにカクセイジャーの顔が描かれた魔方陣が炎となってはなたれ、ザコを薙ぎ払っていく。
「翔、ほらがんばれー」
 紡が祈りを込めた飴玉をスリングショットで発射。
 ぱくんと口でキャッチした翔は、漲る力を込めてアプリ画面のボタンを全てタッチした。
「とどめだ、ヤツアタリ!」
 翔の解き放った雷の槍がザコを貫通してヤツアタリへと直撃。
「ぐああっ、嘘だ、こ、この俺様が人間ごときに……!」
 ヤツアタリは膝から崩れ落ち、爆発と共に消滅した。
 灰の散る中。
 カクセイジャーと翔たちは再び集まって身構えた。
「見たか、残虐大帝! これが俺たちの力だ!」
「僕らが居る限り、子供たちに手出しはさせません!」
 見得を切る倖たちに、残虐大帝は恐ろしく笑った。
「フハハハハハ! 愚かなる人間どもよ、いいだろう……我ら残虐帝国の力を見せてやろう! やれいっ!」
「「ハハァッ!」」
 ネタミ、ヒガミが同時に構えた。
「貴様の強さ、ネタマシイィ!」
 ネタミの腹に泣きはらしたような顔が浮き出たかと思うと、紡の暗黒のオーラが鎖となって紡に絡みついた。
「おっと……?」
「紡さんっ!」
「ククク、それはネタマシレンサ。僕の呪いを受けた者は思うように動けなくなるんだ。鎖はいつまでもつきまとうゾ。これからは強さを自粛して生きるんだなァ……アハハハハハ!」
「それ、追い打ちだ、ヒガミの力を思い知れ! 貴様の足を引っ張ってやる!」
 ヒガミが地面を踏みならすと、紡たちの足下がぐにゃりと泥沼のように抜かるみはじめた。暗黒のオーラが無数の腕となってイエローやブラウンにしがみつく。
「ヒャヒャヒャ、お前もハンデを背負え!」
「紡!」
 ヒガミたちのエネルギー射撃。翔は彼女を突き飛ばすかたちでダメージを肩代わりした。
「ありがと」
「後で俺にも飴ちゃんくれよな」
 にっこり笑いあって、翔はネタミたちに向き直った。
 ずんぐりとした巨岩のような古妖サカウラミが負のオーラをわき上がらせる。
「ウラメシイィ……!」
「回復はさせないぜ!」
 柾がダッシュをかけ、ストレートパンチで岩におおきなヒビを入れる。
「もらいました!」
 更に倖がサカウラミに組み付き、ブーツのチップ噴射を利用して豪快なバックジャンプドロップを仕掛けた。
「ぐ、ぐあああああ!」
 粉々に砕け散るサカウラミ。
 ラーラとたまきはそれぞれ顔を見合わせ、頷き合った。
 魔導書に挟まっていたカードを投げるラーラ。
 同じく護符の内の一枚を投げるたまき。
 二人の間で交差し、互いにキャッチすると、自らの魔術や法術を流し込んで連携起動させた。
「「いきます!」」
 炎でできた巨人が、激しい圧力となってネタミとヒガミを打ち払う。
 その間、ブラウンたちに鎖を切って貰った紡が、翔のもとへとやってきた。
 ぱちんとハイタッチする二人。
「残虐大帝、後ろでふんぞり返ってるだけだと痛い目にあうぞ! いや、あわせてやるぞ!」
 紡のエネルギー支援を受け、翔は激しい雷の槍を生み出した。
 しかし。
「小癪な」
 残虐大帝を腕をひとふりすると、翔たちの周囲で激しい爆発がおこった。
「「うわっ!?」」
 思わず吹き飛ばされる翔たち。
 残虐大帝は真っ黒なホールを空中に生み出すと、その中へと入っていった。
「貴様らの顔は覚えたぞ。カクセイジャーに、ファイヴ……世界征服のためには、やはり貴様らは倒さねばならぬ敵らしいな」
「まて、逃げるのか!?」
「そう焦るな」
 ネタミやヒガミ、サカウラミの残骸やヤツアタリの灰を吸収して、残虐大帝はホールを閉じ始める。
「近いうちに、戦争を交わすこととなるだろう。その時が……貴様らの死ぬときとなる。フハハハハハハ!」

●カクセイベルト……?
「よう、強くなったな……!」
「お前もな!」
 翔とレッドはばしんと豪快な握手をし、柾とブルーはごつんと拳をぶつけ合った。
「あれから随分たつんですね。皆さん、立派になられて……」
「皆ほどじゃないよ。僕なんてまだまださ」
 にっこりと照れ笑いをしあうラーラとグリーン。
「カレー、ごちそうするんだな」
「えっと……ぜひ」
 お皿を渡されて、おずおずと受け取るたまき。
 ブラウンと倖はお互いに黙ってこっくりと頷きあった。
 一方で。
「ククク、ファイヴめ……ここであったが百年目、貴様らの力を利用し、我が糧としてくれようぞ!」
 ざーちゃんがなんか言ってた。かがみ込んで目線を合わせる紡。
「はいはい。卵パック買うんだよね。手伝うよー」
「ククク、わかればよいのだ……!」
「それにしても、残虐大帝か。手強い敵だったな……」
 自分の手を見つめる翔。
 残虐大帝が腕を払っただけで自分たちは一斉に薙ぎ払われてしまった。
「あいつと戦うだけの力をつけなくちゃな」
「それに最後に言ってた言葉……気になりますね」
 戦争というワードに心のどこかが震えた。
 危機感、予感、第六感。なんといってよいか……。
「もしかして、この土地にはまだなにかあるとか」
「いーやっ、もうなにもないぞ。この土地はわしのものなのだ!」
 両手をグーにして突き上げるざーちゃん。
「だよなあ。あの残酷大将軍がこんな可愛い女の子になってるぐらいだしな」
「かわいーってゆーなー! このー!」
 ぐるぐるパンチを額を押さえて抑制する柾。
 倖が難しい顔をした。
「あの古妖たちも人間の負の感情で生まれたのでしょうか。石碑などで抑えられればよいのですが……難しいでしょうね」
 石碑が効果を持つのは、『それが存在することで落ち着く』という住民たちの気持ちによって成立しているからだ。現代において、石碑の鎮静効果はあまり大きいとは言えない。 現代にはびこる妬みや僻み、逆恨みや八つ当たりといった感情は……やはり消すことはできないのだ。
「奴らは負の感情の集合体。それを解消するということは、奴らを倒すと言うことなのだ」
「では、ざーちゃんさんのように浄化することも……」
「ふ、ふん、貴様らにそんな大それたことができるかな……っ」
 腕組みしてそっぽをむくざーちゃん。
 自分が最大の証人であることは認めたくないらしい。
 そのことを察して、紡はへらりと笑った。
「とにかく、お疲れちゃん」
 たまきたちをねぎらって、スーパーへと歩き出す。
「まて、おまえたち」
 ざーちゃんは彼らを制止すると、勾玉に似た妙なアイテムを取り出した。
 首を傾げる翔。
「なんだそれ、『大将軍のかけら』に似てるな」
 大将軍のかけらとは、その名の通り残酷大将軍の石碑のかけらである。ファイヴでは攻撃力アップの勾玉として利用されている。
「勾玉なのか?」
「まがたまではない。似てはいるがな」
「僕が開発している道具なんだ」
 ブラウンが石を取り上げて皆を見た。
「ざーちゃんは人々の心が具現化した存在だよね。その具現化する性質を利用して、術式や因子のパワーを具現化して鎧やバトルスーツに変えられないかって実験をしてるんだ。普段は少し大きめのベルトバックルのように装着して、覚醒(変身)の時に起動する仕組みだよ」
「すごいな!」
 目をキラキラさせる翔。
 しかしブラウンは顔をしかめて言った。
「けど僕の技術力じゃベースを作るまでで精一杯だったんだ。よかったら、君たちの力で形にしてみてくれないかな」
「……よろしいのですか?」
 倖の問いかけに、レッドたちが強く頷く。
「俺たちのピンチを救ってくれたお礼、っていったら嘘になるかな。な、ブルー」
「ああ……お前たちを信じてる」
「皆さん……」
 石を受け取って、倖は頷いた。

●夢見からの追加報告 残虐空間接続地点『岩狭湾ゲート』にて
 岩狭湾の波間に、真っ黒なゲートが開いた。
「フン、ファイブめ……なんとかして奴らを倒さねば。しかしファイヴのくせに六人とは、一体全部で何人いるというのだ」
「百人以上はいるぜー」
 水面をすいすい移動するスワンボートの中から、暴力坂乱暴が声をかけた。
「ムムッ、貴様は……暴力坂! 生きていたのか! 七十年ぶりではないか!」
「死ぬ寸前だってんだよ」
 水面だというのにスワンボートをぴたりと止めて、暴力坂は身を乗り出した。
「よう、残虐大帝。部隊に戻らねえか」
「なんだまた中国海軍でも襲ってきたのか」
「そうじゃねえんだが、ちっとややこしい」
「ふむ……」
 残虐大帝は腕組みしてから、深く頷いた。
「いいだろう。互いにいずれは世界征服をする身、今再び貴様の配下に加わろうではないか」

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし




 
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