【F村S2】ファイヴ村プロデュース 遊園地を作ろう!
●
十月。ハロウィン気分で仮装大宴会をかましていたファイヴ村に一人の男が訪れ、こんな風に言った。
「皆さん、遊園地の開発にご興味……ありませんか」
今回の挑戦は、そんな一幕から始まった。
隣町で遊園地を経営しているイナガキという男の依頼は、ファイヴ村による遊園地のプロデュースである。
海辺の土地に作られたミラクルランドという遊園地は舞浜の巨大テーマパークと同じくらいに出来たちょっぴり古風な遊園地である。
観覧車やらメリーゴーランドやら回るティーカップやらミニ機関車やら、とにかく子供向け遊園地と名の付きそうなアトラクションを一通り備えてはいるが……いかんせん人気が出なくて経営が成り立たない。
大きな企業から買収の誘いをされているが、その企業はマニアックな大人に風俗店まがいの商売をしかけて荒稼ぎするトコロらしく、意地でも受けたくないそうだ。
「先日ショッピングモールを大胆に改装したというニュースを見かけまして、もしかしたらアミューズメントにも強いのでは無いかと……そう、思いまして」
イナガキは内気な男のようだが、彼の目には『子供たちの遊び場を守りたい』という強い意志がハッキリと現われていた。
顔を見合わせるファイヴ村最大の功労者たち。
彼らは頷きあい、次の挑戦を定めた。
さあ、遊園地をつくろう!
十月。ハロウィン気分で仮装大宴会をかましていたファイヴ村に一人の男が訪れ、こんな風に言った。
「皆さん、遊園地の開発にご興味……ありませんか」
今回の挑戦は、そんな一幕から始まった。
隣町で遊園地を経営しているイナガキという男の依頼は、ファイヴ村による遊園地のプロデュースである。
海辺の土地に作られたミラクルランドという遊園地は舞浜の巨大テーマパークと同じくらいに出来たちょっぴり古風な遊園地である。
観覧車やらメリーゴーランドやら回るティーカップやらミニ機関車やら、とにかく子供向け遊園地と名の付きそうなアトラクションを一通り備えてはいるが……いかんせん人気が出なくて経営が成り立たない。
大きな企業から買収の誘いをされているが、その企業はマニアックな大人に風俗店まがいの商売をしかけて荒稼ぎするトコロらしく、意地でも受けたくないそうだ。
「先日ショッピングモールを大胆に改装したというニュースを見かけまして、もしかしたらアミューズメントにも強いのでは無いかと……そう、思いまして」
イナガキは内気な男のようだが、彼の目には『子供たちの遊び場を守りたい』という強い意志がハッキリと現われていた。
顔を見合わせるファイヴ村最大の功労者たち。
彼らは頷きあい、次の挑戦を定めた。
さあ、遊園地をつくろう!

■シナリオ詳細
■成功条件
1.遊園地をつくる!
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
名前や功績が広まってかなりダイナミックな活動になりつつあるシリーズの第三回。
一応コレ含めてあと三回で一旦着地する予定です。
今回もプレイングのサポートプランを盛り込んでいますので、補足をお読みください。
●出張パート
今回は遊園地を作りましょう。
土台の遊園地を作り替えたり利用したりして新しい遊園地へと生まれ変わらせます。
古妖との共存というテーマはそのままに、子供たちの遊び場としての新しい遊園地のカタチを目指しましょう。
ちなみにミラクルランドは富山のミラージュランドをモチーフとしたとってもフツーの遊園地です。入園無料のチケット制で観覧車をはじめくるくる回るアトラクションで出来ています。ジェットコースターは老朽化のため閉じられ、やや小規模な夏用プールと広い芝生の公園。あとテニスコートでできています。
ちなみに道を挟んですぐ向かいには水族館もあり、ここも交渉次第で利用が可能になります。
プランとしては『見た目の変更』『スタッフの確保』『イベントの企画』『アトラクションの開発』『長期的な宣伝』、余裕があれば『水族館側の利用』です。
これも個別に分担してもいいかもしれません。
●村運営パート
こちらはサブパートとなります。
村にはダモさんやレンさん、ベン市長のように黙っててもちゃんと運営してくれるスタッフが常駐しています。
村の運営も軌道に乗っているので、多少トラブルが起きても村の中だけで自己解決できます。
そのため100文字程度のプレイングで今後の方針を述べるだけで充分に動いてくれるでしょう。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
相談日数
7日
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
6/6
公開日
2016年10月23日
2016年10月23日
■メイン参加者 6人■

●テレビに流れる君の声
こちらは、全国ネット(具体的には全国分岐ケーブル配信)で放送された深夜の特集番組、情熱プロジェクトミニの映像である。
ワイプの映像を右上に想像しつつ、ナレーションの声と共にご覧頂きたい。
●おいでよ古妖の遊園地
村民ゼロから百の大台を突破した村。
その名もファイヴ村。
○県○市にあるこの村にはある秘密がある。
その秘密とは……?
「古妖と共存する村作りよ」
にこやかに語る『霧の名の鬼を咎める者』エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496)さん。
この村の名誉管理人の一人である。
住民の半数が古妖というこの村では、人と古妖が一緒に暮らすのは当たり前。
学校も、病院も、郵便局も、住宅も、どこもかしこも一緒に暮らす。
ファイヴ村はこのシステムを取り入れたことで、妖によって廃村となった村をイチから立ち上げ、ここまでの規模にしたんだとか。
「今日は、私たちのプロデュースした遊園地を見せるわね」
そう言って案内されたのは……テレビ初公開、寂れた遊園地を復興させたというニューテーマパーク。
「王子バックトゥザランドだよ! ハハッ!」
入園そうそう現われたこの着ぐるみは……?
「この遊園地のマスコットキャラの、『プリンスくん』です。」
紹介してくれたのは広告宣伝を担当している『希望峰』七海 灯(CL2000579)さん。
この人は普段ファイヴ村のサポートセンターに勤めて近隣から寄せられる様々な問題を日夜解決しているえらーい人。
今回の遊園地プロデュースもこの人が窓口になったとか。
「いえ、毎日いるわけでは……でもそうですね、今回のお話は、『子供たちの遊び場を守りたい』という経営者さんのご意志を尊重するかたちで、引き受けさせて頂きました」
このマスコットキャラも七海さんの発案なんですか?
「遊園地にはマスコット。これは大事ですから」
確かに――ネットやチラシにキャラクターが描かれているし、お土産のお饅頭や豆腐クッキーにもプリントされているようだ。
人気が出ればメディア展開も期待できるかもしれない。
「さすがにそこまでは欲張りませんけど……でも、中の人にはそれだけのカリスマがあると思いますよ」
「ハハッ!」
さっきから危険な裏声で笑っているこのきぐるみプリンスくん。
どうやらモデルとなった人がいるらしく……。
「ハハッ、余だよ!」
着ぐるみを脱ぎ捨てて現われたのは『アイラブニポン』プリンス・オブ・グレイブル(CL2000942)。
「やあ、余はプリンスくん。仕事は海外の支配階級!」
そうなんとプリンスくんの中身はプリンスさん。なんと欧州小国の王子さまだという。セレブ中のセレブだ。
脱ぎ捨てた着ぐるみをもう一度着せる七海さん。
「このプリンス君が園内をフリーダムにうろついて、スタンプカードにスタンプを押してまわるんです。季節ごとのスタンプを集めていくと記念品や割引券になるんですよ」
「今から余がアトラクションとテーマを紹介していくよ! ハハッ!」
プリンスくんに連れられてやってきたのは、お化け屋敷……?
「ここはお化け屋敷を改装したニンジャハウスだよ、ハハッ。古妖と一緒に当時のコスプレをした民とのおもしろライフを体験してもらおうって魂胆なのさ! ハハッ!」
確かに園内のアトラクションは古い時代を感じさせるものばかり。
オバケヤシキがニンジャハウスに。
メリーゴーランドは牛車ゴーランドに。
コーヒーカップは利休フリースタイルバトルに。
かなり歴史を誤解しそうなアトラクションだ……。
「大事なのは気分さ、ハハッ! そしてこれが目玉アトラクションだよ!」
プリンスくんが連れてきてくれたのはジェットコースターのりば。
その名も『ニホン・ザ・ゴッドスピード!』。
「この国の一万年の歴史を縄文から追体験するアトラクションだよ。園内を全てぶち抜いて作ったのさ。ハハッ!」
どうやらスリルもタイムスリップ気分も満点らしい。
早速プリンスくんとADが一緒に乗ってみると。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!』
あんまり見れない……。
カメラを巻き戻してひとつひとつ確認してみよう。
サムライ。
ニンジャ。
ゴリラ。
ゲイシャ。
スキヤキ。
アニメ。
ウドン。
ゴリラ。
なんでゴリラ。
「民のみんなー、よろしく敬愛しにきてねー」
ベンチでダウンするプリンスくんからでした。
テーマパークの魅力はアトラクションだけじゃあない。
イベントや個性的なスタッフも魅力の一つだ。
こういった人事を担当しているのが『天使の卵』栗落花 渚(CL2001360)さん。
ファイヴ村で雇用事業を担当しているとても偉いひとだ。
「今回立ち上げたのは『コヨー! プロジェクト』。エンターテインメント部門を独立させた事業なんです。古妖や人の中でもパフォーマンスに優れたかた、デザイナーやミュージシャンといった芸能部門の仕事を強化してます。その第一歩が、今回の園内スタッフ」
確かに見てみると。
歩く郵便ポストや。
壁。
琵琶の妖怪とそれをかきながすミュージシャン。
塀の向こうから覗いている大きい人など。
見て回るだけでもかなり不思議な古妖が積極的に働いているようだ。
しかし妖怪がそばにいるのは危険じゃないのだろうか?
「うん、確かに危険な古妖は世の中に沢山居るよ。でも楽しく一緒に暮らせる古妖も沢山いる。動物や植物といっしょだよ。なかには人間よりずっと長く生きたり、ずっと賢かったりする古妖もいるの。こういうひとたちを知ることも、きっと今の世界を知るきっかけになるんじゃないかな、って」
そう語りながら、渚さんはイベント会場へ案内してくれた。
「どうもっす!」
イベント会場でマイクを持っていたのは『田中と書いてシャイニングと読む』ゆかり・シャイニング(CL2001288)さん。彼女もファイヴ村を長く支えるえらーい人だ。
どうやら今からトークイベントが始まるようだが……?
「今日は日本に暮らして七千年という古妖さんに来て頂きました。ポンパカピャカラッピオポンペケ星人さんです」
『いま星って言いましたか。星の人なんですか』
「ヴェイヴェロパッカホエイホエイ……」
「七千年前に日本に引っ越してきたそうです。単身赴任だそうです」
『七千年前の日本ってどうだったんですか?』
「カンベカンベナンバラナンデス……」
「最近の若い者は……」
「ウッチャンハマチャン……バナナムクマン……」
「すぐに二足歩行をさぼる、だそうです」
スケールが広いようだ……。
「えー、続きましてはライトニングゴリラさんです。ゴリラ熱海で温泉宿を経営していらっしゃるそうで」
「ウホ、ウホホウッホ! ウホウホゴリラ!」
「わかりますー」
ゆかりさんはこの後暫くトークショーを行なったあと、翌日行なわれるライブイベントも紹介してくれた。
古妖で構成したロックバンドや古妖落語化、化けだぬきや最近話題の都市伝説まで登場するという。
「けどやっぱり一番人気は『すねっこキャラバン』っす。元々ファイヴ村の事業はここから始まったと言っても過言ではないっすよ!」
当時の写真を見せて貰った。
どうやらファイヴ村がその名前を公にするずっと前から、軽トラックを改造したキャラバンカーで大道芸を披露して回っていたという。
その芸を仕込まれた古妖というのが、このすねこすりだ。
ネコの類縁とも言われる古妖で、すねにこすりついてくることからその名前がついた古妖である。
「ファイヴは昔、京都に沢山この古妖が出現して大騒ぎになったとき、それを皆で協力して捕まえたんです。けど見た目も可愛いしもふもふしてますから、ファイヴ村が古妖と共存していく第一歩にいい……って、思ったんですね」
どうやら歴史の長いファイヴ村。
遊園地も見所がいっぱいのようだ。
さて、遊園地から少し離れたところにある水族館。
ここにもファイヴ村のプロデユーサーはいた。
『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)さんである。
「ここは古妖との共存をテーマにした水族館だ。南国の海や淡水でしか生息できない古妖のために水質を管理した巨大水槽を設けていて、彼らにとっての安住の場所にもなっている」
ゲイルさんが見せてくれたのは、最近ここで生活し始めたという『すぐ死ぬマンボウ』。りゃうして『死ぬボウ』だ。
死ぬボウは日差しが少し強かったり海水がしょっぱかったり硬いものを食べたり孤独を感じたり、あらゆることですぐに死ぬという。
しかし死ぬたびになんでかすぐに復活するので、実質的には不死身なんだとか。
「元々はマンボウにまつわる都市伝説として存在していたんだが、水槽を叩かれたり大勢に見られたりすることで死んでしまうマンボウがいると聞いたことがはじまりだった。今回この水槽に引き取ってからは、こっそりと設置した監視カメラで日夜死んでは復活を繰り返す死ぬボウを観察することができる」
だが目玉はこれだけじゃあない。
「この水族館では、施設を大幅に改装して古妖と一緒に遊べるプールを開設している。その第一段階が、この『人魚の水槽』だ」
ゲイルが示した水槽には、水着姿の人魚が泳いでいる。
ジュゴンのモデルとなったとされる有名な古妖だが、人前に姿を見せるのはきわめて珍しいことなんだとか。
「歌や水中のダンスをショーとして披露するだけでなく、一緒に泳ぐ体験ができるようになっている」
確かに、人魚と一緒に泳げるのは素晴らしい体験になるだろう。
「近々、ファイヴ村には動物園も開く予定だ。よかった今度取材に来てくれ」
以上、ファイヴ村のプロデュースした遊園地と水族館でした!
●ファイヴ村はえいえんに
「ということで、『ふわもこ古妖パーク』の完成が今回の目的だ。皆、気合いを入れてくれ!」
「「ハイ、リーダー!!」」
アマゾネスたちに囲まれたゲイルは、動物園スタッフのようなツナギ姿でデッキブラシを持っていた。
村の端に開かれた山は、殆どが農場と畑になっている。しかし一部残されたエリアは自然のままになっており、そこを人工的に切り開いて『ふわもこ古妖パーク』を開設することにしたのだ。
「基礎的な生活環境作りはプリンスが整えてくれたが、微妙な水質を要求する者や土や砂と青空でなければ生活できないという者もいる。そういった古妖を集め、サファリパーク形式で放つウォークイン動物園だ。逃げ出してしまうおおれのある小さなふわもこ古妖は柵の内側に、室内に入りたがる古妖のために扉のある建物も配置しておくんだ」
「んめーっ!」
「おーよしよし、お前も元気にやってるんだな、ふわふわひつじ!」
ということでこちらはファイヴ村である。
「エメレンツィアさん、大丈夫?」
「ごめんなさいね。別の仕事が押していて、昨晩までに企画をまとめようとパソコンを開いた所までは覚えてるんだけど……」
エメレンツィアはソファに横になったまま、額にぬれタオルを乗せていた。
「働き過ぎだよ。無理しないで。畑や牧場は順調だし、必要なことはやっておくから」
「頼むわね……」
渚は頷いて、自分のパソコンに目を向けた。
芸能事務所よろしく様々な人や古妖の写真とプロフィールが表示されている。
「ツユ姫ー、リモコン隠しの民、どうなったー?」
「ちゃんとマンションに入居できたみたいだよ。それにさっき『リモコン隠しイベント』を引き受けてきたところ」
「りもこんかくしいべんと……」
一般的なワンルームマンションを模したステージに、何につながっている分けでも無いテレビリモコンをそっと隠し、それを探し当てるという不思議ゲームである。
「日本の電波事情が回復すれば、リモコン隠しにも正当な仕事が生まれるのにね……」
「生まれたらだめなんじゃないのその仕事」
「みなさーん!」
竹で出来たカゴになにやら色々積み上げたゆかりがやってきた。
「サザナミ村のカマボコとちくわ、できましたよ!」
「いいね、じゃあ王子ビーチボーイズカマボ――」
「サザナミカマボコは金太郎飴方式ですねこすりの顔が出てくるんですよ。あとは工場にレーンを用意するだけですね」
「食品加工も随分大規模になりましたね……」
灯がファイルを手に事務所へやってきた。
「この前の番組ですが、反響が良かったそうで、今度ファイブ村を取材したいそうです。皆さんの担当に分けて、『どんなことをしているか』『どんな所から始めたのか』『どんな理由があったのか』『どんなことに困っているのか』を予め教えて欲しいと……」
「取材ですかあ。確かに、そろそろそういう時期なのかもしれませんねえ」
「はい。次回までに、皆さんも考えてきてくださいね。番組名は……」
「『情熱X ~プロジェクト大陸~』」
こちらは、全国ネット(具体的には全国分岐ケーブル配信)で放送された深夜の特集番組、情熱プロジェクトミニの映像である。
ワイプの映像を右上に想像しつつ、ナレーションの声と共にご覧頂きたい。
●おいでよ古妖の遊園地
村民ゼロから百の大台を突破した村。
その名もファイヴ村。
○県○市にあるこの村にはある秘密がある。
その秘密とは……?
「古妖と共存する村作りよ」
にこやかに語る『霧の名の鬼を咎める者』エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496)さん。
この村の名誉管理人の一人である。
住民の半数が古妖というこの村では、人と古妖が一緒に暮らすのは当たり前。
学校も、病院も、郵便局も、住宅も、どこもかしこも一緒に暮らす。
ファイヴ村はこのシステムを取り入れたことで、妖によって廃村となった村をイチから立ち上げ、ここまでの規模にしたんだとか。
「今日は、私たちのプロデュースした遊園地を見せるわね」
そう言って案内されたのは……テレビ初公開、寂れた遊園地を復興させたというニューテーマパーク。
「王子バックトゥザランドだよ! ハハッ!」
入園そうそう現われたこの着ぐるみは……?
「この遊園地のマスコットキャラの、『プリンスくん』です。」
紹介してくれたのは広告宣伝を担当している『希望峰』七海 灯(CL2000579)さん。
この人は普段ファイヴ村のサポートセンターに勤めて近隣から寄せられる様々な問題を日夜解決しているえらーい人。
今回の遊園地プロデュースもこの人が窓口になったとか。
「いえ、毎日いるわけでは……でもそうですね、今回のお話は、『子供たちの遊び場を守りたい』という経営者さんのご意志を尊重するかたちで、引き受けさせて頂きました」
このマスコットキャラも七海さんの発案なんですか?
「遊園地にはマスコット。これは大事ですから」
確かに――ネットやチラシにキャラクターが描かれているし、お土産のお饅頭や豆腐クッキーにもプリントされているようだ。
人気が出ればメディア展開も期待できるかもしれない。
「さすがにそこまでは欲張りませんけど……でも、中の人にはそれだけのカリスマがあると思いますよ」
「ハハッ!」
さっきから危険な裏声で笑っているこのきぐるみプリンスくん。
どうやらモデルとなった人がいるらしく……。
「ハハッ、余だよ!」
着ぐるみを脱ぎ捨てて現われたのは『アイラブニポン』プリンス・オブ・グレイブル(CL2000942)。
「やあ、余はプリンスくん。仕事は海外の支配階級!」
そうなんとプリンスくんの中身はプリンスさん。なんと欧州小国の王子さまだという。セレブ中のセレブだ。
脱ぎ捨てた着ぐるみをもう一度着せる七海さん。
「このプリンス君が園内をフリーダムにうろついて、スタンプカードにスタンプを押してまわるんです。季節ごとのスタンプを集めていくと記念品や割引券になるんですよ」
「今から余がアトラクションとテーマを紹介していくよ! ハハッ!」
プリンスくんに連れられてやってきたのは、お化け屋敷……?
「ここはお化け屋敷を改装したニンジャハウスだよ、ハハッ。古妖と一緒に当時のコスプレをした民とのおもしろライフを体験してもらおうって魂胆なのさ! ハハッ!」
確かに園内のアトラクションは古い時代を感じさせるものばかり。
オバケヤシキがニンジャハウスに。
メリーゴーランドは牛車ゴーランドに。
コーヒーカップは利休フリースタイルバトルに。
かなり歴史を誤解しそうなアトラクションだ……。
「大事なのは気分さ、ハハッ! そしてこれが目玉アトラクションだよ!」
プリンスくんが連れてきてくれたのはジェットコースターのりば。
その名も『ニホン・ザ・ゴッドスピード!』。
「この国の一万年の歴史を縄文から追体験するアトラクションだよ。園内を全てぶち抜いて作ったのさ。ハハッ!」
どうやらスリルもタイムスリップ気分も満点らしい。
早速プリンスくんとADが一緒に乗ってみると。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!』
あんまり見れない……。
カメラを巻き戻してひとつひとつ確認してみよう。
サムライ。
ニンジャ。
ゴリラ。
ゲイシャ。
スキヤキ。
アニメ。
ウドン。
ゴリラ。
なんでゴリラ。
「民のみんなー、よろしく敬愛しにきてねー」
ベンチでダウンするプリンスくんからでした。
テーマパークの魅力はアトラクションだけじゃあない。
イベントや個性的なスタッフも魅力の一つだ。
こういった人事を担当しているのが『天使の卵』栗落花 渚(CL2001360)さん。
ファイヴ村で雇用事業を担当しているとても偉いひとだ。
「今回立ち上げたのは『コヨー! プロジェクト』。エンターテインメント部門を独立させた事業なんです。古妖や人の中でもパフォーマンスに優れたかた、デザイナーやミュージシャンといった芸能部門の仕事を強化してます。その第一歩が、今回の園内スタッフ」
確かに見てみると。
歩く郵便ポストや。
壁。
琵琶の妖怪とそれをかきながすミュージシャン。
塀の向こうから覗いている大きい人など。
見て回るだけでもかなり不思議な古妖が積極的に働いているようだ。
しかし妖怪がそばにいるのは危険じゃないのだろうか?
「うん、確かに危険な古妖は世の中に沢山居るよ。でも楽しく一緒に暮らせる古妖も沢山いる。動物や植物といっしょだよ。なかには人間よりずっと長く生きたり、ずっと賢かったりする古妖もいるの。こういうひとたちを知ることも、きっと今の世界を知るきっかけになるんじゃないかな、って」
そう語りながら、渚さんはイベント会場へ案内してくれた。
「どうもっす!」
イベント会場でマイクを持っていたのは『田中と書いてシャイニングと読む』ゆかり・シャイニング(CL2001288)さん。彼女もファイヴ村を長く支えるえらーい人だ。
どうやら今からトークイベントが始まるようだが……?
「今日は日本に暮らして七千年という古妖さんに来て頂きました。ポンパカピャカラッピオポンペケ星人さんです」
『いま星って言いましたか。星の人なんですか』
「ヴェイヴェロパッカホエイホエイ……」
「七千年前に日本に引っ越してきたそうです。単身赴任だそうです」
『七千年前の日本ってどうだったんですか?』
「カンベカンベナンバラナンデス……」
「最近の若い者は……」
「ウッチャンハマチャン……バナナムクマン……」
「すぐに二足歩行をさぼる、だそうです」
スケールが広いようだ……。
「えー、続きましてはライトニングゴリラさんです。ゴリラ熱海で温泉宿を経営していらっしゃるそうで」
「ウホ、ウホホウッホ! ウホウホゴリラ!」
「わかりますー」
ゆかりさんはこの後暫くトークショーを行なったあと、翌日行なわれるライブイベントも紹介してくれた。
古妖で構成したロックバンドや古妖落語化、化けだぬきや最近話題の都市伝説まで登場するという。
「けどやっぱり一番人気は『すねっこキャラバン』っす。元々ファイヴ村の事業はここから始まったと言っても過言ではないっすよ!」
当時の写真を見せて貰った。
どうやらファイヴ村がその名前を公にするずっと前から、軽トラックを改造したキャラバンカーで大道芸を披露して回っていたという。
その芸を仕込まれた古妖というのが、このすねこすりだ。
ネコの類縁とも言われる古妖で、すねにこすりついてくることからその名前がついた古妖である。
「ファイヴは昔、京都に沢山この古妖が出現して大騒ぎになったとき、それを皆で協力して捕まえたんです。けど見た目も可愛いしもふもふしてますから、ファイヴ村が古妖と共存していく第一歩にいい……って、思ったんですね」
どうやら歴史の長いファイヴ村。
遊園地も見所がいっぱいのようだ。
さて、遊園地から少し離れたところにある水族館。
ここにもファイヴ村のプロデユーサーはいた。
『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)さんである。
「ここは古妖との共存をテーマにした水族館だ。南国の海や淡水でしか生息できない古妖のために水質を管理した巨大水槽を設けていて、彼らにとっての安住の場所にもなっている」
ゲイルさんが見せてくれたのは、最近ここで生活し始めたという『すぐ死ぬマンボウ』。りゃうして『死ぬボウ』だ。
死ぬボウは日差しが少し強かったり海水がしょっぱかったり硬いものを食べたり孤独を感じたり、あらゆることですぐに死ぬという。
しかし死ぬたびになんでかすぐに復活するので、実質的には不死身なんだとか。
「元々はマンボウにまつわる都市伝説として存在していたんだが、水槽を叩かれたり大勢に見られたりすることで死んでしまうマンボウがいると聞いたことがはじまりだった。今回この水槽に引き取ってからは、こっそりと設置した監視カメラで日夜死んでは復活を繰り返す死ぬボウを観察することができる」
だが目玉はこれだけじゃあない。
「この水族館では、施設を大幅に改装して古妖と一緒に遊べるプールを開設している。その第一段階が、この『人魚の水槽』だ」
ゲイルが示した水槽には、水着姿の人魚が泳いでいる。
ジュゴンのモデルとなったとされる有名な古妖だが、人前に姿を見せるのはきわめて珍しいことなんだとか。
「歌や水中のダンスをショーとして披露するだけでなく、一緒に泳ぐ体験ができるようになっている」
確かに、人魚と一緒に泳げるのは素晴らしい体験になるだろう。
「近々、ファイヴ村には動物園も開く予定だ。よかった今度取材に来てくれ」
以上、ファイヴ村のプロデュースした遊園地と水族館でした!
●ファイヴ村はえいえんに
「ということで、『ふわもこ古妖パーク』の完成が今回の目的だ。皆、気合いを入れてくれ!」
「「ハイ、リーダー!!」」
アマゾネスたちに囲まれたゲイルは、動物園スタッフのようなツナギ姿でデッキブラシを持っていた。
村の端に開かれた山は、殆どが農場と畑になっている。しかし一部残されたエリアは自然のままになっており、そこを人工的に切り開いて『ふわもこ古妖パーク』を開設することにしたのだ。
「基礎的な生活環境作りはプリンスが整えてくれたが、微妙な水質を要求する者や土や砂と青空でなければ生活できないという者もいる。そういった古妖を集め、サファリパーク形式で放つウォークイン動物園だ。逃げ出してしまうおおれのある小さなふわもこ古妖は柵の内側に、室内に入りたがる古妖のために扉のある建物も配置しておくんだ」
「んめーっ!」
「おーよしよし、お前も元気にやってるんだな、ふわふわひつじ!」
ということでこちらはファイヴ村である。
「エメレンツィアさん、大丈夫?」
「ごめんなさいね。別の仕事が押していて、昨晩までに企画をまとめようとパソコンを開いた所までは覚えてるんだけど……」
エメレンツィアはソファに横になったまま、額にぬれタオルを乗せていた。
「働き過ぎだよ。無理しないで。畑や牧場は順調だし、必要なことはやっておくから」
「頼むわね……」
渚は頷いて、自分のパソコンに目を向けた。
芸能事務所よろしく様々な人や古妖の写真とプロフィールが表示されている。
「ツユ姫ー、リモコン隠しの民、どうなったー?」
「ちゃんとマンションに入居できたみたいだよ。それにさっき『リモコン隠しイベント』を引き受けてきたところ」
「りもこんかくしいべんと……」
一般的なワンルームマンションを模したステージに、何につながっている分けでも無いテレビリモコンをそっと隠し、それを探し当てるという不思議ゲームである。
「日本の電波事情が回復すれば、リモコン隠しにも正当な仕事が生まれるのにね……」
「生まれたらだめなんじゃないのその仕事」
「みなさーん!」
竹で出来たカゴになにやら色々積み上げたゆかりがやってきた。
「サザナミ村のカマボコとちくわ、できましたよ!」
「いいね、じゃあ王子ビーチボーイズカマボ――」
「サザナミカマボコは金太郎飴方式ですねこすりの顔が出てくるんですよ。あとは工場にレーンを用意するだけですね」
「食品加工も随分大規模になりましたね……」
灯がファイルを手に事務所へやってきた。
「この前の番組ですが、反響が良かったそうで、今度ファイブ村を取材したいそうです。皆さんの担当に分けて、『どんなことをしているか』『どんな所から始めたのか』『どんな理由があったのか』『どんなことに困っているのか』を予め教えて欲しいと……」
「取材ですかあ。確かに、そろそろそういう時期なのかもしれませんねえ」
「はい。次回までに、皆さんも考えてきてくださいね。番組名は……」
「『情熱X ~プロジェクト大陸~』」
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
『ファイヴ村管理人雇用担当』
取得者:栗落花 渚(CL2001360)
『ファイヴ村管理人芸能担当』
取得者:ゆかり・シャイニング(CL2001288)
『ファイヴ村管理人事務担当』
取得者:七海 灯(CL2000579)
『ファイヴ村管理人王子担当』
取得者:プリンス・オブ・グレイブル(CL2000942)
『ファイヴ村管理人農林担当』
取得者:エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496)
『ファイヴ村管理人ふわもこ担当』
取得者:ゲイル・レオンハート(CL2000415)
取得者:栗落花 渚(CL2001360)
『ファイヴ村管理人芸能担当』
取得者:ゆかり・シャイニング(CL2001288)
『ファイヴ村管理人事務担当』
取得者:七海 灯(CL2000579)
『ファイヴ村管理人王子担当』
取得者:プリンス・オブ・グレイブル(CL2000942)
『ファイヴ村管理人農林担当』
取得者:エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496)
『ファイヴ村管理人ふわもこ担当』
取得者:ゲイル・レオンハート(CL2000415)
特殊成果
なし
