ゴリラ島のゴリラ運動会
ゴリラ島のゴリラ運動会


●ウッホウホ、ウホウホゴリラ!(訳:ゴリラ語でお送りします)
「ウホ、ウッホウホ! ウホホウホウッホホウホホウホ! ゴリラ!」
「ウホ、ウッホウホ! ウホホウホウッホホウホホウホ! ゴリラ!」
「ゴリラゴリラウッホウウホ! ウホホオオオオオウ!」
 ウホホウホウッホホウッホ、ウホホウホ。
 ゴリラゴリラ、ウッホゴリラ。
 ウッホウホゴリラウホ!
「ワーッキャ! ワキャキャキャキャ! ホオオオオウホオオオオウ!」
 ウッホワキャ! ウホウホゴリラワッキャ!
「ワッキャア!」
「ホワキャア!」
 ウホウホ、ウホワッキャホーワッ! ホーワキャアア! ワッキャキャ! ウホオオオオウ! ホオオオオオウ!
「ウホホ、ウホ……」
「ワッキャ!」
「ウホウ!?」
「ワッキャワッキャ! ワキャッ!」
「ウ、ウホ……ウホホ、ゴリラ……」
 ウホホウホ、ウッホホウホホ。
 ……ゴリラゴリラ!

●日本語での説明は諦めてください(訳:ウッホウホ、ウホホワッキャア)
「ウホ! ウホホ! ウッホウッホ! ウホウホウホワーッキャッキャ!」
 ユアワ・ナビ子(nCL2000122)はバナナをむきながら右へ左へ跳ね回っていた。
「ウホホウホホウホホウホオオオオオオウッ!」
 そんなナビ子が説明するには、どうやらゴリラによく似た古妖がひっそりと隠れ住んでいたゴリラ島という島が存在していて、そこではライトニングゴリラとダークネスゴリラによるゴリラ決戦が行なわれようとしているそうだ。
「ウホ!? ウホホ、ウホホウッホ! ウホ、ウホ……ウホホホホ!」
 しかしライトニングゴリラは卑劣なダークネスゴリラの策略によって有力ゴリラの大半が突き指や下痢による出場不能状態に陥っているという。
「ウホホ! ウホ!」
 そんなライトニングゴリラたちは百年前に交わした人間族との約束を信じ、ボトルレターによる救援要請を出してきたのだという。
「ウッホ!」
 その約束を覚えている人間は残念ながらいない。
 しかしそれを知っている人間ならここにいる!
「ウホオオオオオオオオオオオオオオオオウ!」
 さあ、ライトニングゴリラと手を取り、今こそゴリラ運動会の予選へと出場するのだ!


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:簡単
担当ST:八重紅友禅
■成功条件
1.ゴリラ運動会の予選に出場する
2.なし
3.なし
 ゴリラ島のゴリラ運動会に出場し、一世紀にわたるライトニングゴリラと人間族の絆を復活させましょう。
 ちなみに約束についてはこうあります。
 『ウホ、ウッホウホ! ウホホウホウッホホウホホウホ! ゴリラ! ウーホ! ゴリラゴリラウッホウウホ! ウホホオオオオオウ!』
 そうですね、ゴリラ語に堪能な皆さんにはもう有名な言葉でしたね。

●成功条件の補足
 出場した時点で成功となります。そのため競技結果は成功条件に影響しません。
 最低限のプレイングとして、誰がどの競技に参加するかはハッキリと明記して置いてください。
 詳しくは後述しますが、5競技あってうちひとつがコンビ種目です。

●ゴリラ語
 皆さんはファイヴの優秀なゴリラ語講師(※ファイヴ村に話せる人がいたようです)によって日常会話程度のゴリラ語を習得し、ゴリラ島へと旅立ちます。
 ゴリラ島は百年にわたって人間との接触がなかったため、人間語に違和感や警戒心を抱いています。
 そのため現地での会話は全てゴリラ語になりますのでお気をつけください。

●ゴリラ運動会の予選
 ライトニングゴリラとダークネスゴリラは四年に一度ゴリンピックという頂上決戦を行ない次期有力ゴリラを決める風習があります。
 しかしライトニングゴリラの有力ゴリラはバナナ当たりや突き指によって次々と出場停止になっており、皆さんの出場を求めています。
 『ウホ、ウッホウホ! ウホホウホウッホホウホホウホ! ゴリラ! ウーホ! ゴリラゴリラウッホウウホ! ウホホオオオオオウ!』です。
 協議の内容は以下の五つです。これに勝ち抜くことでゴリラ運動会の本戦に出場することができます。

・ゴリラ入れ
 嫌がる子供ゴリラを高いところについてるバスケットに投げ入れる競技です。
 子供ゴリラはとにかくヤンチャなのでうまく懐かせるか力で押さえつけるかが必要とされています。

・ゴリラ転がし
 二人一組で行なうコンビ競技です。
 ひとりが丸くなって、もうひとりがそれを転がすことでその速さを競います。
 コースは不等間隔に並んだヤシの木をジグザグに蛇行していく形となっています。

・借りゴリラ争
 会場に集まっている無数のゴリラの中から指定されたゴリラを見つけ出し、一緒に岩風呂に入ってくれるよう交渉し、それまでのタイムを競います。
 指定ゴリラは各自の前に伏せられたバナナの皮に書かれています。

・障害物ゴリラ
 島に作られた500メートルのコースを走ってそのタイムを競いますが、途中には無数のゴリラが邪魔立てしてきます。
 ネットをかぶせてくるゴリラ。フライパンで叩きにくるゴリラ。風俗店にひたすら誘ってくるゴリラ。泣きながらしがみついてくるゴリラ。……の四種類があなたを阻むでしょう。

・ゴリラカレー
 ジャガイモ、にんじん、タマネギ。この三つの食材と自分の用意した食材『5つ』を必ず使ってカレーライスを作ります。このときライスは食材に含まれません。
 カレーのおいしさと作るまでのタイムの総合評価で競います。
 早く仕上げると煮込みが足りなくなるので案配を調整しましょう。

 競技は以上となります。
 ルール上ゴリラとしてやっちゃいけないこと以外は自由とされています。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
(3モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
公開日
2016年09月19日

■メイン参加者 6人■


●ウホ、ウッホウホ! ウホホウホウッホホウホホウホ! ゴリラ!(訳:おっぱい)
 七色のスポットライトとミラーボールの下で鳴り響くトレンディーミュージック。
 三歩歩いて二歩下がり、胸元を開いて振り返る『アイラブニポン』プリンス・オブ・グレイブル(CL2000942)。
 プリンスとアシンメトリーに動いてから指ピストルを向ける『雨後雨後ガール』筍 治子(CL2000135)。
 情熱的なサックスを吹き鳴らすゴリラ。
 片手を腰に片手を天空に向け、リズミカルに腰を振る鹿ノ島・遥(CL2000227)。
 90度ピボットターンでロボットのようなメリハリのついた腕振りをする『ジャンガリアンマスター』工藤・奏空(CL2000955)。
 ピアノの鍵盤を叩きながらタイミング良く山高帽を投げるゴリラ。
 小刻みにタップを踏みながら肩を上下させる『天使の卵』栗落花 渚(CL2001360)。
 無限にくるくる回り続ける『猪突妄信』キリエ・E・トロープス(CL2000372)。
 軽快なドラムソロを挟んで、全員が一斉にポーズをとった。
「ウホオオオオオオオオオオオオオオウ!」
「「ウホウホウホウホ! ウッホウウホオオオオオオオオオ!」」
 手を叩いて沸くゴリラたち。
 バナナの束を受け取った治子は笑顔でステージを飛び降りた。
「ウホ! ウホホウホ! ウッホウッホ、ゴリラ!」
「ウホ!?」
「ウホホ……ホ?」
 振り返ると、東京バナナを手のひらにのせたプリンスが親指を立てた。
「OK牧場!」
「ウホ」
「ウウホウウホー!」
「ウウホウウホー!」
「OK牧場!」
「「ウウホウウホー!」」
 ゴリラたちは手を叩きながら飛びはね、プリンスもプリンスで両手でサムズアップしながらのガッツポーズを右へ左へキメていた。
 そこへ、口紅を塗ったゴリラたちに神輿のように担ぎ上げられた遥が『ゴリベッピン』を天高く掲げた。
「ウホオオオオオオオオオオオオオオオオウ! ゴリラ! ゴリラ! ゴリラ!!」
「「ゴリラ! ゴリラ! ゴリラ!!」」
「ホホウッホ! ウホホォーホ! ウッホウッホ!」
「ウーホ!」
「ウホホウッホウッホ!」
 拳を突き上げた遥に、ゴリラたちが完成をあげた。
 キスマークをつけたバナナを投げまくるメスゴリラたち。
 遥は両手を開いて掲げると、頷きながら歓声に応えた。
「ウホ、ウッホウホ! ウホホウホウッホホウホホウホ! ゴリラ?」
「ゴリラ!」
「ウホ、ウッホウホ! ウホホウホウッホホウホホウホ! ゴリラ!」
「ゴリラアアアアアアアアア!」
「ウホホウッホ……」
 そんな遥を見上げ、治子は胸に手を当てた。ぎゅっとバナナを握りしめる。
「ウッホウウホ。……ウホ? ウーホ! ウホ、ウッホウホ! ウホホウホウッホホウホホウホ! ゴリラ!」
 バナナを振り上げ遥に投げる。
「ウホホ!」
「ウホ! ウーホウーホ! ウホ、ウッホウホ! ウホホウホウッホホウホホウホ! ゴリラ!」
 治子と遥は親指を立てて笑い合った。
「ゴリラゴリラウッホウウホ! ウホホオオオオオウ!」
 一方、ついでに掲げられた奏空がわたわたしながらリップバナナを受け取っていた。
「ウホホ……ウホ、ウウホ」
 ふと見ると、渚が微笑みと共に頷いた。
「ウホ! ウホウッホ! ウーホ、ゴリラゴリラ!」
「ウホホウッホ!」
 バナナをむいてむしゃむしゃ食べ始める奏空。
 メスゴリラが頬に手を当てて叫ぶと、激しいドラミングを始めた。
「ゴリラゴリラウッホウウホ! ウホホオオオオオウ! ゴリラゴリラウッホウウホ! ウホホオオオオオウ! ゴリラゴリラウッホウウホ! ウホホオオオオオウ!」
「ウホホ……」
「ウッホウッホ!」
 子供ゴリラがジャンピングウェーブを繰り返す中、キリエは分厚いゴリラバイブルを掲げて叫んだ。
「ゴリラ! 『ウホ、ウッホウホ! ウホホウホウッホホウホホウホ! ゴリラ! ウーホ! ゴリラゴリラウッホウウホ! ウホホオオオオオウ!』」
「ウーホウーホ! ゴリラ!」
「ウホホウッホ、ゴリラ!」
「「ゴリラー!」」
 キリエはにっこりと笑い、籠から小さなバナナを一本ずつ配り始める。
「ゴリラ! ウホホウッホ! ウホホ!」
「ゴリラゴリラ!」
「ホォーホーウホ! ウゥーホーゴリラ! ウーホ!」
「「ホォーホーウホ! ウゥーホーゴリラ!」」
「ウホホ!」
「「ウホオオオオオオオオオオオオオオオオオウ!」」
 ゴリラたちが高らかにドラミングを始め、会場は最高潮の加熱を見せていた。
 そこへ飛び込んでくる禍々しきゴリラ。
「ホォーワ! ホワキャアア!」
「ウホ!?」
 今ここに、ライトニングゴリラとダークネスゴリラの全面抗争が巻き起ころうとしている。
「ワキャア! ワッキャ! ワッキャ!」
「ウーホウホホ……」
 振り返るゴリラたち。
 プリンスたちは親指を立て。
「OK牧場!」
「「ウホホウッホ、ウーホ!」」
「「ウホオオオオオオオオオオオオオウ!!」」
 視線の散らす火花。
 高らかなドラミングの中、ゴリラ運動会は幕を開けたのだった。

●ゴリラゴリラウッホウウホ! ウホホオオオオオウ!(訳:大丈夫? おっぱいもむ?)
 第一競技はゴリラ転がしである。
「ホワッキャ、ワッキャアア?」
 舌を出し、中指を立てて挑発してくるダークネスゴリラたち。
 対して治子は……。
「ウホホ、ウッホゴリラ!」
「OK牧場!」
 プリンスがローリングジャンプからのトランスフォーム。
 具体的には身体を丸くして地面にびたーんってなった。
 そこに足をガッとかける治子。
「ウホホウッホ! ウホホ?」
「ホワキャア……ワッキャワッキャアア!」
「「ウホオオオオオオオオオオオオオオオオウ!!」」
 スタートのドラミングが響く中、治子はよりによってプリンスの尻を強烈に蹴飛ばした。
「ウホホウッホ!」
「ホワッキャアアア!?」
 JKのスカートをパンツが見えるか見えないかくらいの位置にキープされるように風を送り続けるかのようなフォームで転がすことがスタンダードだと思っていたゴリラたちは度肝を抜かれた。
 今からゴリラパワーでゴリラを蹴ってしまえば仲間のゴリラにゴリラホールブレイクを起こしてしまう危険があるからだ。
「ウホホウッホ、ゴリラゴリラ……」
「ホワッキャ! ホーワワッキャホワッキャアアアアアアアア!」
 だがダークネスゴリラたちは諦めなかった。治子たちのまねをしてゴリラドリブル略してゴリブルをし始める。
 何人かのゴリラがゴリラホールブレイクする中、僅かなゴリラがゴリブルをモノにし始めた。
 なんという学習速度。治子はギラリとした目で、併走するダークネスゴリラをにらんだ。
「ウホホウーホ、ウッホウッホ! ウーホ!?」
「OK牧場!」
 次の瞬間、劇画調となった治子は踵を頭より高い位置に振り上げ、謎の竜巻と共にプリンスボールを蹴り出した。
「OK牧場オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
 高速回転しながらバナナの木に激突するプリンス。
 ぐいんとしなって跳ね返ってくるプリンス!
「ウホウッホ!?」
「OK牧場ッ! ガッツ!」
「「ウホホウッホ!」」
 輝きを放つプリンス。
 治子は全てを察し、金属バットを振りかざした。
「ウホ、ウッホウホ! ウホホウホウッホホウホホウホ! ゴリラ! ウーホ! ゴリラゴリラウッホウウホ! ウホホオオオオオウ!」
 フルスイングによって飛んでいくプリンス。
 回転のかかったその軌道はバナナの木すれすれを蛇行式にカーブしてゴールテープをぶっちぎり、そのまま海へと落ちていった。
「「ウホホウーホ!」」
「ウホゴリラ……ウッホ」
 治子は敬礼して、空を見上げた。
 コンビニで買ったソフトクリームを開けたらアイス部分が全部フタにもってかれた王子の顔が浮かんだ……気がした。

 次なる競技はゴリラ入れ。ゴリラには『ウッホウッホ! ゴリラウッホ!』という教えがあるとおりゴリラの子供はとても『ゴリラウッホ』なのだ。
 そんな中へ、スキップしながら入場するキリエ。
「ウホホウーホ、ウーホウーホ!」
 対するは燃えさかるバナナを握りしめながら入場するダークネスゴリラ。
「ホワッキャワッキャ、ワキャワッキャ!」
 自然派ゴリラを自称するこのダークネスゴリラには、周囲の子供ゴリラたちも恐怖におののいていた。
「ウホホ」
 開幕のドラミングが遠くから聞こえる中、キリエは纏っていたローブを脱ぎ捨てた。
 開放されるゴリラママのフレグランス略してゴリグランス。
 そんなゴリグランスに一瞬『ウッホウッホ』しかける子供ゴリラたちだが、すぐに『ゴリラウッホ』となった。ちなみにこの言葉は日本語に対応する表現がないのでこう表記するしかないのだ。オジギやセップクくらいに独特な表現なのだ。
「ウーホウーホ……」
「ウホホ!」
 追いかけっこを始めるキリエと子供ゴリラ。
 対して自然派ゴリラはにやりと笑い、子供ゴリラの一人を逆さに掴んで軽く火に炙り始めた。
「ウホホワッキャ、ワキャア?」
「ウホホゥ……ホーホ! ホーホォ!」
「ウホホ!」
 キリエは目をぎらりと光らせた。
「ゴリラ!」
 子供ゴリラを掴んで投げる。
「ゴリラゴリラ!」
 更に掴んで投げる。
 そう、ゴリラに『ウッホウッホ! ゴリラウッホ!』の教えがあるように、キリエにも教えがある。
 人間だって動物だ。ジュウオウさんも言ってた。
 故にキリエのやることはいつもと同じ、聞き分けの無い子供はオーバースローで投げるのだ。
「ウホホオオオオオ!」

 借りゴリラ競争は難航していた。
 ダークネスゴリラ側から出場したヤマンバゴリラの迫力に軽く押されていたからだ。
「ホワーキャ! ホワーキャアア!」
 鳴りもしないポケベルを両手に握りしめ、がに股でジャンプしながら目的のゴリラをあら探しするヤマンバゴリラ。顔を白と黒に塗りたくったその恐ろしいスタイルから、ゴリラたちから目的のゴリラを突き出させるという作戦だ。
「ウホホウッホ! ウーホウーホウホ! ゴリラァ!」
 怒りに叫ぶ奏空。
 しかし彼にできることは『ウホ、ウッホウホ! ウホホウホウッホホウホホウホ! ゴリラ!』に『ゴリラゴリラウッホウウホ! ウホホオオオオオウ!』することだけ。
 だが……。
「ウホホ、ウッホウッホ……」
 ふと脳内でゴリラの着ぐるみに着替えるおっさんが浮かんだ。
「ウホ?」
 その時、奏空の胸の中に強い炎が……いや強いゴリラがわき上がった。
「ウホオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオウ!」
 エネルギーゴリラ、略してエネゴリが奏空の中に漲り、それは叫びとなって解き放たれる。
「ウホホ! ウホッホウホホウッホゴリラ! ウッホゴリラウホゴリラ! ゴリラアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「ウ、ホッ☆」
 スッと現われるゴリラ。
 奏空は満面の笑みでゴリラの手を取った。
 そして二人はゴリラ熱海温泉へと歩き出す。
「ウホ?」
 見上げる奏空に、ゴリラはパチンとウィンクした。
 ゴリショタPBWゴリタナルの幕開けを感じさせる、それは柔らかな空気であった。

 一方こちらは障害物ゴリラ。
「ウホホ!」
 遥はゴリラたちの投げる投網を素早い匍匐前進で切り抜けていく。
 周囲のゴリラたちが次々と網にとらわれる中、トップを独走していた。
「ウホホウッホ……ウッホウッホゴリラ!」
「ウホ、ウッホウホ! ウホホウホウッホホウホホウホ! ゴリラ!」
 遥には勝算があった。これまで欲しいものを手に入れるまでに降りかかった様々な障害を思えば、こんなものは障害に含まれない。
「ウホホウーホ」
 生い茂った草木。
 突然降り出す雨。
 それすらも乗り越えて手に入れた、夢(DREAM)。
 通りかかるOL。
 屋内から聞こえる物音。
 震える手で取り出す硬化。
 それらを克服して手に入れた、希望(HOPE)。
 フライパンゴリラなど物の数ではない!
「ウホホウホ!」
 啼きながらしがみつくゴリラとて!
「ウーホッ」
 だがそんな彼に追いつくゴリラがいた。
「ホワアアアアアアアアアアアアアアアン! ホワァ、ホワアアアアンホワッハッッハアアアアアアアアアアアアン!」
 全力で号泣しながら全力ダッシュするダークネスゴリラ。その名もノノゴリラである。
 あまりの迫力に妨害役もうっかり引いてしまうというそのズルさはダークネスゴリラたるゆえんだ。
「ウホホウッホ!? ウーホ!」
 遥は直接戦わない奴は大っ嫌いだ! あと袋とじはどうせ中身がクズだから開ける必要ないとかいいだすイケメン気取りの高校生もだ!
「ウホホオオオオオオオオ!」
 最終エリアへ駆け込む遥とノノゴリラ。
 待ち受けるは風俗にひたすら誘ってくるゴリラだ!
「ウホッ」
「ウホホ……ウホ、ウッホウホ」
「ホワッキャ、ワッキャア……ワッキャアアア……」
「ウホホウッホウホ? ウホ、ウッホウホ! ゴリラゴリラー……ゴリラ! ウホ? ウッホウッホー、ウッホ?」
「ホワッキャワッキャ!」
「ウホ! ウッホウッホ、ウホホウーホ?」
「ウーホー?」
「「ウーホー!」」
 そして彼らは、ゴリラ歌舞伎町のゲートを全力ダッシュで突き抜けていった。
 気づいたのさ!
 これこそが、ゴリラたちのゴール!

「ウホホウーホ、ウッホ!」
 渚はゴリラカレーの担当だ。
 後ろでスプーンをカンカンやってるゴリラたちにせかされるように、渚は食材を準備し始めていた。
 ふと相手チームを見やる。
 ダークネスゴリラの中でもイケメンと名高いモコゴリラが、にやりと笑って渚を見返してくる。
 その手には、なんとオリーブオイル。更にごま油。それらを一斉に振りかざすと、よりによって自らにぶっかけた。
「ホワキャアアアアアアアアアアアアアア!」
「「キャアアアアアアアアアアアアアア!」」
 後ろでメスゴリラたちが奇声を上げる。たぶん歓声か嬌声かなんかだと思うけど渚からすると奇声だった。
「ウホホ。ウッホウッホゴリラ?」
 渚は籠を開くと、五つの食材を取り出し始めた。
 まずバナナ。
 更にマンゴー。
 パイナップルにキュウイに、ココナッツミルクという組み合わせである。
「ホワキャ? ワッキャッキャッキャ!」
 モコゴリラがそれを指さして笑いはじめた。パフェ用のスプーンを翳して挑発してくる。
 ギャルはパフェでも食ってろということだろうか。不安げに見守るライトニングゴリラたちに、渚は強く頷いた。
「ウーホ!」
 試合開始のドラミングと共に、渚は手早く食材を切り始める。
 ゴリラを意識してのバナナ選択だったが、相手のモコゴリラはなんか名前のよくわかんないハーブをぱらぱらと入れ、定期的にオリーブオイルを被るパフォーマンスを繰り返すというある意味保守的なカレー作りをしていた。
 大体、タマネギニンジンジャガイモという根菜三兄弟がそろった時点で後は肉かシーフードくらいしか入れる手はない筈。トッピングで誤魔化す者だっているだろう。
 だが渚はあえて冒険したフルーツカレーを、全ての食材をルーに混ぜ込む形で作って見せた。
 そして最後のココナッツミルクはルーに彩りとまろやかさを加えるという作戦だ。
 制限時間終了のドラミングを聞きながら一品仕上げた渚は、額をぬぐって笑った。
「ウッホゴリラ!」

●ウホ、ウッホウホ! ウホホウホウッホホウホホウホ! ゴリラ! ウーホ! ゴリラゴリラウッホウウホ! ウホホオオオオオウ!
 ステージの上で結果が発表される。
 ゴリラの長たちがそれぞれ取り出したキューブ状の宝石を、一つずつ勝利した者へと掲げることで判定とするのだ。
「ウーホ!」
「ウーホ!」
「ウーホ!」
「ウーホ!」
「ウーホ!」
 五つのキューブは、なんと全てライトニングゴリラ側……つまりプリンスたちへと掲げられたのだ!
「ホワキャア!?」
「「ウホオオオオオオオオオオオオオオオオウ!」」
 ドラミングで沸き立つゴリラたち。

 この日、人間族とライトニングゴリラの間に、新たなる友好が結ばれたのであった。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
『プリンスゴリラ』
取得者:プリンス・オブ・グレイブル(CL2000942)
『ゴリラカラテ』
取得者:鹿ノ島・遥(CL2000227)
『ゴリラマスター』
取得者:工藤・奏空(CL2000955)
『ゴリラシューター』
取得者:筍 治子(CL2000135)
『ゴリラカレー職人』
取得者:栗落花 渚(CL2001360)
『ゴリラ宣教師』
取得者:キリエ・E・トロープス(CL2000372)
特殊成果
『ゴリラキューブ』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員




 
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