夢の音色
夢の音色



 ――チリン。
 古い木造の家の中を吹き抜けた風が、静かに風鈴を撫でる。
 あたしは例年通り、家族3人でおばあちゃんの家に遊びに来ていた。夏休みは毎年こうだ。
「スイカ切ったから、食べなよ」
 おばあちゃんがお盆の上に、切り分けたスイカを持って台所から出てきた。
「うんっ」
 典型的なほどの小さなちゃぶ台に、暑さで突っ伏していたあたしは、その言葉に反応して、すぐさま身を起こした。


 久方 真由美(nCL2000003)は告げる。
「古妖が現れました」
 そして、一般人が1人、この犠牲になっているという事実。
「過去に遭遇した出来事を、幻視させる能力を有します」
 妖の術から抜け出せなければ、段々と生命力を失っていく。
「一般人なら、抜け出す事も出来ずに衰弱死するでしょう。けれど覚者なら、術に囚われたとしても抜け出すことが出来るはずです」
 ご武運を。
 そう口にして、真由美は君達を送り出した。


 だけどあたしは分かってる。これは夢なんだってことくらい。
 だっておばあちゃんは、冬を迎える前に息を引き取ったんだから。
「ね、おばあちゃん。お出かけしようよ!」
 あたしはおばあちゃんの、しわくちゃの手を取ると、そう口にする。本当に文字通りの田舎だから、辺りを歩いても何もない。でも、おばあちゃんと散歩するくらいの事でもあたしは嬉しいんだ。
 でも、そんなあたしにお父さんは言う。
「キリ、あまり困らせたらいけないよ」
「困らせてないって」
「いいんだよ。じゃあお散歩でもしようか」
「うん!」
 夢でも何でも構わない。あたしはここにいたい。


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:簡単
担当ST:春風
■成功条件
1.妖の討伐
2.なし
3.なし
お久しぶりです、春風です。
幸せな過去に溺れるのも、地獄のような過去に呑まれるのも自由にどうぞ。
幻視から抜け出せない、という選択肢も美しいかと思います。
妖の情報は記述してありますが、戦闘に関してのプレイングは最小限で構いません。

●舞台
五麟市郊外。昼間です。

●古妖
浮遊する壁掛け時計の姿をしています。

幻視 特遠全 高命中。過去の経験を幻視させます。体験した事もない事を見る事はありません。
投擲 物遠単 石や枝など、周囲の物質を操って撃ち放ちます。

●一般人 キリ
高校生の少女。
木陰で横たわっています。
抜け出す事の出来ない幻視を夢として捉えていますが、実質的には変わりません。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
(3モルげっと♪)
相談日数
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
公開日
2016年10月02日

■メイン参加者 6人■



 足早に現場を目指す。
 視界に入る、ふわりと浮かぶ、円形の壁掛け時計。
 仕掛ける――そう一同が思った瞬間に、それは一同の方へ向き直る。
 刹那、時計の針が高速で逆回転した。


 そこは真っ白な世界だった。
 真っ白な部屋で、真っ白な服を着て。病的に白い腕と、やはり真っ白な髪の少女が、清潔感のある真っ白なベッドで横になっていた。
 それが『独善者』月歌 浅葱(CL2000915) の最初の記憶。それ以前の記憶は抜け落ちてしまっていた。どうして自分はここにいる事になったのかすら分からなかった。
 上半身だけを起こして、腕を伸ばす。そして本棚から1冊を手に取ると、栞の挟まれていたページを開く。
 部屋の中は自分1人しかいなかった。けれど部屋に程よく響く音は、テレビから流れてくるものだ。
 けれど浅葱には、流れてくる音の価値が分からない。
 やれ誰が結婚した、やれどこのサッカーチームが優勝した、やれ政治家の不祥事が発覚した。そんな、世間の何もかもに価値があるような騒ぎ方をされてもしっくりこないのだ。
 自分の事はもちろん、テレビから流れ聞こえてくる人がどんな人なのかだって分からないから、いまいち価値を見いだせない。どんな生き方をしてきた人が、今どうなっているのか。その後者だけを今受け止めろと言われても無理に決まっていた。
 喪失感も虚無感もなく、ただ記憶がないという現実。失ったものが大切なものだという事は理解できているのだ。けれど、現実感が乏しすぎて、大切であるという事実が上手く自分の心に入ってこない。記憶喪失は身近なものではない。ましてや自分がなるなど、年端もいかない浅葱が受け入れられるわけもなかった。
 だから、周りの色々なものを受け入れるには、まずそこを埋めるところからだと思った。
 栞を抜き取って、本に視線を落とす。
 簡素な装丁の、近代史の本。
 過去を学ぶ事が、自分というものを作り上げ、今を理解する事に繋がるのだと思う。
 人が過去から築いてきたもの。それを理解しなくては、今周りにある物事を理解できないように思えた。

 退院したら、五麟市という所へ行く。
 自分で決めた事ではない。けれど誰が決めたのかなど、興味がなかった。ここにいたいという気も別にないが。
 ふと顔を上げる。CMが流れていた。
 休日の朝にやっている、小さな男の子向けの番組。そこには悪の怪人を倒すヒーローがいた。タイトルは覚えていない。
 ただ、正義の味方というフレーズが妙に耳に残った。
「正義の、味方」
 ぽつりと呟いて、もう一度、手の中の本に視線を落とす。
 そんなもの、どこにでも転がっている。
 当たり前だ。正義なんて誰だって普通に持っているものだ。
 だから、テレビの中の正義の味方は、正直よく分からなかった。正義と悪とがハッキリと分かれすぎている。
 独裁者、暴君、殺人犯。悪だとされるそれらすべてにだって正義はあるのではないか?
 その疑問と向き合うように、浅葱は目を閉じた。


 少しだけ大人びた顔立ちの、それでいてあどけない雰囲気を持った少年が空を見上げていた。
 小さな手には、さっきまで水撒きをしていたホース。
 真っ白な雲が空を流れて、陽の光を遮っていた。それが流れ行き、陽の光が少しずつ雲の端から地上に注ぐと、少年は眩しさに目を細めた。
 幼い頃の『月下の白』白枝 遥(CL2000500) だ。
 視線を戻そうとしたその時、唐突に少年が背中に暖かな重さを感じた。すると次の瞬間、それと一緒に芝生に転がっていた。
 転がったまま先ほどの重さの正体に視線を向ける。1頭のレトリバーが遥と同じように芝生に転がっていた。
 それが、遥の家族のフランソワ。
 フランソワは、あたかも遊んでほしいとばかりに遥を見つめる。
 遥は、すり寄せてきたフランソワの頭をゆっくり撫でながら立ち上がる。
「それじゃ一緒に遊ぼうか」
 そう口にしたものの、当のフランソワはぴくりと耳を動かしたかと思うと、次の瞬間には駆け出して、そして生け垣に突っ込んでいった。
 そのおかげで、決して小さくはない穴を開けられてしまった生垣の向こうは、家が建っている。いわゆるお隣さんだ。
「フランソワー?」
 名前を呼びながら遥は穴をくぐり抜ける。
 すると開けた視界に飛び込んでくる光景がある。
 縁側に座った、短い黒髪の女の子にフランソワがのしかかり、顔を舐めているのだ。
「ちょっと、フランソワ!」
 慌てて呼び戻し、顔を彼女へ向けると、彼女は無表情でハンカチで顔を拭いていた。
 けれど本当は違う。この頃は女の子だと思っていたけれど、少ししてから男の子なんだと判明するのだ。
 その時に、向こうも自分の事を女の子だと思っていたなんて事が判明した。あれは笑い話だね、なんて今の遥は思う。
「ごめんね、大丈夫?」
「…………」
 無言。
 決して、怒っているというわけではなくって。
 無表情で、それでいて訝しげな瞳。いまいち感情が読み取れない。
 だからだろうか。
 笑顔も怒りも特にない。そう見えたから。
 代わりに拒絶も無いと思った。
 だから彼に向かって、遥はそっと手を差し出した。
 これが遥と夕樹の出会い。はじまりの物語。


 本来は閑静な住宅街に火の手が上がっていた。
 自然界にある火ではない。神秘を操る事の出来る者が生み出した、偽りの炎。
 当時、学生だった『覚悟の事務員』田中 倖(CL2001407) は、今でいう隔者が暴れている現場に遭遇し、そして巻き込まれた。
 炎がその身を焦がす。急いでその場から離れようと思った。
 だってその頃の倖は、まだ特別な力を持たない、ただの人間だった。
「……なんで」
 死にたくないという思いより、なぜ自分が死ぬのかという疑問が口をついた。
 だから、自分はもう死ぬのだという自覚をしているんだな、とそう思った。
「ぅぐっ――」
 痛みが全身に回っていた。呻き声をあげた次の瞬間、さっきまで踏みしめていたコンクリートに横向きに転がっていた。
 死にたくないという感情ではなく、死にたくないという本能が倖の身体をその場から離れさせた。だが、視界の半分を占めるコンクリートを眺めるしか出来ないまま、理性が倖に問いかける。ここから離れて、その後どうする気だったのか、と。
 どうやって傷を癒すのか。どこへ行けばそれが叶うのか。
 周辺はすでに騒ぎになっていた。
 そのうち、隔者相手には何の役にも立たない一般人の警察と、倖を含めた被害者を救うために救急車が来るだろう。
 だけどそれでは間に合わない。
 両手に偽りの炎を纏わせて“隔者の男が倖に歩み寄ってきている”のだ。
 薄ら笑いを浮かべたそいつに、面白半分に殺されるのだ。
 死ぬ事を悟った本能が、倖の目を閉じさせた。
 どうしようもない程に長い時間が経過した気がした。
 けれど、いつまでたっても、とどめが刺される気配がない。
「貴方は私が守る」
 鈴を転がすような声。
 目を開く。視界がぼやけている。死にたくないが故に溢れ出た涙のせいだ。死を間近にした普通の人間が恰好良いわけはなかった。
 声で女性だという事は分かっていた。強く目を閉じて、涙を流し切る。
 もう1度目を開く。
 女性が、倖と隔者の間に割って入っていた。
 彼女は今でいう覚者で、隔者と戦ったのだ。たった1人で。
 そして最後には隔者に膝をつかせた。縛りあげると、後から来た人たちに引き渡していた。
 気付けば痛みが引いていた。それが彼女の紡いだ神秘だという事に気付いたのは、事態が収束して彼女がその場を後にしてから。
 その後は、警察に軽く事情聴取をされてから開放された。
 翌日からは、何もないいつもの日々が戻ってきた。大した変化もない日常。けれど、変わったことが1つだけあった。
 あの事件の後から、ずっと彼女の事を考えていたのだ。
 恋だった。

 そしてある時、倖は覚者として覚醒した。
 F.i.V.E.の存在を知ると、その身を寄せた。
 覚者の組織にいれば、あの日、自分を救ってくれた彼女の事も分かるかもしれないから。
 だけどそれは、現実でしか叶えられない事だ。
 だから、この風景に背を向けなくては。
 いつか、あの時助けられた一般人としてではなく、1人の田中 倖として彼女と言葉を交わすために。


 遠くから声がする。
 一日の授業が終わった、子供たちの喧騒。
 廊下を歩く、幼い少年。その横顔が窓に映った。黒いランドセルを背負った、まだ幼い頃の『月下の黒』黒桐 夕樹(CL2000163) 。
 昇降口で靴を履き替えると、帰途に就く。
 夕樹は、この光景を知っている。懐かしさに目を細める感覚。だけれど、過去の夕樹はあの時と同じように表情一つ変えず歩を進める。
 曲がり角を行こうとすれば、夕樹の名前を呼ぶ、聞きなれた声。
「おーい、ユウちゃーん」
 視線を声の方向に向けると、夕樹より少し年上に見える少年が夕樹に向かって歩いてくる。
 年上に見えるというのは、異国の血が混じっているからほんの少し大人びて見えるだけ。今なら、それは少しだけ得をしていると思う。
 そして、くりっとした瞳の少年が、大人びた少年に手を引かれていた。
 本当は夕樹と同い年の少年、遥が笑顔で口を開く。
「ユウちゃん、ユウちゃん。この子はね、やっくん」
 くりっとした瞳の、やっくんと呼ばれた彼は、夕樹に向き直って、自分の名前を口にする。
「いっしょにあそぼーぜ!」
 そして、もう今この瞬間からでも遊びたくてたまらないとばかりに、やんちゃそうな笑顔を浮かべて二の句を継ぐ。
 笑顔を浮かべたやっくんの口からは、八重歯がのぞく。これは昔からそうだったな、と今の夕樹は思う。
 やっくんの誘いに対して、夕樹は口をつぐむ。
 黙りこくった夕樹に、やっくんが不思議そうに首を傾げる。
「……なんでもないよ」
 現実の夕樹と同じように、この頃の夕樹も愛想のいい子供ではなかった。
 だから、やっくんの人懐っこさと明るさに戸惑ったのだ。
「よろしく」
 そして夕樹はそう言ってから、自分の名前を告げていない事に気付いて、付け足すようにして名前を口にした。
 あの時は、誘われたから遊ぶという事になっただけなのだけれど。
 まさかこの数年後、今の夕樹や遥と付き合うくらい、長い長い付き合いになるとは思っていなかった。
(……まぁ、案外長い付き合いになるしね。本当、よろしく)
 その思いを過去の光景に投げるようにして、しばし懐かしさに身を預けた。


「先生、みんな、今までありがとうなのだ!」
 黒板の前に立って、『ちみっこ』皐月 奈南(CL2001483) がぺこりとお辞儀をした。
 家の都合で転校する事になった。いつもの事だ。
 思い返す日々。
 給食を食べて、友達と遊んだ。学校が終わったら、友達の家にいった。休みの日も友達の家を訪ねた。
 いつだって、奈南のそばには友達がいた。
「奈南ちゃん、元気でね!」
 最後の最後に、仲の良い数人の友達が、涙を浮かべながら、それでも笑顔で見送ってくれた。
 それがもう、どうしようもなく嬉しかった。
「寂しい思いばかりさせてごめんね」
 家に帰って、母親が言う。
「寂しいけど、大丈夫!」
 だって、会えなくなるけれど、友達じゃなくなるわけじゃないのだから。
「ナナンはねぇ、新しいお友達が出来る事や、新しい街へ行く事にワクワクしちゃうよぉ!」
 新しい出会い。新しい家。まだ知らない何かがあるはずだから。
 とくん、と胸が高鳴る。
 その高鳴りを全身に巡らせたくって、片足を浮かせて、その場でくるりと回ってみる。
 ふわりとスカートの裾を揺らして、浮かせた片足を下ろす。
 
 描いた明日は煌めいている。
 けれど明後日は、もっともっと煌めいている。
 次に行く街で、また友達を作るのだ。そして今までのような楽しい毎日も、それ以上に楽しい毎日も作っていきたいのだ。
「だからね、希望でいっぱい!元気いっぱいだよ!」
 あの時と同じように、母親に笑顔でそう告げる。
 それがさよならの合図。
(ナナンは、いつも新しい事をしたいんだよね!)
 奈南の明るさに、母親も笑顔になってくれる。
 それはまるで、見送りの合図であるかのよう。
(楽しい事がまだナナンを待ってるから! バイバイ!)
 過去の自分をいつまでも見ているわけにはいかない。
 だって、もっとずっと楽しい出来事は、明日じゃないと手に入らないのだ。


 はっきりと光景は見えているのに、やたらと意識がぼんやりする。
 ここどこだ?
 疑問が鎌首をもたげたくらい意識がはっきりとしてきた頃に、公園だという事が分かる。
 赤羽根 大和(CL2001396) が幼い頃よく遊んでいた場所。
 あの頃は、1人で家にいるのが嫌で、よく外に遊びに出ていた。
 両親は仕事が忙しくて、あまり家にいなかったのだ。
 だから昨日と同じように公園に足を向けた。
 今の大和は、過去のこの光景がいつのものなのか思い当たった。
(これ、ハルくんと初めて会った時のやつだ!)
 昨日と同じ公園。とはいえ、当然いつも同じ顔がいるわけではない。
 ベビーカーを押して歩く女の人達。昨日もいたけど、今日は1人少ない。
 ベンチには、見た事のないおじいさんとおばあさんが腰かけて談笑している。
 だから、時々ベンチで寝ているスーツ姿のおじさんが公園に来たけれど、それを見て居場所がなさそうに引き返していった。
 そして、昨日は見なかった少年が1人いた。
 白くて綺麗な子。それが、大和からその少年への第一印象だった。
「なーなー!」
 思わず走り寄って、同い年くらいのその子に声をかけた。
 1人でいるのが嫌だから、というのも確かにあった。
 けれど純粋に、白くて天使みたいなその子に惹かれて仲良くなりたかった。
「なに?」
 その白い少年は、大きな犬を連れていた。
 リードを引いているから、散歩なんだろうな、と思った。
「オレ、赤羽根大和っていうんだ! 名前教えて! そんであそぼーぜ!」
 まくしたてるかのように、そう口にする。
 一瞬、白い少年は、きょとんとしたけれど。
「うん、いいよ。遊ぼう」
 少年は遥と名乗って、それから柔らかな笑顔を浮かべてそう返してくれた。
「あ、そうだ。もう1人誘ってもいい?」
「いいぜー! へへっ、早く会いたいな!」
「あ、でもフランソワは家に帰してくるね」
 遥は、フランソワと呼ばれた犬の頭を撫でてそう言った。

 この出会いが、今の大和にとってかけがえのないものになった。
 それは、この時点では分からない事だけれど。
 声をかけて良かったと、今は心の底から思う。


 過去の浅葱は、目を閉じたまま思考を巡らせる。

 歴史を振り返ってみれば、いつだって悪という形は長続きしない。
 あたかも、人間の根幹は善性なのだから、もう片側の輝きは一瞬なのだとでも言わんばかりに。
 その結論にかぶりを振る。
 どんな悪人だって正義がある。ならば、どんな聖人にも悪があるはずだった。自分以外の正義と対立せずに生きていく事などできないのだから。
 ならばこそ、自分の正義を掲げたかった。それが独善と呼ばれるものだって別に構わない。
 だから正義の味方を目指す。過去から今に至るまで。ただただ独善として。

 今の浅葱がゆっくりと目を開いた。
 すると、ふわりと浮かぶ時計と、それに立ち向かう、遥、夕樹、大和の3人が視界に入った。
 浅葱は、状況を確認すると立ち上がろうとして、そして手が差し伸べられた。
「おはようございます」
 傍らから響く柔らかな男の人の声。浅葱は、倖の手を握って立ち上がる。
「浅葱ちゃん、倖ちゃん! ナナン達もいくのだ!」
 起き上がった浅葱の脇を、びゅんっ、と風を切って、ホッケースティックを手にした奈南が元気に駆けていく。
「いきましょう。まだ終わってませんから」
「はいっ!」

 そして古妖を倒し、すべてが終わる。
 7人目。最初にここで倒れていた、キリという名前の少女がぱちりと目を開ける。
「……いい夢だったな」
 心地よい夢から引きずり出された彼女は、ぽつりとつぶやくと、空にいる祖母に向けるように、笑顔を浮かべて空を仰いだ。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし




 
ここはミラーサイトです