≪友ヶ島2016≫遺跡探索友ヶ島編!
≪友ヶ島2016≫遺跡探索友ヶ島編!


●そこに遺跡があるのなら!
 友ヶ島騒乱――。
 島に現れた妖。その討伐依頼をこなした覚者達は、気兼ねすることなく友ヶ島へと遊びに来ていた。
 夏、無人島でのバカンス。仲間と思いっきり遊ぶのもいい。
 浜辺ではバーベキュー、沢山の肉や野菜を焼き、たらふく食べるもよし、思いっきり海に飛び込んでぷかぷか浮かんで海水浴。潜ってスキューバダイビングなどもよいだろう。
 森の散策も良いだろう。島には自然がいっぱい。妖討伐の際、転がるゴミを片付けてくれたチームもあったことから、それらを気にすることなく歩くこともできるだろう。
「遺跡巡りなどいいですね」
 久方 真由美(nCL2000003)がそんなことを、覚者達へと勧める。
 友ヶ島といえば、戦時に要塞の島となっていた場所だ。
「島には、幾つか建物や砲台の跡などがあるようです」
 幾ヶ所かある砲台跡、海軍聴音所跡。レンガで建てられたその建物は所々崩れてはいるものの、この島に昔何があったのかを静かに語りかけてくれる。
 所によっては木々が群生し、建物が覆われている。まるで、とあるアニメ作品を思わせるような、遺跡と自然との融合。レンガ造りの建物に木々が覆い被さる光景は、様々な思いに馳せさせてくれる。
 それらを眼にしながら、感慨に耽るのもいいものだ。それらについて、仲間達と意見交換するのもいいだろう。
「あと、折角ですから、お弁当など持っていくのもよいでしょう」
 真由美がそんな提案をする。この島が無人島であることは知っての通り。
 だが、折角だから、そんな自然の中で食事してみるのもよいのではないかと、彼女は提案する。
 弁当など食べる物は基本は島の外で調達することになる。時間がなければ、コンビニのおにぎりや弁当でも構わないだろうが、食べた跡はキチンと持ち帰りたい。
「以上です。遺跡巡り、のんびりとご堪能してきてくださいね」
 彼女は嬉しそうに、覚者達へと最後にそう語りかけたのだった。


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:簡単
担当ST:なちゅい
■成功条件
1.遺跡巡りを堪能する!
2.なし
3.なし
初めましての方も、
どこかでお会いしたことのある方もこんにちは。なちゅいです。

そこに遺跡があるなら、
行ってみましょう遺跡巡り!

●参加方法
遺跡巡りできます。
ここでは島西部の遺跡を主に描写いたします。

○砲弾跡……数ヶ所あります。
・やや島内部の第1砲台跡、海岸近くの第2砲台跡はやや小規模ですが、
 レンガとコンクリートでできたその遺跡には、ほぼ何も残されてはいません。
 建物の外装が自然と同化しかけております。
・内陸の第3砲台跡は幾つかの砲台に分かれているほど大きく、
 建物内部に入ることができます。建物は他の砲座と同様です。
 砲座は雨水が溜まり、コケが生えております。
 地下通路もあり、暑い中ひんやりとした空気を感じることができます。
・海軍聴音所跡……位置は第1、2砲台跡と第3砲台跡の中間にあります。
 昔はレーダーなどなく、隊員が耳を澄まして戦艦などの接近を確認していたそうで、その為の設備跡です。
 木々に囲まれた背の低い建物です。外装はコンクリート、内装はレンガ造り。窓が少なく、外の光がほとんど入らない為暗い場所です。中は瓦礫が転がっているだけで、座ることはできません。

○休憩
その後、ピクニックのように弁当を広げることができます。
場所は自由です。第3砲台跡のそばの展望台など眺めがよいですが、
敢えて幻想的な光景の中、遺跡のそばで食べてもよいかもしれません。
皆と一緒に持ち込んだ弁当を食べ合ってください。
弁当はどこで調達(作成、調理)したか、その中身、味などあれば、
楽しいリプレイになるかと思います。
ゴミはきちんと持ち帰りを願います。

それでは、よろしくお願いいたします!
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
(0モルげっと♪)
相談日数
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
4/8
公開日
2016年09月12日

■メイン参加者 4人■


●自然と一体化した負の遺産
 友ヶ島へとやってきた覚者達。
 今回は遺跡巡りということだが、いつもと違う感覚でメンバー達はやってくる。
 水着姿の茨田・凜(CL2000438)が友ヶ島を船着場から見上げる。所々に砲台の跡など、木々の間から遺跡らしきものが見え隠れしている。
「遺跡がある島なんて、メッチャ素敵やん。超ワクワクするんよ」
「こんな所まで来ても遺跡巡りだなんて。……と言いつつ、それに乗っちゃう私も私だけど」
 『霧の名の鬼を咎める者』エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496)は自身に呆れながらも、のんびりと観光して過ごす予定だ。
 その後からは、宮神 早紀(CL2000353)と四月一日 四月二日(CL2000588)が揃って船から降りてくる。
 どんな1日が待っているのかと、2人も胸を躍らせている。
「ま、折角の休暇だもの、のんびり楽しみましょうか」
 エメレンツィアは守護使役のチュロを見てくすりと笑う。重そうな荷物は四月二日が請け負ってくれるようだった。

 覚者達は一旦別れ、遺跡探索は個人行動で行うことにしていた。
「ふふ、こんな島にも遺跡があるのね」
 ふらふらと島を歩きつつ、エメレンツィアは遺跡を巡ってゆく。その多くは廃墟になっていたが、レンガ造りの建物には人がいた形跡が残されている。
「しかも砲台跡、という事は戦があったのかしら。それか、戦に備えた準備か、ね」
 海軍の基地だったのだろうか。一体何に対して備えた施設だったのかと、彼女は備え付けられた説明書きなどもチェックしていく。
 エメレンツィアは元々ドイツ人の両親を持つ。基本ドイツで過ごしてきた彼女は、日本の細かい歴史に明るくはない部分があるらしい。
 この友ヶ島は明治時代、外国艦隊が大阪湾へと侵入を防ぐ目的で、旧日本軍が要塞として設備を作っていったのだという。
 しかしながら、結局この島の兵器が使用されることなく、敗戦。砲台は一部爆破解体されているが、島の奥にある第3砲台跡などはかなり綺麗な形で遺されている。
「……興味は絶えないわね。何もお宝探しが醍醐味ではないわ」
 観光地ともなっているこの島には、沢山の観光客がやってくる。まして、自治体管理の島だ。宝など残されているはずもない。
「大体ゲームじゃないんだから、誰かに取られる為のお宝なんか、隠すわけないじゃない。ねえ?」
 エメレンツィアは再び、守護使役のシャロへとそう呼びかけたのだった。

 四月二日と早紀は2人で遺跡を巡る。
「戦争中に要塞だった島か」
「大分前に、家族でこういうとこ来たことあるけど……」
 2人がやってきたのは、第1砲台跡。レンガ造りの建物の周囲に木々が生えており、完全に自然と一体化してしまっている。
「こんなに植物と一体化……っていうのかな、してるのは初めて見るかも」
 早紀はしばし、その光景に見とれてしまう。写真やアニメなどで目にしたことはあっても、実際に実物を目にすると、抱く感慨はずいぶんと異なるものだ。
「時が止まってるみたいで幻想的……っていうか、フシギなカンジ。ちょっと不気味なくらい」
 四月二日は、現実とはかけ離れた雰囲気すら感じていた。
「この島自体だったり、建物だったりが在る過程っていうのは良くない事だけど、この光景は好きだなぁ」
 今でこそ豊かな自然に包まれ、小動物すら行き来するようなのどかな島だが、戦争の為に使われた島であることは間違いない。
 しかしながら、今あるこの光景は飽きがこず、時を忘れさせてくれる程に見とれさせてくれる。
「建物の跡とかって、ついついワクワクしちゃったりするね」
「昔は沢山の人が行き来してたと思うと……。耳を澄ませば、足音が聞こえそう、なーんて」
「夜に肝試しとかしたら、雰囲気でそうだなぁ」
 暗い中でこの遺跡を巡ると確かにムードは出そうだ。そんな想像をした2人は見つめ合い、どちらともなく笑い合う。
 しばし、小鳥が鳴く声を聞きながら見つめていた四月二日が早紀に問う。
「今、俺達が生きてる文明も、いつかこんな風になんのかな」
「ん、んー……。出来れば、そうなって欲しくないよね」
 ……争い自体がなくなってしまえばいいのにね。
 砲台跡を改めてみた早紀は、ぼそりとそう本音を漏らした。

●のんびりとランチタイム!
 遺跡を巡った覚者達は、昼頃になってから展望台へとやってくる。
「眺めが良くて、気持ちいいんよ」
 思いっきり背伸びをしていた凜。そこに、他の3人も集まってきた。
「お腹すいちゃったね」
 時間が経つのを忘れて遺跡を歩いていた早紀は、お腹がぺこぺこだ。
 火を起こしたエメレンツィアは、持ってきた燻製肉を炙っていた。
「こういうときはやはり燻製肉よね。痛まないし、すぐ食べられるし」
 そうして、エメレンツィアが準備している最中、他3人は手軽な料理をその場で広げていく。
「凜は『サンドイッチ』を持ってきたんよ」
 バスケットを凜が開くと、そこには定番のツナサンドにタマゴサンド。女性が多い今回のメンバーの為にと、フルーツサンドも作ってきていた。
「あと、魔法瓶に紅茶を入れてきたんよ」
 暑い中、冷えたアップルティーは疲れた体に染み入る。
「あたしは自作のお弁当!」
 サンドイッチを凜が持ってくると聞いていたことから、彼女はおにぎりを用意してきていた。中身は、これまた定番の鮭、昆布、おかかにツナマヨネーズ。さらに、サンドイッチに合うことも考え、鶏唐揚げにだし巻き卵、ポテトサラダなど幅広く弁当箱に詰め込んできていた。
 その早紀の弁当を、四月二日が口にする。空腹も相まって、どれも凄く美味しく感じる。
「……女子大生の手作り弁当。こんなスバラシイもん食える人生送れると思わなかったわ! ありがとうございます!」
 彼は凜にも断ってサンドイッチも頂いていたようだが、自身用意した飲み物は酒だったりする。あとは、お菓子とおつまみといった食後のお供に最適な品だ。
 酒を煽る彼に、早紀はぶれないなーと苦笑する。
「後で歩き回るのに、足元おぼつかないとかないようにねー?」
 そこで、エメレンツィアが炙る燻製肉がいい匂いを漂わせて。
「皆も食べる? なら、分けてあげるわ」
 彼女は丁寧に肉を切り分けて仲間達へと差し出す。こんなところで肉を食べられるとはと、四月二日は嬉しそうに頬張っていたようだ。
「それじゃ、ティータイムにしましょうか」
 エメレンツィアもようやく腰を据え、仲間の持ち寄った食べ物を食べ、自前のティーセットで凜のアップルティーを口へと運ぶ。
「ふふ、こういうところで飲むお茶も格別ね」
 覚者達は木々の合間から見える穏やかな海をのんびりと見ながら、互いに持ち寄った食べ物を口にしていく。
 特に唯一の男性、四月二日がこれでもかと食べている印象だ。
「なんか、ちゃんと食べてなさそうだし」
「分かる? まあ、主食が酒みたいなモンだし」
 苦笑いする四月二日に、早紀は「そんな大げさな」と嘆息しつつこう返す。
「なんなら、帰ってからでもご飯作ったりしようかー?」
「……飯? マジ? ちゃんとお給料払いたいくらい頼みたいんだけど!」
 そんな2人に、エメレンツィアが笑う。凜もまたそれを目にし、「自分も彼氏が欲しいなー」と考えていたようである。
「それじゃ、記念写真を撮るんよ」
 これからまた散開して遺跡探索。その前にと凜がカメラを手にする。
 そこに、テクテクと歩いてくる孔雀。四月二日がそれに感動しつつも、4人でカメラの前でピースサインをする。
「こういうバカンスも良い物ね」
 また皆で息抜きに来たいと、エメレンツィアは微笑するのだった。

●遺跡の中で……
 その後、第3砲台方面へとやってきた凜。
「砲台とか見たことないから、ちょっと期待してるんよ」
 そう考えつつ、第1、第2と巡ってここへやってきたわけだが。
 砲台というと、バズーカや大砲を想像する者も多いだろうが、この場に残されているのは、台座部分。それをしっかりとした建物に構えることで、要塞としての一面もなしている。
「思った以上に何もないやん」
 彼女の期待には添えぬ状況ではあったが、その設備の跡を凜は汗を拭いつつ見て回る。
 日が高く登る時間帯となり、じりじりと周囲を照り付けてくる。一通り地上部を見た凜は涼を求めて遺跡の地下へと潜っていく。
 やや暗い場所ではあったが、日の光が届かず、ひんやりとした空気がその場を支配する。
「涼しいところあるのは、とっても助かるんよ」
 遺跡探索は今までも何度かやってきた凜だが、こうして外壁や構造に注目することはあまりなかった気がしていた。
 その後、凜は地上へと上がって砲座跡などを巡る。水が溜まっている場所をいくつか回ってみたが、さすがにコケが多すぎて泳ぐというわけにも行かず。
「浜辺で泳ぐんよ」
 再び汗を流す彼女は海に飛び込もうと考え、山を降りていくのだった。

 入れ替わるように、第3砲台跡に早紀と四月二日がやってくる。
「空気もいいし雰囲気もいいし……。イイトコだなあ」
「あたし達以外も見て回ってるのに、すごく静かだよねー」
 2人は改めて、人工物と自然の共存する光景に酔いしれる。
 腰掛けられる砲座付近までやってきた2人。そこで、四月二日が「そうだ」と声を上げ、持ってきたクーラーボックスから冷えた瓶入りの辛口ジンジャーエールを取り出し、早紀へと差し出す。
「一緒に飲みたいなって思ってさ」
「わ、覚えててくれたんだ……!」
 四月二日の声に首を傾げていた早紀は、嬉しそうにその瓶を受け取った。
「初めて会った時……。俺の事務所へ遊びに来てくれた時に飲んで、『暑い日に飲んだらもっと気持ちよさそう』って、話したからさ」
 いつか夏に、一緒に飲めたらと思っていたと四月二日は語る。
「ん、こういう場所だったら、普通に夏に飲むよりも格別かも」
 暑いだけでなく、これだけ素敵な場所なら、これ以上ない特別な味がするに違いない。
「ってなワケで、乾杯でもしない?」
「うん!」
 そうして、2人は瓶の蓋を開けて……。
「「夏にかんぱーい!」」
 冷たいジンジャーエールを喉に流し込む早紀と四月二日。辛口という名にも関わらず、意外にも落ち着いた喉ごしをしたその味に、2人は思わず表情を綻ばせてしまうのだった。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
『友ヶ島の記念写真』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員



■あとがき■

リプレイ、公開です。
幻想的な場所で、のんびりとした一時が提供できたなら幸いです。

参加された皆様、
ほんとうにありがとうございました!




 
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