≪友ヶ島2016≫貪り尽くせ!
●宴の時間だあああああ!
ある偉大なる人物は言った。
「大いに貪り、呑み、食らい尽くせ」
そのような記録が残っているとかいないとか。
言ったと言われる偉大な人物も、もしかしたらただのサラリーマンかもしれない。
だがやるべきことは唯一つ、シンプルな答え。
さあ、宴の時間だ!
●説明不要!
そして少年――久方 相馬(nCL2000004)も言った。
「飯だ飯! はみ出るぐらい食うぜー!」
君達の気持ちも、同じだろう? な?
ある偉大なる人物は言った。
「大いに貪り、呑み、食らい尽くせ」
そのような記録が残っているとかいないとか。
言ったと言われる偉大な人物も、もしかしたらただのサラリーマンかもしれない。
だがやるべきことは唯一つ、シンプルな答え。
さあ、宴の時間だ!
●説明不要!
そして少年――久方 相馬(nCL2000004)も言った。
「飯だ飯! はみ出るぐらい食うぜー!」
君達の気持ちも、同じだろう? な?

■シナリオ詳細
■成功条件
1.大いに呑んで食って盛り上がれ。
2.片付けはちゃんとする。
3.なし
2.片付けはちゃんとする。
3.なし
●説明
友ヶ島の海岸です。
ルールはシンプル。大いに飲んで食って騒げ!
ただし近所の迷惑にならないこと!
そしてゴミはちゃんと持ち帰ることだ!
●ちゃんとした説明
バーベキューを行うだけのわかりやすいイベシナです。
バーベキューを行うための設備は事前にFiVE側で用意してくれています。
ですが用意したスタッフは他の仕事があるのでバーベキュー出来ません。かわいそう。
大体の基本的な食材はあります。肉とか魚とか野菜とかです。
飲み物も大体あります。ジュース、お茶。大人にはビールなど。
ですが特殊な食材や種類は持ち込みになります。つまりよほど特殊なものでない限りは、記述すれば持ち込めるということです。私が許す。
ただし商品名は簡便な! ぼかして書きます。
お酒の種類もわかる範囲でがんばります。ただし未成年が呑んだり呑ませたり勧めたりはNGです。お酒は二十歳になってから。
あとは各自の健闘を祈ります。
●ちゃんとしたイベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『御崎 衣緒(nCL2000001)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】という タグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。
●備考
お酒の描写めっちゃがんばる。
あと背景が昼間なのはわざとです。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
相談日数
7日
7日
参加費
50LP
50LP
参加人数
16/30
16/30
公開日
2016年09月13日
2016年09月13日
■メイン参加者 16人■

●夏と海と飯と酒
青い空! 広い海! 白い砂浜!
……とはいかないようだけれど。友ヶ島の海岸はそこに広がっていた。
元来近代遺跡のようなものが多い土地であるし、南国でもないここは日本の国土である。白い砂浜を期待するのはさすがに無理があるだろう。
だが、それでも海は海。そしてバカンスにきたFiVEの面々にとってはそのようなことは些細な問題。
何故なら今、目の前には。じゅうじゅうと音を立て、肉を焼き上げるバーベキューグリルがあるからである!
「焼き場は任せてください!」
などと気合十分にスタンバイしているのは菊坂 結鹿(CL2000432)である。
いるのだ、こういう時にやたら張り切る人が。鍋や焼き肉を支配する絶対者。それが奉行である。そう、まさに今彼女は奉行と化していた。
彼女の周りに設置されているものは焼き網、鉄板、そして丸焼きを行うための設備。……え、マジで?
ともかく彼女は次々と調理を進めていく。アヒージョ、フォンデュ、バーベキュー。そしてケバブ。思いつく限りのものを調理し、焼き、配膳していくのである。
配るものいれば消費する者もいる。
「――すでに何本空けたっけ?」
そんなことをぼそりと呟きながらも、ビールを消費する手を止めないのは田場 義高(CL2001151)だ。
焼くだけでは肉は増えるばかりである。だが彼が消費してくれるから肉のエントロピー増大は防がれているのだ! やったね!
香ばしく焼きあがった肉を炭酸混じりのビールで喉の奥へと流し込む。
ぐびりぐびりと喉を鳴らし、舌鼓を打つ。止まるつもりは元よりない、ひたすらに貪り尽くす覚悟がそこにはあった。
ビールだけではなく、やがて日本酒にも手を伸ばし、飲み下す。独特の風味と味わいが酩酊感と清涼感を彼に与えていく。
――今まさに。彼は食を謳歌しているのだ。
「女子BBQ会、です!」
力いっぱいに華神 悠乃(CL2000231)が叫んだ。
「久しぶりのお肉だ!」
「ロケーションも素敵ですし、お肉も美味しそうですね」
天堂・フィオナ(CL2001421)が微妙に寂しい事情――最近の彼女はどうやら自給自足の菜食気味らしい――を叫び、柳 燐花(CL2000695)が多少浮ついた感じで呟く。
悠乃のスポーツクラブ繋がりの三人は、大いに羽を伸ばしていた。
スポーツといえば肉、という事情かはわからないが、クラブにおいてBBQイベントはしばしば行われることはある。だがロケーションの違いというのは大きいものだ。
「もやしもきのこも美味しいよねー、そればっかりだと飽きるけど」
「もやしはともかく、きのこの採取は危ないのでは……?」
「気にしない! さあどんどん焼くぞ!」
フィオナの食生活を心配しつつも、まずは肉である。フィオナがどんどん食材を焼いていく。肉肉肉野菜肉肉野菜、ぐらいになってる気がするが。飢えた身体は正直なのだ。
「沢山召し上がってください。私、どんどん焼いていきますから」
燐花もまた飲み物や取り皿を配り、用意された食材を焼いていく。二人とも食べないわけではないのだが、どうも供給のほうが過剰な気はしないでもない。
「ふふ、素敵な女の子二人がかりで私におにくを供給してくれる! 凄い!」
なお、増えた肉は悠乃が美味しく頂いております。徳川さんもびっくりの座して待つスタイルである。大食漢である彼女がいる限り焼きすぎという言葉はないのだ、多分。
「いやー、沢山の人と一緒にごはんって、凄く楽しいよね」
「笑顔で美味しそうに食べるっていい事ですよね。見ているこちらも笑顔になります」
「うん、ご飯は誰かと食べるのが楽しい!」
肉を消費しつつ悠乃が零した言葉に、燐花が微かに微笑みつつ、フィオナは満面の笑顔で応える。楽しい食卓が最高の調味料、などとはよく言ったものである。
「うんうん、良かったら好きなものとか食べ方とか教えて欲しいな? 私、喜んで用意しちゃうからね?」
接待肉状態のお礼だろうか。そんな悠乃の問いかけへ、フィオナの答え。
「何だろう。アフタヌーンティーセット……?」
それは 飲み物 です。
「村人と古妖さんで力を合わせて育てた、おいしいトマトを皆さんにおすそ分けです!」 今日も元気だシャイニング。ゆかり・シャイニング(CL2001288)が海岸にトマトをぶちまけにきたぞ! 違う、おすそ分けにきたぞ!
担いだ箱に詰め込まれたものは、山盛りとれた不揃いなトマト。出荷には適さないが、味には自信がある。そんな地産地消の魂溢れた逸品だ。
「トマト! 体にやさしい食材です!」
そんな景気のいいおすそ分けっぷりに迷わず飛びつくのは獅子神・玲(CL2001261)。トマトは医者いらずと言われ、リコピンと呼ばれる成分が多量に含まれており健康にとてもいいのだ!
「うまうまっ!」
丸かじりである。だがトマトの丸かじりは実際美味い。この筆者が保障する。よく冷やしておくとなお良いぞ!
「ボクもご相伴に預かりましょう――うん、素晴らしい旨味ですね」
天羽・テュール(CL2001432) もまた、トマトを丸かじりして頷く。その様子は素材のテイスティングをする料理人のごとく。完全に消費者だけど。
「――となると。サンドイッチといきましょうか」
そう呟いたテュールは妙に手慣れた手つきでトマトを輪切りにしはじめる。そのまま持参したパンへと、そこらじゅうで焼きに焼かれまくっている肉と共に、レタスと一緒に挟んで完成。
サンドイッチ。それは手軽さと汎用性に優れた食品である。
「……うん、これも食べごたえがあって美味しいです!」
「なかなかやりますね! 僕も負けないですよ!」
満足げに次々と食べ続けるテュールの様子に玲が妙な対抗意識を燃やして次々と食べ始める。
「これとかどうですか、ここで戦ったクラゲですが中々美味ですよ」
そんな玲が持参していたのはクラゲの中華和えである。現地調達にもほどがある。
ひたすらに肉とクラゲとトマトを貪る様。大食いこそが覚者のバイタリティを維持しているのだろうか、と思わせる光景である。
「あ、僕のサンドイッチはトマトとタマネギ抜きでお願いします」
ちゃっかりと量産されるサンドイッチに要求をつけているのは田中 倖(CL2001407)である。
従妹であるゆかりがトマトを育てた、という事情でお裾分け活動を手伝っている倖ではあるが、一つ重大な問題が存在していた。
そう――生野菜があまり好きではないのだ。
「ほら! トマト抜いてないで野菜も食べなきゃダメですよ!?」
そう言ってゆかりから倖に差し出されたものは、チーズを乗せた焼きトマトであった。
「……え? 焼きトマト、ですか?」
怪訝そうな顔をする倖だが、従妹は料理の腕がしっかりしてることは知っている。一抹の不満はあるが、それを口にして見ると……
「――美味しい!?」
トマトは熱を通すことで臭みが消えて旨味だけが残る、それを彼女は知っていた。ついでに言えば、加熱することによって甘みを増したりするのだ。トマト万歳。
「あ、かね君! あのねー」
「皆まで言うな、ピンク。愛しのにーさまの心をゲットする方法を師事しにきたのだろう? この兵法的アドバイザーに!」
「えっ、えっ? ほんと? にーさまをゲットできるの? すごいわね、へーほー!」
なんだこれ。
ともあれ、ピンクこと酒々井 数多(CL2000149)と兵法的アドバイザーこと坂上 懐良(CL2000523)は夏の海で乳繰り合って……違うな。なんだこれ?
「夏の海にて男の心をつかむ方法、衣食足りて礼節を知る。すなわち衣食を満たすことが心を掴むことに繋がる」
「へー、ほー」
素直に正座で聞く数多。どうでもいいですが、砂浜で正座してるとお白洲で裁き待ちみたいですね。
「食。すなわちBBQ。衣、すなわち水着。この二つでゲットだぜ! さあオレを相手に練習してみるのだ! オレをにーさまだと思ってな!」
ちなみに数多が水着と主張してるものはどうみてもバニーガールである。泳げるのかそれ。
「甲斐甲斐しく肉を焼き! 水着で媚を売るように!」
「はいにーさま、焼き加減はミディアムくらいでよろしかったかしら? あーんして……」
「いいぞいいぞ、ガッハッハ!」
「って、やってられっか!」
「って、ギャー!」
焼いた肉が宙を舞い、顔面へ叩き付けられる。じゅうじゅうと音を立てる肉が顔の肉をじゅうじゅうと鳴らす。肉と肉(顔)のマリアージュ。
とりあえずあれだ。肉は食べるもので投げるものではない。
「姉弟で食事というのも久しぶり……というか、僕が五麟に来て初かな?」
「んー? そういえばそうだねー。行こう行こうって思ってても全然行けてなかったなぁ……」
そう言いながら苦笑する宮神 早紀(CL2000353)と、しみじみとした様子の宮神 羽琉(CL2001381)姉弟は、他愛ない会話をしながら肉をつついていた。
「早紀ちゃんはうちで一番しっかりさんだし、食事の心配はしてないけれど……もう少し、家に帰る頻度上げてもいいかも」
「んー、そう?」
話題に出るのは家の事。やはり妹弟としてお互いが気になるし、実家の事も気になるものだ。
「面倒かもだけどさ……ほら、兄さん達がさ。僕にあれこれ聞いてくるんだよ……」
「あー……お兄達、あたしに関してはなんか過保護だもんねー……」
弟にかけていると思う、余計な苦労を思い、苦笑する。世の兄というものは、どこもそういうものなのだろうか。妹に甘く、弟に強く当たるというものは。
「それとも、隠しておきたい彼氏とか本当に出来てたりする?」
「うん? ……ううん、いないよぉ」
急な話に早紀は苦笑する。浮いた話はないはずだ。
「そういうハルちゃんこそどうなのー? 気になる女の子、いないの?」
姉だって当然弟の浮いた話の一つぐらい、気になるものである。
「え、僕の方? 友達が増えたぐらいだけど凄く楽しいし、満足してるよ」
違う、そうじゃない。楽しくやれてるならいいけれど。
――春はまだまだ、遠そうだ。
――切裂 ジャック(CL2001403)は身悶えていた。
「……何悶えてるんですか、いつも以上に気持ち悪いですよ? ついに心まで虫になりましたか?」
(これだから女子って生き物は……! 今頭の中で褒めたけど、やっぱり中身は可愛くねえ!)
たまの変化というのは人を大きく変わって見せる。餓鬼だと侮っていた諏訪 奈那美(CL2001411)が水着を着ることで女性を意識させられた、というのはジャックにとって小さくない衝撃であった。
そのお返しが辛辣な言葉である。なお虫は神経節で考えるので心があるのかは実証されていません。
「虫じゃねーわ! ……いやいや、誰かと思っちゃったぜ。今日は脱げって言わないから大丈夫だからな!」
「あんなこと、二度目があれば今度は臓物を抜きますよ?」
「臓物は勘弁して!」
どこまでならセーフなのか、などということは置いておいて。少なくともBBQの場で飛び出していい単語ではないのは確かである。
毒に満ちた言葉を投げ合い……いや、一方的に投げつけられてるかもしれないが。ともかく交わしつつもジャックは肉を焼き、奈那美の皿へと盛っていく。奈那美もそれを拒否する様子はない。
「お肉好き? それとも野菜のほうが好み? っていうか、か細いんだから沢山食べろ!」
「私の肉付きが良くないのは確かですが、貴方にそんなことを言われる筋合いはありませんよ?」
――尤も、言葉の刃は切り分けられる肉以上に心を刻んでいた気もするが。
――悲喜交々、愛憎交々。
海岸に繰り広げられるのは人間模様。
「どう、似合ってるかしら? 海に出かけるのも久しぶりだものね」
新しい水着に身を包む彼女は一人。いや、彼女的には二人。
前に来たのはいつだったか。少なくとも、彼女が手にしたビールを飲むことが許されないぐらい幼い頃だったろう。
でも斉藤さんと二人でやってみたい、そんな話も昔にしたはず。その願いはこうして叶っているのだ、肉体はないけれど。少なくとも彼女はそう信じている。
「――ちゃんと生き返ったらまた改めてやりましょうね」
そう言って斉藤さん……彼女の横に浮かぶ守護使役へと目配せし、ビールを煽った。
バーベキューグリルでは香ばしい匂いと食欲をそそる音を立てて、肉と魚が焼けていた。
――夏は過ぎ去りかけている。
だが、夏である間は全力で楽しむ権利は誰にでもあるのだ。
ましてやFiVEの面々は、常に命に関わる戦いを繰り広げているのだから。
――こういう時ぐらい、夏の陽気と美味い肉。そしてアルコールで。身を清めてもいいじゃないか。
青い空! 広い海! 白い砂浜!
……とはいかないようだけれど。友ヶ島の海岸はそこに広がっていた。
元来近代遺跡のようなものが多い土地であるし、南国でもないここは日本の国土である。白い砂浜を期待するのはさすがに無理があるだろう。
だが、それでも海は海。そしてバカンスにきたFiVEの面々にとってはそのようなことは些細な問題。
何故なら今、目の前には。じゅうじゅうと音を立て、肉を焼き上げるバーベキューグリルがあるからである!
「焼き場は任せてください!」
などと気合十分にスタンバイしているのは菊坂 結鹿(CL2000432)である。
いるのだ、こういう時にやたら張り切る人が。鍋や焼き肉を支配する絶対者。それが奉行である。そう、まさに今彼女は奉行と化していた。
彼女の周りに設置されているものは焼き網、鉄板、そして丸焼きを行うための設備。……え、マジで?
ともかく彼女は次々と調理を進めていく。アヒージョ、フォンデュ、バーベキュー。そしてケバブ。思いつく限りのものを調理し、焼き、配膳していくのである。
配るものいれば消費する者もいる。
「――すでに何本空けたっけ?」
そんなことをぼそりと呟きながらも、ビールを消費する手を止めないのは田場 義高(CL2001151)だ。
焼くだけでは肉は増えるばかりである。だが彼が消費してくれるから肉のエントロピー増大は防がれているのだ! やったね!
香ばしく焼きあがった肉を炭酸混じりのビールで喉の奥へと流し込む。
ぐびりぐびりと喉を鳴らし、舌鼓を打つ。止まるつもりは元よりない、ひたすらに貪り尽くす覚悟がそこにはあった。
ビールだけではなく、やがて日本酒にも手を伸ばし、飲み下す。独特の風味と味わいが酩酊感と清涼感を彼に与えていく。
――今まさに。彼は食を謳歌しているのだ。
「女子BBQ会、です!」
力いっぱいに華神 悠乃(CL2000231)が叫んだ。
「久しぶりのお肉だ!」
「ロケーションも素敵ですし、お肉も美味しそうですね」
天堂・フィオナ(CL2001421)が微妙に寂しい事情――最近の彼女はどうやら自給自足の菜食気味らしい――を叫び、柳 燐花(CL2000695)が多少浮ついた感じで呟く。
悠乃のスポーツクラブ繋がりの三人は、大いに羽を伸ばしていた。
スポーツといえば肉、という事情かはわからないが、クラブにおいてBBQイベントはしばしば行われることはある。だがロケーションの違いというのは大きいものだ。
「もやしもきのこも美味しいよねー、そればっかりだと飽きるけど」
「もやしはともかく、きのこの採取は危ないのでは……?」
「気にしない! さあどんどん焼くぞ!」
フィオナの食生活を心配しつつも、まずは肉である。フィオナがどんどん食材を焼いていく。肉肉肉野菜肉肉野菜、ぐらいになってる気がするが。飢えた身体は正直なのだ。
「沢山召し上がってください。私、どんどん焼いていきますから」
燐花もまた飲み物や取り皿を配り、用意された食材を焼いていく。二人とも食べないわけではないのだが、どうも供給のほうが過剰な気はしないでもない。
「ふふ、素敵な女の子二人がかりで私におにくを供給してくれる! 凄い!」
なお、増えた肉は悠乃が美味しく頂いております。徳川さんもびっくりの座して待つスタイルである。大食漢である彼女がいる限り焼きすぎという言葉はないのだ、多分。
「いやー、沢山の人と一緒にごはんって、凄く楽しいよね」
「笑顔で美味しそうに食べるっていい事ですよね。見ているこちらも笑顔になります」
「うん、ご飯は誰かと食べるのが楽しい!」
肉を消費しつつ悠乃が零した言葉に、燐花が微かに微笑みつつ、フィオナは満面の笑顔で応える。楽しい食卓が最高の調味料、などとはよく言ったものである。
「うんうん、良かったら好きなものとか食べ方とか教えて欲しいな? 私、喜んで用意しちゃうからね?」
接待肉状態のお礼だろうか。そんな悠乃の問いかけへ、フィオナの答え。
「何だろう。アフタヌーンティーセット……?」
それは 飲み物 です。
「村人と古妖さんで力を合わせて育てた、おいしいトマトを皆さんにおすそ分けです!」 今日も元気だシャイニング。ゆかり・シャイニング(CL2001288)が海岸にトマトをぶちまけにきたぞ! 違う、おすそ分けにきたぞ!
担いだ箱に詰め込まれたものは、山盛りとれた不揃いなトマト。出荷には適さないが、味には自信がある。そんな地産地消の魂溢れた逸品だ。
「トマト! 体にやさしい食材です!」
そんな景気のいいおすそ分けっぷりに迷わず飛びつくのは獅子神・玲(CL2001261)。トマトは医者いらずと言われ、リコピンと呼ばれる成分が多量に含まれており健康にとてもいいのだ!
「うまうまっ!」
丸かじりである。だがトマトの丸かじりは実際美味い。この筆者が保障する。よく冷やしておくとなお良いぞ!
「ボクもご相伴に預かりましょう――うん、素晴らしい旨味ですね」
天羽・テュール(CL2001432) もまた、トマトを丸かじりして頷く。その様子は素材のテイスティングをする料理人のごとく。完全に消費者だけど。
「――となると。サンドイッチといきましょうか」
そう呟いたテュールは妙に手慣れた手つきでトマトを輪切りにしはじめる。そのまま持参したパンへと、そこらじゅうで焼きに焼かれまくっている肉と共に、レタスと一緒に挟んで完成。
サンドイッチ。それは手軽さと汎用性に優れた食品である。
「……うん、これも食べごたえがあって美味しいです!」
「なかなかやりますね! 僕も負けないですよ!」
満足げに次々と食べ続けるテュールの様子に玲が妙な対抗意識を燃やして次々と食べ始める。
「これとかどうですか、ここで戦ったクラゲですが中々美味ですよ」
そんな玲が持参していたのはクラゲの中華和えである。現地調達にもほどがある。
ひたすらに肉とクラゲとトマトを貪る様。大食いこそが覚者のバイタリティを維持しているのだろうか、と思わせる光景である。
「あ、僕のサンドイッチはトマトとタマネギ抜きでお願いします」
ちゃっかりと量産されるサンドイッチに要求をつけているのは田中 倖(CL2001407)である。
従妹であるゆかりがトマトを育てた、という事情でお裾分け活動を手伝っている倖ではあるが、一つ重大な問題が存在していた。
そう――生野菜があまり好きではないのだ。
「ほら! トマト抜いてないで野菜も食べなきゃダメですよ!?」
そう言ってゆかりから倖に差し出されたものは、チーズを乗せた焼きトマトであった。
「……え? 焼きトマト、ですか?」
怪訝そうな顔をする倖だが、従妹は料理の腕がしっかりしてることは知っている。一抹の不満はあるが、それを口にして見ると……
「――美味しい!?」
トマトは熱を通すことで臭みが消えて旨味だけが残る、それを彼女は知っていた。ついでに言えば、加熱することによって甘みを増したりするのだ。トマト万歳。
「あ、かね君! あのねー」
「皆まで言うな、ピンク。愛しのにーさまの心をゲットする方法を師事しにきたのだろう? この兵法的アドバイザーに!」
「えっ、えっ? ほんと? にーさまをゲットできるの? すごいわね、へーほー!」
なんだこれ。
ともあれ、ピンクこと酒々井 数多(CL2000149)と兵法的アドバイザーこと坂上 懐良(CL2000523)は夏の海で乳繰り合って……違うな。なんだこれ?
「夏の海にて男の心をつかむ方法、衣食足りて礼節を知る。すなわち衣食を満たすことが心を掴むことに繋がる」
「へー、ほー」
素直に正座で聞く数多。どうでもいいですが、砂浜で正座してるとお白洲で裁き待ちみたいですね。
「食。すなわちBBQ。衣、すなわち水着。この二つでゲットだぜ! さあオレを相手に練習してみるのだ! オレをにーさまだと思ってな!」
ちなみに数多が水着と主張してるものはどうみてもバニーガールである。泳げるのかそれ。
「甲斐甲斐しく肉を焼き! 水着で媚を売るように!」
「はいにーさま、焼き加減はミディアムくらいでよろしかったかしら? あーんして……」
「いいぞいいぞ、ガッハッハ!」
「って、やってられっか!」
「って、ギャー!」
焼いた肉が宙を舞い、顔面へ叩き付けられる。じゅうじゅうと音を立てる肉が顔の肉をじゅうじゅうと鳴らす。肉と肉(顔)のマリアージュ。
とりあえずあれだ。肉は食べるもので投げるものではない。
「姉弟で食事というのも久しぶり……というか、僕が五麟に来て初かな?」
「んー? そういえばそうだねー。行こう行こうって思ってても全然行けてなかったなぁ……」
そう言いながら苦笑する宮神 早紀(CL2000353)と、しみじみとした様子の宮神 羽琉(CL2001381)姉弟は、他愛ない会話をしながら肉をつついていた。
「早紀ちゃんはうちで一番しっかりさんだし、食事の心配はしてないけれど……もう少し、家に帰る頻度上げてもいいかも」
「んー、そう?」
話題に出るのは家の事。やはり妹弟としてお互いが気になるし、実家の事も気になるものだ。
「面倒かもだけどさ……ほら、兄さん達がさ。僕にあれこれ聞いてくるんだよ……」
「あー……お兄達、あたしに関してはなんか過保護だもんねー……」
弟にかけていると思う、余計な苦労を思い、苦笑する。世の兄というものは、どこもそういうものなのだろうか。妹に甘く、弟に強く当たるというものは。
「それとも、隠しておきたい彼氏とか本当に出来てたりする?」
「うん? ……ううん、いないよぉ」
急な話に早紀は苦笑する。浮いた話はないはずだ。
「そういうハルちゃんこそどうなのー? 気になる女の子、いないの?」
姉だって当然弟の浮いた話の一つぐらい、気になるものである。
「え、僕の方? 友達が増えたぐらいだけど凄く楽しいし、満足してるよ」
違う、そうじゃない。楽しくやれてるならいいけれど。
――春はまだまだ、遠そうだ。
――切裂 ジャック(CL2001403)は身悶えていた。
「……何悶えてるんですか、いつも以上に気持ち悪いですよ? ついに心まで虫になりましたか?」
(これだから女子って生き物は……! 今頭の中で褒めたけど、やっぱり中身は可愛くねえ!)
たまの変化というのは人を大きく変わって見せる。餓鬼だと侮っていた諏訪 奈那美(CL2001411)が水着を着ることで女性を意識させられた、というのはジャックにとって小さくない衝撃であった。
そのお返しが辛辣な言葉である。なお虫は神経節で考えるので心があるのかは実証されていません。
「虫じゃねーわ! ……いやいや、誰かと思っちゃったぜ。今日は脱げって言わないから大丈夫だからな!」
「あんなこと、二度目があれば今度は臓物を抜きますよ?」
「臓物は勘弁して!」
どこまでならセーフなのか、などということは置いておいて。少なくともBBQの場で飛び出していい単語ではないのは確かである。
毒に満ちた言葉を投げ合い……いや、一方的に投げつけられてるかもしれないが。ともかく交わしつつもジャックは肉を焼き、奈那美の皿へと盛っていく。奈那美もそれを拒否する様子はない。
「お肉好き? それとも野菜のほうが好み? っていうか、か細いんだから沢山食べろ!」
「私の肉付きが良くないのは確かですが、貴方にそんなことを言われる筋合いはありませんよ?」
――尤も、言葉の刃は切り分けられる肉以上に心を刻んでいた気もするが。
――悲喜交々、愛憎交々。
海岸に繰り広げられるのは人間模様。
「どう、似合ってるかしら? 海に出かけるのも久しぶりだものね」
新しい水着に身を包む彼女は一人。いや、彼女的には二人。
前に来たのはいつだったか。少なくとも、彼女が手にしたビールを飲むことが許されないぐらい幼い頃だったろう。
でも斉藤さんと二人でやってみたい、そんな話も昔にしたはず。その願いはこうして叶っているのだ、肉体はないけれど。少なくとも彼女はそう信じている。
「――ちゃんと生き返ったらまた改めてやりましょうね」
そう言って斉藤さん……彼女の横に浮かぶ守護使役へと目配せし、ビールを煽った。
バーベキューグリルでは香ばしい匂いと食欲をそそる音を立てて、肉と魚が焼けていた。
――夏は過ぎ去りかけている。
だが、夏である間は全力で楽しむ権利は誰にでもあるのだ。
ましてやFiVEの面々は、常に命に関わる戦いを繰り広げているのだから。
――こういう時ぐらい、夏の陽気と美味い肉。そしてアルコールで。身を清めてもいいじゃないか。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし
