サプライズ誕生日パーティー!
●15歳の誕生日
日常というのは、忙しなく動いていくものだ。
『頑張り屋の和風少女』河澄・静音(nCL2000059)の1日は、母親の世話から始まる。
「お母さん、お体の具合はいかがですか?」
「ふふ、大丈夫だよ、いつもありがとうね」
傷を負い、身体がうまく動かぬ母親は、そんな娘の看護に感謝をしている。幼い時の静音を、妖から身を挺して救って良かったと常日頃から誇らしげに語る、そんな母親だ。
家事に一区切りつけ、静音は学校へと通う。大人のようにも見える彼女も、まだまだ中学生。昼間は学生らしく勉学へと励む。
「それでは、皆さん、ごきげんよう」
授業が終われば、学友と別れた静音は下校途中に『F.i.V.E.』へと向かう。
その背中には青い翼を持つ静音。翼の因子持ちの覚者でもある静音は、発足間もない『F.i.V.E.』へと所属している。依頼の確認、および、遂行へと身を粉にして働く。
それが終わると、家に帰ってまた家事、宿題を済ませてから就寝……。静音に気が休まる暇などない。
翌朝、彼女は床で目覚めて、一言。
「さて、今日も頑張りませんと……!」
とにかく、彼女の日常は忙しい。だから、静音はその日が何なのか、忘れていたようだった。
●頑張る少女に安らぎの一時を
会議室には、できる限り内密にと念を押されながら、覚者達が集まる。その中心にいたのは、久方万里(nCL2000005)だ。
「ちょっと、皆に相談なんだけどね……」
万里が話すのは、『F.i.V.E.』の所属員の1人、河澄・静音のこと。
「実はね、静音ちゃんのお母さん、妖に襲われて満足に動けないんだって」
父は単身赴任で不在。その為、普段は一人っ子の静音だけで母親の世話、それに家事を行っているらしい。
その上で、静音は学校に通い、さらに『F.i.V.E.』へとやってきて、手伝い、あるいは任務に出てくれているそうなのだ。彼女を知る者からは、いつ休んでいるとかと心配な声も上がる。
「万里もちょくちょくお世話になってるんだよ。だから、これはそのお返し。是非とも皆で静音ちゃんを癒してあげてほしいなっ!」
それで、万里が企画したのは、誕生日パーティー。10月30日は静音の誕生日なのだそうだ。
「静音ちゃんの誕生日を、皆で祝ってあげたいよねっ!」
まだ時間はある。折角だから 会議室を飾り付けして、あるいは何か企画を行って大いに盛り上げたい。
「パーティーに必要なグッズとか、食べ物は準備するね。基本皆でわいわいするだけのパーティーだけど、何かこういう企画をやりたいっていうのがあったら、万里に言ってね!」
ちょっとした企画で、賛同者がいれば、行うことも可能だろう。その為には、多少は仲間内で打ち合わせも必要となるので、よく話し合っておきたい。
「それじゃ、皆、よろしくねっ!」
万里は満面の笑みで、覚者達へとそうお願いするのだった。
日常というのは、忙しなく動いていくものだ。
『頑張り屋の和風少女』河澄・静音(nCL2000059)の1日は、母親の世話から始まる。
「お母さん、お体の具合はいかがですか?」
「ふふ、大丈夫だよ、いつもありがとうね」
傷を負い、身体がうまく動かぬ母親は、そんな娘の看護に感謝をしている。幼い時の静音を、妖から身を挺して救って良かったと常日頃から誇らしげに語る、そんな母親だ。
家事に一区切りつけ、静音は学校へと通う。大人のようにも見える彼女も、まだまだ中学生。昼間は学生らしく勉学へと励む。
「それでは、皆さん、ごきげんよう」
授業が終われば、学友と別れた静音は下校途中に『F.i.V.E.』へと向かう。
その背中には青い翼を持つ静音。翼の因子持ちの覚者でもある静音は、発足間もない『F.i.V.E.』へと所属している。依頼の確認、および、遂行へと身を粉にして働く。
それが終わると、家に帰ってまた家事、宿題を済ませてから就寝……。静音に気が休まる暇などない。
翌朝、彼女は床で目覚めて、一言。
「さて、今日も頑張りませんと……!」
とにかく、彼女の日常は忙しい。だから、静音はその日が何なのか、忘れていたようだった。
●頑張る少女に安らぎの一時を
会議室には、できる限り内密にと念を押されながら、覚者達が集まる。その中心にいたのは、久方万里(nCL2000005)だ。
「ちょっと、皆に相談なんだけどね……」
万里が話すのは、『F.i.V.E.』の所属員の1人、河澄・静音のこと。
「実はね、静音ちゃんのお母さん、妖に襲われて満足に動けないんだって」
父は単身赴任で不在。その為、普段は一人っ子の静音だけで母親の世話、それに家事を行っているらしい。
その上で、静音は学校に通い、さらに『F.i.V.E.』へとやってきて、手伝い、あるいは任務に出てくれているそうなのだ。彼女を知る者からは、いつ休んでいるとかと心配な声も上がる。
「万里もちょくちょくお世話になってるんだよ。だから、これはそのお返し。是非とも皆で静音ちゃんを癒してあげてほしいなっ!」
それで、万里が企画したのは、誕生日パーティー。10月30日は静音の誕生日なのだそうだ。
「静音ちゃんの誕生日を、皆で祝ってあげたいよねっ!」
まだ時間はある。折角だから 会議室を飾り付けして、あるいは何か企画を行って大いに盛り上げたい。
「パーティーに必要なグッズとか、食べ物は準備するね。基本皆でわいわいするだけのパーティーだけど、何かこういう企画をやりたいっていうのがあったら、万里に言ってね!」
ちょっとした企画で、賛同者がいれば、行うことも可能だろう。その為には、多少は仲間内で打ち合わせも必要となるので、よく話し合っておきたい。
「それじゃ、皆、よろしくねっ!」
万里は満面の笑みで、覚者達へとそうお願いするのだった。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.誕生日パーティーで大いに盛り上がる。
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
河澄・静音、15歳の誕生日です。お祝いもそうですが、折角のパーティーなので、便乗して楽しんじゃおうって方も歓迎です。よろしくお願いいたします。
以下、参加方法です。
●参加方法
基本的には静音の誕生日パーティーですが、便乗して騒ぐのは問題ございません。
同伴者がいる場合は、チーム名、名前、ID、相手の呼び方などをお願いします。
会場には、一般的なパーティーで並べられているものならばございます。遠慮なく飲み食いできますが、未成年の飲酒、喫煙描写はできませんので、ご注意ください。
また、パーティー会場の舞台上で、ちょっとした企画、催しならば、仲間内で行っていただいても問題ありません。
芸、手品やゲームなど、パーティーを盛り上げるためのものでありましたら、ご企画ください。ただ、その場合は、一緒に企画を行う人達とある程度まとまったプレイングが必要となりますので、ご留意ください。
●NPC
河澄・静音が参加しております。
彼女はこのパーティーが企画されていることを全く知りません。誕生日当日、下校して『F.i.V.E』に立ち寄ったタイミングで、そのまま会場へと引きずりこまれます。
何かございましたら、お気軽にお声がけください。できる限り応対いたします。
なお、パーティーには、アトリエに立っている新城・都も紛れ込んでおります。よろしければ、都にも遠慮なく声をおかけください。
また、残念ながら、企画者の万里は裏方で忙しく、リプレイには登場しません。話しかけられても対応ができませんので、予めご了承願います。
それでは、今回も楽しんでいただければ幸いです。よろしくお願いいたします!
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
相談日数
7日
7日
参加費
50LP
50LP
参加人数
11/∞
11/∞
公開日
2015年11月13日
2015年11月13日
■メイン参加者 11人■

●パーティー準備!
『F.i.V.E.』に設けられた特設会場。
この日は、10月30日、河澄・静音の誕生日だ。主役がやってくる前に、参加者達は企画されたパーティーの準備を進める。
「静音の誕生日パーティーと聞いて、お祝い兼ねて美味しいご飯を食べにきたよ!」
深雪はそう主張するが、準備中の覚者の視線を受け、彼女は照れながら弁解する。
「うそうそ、ちゃんとボクもパーティーのお手伝いをするよっ」
「凛もお手伝いするんよ」
笑う深雪のそばでは、凜の食材の買い出しや運搬などの手伝いをしてくれていた。
さて、メンバー達は、結鹿が主導でバースデイケーキを作る。その際、御菓子はホイップクリームで飾り付けの一部を行っていた。
「バースデイケーキの他にも、ケーキを用意したんですが」
結鹿は、スポンジケーキとホイップ、数種類のフルーツ、ホイップの味のバリエーションを作る為のジャムを取り出す。
「今日は折角の特別の日、そこで、皆さん個々のオリジナルケーキ作りませんか?」
結鹿の提案に、たまきが同意する。
「ケーキは作った事が無いのですが、理想はイチゴたっぷりの生クリームのホールケーキです!」
たまきはお菓子作りの本を見つつ、分量に気を付けて材料を投入する。よくかき混ぜて型へと入れたものをオーブンに入れ、ふんわり焼き上げた。
焼き上げた後は角が立つくらいまで泡立てたクリームを塗って、飾り付け。たまきは丁寧に1つずつ、可愛らしく意匠を施す。メッセージを書いたチョコレートとイチゴとロウソク、それからアヒルちゃん。
これを結鹿がサポートし、クリームの味付けに少し入れ知恵をしたり、トッピング、ホイップの飾りつけを手伝う。
(美味しいケーキを、自分用のアイデアでつくるなんて)
結鹿の演出に御菓子は思わず舌を巻いてしまうが、これはこれで、面白いと、ケーキ作りを堪能していた。
「誕生日と言ったらケーキだよな」
柾もケーキを作っているが、サプライズならばひと工夫凝らそうと、主役の好みを考えて和風ケーキを作成する。
同伴していた亮平は、一品料理を作っていた。一口大の大きさにカラッと上げた秋鮭の竜田揚げには、紅葉おろしポン酢を添えて。千切りにしたニンジン、胡瓜、大葉にレタスを入れたエビの生春巻きは、食べやすい大きさに切りそろえ、並べられてある。
「さすが上手いな」
やってきた柾がそれを見て感嘆する。
「柾さんも、作った和風のケーキ凝ってますね」
見れば、和菓子を中心としたケーキの上には、同じく和菓子でできた可愛らしい動物や綺麗な花々が飾られている。
「他の料理も上手だし、社長だし、モテそうだし、柾さんこそ流石だと思います」
「ははは、こいつ!」
亮平にべた褒めされ、若干照れる柾は笑いながら彼の頭をわしわしと撫で回す。まさか頭を撫でられると思わず、亮平はびっくりしていた。
「ほら、味見してみてくれ」
柾にケーキの一部を差し出された亮平は、それをぱくりと食べる。
「は、はい。料理もけーきも美味いです」
もぐもぐとその味を堪能した亮平は、素直な感想を述べたのだった。
会場内では、深雪が用意された食材で出来合いの物を含め、アレンジを行っていた。
「ちょっとソースや下味を工夫するだけさっ」
ひと工夫凝らせば、味に深みが増してコクが出るものだ。
「ボクは美味しい魚料理に一番力をいれたいのさっ」
とはいえ、調理を買って出ていたのは、味見ができるからでもあり。深雪はつまみ食いもしていたようだった。
「ぱーてぃー いん みらのっ!!!」
誕生日パーティーといえば、美味しい料理が沢山、あまーーーいケーキも食べ放題。こんなイベントに参加しないわけがないと、ミラノは大いに盛り上がろうと……するのだが。
「はやくたべたい……」
仲間が調理するのを、ミラノはそわそわしながら待っていたのである。
●パーティーの始まり!
さて、日も傾きかけた頃、『F.i.V.E.』へやってきた静音を、さよが会場へと連れてくる。今日は一日、静音の世話係を買って出た彼女だ。
「えっと……」
会場へと連れてこられ、きょとんとする静音。だが、御菓子が中心となって鳴らすクラッカーの音と、巻き起こる拍手に驚いていたようだ。
「静音さん、お誕生日おめでとぉ~っ!!」
「静音さん、誕生日おめでとうなんよ」
結鹿、凜が静音を祝福する。
「おめでとーございまーす!!」
さよの声で巻き起こる拍手。御菓子による電子ピアノでの伴奏が流れ、参加者達はバースデイソングを歌い始める。
歌の最中、結鹿がろうそくに火が灯されたケーキを取り出す。唄の終わりに合わせ、結鹿は静音の前へと差し出した。
「では、ろうそくの火を消してもらおうと思うので、写真撮る方はどうぞ前に」
そう盛り上げつつ、静音に促すと、彼女はふっと火を吹き消した。光るフラッシュの中、静音は優しく微笑む。
「はっぴーおめでとー! ねぇねぇしずねちゃんはいくつになったの?」
そこに、ハイテンションにミラノが質問してくる。
「15歳になりましたわ」
「……ミラノといっしょ15さい!?!!?!??!」
その見た目の差に、ミラノは思わずくらくらとしてしまう。大人っぽい見た目もそうだが、……主に、その胸。
「きっとたべてるものがちがうのっ……そうにちがいないのっ!」
彼女はじっと、静音を観察することに決めたようだ。
その後、パーティーは無礼講となり、参加者達は大いに楽しみ、盛り上がる。御菓子は引き続き、BGM代わりにアコーディオンを奏でていたようだ。
「なかなかに素敵なぱーてぃーなのです」
こっそりまぎれていた都も、その雰囲気に満足していた。
主役、静音にはさよが世話係の本領を発揮し、ケーキを切り分けている。
(ケーキ……お気に召して頂けたら良いのですが……)
それは、たまきが作ったケーキ。彼女はドキドキしながら静音が食べるのを見守る。
「とても、美味しいですわ」
静音の口から出た素直な感想に、たまきは嬉しさがこみあげていた。
さよはその後も、ジュースや料理を運び、精一杯「おもてなし」を行う。
「静音、誕生日おめでと! 美味しい料理がいっぱいだよっ」
深雪も自身の手掛けた魚料理をおススメだと取り分けてくれていた。
その後は、深雪も振る舞われた料理を堪能していたようだ。
「わわ、このお料理、とてもおいしいですっ」
「ええ、本当ですわね」
さよは静音と談笑しつつ、料理に舌鼓を打つ。そんな静音の食べている姿を見つめていたミラノが、同じ料理に手を付けていく。
「ふふふっ、これでミラノもぼんきゅっぼんにっ」
来年の誕生日、たい焼き食べ放題パーティーをと考えつつ、明日の自分の姿を夢見るミラノである。
「河澄さん、初めまして」
「誕生日おめでとう」
そこで、亮平、柾も静音に声を掛けた。
「その……誕生日だって聞いて、何か手伝えないかと思って料理を……。とにかく誕生日おめでとう」
亮平は祝の言葉だけ手向け、さっと隅へと行ってしまう。
「生まれてきてくれた有難う、って意味なんだよなこの日は」
そんな連れの様子にくすりとはにかむ柾は、大したものではないがと花束をプレゼントし、連れを追っていった。
椿、雷鳥の2人は、料理に手をつけ、パーティーを楽しむ。
「あれ?」
椿は口にした料理に、よく知っている味な気がして首を傾げる。
「……て言うか、そんだけでいいのー? 小食すぎじゃーん、だめだめ、女の子とはいえ、日ごろ命削って戦ってんだから、食えるとき食っとかないと!」
それに気づいた雷鳥はもっと食べるよう促す。椿は彼女を、自身を気がけてくれるお姉さんのような存在に感じて。嬉しさを感じながら、椿は甘味をもう一つ、口へと運ぶ。その様子に満足した雷鳥も同じものを食べていたようだ。
しばらく食べていた椿だったが、サプライズなのだから何かしないとと、雷鳥に提案する。
「雷鳥さん、一緒に静音さんの為に誕生日の歌を歌いませんか?」
「歌? いいねぇ、友達に誕生日ソングのプレゼントか、私でよけりゃー付き合うよ」
2人は、別のメンバーと話がひと段落した静音へと近づく。
「誕生日おめでとう」
椿、雷鳥が歌い始めると、BGMは御菓子が気を利かせて合わせてくれていたようだ。
歌はそれなりに上手い椿。雷鳥はさほど歌に自信がないのだが、それでも、椿の歌を台無しにしないようにと精一杯歌う。
歌い終えた彼女達は丁寧に一礼して、それぞれ一言。
「誕生日おめでとう」
「ハッピーバースデー!」
緊張していた椿だったが、雷鳥の存在に支えられて歌い上げる。
「雷鳥さんと一緒だったから、とても心強かった」
「こっちこそ楽しかったよ、また誘ってね」
静音を含め、会場からも喝采があがった。
椿はそっとプレゼントを取り出して静音に差し出す。それは、花の香りの入浴セットだ。静音は満面の笑みでそれを受け取っていた。
(こんなにお祝いしてもらえるなんて、幸せな子だね)
雷鳥は幸せそうに笑う静音を見て、ふとそんなことを考えるのだった。
『F.i.V.E.』に設けられた特設会場。
この日は、10月30日、河澄・静音の誕生日だ。主役がやってくる前に、参加者達は企画されたパーティーの準備を進める。
「静音の誕生日パーティーと聞いて、お祝い兼ねて美味しいご飯を食べにきたよ!」
深雪はそう主張するが、準備中の覚者の視線を受け、彼女は照れながら弁解する。
「うそうそ、ちゃんとボクもパーティーのお手伝いをするよっ」
「凛もお手伝いするんよ」
笑う深雪のそばでは、凜の食材の買い出しや運搬などの手伝いをしてくれていた。
さて、メンバー達は、結鹿が主導でバースデイケーキを作る。その際、御菓子はホイップクリームで飾り付けの一部を行っていた。
「バースデイケーキの他にも、ケーキを用意したんですが」
結鹿は、スポンジケーキとホイップ、数種類のフルーツ、ホイップの味のバリエーションを作る為のジャムを取り出す。
「今日は折角の特別の日、そこで、皆さん個々のオリジナルケーキ作りませんか?」
結鹿の提案に、たまきが同意する。
「ケーキは作った事が無いのですが、理想はイチゴたっぷりの生クリームのホールケーキです!」
たまきはお菓子作りの本を見つつ、分量に気を付けて材料を投入する。よくかき混ぜて型へと入れたものをオーブンに入れ、ふんわり焼き上げた。
焼き上げた後は角が立つくらいまで泡立てたクリームを塗って、飾り付け。たまきは丁寧に1つずつ、可愛らしく意匠を施す。メッセージを書いたチョコレートとイチゴとロウソク、それからアヒルちゃん。
これを結鹿がサポートし、クリームの味付けに少し入れ知恵をしたり、トッピング、ホイップの飾りつけを手伝う。
(美味しいケーキを、自分用のアイデアでつくるなんて)
結鹿の演出に御菓子は思わず舌を巻いてしまうが、これはこれで、面白いと、ケーキ作りを堪能していた。
「誕生日と言ったらケーキだよな」
柾もケーキを作っているが、サプライズならばひと工夫凝らそうと、主役の好みを考えて和風ケーキを作成する。
同伴していた亮平は、一品料理を作っていた。一口大の大きさにカラッと上げた秋鮭の竜田揚げには、紅葉おろしポン酢を添えて。千切りにしたニンジン、胡瓜、大葉にレタスを入れたエビの生春巻きは、食べやすい大きさに切りそろえ、並べられてある。
「さすが上手いな」
やってきた柾がそれを見て感嘆する。
「柾さんも、作った和風のケーキ凝ってますね」
見れば、和菓子を中心としたケーキの上には、同じく和菓子でできた可愛らしい動物や綺麗な花々が飾られている。
「他の料理も上手だし、社長だし、モテそうだし、柾さんこそ流石だと思います」
「ははは、こいつ!」
亮平にべた褒めされ、若干照れる柾は笑いながら彼の頭をわしわしと撫で回す。まさか頭を撫でられると思わず、亮平はびっくりしていた。
「ほら、味見してみてくれ」
柾にケーキの一部を差し出された亮平は、それをぱくりと食べる。
「は、はい。料理もけーきも美味いです」
もぐもぐとその味を堪能した亮平は、素直な感想を述べたのだった。
会場内では、深雪が用意された食材で出来合いの物を含め、アレンジを行っていた。
「ちょっとソースや下味を工夫するだけさっ」
ひと工夫凝らせば、味に深みが増してコクが出るものだ。
「ボクは美味しい魚料理に一番力をいれたいのさっ」
とはいえ、調理を買って出ていたのは、味見ができるからでもあり。深雪はつまみ食いもしていたようだった。
「ぱーてぃー いん みらのっ!!!」
誕生日パーティーといえば、美味しい料理が沢山、あまーーーいケーキも食べ放題。こんなイベントに参加しないわけがないと、ミラノは大いに盛り上がろうと……するのだが。
「はやくたべたい……」
仲間が調理するのを、ミラノはそわそわしながら待っていたのである。
●パーティーの始まり!
さて、日も傾きかけた頃、『F.i.V.E.』へやってきた静音を、さよが会場へと連れてくる。今日は一日、静音の世話係を買って出た彼女だ。
「えっと……」
会場へと連れてこられ、きょとんとする静音。だが、御菓子が中心となって鳴らすクラッカーの音と、巻き起こる拍手に驚いていたようだ。
「静音さん、お誕生日おめでとぉ~っ!!」
「静音さん、誕生日おめでとうなんよ」
結鹿、凜が静音を祝福する。
「おめでとーございまーす!!」
さよの声で巻き起こる拍手。御菓子による電子ピアノでの伴奏が流れ、参加者達はバースデイソングを歌い始める。
歌の最中、結鹿がろうそくに火が灯されたケーキを取り出す。唄の終わりに合わせ、結鹿は静音の前へと差し出した。
「では、ろうそくの火を消してもらおうと思うので、写真撮る方はどうぞ前に」
そう盛り上げつつ、静音に促すと、彼女はふっと火を吹き消した。光るフラッシュの中、静音は優しく微笑む。
「はっぴーおめでとー! ねぇねぇしずねちゃんはいくつになったの?」
そこに、ハイテンションにミラノが質問してくる。
「15歳になりましたわ」
「……ミラノといっしょ15さい!?!!?!??!」
その見た目の差に、ミラノは思わずくらくらとしてしまう。大人っぽい見た目もそうだが、……主に、その胸。
「きっとたべてるものがちがうのっ……そうにちがいないのっ!」
彼女はじっと、静音を観察することに決めたようだ。
その後、パーティーは無礼講となり、参加者達は大いに楽しみ、盛り上がる。御菓子は引き続き、BGM代わりにアコーディオンを奏でていたようだ。
「なかなかに素敵なぱーてぃーなのです」
こっそりまぎれていた都も、その雰囲気に満足していた。
主役、静音にはさよが世話係の本領を発揮し、ケーキを切り分けている。
(ケーキ……お気に召して頂けたら良いのですが……)
それは、たまきが作ったケーキ。彼女はドキドキしながら静音が食べるのを見守る。
「とても、美味しいですわ」
静音の口から出た素直な感想に、たまきは嬉しさがこみあげていた。
さよはその後も、ジュースや料理を運び、精一杯「おもてなし」を行う。
「静音、誕生日おめでと! 美味しい料理がいっぱいだよっ」
深雪も自身の手掛けた魚料理をおススメだと取り分けてくれていた。
その後は、深雪も振る舞われた料理を堪能していたようだ。
「わわ、このお料理、とてもおいしいですっ」
「ええ、本当ですわね」
さよは静音と談笑しつつ、料理に舌鼓を打つ。そんな静音の食べている姿を見つめていたミラノが、同じ料理に手を付けていく。
「ふふふっ、これでミラノもぼんきゅっぼんにっ」
来年の誕生日、たい焼き食べ放題パーティーをと考えつつ、明日の自分の姿を夢見るミラノである。
「河澄さん、初めまして」
「誕生日おめでとう」
そこで、亮平、柾も静音に声を掛けた。
「その……誕生日だって聞いて、何か手伝えないかと思って料理を……。とにかく誕生日おめでとう」
亮平は祝の言葉だけ手向け、さっと隅へと行ってしまう。
「生まれてきてくれた有難う、って意味なんだよなこの日は」
そんな連れの様子にくすりとはにかむ柾は、大したものではないがと花束をプレゼントし、連れを追っていった。
椿、雷鳥の2人は、料理に手をつけ、パーティーを楽しむ。
「あれ?」
椿は口にした料理に、よく知っている味な気がして首を傾げる。
「……て言うか、そんだけでいいのー? 小食すぎじゃーん、だめだめ、女の子とはいえ、日ごろ命削って戦ってんだから、食えるとき食っとかないと!」
それに気づいた雷鳥はもっと食べるよう促す。椿は彼女を、自身を気がけてくれるお姉さんのような存在に感じて。嬉しさを感じながら、椿は甘味をもう一つ、口へと運ぶ。その様子に満足した雷鳥も同じものを食べていたようだ。
しばらく食べていた椿だったが、サプライズなのだから何かしないとと、雷鳥に提案する。
「雷鳥さん、一緒に静音さんの為に誕生日の歌を歌いませんか?」
「歌? いいねぇ、友達に誕生日ソングのプレゼントか、私でよけりゃー付き合うよ」
2人は、別のメンバーと話がひと段落した静音へと近づく。
「誕生日おめでとう」
椿、雷鳥が歌い始めると、BGMは御菓子が気を利かせて合わせてくれていたようだ。
歌はそれなりに上手い椿。雷鳥はさほど歌に自信がないのだが、それでも、椿の歌を台無しにしないようにと精一杯歌う。
歌い終えた彼女達は丁寧に一礼して、それぞれ一言。
「誕生日おめでとう」
「ハッピーバースデー!」
緊張していた椿だったが、雷鳥の存在に支えられて歌い上げる。
「雷鳥さんと一緒だったから、とても心強かった」
「こっちこそ楽しかったよ、また誘ってね」
静音を含め、会場からも喝采があがった。
椿はそっとプレゼントを取り出して静音に差し出す。それは、花の香りの入浴セットだ。静音は満面の笑みでそれを受け取っていた。
(こんなにお祝いしてもらえるなんて、幸せな子だね)
雷鳥は幸せそうに笑う静音を見て、ふとそんなことを考えるのだった。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし

■あとがき■
リプレイ、公開です。
この度は参加していただき、嬉しかったです!
静音に代わり、お礼を申し上げます。
本当に、本当にありがとうございました!!
この度は参加していただき、嬉しかったです!
静音に代わり、お礼を申し上げます。
本当に、本当にありがとうございました!!
