覚醒イレブン エクストリーム・サッカー!
●
「くらえっ、十年の歳月をかけて開発した最強の技――NANOHANAシュート!」
黄色いユニフォーム姿のサッカー選手がスタイリッシュなフォームからサッカーシュートを放った。
なんかの光がボールを包み、すごい回転をかけてゴールへ迫る。
対して……!
「片腹痛いわ! 死ねえええ!」
お腹からビームライフルがはえた妖怪(古妖)が極太ビームを発射。
選手を地面の芝もろとも吹き飛ばし、そのままビームの先端になんでかくっついたボールでゴールへ直進。
「うおー! そう何度も抜かれてたまるかー!」
力強くジャンプするゴールキーパー。
が、ゴールネットもろとも吹っ飛んでいった。
「ぐあああああああああああああ!」
「森ジャキぃぃいいいいいいいい!」
●
「ということがあったんだ」
所変わってファイヴ会議室。久方 相馬(nCL2000004)は妖事件について説明していた。
「まとめるとだな……サッカーの試合中に突如として現われた古妖によって地元のサッカーチームがやられてしまった。このままではサッカー場が使えなくなってしまうどころか、選手やファンたちにも悲しみの連鎖が広がってしまう。今こそ、俺たちが戦う時だ!」
古妖を追い払う方法はただ一つ。
彼らの仕掛けるハチャメチャなエクストリーム覚者サッカーに勝利することだ。
ルールはなんでもありの全力勝負。とにかくサッカーボールが相手のゴールにシュートインすればいいという超エキサイティングなバトルドームである。
「イレブンなのにナインしかいない? そんなことはどうでもいい、重要なことじゃない! 敵を蹴散らし、サッカー場を取り戻すんだ!」
「くらえっ、十年の歳月をかけて開発した最強の技――NANOHANAシュート!」
黄色いユニフォーム姿のサッカー選手がスタイリッシュなフォームからサッカーシュートを放った。
なんかの光がボールを包み、すごい回転をかけてゴールへ迫る。
対して……!
「片腹痛いわ! 死ねえええ!」
お腹からビームライフルがはえた妖怪(古妖)が極太ビームを発射。
選手を地面の芝もろとも吹き飛ばし、そのままビームの先端になんでかくっついたボールでゴールへ直進。
「うおー! そう何度も抜かれてたまるかー!」
力強くジャンプするゴールキーパー。
が、ゴールネットもろとも吹っ飛んでいった。
「ぐあああああああああああああ!」
「森ジャキぃぃいいいいいいいい!」
●
「ということがあったんだ」
所変わってファイヴ会議室。久方 相馬(nCL2000004)は妖事件について説明していた。
「まとめるとだな……サッカーの試合中に突如として現われた古妖によって地元のサッカーチームがやられてしまった。このままではサッカー場が使えなくなってしまうどころか、選手やファンたちにも悲しみの連鎖が広がってしまう。今こそ、俺たちが戦う時だ!」
古妖を追い払う方法はただ一つ。
彼らの仕掛けるハチャメチャなエクストリーム覚者サッカーに勝利することだ。
ルールはなんでもありの全力勝負。とにかくサッカーボールが相手のゴールにシュートインすればいいという超エキサイティングなバトルドームである。
「イレブンなのにナインしかいない? そんなことはどうでもいい、重要なことじゃない! 敵を蹴散らし、サッカー場を取り戻すんだ!」

■シナリオ詳細
■成功条件
1.エクストリームサッカーに勝利する
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
勝負に勝つと古妖たちは消えてしまいます。なんかはじけて消えます。
ちなみに古妖にはサッカー以外の攻撃を無力化するという謎のスキルがあるので、サッカーから離れすぎる攻撃(ただ殴る。サッカーだと言い張って普通にスキル攻撃で殺すなど)をすると無力化されてしまいます。
ですが相手も相手でお腹からビーム撃ったり両手が鎌になってたり羽はえて飛んだりするので、結構なんでもアリだと思います。
自分が納得できるくらいのサッカー感があれば相手をグーで殴っても大丈夫そうです。この試合レッドカードとかないんで。
なお、サッカー勝負に負けると逆にこっちが爆発して命数ドン減りします。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
7日
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
9/9
9/9
公開日
2016年08月24日
2016年08月24日
■メイン参加者 9人■

●サッカーが世界を支配するような世界観
「「ぐああああああ!」」
サッカーコートでおこる謎の連続爆発をうけ、吹き飛んでごろごろ転がるサッカー選手たち。
服はぼろぼろで焼け焦げてるのにお肌はなんでかつるつるという特撮みてーな不思議な怪我をおった彼らは、うつ伏せに倒れたまま呻いた。
「だめだ……このままじゃ、サッカーが悪しき妖怪に支配されてしまう……。けれど、諦めるしか、ないのか……」
「いや、諦めるには早いぜ!」
高らかに鳴るホイッスル。
『ファイブレッド』成瀬 翔(CL2000063)がサッカーユニフォームを身に纏い、ボール片手に現われた。
「サッカーで悪さされちゃあ、黙ってらんねーぜ。目には目を、サッカーにはサッカーをだ!」
「あなたたちは……!?」
コートに現われる九人の影。
その一つ一つが露わになる。
ダメージ加工のショートパンツに肌直ユニフォームという『燃焼系ギャル』国生 かりん(CL2001391)。
「サッカーかー、嫌いじゃ無いし、ルールは一応知ってるよ」
「えっ」
『中学生』菊坂 結鹿(CL2000432)が二度見した。全裸が服着て歩いてるような人がなにを、みたいな目だった。
「ナニその子供らしからぬ目。これでもJKだっつーの。でもほら、アタシらワンタッチで人の手ねじ切っちゃうじゃん。こういうときでもないとさ」
「ほー。あたしは実際やるの初めてやわ」
ぐいぐいストレッチする『緋焔姫』焔陰 凛(CL2000119)。
「ま、腹からビーム打つ連中相手やし、細かいことはなんとでもなるやろ」
「んー……それなら、サッカーやったことなくても大丈夫そー」
後ろで謎のメモをちらちら見る『彼誰行灯』麻弓 紡(CL2000623)。
『月下の黒』黒桐 夕樹(CL2000163)がユニフォームを今から着込んだ。
「翔に誘われてみたけど……やっぱり普通のサッカーじゃないんだね」
そんなサッカーあんま知らないなっていう彼らの一方で、やる気満々な人たちもいた。
「ペナルティエリア外からのシュートは、絶対止めて見せます!」
明らかにSGGKを意識したポーズで構える納屋 タヱ子(CL2000019)。心なしか等身も高くなった気がしなくも無い。
「勝った者が強いんデス!」
同じくドイツの若き皇帝を意識しすぎて画風が変わった『『恋路の守護者』』リーネ・ブルツェンスカ(CL2000862)もいた。
すごい余談だけど公開時点のリーネさんのステシ画像が水着姿なので加熱しすぎたサポーターみたくなっている。折角だから今はその姿で想像する遊びをお勧めしたい。画風変わっちゃってるけど。
とまあそんな面々を後ろから眺め、『異世界からの轟雷』天城 聖(CL2001170)はこきこきと首をならした。
「まさか古妖がサッカーとはね。世界は広いよ……じゃ、キックオフよろしくー」
審判(もうわかんねぇな状態)に聖が手を振ると、慌てたように合図のホイッスルが鳴り響いた。
●サッカーと名が付けば大体なんでもやれちゃう世界観
古銭を親指ではじく凛。
落ちて回転するコインが自分たち側を表をさした瞬間、戦いは始まった。
「ソッコーや、リーネ!」
「ヘイ!」
大胆にパスされたボールを一度胸で受けると、リーネは早速攻撃に移った。
「ケケーッ! (サッカー的な意味で)八つ裂きにしてやるぜ!」
両手がカマになった妖怪が飛びかかってくる。
が、リーネは抜群のバランス感覚で相手を回避。次々に放たれるカマイタチも見切ってボールを跳ね上げた。
「なんというバランス感覚。そして動体視力!」
「目が離せないぜ!」
ちゃっかり観客席にうつった元選手たちが身を乗り出す。
が、古妖たちとて伊達に冒頭で爆発なんか起こしちゃいない。
「貴様がたとえ11人抜きできたとしても……20人は抜けまい! 分身!」
忍者装束の妖怪が急に分身を開始。リーネをぐるりと取り囲む。
「コレハ……」
「ククク、どこへ蹴っても無駄だ! 貴様は完全に包囲されて――」
「凛、パス!」
リーネはあろうことか頭上にボールを放った。
風のような走りで跳躍し、ボールを受ける凛。
「馬鹿な! 先程の関西女はずっと後ろにいたはず!」
「なんて速さだ!」
「目が離せないぜ!」
しちゃっと着地する凛。ボールはあろうことか刀の先にちょっぴり刺さっていた。
「何ッ!? カタナドリブルだと!?」
ガードに乗り出す忍者たちを次々に蹴り飛ばしながら突き進む凛。
「このまま行かせて貰うで! 焔陰式タイガーショット!」
「甘いわ!」
ディフェンダーが地面を叩くや否や、コートの地面から無数の大砲が出現。凛めがけて大量のボールが発射された。
「なんやて!? ぐああっ!?」
凛はなんかよくわかんない爆発に巻き込まれて吹き飛んだ。
「リーンッ! 仇はとりマスヨ!」
ボールを拾ったリーネはゴールめがけて意識を集中。
「この技は納屋さんに五回中五回止められた必殺の技!」
「えっ」
目を曇らせるタヱ子。
「ファイヤーショット!」
「ファイヤーショットって言っちゃった!」
なんか知らないけど炎を纏って放たれたボールは、しかし……。
「滅びよ!」
ゴールを掴んで薙ぎ払うというちょっと意味分かんない反撃によって粉砕した。具体的にはボールが粉砕した。
「アアッ!」
巻き起こった風圧でリーネが吹き飛ばされ、地面をバウンドする。
「焔陰さん! リーネさん!」
「フォワードの二人がやられた。来るよ」
身構える聖。
相手の古妖は背中からジェット噴射しながらボールを足に挟んで突っ込んでくる。
翔がぎりりと歯ぎしりした。
「強行突破のつもりだ!」
「打ち落とすだけだよ」
聖と翔が同時に雷獣を発射。
ほとばしる雷が古妖とそのパス先へと降りかかる。
「「何だと!? ぐあああああああ!」」
謎の爆発をおこして墜落する古妖。
それによってうっかり上がったボールを見て、翔と古妖は同時に叫んだ。
「紡!」
「文鳥マン!」
同時に目を光らせる紡と文鳥マン。
鳥人間の文鳥マンは腕を翼に変えて飛び立つと、ボールをかぎ爪の足でキャッチ。
その直後、紡の空中スライディングという名のフライングキックが炸裂。
文鳥マンからボールを奪い、素早く夕樹の方へと蹴り出した。
「頼んだよー」
「任せて」
夕樹はボールを受けると前進。
正面からは両腕をマシンガンにした古妖が襲いかかってきた。
「くらえ! マシンガン殺法!」
もう突っ込みどころしかない技を繰り出してくる古妖だが、夕樹は全くぶれること無く相手を銃弾ごと撥ね飛ばした。
「何!? 俺様のマシンガン殺法がさらなる気迫で撥ね飛ばされただと!?」
「ヘイ、パス!」
横を飛行しながら合図を出してくる聖。夕樹は頷いてパスを出すと、聖は地面についてドリブルを開始した。
「ケロケロォ!」
そこへカエルのような舌が伸びた。ボールを粘着してかっさらっていく妖怪。
「いいぞ、こっちにパスだ!」
古妖の叫びに応じてパスを飛ばすカエル古妖。
が、そこに居たのは夕樹だった。
「残念だったね。声マネだよ。ほらっ」
夕樹は上向きにパス。
それを紡が空中でキャッチし、前へ出る聖へと更にパスを回した。
「いっくよー」
聖は強烈なキックを繰り出した。
胸で受けようとした古妖を撥ね飛ばすほどのボールだ。
「あれはっ」
このままだと出番が無いことに気づいたタヱ子が元選手たちを押しのけて身を乗り出した。
「空圧弾を周囲に展開することでボールを凶弾へと変えているのですね! 名付けるならエアブリットシュート!」
「小癪なァ!」
全身ステンレスで出来たステンレス古妖がボールを腹で受け止める。
多少べっこんとはいったがそれまでだ。
「私のエアブリットシュートを止めるなんて……」
「すっごく硬い、よね……」
ごくりと息を呑む聖や紡たち。
次の瞬間、ステンレス古妖は両腕を開き、中から大量のペンギンの幻影をボールと共に発射した。なんでペンギンかは誰も知らないし知りたくない。
「死ねえええええええ!」
「うわっ!?」
直撃をさける聖たち。
が、そこで待ち構えていたのが結鹿であった。
「ここは通しませんっ!」
両腕をじっと広げて構えると、ボールをお腹で受け止めた。
「ククク、この全身フッ素加工のステンレス魔神様ですら容易には避けられないペンギンショットを貴様が……何!?」
ボールの回転がとまる。結鹿はコートを2メートルくらい押し込まれたが、なんとか両足で踏ん張った。
「あれはっ!」
出番を求める元選手たちに軽く足払いをかけてから身を乗り出すタヱ子。
「菊坂さんの持つ防御スキルを結集してボールの勢いを殺しているんですね!」
「やあっ!」
結鹿は自らになんか、こう、ガードの堅そうな、女子力? みたいなものを纏わせてボールを強烈に跳ね返した。
「ぐあああああああばかなあああああああ!」
反撃を食らって転倒するステンレス古妖。
落ちたボールを拾って走り出そうとするカエル古妖だが……。
「くらえっ」
「ケロォ!?」
かりん渾身のドロップキックで思い切りコート外へ吹っ飛んでいった。
ボールをキャッチするかりん。
「タマとるのってなんか気持ちイイよね。いや変な意味じゃ無くて……」
じりじりと囲もうとする忍者の分身古妖たち。
「おっと、なんならホントにタマとって人生オフサイドにしてやろうか!」
かりんは足をガッとふりあげると、炎を纏ってボールを蹴り出した。
炎に覆われたボールは複数に分裂。
忍者古妖たちはその全てに飛びかかった。
「たとえ分裂しようとも全て止めてしまえばこちらの――あづあああああああ!?」
炎に包まれて転げ回る忍者古妖。
本物のボールは紡がしっかりと空中で受け止めていたのだ。
「あれはっ!」
SGGKキャラで売ろうと思ってたらボール全然来なくて出番の消失を悟ったタヱ子が、同じく出番を求める元選手たちをシールドブーメラン反射連続ヒット(キャプテンつながり)で次々はじき飛ばしながら身を乗り出した。
「大胆な火焔連弾キックで無数のダミーボールを作るとみせかけつつ、本物のボールは手元に残して上空の紡さんにパスをするという知恵と力と技を兼ね備えた技!」
「目が離せねえぜ……!」
「よっしゃ、反撃や!
鼻からめっちゃ血ぃ出てたけどそれをぬぐって復活する凛。同じくリーネ。
「キーパー以外総攻撃や!」
「えっ」
目を曇らせるタヱ子。
紡は夕樹と翔にそれぞれ目配せした。
頷き会う三人。
「何をしようと無駄だ!」
ジェット古妖が空中の紡へ襲いかかる。
が、その寸前に守護使役たちが彼の顔へと群がった。
ここしかねえとばかりに身を乗り出すタヱ子。
「あれはっ、基本戦闘行為はできないというルールを逆手にとって通常の戦闘ではできないどころかスルーされがちなアテンドによる目くらましを相手選手の妨害に使ったんですね!」
「目が離せねえぜ!」
「(守護使役との)連携プレーは(覚醒)サッカーの常識だよねー」
「それに、隙だらけだ」
夕樹が会場の芝をこう……なんていうの? ぶわーって、ぶわーってさせてジェット古妖や周囲の古妖たちを拘束し始めた。更に胡桃みたいなもんを投げて次々に炸裂。そうこうしている間にボールは翔へとパスされていた。
ドリブルでどんどん上げていく翔。妨害にかかる選手をテレキネシスで反らしてから、翔はボールに空圧を込めて蹴り出した。
「何度も空中でとられてたま――ぐあああああああ!」
止めにかかった文鳥マンが空圧にやられて墜落。
そのボールを夕樹がキッチリとキャッチ。上空高くへと蹴り飛ばした。
上空で構えていたのは他ならぬ紡である。
紡はメモをちらっと見て。
「茹で上がれ王……け……うん」
ぐしゃっとメモを握りつぶす。
「えいっ」
紡の空圧ショットが炸裂。
古妖ディフェンダーの間をすり抜け、キーパーへと向かう。
「させん! サッカービーム!」
お腹から放ったビームと紡のエアブリットシュートが空中でぶつかり合う。
元選手を押さえつけて身を乗り出すタヱ子。
「力が拮抗しているんです! さらなる攻撃がないと、こちらに跳ね返されてしまいます! あっできれば一回、一回跳ね返して頂いても……!」
「追撃ならまかしとき!」
凛が刀を握って飛び出した。
ボールを空中で複数分割。
「一つでもボールが入ればええんやろ!」
「そうはさせるか!」
古妖たちが群がってくる。
が、そんな彼らの前に飛び出すかりん。
「国生かりん17歳、デス!」
生足強調ポーズをとった途端なんか知らんけど爆発が起きた。
一斉に身を乗り出す古妖チームと観客。
そうしている間に必殺シュートの準備は整っていた。
結鹿、リーネ、聖の三人が分割されたのになんでか球状を保ってるボールをキャッチ。
「行きます!」
結鹿はポーズをとった。
なんか知らないけど会場が霧に包まれ、なんか知らないけど巨大な氷塊がこうドーンって出てきて、最後には結鹿の蹴ったボールが無数の氷塊を纏ってすっ飛んでいった。
「アイスコフィン!」
「このくらい止めてみせ――ぎゃあああああああ!」
ジェット古妖をぶち抜いていく氷のボール。
他の古妖もぶち抜いてがんがん進んでいくかと思いきや。
「ぬるいわ!」
ステンレス古妖がボールを無理矢理キャッチ。
そこへ更に、聖が周囲の古妖を次々にバウンドするようにボールを蹴りまくった。
「ぐあー!?」
取り囲もうとして逆に吹き飛ばされる忍者古妖。
すると最後に飛んできたボールをジャストな位置に据え、聖はカミソリみたいな破壊力をもったキックを繰り出した。
「狙うはひとつ、いっけーい!」
大気を切断しながら飛んだボールがステンレス古妖の腹をぶち抜いて突き進む。
それをなんとか止めにかかるビーム古妖。
しかし紡のシュートによってエネルギーをめっちゃ使った古妖の体力は限界だ。
リーネがここぞとばかりに身構える。
「こんな時の切り札デスネ! 納屋さんは固さを磨いてGKとしての力を! 麻弓さんは空中サッカーという新しいプレイを学びマシタ! 凛さんは依頼でスタミナをやしない必殺シュートに磨きをかけマシタ! 皆の為ニモ、この勝利は渡せマセン!」
あえてそのまま書いたのには理由があるよ。
さておき。
「(オーバーヘッドか)」
「(オーバーヘッドくるぞ)」
「(あの格好でオーバーヘッドか)」
ざわつく観客に、リーネはもじもじと服の裾をつまんだ。
「あ、ソノ、オーバーヘッドは無シデ、ソノ……えいっ!」
炎を纏った足によるシュート。
強烈な熱をもったボールはキーパーのビーム古妖のお腹ビームを粉砕し、まるごとゴールへと叩き込んだ。
「馬鹿な、サッカーに勝つために生み出されたこの俺たちがあああああ馬鹿なあああああああ!」
なんか悪の魔王みたいなこといいながらゴールネットを突き破って飛んでいくキーパー。
古妖たちはクッ殺せみたいなことを言って次々に膝を突いた。
そう、勝利のホイッスルの、吹き時である!
●あんまりサッカーが楽しいからって悪のボスが改心して踊り出す世界観
勝利したファイヴイレヴン(色々ややっこしいチーム名)は勝利の喜びを分かち合ってお水かけあったりはしゃいだりユニフォーム売ったりしていた。
元選手たちはそんな姿に感動し、ビールかけあったりはしゃいだりユニフォームに七十万の値をつけたりしていた。
喜びに沸く会場で、誰かが言った。
「次は、ちゃんとサッカーしようぜ!」
「……応!」
交わされる握手に、歓声が巻き起こる。
サッカーの世界は、救われたのだ。
「「ぐああああああ!」」
サッカーコートでおこる謎の連続爆発をうけ、吹き飛んでごろごろ転がるサッカー選手たち。
服はぼろぼろで焼け焦げてるのにお肌はなんでかつるつるという特撮みてーな不思議な怪我をおった彼らは、うつ伏せに倒れたまま呻いた。
「だめだ……このままじゃ、サッカーが悪しき妖怪に支配されてしまう……。けれど、諦めるしか、ないのか……」
「いや、諦めるには早いぜ!」
高らかに鳴るホイッスル。
『ファイブレッド』成瀬 翔(CL2000063)がサッカーユニフォームを身に纏い、ボール片手に現われた。
「サッカーで悪さされちゃあ、黙ってらんねーぜ。目には目を、サッカーにはサッカーをだ!」
「あなたたちは……!?」
コートに現われる九人の影。
その一つ一つが露わになる。
ダメージ加工のショートパンツに肌直ユニフォームという『燃焼系ギャル』国生 かりん(CL2001391)。
「サッカーかー、嫌いじゃ無いし、ルールは一応知ってるよ」
「えっ」
『中学生』菊坂 結鹿(CL2000432)が二度見した。全裸が服着て歩いてるような人がなにを、みたいな目だった。
「ナニその子供らしからぬ目。これでもJKだっつーの。でもほら、アタシらワンタッチで人の手ねじ切っちゃうじゃん。こういうときでもないとさ」
「ほー。あたしは実際やるの初めてやわ」
ぐいぐいストレッチする『緋焔姫』焔陰 凛(CL2000119)。
「ま、腹からビーム打つ連中相手やし、細かいことはなんとでもなるやろ」
「んー……それなら、サッカーやったことなくても大丈夫そー」
後ろで謎のメモをちらちら見る『彼誰行灯』麻弓 紡(CL2000623)。
『月下の黒』黒桐 夕樹(CL2000163)がユニフォームを今から着込んだ。
「翔に誘われてみたけど……やっぱり普通のサッカーじゃないんだね」
そんなサッカーあんま知らないなっていう彼らの一方で、やる気満々な人たちもいた。
「ペナルティエリア外からのシュートは、絶対止めて見せます!」
明らかにSGGKを意識したポーズで構える納屋 タヱ子(CL2000019)。心なしか等身も高くなった気がしなくも無い。
「勝った者が強いんデス!」
同じくドイツの若き皇帝を意識しすぎて画風が変わった『『恋路の守護者』』リーネ・ブルツェンスカ(CL2000862)もいた。
すごい余談だけど公開時点のリーネさんのステシ画像が水着姿なので加熱しすぎたサポーターみたくなっている。折角だから今はその姿で想像する遊びをお勧めしたい。画風変わっちゃってるけど。
とまあそんな面々を後ろから眺め、『異世界からの轟雷』天城 聖(CL2001170)はこきこきと首をならした。
「まさか古妖がサッカーとはね。世界は広いよ……じゃ、キックオフよろしくー」
審判(もうわかんねぇな状態)に聖が手を振ると、慌てたように合図のホイッスルが鳴り響いた。
●サッカーと名が付けば大体なんでもやれちゃう世界観
古銭を親指ではじく凛。
落ちて回転するコインが自分たち側を表をさした瞬間、戦いは始まった。
「ソッコーや、リーネ!」
「ヘイ!」
大胆にパスされたボールを一度胸で受けると、リーネは早速攻撃に移った。
「ケケーッ! (サッカー的な意味で)八つ裂きにしてやるぜ!」
両手がカマになった妖怪が飛びかかってくる。
が、リーネは抜群のバランス感覚で相手を回避。次々に放たれるカマイタチも見切ってボールを跳ね上げた。
「なんというバランス感覚。そして動体視力!」
「目が離せないぜ!」
ちゃっかり観客席にうつった元選手たちが身を乗り出す。
が、古妖たちとて伊達に冒頭で爆発なんか起こしちゃいない。
「貴様がたとえ11人抜きできたとしても……20人は抜けまい! 分身!」
忍者装束の妖怪が急に分身を開始。リーネをぐるりと取り囲む。
「コレハ……」
「ククク、どこへ蹴っても無駄だ! 貴様は完全に包囲されて――」
「凛、パス!」
リーネはあろうことか頭上にボールを放った。
風のような走りで跳躍し、ボールを受ける凛。
「馬鹿な! 先程の関西女はずっと後ろにいたはず!」
「なんて速さだ!」
「目が離せないぜ!」
しちゃっと着地する凛。ボールはあろうことか刀の先にちょっぴり刺さっていた。
「何ッ!? カタナドリブルだと!?」
ガードに乗り出す忍者たちを次々に蹴り飛ばしながら突き進む凛。
「このまま行かせて貰うで! 焔陰式タイガーショット!」
「甘いわ!」
ディフェンダーが地面を叩くや否や、コートの地面から無数の大砲が出現。凛めがけて大量のボールが発射された。
「なんやて!? ぐああっ!?」
凛はなんかよくわかんない爆発に巻き込まれて吹き飛んだ。
「リーンッ! 仇はとりマスヨ!」
ボールを拾ったリーネはゴールめがけて意識を集中。
「この技は納屋さんに五回中五回止められた必殺の技!」
「えっ」
目を曇らせるタヱ子。
「ファイヤーショット!」
「ファイヤーショットって言っちゃった!」
なんか知らないけど炎を纏って放たれたボールは、しかし……。
「滅びよ!」
ゴールを掴んで薙ぎ払うというちょっと意味分かんない反撃によって粉砕した。具体的にはボールが粉砕した。
「アアッ!」
巻き起こった風圧でリーネが吹き飛ばされ、地面をバウンドする。
「焔陰さん! リーネさん!」
「フォワードの二人がやられた。来るよ」
身構える聖。
相手の古妖は背中からジェット噴射しながらボールを足に挟んで突っ込んでくる。
翔がぎりりと歯ぎしりした。
「強行突破のつもりだ!」
「打ち落とすだけだよ」
聖と翔が同時に雷獣を発射。
ほとばしる雷が古妖とそのパス先へと降りかかる。
「「何だと!? ぐあああああああ!」」
謎の爆発をおこして墜落する古妖。
それによってうっかり上がったボールを見て、翔と古妖は同時に叫んだ。
「紡!」
「文鳥マン!」
同時に目を光らせる紡と文鳥マン。
鳥人間の文鳥マンは腕を翼に変えて飛び立つと、ボールをかぎ爪の足でキャッチ。
その直後、紡の空中スライディングという名のフライングキックが炸裂。
文鳥マンからボールを奪い、素早く夕樹の方へと蹴り出した。
「頼んだよー」
「任せて」
夕樹はボールを受けると前進。
正面からは両腕をマシンガンにした古妖が襲いかかってきた。
「くらえ! マシンガン殺法!」
もう突っ込みどころしかない技を繰り出してくる古妖だが、夕樹は全くぶれること無く相手を銃弾ごと撥ね飛ばした。
「何!? 俺様のマシンガン殺法がさらなる気迫で撥ね飛ばされただと!?」
「ヘイ、パス!」
横を飛行しながら合図を出してくる聖。夕樹は頷いてパスを出すと、聖は地面についてドリブルを開始した。
「ケロケロォ!」
そこへカエルのような舌が伸びた。ボールを粘着してかっさらっていく妖怪。
「いいぞ、こっちにパスだ!」
古妖の叫びに応じてパスを飛ばすカエル古妖。
が、そこに居たのは夕樹だった。
「残念だったね。声マネだよ。ほらっ」
夕樹は上向きにパス。
それを紡が空中でキャッチし、前へ出る聖へと更にパスを回した。
「いっくよー」
聖は強烈なキックを繰り出した。
胸で受けようとした古妖を撥ね飛ばすほどのボールだ。
「あれはっ」
このままだと出番が無いことに気づいたタヱ子が元選手たちを押しのけて身を乗り出した。
「空圧弾を周囲に展開することでボールを凶弾へと変えているのですね! 名付けるならエアブリットシュート!」
「小癪なァ!」
全身ステンレスで出来たステンレス古妖がボールを腹で受け止める。
多少べっこんとはいったがそれまでだ。
「私のエアブリットシュートを止めるなんて……」
「すっごく硬い、よね……」
ごくりと息を呑む聖や紡たち。
次の瞬間、ステンレス古妖は両腕を開き、中から大量のペンギンの幻影をボールと共に発射した。なんでペンギンかは誰も知らないし知りたくない。
「死ねえええええええ!」
「うわっ!?」
直撃をさける聖たち。
が、そこで待ち構えていたのが結鹿であった。
「ここは通しませんっ!」
両腕をじっと広げて構えると、ボールをお腹で受け止めた。
「ククク、この全身フッ素加工のステンレス魔神様ですら容易には避けられないペンギンショットを貴様が……何!?」
ボールの回転がとまる。結鹿はコートを2メートルくらい押し込まれたが、なんとか両足で踏ん張った。
「あれはっ!」
出番を求める元選手たちに軽く足払いをかけてから身を乗り出すタヱ子。
「菊坂さんの持つ防御スキルを結集してボールの勢いを殺しているんですね!」
「やあっ!」
結鹿は自らになんか、こう、ガードの堅そうな、女子力? みたいなものを纏わせてボールを強烈に跳ね返した。
「ぐあああああああばかなあああああああ!」
反撃を食らって転倒するステンレス古妖。
落ちたボールを拾って走り出そうとするカエル古妖だが……。
「くらえっ」
「ケロォ!?」
かりん渾身のドロップキックで思い切りコート外へ吹っ飛んでいった。
ボールをキャッチするかりん。
「タマとるのってなんか気持ちイイよね。いや変な意味じゃ無くて……」
じりじりと囲もうとする忍者の分身古妖たち。
「おっと、なんならホントにタマとって人生オフサイドにしてやろうか!」
かりんは足をガッとふりあげると、炎を纏ってボールを蹴り出した。
炎に覆われたボールは複数に分裂。
忍者古妖たちはその全てに飛びかかった。
「たとえ分裂しようとも全て止めてしまえばこちらの――あづあああああああ!?」
炎に包まれて転げ回る忍者古妖。
本物のボールは紡がしっかりと空中で受け止めていたのだ。
「あれはっ!」
SGGKキャラで売ろうと思ってたらボール全然来なくて出番の消失を悟ったタヱ子が、同じく出番を求める元選手たちをシールドブーメラン反射連続ヒット(キャプテンつながり)で次々はじき飛ばしながら身を乗り出した。
「大胆な火焔連弾キックで無数のダミーボールを作るとみせかけつつ、本物のボールは手元に残して上空の紡さんにパスをするという知恵と力と技を兼ね備えた技!」
「目が離せねえぜ……!」
「よっしゃ、反撃や!
鼻からめっちゃ血ぃ出てたけどそれをぬぐって復活する凛。同じくリーネ。
「キーパー以外総攻撃や!」
「えっ」
目を曇らせるタヱ子。
紡は夕樹と翔にそれぞれ目配せした。
頷き会う三人。
「何をしようと無駄だ!」
ジェット古妖が空中の紡へ襲いかかる。
が、その寸前に守護使役たちが彼の顔へと群がった。
ここしかねえとばかりに身を乗り出すタヱ子。
「あれはっ、基本戦闘行為はできないというルールを逆手にとって通常の戦闘ではできないどころかスルーされがちなアテンドによる目くらましを相手選手の妨害に使ったんですね!」
「目が離せねえぜ!」
「(守護使役との)連携プレーは(覚醒)サッカーの常識だよねー」
「それに、隙だらけだ」
夕樹が会場の芝をこう……なんていうの? ぶわーって、ぶわーってさせてジェット古妖や周囲の古妖たちを拘束し始めた。更に胡桃みたいなもんを投げて次々に炸裂。そうこうしている間にボールは翔へとパスされていた。
ドリブルでどんどん上げていく翔。妨害にかかる選手をテレキネシスで反らしてから、翔はボールに空圧を込めて蹴り出した。
「何度も空中でとられてたま――ぐあああああああ!」
止めにかかった文鳥マンが空圧にやられて墜落。
そのボールを夕樹がキッチリとキャッチ。上空高くへと蹴り飛ばした。
上空で構えていたのは他ならぬ紡である。
紡はメモをちらっと見て。
「茹で上がれ王……け……うん」
ぐしゃっとメモを握りつぶす。
「えいっ」
紡の空圧ショットが炸裂。
古妖ディフェンダーの間をすり抜け、キーパーへと向かう。
「させん! サッカービーム!」
お腹から放ったビームと紡のエアブリットシュートが空中でぶつかり合う。
元選手を押さえつけて身を乗り出すタヱ子。
「力が拮抗しているんです! さらなる攻撃がないと、こちらに跳ね返されてしまいます! あっできれば一回、一回跳ね返して頂いても……!」
「追撃ならまかしとき!」
凛が刀を握って飛び出した。
ボールを空中で複数分割。
「一つでもボールが入ればええんやろ!」
「そうはさせるか!」
古妖たちが群がってくる。
が、そんな彼らの前に飛び出すかりん。
「国生かりん17歳、デス!」
生足強調ポーズをとった途端なんか知らんけど爆発が起きた。
一斉に身を乗り出す古妖チームと観客。
そうしている間に必殺シュートの準備は整っていた。
結鹿、リーネ、聖の三人が分割されたのになんでか球状を保ってるボールをキャッチ。
「行きます!」
結鹿はポーズをとった。
なんか知らないけど会場が霧に包まれ、なんか知らないけど巨大な氷塊がこうドーンって出てきて、最後には結鹿の蹴ったボールが無数の氷塊を纏ってすっ飛んでいった。
「アイスコフィン!」
「このくらい止めてみせ――ぎゃあああああああ!」
ジェット古妖をぶち抜いていく氷のボール。
他の古妖もぶち抜いてがんがん進んでいくかと思いきや。
「ぬるいわ!」
ステンレス古妖がボールを無理矢理キャッチ。
そこへ更に、聖が周囲の古妖を次々にバウンドするようにボールを蹴りまくった。
「ぐあー!?」
取り囲もうとして逆に吹き飛ばされる忍者古妖。
すると最後に飛んできたボールをジャストな位置に据え、聖はカミソリみたいな破壊力をもったキックを繰り出した。
「狙うはひとつ、いっけーい!」
大気を切断しながら飛んだボールがステンレス古妖の腹をぶち抜いて突き進む。
それをなんとか止めにかかるビーム古妖。
しかし紡のシュートによってエネルギーをめっちゃ使った古妖の体力は限界だ。
リーネがここぞとばかりに身構える。
「こんな時の切り札デスネ! 納屋さんは固さを磨いてGKとしての力を! 麻弓さんは空中サッカーという新しいプレイを学びマシタ! 凛さんは依頼でスタミナをやしない必殺シュートに磨きをかけマシタ! 皆の為ニモ、この勝利は渡せマセン!」
あえてそのまま書いたのには理由があるよ。
さておき。
「(オーバーヘッドか)」
「(オーバーヘッドくるぞ)」
「(あの格好でオーバーヘッドか)」
ざわつく観客に、リーネはもじもじと服の裾をつまんだ。
「あ、ソノ、オーバーヘッドは無シデ、ソノ……えいっ!」
炎を纏った足によるシュート。
強烈な熱をもったボールはキーパーのビーム古妖のお腹ビームを粉砕し、まるごとゴールへと叩き込んだ。
「馬鹿な、サッカーに勝つために生み出されたこの俺たちがあああああ馬鹿なあああああああ!」
なんか悪の魔王みたいなこといいながらゴールネットを突き破って飛んでいくキーパー。
古妖たちはクッ殺せみたいなことを言って次々に膝を突いた。
そう、勝利のホイッスルの、吹き時である!
●あんまりサッカーが楽しいからって悪のボスが改心して踊り出す世界観
勝利したファイヴイレヴン(色々ややっこしいチーム名)は勝利の喜びを分かち合ってお水かけあったりはしゃいだりユニフォーム売ったりしていた。
元選手たちはそんな姿に感動し、ビールかけあったりはしゃいだりユニフォームに七十万の値をつけたりしていた。
喜びに沸く会場で、誰かが言った。
「次は、ちゃんとサッカーしようぜ!」
「……応!」
交わされる握手に、歓声が巻き起こる。
サッカーの世界は、救われたのだ。
