カラフルな侵略者
●襲来の浜辺
今年の夏は特に暑い。 毎年の決まり文句ではあるが、とにかく今年の夏は暑い。
そして雨の降る日が少ないとなれば、海で涼み遊びたいと思う人が多くなるのも必然といえる。
例年通り夏の日差しに負けんばかりの賑わいをみせる浜辺。 その浜辺に、例年には来た事のない珍客が現れた。
カラフルでぬめりのあるボディに、丸太のような太い触手。
横に1本線を引いたような鋭い眼に、アヒル口のように突き出したゴキゲンなくちばし。
最高にイカしたフォルムのそいつは、アゲアゲのテンションで砂浜に上陸する。
そいつはまるで2足歩行でも…いや、10足歩行でもするかのように垂直に立ち、辺りをゆっくり見回している。
そう、そいつは…大きなイカの妖だったのだ!
●浜辺を塗りつくす!
「みんな、気分はイカがかな~? なんちゃって!」
依頼の説明があるからと覚者達を集めた久方 万里(ID:nCL2000005)が笑顔で挨拶をする。
その手には何故か駄菓子屋にでも売っていそうな酸イカの袋が摘まれている。
「今回はね、おっきいイカの妖退治の依頼だよ! なんか、浜辺に上陸してきて海水浴のお客さんを手当たり次第に攻撃しようとしてるみたい」
賑わう場所で、妖が人々を無差別に攻撃。 明るい様子で話されるも、これはかなり危険な状況なんじゃなイカ? と、覚者達は焦りを見せるも、万里は笑顔で言葉を続ける。
「イカは全部で4匹! 4杯っていう方がいイカな? 口…じゃなくて口ばしから墨…じゃなくてインクみたいな粘液を飛ばして攻撃してくるよ! 喰らっちゃうとネッバネバで身動きできなくなっちゃうかも」
どうやら妖は殺傷目的の攻撃をしてくる訳ではないようだ。 万里に焦りが感じられないのも、それが原因だろう。
しかし、だからと言ってほうっておいて良い訳が無い。 この時期に海水浴場が使えなくなってしまえば人死には出なくても困る人が沢山居るはずだ!
それに現在は殺傷が不得意だとしても、この好戦的っぷりである。
「このまま放置してもし妖のランクが上がったりしたらもっと大変だもん! 足が11本になっちゃったり…なんて訳にはイカないかもだけど、殺傷目的の攻撃とかを持たないうちに倒しちゃった方が良さそうだよね!」
相変わらずのイカジョークを繰り返す万里はドヤっと得意げに薄い胸を張る。
「吐き出す粘液は、地面にベトっと付いた後でも残っちゃうから。 早く倒さないとどんどん戦いにくくなっちゃうよ!」
相手は文字通り地盤を固めつつ攻めてくるらしい。 妖にしてはなかなか理に適った、スルメのように味のある戦い方にも思える。
「万里も海いきたかったな~。 イカれないのが残念だけど、みんなはしっかり頑張ってきてね!」
万里は酸イカの袋をバリっと空けながら、覚者達を送り出すのだった。
今年の夏は特に暑い。 毎年の決まり文句ではあるが、とにかく今年の夏は暑い。
そして雨の降る日が少ないとなれば、海で涼み遊びたいと思う人が多くなるのも必然といえる。
例年通り夏の日差しに負けんばかりの賑わいをみせる浜辺。 その浜辺に、例年には来た事のない珍客が現れた。
カラフルでぬめりのあるボディに、丸太のような太い触手。
横に1本線を引いたような鋭い眼に、アヒル口のように突き出したゴキゲンなくちばし。
最高にイカしたフォルムのそいつは、アゲアゲのテンションで砂浜に上陸する。
そいつはまるで2足歩行でも…いや、10足歩行でもするかのように垂直に立ち、辺りをゆっくり見回している。
そう、そいつは…大きなイカの妖だったのだ!
●浜辺を塗りつくす!
「みんな、気分はイカがかな~? なんちゃって!」
依頼の説明があるからと覚者達を集めた久方 万里(ID:nCL2000005)が笑顔で挨拶をする。
その手には何故か駄菓子屋にでも売っていそうな酸イカの袋が摘まれている。
「今回はね、おっきいイカの妖退治の依頼だよ! なんか、浜辺に上陸してきて海水浴のお客さんを手当たり次第に攻撃しようとしてるみたい」
賑わう場所で、妖が人々を無差別に攻撃。 明るい様子で話されるも、これはかなり危険な状況なんじゃなイカ? と、覚者達は焦りを見せるも、万里は笑顔で言葉を続ける。
「イカは全部で4匹! 4杯っていう方がいイカな? 口…じゃなくて口ばしから墨…じゃなくてインクみたいな粘液を飛ばして攻撃してくるよ! 喰らっちゃうとネッバネバで身動きできなくなっちゃうかも」
どうやら妖は殺傷目的の攻撃をしてくる訳ではないようだ。 万里に焦りが感じられないのも、それが原因だろう。
しかし、だからと言ってほうっておいて良い訳が無い。 この時期に海水浴場が使えなくなってしまえば人死には出なくても困る人が沢山居るはずだ!
それに現在は殺傷が不得意だとしても、この好戦的っぷりである。
「このまま放置してもし妖のランクが上がったりしたらもっと大変だもん! 足が11本になっちゃったり…なんて訳にはイカないかもだけど、殺傷目的の攻撃とかを持たないうちに倒しちゃった方が良さそうだよね!」
相変わらずのイカジョークを繰り返す万里はドヤっと得意げに薄い胸を張る。
「吐き出す粘液は、地面にベトっと付いた後でも残っちゃうから。 早く倒さないとどんどん戦いにくくなっちゃうよ!」
相手は文字通り地盤を固めつつ攻めてくるらしい。 妖にしてはなかなか理に適った、スルメのように味のある戦い方にも思える。
「万里も海いきたかったな~。 イカれないのが残念だけど、みんなはしっかり頑張ってきてね!」
万里は酸イカの袋をバリっと空けながら、覚者達を送り出すのだった。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.イカの妖(生物系、ランク1)×4匹の撃破
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
敵は厄介ではありますが攻撃力自体は非常に低いので負ける可能性は低いかもです。
場合によってはコメディより少しエッチぃ感じになるかも。
●敵情報
イカ型の妖4匹。 成人男性と同じ位の大きさで10本足で直立している。
前衛に3匹、後衛に1匹の構成で、やたらとゴキゲンな雰囲気。
*前衛
・連射イカ…遠距離一人に対して小さな粘液弾を連射してくる。 威力はさほど大きくないが命中率が高い。 。『鈍化』のバッドステータス付き。 粘液の色は青。
・破裂弾イカ…1ターン集中してから、次のターンに大きな粘液の塊を吐き出してくる。 一定距離進むか誰かに当たると破裂し、破裂付近にいた覚者にダメージ。『負荷』のバッドステータス付き。 粘液の色はピンク。
・触手イカ…近接一人に自身の触手を相手に巻き付けてから粘液を浴びせる。 命中率は低く射程も短いがダメージは大きい。 『負荷』のバッドステータス付き。粘液の色は白。
*後衛
・スナイパーイカ…遠距離から狙いすました粘液をお見舞いしてくるイカ。 命中率も威力もそこそこだが、後衛を狙う事が多い。 『鈍化』のバッドステータス付き。 粘液の色は黄色。
攻撃の対象になった覚者の居る地面はインクで覆われ、そこで戦う場合は回避率が-10されます。
敵は吐き出す粘液と同じ色をしている為、どの敵がどの攻撃をしてくるかは一目瞭然です。
妖は戦闘中にランクが上がるという事はありませんが、放置すれば後の脅威になってしまう可能性があるので捕獲などではなく必ず撃破をしてください。
●場所情報
そこそこ賑わっている砂浜で、イカ達は海を背にしてこちらを迎え撃とうとしています。
周りの人達は危険の無いよう一定距離を保った上で、観客のように戦いを眺めるスタンスのようです。
周囲の人が被害にあう事はないでしょう。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
7日
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2015年09月11日
2015年09月11日
■メイン参加者 8人■

●
空はどこまでも続くような澄み渡った水色で、遥か遠くに空の城でもありそうな立派な雲が浮かぶ。
打寄せる波は荒くも無く穏やかすぎもせず、周囲の人々の笑い声と共に陽気な波音を奏でている絶好の海日和。
そんな中、ひときわ目を引く存在が二つ。
一つは今しがた海から上陸してきたカラフルなイカの妖。
4匹揃ってリズムでも刻むかのように触手を動かす姿に、海水浴客も何事かと距離を置いて様子を見ている。
もう一つはそのイカ達に恐れる事無く歩を進めていく少女達。
美しい少女が8人。 これだけで世の男性は10人が10人振り返りそうなものだが、その娘達の向かう先が大きなイカの集団となれば、人々の興味は、なお大きい。
これが行楽で来て居るのだとしたら娘達ももう少し乗り気だったかもしれないが、あいにく彼女達は使命を帯びてこの海岸にやってきている。
「居ますね、ぞろぞろと」
『デウス・イン・マキナ』弓削 山吹(CL2001121)が対面するイカ達を見ながらぼそりと呟く。
赤地に金色の入った少し派手な水着にも負けないスタイルと綺麗なブロンド。
客達が、おおぉっ…と思わず低い歓声を上げてしまうのも無理は無いだろう。
「まぁ、すぐにあたしらでタコ殴りにしたるけどな!…イカをタコ殴り。ぷっ」
イカにも負けない程のご機嫌な様子でジョークを飛ばし、『緋焔姫』焔陰 凛(CL2000119)は吹き出し笑う。
「イカなのにタコ殴りとはこれイカに! なんつって!」
ケタケタと笑う可愛らしさを備えた凛のその前面には、笑いに合わせて立派なサイズの胸がたゆたゆと揺れて周囲の男を沸かせている。
そんな中に一人、水着ではなく忍び服で露出を抑えた十一 零(CL2000001)は、鯱型の浮き輪を小脇に抱えイカ達を見る。
海には少し異質なその恰好も、右も左も水着だらけのこの海では新鮮な良さがある。
タッチダウンを決めれば脳汁があふれんばかりの爽快感を得られそうなその浮き輪はイカにもイカが好みそうな物だったが、イカ達の興味を引く事は出来なかった。
そう、奴等は浜辺を塗り尽くす、ガチでは無い奴等だったのだ!
「観客よ!危ないから下がっておるのだぞ!」
「近づいたらダメだからね☆」
何事かとぞろぞろと集る海水浴客に、弓弦葉・操・一刀斎(CL2000261)と『裏切者』鳴神 零(CL2000669)が注意を呼びかける。
健全な可愛らしさと色っぽさを兼ね備えた褐色の肌の少女がこちらに声をかけてくれた。 それだけで集った男共は嬉しそうに鼻を伸ばす。
可愛らしい声での武士のような口調も男達の脳をくすぐる一つの要因だろう。
いつもは面で顔を隠していた鳴神も、素顔を晒せば操に勝るとも劣らないほどの美しさだ。
黒く長い髪は異国を思わせる操とはまた違った、和の雰囲気を持った美しさがある。
…もっとも、時折見せる他のメンバーの水着姿を舐めるように見る目線は大和撫子とは少し違うかもしれないが。
「皆さ~ん、これから美人覚者達VS触手なイカ妖のバトルが始まるわよー!」
Vストリングの危ない水着に身を包んだエルフィリア・ハイランド(CL2000613)が注意を受け一定の距離を保つ客を大いに煽る。
これだけ俗っぽく煽れば逆に、妙なパニックは起き難いといえるかもしれない。
これから始まるのは恐ろしい妖との戦闘ではなく、ショー。
そういった雰囲気に包まれる中、ビシリと鞭を鳴らすエルフィリア。
鞭とVストリング。 水着姿はどこか大人な雰囲気の、蝋燭が似合いそうな何かに見え、どんなショーになるのかは不安が残る。
「わわわ! あ、あんまり人を集めないで下さい……」
紺色の水着に身を包んだ金髪ハーフの少女『Mignon d’or』明石 ミュエル(CL2000172)が腕で胸を隠しながら客を盛り上げるエルフィリアをわたわた制止する。
立派なスタイルの仲間も多い中、控えめな自分の胸を気にしている様子の彼女だが、世には需要という物がある。
だからなんだと言う訳では無いが、需要があるのである!
「うぅぅ…。 やっぱり…水着で来たのは間違いだったかな……。 恥かしい……」
顔を真っ赤にしながらも、その場から逃げる事は無い彼女は覚者の鑑といえるかもしれない。
「ともあれ、楽しそうなところ申し訳ないですが平和な海水浴の為ご退場願いましょう」
赤髪をなびかせた『研究所職員』紅崎・誡女(CL2000750)はどこか浮き足立った雰囲気から地に足を付け、イカに目線を送る。
怜悧な表情を緋色のセパレート水着が引き立てる。 一見ミスマッチに見えるかもしれないが萌えの観点からいけば間違いなく引き立てている筈である!
「なに、水着の女性と最後に遊べるのですから本望でしょう」
誡女のその一言を機に、ゴキゲンで少し如何わしいバトルが幕を開けるのだった。
●
青いイカが酸っぱい物でも食べたかのように口をすぼめると、ドドドドっと速射砲の如く青い何かが発射される!
「のわぁっ!?」
初弾を愛刀で切り裂くも、続く攻撃がベチャベチャと凛の赤い水着を汚してゆく。
数撃てば当たるという言葉もあるがその攻撃は中々に正確で、拳大の青い絵の具のような物を撃ち付けられた凛はデロっとした液体にまみれ身じろぐ。
「な、なんやこれ! ギャラリーに子供もおるかもしれんのにいきなり!」
胸に、顔に、足に絡みつく青い粘液を剥がそうとするも、もがけばもがくほどに絡みつき、あちこちに糸を引かせる。
当然、客の視線はモゾモゾ粘液と戦う凛に集中し、辺りは静かな熱気に包まれる。
「うわぁ…喰らうとああなっちゃうんだ…」
「喰らった人は視線を独り占めね♪」
ミュエルが焦りと不安の目線を、エルフィリアがどこか羨ましそうな目線を凜に向ける。
奴等の攻撃を喰らう事、それ即ち身体だけではなく外聞的なダメージを負う事を意味するのかもしれない。
「これは中々…侮れませんね」
誡女がゆっくりと腕を振るうと、薄い霧がイカの視界を遮る。
あれを浴びせられる可能性は極力減らすに越した事はない。
朝靄に包まれたかのようなイカ達はそれでも陽気にリズムを刻み、そのうち一匹がブシュっという激しい水音を立てる!
霧の中から黄色い何かが一直線に放たれ、前衛達の隙間を抜けたかと思うと…。
「きゃっ!?」
後衛から小さな悲鳴が響く。
まさかと思い振り返ると、直撃を受け黄色い粘液を体に纏わり付かせた山吹の姿!
一撃のみの命中ながらその量はまるで大きなポリバケツでぶちまけられたかのように体中をネットリ塗らしている。
「くぅ……! このぉ…!」
山吹は粘液が膜のように糸を引く腕で水着の中から護符を取り出すとイカに向け光の球体を発射した!
凜を絡めとり調子をこいていた青いイカは、その光の直撃を受けて大きくのけぞる。
「も~……。 まったく……」
やられてもただでは起きない山吹がそういいつつ、自然に、実に自然にクイっとオシリに食い込んだ水着を直す。
攻撃からの流れるような動作……では有ったものの、粘液が絡んだ掌は水着に張り付き、それを振り払おうと手を振れど水着はくっつき離れない。
粘液が命中し視線が集って居た所、さらに後衛で後ろの客達に近い位置での大失態。
気づかれたか気づかれていないか。 それは解らないが、確認する為に後ろを振り向けば何かしら勘繰られるかもしれない。
山吹は砂でも払ったかのように手に張り付いていた水着を払い、事なきを得た(?)のであった。
「予想はしてたけど、大変な事になっちゃってるね」
「アタシへの攻撃はウェルカムなんだけど」
あちこちで被害が出る中、ピンクと白のイカの相手をしている鳴神とエルフィリア。
死角を取ろうとする動きを牽制し、絡み付こうとしてくる触手を鞭で払う!
そんな中ピンクのイカが、リズムを刻んでいた触手をピタリと止め、頬をパンパンに膨らませる!
あれは話に聞いていた前衛を巻き込む炸裂弾! 二人まとめて喰らえばたちまちそこから崩されてしまう!
とっさにそれに対処をする動きをしたのは鳴神だった!
的を散らす為、あえて背後を突こうとイカ達に突進!
「こっち!!こっちにかけて、欲しいな、なんて……うぶぅっ!」
挑発をしながら駆ける鳴神の胸元に粘液の塊が吐き出されたかと思うと、大きな泡がゴボリと弾ける様な音と共にとんでもない量のピンクの粘液を撒き散らす!
風呂釜をひっくり返してもこれほどの量には鳴らないだろうというようなとんでもない量の粘液の爆発を直撃で受け、艶やかな黒髪も白い肌も、全てをピンク色で多い尽くす。
腿も、腕も、胴体も余す所なく粘液に包まれた鳴神は、もはやモゾモゾもがく事しか出来ない。
「え、えっちぃのドンと来いと思ってたけど…やっぱり恥かしいよぉ!」
もがけどもがけど粘液に阻まれグチュグチュと音を立てる鳴神にフラッシュの嵐が降り注ぐ。
今年の夏は、特に暑い。 しかし、浜辺の熱気は留まる所を知らぬかのようにグングン上昇していくのだった。
「ちょっと、大丈夫?」
自らの為に囮となりヒドい目にあわされている仲間を助けようとエルフィリアが鳴神に近づこうとした瞬間、にゅるりとした感触が!
視線を落とせば、足首に白いイカの触手が1本絡みついている。
一瞬の油断! でもこの程度すぐに外せば何の問題も…!
すぐさま鞭を振るおうとするも、何せ相手は10本足!
触手の1本を腕に絡ませ吊るし上げると、もう1本の触手が脇の下に滑り込むように胴を巻き上げ、エルフィリアに向けゆっくり頬を膨らませると、ついに溜め込まれた白い粘液を少女に向けて解き放つ!
「「「うおぉぉぉぉぉ~~~~~!」」」
客の男共が歓喜の雄叫びを上げる!
ついにやった!
ある意味、方々の期待を一身に集めていた白イカが! ついにやらかしてしまった!
健康的な肌は、まるでトリモチでコーティングされたかのようにベットリと粘液に覆われる。
仲間の…美少女の姿に鳴神も心の中で特大のガッツポーズ!
胸の谷間、太股、あらゆる所に糸を引かせ、唯一動く足をバタつかせる。
エルフィリアを巻き取った触手はさらに力強く締め上げ、捕えた獲物を弱らせてゆく!
これはやばい! 色々やばい!
そんな気配を察したかのように、十一が砂を蹴り素早く白イカに駆け寄ると、飛び上がりつつそいつの額にビシっと護符を貼り付ける。
白イカがそれに気づき、張られた護符を剥がそうとするよりも早く、バチンという音と共に激しい雷撃が白イカを襲う!
正に今の世の忍。 華麗に空中で回転すると、イカの背後にベチャっと着地する。
そう、ベチャっと。
「あら、十一さん、いらっしゃい♪」
笑顔で迎える、ピンクの粘液に包まれた鳴神。
そう、運悪く着地した位置は、ピンクの炸裂弾の粘液溜まりだったのだ!
「しまっ……!?」
思った時には既に遅し。 どちらの足も粘液に埋もれ持ち上がらない!
もはや脱出よりも観戦を重視しているかのような鳴神とは違い、十一はまだ脱出を諦めておらず、必死に片足ずつ動かすが……。
そこに迫るのは今日のMVP、白イカだった!
左手(仮)には相変わらずエルフィリアを吊るしたまま、右手(仮)をニョロニョロと十一に近づける。
「よ…よせ、向こうの水着を襲った方が絵的に美味しい! 自分の存在意義を思い出せ!」
とっさに仲間に攻撃をそらそうとするも、イカは意に介さず小さな胴を触手でぐるぐると巻き取ってしまう。
「ピ、ピンナップも実装されたばかり……っぷぁ!」
謎の懇願もむなしく、粘液をブバっと頭から被せられ、哀れ、十一は黒い忍び服を白く染める羽目になる。
触手に捕えられた十一に、期待に答えてくれたと言わんばかりの鳴神の眼福モードの目線が向けられる。
水着の少女のネバネバ触手も当然良い。
しかし! 忍び服に身を包んだ無表情系少女が触手に絡まれ粘液を浴びせられるその姿はどうだ!
エッチな本よりも少年向け雑誌で発見したエッチなシーンの方がなぜか良い。 それに似た何かが! 確かにそこにはあった!
両手に花でチョーシはサイコーの白イカに、再び雷撃が浴びせられる!
ビクンと震えながらもギロリと細い目を向けると、そこには少し怯えた少女、ミュエルの姿が!
他のイカも一斉にミュエルを睨み、頬を膨らます!
「わ! わわわわ…!」
青い速射砲が、はじける炸裂弾が一斉にミュエルを襲うが、車輪に変化した足と持ち前のバランスで縫うように粘液を避ける。
このままもう一撃…そして二人を救出する! 怯えの中にそんな決意を宿らせた瞬間に…!
「ふぎゅぅ!?」
粘液を踏んづけ、つんのめるように前に倒れるミュエル。
上半身をおこし、鼻をさするミュエルにスっと何者かの影がかかる。
たらりと汗を流しながら視線を上に移すミュエルの目に映ったのは、もう限界という所まで頬を膨らませた、白イカの姿!
触手にはもう余裕は無い。 しかし、粘液はまだ出せる!
そんな周囲の期待に答えるかのように白イカは力を込める!
どばぁ!
炸裂弾に負けない程のすさまじい量の粘液に、押しつぶされるようにうつ伏せで絡めとられるミュエル!
「やだぁ…! 助けて! 助けてくださいぃ……!」
目に涙を潤ませバタ足をするかのように暴れる姿は、白粘液の被害者とは違い、どこか背徳的な、悪い事をしてしまったかのような雰囲気すらある。
涙ぐみながら助けを求めるミュエルを助けようと、誡女と操が駆け寄り腕を引っ張る。
「うぅ…! 随分粘り気が強いですね…」
「くぅ、中々抜けぬな…!」
「ご…ごめんなさい~…」
全身ベットリ粘液に浸かっている為、並の力では救出できない。
それに、助ける為にはどうしても粘液溜まりの中に足を踏み入れなければならないというのもかなりの難点だ。
二人は、昔話にある巨大なカブを抜くかのように重心を後ろに下げ、一気にミュエルを引っ張りぬこうとするが…
べちゃり!
粘液に足をとられミュエルを持つ手がすっぽ抜け、誡女は粘液の中に尻餅を、操に至っては仰向けで粘液の中にズブリと埋まってしまう。
ミイラ取りがミイラになるとは正にこの事!
「むぅ…! な、何たる不覚。 凄く潮っぽい匂いがするのだ……ううっ 」
ベッタリと全身粘液に覆われてしまった操だが、勢いよくすっぽ抜けたからか他の二人と比べたら粘液溜りの端の方である。
「この程度の粘着力……!」
グググっと体を持ち上げ、鎖を引きちぎったかのように粘液から脱出しごろりと砂浜の上に転がる。
「よし! って、のわぁぁぁ!?」
粘液溜りからは抜け出した物の、勢い余って転がると全身に絡みついた粘液に砂が纏わり付きさらに動きを鈍くする。
ジタバタともがく操は、顔だけを残し、粘液の上からさらに砂をコーティングされた状態だ。
「…なんだかエビフライが食べたくなりそうね」
「あ、私は…きなこもちを…想像しちゃったかも…」
誡女とミュエルが呟く。
確かに、あとは揚げるのを待つばかりのエビフライにも、きなこもちに見えなくも無い姿でコロコロと転がる操。
夏の強い日差しは食欲を削ぐというが、黒い肌を白い粘液に染め、さらに砂をまぶしたその姿は、まるで手の込んだ料理のように皆の食欲を刺激した。
一方の誡女はオシリが粘液に埋まっただけ。
他の二人と比べれば幾分かは脱出しやすいと言えるかも知れない。
ここで自分が仲間を助ける! その為にも早く脱出しなければ!
「くぅ……!」
両腕に力を込め、なんとかオシリを少し浮かせることに成功する…が、緋色の水着はそうはいかない。
パレオの奥の美しい緋色の水着は、粘液に張り付きその場に留まろうとぐい~~んと伸びて素材の限界を主張する。
こんな粘液如き、すぐに剥がしてくれると力を込めていた誡女は顔を赤らめ、やっと粘液溜まりから開放されかけていたオシリを慌てて降ろす。
これは困った事になった!
覚者の使命か、それともこの場の健全さか。 どちらを優先するべきか悩む誡女に、唐突にピンクの粘液が襲い掛かる!
弾け、全身を覆い、仰向けに誡女を捕える。
その一撃により葛藤からは脱出できた誡女だったが、粘液からの脱出は難しいかもしれない。
「おんどれら……」
怒りと共に歩を進めたのは、青イカに集中的に狙われもはや自身も青イカに見間違われんばかりに粘液を纏わせた凛だった。
仲間達は粘液に捕われている。
このままではイカんとばかりに刀に付いた粘液を振り払う。
イカ共を倒せば良い。 ただそれだけの事! それ以上でもそれイカでもない。
イカなる手段を用いても、こいつ等を倒す!
凜の、イカりが炎となり、刀に宿る!
「いイカげんに…せぇよ!」
荒ぶる刀が、青イカをイカソーメンの如く切り刻む。
覚者達の、反撃への1歩であった。
●
結果を先に言えば、覚者達は勝利した。
果てしない中略の末、日が傾こうかという時間にやっと最後の1匹を始末したのだ。
誰一人立つ気力が無く、へたりと座り込んでいる。
粘液からの脱出での疲労からか、周囲の目に晒され続けた事によるものか、それとも仲間のあられもない姿に興奮しすぎてか。
満ちてきた海が砂浜の粘液を洗い流してゆく。
しかし、覚者達の心に負った傷と、今日訪れた人の記憶は、そう易々と流され消えはしないだろう。
空はどこまでも続くような澄み渡った水色で、遥か遠くに空の城でもありそうな立派な雲が浮かぶ。
打寄せる波は荒くも無く穏やかすぎもせず、周囲の人々の笑い声と共に陽気な波音を奏でている絶好の海日和。
そんな中、ひときわ目を引く存在が二つ。
一つは今しがた海から上陸してきたカラフルなイカの妖。
4匹揃ってリズムでも刻むかのように触手を動かす姿に、海水浴客も何事かと距離を置いて様子を見ている。
もう一つはそのイカ達に恐れる事無く歩を進めていく少女達。
美しい少女が8人。 これだけで世の男性は10人が10人振り返りそうなものだが、その娘達の向かう先が大きなイカの集団となれば、人々の興味は、なお大きい。
これが行楽で来て居るのだとしたら娘達ももう少し乗り気だったかもしれないが、あいにく彼女達は使命を帯びてこの海岸にやってきている。
「居ますね、ぞろぞろと」
『デウス・イン・マキナ』弓削 山吹(CL2001121)が対面するイカ達を見ながらぼそりと呟く。
赤地に金色の入った少し派手な水着にも負けないスタイルと綺麗なブロンド。
客達が、おおぉっ…と思わず低い歓声を上げてしまうのも無理は無いだろう。
「まぁ、すぐにあたしらでタコ殴りにしたるけどな!…イカをタコ殴り。ぷっ」
イカにも負けない程のご機嫌な様子でジョークを飛ばし、『緋焔姫』焔陰 凛(CL2000119)は吹き出し笑う。
「イカなのにタコ殴りとはこれイカに! なんつって!」
ケタケタと笑う可愛らしさを備えた凛のその前面には、笑いに合わせて立派なサイズの胸がたゆたゆと揺れて周囲の男を沸かせている。
そんな中に一人、水着ではなく忍び服で露出を抑えた十一 零(CL2000001)は、鯱型の浮き輪を小脇に抱えイカ達を見る。
海には少し異質なその恰好も、右も左も水着だらけのこの海では新鮮な良さがある。
タッチダウンを決めれば脳汁があふれんばかりの爽快感を得られそうなその浮き輪はイカにもイカが好みそうな物だったが、イカ達の興味を引く事は出来なかった。
そう、奴等は浜辺を塗り尽くす、ガチでは無い奴等だったのだ!
「観客よ!危ないから下がっておるのだぞ!」
「近づいたらダメだからね☆」
何事かとぞろぞろと集る海水浴客に、弓弦葉・操・一刀斎(CL2000261)と『裏切者』鳴神 零(CL2000669)が注意を呼びかける。
健全な可愛らしさと色っぽさを兼ね備えた褐色の肌の少女がこちらに声をかけてくれた。 それだけで集った男共は嬉しそうに鼻を伸ばす。
可愛らしい声での武士のような口調も男達の脳をくすぐる一つの要因だろう。
いつもは面で顔を隠していた鳴神も、素顔を晒せば操に勝るとも劣らないほどの美しさだ。
黒く長い髪は異国を思わせる操とはまた違った、和の雰囲気を持った美しさがある。
…もっとも、時折見せる他のメンバーの水着姿を舐めるように見る目線は大和撫子とは少し違うかもしれないが。
「皆さ~ん、これから美人覚者達VS触手なイカ妖のバトルが始まるわよー!」
Vストリングの危ない水着に身を包んだエルフィリア・ハイランド(CL2000613)が注意を受け一定の距離を保つ客を大いに煽る。
これだけ俗っぽく煽れば逆に、妙なパニックは起き難いといえるかもしれない。
これから始まるのは恐ろしい妖との戦闘ではなく、ショー。
そういった雰囲気に包まれる中、ビシリと鞭を鳴らすエルフィリア。
鞭とVストリング。 水着姿はどこか大人な雰囲気の、蝋燭が似合いそうな何かに見え、どんなショーになるのかは不安が残る。
「わわわ! あ、あんまり人を集めないで下さい……」
紺色の水着に身を包んだ金髪ハーフの少女『Mignon d’or』明石 ミュエル(CL2000172)が腕で胸を隠しながら客を盛り上げるエルフィリアをわたわた制止する。
立派なスタイルの仲間も多い中、控えめな自分の胸を気にしている様子の彼女だが、世には需要という物がある。
だからなんだと言う訳では無いが、需要があるのである!
「うぅぅ…。 やっぱり…水着で来たのは間違いだったかな……。 恥かしい……」
顔を真っ赤にしながらも、その場から逃げる事は無い彼女は覚者の鑑といえるかもしれない。
「ともあれ、楽しそうなところ申し訳ないですが平和な海水浴の為ご退場願いましょう」
赤髪をなびかせた『研究所職員』紅崎・誡女(CL2000750)はどこか浮き足立った雰囲気から地に足を付け、イカに目線を送る。
怜悧な表情を緋色のセパレート水着が引き立てる。 一見ミスマッチに見えるかもしれないが萌えの観点からいけば間違いなく引き立てている筈である!
「なに、水着の女性と最後に遊べるのですから本望でしょう」
誡女のその一言を機に、ゴキゲンで少し如何わしいバトルが幕を開けるのだった。
●
青いイカが酸っぱい物でも食べたかのように口をすぼめると、ドドドドっと速射砲の如く青い何かが発射される!
「のわぁっ!?」
初弾を愛刀で切り裂くも、続く攻撃がベチャベチャと凛の赤い水着を汚してゆく。
数撃てば当たるという言葉もあるがその攻撃は中々に正確で、拳大の青い絵の具のような物を撃ち付けられた凛はデロっとした液体にまみれ身じろぐ。
「な、なんやこれ! ギャラリーに子供もおるかもしれんのにいきなり!」
胸に、顔に、足に絡みつく青い粘液を剥がそうとするも、もがけばもがくほどに絡みつき、あちこちに糸を引かせる。
当然、客の視線はモゾモゾ粘液と戦う凛に集中し、辺りは静かな熱気に包まれる。
「うわぁ…喰らうとああなっちゃうんだ…」
「喰らった人は視線を独り占めね♪」
ミュエルが焦りと不安の目線を、エルフィリアがどこか羨ましそうな目線を凜に向ける。
奴等の攻撃を喰らう事、それ即ち身体だけではなく外聞的なダメージを負う事を意味するのかもしれない。
「これは中々…侮れませんね」
誡女がゆっくりと腕を振るうと、薄い霧がイカの視界を遮る。
あれを浴びせられる可能性は極力減らすに越した事はない。
朝靄に包まれたかのようなイカ達はそれでも陽気にリズムを刻み、そのうち一匹がブシュっという激しい水音を立てる!
霧の中から黄色い何かが一直線に放たれ、前衛達の隙間を抜けたかと思うと…。
「きゃっ!?」
後衛から小さな悲鳴が響く。
まさかと思い振り返ると、直撃を受け黄色い粘液を体に纏わり付かせた山吹の姿!
一撃のみの命中ながらその量はまるで大きなポリバケツでぶちまけられたかのように体中をネットリ塗らしている。
「くぅ……! このぉ…!」
山吹は粘液が膜のように糸を引く腕で水着の中から護符を取り出すとイカに向け光の球体を発射した!
凜を絡めとり調子をこいていた青いイカは、その光の直撃を受けて大きくのけぞる。
「も~……。 まったく……」
やられてもただでは起きない山吹がそういいつつ、自然に、実に自然にクイっとオシリに食い込んだ水着を直す。
攻撃からの流れるような動作……では有ったものの、粘液が絡んだ掌は水着に張り付き、それを振り払おうと手を振れど水着はくっつき離れない。
粘液が命中し視線が集って居た所、さらに後衛で後ろの客達に近い位置での大失態。
気づかれたか気づかれていないか。 それは解らないが、確認する為に後ろを振り向けば何かしら勘繰られるかもしれない。
山吹は砂でも払ったかのように手に張り付いていた水着を払い、事なきを得た(?)のであった。
「予想はしてたけど、大変な事になっちゃってるね」
「アタシへの攻撃はウェルカムなんだけど」
あちこちで被害が出る中、ピンクと白のイカの相手をしている鳴神とエルフィリア。
死角を取ろうとする動きを牽制し、絡み付こうとしてくる触手を鞭で払う!
そんな中ピンクのイカが、リズムを刻んでいた触手をピタリと止め、頬をパンパンに膨らませる!
あれは話に聞いていた前衛を巻き込む炸裂弾! 二人まとめて喰らえばたちまちそこから崩されてしまう!
とっさにそれに対処をする動きをしたのは鳴神だった!
的を散らす為、あえて背後を突こうとイカ達に突進!
「こっち!!こっちにかけて、欲しいな、なんて……うぶぅっ!」
挑発をしながら駆ける鳴神の胸元に粘液の塊が吐き出されたかと思うと、大きな泡がゴボリと弾ける様な音と共にとんでもない量のピンクの粘液を撒き散らす!
風呂釜をひっくり返してもこれほどの量には鳴らないだろうというようなとんでもない量の粘液の爆発を直撃で受け、艶やかな黒髪も白い肌も、全てをピンク色で多い尽くす。
腿も、腕も、胴体も余す所なく粘液に包まれた鳴神は、もはやモゾモゾもがく事しか出来ない。
「え、えっちぃのドンと来いと思ってたけど…やっぱり恥かしいよぉ!」
もがけどもがけど粘液に阻まれグチュグチュと音を立てる鳴神にフラッシュの嵐が降り注ぐ。
今年の夏は、特に暑い。 しかし、浜辺の熱気は留まる所を知らぬかのようにグングン上昇していくのだった。
「ちょっと、大丈夫?」
自らの為に囮となりヒドい目にあわされている仲間を助けようとエルフィリアが鳴神に近づこうとした瞬間、にゅるりとした感触が!
視線を落とせば、足首に白いイカの触手が1本絡みついている。
一瞬の油断! でもこの程度すぐに外せば何の問題も…!
すぐさま鞭を振るおうとするも、何せ相手は10本足!
触手の1本を腕に絡ませ吊るし上げると、もう1本の触手が脇の下に滑り込むように胴を巻き上げ、エルフィリアに向けゆっくり頬を膨らませると、ついに溜め込まれた白い粘液を少女に向けて解き放つ!
「「「うおぉぉぉぉぉ~~~~~!」」」
客の男共が歓喜の雄叫びを上げる!
ついにやった!
ある意味、方々の期待を一身に集めていた白イカが! ついにやらかしてしまった!
健康的な肌は、まるでトリモチでコーティングされたかのようにベットリと粘液に覆われる。
仲間の…美少女の姿に鳴神も心の中で特大のガッツポーズ!
胸の谷間、太股、あらゆる所に糸を引かせ、唯一動く足をバタつかせる。
エルフィリアを巻き取った触手はさらに力強く締め上げ、捕えた獲物を弱らせてゆく!
これはやばい! 色々やばい!
そんな気配を察したかのように、十一が砂を蹴り素早く白イカに駆け寄ると、飛び上がりつつそいつの額にビシっと護符を貼り付ける。
白イカがそれに気づき、張られた護符を剥がそうとするよりも早く、バチンという音と共に激しい雷撃が白イカを襲う!
正に今の世の忍。 華麗に空中で回転すると、イカの背後にベチャっと着地する。
そう、ベチャっと。
「あら、十一さん、いらっしゃい♪」
笑顔で迎える、ピンクの粘液に包まれた鳴神。
そう、運悪く着地した位置は、ピンクの炸裂弾の粘液溜まりだったのだ!
「しまっ……!?」
思った時には既に遅し。 どちらの足も粘液に埋もれ持ち上がらない!
もはや脱出よりも観戦を重視しているかのような鳴神とは違い、十一はまだ脱出を諦めておらず、必死に片足ずつ動かすが……。
そこに迫るのは今日のMVP、白イカだった!
左手(仮)には相変わらずエルフィリアを吊るしたまま、右手(仮)をニョロニョロと十一に近づける。
「よ…よせ、向こうの水着を襲った方が絵的に美味しい! 自分の存在意義を思い出せ!」
とっさに仲間に攻撃をそらそうとするも、イカは意に介さず小さな胴を触手でぐるぐると巻き取ってしまう。
「ピ、ピンナップも実装されたばかり……っぷぁ!」
謎の懇願もむなしく、粘液をブバっと頭から被せられ、哀れ、十一は黒い忍び服を白く染める羽目になる。
触手に捕えられた十一に、期待に答えてくれたと言わんばかりの鳴神の眼福モードの目線が向けられる。
水着の少女のネバネバ触手も当然良い。
しかし! 忍び服に身を包んだ無表情系少女が触手に絡まれ粘液を浴びせられるその姿はどうだ!
エッチな本よりも少年向け雑誌で発見したエッチなシーンの方がなぜか良い。 それに似た何かが! 確かにそこにはあった!
両手に花でチョーシはサイコーの白イカに、再び雷撃が浴びせられる!
ビクンと震えながらもギロリと細い目を向けると、そこには少し怯えた少女、ミュエルの姿が!
他のイカも一斉にミュエルを睨み、頬を膨らます!
「わ! わわわわ…!」
青い速射砲が、はじける炸裂弾が一斉にミュエルを襲うが、車輪に変化した足と持ち前のバランスで縫うように粘液を避ける。
このままもう一撃…そして二人を救出する! 怯えの中にそんな決意を宿らせた瞬間に…!
「ふぎゅぅ!?」
粘液を踏んづけ、つんのめるように前に倒れるミュエル。
上半身をおこし、鼻をさするミュエルにスっと何者かの影がかかる。
たらりと汗を流しながら視線を上に移すミュエルの目に映ったのは、もう限界という所まで頬を膨らませた、白イカの姿!
触手にはもう余裕は無い。 しかし、粘液はまだ出せる!
そんな周囲の期待に答えるかのように白イカは力を込める!
どばぁ!
炸裂弾に負けない程のすさまじい量の粘液に、押しつぶされるようにうつ伏せで絡めとられるミュエル!
「やだぁ…! 助けて! 助けてくださいぃ……!」
目に涙を潤ませバタ足をするかのように暴れる姿は、白粘液の被害者とは違い、どこか背徳的な、悪い事をしてしまったかのような雰囲気すらある。
涙ぐみながら助けを求めるミュエルを助けようと、誡女と操が駆け寄り腕を引っ張る。
「うぅ…! 随分粘り気が強いですね…」
「くぅ、中々抜けぬな…!」
「ご…ごめんなさい~…」
全身ベットリ粘液に浸かっている為、並の力では救出できない。
それに、助ける為にはどうしても粘液溜まりの中に足を踏み入れなければならないというのもかなりの難点だ。
二人は、昔話にある巨大なカブを抜くかのように重心を後ろに下げ、一気にミュエルを引っ張りぬこうとするが…
べちゃり!
粘液に足をとられミュエルを持つ手がすっぽ抜け、誡女は粘液の中に尻餅を、操に至っては仰向けで粘液の中にズブリと埋まってしまう。
ミイラ取りがミイラになるとは正にこの事!
「むぅ…! な、何たる不覚。 凄く潮っぽい匂いがするのだ……ううっ 」
ベッタリと全身粘液に覆われてしまった操だが、勢いよくすっぽ抜けたからか他の二人と比べたら粘液溜りの端の方である。
「この程度の粘着力……!」
グググっと体を持ち上げ、鎖を引きちぎったかのように粘液から脱出しごろりと砂浜の上に転がる。
「よし! って、のわぁぁぁ!?」
粘液溜りからは抜け出した物の、勢い余って転がると全身に絡みついた粘液に砂が纏わり付きさらに動きを鈍くする。
ジタバタともがく操は、顔だけを残し、粘液の上からさらに砂をコーティングされた状態だ。
「…なんだかエビフライが食べたくなりそうね」
「あ、私は…きなこもちを…想像しちゃったかも…」
誡女とミュエルが呟く。
確かに、あとは揚げるのを待つばかりのエビフライにも、きなこもちに見えなくも無い姿でコロコロと転がる操。
夏の強い日差しは食欲を削ぐというが、黒い肌を白い粘液に染め、さらに砂をまぶしたその姿は、まるで手の込んだ料理のように皆の食欲を刺激した。
一方の誡女はオシリが粘液に埋まっただけ。
他の二人と比べれば幾分かは脱出しやすいと言えるかも知れない。
ここで自分が仲間を助ける! その為にも早く脱出しなければ!
「くぅ……!」
両腕に力を込め、なんとかオシリを少し浮かせることに成功する…が、緋色の水着はそうはいかない。
パレオの奥の美しい緋色の水着は、粘液に張り付きその場に留まろうとぐい~~んと伸びて素材の限界を主張する。
こんな粘液如き、すぐに剥がしてくれると力を込めていた誡女は顔を赤らめ、やっと粘液溜まりから開放されかけていたオシリを慌てて降ろす。
これは困った事になった!
覚者の使命か、それともこの場の健全さか。 どちらを優先するべきか悩む誡女に、唐突にピンクの粘液が襲い掛かる!
弾け、全身を覆い、仰向けに誡女を捕える。
その一撃により葛藤からは脱出できた誡女だったが、粘液からの脱出は難しいかもしれない。
「おんどれら……」
怒りと共に歩を進めたのは、青イカに集中的に狙われもはや自身も青イカに見間違われんばかりに粘液を纏わせた凛だった。
仲間達は粘液に捕われている。
このままではイカんとばかりに刀に付いた粘液を振り払う。
イカ共を倒せば良い。 ただそれだけの事! それ以上でもそれイカでもない。
イカなる手段を用いても、こいつ等を倒す!
凜の、イカりが炎となり、刀に宿る!
「いイカげんに…せぇよ!」
荒ぶる刀が、青イカをイカソーメンの如く切り刻む。
覚者達の、反撃への1歩であった。
●
結果を先に言えば、覚者達は勝利した。
果てしない中略の末、日が傾こうかという時間にやっと最後の1匹を始末したのだ。
誰一人立つ気力が無く、へたりと座り込んでいる。
粘液からの脱出での疲労からか、周囲の目に晒され続けた事によるものか、それとも仲間のあられもない姿に興奮しすぎてか。
満ちてきた海が砂浜の粘液を洗い流してゆく。
しかし、覚者達の心に負った傷と、今日訪れた人の記憶は、そう易々と流され消えはしないだろう。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし

■あとがき■
『あとがき』 参加された皆さん、お疲れ様です!
ちょっとエッチが過ぎちゃってたらごめんなさい!
見せ場=攻撃を受ける所というプロレス的な解釈によってこんな事に!
楽しんで頂けていたら幸いです!
ちょっとエッチが過ぎちゃってたらごめんなさい!
見せ場=攻撃を受ける所というプロレス的な解釈によってこんな事に!
楽しんで頂けていたら幸いです!
