<ヒノマル戦争>訓練場制圧作戦 VS二覚隊
●
「皆、ヒノマル陸軍とファイヴの戦争状態もいよいよ終盤。いくつかの主要部隊の本拠地も判明してきている。主要舞台の戦力を削ることはすなわちヒノマル陸軍の戦力をそぐことにつながる。皆、心してかかってくれ!」
戦争はFH協定によって守られ、チーム戦の勝敗によって拠点制圧の是非を決めている。詳しくは専用のページを見て貰うとして……。
「今回制圧目標とするのはヒノマル陸軍の技術訓練場だ。前回敵に勝利して本拠地のひとつを見つけたそうだな」
「えっと……うん」
明石 ミュエル(CL2000172) は細長いプラスチックカードを手に取った。
「オフィス街を想定した、訓練場だって言ってた……」
「『第二覚醒隊は乗り物を利用したり入り組んだエリアで行動したりと、特殊な任務を帯びることの多いチームのようです。この訓練場を本拠地として、日常的に技能を高めているのでしょう』」
第二覚醒隊とは縁も深く、考察を重ねてきた紅崎・誡女(CL2000750) はそのように語った。
「『能力も技能スキルに大きくふっているようで、通常では取り扱うことも難しい道具をうまく使いこなすという特徴もあります。反面、術式や体術といったスキルには乏しく戦闘向きとは言いがたいですね』」
彼女たちの話を聞いて、アタリは頷いた。
「決戦時には五麟大学考周辺での戦闘が行なわれる。そうなれば局地戦闘に長けたチームは驚異になるだろう。この機会に戦力を削っておけば、決戦で有利になるはずだ。皆、よろしく頼む!」
「皆、ヒノマル陸軍とファイヴの戦争状態もいよいよ終盤。いくつかの主要部隊の本拠地も判明してきている。主要舞台の戦力を削ることはすなわちヒノマル陸軍の戦力をそぐことにつながる。皆、心してかかってくれ!」
戦争はFH協定によって守られ、チーム戦の勝敗によって拠点制圧の是非を決めている。詳しくは専用のページを見て貰うとして……。
「今回制圧目標とするのはヒノマル陸軍の技術訓練場だ。前回敵に勝利して本拠地のひとつを見つけたそうだな」
「えっと……うん」
明石 ミュエル(CL2000172) は細長いプラスチックカードを手に取った。
「オフィス街を想定した、訓練場だって言ってた……」
「『第二覚醒隊は乗り物を利用したり入り組んだエリアで行動したりと、特殊な任務を帯びることの多いチームのようです。この訓練場を本拠地として、日常的に技能を高めているのでしょう』」
第二覚醒隊とは縁も深く、考察を重ねてきた紅崎・誡女(CL2000750) はそのように語った。
「『能力も技能スキルに大きくふっているようで、通常では取り扱うことも難しい道具をうまく使いこなすという特徴もあります。反面、術式や体術といったスキルには乏しく戦闘向きとは言いがたいですね』」
彼女たちの話を聞いて、アタリは頷いた。
「決戦時には五麟大学考周辺での戦闘が行なわれる。そうなれば局地戦闘に長けたチームは驚異になるだろう。この機会に戦力を削っておけば、決戦で有利になるはずだ。皆、よろしく頼む!」

■シナリオ詳細
■成功条件
1.戦闘に勝利する
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
チーム戦の勝敗によって拠点制圧の是非が決まります。
●シチュエーションデータ
オフィス街(具体的には海浜幕張あたり)をモデルにして作られた訓練施設です。
市街地を自動車やバイクで走りながら戦闘したり、屋内に取り残された人間を救出したり逆に強襲したりといった任務の訓練に使います。
●第二覚醒隊について
久米ヒサシをリーダーとする第二覚醒隊は数十人の大所帯で非覚者メンバーも多いチームです。
バイクやヘリなど道具を使った任務に強く、全体的に技能スキルを多く保有しています。
特にこのメンバー特有のスキルが『ワイヤートリック』です。
チェーンやワイヤーを用いて特殊な機動を行なう技能スキルで、ワイヤーなどを引っかける場所が5メートル以内にある場合に限り限定的に『ペナルティのない飛行状態』と同じ状態になれます。
今回はフックショットワイヤーを用いて立体的な機動を交えた戦闘を行なう予定……だと久米がこの前電話で言ってました。
手の内をバラすだけあって、ちょっとやそっと(ワイヤーをきるとかそういうやつ)でひっくりかえせないだけの技量があるのでしょう。
普通に戦闘する限りワイヤートリック中のメリットは『大震が効かない』くらいしかないので別に対策する必要もありません。
●エネミーデータ
これまでの戦闘で使用したスキルを書き出します。
・『第二覚醒隊隊長』久米ヒサシ:木現。装剣したアサルトライフルを装備。
→非薬・鈴蘭、棘散舞
・『第二覚醒隊』畑:火彩。アサルトライフル装備
・『第二覚醒隊』前田:土獣。ショットガン装備
・『第二覚醒隊』エリク:天暦。アサルトライフル装備
→雷獣
・『第二覚醒隊』ウルト:水翼。拳銃装備。
→水龍牙、水礫
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
6日
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
6/6
公開日
2017年01月17日
2017年01月17日
■メイン参加者 6人■

●訓練場
ヒノマル陸軍は七星剣に名を連ねるほどの大組織である。
構成員は覚者非覚者・戦闘員非戦闘員問わず多岐にわたり、性質や個性の似たメンバーを集めた『覚醒隊』というものが組まれている。
中でも第二覚醒隊は、戦闘を主眼にした一覚隊たお対照的に局地的な行動力や対応力に主眼を置いたチームであることが、これまでの接触で分かってきている。
とはいえ彼らとて生まれつき何でも出来たわけでは無い。
「できるように、なるために……街ごと、作っちゃったんだね」
練習は実りにつながる。それは『ホワイトガーベラ』明石 ミュエル(CL2000172)のみならず万人の真理である。
その一端を見た気がして、ミュエルは仮装のビル街を眺めていた。
一方で、殺意を向きだしにして周囲をぐるりと見回す『隔者狩りの復讐鬼』飛騨・沙織(CL2001262)。
「第三次世界大戦など、許してはいけない……」
どこか常人とは違う所を見ているような、ぴりぴりとした空気にミュエルは僅かに震えた。
『慈悲の黒翼』天野 澄香(CL2000194)はどうやらこれを好意的にとったようで、にっこりと笑いかける。
「あちらもこちらも手の内は分かっている者同士。決戦前に少しでも戦力を落としましょうね」
握手した次の瞬間よーいどんではお互いに困るというものだ。
メリハリをつけるべく、仮装街には東西両端からスタートする取り決めをしていた。
西側の大通りを進みつつ、風景を注目する『赤き炎のラガッツァ』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)。
「防衛戦を組む場合、本来地の利はこちらにありますけど、もし地の利を覆すことができるのなら……二覚隊さんは驚異になりますよね」
ラーラは頭の中で覚者が自由自在に壁や電柱を伝って五麟市を飛び抜けていくさまを想像した。
同じ想像をした『ちみっこ』皐月 奈南(CL2001483)はといえば。
「ワイヤーで飛ぶなんて映画みたいなのだ!」
というテンションできゃっきゃしていた。
同じものを見ていても受け取り方が違ういい例である。
覚醒状態をとり、義腕と義足をそれぞれがしがしとやって具合を確かめる『研究所職員』紅崎・誡女(CL2000750)。
「しかし、ワイヤートリックですか。戦闘技能というより、移動補助の技能のように思えますが……さて」
上空に飛ばしていた守護使役が敵影を補足した。誡女は手をぐっと握りしめる。
「戦闘を開始しましょう」
●第二覚醒隊とワイヤートリック(有線機動)
接近する二覚隊は変わった装備をつけていた。
キャタピラ風のインラインスケートシューズである。
彼らはローラー機動で加速しながら接近。一丸となったこちらを囲い込むように十字路を三方向に展開した。
分断すればこちらのものである。
ラーラは早速魔導書をアンロック。肉球を組み合わせたような魔方陣を空中へ大量に生み出した。
「良い子に甘い焼き菓子を、悪い子には石炭を。イオ・ブルチャーレ!」
魔方陣から飛び出した炎のネコたちが空中を駆け、正面から突っ込む久米へと殺到していく。
対する久米は装着したガントレットからフックワイヤーを発射。近くのビル壁に食い込ませると、素早く跳躍した。
リールによる巻き取りと完全に同期した動きで炎のネコを回避。
空中をターンして追尾するネコへ向けて反転。小銃を乱射してネコを破壊。ワイヤーを壁から抜くと、今度は道路標識へと発射。巻き取り動作に乗せて突っ込んでくる――かと思いきや、小銃にオプションされたグレネードランチャーを発射。
術式性の毒ガスが散布される。
「レンゲさん……っ!」
ミュエルは花束を守護使役の口に突っ込むと、針の先から中和剤を生成、霧状にして噴射させる。
と同時に、誡女もまた義腕と義足の蓋を開いて弱体化目的のミストを散布していく。
霧の中を飛んだ炎のネコが空中をワイヤートリックで泳ぐ久米をとらえた。
炎の包まれる久米だが、構わず小銃を乱射する。
対して沙織と澄香も棘散舞を乱射。
空中でぶつかり合い、炸裂する弾丸。
澄香は自ら翼を広げて久米へ仇華浸香を展開しながらタックルを仕掛けて、ワイヤーを強制的に外させた。
落下する所に深緑鋭鞭を叩き込む沙織。
集中砲火の様相を呈してきた所で、奈南がホッケースティックをかまえて突撃した。
「ワイヤーアクションみたいに吹き飛ばしちゃうよぉ!」
スティックを硬質化させ、思い切り叩き込む奈南。
久米は吹き飛ばされるが、途中で地面にワイヤーフックを引っかけて強制ブレーキ。再び向かってくるかと思いきや後方へワイヤーを放って急速後退していった。
回復の隙を与えるわけにはいかない。追撃をはかろうとチームごと前進したその時。
後方から銃撃。
「誘い込まれましたね!」
「地の利はあちらにあるということですか」
炎獣で迎撃をはかるラーラ。
一方で誡女はローラーダッシュで接近しながら射撃する畑と前田へと走り出す。
組んだ両腕を後ろに伸ばすような姿勢をとると、腕からチップショットをかけて加速。
その勢いで宙返りをかけると、踵から展開したブレードで斬りかかった。
銃身でガードする前田。
だがエリクとウルトが見えない。挟み撃ちをするには前後のどちらにも……と思った所で、飛行したウルトにチェーンを引っかけて移動するエリクを発見した。
場所は直上。ウルトはビルの壁にワイヤートリックでとりつくと、重力に上乗せするかのように大地めがけて走り出した。同じく落下に飛行の速度を乗せて突っ込んでくるエリク。
「さがって……っ!」
ミュエルはステッキを回して飛来する弾丸をガード。
が、弾丸が彼女たちの周囲で炸裂し、術式性の爆発を起こした。
水流と電撃による爆発である。
思わず吹き飛ばされるミュエルたち。
そこへ、一度後退していた久米が戻ってきた。
前後と上。それぞれが包囲された状態である。
久米たちは壁を走り、時にはワイヤーで壁や電柱、道路標識へ飛び移るなどして網のように動き回る。
四方八方から不意に浴びせられる銃弾や爆弾。
「これじゃあ炎獣でなぎ払えません。かくなる上は……!」
ラーラは作戦を変えて召炎波の詠唱を開始。
空中に生まれた三角形の魔方陣が次々に組み合わさり、円形に彼女を囲んでいく。
「一気に薙ぎ払います!」
全ての魔方陣から小さな炎のネコが飛び出し、久米たちへと襲いかかる。
「無理矢理抜けるのだ! いっくよぉー!」
スティックを握りしめた奈南がダッシュ。それにあわせてミュエルたちも一点に向けて攻撃を集中。回避運動によって開いた僅かな穴を抜けるようにして、彼女たちは久米の立体包囲から脱出した。
一箇所に留まってガンシューティングゲームをするのは得策ではない。
更に言うなれば、全員固まって移動するのも場合によっては非効率的だった。
ゆえに、あまり開けていない道を選んでとにかく走り続けるしかない。
「ワイヤートリック。複数の技能スキルの特徴を併せ持ったように見えました」
走りながらチャフを撒く誡女。
「蜘蛛糸のようにワイヤーを飛ばし、面接着のように接続し、ハイバランサーのように動き回る。時には落下制御の効果も持っているようですし……」
なんとか相手の技術を把握して自分のものにしようと考えているようだ。
目新しい技術を前にして解析に集中するあたり、研究員らしさと言えた。
一方で、いち覚者から見ても二覚隊の技術はかなりとがった者だったようで。
「このようなワイヤーアクションを駆使するなど、敵ながら賞賛に値する」
眼前に飛び出してきて前田をツルの鞭で打ち払い、棘散舞を放ちながら後退。後ろを詰めにかかったエリクに向けて澄香はエアブリットを乱射。
ワイヤートリックで回避するエリクに、澄香は飛行しながら追跡をかける。
頭上にワイヤーを次々に放って後退しライフルで射撃してくるエリクと、くるくるとターンをかけながらエアブリットを打ち込む澄香。二人の空中戦。
一方でウルトが飛行状態からワイヤートリックにシフト。奈南の周囲を回るように銃撃をしかけるので、割り込みをかけたラーラは炎獣を乱射することでウルトを牽制。動線をある程度固定した所で奈南がスティックで殴りかかるという対空迎撃に出ていた。
そんな中。
「ここなら……」
屋外備え付けの非常階段を数段抜かしで駆け上るミュエル。みためにはジグサグにはねるよに上昇していく。
対する久米もまた、次々にワイヤーをひっかけジグザグに上昇。
久米とミュエルの視線が交わり、スティックとライフルの射線が交わる。
二人は互いに上昇しながら種子弾を乱射しあった。
階段が徐々に壊れていく。久米の背後のビルもだ。
そして最上階に登った段階で、ミュエルは非常階段の手すりに飛び乗り、そのまま久米へとダイブ。
ガードする久米にスティックを叩き付け、もつれるように回転しながら共に自由落下した。
自然治癒力を大幅に高めたミュエルと、最新装備と術式構成によって自然治癒力を高めた久米。バッドステータス合戦にはならず、たがいにダメージの削りあいになる。
「ガッツのある女だぜ。対策をふまえて下がるどころか突っ込んでくるとはな!」
接触距離。ミュエルは大きな植物性のトゲを握って久米の脇腹に突き刺し、久米もまたミュエルの脇腹に零距離でライフルをフルオートで射撃した。
「ちっ……!」
ビルの壁にワイヤーをひっかけ、落下速度を制御。
久米はミュエルを抱いたままビルの谷間にぶら下がった。
「得意分野だったが、あんたらのガッツには負けたぜ。拠点は譲るよ」
かなりの損害はあったものの、戦闘は二覚隊の撤退という形で勝利した。
去り際、バイクに跨がって振り返る久米。
彼は眼鏡をかけ、例の落ち着いたテンションでこう言った。
「次に会うのは決戦の場ですね。今度は我々のチーム全員で五麟市を攻略します。数十人の機動部隊を相手にあなたたちがどう立ち向かってくるのか、楽しみですね」
――敵拠点『技術訓練場』の制圧に成功しました!
ヒノマル陸軍は七星剣に名を連ねるほどの大組織である。
構成員は覚者非覚者・戦闘員非戦闘員問わず多岐にわたり、性質や個性の似たメンバーを集めた『覚醒隊』というものが組まれている。
中でも第二覚醒隊は、戦闘を主眼にした一覚隊たお対照的に局地的な行動力や対応力に主眼を置いたチームであることが、これまでの接触で分かってきている。
とはいえ彼らとて生まれつき何でも出来たわけでは無い。
「できるように、なるために……街ごと、作っちゃったんだね」
練習は実りにつながる。それは『ホワイトガーベラ』明石 ミュエル(CL2000172)のみならず万人の真理である。
その一端を見た気がして、ミュエルは仮装のビル街を眺めていた。
一方で、殺意を向きだしにして周囲をぐるりと見回す『隔者狩りの復讐鬼』飛騨・沙織(CL2001262)。
「第三次世界大戦など、許してはいけない……」
どこか常人とは違う所を見ているような、ぴりぴりとした空気にミュエルは僅かに震えた。
『慈悲の黒翼』天野 澄香(CL2000194)はどうやらこれを好意的にとったようで、にっこりと笑いかける。
「あちらもこちらも手の内は分かっている者同士。決戦前に少しでも戦力を落としましょうね」
握手した次の瞬間よーいどんではお互いに困るというものだ。
メリハリをつけるべく、仮装街には東西両端からスタートする取り決めをしていた。
西側の大通りを進みつつ、風景を注目する『赤き炎のラガッツァ』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)。
「防衛戦を組む場合、本来地の利はこちらにありますけど、もし地の利を覆すことができるのなら……二覚隊さんは驚異になりますよね」
ラーラは頭の中で覚者が自由自在に壁や電柱を伝って五麟市を飛び抜けていくさまを想像した。
同じ想像をした『ちみっこ』皐月 奈南(CL2001483)はといえば。
「ワイヤーで飛ぶなんて映画みたいなのだ!」
というテンションできゃっきゃしていた。
同じものを見ていても受け取り方が違ういい例である。
覚醒状態をとり、義腕と義足をそれぞれがしがしとやって具合を確かめる『研究所職員』紅崎・誡女(CL2000750)。
「しかし、ワイヤートリックですか。戦闘技能というより、移動補助の技能のように思えますが……さて」
上空に飛ばしていた守護使役が敵影を補足した。誡女は手をぐっと握りしめる。
「戦闘を開始しましょう」
●第二覚醒隊とワイヤートリック(有線機動)
接近する二覚隊は変わった装備をつけていた。
キャタピラ風のインラインスケートシューズである。
彼らはローラー機動で加速しながら接近。一丸となったこちらを囲い込むように十字路を三方向に展開した。
分断すればこちらのものである。
ラーラは早速魔導書をアンロック。肉球を組み合わせたような魔方陣を空中へ大量に生み出した。
「良い子に甘い焼き菓子を、悪い子には石炭を。イオ・ブルチャーレ!」
魔方陣から飛び出した炎のネコたちが空中を駆け、正面から突っ込む久米へと殺到していく。
対する久米は装着したガントレットからフックワイヤーを発射。近くのビル壁に食い込ませると、素早く跳躍した。
リールによる巻き取りと完全に同期した動きで炎のネコを回避。
空中をターンして追尾するネコへ向けて反転。小銃を乱射してネコを破壊。ワイヤーを壁から抜くと、今度は道路標識へと発射。巻き取り動作に乗せて突っ込んでくる――かと思いきや、小銃にオプションされたグレネードランチャーを発射。
術式性の毒ガスが散布される。
「レンゲさん……っ!」
ミュエルは花束を守護使役の口に突っ込むと、針の先から中和剤を生成、霧状にして噴射させる。
と同時に、誡女もまた義腕と義足の蓋を開いて弱体化目的のミストを散布していく。
霧の中を飛んだ炎のネコが空中をワイヤートリックで泳ぐ久米をとらえた。
炎の包まれる久米だが、構わず小銃を乱射する。
対して沙織と澄香も棘散舞を乱射。
空中でぶつかり合い、炸裂する弾丸。
澄香は自ら翼を広げて久米へ仇華浸香を展開しながらタックルを仕掛けて、ワイヤーを強制的に外させた。
落下する所に深緑鋭鞭を叩き込む沙織。
集中砲火の様相を呈してきた所で、奈南がホッケースティックをかまえて突撃した。
「ワイヤーアクションみたいに吹き飛ばしちゃうよぉ!」
スティックを硬質化させ、思い切り叩き込む奈南。
久米は吹き飛ばされるが、途中で地面にワイヤーフックを引っかけて強制ブレーキ。再び向かってくるかと思いきや後方へワイヤーを放って急速後退していった。
回復の隙を与えるわけにはいかない。追撃をはかろうとチームごと前進したその時。
後方から銃撃。
「誘い込まれましたね!」
「地の利はあちらにあるということですか」
炎獣で迎撃をはかるラーラ。
一方で誡女はローラーダッシュで接近しながら射撃する畑と前田へと走り出す。
組んだ両腕を後ろに伸ばすような姿勢をとると、腕からチップショットをかけて加速。
その勢いで宙返りをかけると、踵から展開したブレードで斬りかかった。
銃身でガードする前田。
だがエリクとウルトが見えない。挟み撃ちをするには前後のどちらにも……と思った所で、飛行したウルトにチェーンを引っかけて移動するエリクを発見した。
場所は直上。ウルトはビルの壁にワイヤートリックでとりつくと、重力に上乗せするかのように大地めがけて走り出した。同じく落下に飛行の速度を乗せて突っ込んでくるエリク。
「さがって……っ!」
ミュエルはステッキを回して飛来する弾丸をガード。
が、弾丸が彼女たちの周囲で炸裂し、術式性の爆発を起こした。
水流と電撃による爆発である。
思わず吹き飛ばされるミュエルたち。
そこへ、一度後退していた久米が戻ってきた。
前後と上。それぞれが包囲された状態である。
久米たちは壁を走り、時にはワイヤーで壁や電柱、道路標識へ飛び移るなどして網のように動き回る。
四方八方から不意に浴びせられる銃弾や爆弾。
「これじゃあ炎獣でなぎ払えません。かくなる上は……!」
ラーラは作戦を変えて召炎波の詠唱を開始。
空中に生まれた三角形の魔方陣が次々に組み合わさり、円形に彼女を囲んでいく。
「一気に薙ぎ払います!」
全ての魔方陣から小さな炎のネコが飛び出し、久米たちへと襲いかかる。
「無理矢理抜けるのだ! いっくよぉー!」
スティックを握りしめた奈南がダッシュ。それにあわせてミュエルたちも一点に向けて攻撃を集中。回避運動によって開いた僅かな穴を抜けるようにして、彼女たちは久米の立体包囲から脱出した。
一箇所に留まってガンシューティングゲームをするのは得策ではない。
更に言うなれば、全員固まって移動するのも場合によっては非効率的だった。
ゆえに、あまり開けていない道を選んでとにかく走り続けるしかない。
「ワイヤートリック。複数の技能スキルの特徴を併せ持ったように見えました」
走りながらチャフを撒く誡女。
「蜘蛛糸のようにワイヤーを飛ばし、面接着のように接続し、ハイバランサーのように動き回る。時には落下制御の効果も持っているようですし……」
なんとか相手の技術を把握して自分のものにしようと考えているようだ。
目新しい技術を前にして解析に集中するあたり、研究員らしさと言えた。
一方で、いち覚者から見ても二覚隊の技術はかなりとがった者だったようで。
「このようなワイヤーアクションを駆使するなど、敵ながら賞賛に値する」
眼前に飛び出してきて前田をツルの鞭で打ち払い、棘散舞を放ちながら後退。後ろを詰めにかかったエリクに向けて澄香はエアブリットを乱射。
ワイヤートリックで回避するエリクに、澄香は飛行しながら追跡をかける。
頭上にワイヤーを次々に放って後退しライフルで射撃してくるエリクと、くるくるとターンをかけながらエアブリットを打ち込む澄香。二人の空中戦。
一方でウルトが飛行状態からワイヤートリックにシフト。奈南の周囲を回るように銃撃をしかけるので、割り込みをかけたラーラは炎獣を乱射することでウルトを牽制。動線をある程度固定した所で奈南がスティックで殴りかかるという対空迎撃に出ていた。
そんな中。
「ここなら……」
屋外備え付けの非常階段を数段抜かしで駆け上るミュエル。みためにはジグサグにはねるよに上昇していく。
対する久米もまた、次々にワイヤーをひっかけジグザグに上昇。
久米とミュエルの視線が交わり、スティックとライフルの射線が交わる。
二人は互いに上昇しながら種子弾を乱射しあった。
階段が徐々に壊れていく。久米の背後のビルもだ。
そして最上階に登った段階で、ミュエルは非常階段の手すりに飛び乗り、そのまま久米へとダイブ。
ガードする久米にスティックを叩き付け、もつれるように回転しながら共に自由落下した。
自然治癒力を大幅に高めたミュエルと、最新装備と術式構成によって自然治癒力を高めた久米。バッドステータス合戦にはならず、たがいにダメージの削りあいになる。
「ガッツのある女だぜ。対策をふまえて下がるどころか突っ込んでくるとはな!」
接触距離。ミュエルは大きな植物性のトゲを握って久米の脇腹に突き刺し、久米もまたミュエルの脇腹に零距離でライフルをフルオートで射撃した。
「ちっ……!」
ビルの壁にワイヤーをひっかけ、落下速度を制御。
久米はミュエルを抱いたままビルの谷間にぶら下がった。
「得意分野だったが、あんたらのガッツには負けたぜ。拠点は譲るよ」
かなりの損害はあったものの、戦闘は二覚隊の撤退という形で勝利した。
去り際、バイクに跨がって振り返る久米。
彼は眼鏡をかけ、例の落ち着いたテンションでこう言った。
「次に会うのは決戦の場ですね。今度は我々のチーム全員で五麟市を攻略します。数十人の機動部隊を相手にあなたたちがどう立ち向かってくるのか、楽しみですね」
――敵拠点『技術訓練場』の制圧に成功しました!
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし
