開拓、ファイヴ中継基地(プラスお店も作ろう)
●
「皆に協力を頼みたい。妖や隔者被害を継続的に抑えられるとても重要な話だ」
中 恭介(nCL2000002)がこう切り出したのは、五月の終わり頃。
ファイヴ本稼働から一年あまりが経過した日のことだった。
「今回フードチェーンと手を組み、地域の平和維持のために出張所を作ることとなった」
キッカケは大規模フードチェーン『ムラキヨグループ』の会長、敷村・寄与(しきむら・きよ)がファイヴのスポンサー契約を結びにきたことだった。
彼は事業開拓の中でファイヴの活躍を目にしたらしく、お互いの力を合わせて何か出来ないかと持ちかけてきたのだ。
「我々は妖や隔者たちを見つけては退治し続けてきた。しかし一度住民を避難させてしまうと元には戻りづらく、その隙間に妖や隔者が入り込んでより深刻化してしまうという危険も存在していた」
「それに、ただ妖を倒し続けても真の平和は取り戻せません!」
喰い気味に叫ぶ謎の男。ややいかつい顔をした小太りな彼は、作業服にネクタイというかなり活動的なサラリーマンスタイルをしていた。
「僕は敷村寄与。今回の話を持ちかけさせて頂いた者です」
ケースから名刺を取り出し、丁寧に一人ずつ渡していくと、敷村は再び拳を握りしめて語り始めた。
「真の平和とは、妖を倒すことだけじゃない! 夜に女性が一人でふらりと回転寿司を食べに行ける世界! ぐでんぐでんに飲んだくれて二軒三軒はしごできる世界! そういうものが、平和ではありませんか!」
圧が強い。が、言っていることは分かった。
「しかし妖が発生して20年。お店に行くどころかお店を経営することすらままならず、地方の過疎化は進む一方です。反比例して妖や隔者はシャッターの下りた商店街を根城にし始める始末。こんなことではいけません!」
ばしばしとホワイトボードを叩き、ペンで大胆に殴り書きする。
「皆さんが妖を倒して安全な土地を広げ! 僕らがお店を作って人々を呼び込み! お店の利益で皆さんの『詰め所』を維持! 町の平和を――笑顔を守るのです!」
元々ファイヴに寄付をしにきている敷村である。店がそこそこ維持できれば儲けはいらないという考えなのだ。
「むしろ、その金で町の平和を守りたい。僕はそう考えています」
まずはテストケースとして第一号店予定地へ向かい、住みついている妖を撃破。
後にお店を建てるのだが……。
「折角皆さんの中継基地にするのです。ここは皆さんからアイデアを頂きたい。世界を守るファイヴの店、作ろうじゃありませんか!」
「皆に協力を頼みたい。妖や隔者被害を継続的に抑えられるとても重要な話だ」
中 恭介(nCL2000002)がこう切り出したのは、五月の終わり頃。
ファイヴ本稼働から一年あまりが経過した日のことだった。
「今回フードチェーンと手を組み、地域の平和維持のために出張所を作ることとなった」
キッカケは大規模フードチェーン『ムラキヨグループ』の会長、敷村・寄与(しきむら・きよ)がファイヴのスポンサー契約を結びにきたことだった。
彼は事業開拓の中でファイヴの活躍を目にしたらしく、お互いの力を合わせて何か出来ないかと持ちかけてきたのだ。
「我々は妖や隔者たちを見つけては退治し続けてきた。しかし一度住民を避難させてしまうと元には戻りづらく、その隙間に妖や隔者が入り込んでより深刻化してしまうという危険も存在していた」
「それに、ただ妖を倒し続けても真の平和は取り戻せません!」
喰い気味に叫ぶ謎の男。ややいかつい顔をした小太りな彼は、作業服にネクタイというかなり活動的なサラリーマンスタイルをしていた。
「僕は敷村寄与。今回の話を持ちかけさせて頂いた者です」
ケースから名刺を取り出し、丁寧に一人ずつ渡していくと、敷村は再び拳を握りしめて語り始めた。
「真の平和とは、妖を倒すことだけじゃない! 夜に女性が一人でふらりと回転寿司を食べに行ける世界! ぐでんぐでんに飲んだくれて二軒三軒はしごできる世界! そういうものが、平和ではありませんか!」
圧が強い。が、言っていることは分かった。
「しかし妖が発生して20年。お店に行くどころかお店を経営することすらままならず、地方の過疎化は進む一方です。反比例して妖や隔者はシャッターの下りた商店街を根城にし始める始末。こんなことではいけません!」
ばしばしとホワイトボードを叩き、ペンで大胆に殴り書きする。
「皆さんが妖を倒して安全な土地を広げ! 僕らがお店を作って人々を呼び込み! お店の利益で皆さんの『詰め所』を維持! 町の平和を――笑顔を守るのです!」
元々ファイヴに寄付をしにきている敷村である。店がそこそこ維持できれば儲けはいらないという考えなのだ。
「むしろ、その金で町の平和を守りたい。僕はそう考えています」
まずはテストケースとして第一号店予定地へ向かい、住みついている妖を撃破。
後にお店を建てるのだが……。
「折角皆さんの中継基地にするのです。ここは皆さんからアイデアを頂きたい。世界を守るファイヴの店、作ろうじゃありませんか!」

■シナリオ詳細
■成功条件
1.妖を倒そう!
2.新しいお店を作ろう!
3.なし
2.新しいお店を作ろう!
3.なし
一応今回はAAAから何人か詰めて貰うことになっています。
まだ『詰め所』のレベルですが、こうした場所を増やしていけば恒久的に妖や隔者などの問題に対応していけるでしょう。
●邪魔になる妖を倒そう!
まずは問題の災害地区におもむき、妖を退治します。
現われるのは以下の四体。
R1心霊系:おぼろな人型幽霊。掴みかかって攻撃。
R1動物系:大型のカラスめいた妖。つついて攻撃。
R1物体系:生ゴミやガラスゴミなどが集まった物体。
R1自然系:火炎が人の形をとったもの。
●お店を開こう!
以下の内容を定めて、予め買い取った店舗と雇った従業員を配置していきましょう。全部一人でプレイングに書こうとすると中途半端になるので、相談ですりあわせてから3チームくらいで分担するのがお勧めです。
・お店の形態を決めよう
居酒屋、ファミレス、カフェ、食堂、ファーストフード。
様々な形式がありますが、対象となる客層によってベターな形式は異なります。
これは決めちゃえばそれでOKなので、分担のいらない部分です。
・お店の雰囲気を決めよう
細かい内装。椅子やテーブルなどの家具類。店員の制服。
接客のしかたや広告のタイプなど。役割分担で行きましょう。
・お店のメニューを決めよう
飲食店のメインはなんといっても料理です。
メインメニュー、サイドメニュー、デザートやドリンク類。
実際作ってみせてもいいし、提案をぶつけてもOKです。
・実際に働いてみよう
プレオープンでお客さんを沢山呼び込みます。
従業員はちゃんといるのでお店は回りますが、オーナー自ら働いて見本となることでより確実な成功を見込めるでしょう。
働く担当と内装やメニューを決める担当を別々にしておくと、プレイングがはかどります。
・お店の名前を決めよう
大事なお店の名前です。第一号店はこの名前を看板にします。
・アイデアを盛り込もう!
皆さんのアイデアをお店に盛り込んでいきます。
お店と言ってもファイヴの中継基地を兼ねているので、アイデア次第では地方での活動もぐっと楽になるでしょう。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
相談日数
10日
10日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2016年06月10日
2016年06月10日
■メイン参加者 8人■

●妖を倒そう
経営者が土地を探すときにまず目に付くのが妖発生地帯と言われている。
妖が過去に発生して住民が戻らない土地。もしくは隔者に不当占拠された土地などは買い手がまずつかないので投げ売りされている。
そこを買い取れれば安く済むが、妖がついてくるアンハッピーセットでは手が出せないというのが経営者あるあるだ。
だがそんな不動産業界に新たな風を吹き込むのが、彼らである。
「ハイとーちゃーく!!」
ゴミが合わさったような物質系妖が、クレイジーなイエローカラータクシーに撥ね飛ばされた。
運転席が開き、不死川 苦役(CL2000720)が下りてくる。被っていた帽子を邪魔そうに運転席に放り込み、カートランクを開いてがらがらと鉄パイプを引っ張り出した。
どす黒く汚れたテープだらけのパイプである。強度を上げるためか中にコンクリートが詰まっている様子である。
「よーし、チャッチャと済ませてパパッと戻ろうぜ!」
苦役は常人ではまずしないような奇怪な笑い声をあげ、ゴミだらけの路肩に転がった物質系妖へと駆けだした。
ぐねりと形を変えて起き上がる物質系妖。
「オラァ!」
が、起き上がった瞬間に鉄パイプを叩き付け、ヘコんだ部分に五指をぐわりと開いてねじ込んだ。
念力が伝達し、物質系妖の上半分を爆散させる。
「やっべ、指ちょー臭え! ファブっとこ!」
運転席のドアポケットにストックされた消臭スプレーを指にふきかける苦役。
完全に油断したかのような彼の振るまいに、下半分だけ残った物質系妖は襲いかからんと跳躍。
が、しかし。
「うへぇ、ばっちい。近づかないでよー」
『天使の卵』栗落花 渚(CL2001360)が巨大な注射器を抱え上げて振り込んだ。
突き刺さる針。内部に凝縮された渚の念力がピストン注入され、物質系妖は今度こそ爆発四散。
「うわっ、服にはねた! 私もファブってファブって!」
服の裾をひっぱって苦役に向けると、苦役は鼻をつまんで『セーレンコー』と油性マジックで書かれた消臭スプレーを吹きかけた。
妖と戦っているのは勿論渚たちばかりではない。
「そっちへ言ったよ、天野さん」
『月下の白』白枝 遥(CL2000500)が巨大なカラスめいた生物系妖にエアブリットを連射。
何度か直撃を受けて空中へ逃げた所に天野 澄香(CL2000194)が翼を広げて追いすがった。
「逃がしません!」
電線の上をジグザグに飛行する生物系妖。澄香は併走飛行しつつ棘散舞を連射。
翼と胴体に炸裂弾を受けた生物系妖は募集すらされていない無人のテナントビルに突っ込んで絶命した。
一方こちらは東雲 梛(CL2001410)。
シャッターすら下ろさずに放棄したらしい飲み屋街をうろつく心霊系妖を前に、バックステップで距離を取りながら破眼光を浴びせ続けていた。
「ゾンビみたい。気持ち悪……」
「同感だ。手早く済ませるぞ」
路地裏から飛び出した『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)が素早く水龍牙を発動。
心霊系妖は半壊した立ち飲み屋台に突っ込み、屋台もろとも全壊した。
そのまた一方、姫神 桃(CL2001376)。
窓ガラスの全てが砕けて完全に廃墟化したスーパーマーケットの中で炎の自然系妖を追跡していた。ワゴンを飛び越え手刀を繰り出す。
直撃を食らった自然系妖がよろめいた所で、背後にアイコンタクトを送った。
「よろしくありすさん」
「任せて、火力の違いを見せつけてあげるわ!」
焦げた商品棚の裏から現われた『溶けない炎』鈴駆・ありす(CL2001269)がフィンガースナップで火焔連弾を発射。
自然系妖はデスダンスの後、塵も残さず消滅した。
「はいおしまい」
ありすはパチンと手を打って――。
●お店を作ろう!
「さて、ここからが本題ね」
ありすはパッとカシワデを開いた。
ゾンビ映画に出てくるような壊滅した町そのものだったテナントビルとその周辺は、ムラキヨグループが育ててきたというスタートアップチームによって徹底的に洗浄・修繕され、今は専門の工務店スタッフによる店内装飾の制作や取り付けが行なわれていた。
日本職人のタフネスと言うべきか、半日も経たずに『あとは取り付けるだけ』状態に持って行った。
一階は広々とした飲食店。二階は詰め所。元々あった地下倉庫は簡易シェルターとして機能する。これは梛のアイデアによるもので、高所に設置された看板には鉄はしごと有線カメラが備え付けられ、見張り塔の役割も兼ねていた。
それらの映像は二階の覚者詰め所兼運営事務所に送られている。
普段はここにAAAから派遣された覚者警備員が交代制で詰め、近隣で妖などの被害が起きた場合は即座に出動出来るという仕組みである。
交番ですらマトモに機能できずに覚者による軽犯罪をザルごししている昨今、いずれ集まるであろう近隣住民(特に店舗経営者)にはこれ以上無い安心要素となるだろう。
今その詰め所にいるのはありすたちだ。
「どうかしら、制服の候補が届いたんだけれど」
「悪くないわね。けど昼と夜で照明を変えるなら制服の色合いも合わせないと……」
桃はありすの発注した制服を着用して全身鏡(スタッフの服装チェック用)の前でくるくると身をひねっていた。
色合いや生地の質感などで様々な種類が用意されているが、どれも統一して『矢絣(やがすり)模様にショートブーツ』の取り合わせである。安全ピン式の名札にはF.i.V.Eのロゴマークもついている。
「和風ってことだったし、明治の女学生をイメージしてみたわ」
「いいんじゃないかしら。私たち思ったよりも大正ロマンしていないものね」
ほんとうにね。
ちなみにリアルなところで矢絣模様の制服を採用している馬車道というチェーン店があるが、こちらはピザとパスタの店である。明治時代というモチーフ設定が和洋どちらに傾いてもよいという印象を与えるのだ。
「ところで、妖怪ポストのほうは順調?」
事務机から顔を上げるゲイル。
「それならアナログとネットの両方で対応した。妖関係の通報や些細なリクエストをうけるためのポスト……だな」
ゲイルは発注したインターネットサイトと表示広告の確認をしていた。
これもムラキヨグループの広報スタッフによるもので、海外サーバーを通じて広く国内に発信している。とはいえ(こちらの)現代日本ではスマホでネットする層がいないためネット広告はあまり波及力が見込めないそうだ。広報担当は『それよりテレビですよテレビ!』と言っていた。妖ショック以降、全国にローカルネットを広げた民放企業は今も国民の重要な情報源だ。特に国民全員をスポンサーとした日本最古の民放方式は全国規模で強いのだ。
ここへ広告を打つには資金が足りないので、今回はニュースで取り上げて貰うだけとなるが、いずれは民間への親和性が期待できるだろう。
「食材の仕入れ先は?」
「そっちも万全だ。任せておけ」
ありすはファイヴ村との契約を、桃は地域産業との提携をそれぞれ任せていた。
妖によるインフラ力の低下から店をファイヴ村の遠くに作った場合に対応できないが、そこはフードチェーンの十八番。きっちり対応してくれた。
ちなみにファイヴ村との提携は管理責任者であるゲイルや渚の参入によってスムーズ化した。彼らが居なかったら承認まで一ヶ月近く待つことになっただろう。
「そろそろ店内を見てくる」
ゲイルはそう言って一階の店舗へと向かった。
作業員に混じって梛が資材運びや取り付けを手伝っている。
「ああ、ゲイルか。どうかな、こんな感じで」
梛が目指した内装は和風の喫茶店である。
それも昼はカフェで夜はバーというスタイルをとり、このタイプのチェーン店はコメダ珈琲など多くの成功例を出している。アニメフリークにはごちうさ的運営と言っておこう。
梛は椅子やテーブルを木製もしくは木目調のものに統一し、あえて頭上に角材を渡すなどして空間の落ち着きを重視した。
ゲイルの求めたカウンター席もしっかり用意され、バーとカフェの双方を満たす作りだ。
どれも過剰な飾り気を好まない梛ならではのシンプルなチョイスである。
ちなみに内装は男女が意見をぶつけると良い物になると言われ、窓際の設計を任された澄香がいい具合にマッチさせていた。
「窓には障子が合うと思うんです」
光を入れる窓はガラスと障子戸の二重構造になっていて、障子紙もボールペンで突いても破れないという現代科学が生んだ和紙型特殊フィルムでできている。
障子戸は上下のスライド式で、昼間はガラスでテーブルへ光を入れ、夜は閉じて間接光を行き渡らせる仕組みだ。
店内照明も先程の特殊和紙を使ったケースに入ったLED照明を採用し、昼間は寒色、夜は暖色の光を放つように設定されている。
だが彼らが一番拘ったのは奥に作られた座敷フロアだ。
畳と掘りごたつ方式のフロアが複数作られ、半個室状態となっている。
昼は奥様方、夜は旦那様方が集う場所となることは間違いないだろう。
「いい感じだ。駅側でチラシ配りが始まっている筈だ。様子を見に行くぞ」
「できれば手伝いにも行きましょうね」
店を出て行った澄香たちとは対照的に、梛は厨房へと入っていった。
「そっちの様子はどう」
「ん? いい感じいい感じ」
既に必要充分な設備が整った厨房では、苦役と渚がメニューの試作をしていた。
「カフェにするならコーヒーや紅茶がメインだよね。ラテ系も作って、ラテアートなんかしたりして」
渚はそう言いつつラテアートの練習に勤しんでいた。簡単なものなら練習次第で結構できるものである。
勿論プロレベルのものを用意するので、ムラキヨグループからラテアートの訓練を受けたスタッフがちゃんと派遣される予定だ。
「そういえば、内装にファイヴのマスコットを添えたいんだけど、マスコットってなんなの?」
「すねこすり?」
「あー……」
古妖すねこすりはF.i.V.Eが大規模な組織的行動を起こした最初の古妖である。そもそもマスコットが必要なほどの営業展開をしたことがないので曖昧にされていたが、一般小動物並に無害で女子受けしそうな古妖だということで割と便利に使われているフシはあった。クッキーとか。
遥もそこには気づいていたようで、食器類などにそのモチーフを取り入れていた。
「妖怪喫茶のイメージにしてみたんだ。メニューに『妖怪は入ってないよ』って書いたりしてね」
そう言って試作されたメニューをずらりと並べる遥。
すねこすりの焼き印をおしたパンケーキをはじめ、オーソドックスな洋風プレート。松竹梅の三段階に分けた和食メニュー。それに加えて妖怪にちなんだサイドメニューを作っている。
特にサイドメニューは夜の運営に役立つだろう。
F.i.V.Eで広くなじみのあるすねこすりや古妖モルをモチーフとしたメニューを開発する際にパンケーキやクッキーに絞ったのは良策だった。なにせ型さえ作ってしまえばマニュアル化が簡単だからだ。
「でも妖怪にちなんだお酒が思いつかなくて……鬼ごろし?」
「いや、そこは普通に揃えようよ」
「だよね……」
さておき。遥の提案した妖狐の山葡萄ジュースやすねこすりの野菜スティック、海坊主のたこわさなどのメニューはムラキヨグループの商品開発部に回され、コスト・クオリティ共に商品化可能なレベルまでマッシュアップされた。彼のアイデアを起点とした様々なアイデア商品がこれからも開発されていくだろう。
これらは店の特徴になるだけでなく、『バケモンに対応している人たちが妖怪に好意的』という副次的なイメージを与えることもできる。
正直今の古妖なんてのは昔で明治時代でいう外国人みたいなモンだったので、大抵の日本人は『よくわかんないしコワイ』くらいにしか思っていないフシがある。実際(かつの外国人同様)危険な存在もあるので警戒するに越したことは無いが、ちゃんと向き合ってみれば(それこそ外国人同様)新たに良いものを生み出せるのだ。
別に総意というほどではないが、F.i.V.Eにはこうした『古妖のことをもうちょっとちゃんと知ろう』という運動があるのは確かなようだ。研究機関を兼ねているだけのことはある。
いずれは『ファイヴの研究によれば~』といった形で民間に知識を広め、よりよい過ごし方を見つけていけるだろう。
たとえこの世から妖や覚者が消え去ったとしても、古妖は昔からずっといて、認識したあとも居続けるのだから。どう対応するにせよ、知識はなければならない。
「その昔、鬼や天狗がイギリス人やドイツ人に変わったようなものでね」
「両方実際にいるからクッソややこしいな……」
「隠蔽するには便利だったんでしょ、『勘違いパターン』」
さて、少々話はそれたが店舗の下地は整った。
いざ開店である。
おっと、そうそう。
大事なことを述べ忘れていた。
これからチェーン展開する店舗の総称にして第一号店に掲げる看板の銘は――。
『五華(いつか)』
●実際に働いてみよう!
あらゆる手段で宣伝しまくったことで五華には山のように客が訪れた。
それに対応するのはムラキヨグループ会長の敷村を筆頭に集まった店舗リーダーおよび副リーダーで構成されたオールスターチームである。すごい余談だが、コミケ中のビッグサイト周辺店舗でも似たような配置をすることがある。つまり総力戦だ。
「和風にまとめつつ落ち着いた雰囲気。敷居の低い飲食店にすることで人の出入りを増やしているのですね。抑止力として広めるには最適な環境と言えるでしょう。『五華(いつか)』というネーミングも『someday』にかかった希望を感じさせつつも華やかさを備えている。さすがはファイヴのメンバーです!」
ひたすら暑苦しい敷村である。さすがにフードチェーンで世界平和を目指す人は考え方が違う。
「スタッフのマニュアル化もできてるみたいね」
「制服もきちんと着こなしてます」
奥からフロアの様子をうかがうありすと澄香。
ちゃっかり彼女たちもオニューの制服を着込んでいた。
厨房では遥や苦役たちが料理を手伝い、渚もフロア担当のドリンク作成を手伝っていた。
梛もせっせと皿洗いである。
「回転が速いというか……なんだこの稼働率は」
「正直、妖と戦ってた方が汗かかなかったよね」
「手、手がいたい……」
読者諸兄に連休の飲食店でバイトしたことがある方はおられようか。もしその経験があるならばおわかり頂けると思う。裏方の地獄っぷり。そしてその地獄を真顔でさばくリーダー級スタッフの英雄っぷりが。
金とかどうでもいいからいいサービスをより高速かつより確実に実行できるかどうかの勝負である。
オーダーベルが鳴ったら一秒でも早くしかしプレッシャーをあたえないようゆったりと駆けつけ常にベストの笑顔で対応するフロアスタッフのタフネスっぷりである。
とはいえこちとら日夜妖と命数削って戦ってる覚者のプロだ。負けてはいられぬ。
「「いらっしゃいませ! ようこそ『五華』へ!」」
桃やゲイル、澄香たちは制服姿でフロアに出陣し、オーダーという弾が飛び交うにぎやかな店内を駆け抜けた。
テレビ局が取材に来て嫌がるありすを引っ張り出したり、コツを掴んできたゲイルが皿八枚持ちを敢行したり、とにかく色々あった。
一日の営業が終わった時には全身から力が抜けたのは言うまでも無い。
だがこの一日で、いまだかつてない新企画フードチェーン『五華』の未来が順調に開かれていることは、誰もが感じたことだろう。
フードチェーン『五華』で作る世界平和は、まだ始まったばかりである。
経営者が土地を探すときにまず目に付くのが妖発生地帯と言われている。
妖が過去に発生して住民が戻らない土地。もしくは隔者に不当占拠された土地などは買い手がまずつかないので投げ売りされている。
そこを買い取れれば安く済むが、妖がついてくるアンハッピーセットでは手が出せないというのが経営者あるあるだ。
だがそんな不動産業界に新たな風を吹き込むのが、彼らである。
「ハイとーちゃーく!!」
ゴミが合わさったような物質系妖が、クレイジーなイエローカラータクシーに撥ね飛ばされた。
運転席が開き、不死川 苦役(CL2000720)が下りてくる。被っていた帽子を邪魔そうに運転席に放り込み、カートランクを開いてがらがらと鉄パイプを引っ張り出した。
どす黒く汚れたテープだらけのパイプである。強度を上げるためか中にコンクリートが詰まっている様子である。
「よーし、チャッチャと済ませてパパッと戻ろうぜ!」
苦役は常人ではまずしないような奇怪な笑い声をあげ、ゴミだらけの路肩に転がった物質系妖へと駆けだした。
ぐねりと形を変えて起き上がる物質系妖。
「オラァ!」
が、起き上がった瞬間に鉄パイプを叩き付け、ヘコんだ部分に五指をぐわりと開いてねじ込んだ。
念力が伝達し、物質系妖の上半分を爆散させる。
「やっべ、指ちょー臭え! ファブっとこ!」
運転席のドアポケットにストックされた消臭スプレーを指にふきかける苦役。
完全に油断したかのような彼の振るまいに、下半分だけ残った物質系妖は襲いかからんと跳躍。
が、しかし。
「うへぇ、ばっちい。近づかないでよー」
『天使の卵』栗落花 渚(CL2001360)が巨大な注射器を抱え上げて振り込んだ。
突き刺さる針。内部に凝縮された渚の念力がピストン注入され、物質系妖は今度こそ爆発四散。
「うわっ、服にはねた! 私もファブってファブって!」
服の裾をひっぱって苦役に向けると、苦役は鼻をつまんで『セーレンコー』と油性マジックで書かれた消臭スプレーを吹きかけた。
妖と戦っているのは勿論渚たちばかりではない。
「そっちへ言ったよ、天野さん」
『月下の白』白枝 遥(CL2000500)が巨大なカラスめいた生物系妖にエアブリットを連射。
何度か直撃を受けて空中へ逃げた所に天野 澄香(CL2000194)が翼を広げて追いすがった。
「逃がしません!」
電線の上をジグザグに飛行する生物系妖。澄香は併走飛行しつつ棘散舞を連射。
翼と胴体に炸裂弾を受けた生物系妖は募集すらされていない無人のテナントビルに突っ込んで絶命した。
一方こちらは東雲 梛(CL2001410)。
シャッターすら下ろさずに放棄したらしい飲み屋街をうろつく心霊系妖を前に、バックステップで距離を取りながら破眼光を浴びせ続けていた。
「ゾンビみたい。気持ち悪……」
「同感だ。手早く済ませるぞ」
路地裏から飛び出した『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)が素早く水龍牙を発動。
心霊系妖は半壊した立ち飲み屋台に突っ込み、屋台もろとも全壊した。
そのまた一方、姫神 桃(CL2001376)。
窓ガラスの全てが砕けて完全に廃墟化したスーパーマーケットの中で炎の自然系妖を追跡していた。ワゴンを飛び越え手刀を繰り出す。
直撃を食らった自然系妖がよろめいた所で、背後にアイコンタクトを送った。
「よろしくありすさん」
「任せて、火力の違いを見せつけてあげるわ!」
焦げた商品棚の裏から現われた『溶けない炎』鈴駆・ありす(CL2001269)がフィンガースナップで火焔連弾を発射。
自然系妖はデスダンスの後、塵も残さず消滅した。
「はいおしまい」
ありすはパチンと手を打って――。
●お店を作ろう!
「さて、ここからが本題ね」
ありすはパッとカシワデを開いた。
ゾンビ映画に出てくるような壊滅した町そのものだったテナントビルとその周辺は、ムラキヨグループが育ててきたというスタートアップチームによって徹底的に洗浄・修繕され、今は専門の工務店スタッフによる店内装飾の制作や取り付けが行なわれていた。
日本職人のタフネスと言うべきか、半日も経たずに『あとは取り付けるだけ』状態に持って行った。
一階は広々とした飲食店。二階は詰め所。元々あった地下倉庫は簡易シェルターとして機能する。これは梛のアイデアによるもので、高所に設置された看板には鉄はしごと有線カメラが備え付けられ、見張り塔の役割も兼ねていた。
それらの映像は二階の覚者詰め所兼運営事務所に送られている。
普段はここにAAAから派遣された覚者警備員が交代制で詰め、近隣で妖などの被害が起きた場合は即座に出動出来るという仕組みである。
交番ですらマトモに機能できずに覚者による軽犯罪をザルごししている昨今、いずれ集まるであろう近隣住民(特に店舗経営者)にはこれ以上無い安心要素となるだろう。
今その詰め所にいるのはありすたちだ。
「どうかしら、制服の候補が届いたんだけれど」
「悪くないわね。けど昼と夜で照明を変えるなら制服の色合いも合わせないと……」
桃はありすの発注した制服を着用して全身鏡(スタッフの服装チェック用)の前でくるくると身をひねっていた。
色合いや生地の質感などで様々な種類が用意されているが、どれも統一して『矢絣(やがすり)模様にショートブーツ』の取り合わせである。安全ピン式の名札にはF.i.V.Eのロゴマークもついている。
「和風ってことだったし、明治の女学生をイメージしてみたわ」
「いいんじゃないかしら。私たち思ったよりも大正ロマンしていないものね」
ほんとうにね。
ちなみにリアルなところで矢絣模様の制服を採用している馬車道というチェーン店があるが、こちらはピザとパスタの店である。明治時代というモチーフ設定が和洋どちらに傾いてもよいという印象を与えるのだ。
「ところで、妖怪ポストのほうは順調?」
事務机から顔を上げるゲイル。
「それならアナログとネットの両方で対応した。妖関係の通報や些細なリクエストをうけるためのポスト……だな」
ゲイルは発注したインターネットサイトと表示広告の確認をしていた。
これもムラキヨグループの広報スタッフによるもので、海外サーバーを通じて広く国内に発信している。とはいえ(こちらの)現代日本ではスマホでネットする層がいないためネット広告はあまり波及力が見込めないそうだ。広報担当は『それよりテレビですよテレビ!』と言っていた。妖ショック以降、全国にローカルネットを広げた民放企業は今も国民の重要な情報源だ。特に国民全員をスポンサーとした日本最古の民放方式は全国規模で強いのだ。
ここへ広告を打つには資金が足りないので、今回はニュースで取り上げて貰うだけとなるが、いずれは民間への親和性が期待できるだろう。
「食材の仕入れ先は?」
「そっちも万全だ。任せておけ」
ありすはファイヴ村との契約を、桃は地域産業との提携をそれぞれ任せていた。
妖によるインフラ力の低下から店をファイヴ村の遠くに作った場合に対応できないが、そこはフードチェーンの十八番。きっちり対応してくれた。
ちなみにファイヴ村との提携は管理責任者であるゲイルや渚の参入によってスムーズ化した。彼らが居なかったら承認まで一ヶ月近く待つことになっただろう。
「そろそろ店内を見てくる」
ゲイルはそう言って一階の店舗へと向かった。
作業員に混じって梛が資材運びや取り付けを手伝っている。
「ああ、ゲイルか。どうかな、こんな感じで」
梛が目指した内装は和風の喫茶店である。
それも昼はカフェで夜はバーというスタイルをとり、このタイプのチェーン店はコメダ珈琲など多くの成功例を出している。アニメフリークにはごちうさ的運営と言っておこう。
梛は椅子やテーブルを木製もしくは木目調のものに統一し、あえて頭上に角材を渡すなどして空間の落ち着きを重視した。
ゲイルの求めたカウンター席もしっかり用意され、バーとカフェの双方を満たす作りだ。
どれも過剰な飾り気を好まない梛ならではのシンプルなチョイスである。
ちなみに内装は男女が意見をぶつけると良い物になると言われ、窓際の設計を任された澄香がいい具合にマッチさせていた。
「窓には障子が合うと思うんです」
光を入れる窓はガラスと障子戸の二重構造になっていて、障子紙もボールペンで突いても破れないという現代科学が生んだ和紙型特殊フィルムでできている。
障子戸は上下のスライド式で、昼間はガラスでテーブルへ光を入れ、夜は閉じて間接光を行き渡らせる仕組みだ。
店内照明も先程の特殊和紙を使ったケースに入ったLED照明を採用し、昼間は寒色、夜は暖色の光を放つように設定されている。
だが彼らが一番拘ったのは奥に作られた座敷フロアだ。
畳と掘りごたつ方式のフロアが複数作られ、半個室状態となっている。
昼は奥様方、夜は旦那様方が集う場所となることは間違いないだろう。
「いい感じだ。駅側でチラシ配りが始まっている筈だ。様子を見に行くぞ」
「できれば手伝いにも行きましょうね」
店を出て行った澄香たちとは対照的に、梛は厨房へと入っていった。
「そっちの様子はどう」
「ん? いい感じいい感じ」
既に必要充分な設備が整った厨房では、苦役と渚がメニューの試作をしていた。
「カフェにするならコーヒーや紅茶がメインだよね。ラテ系も作って、ラテアートなんかしたりして」
渚はそう言いつつラテアートの練習に勤しんでいた。簡単なものなら練習次第で結構できるものである。
勿論プロレベルのものを用意するので、ムラキヨグループからラテアートの訓練を受けたスタッフがちゃんと派遣される予定だ。
「そういえば、内装にファイヴのマスコットを添えたいんだけど、マスコットってなんなの?」
「すねこすり?」
「あー……」
古妖すねこすりはF.i.V.Eが大規模な組織的行動を起こした最初の古妖である。そもそもマスコットが必要なほどの営業展開をしたことがないので曖昧にされていたが、一般小動物並に無害で女子受けしそうな古妖だということで割と便利に使われているフシはあった。クッキーとか。
遥もそこには気づいていたようで、食器類などにそのモチーフを取り入れていた。
「妖怪喫茶のイメージにしてみたんだ。メニューに『妖怪は入ってないよ』って書いたりしてね」
そう言って試作されたメニューをずらりと並べる遥。
すねこすりの焼き印をおしたパンケーキをはじめ、オーソドックスな洋風プレート。松竹梅の三段階に分けた和食メニュー。それに加えて妖怪にちなんだサイドメニューを作っている。
特にサイドメニューは夜の運営に役立つだろう。
F.i.V.Eで広くなじみのあるすねこすりや古妖モルをモチーフとしたメニューを開発する際にパンケーキやクッキーに絞ったのは良策だった。なにせ型さえ作ってしまえばマニュアル化が簡単だからだ。
「でも妖怪にちなんだお酒が思いつかなくて……鬼ごろし?」
「いや、そこは普通に揃えようよ」
「だよね……」
さておき。遥の提案した妖狐の山葡萄ジュースやすねこすりの野菜スティック、海坊主のたこわさなどのメニューはムラキヨグループの商品開発部に回され、コスト・クオリティ共に商品化可能なレベルまでマッシュアップされた。彼のアイデアを起点とした様々なアイデア商品がこれからも開発されていくだろう。
これらは店の特徴になるだけでなく、『バケモンに対応している人たちが妖怪に好意的』という副次的なイメージを与えることもできる。
正直今の古妖なんてのは昔で明治時代でいう外国人みたいなモンだったので、大抵の日本人は『よくわかんないしコワイ』くらいにしか思っていないフシがある。実際(かつの外国人同様)危険な存在もあるので警戒するに越したことは無いが、ちゃんと向き合ってみれば(それこそ外国人同様)新たに良いものを生み出せるのだ。
別に総意というほどではないが、F.i.V.Eにはこうした『古妖のことをもうちょっとちゃんと知ろう』という運動があるのは確かなようだ。研究機関を兼ねているだけのことはある。
いずれは『ファイヴの研究によれば~』といった形で民間に知識を広め、よりよい過ごし方を見つけていけるだろう。
たとえこの世から妖や覚者が消え去ったとしても、古妖は昔からずっといて、認識したあとも居続けるのだから。どう対応するにせよ、知識はなければならない。
「その昔、鬼や天狗がイギリス人やドイツ人に変わったようなものでね」
「両方実際にいるからクッソややこしいな……」
「隠蔽するには便利だったんでしょ、『勘違いパターン』」
さて、少々話はそれたが店舗の下地は整った。
いざ開店である。
おっと、そうそう。
大事なことを述べ忘れていた。
これからチェーン展開する店舗の総称にして第一号店に掲げる看板の銘は――。
『五華(いつか)』
●実際に働いてみよう!
あらゆる手段で宣伝しまくったことで五華には山のように客が訪れた。
それに対応するのはムラキヨグループ会長の敷村を筆頭に集まった店舗リーダーおよび副リーダーで構成されたオールスターチームである。すごい余談だが、コミケ中のビッグサイト周辺店舗でも似たような配置をすることがある。つまり総力戦だ。
「和風にまとめつつ落ち着いた雰囲気。敷居の低い飲食店にすることで人の出入りを増やしているのですね。抑止力として広めるには最適な環境と言えるでしょう。『五華(いつか)』というネーミングも『someday』にかかった希望を感じさせつつも華やかさを備えている。さすがはファイヴのメンバーです!」
ひたすら暑苦しい敷村である。さすがにフードチェーンで世界平和を目指す人は考え方が違う。
「スタッフのマニュアル化もできてるみたいね」
「制服もきちんと着こなしてます」
奥からフロアの様子をうかがうありすと澄香。
ちゃっかり彼女たちもオニューの制服を着込んでいた。
厨房では遥や苦役たちが料理を手伝い、渚もフロア担当のドリンク作成を手伝っていた。
梛もせっせと皿洗いである。
「回転が速いというか……なんだこの稼働率は」
「正直、妖と戦ってた方が汗かかなかったよね」
「手、手がいたい……」
読者諸兄に連休の飲食店でバイトしたことがある方はおられようか。もしその経験があるならばおわかり頂けると思う。裏方の地獄っぷり。そしてその地獄を真顔でさばくリーダー級スタッフの英雄っぷりが。
金とかどうでもいいからいいサービスをより高速かつより確実に実行できるかどうかの勝負である。
オーダーベルが鳴ったら一秒でも早くしかしプレッシャーをあたえないようゆったりと駆けつけ常にベストの笑顔で対応するフロアスタッフのタフネスっぷりである。
とはいえこちとら日夜妖と命数削って戦ってる覚者のプロだ。負けてはいられぬ。
「「いらっしゃいませ! ようこそ『五華』へ!」」
桃やゲイル、澄香たちは制服姿でフロアに出陣し、オーダーという弾が飛び交うにぎやかな店内を駆け抜けた。
テレビ局が取材に来て嫌がるありすを引っ張り出したり、コツを掴んできたゲイルが皿八枚持ちを敢行したり、とにかく色々あった。
一日の営業が終わった時には全身から力が抜けたのは言うまでも無い。
だがこの一日で、いまだかつてない新企画フードチェーン『五華』の未来が順調に開かれていることは、誰もが感じたことだろう。
フードチェーン『五華』で作る世界平和は、まだ始まったばかりである。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
『五華の制服』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
