すねっこキャラバンとアマゾネス友の会
【FiVE村】すねっこキャラバンとアマゾネス友の会


●今日のゲスト:一反木綿(幼女)、ぬりかべ(幼女)
「うおー、くらえー! ぬりかべすーぷれっくす!」
 軽トラの上からジャンプした幼女が、空中で突如として巨大な石壁に変身。
 眼下の敵めがけて自由落下した。
「みぎゃあああああああ!」
「「アネキイイイイイイイイ!」」
 何が起こってんのか。なぜ急にバトル展開なのか。ファイヴ村じゃなかったのか。これは工藤シナリオなのか。そんな疑問もおありだろうと思うので、時間を遡ってご覧頂きたい。

 時は戦国妖時代。廃村からそこそこの集落クラスまで這い上がった村があった。
 その名もファイヴ村(もしくはマックス村)。
 しかしワンランク上の集落を目指すには収入源が必要だ。
 頭を悩ませた村管理委員会もといF.i.V.E覚者たちは、早速作ったすねこすり牧場を商業利用することにした。
 村のセキュリティはガバガバだからキャラバン方式にして、大道芸を見せるだけ見せてからフェルト細工やステッカーなんかを売る。わりと細々とした商売ではあるが、この村で初めてのまともな商業(一つ目小僧豆腐を除く)が完成したのだった。
 グッズ販売は顔を売るための期間が必要なだけあって、最初は初期投資費用の回収すらままならん赤字続き。しかし事態は思わぬ方向へと発展した。
「チョッ、マテヨー。かわいさアピールのキャラバンにまんまの軽トラとかマジアリエナクネー!? チョベリバ!」
 この古代精霊語を喋る星形サングラスの青年。彼こそが十年前に妖被害で村を出て行った家族……の息子である。年老いた両親を亡くし遺産で暮らしていたが、楽しくて刺激的な生活にも憧れていた彼はファイヴ村の情報を聞きつけてやってきたのだ。
「マイカントリー激ナツじゃん? 思い出ヒタリングじゃん? そこへすねっこキャラバンくるじゃん? マジアゲアゲじゃん? 村作ってんのーマジでー超村好きすぎじゃんラブよりのラブじゃんかーらーの、ミートゥー!」
 この宇宙ポロロッカ語を喋る青年はベンくんという。
 日本語に翻訳すると、すねこすりをつれて周辺地域を巡っていくことで、ファイヴ村の活動が好意的な形で元住民たちへ広まったのだ。
 ベンくんをはじめ、いくつかの家庭が村への移住準備を進めているという。
「けどすねっこ激マブクリティカリング姫じゃん? ちょーマジそれギブミーなんですけどーって来るアマゾネスいんだけどお前それポリシってんのかよってゲキくれたら撃おこぷんぷん丸とかまじえなくね!?」
 翻訳すると、宣伝効果は同時に悪い方にも働き、すねこすりを直接欲しがる人が現われたそうだ。
 すねこすりの生態はまだ研究中。飼い方を間違えてうっかり死なせちゃうかもしれない。
 だからちゃんとそういうのが分かるまではご遠慮願いますよと言ったところ、だったら力尽くで奪ってやんよと言い出す恐いやからが出てきてしまったのだそうだ。
「アマゾネス来たーからの警備来たーからの幼女ごちです!」
 翻訳! 武力には武力。しかし軽く妖怪横丁化したファイヴ村にもそれっぽい戦力はいない。かと思いきや、かつて『ぬりかべ団』なる貧乳崇拝組織を作って巨乳撲滅運動を起こしていた二人の幼女が名乗りを上げた。
「巨乳と貧乳が共存できる村を守るため、あと文句つけてきたやつらの乳をもぐため、わしらは戦うぞ! 皆殺しじゃー!」
「殺しちゃだめでしょ?」
 かくして、すねこすりを奪おうと襲ってくるアマゾネス友の会と新生ぬりかべ団の戦いが幕を開け……ちゃだめだろ!
 すねこすりの可愛い芸を見て貰ってグッズを売るはずなのに、各地で喧嘩騒動を起こしたら絶対印象悪いよ!
 アマゾネスたちを退けつつ、尚且つうまくまとまる道を探らねばならない!
 あと村に残ってる色んな問題も解決しなくちゃあなるまいて!

●現在のファイヴ村
 テーマ:古妖と共存する村
 村名:マックス村(別名ファイブ村)
 建物:副村長宅兼集会場、妖怪長屋、すねこすり小屋、畑(中規模)、山羊牧場(微少規模)、他一般住居
 一般住民:副村長、ゲンさん(大工)、ベンくん(ニート)
 古妖住民:ぬりかべ、一反木綿、青女房、辰巳、一つ目小僧、すねこすり、木の子

 水道光熱:最低限確保(大規模工事費用の獲得が必要です)
 セキュリティ:覚者1チームくらいなら撃退可能
 食糧自給:ちょっとは売れる程度
 資金源:すねこすり移動動物園(グッズ販売のみ)、小僧の豆腐屋、山羊牧場、畑の野菜(天候操作補正あり)



■シナリオ詳細
種別:シリーズ
難易度:簡単
担当ST:八重紅友禅
■成功条件
1.アマゾネス問題を解決しよう
2.村を発展させよう
3.なし
ファイヴ村三回目となりました。
順調に村が発展しているようでなによりです。

●今回のハプニング
・アマゾネス友の会がすねこすりを欲しがっている
 アマゾネス友の会は巨乳かつマッスルな女たちで構成された覚者集団です。
 もふもふしたものが好きですねこすりをすげー欲しがっています。でもあげたらダメです。さすがにファイヴも怒ります。
 でもって、その警護についているぬりかべ&一反木綿は巨乳への肉しみ(あえての誤植)を捨てきれない幼女たちです。
 二人は工藤狂斎STからのゲスト出演となっております。詳しくは元シナリオをご覧ください。

元シナリオ:シリーズ【ぬりかべ団】
URL:
/quest.php?qid=351&msu=1
/quest.php?qid=400&msu=1

●村の近況
 外伝の影響で辰巳さんが働くようになりました。
 天候が最大の敵である農業に天候操作能力者が加わったことで野菜の安定栽培が可能になりました。具体的には嵐や雪といった突発的な天候ハプニングを強制回避します。
 これによって一つ目小僧の豆腐屋とコンボが発生。豆栽培がお金になるようになりました。前回畑を拡張していたので、流入資金も大きめです。

元シナリオ:≪FiVE村外伝≫古妖はじめてものがたり
URL:/quest.php?qid=581
元シナリオ:≪FiVE村外伝≫いたずら好きな彼の移住を
URL:/quest.php?qid=474

 今後は『畑でとれたものの加工品』と『すねっこキャラバン』が収入源に追加されます。

●今回の目標
 すねっこキャラバンを見た元住民が続々と移住の準備を始めています。
 しかし村は思いっきり荒らされたあとなので、家も一旦取り壊されています。
 新居費用は各自ギリギリどうにかするとして、道路の舗装や電気ガス水道といったものの確保が必要になります。大型工事の資金を捻出しましょう。
 また、村人が大量に増えることで『見たこと無い妖怪がめっちゃいる……!』のショックに対応する必要もあります。
 なにか企画して、新しい村人が古妖を受け入れやすいように工夫しましょう!
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
(0モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
公開日
2016年05月28日

■メイン参加者 8人■

『希望を照らす灯』
七海 灯(CL2000579)
『田中と書いてシャイニングと読む』
ゆかり・シャイニング(CL2001288)
『涼風豊四季』
鈴白 秋人(CL2000565)
『探偵見習い』
賀茂・奏空(CL2000955)
『天使の卵』
栗落花 渚(CL2001360)

●きょちちとひんにう
「そのモフモフをよこせィ!」
「帰れと言っておるじゃろ巨乳ども!」
 最近わりかし人気の出てきたすねこすりキャラバン。しかし毎回乱入してくるアマゾネス友の会によって経済的打撃を受けていた。
 それを守らんとキシャーキシャー威嚇するぬりかべ(貧乳)と一反木綿(貧乳)。
 そんな混沌とした会場に『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)が!
「ちょっと待って、そんな風にしたらすねこすりちゃんたち怖がっちゃうよ!」
 『天使の卵』栗落花 渚(CL2001360)が『くどう・そら』というプレートを手に現われた。
 もう何もかもが違った。
 プレートを投げ捨てる渚。
「あなたたちも嫌われたくないでしょ? それよりも村に来て一緒に暮らしちゃうとかどうかな」
「ナニヲワケノワカラナイコトヲ!」
「ハヤク、ソノモフモフ、ヨコス!」
「なんで急に日本語不自由な人みたいになったの!?」
「ヨコサナイナラ、チカラヅク!」
「そういうことなら!」
「うけてたつぞ! その巨乳握りつぶす!」
 棍棒を振り上げる渚。
 鉈や牛追い棒を振り上げるアマゾネス。
 荒ぶる貧乳の構えで跳躍するぬりかべ(貧乳)。
 そんな混沌とした現場にゲイル・レオンハートが!
「待ってくれ、そんな風にしたらすねこすりが怖がるよ!」
 『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)が『四つの巨乳に挟まれるピンナップ』を手に現われた。
 もう何もかもがおかしかった。
 ピンナップを鞄にしまい、タブレットPCを取り出す奏空。
「みんな、まずはこれを見てくれ!」
 奏空が再生したのはすねこすりを撮影した資料映像だった。自分で撮影して自分でナレーションを入れている。
 前にメガネ所長に『やって☆』てお願いしたら小一時間説教された。長いので要約すると、ファイヴがなんでもやってあげたら村があなたのものじゃなくなるからあなたがやれ、である。
 いっちゃえば古妖を保護する施設も人を働かせる場もいっそ金もあるが、それをごっそり投入したら村設立の時に掲げた理想は風化してしまうのだ。
 奏空向けに例えると、テレビゲームを買ってきたのに九割がたムービーで終わった感じである。コントローラー完全に床に放ってたよ、みたいな。
「そんなわけで久しぶり、ぬりかべ、一反木綿!」
「おぬしは巨乳にマモレナカッタしていた子供」
「なにその認識こわい」
「あと巨乳に埋まってた人……」
「なにその認識こわい」
 腕をぶんぶん振って空気をかき消す奏空。
「ちがうんだ、もう俺は過去の俺じゃ無い。マックス村は巨乳と貧乳が共存できる村。おっぱいは大きさじゃない。巨乳派だった俺、グッバイ!」
「往来でその発言はどうかと……」
 そんな混沌とした現場に『希望峰』七海 灯(CL2000579)が!
 嘘じゃなく本当に。
「おぬしは同志!」
「同志!」
「なんですかその認識こわい」
 とはいえ灯は彼女たちを招待した張本人である。むげにもできまい。
「とにかく、まずは話し合いをしませんか。すねこすりをお渡しすることはできませんが、村に来てすねこすりと一緒に暮らすことは可能です」
「そうだぜ!」
 奏空はかっこいいポーズで言った。
「もしよかったらアマゾネスさんたちもこの村にきてもない? すねこすりに毎日会えるよ!」
「それ最初の娘が言った」
「ワタシ、スネコスリ、ホシイ。イマホシイ」
「待て!」
 今度こそほんとにゲイル・レオンハートが!
 人混みをかきわけ、間へと入っていく。
「よく生態系のわかっていないものを無理に飼育して死なせてしまったらどうする。そもそも知らない場所にいきなり連れてこられたらおびえてしまうものだ」
 ゲイルは過去を思った。
 新しく建設した小屋にはいったすねこすりたちは暫くおびえて隅っこで丸くなっていたものだ。まさに借りてきた猫状態だった。
「それ最初の娘が言った」
「おさらいしただけだ」
 ゲイルは咳払いをした。
「俺が言いたいのは……そんなすねこすりをもふって幸せなのかということだ!」
「「シアワセ……!?」」
 ピシャーン。
 アマゾネスの脳裏にピシャーン。
「オマエ……マサカ、モフリスト?」
「フッ」
 ゲイルはすねこすりの毛で作った『ミニすねこすりキーホルダー』を翳した。
「マックス村は人員を必要としている。連れて行くことはできないが、村に来ることは歓迎しよう」
「オオ……」
 アマゾネスたちはゆっくりとゲイルに歩み寄り、ぽんと肩を叩いた。
 これから超エキサイティングなバトルドームだぜと思っていたぬりかべたちは真顔で言った。
「それ最初の娘が言った」
 こうして、新生ぬりかべ団とアマゾネス友の会による戦いは終結。
 無血終戦である。

●ファイヴ村の畑事情
「もうすっかりここの担当ね」
 『女帝』エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496)は日傘を広げて大きな畑を見渡していた。
 家庭菜園レベルのトマトやブロッコリーから始まった畑は、豆やジャガイモの栽培にも着手しはじめている。まだ何を育てたらベストか分かっていないので、手広く植えて育てている段階だ。
 あんまり無理に育て続けても土が死ぬので、ゆっくりやっていきたい所だ。
 畑では辰巳がホースで水を撒いている。
 最近やっとリモコンを覚えたと思ったら流れるようにテレビゲームにハマり始めた彼である。
 働かせてみてわかったことだが、辰巳は天候を操れはするが相応に体力を使うので、普段は普通に畑仕事をして降水過多や日照り続きなど致命的なハプニングが起きたときに天候操作でリカバリーを利かせるというスタイルに落ち着いた。
 畑仕事は日常的な働きよりもヤベー時にどれだけ盛り返せるかが勝負なので、彼の能力は大きな安心感となっている。あと最近ジーンズにパーカーというラフスタイルで出歩くようになったのも安心感を誘っていた。
 大工のゲンさんがエメレンツィアの横に並んだ。
「最近は彼が畑についてくれていて助かるでごわす」
「……あなた、前からそんな口調だったかしら?」
「初対面の人とは標準語を喋ることにしていたでごわすよ」
 それにしたってその口調変だろうと思ったが、口調など人それぞれである。
 なんつっても。
「畑オニヤベーっすね! 村作りからの? 畑仕事からのエブリデイ!?」
「……それは何語なの」
 村を散歩していたベン(ニート)がやってきた。
 エメレンツィアは考える。彼がニートではいかんと。
「ねえ、デザインとかの仕事してみない? 力を貸してくれたイイコトしてあげ――」
「巨乳に興味ゼロなんで俺」
 ベンが真顔で言った。
 エメレンツィアも真顔になった。
 ああこいつ、ぬりかべ団目当てで来たな。
 しかし困った。そう思っているとプリンス・オブ・グレイブル(CL2000942)が豆腐食いながらやってきた。
「村長かつ王子の余が称号あげるよ。タッチィはお天気騎士で、ゲンさんはがってん騎士ね」
「がってん!」
「いいの? それでいいのあなた?」
「ベン、YOUにもあげるよ称号」
「マジデジマ?」
「デジマデジマ。政界騎士」
「セーカイ……セカイ?」
「いっちゃいなよ政界、なっちゃいなよキング」
 プリンスは完全にノリで会話していた。ベンはノリで喋る人間なので、割とウマがあうらしい。
 話をエメレンツィアなりに噛み砕くとこうだ。
 プリンスが行政に訴えてインフラ整備を促した結果、『妖対策でそれどころでは……』というお返事が帰ってきた。多少の手当金は出すから工事は自力でやってくれないかとのことだ。ぶっちゃけ一市民レベルでとれるのはそれが限界。
 なのでベンを市長選挙に立候補させてインフラの決定権を間接的に貰っちゃおうという算段なのだ。
「チョマジっすか? イーネ! イーネッ! やっちゃうー?」
「やっちゃえー」
「……」
 エメレンツィアは目を覆った。
 絶対来月辺りに自分たちが動くことになるのだ。わかる。

●特産品を増やそう
「キャラバンのほうから連絡来ましたよー。解決したそーで」
 『スマイル押し売り中!』ゆかり・シャイニング(CL2001288)が電話機の口んとこ押さえて振り返った。
「アマゾネスさん一名受け入れお願いしますって」
「他の人たちは?」
 料理を作りつつ返事をする鈴白 秋人(CL2000565)。
「動物沢山飼ってるから、置いていけないそうで」
「そっか。仕方ないね」
 秋人は申請用紙のコピーを見ながら頷いた。
 以前古妖狩人から守った古妖を村に住まわせられないかと提案してみたのだが、流石に向こうの事情もあるので『引っ越しませんか?』とは言ってみますという控えめな返事を貰ったばかりだ。
 世の中なにをするにも壁があるなと思った秋人である。
 さておき、今は小規模ながら機能している山羊牧場だ。
「ヤギ数頭だけだと、あんまりとれないですね」
「徐々に増やせばいいよ。思ったより力仕事だから、人手もいるし……」
「ああ、それなんですけど」
 ビッと親指を立てるゆかり。
「アマゾネスさん、農大出身でした。酪農科」
「ぴったりだ」
 この世で勉強目的で牛を赤子から食肉まで手がけられるのは農大くらいしかない。
 酪農に『動物さんとふれあうお仕事』くらいの感覚で入ってきた人はそのエグさとグロさにどん引きして辞めていくので、こちらとしても嬉しい話だ。
「ちょうどいいね。鶏を飼ってきたから、卵もとれるようになると思う。数は少ないけど」
 ちなみに秋人は卵やミルクを使った料理を特産品にできないかと、新しく建設された役場のキッチンで試行錯誤しているところだ。
 ゆかりもそれに乗じて、豆腐屋さんを更に活かせないかとおからクッキーを作ったりしている。
 エメレンツィアがなんだかんだでベンにパッケージをデザインさせたので、一つ目小僧を三段階くらいデフォルメしたキャラクターが描かれた商品ができあがりつつある。
 パッケージごと自社生産したいが、そこまでの印刷設備はない。外注だ。
「けどこのキッチン、広いね」
「こういうこともできるようにって、役場の一部がシステムキッチンになってるんだそうで」
「しすてむきっちん……」
 そんなん使いこなせる人いるのか、と思ったが。
 青女房さんというカリスマ主婦みたいな古妖がいたのを思い出した。
 家から出るとひからびるが、家内では最強の家事能力者である。
「ところで、これは?」
 秋人は野菜やチーズを売るためのパッケージ案を手に取った。
 『すねこすり王国からやってきたマスキュラリィ! 余の野菜をおあがりよ!』
 プリンスがピースした写真がついていた。
「なんでも、古妖を全面に押しだし過ぎると世代によっては嫌がるからだそうで」
 事実、年配の主婦層なんかは『妖怪の作ったものなんでしょ? 大丈夫なの?』といったことを頻繁に言ってくるようで、どれだけ理論的に説明しても買いはしないのだ。
 最近の野菜販売に見られる『無農薬なので虫はついているが健康によい』というフレーズが実のところ『いーわねー』とだけ言われて既読スルーをくらう現象に似ている。
 結局みんな、感情で納得できないと買わないのだ。綺麗で健康によい農薬の開発こそが野菜販売を助けることになる。
「さて、色々料理が出来ましたね。歓迎会で出しましょうか!」
 ゆかりたちは並んだ色々な料理をひと眺めした。
 しかし問題もある。
 これを特産品扱いするには、ある要素が足りていない。
 数量である。
 だがこのまま活かす方法もある。小さな店を出して自給するという方法だ。
 数を増やすか、人を呼ぶか。
 最終的に両方をとることはできるが、先にどちらかを選ばねばならない。
 二択が迫られている。

●歓迎会を開こう
 はじめ半壊した廃墟と雑草だらけの荒野に妖がうろうろしていたこの村は。
 立派な役場を中心とした数件の民家と、広い畑と小さな牧場。そしてすねこすりたちの小屋、さらには古妖たちの長屋という小さいながらも独特な村へと発展していた。
「これも俺たちの成果……か」
 ゲイルはカメラを回しながら呟いた。
 パンダのぬいぐるみ(パイセン)を抱いて杯を掲げるプリンス。
「それじゃあ村へやってきた皆を歓迎してー」
「「カンパーイ!」」
 ゆかりや秋人たちの作った料理が大量に並ぶテーブル。それを囲むように、村の住人となった古妖たちと新たに村へやってきた元住民たちがちらほらと自己紹介を初めて行く。
 その様子にエメレンツィアや灯たちも満足げだった。
 この歓迎会を開くまでにも様々な苦労があったものだ。
 古妖も含めた名簿を作り、それに加えて『して欲しくないこと』なんかを密かにアンケートとしてとっておいた。
 元住民が増えたことによって、他の住民のゆくえもちらほら分かってきたので、写真付きの招待状を送ることもできた。
 元の住民を呼び戻すというのが当初の目的だったことを考えれば、これがようやく叶ったと言っていいだろう。
「けど、アンケートはとってみるもんだな」
「だね……」
 奏空や渚たちはアンケート用紙をぱらぱらめくりながら考え事をしていた。
 村は元々、限界集落というほどでないにしろ、住民ほぼ全員が発展を諦めていた土地だったそうだ。
 村人は自分たちで食べる程度の農作のかたわら町へ出て働き、自分たちの生活を維持するので精一杯だった様子がうかがえる。
 それだけに『無理はしたくない』という意見もあり、そうした世代を見て育った人々は『挑戦したい』という意見を寄せていた。どこにでもある風景であり、どこにでもある問題だった。
 意外だったのは古妖に関することで、すねこすりみたいのだけが古妖だと思っていたら一つ目小僧とか普通にいるのでビビっている人や、妖怪と聞いて恐い存在を想像してしまっている人もいた。『人間を食べないでほしい』という意見があったほどである。
 大体『古妖』なんていう十把一絡げな呼称に留まっているように、彼らのことが何も分かっていないのが事実だ。普段から色々な案件で関わっているF.i.V.E覚者ですらたまに妖と区別つかなくなったりするくらいなので、民間人からすればかなり意味不明な存在だろう。
 共存の道は、これからより大きな問題を抱えるかもしれない。
 しかし……。
「今目の前にある光景は、紛れもなく古妖と人の共存。着実に一歩ずつ、私たちは進んでいるんですね」
 灯はそう呟いて、カメラのシャッターをきった。

●現在のファイヴ村
 テーマ:古妖と共存する村
 村名:マックス村(別名ファイブ村)
 建物:役場、集会場、妖怪長屋、民家数軒、すねこすり小屋、畑(中規模)、山羊牧場(少規模)
 一般住民:副村長、ゲンさん(大工)、ベンくん(ニート)、アマゾネス(酪農警備員)、他少数
 古妖住民:ぬりかべ、一反木綿、青女房、辰巳、一つ目小僧、すねこすり、木の子

 水道光熱:最低限確保(費用は確保。人員を必要としています)
 セキュリティ:覚者1チームくらいなら撃退可能
 食糧自給:豆腐の売れ行きがいい
 資金源:すねこすり移動動物園(グッズ販売のみ)、小僧の豆腐屋、山羊牧場(小)、畑の野菜(安定供給可能)

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
『歓迎会の写真』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員




 
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