熊・猛・果・敢
●
木々を薙ぎ倒し、その獣は山野を駆け抜ける。巨躯の湛える質量の前には並みの木など、細枝と変わりはしない。
四足で大地を駆けるこれは、熊に見える。だが、少しでも動物に親しんだものであればそうは言うまい。
3mを超す体躯、憎悪に燃える瞳、その周囲を覆う異常な凍気。控えめに言っても、真っ当な生物と言うことは難しい。
言うまでも無く人々を脅かす危険な生命体、妖だ。それが暴れようというのであれば、目的はただ1つ。人々に害を為そうというもの以外あり得ない。
いつしか妖の瞳に人の作った光が映る。
そこに見えるのは地面に敷かれたレール。街と街とを繋ぐ鉄道だ。妖も別に鉄道を破壊したいわけではない。だが、この先に標的である『ヒト』がいるのなら、この場を破壊して進むことに躊躇は無い。
「ガァァァァァァァァァァァ!」
妖は月に向かって咆哮を上げると、そのまま迷う事無く歩を進めるのだった。
●
「はーろろん♪ みんな、今日は集まってくれてありがとー!」
『イエロー系女子』大岩・麦(nCL2000116)は集まった覚者達に挨拶をする。元気がトレードマークの彼女だが、何故か今日はいつもよりも勢いに欠ける。どこか、空元気を振り撒いている印象を受けた。
だがそれでも彼女だって自分の役目は分かっている。人が集まったことを確認すると、発生した事件の説明を始めた。
「うん、危険な妖が暴れる夢を見たの。みんなの力を貸して!」
麦の渡してきた資料には、兇悪な表情を浮かべた熊の姿が描かれていた。
この妖の出現が確認されたのは、奈良県の山中の様ということである。
「出てきたのは動物系の妖、ランクは2だよ。数は少ないけどランク2としては強力な奴だから気を付けて」
単純に身体能力が高いだけでは無く、氷を操る力も持っている。相手は単体だが油断は禁物だろう。だが、問題はそれだけではない。
「うん、この妖が向かう先には電車の線路があるの。こいつが出てきたら無茶苦茶にされちゃう!」
幸い、覚者達が向かえば妖が路線を攻撃するのには十分時間がある。余裕を持って対応に当たることが出来るだろう。それでも、失敗すれば大惨事に発展する可能性もあり得る。
一般的に妖が人間以外を攻撃するようなケースはレアだ。全国津々浦々に十分な警戒が行われている訳ではない。今回はそうした警戒をすり抜けた形になる。
「それと……上手く言えないけどこの事件、嫌な予感がするの。上手く言えないけど、すごく嫌な感じ」
これが麦の様子がおかしい理由なのだろう。元々、あまり論理的に話すことが得意なタイプではない。
だが精一杯元気を振り絞って、覚者達を送り出す。
「無事に帰って来てね? みんなのこと信じているから!」
木々を薙ぎ倒し、その獣は山野を駆け抜ける。巨躯の湛える質量の前には並みの木など、細枝と変わりはしない。
四足で大地を駆けるこれは、熊に見える。だが、少しでも動物に親しんだものであればそうは言うまい。
3mを超す体躯、憎悪に燃える瞳、その周囲を覆う異常な凍気。控えめに言っても、真っ当な生物と言うことは難しい。
言うまでも無く人々を脅かす危険な生命体、妖だ。それが暴れようというのであれば、目的はただ1つ。人々に害を為そうというもの以外あり得ない。
いつしか妖の瞳に人の作った光が映る。
そこに見えるのは地面に敷かれたレール。街と街とを繋ぐ鉄道だ。妖も別に鉄道を破壊したいわけではない。だが、この先に標的である『ヒト』がいるのなら、この場を破壊して進むことに躊躇は無い。
「ガァァァァァァァァァァァ!」
妖は月に向かって咆哮を上げると、そのまま迷う事無く歩を進めるのだった。
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「はーろろん♪ みんな、今日は集まってくれてありがとー!」
『イエロー系女子』大岩・麦(nCL2000116)は集まった覚者達に挨拶をする。元気がトレードマークの彼女だが、何故か今日はいつもよりも勢いに欠ける。どこか、空元気を振り撒いている印象を受けた。
だがそれでも彼女だって自分の役目は分かっている。人が集まったことを確認すると、発生した事件の説明を始めた。
「うん、危険な妖が暴れる夢を見たの。みんなの力を貸して!」
麦の渡してきた資料には、兇悪な表情を浮かべた熊の姿が描かれていた。
この妖の出現が確認されたのは、奈良県の山中の様ということである。
「出てきたのは動物系の妖、ランクは2だよ。数は少ないけどランク2としては強力な奴だから気を付けて」
単純に身体能力が高いだけでは無く、氷を操る力も持っている。相手は単体だが油断は禁物だろう。だが、問題はそれだけではない。
「うん、この妖が向かう先には電車の線路があるの。こいつが出てきたら無茶苦茶にされちゃう!」
幸い、覚者達が向かえば妖が路線を攻撃するのには十分時間がある。余裕を持って対応に当たることが出来るだろう。それでも、失敗すれば大惨事に発展する可能性もあり得る。
一般的に妖が人間以外を攻撃するようなケースはレアだ。全国津々浦々に十分な警戒が行われている訳ではない。今回はそうした警戒をすり抜けた形になる。
「それと……上手く言えないけどこの事件、嫌な予感がするの。上手く言えないけど、すごく嫌な感じ」
これが麦の様子がおかしい理由なのだろう。元々、あまり論理的に話すことが得意なタイプではない。
だが精一杯元気を振り絞って、覚者達を送り出す。
「無事に帰って来てね? みんなのこと信じているから!」

■シナリオ詳細
■成功条件
1.妖の討伐
2.線路を守る
3.なし
2.線路を守る
3.なし
すっかり暖かくなった季節に、KSK(けー・えす・けー)です。
今回は妖と戦っていただきます。
基本的に純粋戦闘、真っ向勝負と参りましょう。
●戦場
奈良県山中の一角になります。
時刻は夜です。
足場に問題はありませんが、明かりは不足しています。
●妖
・氷熊(ひぐま)
動物系の妖でランクは2。周囲に凍気を漂わせた巨大な熊です。並みの熊よりも巨大な姿をしています。動物系としては反応速度は遅いが、攻撃力が高い。
能力は下記。
1.暴れまくり 物近列 弱体
2.氷の吐息 特近列貫2[100%,50%] 凍傷
3.締め付け 物近単 負荷
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
7日
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2016年05月18日
2016年05月18日
■メイン参加者 8人■

●
妖の咆哮が山中に響き渡る。
そこに宿る感情は、怒りか哀しみか。
だが、その起きうる破壊を止めるため、覚者達はこの地にやって来た。
「妖熊、冬眠、遅れて目覚め?」
岩倉・盾護(CL2000549)の口調は、妖のそれと違って感情がこもっていないかのように聞こえる。元々、ぼーっとしていることが多く、縁側で日向ぼっこでもしているのが似合う少年なのである。
だが、いざ戦いとなれば話は別。普段と裏腹な素早い動きを見せ、敵の攻撃から味方を守り抜く最硬の盾となるのだ。
「人里、向かわせる、危険。ちゃんと退治」
両腕に盾を握り締め、その視界に妖の姿を収めると、守護使役のりゅうごに周囲を照らさせる。
光が広がっていく中で、『二兎の救い手』明石・ミュエル(CL2000172)は考え込んでしまう。
「人を、直接襲わないで、鉄道を破壊しようとするなんて……」
今までミュエルが相手にしてきた妖の多くは、高い知性を持っていない。それを考えると、この相手ははっきりと異質な相手だ。夢見に言われた「嫌な予感」という言葉も相俟って、怖い想像が一気に膨れ上がってしまう。
「熊の妖、か。これまで人を襲うような事もなかったのに、どうしたんだろうね」
指崎・まこと(CL2000087)も、いつもの穏やかな表情の裏で今回の事件への警戒を強めていた。
この妖も突然現れた訳ではあるまい。昔からここにいたようなものだったのだろう。にも拘らず、暴れ出すということは平時とは違う何かが起きているということだ。
「大岩さんが言っていた『嫌な予感』も気になる所だし、ただ倒すだけで終わり、じゃないかもしれないね。やれやれ、次の厄介ごとの種じゃなきゃいいんだけど……」
肩を竦めながらまことは飾り気の無い棒を握り締める。
ミュエルもほのかに金色の光を放つ杖を構える。妖との距離も縮まって来た。今更ここで考えた所で簡単に答えが出てはくれまい。一方、現在はっきりと分かっている事実もある。
「理由はともあれ、放置してたら、大事故になっちゃう……とにかく今は、食い止めることを、考えなきゃ」
だから、ミュエルは自分の気弱な心を奮い立たせる。
そうやって慎重に見守るものが多い中で、不死川・苦役(CL2000720)のテンションは違った。とびっきりの笑顔で妖の姿を認めると、我先にと駆け出した。
「春一番は吹いたのに! 何故か今頃やってきた! やってきたんだアイツが今頃! 何故か氷熊がやってきた!」
この男はいつだって変わらない。
不死川苦役は軽薄に笑い、戦場で暴れ回る。独善的で自己中心的に己の生を謳歌する。
あまりにも異常な光景だが、この男に関して言えば平常運転そのものだ。
「とりあえず線路を守るならその氷の射程外に線路を置くまで接敵しねーとダメなのがメンドイよねー。おう、今日は熊鍋だ!」
「さ、始めようかの、お前様方」
そんな苦役に構わず、『樹の娘』檜山・樹香(CL2000141)は瀟洒な仕草で薙刀を構える。
覚者と妖の距離は、既にいつでも互いを攻撃できる距離に入っていた。樹香はいつも以上の集中力を持って、妖に立ち向かう。夢見の言った「嫌な予感」の正体が分からない以上、後は自分達が現場で対応するしかない。
多数の夢見を擁することはFIVEの強みであるが、それだけに頼ってしまっては覚者をやってはいられない。
「そこから先、行かせるつもりはないぞ。さあ、ここでワシ等と仕合おうではないか」
「まぁ、まずは目の前の問題を片付けるとしますか。下手の考え休むに似たりって言うしな」
樹香の言葉を合図として、『花屋装甲擲弾兵』田場・義高(CL2001151)は鱗の紋様が描かれた斧を大地から抜き放ち、体内に宿る炎を活性化させる。
斧の刃はぎざぎざに波打っており、あたかも鰐の歯のようだ。その重厚な刃が振り下ろされるだけでも相手はただでは済むまい。そして、操る義高自身も武器にふさわしく、精悍な肉体の持ち主だ。これ程、この斧を振るうのが似合う男はそうもいないだろう。
「傷が軽視できなくなったら、回復をお願いすんぜ」
軽く言葉を告げると、義高は妖に斬りかかって行く。
たちまち覚者と妖の戦いが始まる。相手の数は少ないがそのタフネスや攻撃力は決して油断できるものではない。「嫌な予感」を抜きにしても十分に手強い相手と言えるだろう。
妖の獰猛な姿に宮神・羽琉(CL2001381)は怯えを隠せないでいた。
「1対8ならって、思ってしまったわけだけど、そんなんで3m以上ある熊が怖くなくなったら苦労しないよね!?」
自分達が優位に立っていたとしても、敵の強さが変わる訳でも無い。妖ではないただの熊にしたって、人間よりも身体能力は上なのだ。覚者になったからと言って安心できるとは言えない。
ましてや、羽琉は発現して間もない覚者なのだ。こうした妖の事件に関わるなど冗談じゃないと思って日々を過ごしている。
「い、いけない。にげちゃだめだ、おちつかないと」
羽琉は口の中が乾いているのを感じる。だが、誰かを見捨てた先を考えると辛くなる優しさを持つ少年でもあった。
だから、少しでも妖を止めるべく覚悟を決める。
「ウーン、動物は好きデスガ、熊程になると流石に少し怖いデスネー」
そして、『『恋路の守護者』』リーネ・ブルツェンスカ(CL2000862)は、警戒を強めながらライフルを手に妖との距離を詰める。何事が起きているかは分からないが、ここまで来れば普段目にする妖と気配が違うことは感じられた。
そんなリーネに竜巻のように振り回される妖の腕が叩きつけられる。だが、彼女は慌てない。
「グォォォォォォン!?」
悲鳴を上げるのはむしろ妖の方だった。
リーネの体の周りには、既に身を守るための防御シールドが形成されていた。
「『嫌な予感』の正体、ハッキリ言ってサッパリ解りマセンガ!」
余裕を持って回復効果を持つ霧の生成を始めるリーネ。
「私なりにその『嫌な予感』に対応させてもらいまショウカ!」
この場で何が起きようとしているのか、覚者達は分からない。
それでも、果敢に彼らは戦いを開始するのだった。
●
始まった覚者と妖の戦い。
決して容易に進められるものではなかった。
妖は単体ではあるが、その膂力で覚者たちをまとめて薙ぎ払おうとしてくる。ましてや、夢見の告げる「嫌な予感」という言葉は、覚者たちに対して大きな心理的重圧を与えているのだ。
覚者達も妖に対して状態異常を与えることで弱体化を図るが、すぐに効果が出る訳ではない。
しかし、そんな状況にあっても覚者たちは想定し得る最悪に備え、行動し得る最善を尽くす。
「さて、今回は氷を操る妖との戦いじゃ。今回のような人間以外を襲う妖は稀じゃと聞くの」
薙刀でけん制しつつ、樹香は妖に向けて植物の種を飛ばす。するとどうしたことか。種子は舞い踊るように急成長を遂げて、妖の自由を奪っていく。
その様を確認しつつ、周囲に対して感覚を広げていった。
幸いそこそこ開けた場所は取れた。あとは油断せず、取り乱すことなく妖を討ち取れば「嫌な予感」があろうと事態を終わらせることが出来る。
「泰然自若、じゃよ」
樹香は妖に向かって不敵な笑みを浮かべた。
「それにしても、動物系の妖? いつから凍気漂わせるようなやつを動物型っていうことになったんだ?」
鬱陶しげに周囲に漂う冷気を払いながら、義高は軽口を叩く。
この程度の凍気で、彼の内側から燃える炎を消すことなど出来はしない。
もちろん、彼にだって「嫌な予感」への危惧はある。変なものに寄生されて、暴れようとしているのなら、倒した後でそれが暴れだすのかもしれない。
それでも、今はそんなことを考えている場合じゃない。
「おいおい、痛ぇじゃねぇ……か!」
殴りつけられた痛みを介することなく、義高は斧を振り下ろす。すると、妖の血があふれ出した。
自分の鎧に付けられた傷は、妖の魂を刻まれたのだ。文句を言うようなものではない。
そして、そのまま反撃をくれてやる。
義高の一撃に、妖がのけぞった。そのタイミングを羽琉は鷹のように鋭い瞳で捕える。もちろん、生まれた隙を逃さず撃てるほど、彼は戦いに熟達していない。それは自分が良く知っている。
今だって膝の震えは止まらない。
妖が上げた苦しみの悲鳴にだって恐怖を感じる。
遠距離から攻撃出来れば気楽なのに、とも思ってしまう。
それでも、
「当たりさえすれば、無駄にはならないんだ……だから、良く狙って……!」
羽琉は妖を倒すチームの一員としてここにやって来たのだ。
弓を持つような構えから高圧縮した空気を撃ち込む。その一瞬、羽琉は紛れも無く、未知の脅威に対して手に入れた『力』という真実で立ち向かうもの――覚者だった。
そう、相手が如何に強大な相手であろうと、覚者達は引き下がらない。彼らの後ろには、ただ鉄道があるという訳ではない。護るべき無数の人々がいるのだ。
だから、まこともその白い翼を凍りつかせながら、仲間を護るために羽ばたかせる。
「危なくなったら交代するから、無理しないでね」
いつものように柔らかな笑顔を周りの仲間に向けるまこと。だが、命数を燃やして攻撃に耐える彼の方が周りよりも重傷なのは、誰の目にも明らかだった。
空中に位置取ることで攻撃を分散させた結果、まことは結果的に被弾数が増えた。空中ではどうしたって隙が増えて、防御力は大きく減じる。
しかし、負ったリスクに見合った結果を得ることは出来たと言えるだろう。
そして、妖の振り撒く冷え切った空気の中を突っ切って、苦役は直刀を叩きつける。
「じゃーん!!! そんな訳で厚着してきましたー! これはもうカンペキな対策な訳ですよ奥さん!!」
何が楽しいのかけらけらと笑いながら、苦役はさながら狂人のように刃を振るう。
彼の手に握られた刀の刀身は、曰くつきの刀を打ち直し磨上げたものである。そんな尋常のものではない武器を、彼は楽しげに振るう。いや、存外武器の方から振られたがっているのかも知れない。
「しっかし嫌な予感て何さ。魔法少女が現れて爆破でもすんのかね!? 終ったら見に行かないとなー。凍って脱線、電線が断線とかなったら迷惑千万だしねー」
妖に話しかけるように喋りながら、苦役の刃が舞う。
そこへ返事と言う訳でもあるまいが、妖の腕が襲い掛かる。だが、その攻撃が苦役を捉えることは無かった。
「盾役、盾護、得意。攻撃、しっかり受け止め」
防いだのは盾護の構える盾だ。それを支える鋼鉄の腕の力も相俟って、攻撃の威力を最低限に抑える。
並みの人間だったらそのまま吹き飛ばされてしまうような一撃である。にも拘らず、大地に根でも張っているかのように盾護が動くことは無い。何も知らないものが見れば、彼の表情が動かないのを見て、大した攻撃では無かったのだと勘違いしてしまうだろう。
しかし、妖の怒りに満ちた顔を見れば、今の攻撃が十分な悪意と殺意を持ったものであることは明らかだった。
次第に優劣は見えてきた。
まとめて攻撃しようという妖の戦法を、覚者たちは逆手に取った。防御を固め、カウンターを入れる態勢さえ整えてしまえば、妖の戦い方は容易に覆すことが出来る。
回復を行い耐えることで、覚者たちは見事に優位を勝ち取った。さらに、戦闘の序盤で妖に対して与えた状態異常は見事に花開いて、妖の余力を大きく奪っていた。
そんな中で、再び覚者達の頭に「嫌な予感」の話が鎌首をもたげてきた。
「そう言えば、愛しの彼は言ってました。『偶然や不自然な要素が2つ以上重なれば疑え。3つ重なれば確信しろ』ト……」
リーネは愛しの彼のクールな横顔とその言葉をふと思い出す。少なくともここには疑うに値する状況は揃っている。後1つ何かのピースが見つかれば、この近辺で何かが起きているということは確信に変わる。
だからこそ、この場で倒れる訳にはいかない。ここで覚者達が倒れれば最悪が始まってしまう可能性があるのだ。
「サァ、あと一息デース!」
そう言って、リーネは仲間達に向かって回復効果を帯びた霧を与える。
これで活力を得た覚者達は、最後にひと踏ん張りと妖に対して苛烈な攻撃を叩き込んでいった。
「もしかして……妖になる前は、この路線で事故に遭った熊、とか……? もし、そういうことなら……路線を襲うのは、納得いく、かも……?」
ミュエルは心根の優しい娘だ。
このような状況であっても、妖に対して想いを抱いてしまう。だが、それでも妖の勝利が大きな悲劇を呼び込むというのなら放置は出来ない。
ミュエルは手元に現れた植物のつるを鞭のように操り、しならせて打ち付ける。
自分が扱える木行の力を尽くして彼女は妖に挑む。香りで身体能力を弱め、毒で体力を奪い、そして確実に打撃を与える。
単純な身体能力なら妖の方が人間より優れているだろう。だが、力を合わせることで人間はそれを乗り越えることが出来るのだ。
そして、さしもの妖もいよいよ力尽きてきた。はっきりと動きが鈍っている。
「……そんなに恨めしそうな目を向けなさんな」
「良い加減っ、挽き肉になってくんねーかな!! おっとそっちは通行止めだ、違反キップ切られちまうぜ?」
義高は苦笑を浮かべると、斧を握り直す。
苦役は笑いながら、刀を低く構えた。相変わらず、目だけは嗤っていない。
そこから放たれる2つの斬撃。それが妖の体を捕えた。さしもの妖も、これを受けて耐えきることは出来なかった。
月の光が照らす中、妖はその身を大地へと横たえるのだった。
●
戦いが終わっても覚者達の息は張りつめたままだった。周囲に対して意識を張り巡らし、倒れた妖に対しても警戒を解かなかった。
しばらくして、ミュエルが罠のようなものが無いことを告げる。また、まことが近くに敵がいないことを確認したことで、ようやく覚者達は一息つくことが出来るようになった。
「ランク3並に、知能が高いのか……それとも、第三者に、そう仕向けられてるとか……?」
「鉄道を狙うことが人間に影響を及ぼすことは分かっていた、ということかのう」
場にいた覚者達は、この妖がただの狂乱から鉄道を狙っていたのでないことを感じ取っていた。何らかの目的のために動いていた。そして、抱えていた憎しみは全ての妖が抱えているのと同じ、人間を滅ぼそうとする想いだった。
その背後にあるものの正体は知れないが、確実に何かが動いている。
「AAAなら何か知ってるかもね」
羽琉に肩を貸してもらいながら、まことは笑みを浮かべる。
怪我をおしてまことが周囲を捜索した所、近くで人間と妖が交戦した痕跡があった。その中には、AAAが関わっていると思しきものもある。
「それよりも、今は大人しくしていてくださいよ!」
その横で羽琉が悲鳴を上げる。
戦闘後、まことは周りの治療に当たろうとしていたが、どうみても一番怪我が深いのは彼自身だ。
この激戦も、これから始まる事件の先ぶれに過ぎない。
だが、覚者達は謎の妖に対して、確かな楔を打ち込んだ。未知の脅威に対して立ち向かっていくものこそ、覚者なのだから。
妖の咆哮が山中に響き渡る。
そこに宿る感情は、怒りか哀しみか。
だが、その起きうる破壊を止めるため、覚者達はこの地にやって来た。
「妖熊、冬眠、遅れて目覚め?」
岩倉・盾護(CL2000549)の口調は、妖のそれと違って感情がこもっていないかのように聞こえる。元々、ぼーっとしていることが多く、縁側で日向ぼっこでもしているのが似合う少年なのである。
だが、いざ戦いとなれば話は別。普段と裏腹な素早い動きを見せ、敵の攻撃から味方を守り抜く最硬の盾となるのだ。
「人里、向かわせる、危険。ちゃんと退治」
両腕に盾を握り締め、その視界に妖の姿を収めると、守護使役のりゅうごに周囲を照らさせる。
光が広がっていく中で、『二兎の救い手』明石・ミュエル(CL2000172)は考え込んでしまう。
「人を、直接襲わないで、鉄道を破壊しようとするなんて……」
今までミュエルが相手にしてきた妖の多くは、高い知性を持っていない。それを考えると、この相手ははっきりと異質な相手だ。夢見に言われた「嫌な予感」という言葉も相俟って、怖い想像が一気に膨れ上がってしまう。
「熊の妖、か。これまで人を襲うような事もなかったのに、どうしたんだろうね」
指崎・まこと(CL2000087)も、いつもの穏やかな表情の裏で今回の事件への警戒を強めていた。
この妖も突然現れた訳ではあるまい。昔からここにいたようなものだったのだろう。にも拘らず、暴れ出すということは平時とは違う何かが起きているということだ。
「大岩さんが言っていた『嫌な予感』も気になる所だし、ただ倒すだけで終わり、じゃないかもしれないね。やれやれ、次の厄介ごとの種じゃなきゃいいんだけど……」
肩を竦めながらまことは飾り気の無い棒を握り締める。
ミュエルもほのかに金色の光を放つ杖を構える。妖との距離も縮まって来た。今更ここで考えた所で簡単に答えが出てはくれまい。一方、現在はっきりと分かっている事実もある。
「理由はともあれ、放置してたら、大事故になっちゃう……とにかく今は、食い止めることを、考えなきゃ」
だから、ミュエルは自分の気弱な心を奮い立たせる。
そうやって慎重に見守るものが多い中で、不死川・苦役(CL2000720)のテンションは違った。とびっきりの笑顔で妖の姿を認めると、我先にと駆け出した。
「春一番は吹いたのに! 何故か今頃やってきた! やってきたんだアイツが今頃! 何故か氷熊がやってきた!」
この男はいつだって変わらない。
不死川苦役は軽薄に笑い、戦場で暴れ回る。独善的で自己中心的に己の生を謳歌する。
あまりにも異常な光景だが、この男に関して言えば平常運転そのものだ。
「とりあえず線路を守るならその氷の射程外に線路を置くまで接敵しねーとダメなのがメンドイよねー。おう、今日は熊鍋だ!」
「さ、始めようかの、お前様方」
そんな苦役に構わず、『樹の娘』檜山・樹香(CL2000141)は瀟洒な仕草で薙刀を構える。
覚者と妖の距離は、既にいつでも互いを攻撃できる距離に入っていた。樹香はいつも以上の集中力を持って、妖に立ち向かう。夢見の言った「嫌な予感」の正体が分からない以上、後は自分達が現場で対応するしかない。
多数の夢見を擁することはFIVEの強みであるが、それだけに頼ってしまっては覚者をやってはいられない。
「そこから先、行かせるつもりはないぞ。さあ、ここでワシ等と仕合おうではないか」
「まぁ、まずは目の前の問題を片付けるとしますか。下手の考え休むに似たりって言うしな」
樹香の言葉を合図として、『花屋装甲擲弾兵』田場・義高(CL2001151)は鱗の紋様が描かれた斧を大地から抜き放ち、体内に宿る炎を活性化させる。
斧の刃はぎざぎざに波打っており、あたかも鰐の歯のようだ。その重厚な刃が振り下ろされるだけでも相手はただでは済むまい。そして、操る義高自身も武器にふさわしく、精悍な肉体の持ち主だ。これ程、この斧を振るうのが似合う男はそうもいないだろう。
「傷が軽視できなくなったら、回復をお願いすんぜ」
軽く言葉を告げると、義高は妖に斬りかかって行く。
たちまち覚者と妖の戦いが始まる。相手の数は少ないがそのタフネスや攻撃力は決して油断できるものではない。「嫌な予感」を抜きにしても十分に手強い相手と言えるだろう。
妖の獰猛な姿に宮神・羽琉(CL2001381)は怯えを隠せないでいた。
「1対8ならって、思ってしまったわけだけど、そんなんで3m以上ある熊が怖くなくなったら苦労しないよね!?」
自分達が優位に立っていたとしても、敵の強さが変わる訳でも無い。妖ではないただの熊にしたって、人間よりも身体能力は上なのだ。覚者になったからと言って安心できるとは言えない。
ましてや、羽琉は発現して間もない覚者なのだ。こうした妖の事件に関わるなど冗談じゃないと思って日々を過ごしている。
「い、いけない。にげちゃだめだ、おちつかないと」
羽琉は口の中が乾いているのを感じる。だが、誰かを見捨てた先を考えると辛くなる優しさを持つ少年でもあった。
だから、少しでも妖を止めるべく覚悟を決める。
「ウーン、動物は好きデスガ、熊程になると流石に少し怖いデスネー」
そして、『『恋路の守護者』』リーネ・ブルツェンスカ(CL2000862)は、警戒を強めながらライフルを手に妖との距離を詰める。何事が起きているかは分からないが、ここまで来れば普段目にする妖と気配が違うことは感じられた。
そんなリーネに竜巻のように振り回される妖の腕が叩きつけられる。だが、彼女は慌てない。
「グォォォォォォン!?」
悲鳴を上げるのはむしろ妖の方だった。
リーネの体の周りには、既に身を守るための防御シールドが形成されていた。
「『嫌な予感』の正体、ハッキリ言ってサッパリ解りマセンガ!」
余裕を持って回復効果を持つ霧の生成を始めるリーネ。
「私なりにその『嫌な予感』に対応させてもらいまショウカ!」
この場で何が起きようとしているのか、覚者達は分からない。
それでも、果敢に彼らは戦いを開始するのだった。
●
始まった覚者と妖の戦い。
決して容易に進められるものではなかった。
妖は単体ではあるが、その膂力で覚者たちをまとめて薙ぎ払おうとしてくる。ましてや、夢見の告げる「嫌な予感」という言葉は、覚者たちに対して大きな心理的重圧を与えているのだ。
覚者達も妖に対して状態異常を与えることで弱体化を図るが、すぐに効果が出る訳ではない。
しかし、そんな状況にあっても覚者たちは想定し得る最悪に備え、行動し得る最善を尽くす。
「さて、今回は氷を操る妖との戦いじゃ。今回のような人間以外を襲う妖は稀じゃと聞くの」
薙刀でけん制しつつ、樹香は妖に向けて植物の種を飛ばす。するとどうしたことか。種子は舞い踊るように急成長を遂げて、妖の自由を奪っていく。
その様を確認しつつ、周囲に対して感覚を広げていった。
幸いそこそこ開けた場所は取れた。あとは油断せず、取り乱すことなく妖を討ち取れば「嫌な予感」があろうと事態を終わらせることが出来る。
「泰然自若、じゃよ」
樹香は妖に向かって不敵な笑みを浮かべた。
「それにしても、動物系の妖? いつから凍気漂わせるようなやつを動物型っていうことになったんだ?」
鬱陶しげに周囲に漂う冷気を払いながら、義高は軽口を叩く。
この程度の凍気で、彼の内側から燃える炎を消すことなど出来はしない。
もちろん、彼にだって「嫌な予感」への危惧はある。変なものに寄生されて、暴れようとしているのなら、倒した後でそれが暴れだすのかもしれない。
それでも、今はそんなことを考えている場合じゃない。
「おいおい、痛ぇじゃねぇ……か!」
殴りつけられた痛みを介することなく、義高は斧を振り下ろす。すると、妖の血があふれ出した。
自分の鎧に付けられた傷は、妖の魂を刻まれたのだ。文句を言うようなものではない。
そして、そのまま反撃をくれてやる。
義高の一撃に、妖がのけぞった。そのタイミングを羽琉は鷹のように鋭い瞳で捕える。もちろん、生まれた隙を逃さず撃てるほど、彼は戦いに熟達していない。それは自分が良く知っている。
今だって膝の震えは止まらない。
妖が上げた苦しみの悲鳴にだって恐怖を感じる。
遠距離から攻撃出来れば気楽なのに、とも思ってしまう。
それでも、
「当たりさえすれば、無駄にはならないんだ……だから、良く狙って……!」
羽琉は妖を倒すチームの一員としてここにやって来たのだ。
弓を持つような構えから高圧縮した空気を撃ち込む。その一瞬、羽琉は紛れも無く、未知の脅威に対して手に入れた『力』という真実で立ち向かうもの――覚者だった。
そう、相手が如何に強大な相手であろうと、覚者達は引き下がらない。彼らの後ろには、ただ鉄道があるという訳ではない。護るべき無数の人々がいるのだ。
だから、まこともその白い翼を凍りつかせながら、仲間を護るために羽ばたかせる。
「危なくなったら交代するから、無理しないでね」
いつものように柔らかな笑顔を周りの仲間に向けるまこと。だが、命数を燃やして攻撃に耐える彼の方が周りよりも重傷なのは、誰の目にも明らかだった。
空中に位置取ることで攻撃を分散させた結果、まことは結果的に被弾数が増えた。空中ではどうしたって隙が増えて、防御力は大きく減じる。
しかし、負ったリスクに見合った結果を得ることは出来たと言えるだろう。
そして、妖の振り撒く冷え切った空気の中を突っ切って、苦役は直刀を叩きつける。
「じゃーん!!! そんな訳で厚着してきましたー! これはもうカンペキな対策な訳ですよ奥さん!!」
何が楽しいのかけらけらと笑いながら、苦役はさながら狂人のように刃を振るう。
彼の手に握られた刀の刀身は、曰くつきの刀を打ち直し磨上げたものである。そんな尋常のものではない武器を、彼は楽しげに振るう。いや、存外武器の方から振られたがっているのかも知れない。
「しっかし嫌な予感て何さ。魔法少女が現れて爆破でもすんのかね!? 終ったら見に行かないとなー。凍って脱線、電線が断線とかなったら迷惑千万だしねー」
妖に話しかけるように喋りながら、苦役の刃が舞う。
そこへ返事と言う訳でもあるまいが、妖の腕が襲い掛かる。だが、その攻撃が苦役を捉えることは無かった。
「盾役、盾護、得意。攻撃、しっかり受け止め」
防いだのは盾護の構える盾だ。それを支える鋼鉄の腕の力も相俟って、攻撃の威力を最低限に抑える。
並みの人間だったらそのまま吹き飛ばされてしまうような一撃である。にも拘らず、大地に根でも張っているかのように盾護が動くことは無い。何も知らないものが見れば、彼の表情が動かないのを見て、大した攻撃では無かったのだと勘違いしてしまうだろう。
しかし、妖の怒りに満ちた顔を見れば、今の攻撃が十分な悪意と殺意を持ったものであることは明らかだった。
次第に優劣は見えてきた。
まとめて攻撃しようという妖の戦法を、覚者たちは逆手に取った。防御を固め、カウンターを入れる態勢さえ整えてしまえば、妖の戦い方は容易に覆すことが出来る。
回復を行い耐えることで、覚者たちは見事に優位を勝ち取った。さらに、戦闘の序盤で妖に対して与えた状態異常は見事に花開いて、妖の余力を大きく奪っていた。
そんな中で、再び覚者達の頭に「嫌な予感」の話が鎌首をもたげてきた。
「そう言えば、愛しの彼は言ってました。『偶然や不自然な要素が2つ以上重なれば疑え。3つ重なれば確信しろ』ト……」
リーネは愛しの彼のクールな横顔とその言葉をふと思い出す。少なくともここには疑うに値する状況は揃っている。後1つ何かのピースが見つかれば、この近辺で何かが起きているということは確信に変わる。
だからこそ、この場で倒れる訳にはいかない。ここで覚者達が倒れれば最悪が始まってしまう可能性があるのだ。
「サァ、あと一息デース!」
そう言って、リーネは仲間達に向かって回復効果を帯びた霧を与える。
これで活力を得た覚者達は、最後にひと踏ん張りと妖に対して苛烈な攻撃を叩き込んでいった。
「もしかして……妖になる前は、この路線で事故に遭った熊、とか……? もし、そういうことなら……路線を襲うのは、納得いく、かも……?」
ミュエルは心根の優しい娘だ。
このような状況であっても、妖に対して想いを抱いてしまう。だが、それでも妖の勝利が大きな悲劇を呼び込むというのなら放置は出来ない。
ミュエルは手元に現れた植物のつるを鞭のように操り、しならせて打ち付ける。
自分が扱える木行の力を尽くして彼女は妖に挑む。香りで身体能力を弱め、毒で体力を奪い、そして確実に打撃を与える。
単純な身体能力なら妖の方が人間より優れているだろう。だが、力を合わせることで人間はそれを乗り越えることが出来るのだ。
そして、さしもの妖もいよいよ力尽きてきた。はっきりと動きが鈍っている。
「……そんなに恨めしそうな目を向けなさんな」
「良い加減っ、挽き肉になってくんねーかな!! おっとそっちは通行止めだ、違反キップ切られちまうぜ?」
義高は苦笑を浮かべると、斧を握り直す。
苦役は笑いながら、刀を低く構えた。相変わらず、目だけは嗤っていない。
そこから放たれる2つの斬撃。それが妖の体を捕えた。さしもの妖も、これを受けて耐えきることは出来なかった。
月の光が照らす中、妖はその身を大地へと横たえるのだった。
●
戦いが終わっても覚者達の息は張りつめたままだった。周囲に対して意識を張り巡らし、倒れた妖に対しても警戒を解かなかった。
しばらくして、ミュエルが罠のようなものが無いことを告げる。また、まことが近くに敵がいないことを確認したことで、ようやく覚者達は一息つくことが出来るようになった。
「ランク3並に、知能が高いのか……それとも、第三者に、そう仕向けられてるとか……?」
「鉄道を狙うことが人間に影響を及ぼすことは分かっていた、ということかのう」
場にいた覚者達は、この妖がただの狂乱から鉄道を狙っていたのでないことを感じ取っていた。何らかの目的のために動いていた。そして、抱えていた憎しみは全ての妖が抱えているのと同じ、人間を滅ぼそうとする想いだった。
その背後にあるものの正体は知れないが、確実に何かが動いている。
「AAAなら何か知ってるかもね」
羽琉に肩を貸してもらいながら、まことは笑みを浮かべる。
怪我をおしてまことが周囲を捜索した所、近くで人間と妖が交戦した痕跡があった。その中には、AAAが関わっていると思しきものもある。
「それよりも、今は大人しくしていてくださいよ!」
その横で羽琉が悲鳴を上げる。
戦闘後、まことは周りの治療に当たろうとしていたが、どうみても一番怪我が深いのは彼自身だ。
この激戦も、これから始まる事件の先ぶれに過ぎない。
だが、覚者達は謎の妖に対して、確かな楔を打ち込んだ。未知の脅威に対して立ち向かっていくものこそ、覚者なのだから。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし
