【FiVE村】すねこすり牧場をつくろう!
●古妖と共存する村?
覚えているであろうか、今から遡ることおよそ二ヶ月前に某県某所某廃村の土地をまるごと買い取りあとはどうぞご自由にとばかりに明け渡されたF.i.V.E覚者たちは村長と大工という集落とも言いがたい初期村民と共に『F.i.V.E村プロジェクト』を発足させたのであった。
しかしバイタリティあふれる覚者たちはおおよその予想を裏切り大半の期待に応えるという斜め上の復興活動を開始。そのお題目はなんと『古妖と共存する村』だという。
本当に大丈夫なのか企画だけで倒れてしまわないかどうなのか。題目を立てただけでどこからともなく古妖が沸いて出てくるなどということはないぞと身構えていたのは誰だったか、プロジェクト管理者となったメンバーたちによって次々に集められた古妖によって今や人と古妖の対比は1対5を超え、むしろ人の方を増やさないと妖怪横丁になっちまうぞとばかりに村長が急ごしらえで作ったのがこの――!
「『すねこすり牧場』じゃ!」
以上、前回のあらすじである。
「いや村長、牧場って言ってもトラロープで囲っただけのまっさらな土地じゃあないですかい」
大工のゲンさんに付き合って村へ通うようになった鳶職人のゴンさんはロープをたゆんたゆんさせてぼやいた。
「しょーがなーいじゃろー?」
無駄に可愛く首をかしげる村長。
「この土地では自給自足もままならん。貯金をはたいて自宅の小屋を建てるのがやっとなんじゃ」
後ろでロープを飛び越えていくすねこすり。
「収入源ないっすからね、この村」
後ろでロープを飛び越えていくすねこすり。
「ふぁいう゛さんから送られてきた『すねこすり』はその辺のネコくらいに無害らしいから、これでもなんとかなるじゃろ」
後ろでロープを飛び越えていくすねこすり。
「そーっすかね。俺ネコ飼ってるけど、すぐ家を抜け出しますよ」
後ろでロープを飛び越えていくすねこすり。
同時に振り返るゴンさんと村長。
「「スネコスリガニゲテルゥ!!」」
さーあトラブルのはじまりだ!
●現在のFiVE村
テーマ:古妖と共存する村
村名:王子マッチョマックス村(数名はもうこの名前で認識している。やばいぞ)
村長:プリンス王子
建物:副村長宅兼集会場×1、小民家×1
一般住民:副村長、ゲンさん(大工)
古妖住民:ぬりかべ、一反木綿、青女房、辰巳
水道光熱:二件分だけ確保(大規模工事費用の獲得が必要です)
セキュリティ:野犬を防げる程度
食糧自給:家庭菜園程度
資金源:なし
覚えているであろうか、今から遡ることおよそ二ヶ月前に某県某所某廃村の土地をまるごと買い取りあとはどうぞご自由にとばかりに明け渡されたF.i.V.E覚者たちは村長と大工という集落とも言いがたい初期村民と共に『F.i.V.E村プロジェクト』を発足させたのであった。
しかしバイタリティあふれる覚者たちはおおよその予想を裏切り大半の期待に応えるという斜め上の復興活動を開始。そのお題目はなんと『古妖と共存する村』だという。
本当に大丈夫なのか企画だけで倒れてしまわないかどうなのか。題目を立てただけでどこからともなく古妖が沸いて出てくるなどということはないぞと身構えていたのは誰だったか、プロジェクト管理者となったメンバーたちによって次々に集められた古妖によって今や人と古妖の対比は1対5を超え、むしろ人の方を増やさないと妖怪横丁になっちまうぞとばかりに村長が急ごしらえで作ったのがこの――!
「『すねこすり牧場』じゃ!」
以上、前回のあらすじである。
「いや村長、牧場って言ってもトラロープで囲っただけのまっさらな土地じゃあないですかい」
大工のゲンさんに付き合って村へ通うようになった鳶職人のゴンさんはロープをたゆんたゆんさせてぼやいた。
「しょーがなーいじゃろー?」
無駄に可愛く首をかしげる村長。
「この土地では自給自足もままならん。貯金をはたいて自宅の小屋を建てるのがやっとなんじゃ」
後ろでロープを飛び越えていくすねこすり。
「収入源ないっすからね、この村」
後ろでロープを飛び越えていくすねこすり。
「ふぁいう゛さんから送られてきた『すねこすり』はその辺のネコくらいに無害らしいから、これでもなんとかなるじゃろ」
後ろでロープを飛び越えていくすねこすり。
「そーっすかね。俺ネコ飼ってるけど、すぐ家を抜け出しますよ」
後ろでロープを飛び越えていくすねこすり。
同時に振り返るゴンさんと村長。
「「スネコスリガニゲテルゥ!!」」
さーあトラブルのはじまりだ!
●現在のFiVE村
テーマ:古妖と共存する村
村名:王子マッチョマックス村(数名はもうこの名前で認識している。やばいぞ)
村長:プリンス王子
建物:副村長宅兼集会場×1、小民家×1
一般住民:副村長、ゲンさん(大工)
古妖住民:ぬりかべ、一反木綿、青女房、辰巳
水道光熱:二件分だけ確保(大規模工事費用の獲得が必要です)
セキュリティ:野犬を防げる程度
食糧自給:家庭菜園程度
資金源:なし

■シナリオ詳細
■成功条件
1.まずはすねこすりをつかまえようか
2.村の今後を考えようか
3.なし
2.村の今後を考えようか
3.なし
このシリーズは大体一ヶ月に一回ずつOPが公開され、前作参加者には参加優先権が付与されます。もちろん途中離脱もOK!
あなたの知恵と力が村を作っていくのです。
補足が長いですが、要約すると『依頼の趣旨』『プレイング・リプレイのパート分け』『住民との描写について』の三点です。
●第二段階:すねこすり牧場をつくろう
F.i.V.Eに頼んで古妖『すねこすり』を十匹くらい送って貰ったF.i.V.E村。
けど完璧な収容施設まで作っちゃったらもうそれパパにお家買って貰うボンボンじゃねーか自分でやるわよパパのバカとばかりに牧場らしきものを作ろうとしたがやっぱり金が無くかつてのリバイバルのごとくすねこすりは村中にぴょんぴょん逃げていったのであった。
まずはこの子らをとっ捕まえてから、工夫したすねこすり牧場を作ろう!
牧場の運営方法も工夫の内容もぜんぶがぜんぶメンバー任せです。
費用は今月分の支援金を割り当てます。ので、あんまハデなものは作れません。
作業はちゃんと大工さんがやってくれるので心配はいらないでしょう。
同時に、村の拡張についても会議を行ないます。
増やしたい施設ややるべき活動がある場合は提案をプレイングに書きましょう。
提案が無かった場合来月の予定がふんわりします。
●美味しい召し上がり方
プレイングはおおよそ二つに分かれます。
すねこすりを捕まえるプレイング。普通に追いかけてキャッチしてもいいですし、食べ物で釣ったり安全な罠をしかけたりしても結構です。
別に誰も死にゃあしないので楽しくつかまえましょう。
次にすねこすり牧場の建設です。
行間から『建設作業は手伝うかも』という文字を読み取ることにするので省略して頂いて構いません。
大事なのは施設にどんな工夫をするか。多少ヘンなことを言っても大工さんが匠の技で対応してくれます。逆に言うと具体的な建築技術やなんかは書く必要ありません。文字数かさむので。
さらには牧場を作るだけ作って放置するのはあんまりなので、運用方法を考えましょう。
牧場つってもすねこすりは繁殖とかしない……と思うので、本当にあの丸い物体をうろちょろさせるだけの施設になりかねません。
平たくいうと、がんばりましょう。
●住民になった人や古妖について
F.i.V.E村には続々人や古妖が移住してきています。
彼らとふれあうことは物理的には可能ですが描写権限的な壁があるので、それぞれの担当STが外伝シナリオを公開するまでお待ちください。
とはいえ『やろうと思えばなんでもできる』がアラタナルのいいとこなので、できる限りは頑張ってみたいと思います。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
相談日数
7日
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2016年04月27日
2016年04月27日
■メイン参加者 8人■

●すねこすり
思い出せない読者諸兄のためにおさらいしよう。
すねこすりとは、ネコとアンゴラウサギの中間くらいの生き物で、異様に丸っこくちょろちょろと動き回る小動物的古妖である。
古妖というのはドラゴンも宇宙人も異世界人もウィルスも幽霊も妖精も全部含んだ呼び名なので、ここはひとつ『すねこすりはすねこすりだ』と思って頂きたい。
さておき。以前F.i.V.Eをあげて大量に捕獲したすねこすりをまとめて山へ放つというラスカル的な解決をみたわけだが、ファイヴ村(現状『王子マッチョマックス村』)の古妖共存プランの第一歩として十匹ほどを村へ移送。流れるように村中へ飛び出して遊び回る事態になったのだった。
これがいかほどの事態かというと。
「ほーれほれ、同じもふもふだぞー」
『白い人』由比 久永(CL2000540)が羽扇をふりふりしてねこじゃらしよろしくおびき寄せようとする……くらいのふんわりした事態である。
「もっ!」
すねこすりが凄まじい勢いでダッシュしてきたかと思えば、久永の扇子……をスルーして久永のすねに頭突きを入れた。入れてから、すりっとやった。
よくネコがマーキングのために頬をすりつけるあの動作(通称ごっすり)に似ていた。
転倒しそうになりつつも、バランスをとって抱え上げる久永。
「まずは一匹だ」
「ただ立っているだけで向こうからすり寄ってくるので、ある程度は楽に捕まえられますね」
あえてすねを露出していた『蒼炎の道標』七海 灯(CL2000579)は、同じようにすねこすりを抱っこしてよしよししていた。
ちなみに。すねこすりはすねこすり内でも若干の個体差があるため、一概に『こういう習性の生き物ですよ』とは言いがたいところがある。
こういうことは古妖あるあるなのでいちいち気にしていない灯たちである。
「二人とも、ロープ……ロープを引いて!」
明後日の方向から走ってくる鈴白 秋人(CL2000565)。
すねにごっすりしにきたすねこすりたちと追いかけっこしていた秋人が、ネットトラップの上を走り抜ける。
タイミング良く灯がロープを引くと、数匹のすねこすりが網にかかって釣り上げられた。
ブレーキをかけて反転する秋人。
「ふう……これで、大人しい子たちは捕まえられたかな」
「あとは他のチームがうまくやってくれるでしょう」
秋人たちは汗をぬぐい、晴れた空を見上げた。
同じ空の下、『スマイル押し売り中!』ゆかり・シャイニング(CL2001288)と『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)は村の端ですねこすりと戯れていた。
「すねこすりって、クッキーも食べるのか。身体に悪かったりしないよな」
ゲイルは身を屈めて、すねこすりにクッキーのかけらを手から直接食べさせていた。
道ばたのネコにクッキーをやる勤め帰りのホストみたいで、いっそ神秘的ですらある光景だった。
「この村で飼育することで生態もわかってくるかもしれないですよね」
ゆかりは身を屈めて、袖から大量にぶらさがったキャンディですねこすりを釣り上げていた。
バラエティ企画に利用されたスター○野みたいで、いっそ神秘的ですらある光景だった。
「何を食べるのか。どんな習性があるのか。どういう寝床を好むのか。思えば私らなんにも知らないんですよね、この子らのこと」
一個体ですらわからないのだ。
いわんや古妖全般においてをや。
理解と交流は、これから無理にでも必要になってくるだろう。
「そういえば、この時点で既にいくらか移住してきているんでしたっけ?」
「ぬりかべ、一反木綿、一つ目小僧に青女房……だそうだ。軽く妖怪長屋だな」
「ゲゲゲの世界ですね!」
まああれも人と妖怪の共存がテーマなので、参考になる話ではある。
「一つ目小僧は豆腐屋の経営を始めたらしい。青女房も家事能力が異常に高いから生活はできているようだし……やろうと思ってできないことではなさそうだな。古妖と共存する村は」
「今は人型と小動物型だけだからいいですけど……この先ドラゴンとか巨人とか出てきたらどうするんでしょうね」
「あえてそれを利用して労働力に変換するというのも、アイデアとして考えておくべきかもしれんな」
二人はうんうんと頷き合うと、すねこすりを荷車のゲージに入れて歩き出した。
ゲイルから≪送受心・改≫による作業完了の知らせをを受け、『想い受け継ぎ‘最強’を目指す者』天楼院・聖華(CL2000348)はそばにいる仲間たちに声をかけた。
「他のこたちは捕まえたみたいだ。あとは俺たちだけだぜ!」
「残りは随分奥まで入って行っちゃったみたいだね」
周囲の情報を探る『罪なき人々の盾』鐡之蔵 禊(CL2000029)。
ただ探るだけではない。聖華は≪鋭聴力≫で耳を澄ませ、禊は≪かぎわける≫と≪熱感知≫で動物の痕跡を探っている。
周囲は木々が生い茂り、膝まで草が伸びている。鳥や虫の声が響き、ずっと遠くでは水の音もした。
自然が豊かなようで、何度かすねこすりと似たような小動物を見つけて『ハズレだー!』とかいってキャッキャしていたが、そろそろ終わりにしたい二人である。
「歩いてみた感じ、普通の田舎だね。狸とかが普通にいるし……季節によっては熊も出るかも」
「山のそばだもんな。水と空気は綺麗っぽいけど……あ、いた!」
そりゃーと言って茂みに飛び込む聖華。
慌てて駆け寄る禊。
すると、すねこすりを抱っこしした聖華が顔を出した。
「最後の一匹、ゲットだぜ!」
「グッ!」
親指を立ててにっこり笑う禊。
そこへ、『女帝』エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496)が優雅な足取りでやってきた。
「あら二人とも、こんなところまで入ってきていたの?」
「それはこっちの台詞だよ」
すねこすりの捕獲を任せて村を見て回っていたと聞いていたが、よもや森の中まで来ているとは。
「調べてみたんだけれど、F.i.V.Eが買い取った土地にはこの森も含まれているようね。人が住む環境じゃないから放置していたけれど、長年人の手がはいらなかったせいでより自然化が進んでいるみたいだわ」
言われてみれば、森の様子は猟師たちが出入りする森とは大きく趣が異なる。
十年単位で人から手放されていたのだ。妖被害があったせいで不法投棄業者すら近寄らず、ここら一体は人間以外の生態系が繁栄しているようだ。
キノコや野草が元気に育ち、小動物や虫によるサイクルが完璧にできあがっている。
もしガテン系でかつ虫を嫌がらない性分であれば、キノコの栽培なんかもできるだろう。
「知りたいことは分かったわ。集会場に戻って、会議をしましょう」
●村の今後に産業を
集会場(兼副村長宅)に集まった彼らは、村の今後についての会議を始めた。
ホワイトボードの前に立つゲイル。今回の(くじびきで決めた)議長である。
「ではまず、現状のおさらいからだ。すねこすりはネコの室内飼い設備と同じものを用意してもらった。倉とかわらない建物だから人は住めないが、定期的に手入れをすればすねこすりの生活に支障は出ないだろう」
久永がすすったお茶を置いて顔を上げる。
「来客を見越した施設は当分見送るということだな」
「古妖をよく思っていない人間は少なくない。そうした連中へのセキュリティが万全で無い以上、すねこすり牧場の運用法は警備が可能な小規模かつ限定的なものになる。具体的にはこうだ」
ホワイトボードに図解するゲイル。
カバーで補強した軽トラックにゲージを積み込み、そこへすねこすりを入れて村の外へ。
予め許可をとり、移動動物園の要領で定期的にイベントを行なうというものだ。
そのアイデアに大工のゲンさんが唸った。
「それなら軽トラ分の警備だけで済むな。最近入ってきたぬりかべさんたちに頼めばいい。あの人たちはそれなりに戦闘がこなせるそうだ」
「はい、それは身をもって……」
灯が苦笑しながら言った。なんだかんだあった仲である。
戦闘力を活かしつつ仕事も生まれるなら、それに超したことはないだろう。
ぱちんと手を合わせるゆかり。
「芸を仕込んで注目を集めて、ふれあいコーナーにして古妖のイメージアップにもつなげましょう! でもって、毛を刈ったり写真をとったりしてグッズ販売をつければ元を取れるんじゃないかと」
「大もうけは後から考えようぜ。まずはチャレンジだ、チャレンジ!」
「ちゃれんじー!」
イエーと言いながらハイタッチする聖華とゆかり。
ゲイルは咳払いして頷いた。
「すねこすりに関しては以上だ。次は各人からの提案を受けたい」
「じゃあ、俺から……」
ちいさく手を上げる秋人。
「数頭の山羊と搾乳機材を一式、仕入れることにしたよ。自腹でと思ったけど、妖被害で経営が止まっている農家があったから、そこから安価で譲り受けることができたよ。ノウハウも教えて貰えるかもしれない」
一つ目小僧が豆腐を作って、副村長が移動販売を請け負っている。
このルートにミルクやチーズをのせることでより利益が上げられるだろう。
フィールドは余っているし、山羊が暫く食べるに困らない程度の草はそこらじゅうに生えているので、今のところはローコストで運営できるはずだ。
食べていた卵豆腐を急いで飲み込んで手を上げる禊。
「それって、古妖さんの手を借りれないかな。家事能力の得意な人、いたよね」
「青女房さんですか?」
灯である。勧誘したのは彼女なので、その能力についても知っていた。
「覚えれば早いと思います。働き者なかたですから」
「なら、山菜採りや狩猟はどうかな。高級料亭の飾り葉を売るっていう手もある。村にあるものをそのまま資源にできれば、当面の資金にはなるよ」
秋人の発現に、エレメンツィアはなるほどと頷いた。
「確かに、新たに広げるより今ある資源を売っていった方がコストもクオリティも確保でいますね……けれど、山歩きに適した人が今はまだいません。覚者が因子能力を駆使して働き続けるには無理がありますし……」
「そっか。順番があるんだね」
秋人の脳内に、テレビゲーム等に出てくるスキルツリーが描かれた。
『山歩きの出来る人材』の後ろに『山菜採り』や『キノコ栽培』や『狩猟』が控えている状態だ。
穏やかに笑う久永。
「そう遠い未来では無いぞ。なにせここは古妖と共存する村。山歩きを人間以上に得意とする古妖も現われるだろう。……あの龍神めいた古妖はなんといったか」
「辰巳さんですか。あの人はまだ村の人たちと打ち解けていないようですね」
「人間関係の問題か。古妖以前に村として起こりえる基礎問題も、ゆくゆくは解決しなくてはな」
「それに人材捜しだが、元AAAの覚者を当たってみるのはどうだ? 覚者なら村の警備に役立つだろう」
久永のそんな提案だが、他のメンバーは難色を示した。
現に元AAAのF.i.V.E覚者はいくらかいるが、AAAを抜けたからといって無職になっているケースは少ない。エリートであるがゆえ、今の職務を捨てて村に来てくれる人はまずいないだろう。
今後依頼などでそういった人に出会うことがあれば、直接交渉してみるしかない。
「そのことで……」
改めて手を上げる灯。
「今後古妖に関する依頼を受ける際に、この村の古妖さんたちにアドバイスをうけることはできないでしょうか。もしくは戦力補助として来て頂くとか」
「ん?」
そろって首を傾げる聖華とゆかり。
「いえ、古妖ひとくくりで語るわけじゃありません。けれど、あの方々だから持っている知識というのも、あるのではないかと思いまして」
「それなら、まああるだろう。かなり限定的になってくるが、協力を得ることもできるのではないか?」
「それはケースバイケースってところかな」
禊は難しさと楽しさ半々の顔をして腕を組んだ。
一つ目小僧が豆腐小僧のことを知っててもおかしくないが、その延長で西洋悪魔や北欧妖精や宇宙人に詳しかったらいくらなんでもおかしい。
しかし『限定的ながら専門分野に詳しい知り合いが身近に居る』というだけでもメリットはあるので、これは今後活用していいだろう。
「この件に関しては継続的に話していこう。それで次だが……」
「私からいいかしら」
エレメンツィアが数枚の写真を持ってホワイトボードの前に立った。
「今ある畑だけど、もう少し規模を増やしましょう。自給自足はともかく、売りに出せる程度は欲しいわね。それに、住居の拡大も必要になるわ」
「長屋のような形でどうだろう。コストも少なく済む」
久永の提案に、ゆかりは脳内で『妖怪長屋』の話を思い出していた。
「たしかアレって、住める妖怪が限定されてるというか……ものによっては住めないんじゃ」
「少なくともいまいる古妖はカバーできるね。お金に余裕ができたら逐次家を建てていけばいいわけだし、移住してきてすぐに住む場所があるっていう意味じゃ、とても大きいメリットだと思うよ」
「しかし畑を拡大するとなると、人手不足が出てくるな」
「元の住民が十年経って成長してる頃ですから、自律した子供の新生活にって感じでどうですかね!」
両手をバッと掲げるゆかり。まねして手を上げる聖華。
「地元で元々やってた産業とか復活させようぜ! 元住民なら知ってるんじゃないか?」
「それなんだけど」
エレメンツィアはホワイトボードに新たに写真を追加した。
「副村長さんに貰った昔の写真よ。村には米農家があったそうだけど、特に秀でていたわけじゃなさそうね。この村には特別な産業はなかったの。特別な産業がなかったから十年も破棄されていたとも言えるわね。けれど土質や気候もいいから、農作には困らないわ」
「じゃあ……」
「けれど自立したばかりの若者を呼び寄せるのは危険ね。農作は気軽に手を出すと破産するわ」
昨今の農家問題にもあるが、農業はノウハウの共有が難しく地球環境そのものと日夜戦う必要があるため、ある日突然破綻することがありえる。潤沢な保険なくして手を出せないため、30~40台の者たちでさえ手を出すことが難しいそうだ。
一昔前のITベンチャーのようにはいかないのである。
「けれど若い芽を買うこと自体はアリだわ。都内の農業大学にコネクションを作って、土地と住宅の譲渡という形で勧誘してみましょう。新しいノウハウの流入にもつながるはずよ」
そうやって可能性を増やしていけば、元住民の若者も入ってくるかもしれない。
元住民が戻ってこない主な理由が『村でちゃんと生活できるかどうか分からない』だからだ。
生活モデルが確立できれば、人は入ってくるだろう。
「よし、ではまとめに――」
「その前に」
「村の名前」
「どうにかしましょう」
ぴたりと止まるゲイル。
振り向くと、全員がびしっと手を上げていた。
『王子』と書かれたパンダのぬいぐるみだけが静に転がっている。
「王子マッチョマックス村に異議のある人」
「「……」」
手を上げ続ける一同。満場一致である。
しかし黙っているあたり、新しい案はないらしい。
「では名前を分解して、王子村、マッチョ村、マックス村の中から――」
「マックス村かな!」
「マックス村が気に入ったな!」
「マックス村にしましょう!」
「よし、ではまとめよう」
ゲイルはホワイトボードにまとめを書き付けた。
●現在のFiVE村
テーマ:古妖と共存する村
村名:マックス村(別名ファイブ村)
村長:プリンス王子とファイヴの民
建物:副村長宅兼集会場、妖怪長屋、すねこすり小屋、畑(中規模)、山羊牧場(微少規模)、他一般住居
一般住民:副村長、ゲンさん(大工)
古妖住民:ぬりかべ、一反木綿、青女房、辰巳、一つ目小僧、すねこすり
水道光熱:最低限確保(大規模工事費用の獲得が必要です)
セキュリティ:覚者1チームくらいなら撃退可能
食糧自給:ちょっとは売れる程度
資金源:すねこすり移動動物園(グッズ販売のみ)、小僧の豆腐屋、山羊牧場、畑の野菜
思い出せない読者諸兄のためにおさらいしよう。
すねこすりとは、ネコとアンゴラウサギの中間くらいの生き物で、異様に丸っこくちょろちょろと動き回る小動物的古妖である。
古妖というのはドラゴンも宇宙人も異世界人もウィルスも幽霊も妖精も全部含んだ呼び名なので、ここはひとつ『すねこすりはすねこすりだ』と思って頂きたい。
さておき。以前F.i.V.Eをあげて大量に捕獲したすねこすりをまとめて山へ放つというラスカル的な解決をみたわけだが、ファイヴ村(現状『王子マッチョマックス村』)の古妖共存プランの第一歩として十匹ほどを村へ移送。流れるように村中へ飛び出して遊び回る事態になったのだった。
これがいかほどの事態かというと。
「ほーれほれ、同じもふもふだぞー」
『白い人』由比 久永(CL2000540)が羽扇をふりふりしてねこじゃらしよろしくおびき寄せようとする……くらいのふんわりした事態である。
「もっ!」
すねこすりが凄まじい勢いでダッシュしてきたかと思えば、久永の扇子……をスルーして久永のすねに頭突きを入れた。入れてから、すりっとやった。
よくネコがマーキングのために頬をすりつけるあの動作(通称ごっすり)に似ていた。
転倒しそうになりつつも、バランスをとって抱え上げる久永。
「まずは一匹だ」
「ただ立っているだけで向こうからすり寄ってくるので、ある程度は楽に捕まえられますね」
あえてすねを露出していた『蒼炎の道標』七海 灯(CL2000579)は、同じようにすねこすりを抱っこしてよしよししていた。
ちなみに。すねこすりはすねこすり内でも若干の個体差があるため、一概に『こういう習性の生き物ですよ』とは言いがたいところがある。
こういうことは古妖あるあるなのでいちいち気にしていない灯たちである。
「二人とも、ロープ……ロープを引いて!」
明後日の方向から走ってくる鈴白 秋人(CL2000565)。
すねにごっすりしにきたすねこすりたちと追いかけっこしていた秋人が、ネットトラップの上を走り抜ける。
タイミング良く灯がロープを引くと、数匹のすねこすりが網にかかって釣り上げられた。
ブレーキをかけて反転する秋人。
「ふう……これで、大人しい子たちは捕まえられたかな」
「あとは他のチームがうまくやってくれるでしょう」
秋人たちは汗をぬぐい、晴れた空を見上げた。
同じ空の下、『スマイル押し売り中!』ゆかり・シャイニング(CL2001288)と『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)は村の端ですねこすりと戯れていた。
「すねこすりって、クッキーも食べるのか。身体に悪かったりしないよな」
ゲイルは身を屈めて、すねこすりにクッキーのかけらを手から直接食べさせていた。
道ばたのネコにクッキーをやる勤め帰りのホストみたいで、いっそ神秘的ですらある光景だった。
「この村で飼育することで生態もわかってくるかもしれないですよね」
ゆかりは身を屈めて、袖から大量にぶらさがったキャンディですねこすりを釣り上げていた。
バラエティ企画に利用されたスター○野みたいで、いっそ神秘的ですらある光景だった。
「何を食べるのか。どんな習性があるのか。どういう寝床を好むのか。思えば私らなんにも知らないんですよね、この子らのこと」
一個体ですらわからないのだ。
いわんや古妖全般においてをや。
理解と交流は、これから無理にでも必要になってくるだろう。
「そういえば、この時点で既にいくらか移住してきているんでしたっけ?」
「ぬりかべ、一反木綿、一つ目小僧に青女房……だそうだ。軽く妖怪長屋だな」
「ゲゲゲの世界ですね!」
まああれも人と妖怪の共存がテーマなので、参考になる話ではある。
「一つ目小僧は豆腐屋の経営を始めたらしい。青女房も家事能力が異常に高いから生活はできているようだし……やろうと思ってできないことではなさそうだな。古妖と共存する村は」
「今は人型と小動物型だけだからいいですけど……この先ドラゴンとか巨人とか出てきたらどうするんでしょうね」
「あえてそれを利用して労働力に変換するというのも、アイデアとして考えておくべきかもしれんな」
二人はうんうんと頷き合うと、すねこすりを荷車のゲージに入れて歩き出した。
ゲイルから≪送受心・改≫による作業完了の知らせをを受け、『想い受け継ぎ‘最強’を目指す者』天楼院・聖華(CL2000348)はそばにいる仲間たちに声をかけた。
「他のこたちは捕まえたみたいだ。あとは俺たちだけだぜ!」
「残りは随分奥まで入って行っちゃったみたいだね」
周囲の情報を探る『罪なき人々の盾』鐡之蔵 禊(CL2000029)。
ただ探るだけではない。聖華は≪鋭聴力≫で耳を澄ませ、禊は≪かぎわける≫と≪熱感知≫で動物の痕跡を探っている。
周囲は木々が生い茂り、膝まで草が伸びている。鳥や虫の声が響き、ずっと遠くでは水の音もした。
自然が豊かなようで、何度かすねこすりと似たような小動物を見つけて『ハズレだー!』とかいってキャッキャしていたが、そろそろ終わりにしたい二人である。
「歩いてみた感じ、普通の田舎だね。狸とかが普通にいるし……季節によっては熊も出るかも」
「山のそばだもんな。水と空気は綺麗っぽいけど……あ、いた!」
そりゃーと言って茂みに飛び込む聖華。
慌てて駆け寄る禊。
すると、すねこすりを抱っこしした聖華が顔を出した。
「最後の一匹、ゲットだぜ!」
「グッ!」
親指を立ててにっこり笑う禊。
そこへ、『女帝』エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496)が優雅な足取りでやってきた。
「あら二人とも、こんなところまで入ってきていたの?」
「それはこっちの台詞だよ」
すねこすりの捕獲を任せて村を見て回っていたと聞いていたが、よもや森の中まで来ているとは。
「調べてみたんだけれど、F.i.V.Eが買い取った土地にはこの森も含まれているようね。人が住む環境じゃないから放置していたけれど、長年人の手がはいらなかったせいでより自然化が進んでいるみたいだわ」
言われてみれば、森の様子は猟師たちが出入りする森とは大きく趣が異なる。
十年単位で人から手放されていたのだ。妖被害があったせいで不法投棄業者すら近寄らず、ここら一体は人間以外の生態系が繁栄しているようだ。
キノコや野草が元気に育ち、小動物や虫によるサイクルが完璧にできあがっている。
もしガテン系でかつ虫を嫌がらない性分であれば、キノコの栽培なんかもできるだろう。
「知りたいことは分かったわ。集会場に戻って、会議をしましょう」
●村の今後に産業を
集会場(兼副村長宅)に集まった彼らは、村の今後についての会議を始めた。
ホワイトボードの前に立つゲイル。今回の(くじびきで決めた)議長である。
「ではまず、現状のおさらいからだ。すねこすりはネコの室内飼い設備と同じものを用意してもらった。倉とかわらない建物だから人は住めないが、定期的に手入れをすればすねこすりの生活に支障は出ないだろう」
久永がすすったお茶を置いて顔を上げる。
「来客を見越した施設は当分見送るということだな」
「古妖をよく思っていない人間は少なくない。そうした連中へのセキュリティが万全で無い以上、すねこすり牧場の運用法は警備が可能な小規模かつ限定的なものになる。具体的にはこうだ」
ホワイトボードに図解するゲイル。
カバーで補強した軽トラックにゲージを積み込み、そこへすねこすりを入れて村の外へ。
予め許可をとり、移動動物園の要領で定期的にイベントを行なうというものだ。
そのアイデアに大工のゲンさんが唸った。
「それなら軽トラ分の警備だけで済むな。最近入ってきたぬりかべさんたちに頼めばいい。あの人たちはそれなりに戦闘がこなせるそうだ」
「はい、それは身をもって……」
灯が苦笑しながら言った。なんだかんだあった仲である。
戦闘力を活かしつつ仕事も生まれるなら、それに超したことはないだろう。
ぱちんと手を合わせるゆかり。
「芸を仕込んで注目を集めて、ふれあいコーナーにして古妖のイメージアップにもつなげましょう! でもって、毛を刈ったり写真をとったりしてグッズ販売をつければ元を取れるんじゃないかと」
「大もうけは後から考えようぜ。まずはチャレンジだ、チャレンジ!」
「ちゃれんじー!」
イエーと言いながらハイタッチする聖華とゆかり。
ゲイルは咳払いして頷いた。
「すねこすりに関しては以上だ。次は各人からの提案を受けたい」
「じゃあ、俺から……」
ちいさく手を上げる秋人。
「数頭の山羊と搾乳機材を一式、仕入れることにしたよ。自腹でと思ったけど、妖被害で経営が止まっている農家があったから、そこから安価で譲り受けることができたよ。ノウハウも教えて貰えるかもしれない」
一つ目小僧が豆腐を作って、副村長が移動販売を請け負っている。
このルートにミルクやチーズをのせることでより利益が上げられるだろう。
フィールドは余っているし、山羊が暫く食べるに困らない程度の草はそこらじゅうに生えているので、今のところはローコストで運営できるはずだ。
食べていた卵豆腐を急いで飲み込んで手を上げる禊。
「それって、古妖さんの手を借りれないかな。家事能力の得意な人、いたよね」
「青女房さんですか?」
灯である。勧誘したのは彼女なので、その能力についても知っていた。
「覚えれば早いと思います。働き者なかたですから」
「なら、山菜採りや狩猟はどうかな。高級料亭の飾り葉を売るっていう手もある。村にあるものをそのまま資源にできれば、当面の資金にはなるよ」
秋人の発現に、エレメンツィアはなるほどと頷いた。
「確かに、新たに広げるより今ある資源を売っていった方がコストもクオリティも確保でいますね……けれど、山歩きに適した人が今はまだいません。覚者が因子能力を駆使して働き続けるには無理がありますし……」
「そっか。順番があるんだね」
秋人の脳内に、テレビゲーム等に出てくるスキルツリーが描かれた。
『山歩きの出来る人材』の後ろに『山菜採り』や『キノコ栽培』や『狩猟』が控えている状態だ。
穏やかに笑う久永。
「そう遠い未来では無いぞ。なにせここは古妖と共存する村。山歩きを人間以上に得意とする古妖も現われるだろう。……あの龍神めいた古妖はなんといったか」
「辰巳さんですか。あの人はまだ村の人たちと打ち解けていないようですね」
「人間関係の問題か。古妖以前に村として起こりえる基礎問題も、ゆくゆくは解決しなくてはな」
「それに人材捜しだが、元AAAの覚者を当たってみるのはどうだ? 覚者なら村の警備に役立つだろう」
久永のそんな提案だが、他のメンバーは難色を示した。
現に元AAAのF.i.V.E覚者はいくらかいるが、AAAを抜けたからといって無職になっているケースは少ない。エリートであるがゆえ、今の職務を捨てて村に来てくれる人はまずいないだろう。
今後依頼などでそういった人に出会うことがあれば、直接交渉してみるしかない。
「そのことで……」
改めて手を上げる灯。
「今後古妖に関する依頼を受ける際に、この村の古妖さんたちにアドバイスをうけることはできないでしょうか。もしくは戦力補助として来て頂くとか」
「ん?」
そろって首を傾げる聖華とゆかり。
「いえ、古妖ひとくくりで語るわけじゃありません。けれど、あの方々だから持っている知識というのも、あるのではないかと思いまして」
「それなら、まああるだろう。かなり限定的になってくるが、協力を得ることもできるのではないか?」
「それはケースバイケースってところかな」
禊は難しさと楽しさ半々の顔をして腕を組んだ。
一つ目小僧が豆腐小僧のことを知っててもおかしくないが、その延長で西洋悪魔や北欧妖精や宇宙人に詳しかったらいくらなんでもおかしい。
しかし『限定的ながら専門分野に詳しい知り合いが身近に居る』というだけでもメリットはあるので、これは今後活用していいだろう。
「この件に関しては継続的に話していこう。それで次だが……」
「私からいいかしら」
エレメンツィアが数枚の写真を持ってホワイトボードの前に立った。
「今ある畑だけど、もう少し規模を増やしましょう。自給自足はともかく、売りに出せる程度は欲しいわね。それに、住居の拡大も必要になるわ」
「長屋のような形でどうだろう。コストも少なく済む」
久永の提案に、ゆかりは脳内で『妖怪長屋』の話を思い出していた。
「たしかアレって、住める妖怪が限定されてるというか……ものによっては住めないんじゃ」
「少なくともいまいる古妖はカバーできるね。お金に余裕ができたら逐次家を建てていけばいいわけだし、移住してきてすぐに住む場所があるっていう意味じゃ、とても大きいメリットだと思うよ」
「しかし畑を拡大するとなると、人手不足が出てくるな」
「元の住民が十年経って成長してる頃ですから、自律した子供の新生活にって感じでどうですかね!」
両手をバッと掲げるゆかり。まねして手を上げる聖華。
「地元で元々やってた産業とか復活させようぜ! 元住民なら知ってるんじゃないか?」
「それなんだけど」
エレメンツィアはホワイトボードに新たに写真を追加した。
「副村長さんに貰った昔の写真よ。村には米農家があったそうだけど、特に秀でていたわけじゃなさそうね。この村には特別な産業はなかったの。特別な産業がなかったから十年も破棄されていたとも言えるわね。けれど土質や気候もいいから、農作には困らないわ」
「じゃあ……」
「けれど自立したばかりの若者を呼び寄せるのは危険ね。農作は気軽に手を出すと破産するわ」
昨今の農家問題にもあるが、農業はノウハウの共有が難しく地球環境そのものと日夜戦う必要があるため、ある日突然破綻することがありえる。潤沢な保険なくして手を出せないため、30~40台の者たちでさえ手を出すことが難しいそうだ。
一昔前のITベンチャーのようにはいかないのである。
「けれど若い芽を買うこと自体はアリだわ。都内の農業大学にコネクションを作って、土地と住宅の譲渡という形で勧誘してみましょう。新しいノウハウの流入にもつながるはずよ」
そうやって可能性を増やしていけば、元住民の若者も入ってくるかもしれない。
元住民が戻ってこない主な理由が『村でちゃんと生活できるかどうか分からない』だからだ。
生活モデルが確立できれば、人は入ってくるだろう。
「よし、ではまとめに――」
「その前に」
「村の名前」
「どうにかしましょう」
ぴたりと止まるゲイル。
振り向くと、全員がびしっと手を上げていた。
『王子』と書かれたパンダのぬいぐるみだけが静に転がっている。
「王子マッチョマックス村に異議のある人」
「「……」」
手を上げ続ける一同。満場一致である。
しかし黙っているあたり、新しい案はないらしい。
「では名前を分解して、王子村、マッチョ村、マックス村の中から――」
「マックス村かな!」
「マックス村が気に入ったな!」
「マックス村にしましょう!」
「よし、ではまとめよう」
ゲイルはホワイトボードにまとめを書き付けた。
●現在のFiVE村
テーマ:古妖と共存する村
村名:マックス村(別名ファイブ村)
村長:プリンス王子とファイヴの民
建物:副村長宅兼集会場、妖怪長屋、すねこすり小屋、畑(中規模)、山羊牧場(微少規模)、他一般住居
一般住民:副村長、ゲンさん(大工)
古妖住民:ぬりかべ、一反木綿、青女房、辰巳、一つ目小僧、すねこすり
水道光熱:最低限確保(大規模工事費用の獲得が必要です)
セキュリティ:覚者1チームくらいなら撃退可能
食糧自給:ちょっとは売れる程度
資金源:すねこすり移動動物園(グッズ販売のみ)、小僧の豆腐屋、山羊牧場、畑の野菜
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
『すねこすり人形』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員

■あとがき■
お疲れ様でした。マックス村は農業を起点として産業の多角化を始めています。古妖の力をどう活かせるかがポイントになるでしょう。
古妖個々人のエピソードは外伝で語られると思いますので、それぞれの担当STにご期待ください。
このシナリオシリーズに参加したPCには、人や古妖を村に招待する事が出来ます。
この人村に招待したいなと思ったらプレイングにてその行動を起こしてください。
八重紅友禅を含むアラタナル全てのシナリオでこのアクションは有効となります。
勧誘が成功した場合、実際にFiVE村へ移住します。
古妖個々人のエピソードは外伝で語られると思いますので、それぞれの担当STにご期待ください。
このシナリオシリーズに参加したPCには、人や古妖を村に招待する事が出来ます。
この人村に招待したいなと思ったらプレイングにてその行動を起こしてください。
八重紅友禅を含むアラタナル全てのシナリオでこのアクションは有効となります。
勧誘が成功した場合、実際にFiVE村へ移住します。
