《紅蓮ノ五麟》学園を襲う輩を追いはらえ
●紅蓮に燃える五麟市
逢魔ヶ時紫雨という男がいる。
七星剣に属する者で、禍時の百鬼と呼ばれる組織を統率する。かの組織を『黎明』と偽らせてFiVEに近づけさせ、血雨と自分自身を囮にして五麟市を襲撃する。その襲撃は血雨討伐に向かわなかった覚者達により、食い止められた。
だがそれは食い止めただけに過ぎない。紫雨はいまだ健在で、百鬼は雄々しく牙をむいていた。
彼らの目的はFiVEという組織の奪取。紫雨は自らの組織の王座を狙うべく、FiVEという基盤を手に入れようとしていた。騙し、欺き、そしてその手は成った。
だが紫雨は知らない。
たとえ敵陣で龍が成ったとしても、盤石たる金の守りがあることを。
●五麟学園襲撃
「壊せ! 奪え! 燃やせ!」
「学校なんてなくても生きていけるんだよー!」
深夜。五麟学園に百鬼が迫る。その数は多く、それぞれが異なる神具を持っている。
七星剣内の隔者と言えども様々で、彼らは特に戦闘に特化したものではない。因子発現後に社会や学校制度に不満を持ち、ドロップアウトして七星剣に行った者たちだ。禍時の百鬼という組織に寄り添ったのも、紫雨がそういった『弱い』者を見過ごさない性格であるだけに過ぎなかった。
「よーし、お前ら一気に攻めるぞ! 俺達を拾ってくれた紫雨さんへの恩を返す時だ!」
「うっす、金田さん!」
個人の戦闘力としては訓練すら受けていないためあてにならないが、数を揃えればそれは脅威だ。策など必要ない。圧倒的な物量で押し通すのみ。深夜の学園には誰もいない。派手に暴れて鬱憤を晴らすとしよう――
『貴方達』が彼らの声と向かう先に気づいたのは、ひとえに幸運の賜物と言えよう。
逢魔ヶ時紫雨や禍時の百鬼が五麟市に攻めてきている状況で、FiVEが五麟学園に守りを割ける戦力があるかはわからない。ここで一気に叩いておくに越したことはないのだ。
幸運なことに、彼らはこちらの存在に気づいていない。数の上では不利だが、戦い方によっては殲滅も難しくない。数を減らせば、不利を悟って逃げ出すこともあるだろう。
この状況で『貴方達』は――
逢魔ヶ時紫雨という男がいる。
七星剣に属する者で、禍時の百鬼と呼ばれる組織を統率する。かの組織を『黎明』と偽らせてFiVEに近づけさせ、血雨と自分自身を囮にして五麟市を襲撃する。その襲撃は血雨討伐に向かわなかった覚者達により、食い止められた。
だがそれは食い止めただけに過ぎない。紫雨はいまだ健在で、百鬼は雄々しく牙をむいていた。
彼らの目的はFiVEという組織の奪取。紫雨は自らの組織の王座を狙うべく、FiVEという基盤を手に入れようとしていた。騙し、欺き、そしてその手は成った。
だが紫雨は知らない。
たとえ敵陣で龍が成ったとしても、盤石たる金の守りがあることを。
●五麟学園襲撃
「壊せ! 奪え! 燃やせ!」
「学校なんてなくても生きていけるんだよー!」
深夜。五麟学園に百鬼が迫る。その数は多く、それぞれが異なる神具を持っている。
七星剣内の隔者と言えども様々で、彼らは特に戦闘に特化したものではない。因子発現後に社会や学校制度に不満を持ち、ドロップアウトして七星剣に行った者たちだ。禍時の百鬼という組織に寄り添ったのも、紫雨がそういった『弱い』者を見過ごさない性格であるだけに過ぎなかった。
「よーし、お前ら一気に攻めるぞ! 俺達を拾ってくれた紫雨さんへの恩を返す時だ!」
「うっす、金田さん!」
個人の戦闘力としては訓練すら受けていないためあてにならないが、数を揃えればそれは脅威だ。策など必要ない。圧倒的な物量で押し通すのみ。深夜の学園には誰もいない。派手に暴れて鬱憤を晴らすとしよう――
『貴方達』が彼らの声と向かう先に気づいたのは、ひとえに幸運の賜物と言えよう。
逢魔ヶ時紫雨や禍時の百鬼が五麟市に攻めてきている状況で、FiVEが五麟学園に守りを割ける戦力があるかはわからない。ここで一気に叩いておくに越したことはないのだ。
幸運なことに、彼らはこちらの存在に気づいていない。数の上では不利だが、戦い方によっては殲滅も難しくない。数を減らせば、不利を悟って逃げ出すこともあるだろう。
この状況で『貴方達』は――

■シナリオ詳細
■成功条件
1.隔者二十名の戦闘不能(逃亡含む)
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
たまには隔者も数の暴力を。
●敵情報
・禍時の百鬼(×19)
隔者。逢魔ヶ時紫雨の命令で五麟市に攻め込みました。
個人戦闘力は並以下ですが、如何せん数が多いです。数が減れば戦意を失い、逃亡をする者も出てくるでしょう。
見た目から、
・付喪(×8)……蔵王を付与。
・獣憑(×6)……醒の炎を付与
・翼人(×5)……水衣を付与。
であることが分かっています。
『リーゼント』金田(×1)
リーダーです。手の甲に黄色の紋様が輝いていることから、精霊顕現であることは確かです。それなりに戦闘力はあるようです。彼だけは逃亡しません。
釘バット(メイス相当)を手に、全員に『演舞・清爽』を付与しています。
●場所情報
五麟学園に向かう道。時刻は夜。光源として、彼らの守護使役が放つ『ともしび』があります。広さや足場は戦闘に支障なし。
戦闘開始時、敵は時に陣形を汲まずひと固まりになっています。システム的には全員前衛に居る扱いです。
不意をつけるため、最初のターンは敵は行動しません(防御判定は行います)。
事前付与は好きなだけ行うことができますが、行うたびに敵に気づかれる可能性があります。ご注意を。
皆様のプレイングをお待ちしています。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
6日
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2016年03月18日
2016年03月18日
■メイン参加者 8人■

●
「よーし、お前ら一気に攻めるぞ! 俺達を拾ってくれた紫雨さんへの恩を返す時だ!」
……と、金田が鬨の声をあげる道路から少し離れた場所に、八人の人間が集っていた。禍時の百鬼襲撃に対応して動くFiVEの覚者である。
「あんな絵に描いたような不良、コントの中にしかいないと思ってました……!」
金田の髪型を見て、思わず吹き出してしまいそうになる『スマイル押し売り中!』ゆかり・シャイニング(CL2001288)。因子によっては奇抜な格好が多い覚者だが、それとは関係ない部分で笑いを取りに来ようとは……!
「学校は壊せないよっ。ゆいねが学校行けなくなっちゃうもん」
頬を膨らませて怒りを示すのは『ママは小学六年生(仮)』迷家・唯音(CL2001093)だ。交通事故で入院してたため、この春少し遅れての中学生となるのだ。その未来を邪魔させるわけにはいかない。
「うん。ここで止めないといけないね」
唯音の言葉に頷くのは鈴白 秋人(CL2000565)。教育学部に所属し、小中学校の先生を
目指している秋人。それ故に学校の襲撃は成功させるわけにはいかない。ここで百鬼を打ち倒し、五麟学園を守るのだ。
「ここで彼らを食い止め、学園を守りましょう。覚者の力は守るための物です」
夜に溶けるような黒いセーラー服を着た納屋 タヱ子(CL2000019)が潜めた声で言い放つ。音量こそ小さいがその中に含む決意は固く、ゆるぎない強さを持っている。誰かを護るためにこそこの力はある。そう信じていた。
「ああ。自分達の鬱憤を晴らす為に学校を壊そうなど、言語道断だ」
『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)は相手に気づかれないように注意しながら、仲間の言葉に同意する。彼らが学園を襲撃する前に気づけたのは幸運だった。一気に攻め立て、彼らを押さえるのだ。
「ふん、数頼みなんて弱者のすることよ?」
多くの隔者に怯むことのない『溶けない炎』鈴駆・ありす(CL2001269)。その言動はFiVEの覚者として戦っている経験から裏付けされていた。強い相手に挑む気概。それがない者はたとえ因子が発現していても、心が弱いのだと言いたげに。
「戦いは数より質だって事をキョーイクしてあげる!」
守護使役の能力で足音を忍ばせた『デブリフロウズ』那須川・夏実(CL2000197)が拳を握りながら近づいていく。弱い相手がどれだけ群がっても、それが強さとは直結しない。相手の数が多くとも、恐れずに夏実は笑みを浮かべた。
「裏切りまでしてくれちゃって……さすがクズだわ」
包丁型の神具を持った手をだらりと垂らし、薄く笑みを浮かべる春野 桜(CL2000257)。黎明と偽ってFiVEに近づき、そして組織簒奪を望むなんて。敵だわ敵だわ裏切者は殺さないところさないところすころすころす。闇色の瞳が声無く殺意を発していた。
視線とジェスチャーで陣形を最終確認し、頷きあう覚者。一斉に駆け出し、敵陣に迫る。
五麟学園を襲う隔者と、守る覚者。その力がぶつかり合う。
●
「行くわよ」
一番最初に動いたのは桜だ。目の前の二十人の隔者を見ながら、心を深く沈めていく。あれは敵。私の敵。だから殺す。苦しめて殺す。惨たらしく血を流して殺す。毒で弱らせて殺す。だってそうしないとあの人が返ってこないから。心の先は深く、そして暗く。
桜の手の平に開く花のつぼみ。木の源素が生んだ花はすぐに開き、大量の花粉をばらまく。花粉は隔者を包み込み、視界を奪い吸い込んだ者の力を奪っていく。その様子を見て、桜は薄くほほ笑んだ。もう逃がさない。
「一人も逃すものですか」
「ふん、いい的。よく燃えそうね?」
視界が晴れた先に隔者達が見たのはありすの姿。左手に開眼するのは第三の瞳。火山近くに住む古妖とのつながりを示すありすの因子の証。その絆と能力を誇りながら、自らに宿る火の源素を解放していく。
どれだけ相手が強化していようが関係ない。それを上回る火力で吹き飛ばすのみ。右手一閃し、手にした炎を横なぎに払う。手の動きに合わせるように炎は地を走り、そして火山の噴火の如く吹き上がる。全て、燃やし尽くす。
「一気に焼き払うわ」
「ゆかりも敵をまとめてファイヤーしちゃいます! イェアー!」
襲撃を開始すればゆかりは元気よく目立つように動き回る。それは彼女の性格。周りを楽しませることをモットーとする彼女は、だからこそ学園の襲撃を許せない。学校を襲う不良は、漫画かコントの中だけで十分だ。
振り上げた右手を半円を描くように下に降ろし、逆の腕を反対方向に天に向ける。両手で円を描くような動きをしたのちに、両手を一斉に突き出した。ゆかり曰く『いやなんとなくかっこいいですから!』……ポーズはともかく、ゆかりが発した炎は隔者を焼き払う。
「あ、シャイニング2号、ラーイトアップ! はい、注目注目!」
「ゆいねもボーボー火だるまにする!」
ゆかりの守護使役の炎の灯りに照らされて唯音が手をあげる。真正面から不意打ちって不思議な言葉だよねー、と思いながら真正面から相手に迫っていく。不良と言うか隔者を恐れる事はない。それ以上の使命感が唯音の心の中にあった。
手にしたステッキを振るう唯音。同時に体内に生まれる熱い力を解放する。くるり、と一回転してステッキを相手に向けて振るった。かわいらしいポーズと共に放たれた炎が隔者の足元から吹き上がる。
「レッツスクールウォー!」
「学校マキコマんじゃダメだからね」
唯音の言葉にツッコミを入れる夏実。相手の返事を待つことなく敵を見やる。作戦のキモは初激の不意打ちでどれだけ数を減らせるか。夏実もそれを理解していた。回復役の夏実は攻撃の術はあまり持っていないが、それでもとばかりに水の源素を練り上げる。
敵に接触する直前で止まり、水の弾丸を生み出す夏実。狙いはリーゼントの金田。回復役が分かればそこに集中するのだが、現状はそれが分からないため諦める。敵リーダーの金田に向けて練り上げた水の礫を打ち放つ。
「ザコがどれだけタバになったってザコはザコなのよ!」
「油断はできないけどね」
夏実の言葉に頷きながら、しかし油断することなく秋人が戦場を移動する。戦いになれば、向こうは回復を中心に狙ってくる。それを意識しての足運び。回復を行う人間がひと固まりにならないように、適度に距離を離す。
覚醒し、少し大人びた姿に変わる秋人。その手に集う水の力を鋭角に変化させる。それは水の龍。神秘の力を込めた水を龍のように変化させる。龍はその獰猛な牙をもって隔者を飲み込もうと口を広げ、襲い掛かる。
「乱戦になりそうだからね。とにかく数を減らさないと」
「ああ、きついお灸を据えてやらんとな」
ゲイルは霊力の籠められた白鞘造の日本刀を手に言い放つ。狼のような耳と尻尾を生やし、刀を隔者達に向ける。彼らの行為は自分達の鬱憤をぶつけているだけ。その為に学び舎を破壊させるなど、言語道断だ。
日本刀を振るい、十字の印を切る。刃が振るわれた場所が浄化され、そこに水の源素が渦を巻く。円を描く水は少しずつ大きくなり、大きな竜の姿を形取る。龍は真っ直ぐに隔者に襲い掛かり、圧倒的な質量で彼らを押し流していく。
「この戦いが終わった後で街の修繕を手伝ってもらうぞ」
「ええ。大人しくお縄にかかってください」
ゲイルの案に頷くタヱ子。巨大な二つの盾を持ち、百鬼たちの前に立つ。その姿が示すのは鉄壁。貴方達に学園は襲わせないという強い意志。物理的な壁として立ちふさがり、強い視線で精神的に立ちふさがる。
手にした盾を振りかぶり、体を回転させる。投擲できるようにバランス調整された盾が、夜の空気を切り裂いて飛ぶ。それは狙い外さず弱っている隔者に向かって飛び、その頭を打った。盾はそのままタヱ子の方に飛び、その腕に収まる。
「乱暴狼藉を働くのなら、我々が黙っていません」
「うわあ! FiVEの覚者だー!」
「落ち着け! まだ数はこちらが多い!」
突然の襲撃に瓦解しそうになる百鬼。事実、今の不意打ちでかなりの損害を受けた。だが数の優位を思い出し、その足を止める。
「へっへっへ。さっきのお礼をしてやるぜ!」
優位を悟り強気になる百鬼。神具を構え、数任せに突撃してくる。
だが、数で優っていても優位とは限らない。数多の戦いを乗り越えてきた覚者達は、数の波を前に臆することなく立ち向かう。
●
「やってくれたなFiVEの! 俺の怒りが怒髪天!」
傷ついた仲間を前に怒り、リーゼントと釘バットを天に向ける金田。降り注ぐ稲妻が覚者に降り注ぎ、そして隔者が襲い掛かる。
数に任せて攻めてくる百鬼。如何にFiVEの覚者が経験豊富であっても、一人で押さえられる数には限度がある。体力の劣る後衛に向けて、一斉に迫っていく。
「やっぱりコッチ来たー!」
「予想通りではあるがな……!」
夏実とゲイルが押し寄せる人の波に潰されるように、命数を削る。こんな程度で負けてはやらぬと毅然とした瞳で相手を見る。
「でも回復役はワカッタワヨ! そこの金田さんの近くに居る翼人!」
起き上がり様に夏実が隔者の一人を指さして告げる。その後で水の源素を活性化させて夏実自身も回復の術式を展開する。何故か金田には『さん』をつけなければいけない気がしていた。なぜかは夏実自身にもわからない。デコ……ではなく額を掻く。
「くらえっ、デコビーム! ズドドドドドド!」
「自分で効果音付けたー!」
ゆかりの瞳から第三の目が光り、光線が射出される。最高のギャグを開発する特訓に付き合ってくれたサル顔のおっちゃん(サルの古妖)との絆により開眼した怪因子の力。それを解き放ち、回復役の翼人を討つ。
「流石に押し切られたか。出来るだけ撃破しておこう」
後衛まで突破され、秋人は悔やむように水の源素を展開する。回復を行う仲間を守るために、そちらに向かった隔者に向かって水の龍を放つ。いざとなれば秋人も回復を行うつもりだが、だからと言って襲われている仲間を放置はできない。
「ねえなんで学校嫌いなの? お勉強はむずかしいけどわかると面白いしお友達たーくさんいるもんっ!」
「う……。それはだなぁ……」
ゆいねが純真な瞳で金田を見て問いかける。その瞳に押されるように押し黙る金田。
「不良さんはお勉強わからない? だったらゆいねが教えてあげる。ゆいねもアホだから一緒にお勉強しよ!」
「その純粋な瞳で見つめられると……いいや、オレは紫雨さんへの恩義を捨てるわけにはいかねぇ!」
「じゃあ仕方ないね。燃えちゃえ!」
炎を纏ったステッキで金田を燃やすゆいね。
「恩返しを悪いとは言わないけど、やり方をもう少し考えるべきね」
逢魔ヶ時がアンタたちみたいなのを大事にするって言うのはちょっと意外だったけど、と呟きながらありすが炎の弾丸を放つ。その炎が後衛に群がる隔者を一気に焼き払った。爆風に靡くありすの赤い髪。
「あら。逃げられると思ったのかしら?」
逃げる隔者に桜が棘の一閃を喰らわせる。どうして逃げられると思ったのかしらだってあなたたちは敵でしょうあの人が返ってくるために邪魔なののだから逃がすはずがないわもっと苦しんで死んで。『あの人』の為に桜は作業的に隔者を傷つける。その体は血に染まり、拭い去ろうともせずに攻撃を続けていた。
「これでこちらに迫ってきた百鬼たちは全部か」
ゲイルの放つ水の龍が、後衛に殺到した隔者を一気に戦闘不能に追い込む。忠一に任せて一気に攻める彼らは、ゲイルを始めとした広範囲攻撃により一掃されていた。練度も戦略もない彼らが、少数とはいえ連携を行う覚者に勝てる要素はなかった。
「紫雨の攻撃はもっと重かったです。その程度ではびくともしません」
隔者の攻撃を受けて、タヱ子が数刻前の紫雨との戦いを思い出しながら告げる。事実、烏合の衆ともいえる彼らの神具では、タヱ子の盾を吹き飛ばすことはできない。数名に襲われて傷一つないタヱ子を前に、心折れる隔者。
勝敗を分けたのは、初手の不意打ち。そこで受けたダメージを回復させる間も与えず覚者達は攻め立てる。百鬼達はその勢いに押されるように数を減らしていく。
そして数が減れば、もはや隔者に勝てる要素はない。加速的に崩壊していく隔者陣営。最後まで果敢に挑む金だが、も覆しようのない実力差を感じていた。
「ふん……ホント、馬鹿ばっか。襲撃者がこの程度で助かったわ」
ありすの右手に宿る火の球。赤く大きく燃える炎がありすの言葉と共に放たれた。それは真っ直ぐに金田に向かって飛び、着弾と共に爆音をあげる。
「強くなってきて出なおしてらっしゃい。その時はまた焼き払ってあげる」
爆音が止み、ありすが告げる。その声が夜の闇に消えると同時、金田は力尽き地面に倒れ伏した。
●
結果を見れば、金田の鬨の声から一分も針が進まぬうちに隔者達は鎮圧されていた。数名は逃がしたが、そのほとんどを捕獲できた。何よりも、五麟の町に大きな被害を与えなかったのが最大の功績と言えよう。
「ふん……逃げるなら逃げなさい。追わないでいてあげるから」
「アナタ達の生き方にトヤカクは言わないわ。でも、覚えときなさい。この街にはワタシ達が居るんだから!」
ありすと夏実が逃げる百鬼の背中を見送る。あれだけ痛めつければ、今宵はもう悪さを働くことはしないだろう。
「ちくしょう、殺せ!」
「ええ。、殺してあげるわ」
「「待て!」」
捕まった金田は縛られて捨て鉢になった言葉を吐く。その言葉に澱みなく桜が包丁を振り上げた。躊躇のない動きに止めに入る覚者数名。
「あら、生かす理由なんてあるのかしら?」
「こいつらには五麟市で出た被害をしっかり修繕してもらわんといけないからな」
ゲイルはそう言って桜を押しとどめる。とはいえ、今回の件でいろいろ頭を悩まされたのは事実だ。学校を恨む能力者。それがこのような事態に出るのなら、相応の教育機関が必要なのかもしれない。理想だけで安全は守れないのだ。
「ゆかり、春から花のJKなんですよ!? 学校なくなったらどうしてくれるんですかもう!」
金田に向かい、怒りの言葉を放つゆかり。新しい生活に心ときめくゆかりからすれば、金田の行為は迷惑でしかない。
「鼻から耳かき突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたろーか!?」
……まあ、花のJKはそんなこと言わない。そう思うSTであった。
「ゆいねは学校大好き! 早く中学生になりたい! 不良さんたちだって中学校に……ううん、小学校に上がる前はランドセルしょってドキドキしてたでしょ?」
その気持ちを思い出して、と金田を始めとした隔者に言う唯音。純粋無垢な小学生の瞳で見つめられ、当時の記憶を思い出す彼ら。居た堪れなくなったのか、すっと目を逸らす。
「これで大丈夫ですね。まだ傷が痛む人はいませんか?」
秋人は仲間の傷を癒していた。戦いはまだ続くのだ。この場は何とか納めることができたが、五麟市内にはまだ禍時の百鬼が存在している。そして何よりも、逢魔ヶ時紫雨がいるのだ。未だ戦いは終わっていない。傷は癒しておくに越したことはない。
「どうあれ、一度法の下で裁いてもらう必要があります」
ぴしゃり、とタヱ子が告げる。この紅蓮の夜が終われば、彼らはAAAなりに引き渡して法の裁きを受けてもらう。やったことに対する反省はしっかり受けてもらおう。……とはいえ、この夜をFiVEが乗り越えられるかはまだ分からないのだ。
拘束した隔者を一旦FiVE本部に運び、覚者達は新たな戦場に向かう。
五麟の町は、未だ紅蓮に包まれていた。
「よーし、お前ら一気に攻めるぞ! 俺達を拾ってくれた紫雨さんへの恩を返す時だ!」
……と、金田が鬨の声をあげる道路から少し離れた場所に、八人の人間が集っていた。禍時の百鬼襲撃に対応して動くFiVEの覚者である。
「あんな絵に描いたような不良、コントの中にしかいないと思ってました……!」
金田の髪型を見て、思わず吹き出してしまいそうになる『スマイル押し売り中!』ゆかり・シャイニング(CL2001288)。因子によっては奇抜な格好が多い覚者だが、それとは関係ない部分で笑いを取りに来ようとは……!
「学校は壊せないよっ。ゆいねが学校行けなくなっちゃうもん」
頬を膨らませて怒りを示すのは『ママは小学六年生(仮)』迷家・唯音(CL2001093)だ。交通事故で入院してたため、この春少し遅れての中学生となるのだ。その未来を邪魔させるわけにはいかない。
「うん。ここで止めないといけないね」
唯音の言葉に頷くのは鈴白 秋人(CL2000565)。教育学部に所属し、小中学校の先生を
目指している秋人。それ故に学校の襲撃は成功させるわけにはいかない。ここで百鬼を打ち倒し、五麟学園を守るのだ。
「ここで彼らを食い止め、学園を守りましょう。覚者の力は守るための物です」
夜に溶けるような黒いセーラー服を着た納屋 タヱ子(CL2000019)が潜めた声で言い放つ。音量こそ小さいがその中に含む決意は固く、ゆるぎない強さを持っている。誰かを護るためにこそこの力はある。そう信じていた。
「ああ。自分達の鬱憤を晴らす為に学校を壊そうなど、言語道断だ」
『金狼』ゲイル・レオンハート(CL2000415)は相手に気づかれないように注意しながら、仲間の言葉に同意する。彼らが学園を襲撃する前に気づけたのは幸運だった。一気に攻め立て、彼らを押さえるのだ。
「ふん、数頼みなんて弱者のすることよ?」
多くの隔者に怯むことのない『溶けない炎』鈴駆・ありす(CL2001269)。その言動はFiVEの覚者として戦っている経験から裏付けされていた。強い相手に挑む気概。それがない者はたとえ因子が発現していても、心が弱いのだと言いたげに。
「戦いは数より質だって事をキョーイクしてあげる!」
守護使役の能力で足音を忍ばせた『デブリフロウズ』那須川・夏実(CL2000197)が拳を握りながら近づいていく。弱い相手がどれだけ群がっても、それが強さとは直結しない。相手の数が多くとも、恐れずに夏実は笑みを浮かべた。
「裏切りまでしてくれちゃって……さすがクズだわ」
包丁型の神具を持った手をだらりと垂らし、薄く笑みを浮かべる春野 桜(CL2000257)。黎明と偽ってFiVEに近づき、そして組織簒奪を望むなんて。敵だわ敵だわ裏切者は殺さないところさないところすころすころす。闇色の瞳が声無く殺意を発していた。
視線とジェスチャーで陣形を最終確認し、頷きあう覚者。一斉に駆け出し、敵陣に迫る。
五麟学園を襲う隔者と、守る覚者。その力がぶつかり合う。
●
「行くわよ」
一番最初に動いたのは桜だ。目の前の二十人の隔者を見ながら、心を深く沈めていく。あれは敵。私の敵。だから殺す。苦しめて殺す。惨たらしく血を流して殺す。毒で弱らせて殺す。だってそうしないとあの人が返ってこないから。心の先は深く、そして暗く。
桜の手の平に開く花のつぼみ。木の源素が生んだ花はすぐに開き、大量の花粉をばらまく。花粉は隔者を包み込み、視界を奪い吸い込んだ者の力を奪っていく。その様子を見て、桜は薄くほほ笑んだ。もう逃がさない。
「一人も逃すものですか」
「ふん、いい的。よく燃えそうね?」
視界が晴れた先に隔者達が見たのはありすの姿。左手に開眼するのは第三の瞳。火山近くに住む古妖とのつながりを示すありすの因子の証。その絆と能力を誇りながら、自らに宿る火の源素を解放していく。
どれだけ相手が強化していようが関係ない。それを上回る火力で吹き飛ばすのみ。右手一閃し、手にした炎を横なぎに払う。手の動きに合わせるように炎は地を走り、そして火山の噴火の如く吹き上がる。全て、燃やし尽くす。
「一気に焼き払うわ」
「ゆかりも敵をまとめてファイヤーしちゃいます! イェアー!」
襲撃を開始すればゆかりは元気よく目立つように動き回る。それは彼女の性格。周りを楽しませることをモットーとする彼女は、だからこそ学園の襲撃を許せない。学校を襲う不良は、漫画かコントの中だけで十分だ。
振り上げた右手を半円を描くように下に降ろし、逆の腕を反対方向に天に向ける。両手で円を描くような動きをしたのちに、両手を一斉に突き出した。ゆかり曰く『いやなんとなくかっこいいですから!』……ポーズはともかく、ゆかりが発した炎は隔者を焼き払う。
「あ、シャイニング2号、ラーイトアップ! はい、注目注目!」
「ゆいねもボーボー火だるまにする!」
ゆかりの守護使役の炎の灯りに照らされて唯音が手をあげる。真正面から不意打ちって不思議な言葉だよねー、と思いながら真正面から相手に迫っていく。不良と言うか隔者を恐れる事はない。それ以上の使命感が唯音の心の中にあった。
手にしたステッキを振るう唯音。同時に体内に生まれる熱い力を解放する。くるり、と一回転してステッキを相手に向けて振るった。かわいらしいポーズと共に放たれた炎が隔者の足元から吹き上がる。
「レッツスクールウォー!」
「学校マキコマんじゃダメだからね」
唯音の言葉にツッコミを入れる夏実。相手の返事を待つことなく敵を見やる。作戦のキモは初激の不意打ちでどれだけ数を減らせるか。夏実もそれを理解していた。回復役の夏実は攻撃の術はあまり持っていないが、それでもとばかりに水の源素を練り上げる。
敵に接触する直前で止まり、水の弾丸を生み出す夏実。狙いはリーゼントの金田。回復役が分かればそこに集中するのだが、現状はそれが分からないため諦める。敵リーダーの金田に向けて練り上げた水の礫を打ち放つ。
「ザコがどれだけタバになったってザコはザコなのよ!」
「油断はできないけどね」
夏実の言葉に頷きながら、しかし油断することなく秋人が戦場を移動する。戦いになれば、向こうは回復を中心に狙ってくる。それを意識しての足運び。回復を行う人間がひと固まりにならないように、適度に距離を離す。
覚醒し、少し大人びた姿に変わる秋人。その手に集う水の力を鋭角に変化させる。それは水の龍。神秘の力を込めた水を龍のように変化させる。龍はその獰猛な牙をもって隔者を飲み込もうと口を広げ、襲い掛かる。
「乱戦になりそうだからね。とにかく数を減らさないと」
「ああ、きついお灸を据えてやらんとな」
ゲイルは霊力の籠められた白鞘造の日本刀を手に言い放つ。狼のような耳と尻尾を生やし、刀を隔者達に向ける。彼らの行為は自分達の鬱憤をぶつけているだけ。その為に学び舎を破壊させるなど、言語道断だ。
日本刀を振るい、十字の印を切る。刃が振るわれた場所が浄化され、そこに水の源素が渦を巻く。円を描く水は少しずつ大きくなり、大きな竜の姿を形取る。龍は真っ直ぐに隔者に襲い掛かり、圧倒的な質量で彼らを押し流していく。
「この戦いが終わった後で街の修繕を手伝ってもらうぞ」
「ええ。大人しくお縄にかかってください」
ゲイルの案に頷くタヱ子。巨大な二つの盾を持ち、百鬼たちの前に立つ。その姿が示すのは鉄壁。貴方達に学園は襲わせないという強い意志。物理的な壁として立ちふさがり、強い視線で精神的に立ちふさがる。
手にした盾を振りかぶり、体を回転させる。投擲できるようにバランス調整された盾が、夜の空気を切り裂いて飛ぶ。それは狙い外さず弱っている隔者に向かって飛び、その頭を打った。盾はそのままタヱ子の方に飛び、その腕に収まる。
「乱暴狼藉を働くのなら、我々が黙っていません」
「うわあ! FiVEの覚者だー!」
「落ち着け! まだ数はこちらが多い!」
突然の襲撃に瓦解しそうになる百鬼。事実、今の不意打ちでかなりの損害を受けた。だが数の優位を思い出し、その足を止める。
「へっへっへ。さっきのお礼をしてやるぜ!」
優位を悟り強気になる百鬼。神具を構え、数任せに突撃してくる。
だが、数で優っていても優位とは限らない。数多の戦いを乗り越えてきた覚者達は、数の波を前に臆することなく立ち向かう。
●
「やってくれたなFiVEの! 俺の怒りが怒髪天!」
傷ついた仲間を前に怒り、リーゼントと釘バットを天に向ける金田。降り注ぐ稲妻が覚者に降り注ぎ、そして隔者が襲い掛かる。
数に任せて攻めてくる百鬼。如何にFiVEの覚者が経験豊富であっても、一人で押さえられる数には限度がある。体力の劣る後衛に向けて、一斉に迫っていく。
「やっぱりコッチ来たー!」
「予想通りではあるがな……!」
夏実とゲイルが押し寄せる人の波に潰されるように、命数を削る。こんな程度で負けてはやらぬと毅然とした瞳で相手を見る。
「でも回復役はワカッタワヨ! そこの金田さんの近くに居る翼人!」
起き上がり様に夏実が隔者の一人を指さして告げる。その後で水の源素を活性化させて夏実自身も回復の術式を展開する。何故か金田には『さん』をつけなければいけない気がしていた。なぜかは夏実自身にもわからない。デコ……ではなく額を掻く。
「くらえっ、デコビーム! ズドドドドドド!」
「自分で効果音付けたー!」
ゆかりの瞳から第三の目が光り、光線が射出される。最高のギャグを開発する特訓に付き合ってくれたサル顔のおっちゃん(サルの古妖)との絆により開眼した怪因子の力。それを解き放ち、回復役の翼人を討つ。
「流石に押し切られたか。出来るだけ撃破しておこう」
後衛まで突破され、秋人は悔やむように水の源素を展開する。回復を行う仲間を守るために、そちらに向かった隔者に向かって水の龍を放つ。いざとなれば秋人も回復を行うつもりだが、だからと言って襲われている仲間を放置はできない。
「ねえなんで学校嫌いなの? お勉強はむずかしいけどわかると面白いしお友達たーくさんいるもんっ!」
「う……。それはだなぁ……」
ゆいねが純真な瞳で金田を見て問いかける。その瞳に押されるように押し黙る金田。
「不良さんはお勉強わからない? だったらゆいねが教えてあげる。ゆいねもアホだから一緒にお勉強しよ!」
「その純粋な瞳で見つめられると……いいや、オレは紫雨さんへの恩義を捨てるわけにはいかねぇ!」
「じゃあ仕方ないね。燃えちゃえ!」
炎を纏ったステッキで金田を燃やすゆいね。
「恩返しを悪いとは言わないけど、やり方をもう少し考えるべきね」
逢魔ヶ時がアンタたちみたいなのを大事にするって言うのはちょっと意外だったけど、と呟きながらありすが炎の弾丸を放つ。その炎が後衛に群がる隔者を一気に焼き払った。爆風に靡くありすの赤い髪。
「あら。逃げられると思ったのかしら?」
逃げる隔者に桜が棘の一閃を喰らわせる。どうして逃げられると思ったのかしらだってあなたたちは敵でしょうあの人が返ってくるために邪魔なののだから逃がすはずがないわもっと苦しんで死んで。『あの人』の為に桜は作業的に隔者を傷つける。その体は血に染まり、拭い去ろうともせずに攻撃を続けていた。
「これでこちらに迫ってきた百鬼たちは全部か」
ゲイルの放つ水の龍が、後衛に殺到した隔者を一気に戦闘不能に追い込む。忠一に任せて一気に攻める彼らは、ゲイルを始めとした広範囲攻撃により一掃されていた。練度も戦略もない彼らが、少数とはいえ連携を行う覚者に勝てる要素はなかった。
「紫雨の攻撃はもっと重かったです。その程度ではびくともしません」
隔者の攻撃を受けて、タヱ子が数刻前の紫雨との戦いを思い出しながら告げる。事実、烏合の衆ともいえる彼らの神具では、タヱ子の盾を吹き飛ばすことはできない。数名に襲われて傷一つないタヱ子を前に、心折れる隔者。
勝敗を分けたのは、初手の不意打ち。そこで受けたダメージを回復させる間も与えず覚者達は攻め立てる。百鬼達はその勢いに押されるように数を減らしていく。
そして数が減れば、もはや隔者に勝てる要素はない。加速的に崩壊していく隔者陣営。最後まで果敢に挑む金だが、も覆しようのない実力差を感じていた。
「ふん……ホント、馬鹿ばっか。襲撃者がこの程度で助かったわ」
ありすの右手に宿る火の球。赤く大きく燃える炎がありすの言葉と共に放たれた。それは真っ直ぐに金田に向かって飛び、着弾と共に爆音をあげる。
「強くなってきて出なおしてらっしゃい。その時はまた焼き払ってあげる」
爆音が止み、ありすが告げる。その声が夜の闇に消えると同時、金田は力尽き地面に倒れ伏した。
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結果を見れば、金田の鬨の声から一分も針が進まぬうちに隔者達は鎮圧されていた。数名は逃がしたが、そのほとんどを捕獲できた。何よりも、五麟の町に大きな被害を与えなかったのが最大の功績と言えよう。
「ふん……逃げるなら逃げなさい。追わないでいてあげるから」
「アナタ達の生き方にトヤカクは言わないわ。でも、覚えときなさい。この街にはワタシ達が居るんだから!」
ありすと夏実が逃げる百鬼の背中を見送る。あれだけ痛めつければ、今宵はもう悪さを働くことはしないだろう。
「ちくしょう、殺せ!」
「ええ。、殺してあげるわ」
「「待て!」」
捕まった金田は縛られて捨て鉢になった言葉を吐く。その言葉に澱みなく桜が包丁を振り上げた。躊躇のない動きに止めに入る覚者数名。
「あら、生かす理由なんてあるのかしら?」
「こいつらには五麟市で出た被害をしっかり修繕してもらわんといけないからな」
ゲイルはそう言って桜を押しとどめる。とはいえ、今回の件でいろいろ頭を悩まされたのは事実だ。学校を恨む能力者。それがこのような事態に出るのなら、相応の教育機関が必要なのかもしれない。理想だけで安全は守れないのだ。
「ゆかり、春から花のJKなんですよ!? 学校なくなったらどうしてくれるんですかもう!」
金田に向かい、怒りの言葉を放つゆかり。新しい生活に心ときめくゆかりからすれば、金田の行為は迷惑でしかない。
「鼻から耳かき突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたろーか!?」
……まあ、花のJKはそんなこと言わない。そう思うSTであった。
「ゆいねは学校大好き! 早く中学生になりたい! 不良さんたちだって中学校に……ううん、小学校に上がる前はランドセルしょってドキドキしてたでしょ?」
その気持ちを思い出して、と金田を始めとした隔者に言う唯音。純粋無垢な小学生の瞳で見つめられ、当時の記憶を思い出す彼ら。居た堪れなくなったのか、すっと目を逸らす。
「これで大丈夫ですね。まだ傷が痛む人はいませんか?」
秋人は仲間の傷を癒していた。戦いはまだ続くのだ。この場は何とか納めることができたが、五麟市内にはまだ禍時の百鬼が存在している。そして何よりも、逢魔ヶ時紫雨がいるのだ。未だ戦いは終わっていない。傷は癒しておくに越したことはない。
「どうあれ、一度法の下で裁いてもらう必要があります」
ぴしゃり、とタヱ子が告げる。この紅蓮の夜が終われば、彼らはAAAなりに引き渡して法の裁きを受けてもらう。やったことに対する反省はしっかり受けてもらおう。……とはいえ、この夜をFiVEが乗り越えられるかはまだ分からないのだ。
拘束した隔者を一旦FiVE本部に運び、覚者達は新たな戦場に向かう。
五麟の町は、未だ紅蓮に包まれていた。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし

■あとがき■
どくどくです。
せめて二列に分ければよかった……。
金田の意外な所(リーゼントだとかそういう所)への反応が大きくて、ニヤリとしていました。
七星剣に限らず、こういうドロップアウトした学生覚者はいるのでしょう。そんな社会問題もネタになりそうです。
ともあれお疲れ様です。戦いはまだ続きますが、敢えてこの言葉でしめさせていただきます。
それではまた、五麟市で。
せめて二列に分ければよかった……。
金田の意外な所(リーゼントだとかそういう所)への反応が大きくて、ニヤリとしていました。
七星剣に限らず、こういうドロップアウトした学生覚者はいるのでしょう。そんな社会問題もネタになりそうです。
ともあれお疲れ様です。戦いはまだ続きますが、敢えてこの言葉でしめさせていただきます。
それではまた、五麟市で。
