≪FiVE村外伝≫いたずら好きな彼の移住を
≪FiVE村外伝≫いたずら好きな彼の移住を


●移住をお願いするんだゾ……
 『F.i.V.E.』へと連れてこられた古妖、一つ目小僧。
「これは一体何なんだゾ!?」
 彼は目新しい物に目を輝かせていた。人にいたずらをして楽しんでいた彼だが、ほとんど人と接する機会がなかった為、一般人の生活にありふれた物全てが彼にとっては興味の対象なのだ。
 日々、新たな物に触れ、好奇心を満たす一つ目。それはそれで彼は楽しく過ごしてはいたのだが……。
 彼のいたずらは天性のものなのだろう。ジッとしていると、どうも身体がうずき出すらしく、『F.i.V.E.』内で時にいたずらをし回っていたようだ。
「本当に困った古妖なのじゃ」
 『薄幸の男の娘』菜花・けい(nCL2000118)はそうして、隣にちょこんと座っている一つ目を紹介する。どうやら、けいもいたずらをされてしまったらしく、油性ペンで『かわいい』と書かれたおでこを見せてくれる。
 ところで、その一つ目は、大きな目から涙を流してしまっている。一体何があったのだろうか。
「一つ目のいたずらは、時に『F.i.V.E.』の外でも行われていたのじゃ」
 古妖とはいえ、微笑ましいレベルのいたずらならばと近隣住民も大目に見てはいたものの、ある時、古妖排除主義の憤怒者に目を付けられてしまったのだ。
 一度、憤怒者に囲まれた際、たまたま通りがかった覚者達が撃退してくれたことがある。楽しいからと悪さしまくった一つ目だったが、まさかこんな形で自らに帰ってくるとは。因果応報ではあるのだが、ちょっとだけ可哀想な気がしなくもない。
「そんなわけで、一つ目をFiVE村へと移住させようと考えておるのじゃ」
 『F.i.V.E.』内で保護するよりも、古妖の集まるFiVE村の方がいいのではないかという案は、覚者からもちらほらと出てはいた。そこなら、同じ古妖が一つ目を守ってくれるだろうと。
 けいは、その移送の手伝いを頼みたいと覚者に願う。
「FiVE村に向かうに当たっては、憤怒者の抵抗にあうと思うのじゃ」
 詰め掛けてくる10人の憤怒者は、一つ目が移送されることを知れば、邪魔してくることだろう。彼らを無力化するか、うまく振り切ってしまいたい。
 また、FiVE村に到着したとしても、新参者の彼に居場所がすぐにできるわけでもない。
「新しい村じゃからの。その辺りはまだまだ手が足りんのじゃ」
 ともあれ、一つ目の為に住居を作ってあげたい。後は自給自足の村。彼にも何らかの役割が与えられれば、村へと溶け込むことができるだろう。
「よろしく頼むんだゾ……」
 一つ目は済まなさそうに、覚者へと頭を下げるのだった。


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:普通
担当ST:なちゅい
■成功条件
1.一つ目をFiVE村へと移送すること
2.地元大工と協力し、一つ目の新しい家を建てること
3.なし
初めましての方も、
どこかでお会いしたことのある方もこんにちは。なちゅいです。
『F.i.V.E.』で保護という形となっていた一つ目小僧ですが、
FiVE村へと移住という話と相成りました。
ご提案に乗っていただきました八重紅友禅STには感謝です。

覚者の皆様には、改めてご協力を願います。

●概要
○前半
一つ目移送ですが、
全員が乗れる程度の規模のバンで行います。

場所は郊外、住宅がない山道を想定してください。
その道中、憤怒者集団10人ほどの妨害にあいます。
彼らは車5台で立ちふさがる形です。
憤怒者の集団はさほど大きな集団ではないのですが、
どこかとつながりがあるらしく、
全員が機関銃、グレネードランチャー(いずれも遠列)で武装しております。

○後半
FiVE村に着いたら、
話を聞いて待機していた大工さんと一緒に、
一つ目の家を建ててあげてください。
こういう部屋があるといいよというアイディアをお待ちしております。

●NPC
○一つ目小僧……小学生低学年くらいの体型の坊主です。
 戦いでは、覚者の手助けをしてくれます。
・おどかし……特近単・混乱
・舐め回し……物近列・虚弱
・睨み付け……特全・痺れ
・お豆腐……自・体力回復

拙作、
『<南瓜夜行>びっくらこかせるゾ!』
『【古妖狩人】暴力反対なんだゾ!』
以上もご参照くださいませ。

それでは、今回も楽しんでいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします!
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(0モルげっと♪)
相談日数
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
公開日
2016年03月26日

■メイン参加者 6人■

『正義のヒーロー』
天楼院・聖華(CL2000348)
『希望を照らす灯』
七海 灯(CL2000579)
『涼風豊四季』
鈴白 秋人(CL2000565)
『白い人』
由比 久永(CL2000540)
『BCM店長』
阿久津 亮平(CL2000328)

●一つ目と村へ
 古妖、一つ目小僧を保護する覚者達。一行は、FiVE村へと向かうことになる。
「久しぶりにあの村にまた行けるのかと思うと、少し楽しみね」
 今回の任務は、FiVE村への古妖の搬送。『女帝』エメレンツィア・フォン・フラウベルク(CL2000496)もそうだが、他にも久しぶりに村へ向かうメンバーもちらほらいるようだ。
「一つ目は初めましてだなぁ。短い道中ではあるが、宜しく頼む」
「よろしくなんだゾ……」
 屈んで挨拶する『白い人』由比 久永(CL2000540)。対して一つ目はちょっとだけ申し訳なさそうに身をすくめる。
「王子マッチョマックス村に新しい住人が来るって? 大歓迎だぜ!」
 『想い受け継ぎ‘最強’を目指す者』天楼院・聖華(CL2000348)が言うように、現在、FiVE村の名前は『王子マッチョマックス村』(暫定)であるが、できたばかりの村はまだまだ住人が少ないとのことだ。
「FiVE村に住人が増えて嬉しいです。無事に送り届けましょう」
 村に来訪経験のある『蒼炎の道標』七海 灯(CL2000579)も、村の新たな住人を歓迎する。
 だが、その為には、一つ目を無事に村へ連れて行かねばならない。
「しかし、かような小さき古妖に十人がかりとは……憤怒者も大人げないのぉ」
 久永が呆れているのは、今回襲ってくると予知されている憤怒者集団だ。さほど大きな組織ではないようだが、一つ目が『F.i.V.E.』の外で悪戯を働くのに目をつけ、執拗に狙っているのだという。
「よくもまあ、夢見もないのにこちらの足取りを掴めたものね」
 それだけ、憤怒者達も手間暇掛けて活動しているということだろうか。エメレンツィアも憤怒者達の行動力に舌を巻く。
「まあ、邪魔立てするというのなら遠慮はいらないわよね」
 妨害してくる憤怒者の対処も任務の1つ。立ち塞がるなら、全力で対処するのみだ。
「俺は正義の味方。人でも古妖でも守り抜いてみせるぜ!」
「ゾゾゾ……」
 聖華が意気込むのに、一つ目は大きな目を潤ませてしまうのだった。

●憤怒者とのカーチェイス
 さて、メンバーは、一つ目と共にバンへと乗り込み、村を目指す。
 憤怒者に付けられて村の場所を特定されるのは厄介だとの灯の主張もあり、予めいくつかのルートを調べていたメンバー達は、敢えて遠回りして村を目指す。
 一応、夢見のけいから映像として襲撃場所の情報は得られたものの、その場所がどこなのかは特定できてはいない。仕方なく、メンバー達はそのまま出発することにしていた。
 バンの運転はエメレンツィアが名乗り出たこともあり、彼女が運転することにする。これなら、覚者だけで対応もできそうだ。マニュアル車ということもあり、エメレンツィアは気をよくして発車させていた。
 一見すれば、普通のドライブにも見える車内。エメレンツィアも荒い走りにならないようにと心がけていた為、皆楽しいひと時を過ごしていた。
 特に聖華は一つ目へと話しかけていた。今まで楽しかった悪戯の話。そして、『BCM店長』阿久津 亮平(CL2000328)が美味しかったと言う豆腐の話を聞く。逆に、聖華は今まで戦った相手、戦闘の話をすると、一つ目も徐々に心を開き、笑顔を見せていたようだ。
 そんなときだ。覚者達が後ろからやってくる数台の車に気づいたのは。鈴白 秋人(CL2000565)の第六感でいち早く敵の接近を察することができたのだ。
 車から身体を乗り出すように現れる憤怒者の1人が機関銃を発砲する。それを避けるべく、エメレンツィアもスピードを上げる。
 始まるカーチェイス。それによって、激しく車に揺さぶられ、すっかり無言になっていた久永は車酔いしてしまう。そこで、秋人が用意していた酔い止めの薬を久永に差し出していた。
 震える一つ目。以前、憤怒者に襲われたことを思い出したのかもしれない。
「しっかりばっちり護衛するぜ、安心しな」
「ゾゾ……」
 その一つ目の頭を聖華が優しく撫でると、幾分かは不安が解消されていたようだ。聖華はバンの上部に上り、車に攻撃が飛ばないようにと庇う。
 同じく、応戦すべく秋人も身を乗り出し、術符を飛ばす。さすがにその一発は躱されてしまったが、牽制にはなったようだ。
 しばし続くカーチェイスだが、あるとき、射線が広い場所で2台の車が前方に車体を滑らせるように前へと出て、覚者達の進路を塞ぐ。
 そして、後ろの3台もまた、退路を断つように車を停めた。そして、憤怒者達は車から降りてきて、こちらの車を直接囲い込もうとする。
「全く、楽しいドライブの邪魔はしないでもらいたいものね」
 エメレンツィアは仕方なく車を停め、できるだけ戦いの邪魔にならないよう道路の端に寄せた。
 メンバー達も車が攻撃されぬよう降車し、敵に応戦する。乗り物酔いを堪える久永も、よろよろと車を降りた。
 亮平も仕方ないと憤怒者に立ち向かう。後のことを考え、全員無力化しようと考えつつ、覚醒するのである。

●憤怒者を抑えろ!
 覚醒した覚者達は、こちらへと発砲してくる憤怒者へと攻撃を仕掛けた。
「ゾゾ……」
 一つ目も後ろから、自分を守ってくれる覚者の手伝いをと動いてくれるが。
「手伝いは嬉しいが、無理はしないでほしい」
「安全に十分気遣ってくださいね。自分優先でいいですよ」
 またも不安そうな顔をする一つ目に、亮平、灯が声をかけると、彼はこくりと頷き、車のそばまで下がっていた。
「古妖は殺せー!」
 普通の人間とは思えぬ憤怒者達。彼らは覚者も纏めて始末しようと、機関銃やグレネードランチャーを発砲させてくる。
 それを受けるのは前に立つ秋人、聖華だ。2人は一つ目を守るべく甘んじて銃弾の嵐を受け止める。秋人はその中で、体内に宿る炎を燃え上がらせた。
 その間に、灯は1人、憤怒者の車へと近づき、片手鎌『闇刈』を振るってタイヤをパンクさせていく。
「てめぇ、何しやがる!」
 それに気づく憤怒者だが、亮平が起こした雷雲から雷を落とす。
 続き、なんとか戦闘態勢に入った久永も、憤怒者達を包み込むように絡みつくきりを展開する。一つ目も時に大きな目で憤怒者を睨みつけ、憤怒者の動きを封じていたようだ。
「この『女帝』の前に立ち塞がる者は、何人たりとも容赦はしないわ」
 身体能力を低下し、身体を痺れさせた敵を、エメレンツィアは空気中の水分を集めて起こした荒波で飲み込む。
 聖華も続き、敵複数を狙って両手のブレードを振るい、憤怒者を切りつけ、1体、また1体と倒していく。
(「こんな所で足を無くして、山道を歩くなど……老体には辛い」)
 久永もできるだけ乗ってきた車を守るように位置取り、敵陣へと光り輝く星の粒を降らせる。
「行くぞ」
 覚醒して黒髪を腰まで伸ばした秋人も、神秘の力で生み出した水竜を敵陣へと喰らいつかせていった。

 しばし、覚者と憤怒者の交戦は続く。
 憤怒者達はそれほど戦い慣れしている集団には見えない。ラーニングを活性化させていた灯ではあったが、これといった技を敵が使うわけでもなく、彼女はやや期待外れな表情をしていた。
 とはいえ、凶器を振り回すテロリズムを抱く集団であることには違いない。銃弾を浴びせかけてくる憤怒者達。それによって、傷つく仲間へとエメレンツィアは癒しの霧を展開し、傷を癒して行く。
 そして、元気になった灯は憤怒者に地を這うような連撃を浴びせ、亮平も怒り狂う獣の一撃を叩き込む。
 それが最後の1体。覚者達は倍近い人数の憤怒者達を鎮圧する。亮平がバッグからロープを取り出して捕縛し、彼らを無力化してしまう。
「この武器……あなた達はどこと繋がりがあるのですか?」
 灯が問いかけるが、憤怒者達は口を割ることはなく、覚者に対して碇に満ちた表情をするのみだ。仕方なく、灯は車の中に手がかりを……と考えたが。エメレンツィアが戦闘のどさくさに紛れて憤怒者の車を薙ぎ払っていたことで、それも叶わなかったようだ。
 他のメンバー達は後ほど『F.i.V.E.』に連絡を入れようと考える。この襲撃地点の場所を伝え、憤怒者達の移送を依頼することにしていた。
 仲間達を癒しの霧で手当てをし、久永は労う。
「ここからが本番だろう、若者は頑張れ」
「それじゃ、出発なんだゾ」
 そう、一行はまだ村にすら着いていない。無事だった一つ目も改めて、頼もしい覚者達に頭を下げるのである。

●王子マッチョマックス村にて
 程無く、村へと無事に到着した覚者一行。
「ここも久しぶりね……」
「ここが噂に聞いた『王子まちょまくす村』か」
 久々の村を、エメレンツィアは感慨深げに見つめると、久永が村の名前を思いっきり噛んでしまう。
(まちょ? まっちょ? ……うまく言えんなぁ……)
 戸惑う久永は一旦置いて、メンバー達はまずは副村長に移住の許可をとる。村が賑わうのはいいことだと、村民達は一つ目を歓迎していたようだ。
「おぅ、待ってたぜ」
「新たな住人の為、此度も宜しく頼む」
 その上で、話を聞いていた大工のゲンさんが覚者に声を掛けてくると、久永は我に戻ってきちんと挨拶していた。
 それで、次に一つ目の家を建てることになるのだが、エメレンツィアは必要資材を運んでくるようにと手配を行う。
 他のメンバーはゲンさんと一緒に、どんな家を造ろうかと相談し合っていた。
「障子のある和室で、障子に一つ目の好きな動物や模様を色紙で貼って、遊び心がある雰囲気の部屋が一つ目に合いそうかなと思ったけど」
「イタズラが楽しく出来る様に、びっくりハウスやお化け屋敷的な物もいいかもしれないね」
 秋人は村においおいそういうのが作れればと考え、口にしたのだが。
「面白そうなんだゾ!」
 一つ目は自宅にそういうトラップが作ることができると言う発想がなかったらしく、目を輝かせる。
 そもそも、自身の家をしばらく持っていなかった一つ目。亮平や秋人の提案した家の間取りに喜んでいた。
 場所は優しそうな住民の近くでと提案があったが、今移住してきている古妖達も皆、受け入れには寛容だ。
 しかしながら、一つ目本人が居心地がよいかどうかと言われれば別の話。まだ何もない村で、ただ悪戯ばかりしているというわけにもいかないだろう。
 それに関しては、灯がずっと考えていた。車の中での話を聞いていた彼女は、こんな提案を持ちかける。
「お豆腐を持ち歩いているようですし、豆腐屋さんとかどうでしょう?」
「豆腐屋……だゾ?」
「美味しい豆腐があれば、きっとすぐに皆と仲良くなれますよ!」
 灯はにっこりと一つ目の手を取り、同意を求める。
(豆腐は豊胸にも良いらしいですし)
 ちらりと、こちらを見つめるぬりかべ(貧乳少女)の姿もある。豆腐に寄せるぺったんこ達の期待は篤い。
「でも、これは基本自分用なんだゾ……」
 一応、自身の持っているお豆腐は企業秘密で作っているらしいが。多数の人に振舞う豆腐となると話は変わる。ちゃんと材料となる大豆、それに水、機器だって必要となる。
「無理だったら、作れるようになるまでは家庭菜園を任せて野菜作り担当とか!」
 聖華もそんな提案を行うが、一つ目は難色を示す。できるかどうか自信が持てないからだ。
「一つ目の豆腐、美味かったしね」
「豆腐屋というのは良い案だなぁ。もし店を出すなら、この爺に看板を書かせてくれぬか? これでも達筆だぞ」
 それは良案と、亮平は頷く。久永も、できることをと申し出てくれる。村の人達も、美味しい豆腐屋ができることを歓迎してくれているようだ。
「……やってみるんだゾ!」
 手を挙げる一つ目に、覚者達も、ゲンさんも、副村長も笑顔を浮かべていた。

●家を建てよう!
 ある程度家の間取りが決まったところで、集まった資材を使い、ゲンさんを中心として家作りが始まる。灯も張り切って資材運びに精を出す。
「村が大きくなって、村人やお客さんが沢山来る様になったら、専用の建物ができるといいな」
 秋人は手伝いをしながら呟く。しかしながら、今は自宅でもできるだけでと、一つ目は大きな目を輝かせつつ、家ができていくのを眺めていた。
「ついでに茶屋のように、店先に長椅子でも置いてくれぬか」
 売買の場だけでは味気ないだろうと提案をする久永だが、彼は堂々と日陰でサボっていた。その為、仲間達から強引に手伝うよう引きずり出されていたようだ。
 途中、休憩するメンバー達は、一つ目に豆腐料理を頼む。
「豆腐、食いたいんだゾ?」
「うむ、決して余が疲れたからではないぞ」
 ほとんどサボっていた久永だったが、それはそれ。一つ目は覚者達に感謝しつつ、企業秘密で作った豆腐を取り出し、湯豆腐を振舞ってくれた。
「うん、あの時の味と一緒だ」
「空いたお腹に染み渡るような甘さだね」
 再び食す豆腐に、亮平の顔が綻ぶ。秋人も、その味に舌鼓を打っていたようだ。ゲンさんや副村長も、村の名物になると喜ぶのに、一つ目は照れくさそうにはにかんでいた。
 そうして、再び作業を行うメンバー達。作業は夜が更けるまで続く。
 ――そして。
 なんということでしょう。
 匠……もとい、ゲンさん主体で作られた家は、正面には豆腐屋。『一つ目豆腐』と筆で書かれた看板は久永によるもの。彼の提案で、その場で豆腐を食べられるようにと、店先には長椅子が並べられていて。
 奥は一つ目の住まいとなっている。亮平提案の障子には、一つ目が好きそうな動物のイラストが張られていた。何より、家の中には、遊び心満載のトラップがちらほら。家へ招き入れた人達に対し、一つ目がトラップを仕掛けることができるという、まさに彼の為の家となっている。
 ただ、問題は機材とインフラ整備といったところか。
「長閑で良い所だけど、それだけじゃダメよね」
 インフラ関係のチェックをしていたエメレンツィア。移住が増えるのなら、大規模な工事はもちろん、森を拓く必要があるかと考える。FiVE村の発展はまだまだこれからだ。
 そんなわけで、現状の環境では、家庭料理レベルの量しか豆腐を作ることができない。豆腐の量産に関しては、今後の覚者の働きかけ次第だろう。
 完成した豆腐は、久永が最初の客となって購入する。それに、一つ目はこれ以上ない笑顔を見せていた。
「ありがとなんだゾ!!」
「いずれはブランドイメージを作って、通販で利益出せるといいな」
 聖華の呼びかけに応じ、一つ目は自慢の豆腐を振舞うべく、張り切る。彼女は、自炊や1人暮らしに役立つ本も差し出し、可能な限りサバイバル技術を教える。とりわけ、罠の作り方に、一つ目は目を輝かせていたようだ。
 こうして、彼は村での第一歩を踏み出したのである。

 余談だが、村の名を改名しようと意気込んだ聖華だったが、その名が気に入っていた副村長によってあえなく却下されてしまったことだけ付け加えておく。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし



■あとがき■

リプレイ、公開いたします。
一つ目の移住、お疲れ様でした。

MVPは、
最も一つ目が喜んだ
びっくりハウスの提案をしてくれたあなたへ。

皆様の働きかけもあり、
一つ目はFiVE村で豆腐屋を営むことになりました。
まだまだ課題も多いですが、
折を見て様子を見に来ることにしましょう。

参加していただいた皆様、
本当にありがとうございました!




 
ここはミラーサイトです