飢えて、求める
飢えて、求める



 おぎゃあ。
 残業をようやく終えて会社から帰る最中OL、素山直子(もとやまなおこ)25歳は微かに聞こえた泣き声に足を止めた。
 眉をひそめて辺りを見回す。疲れからの幻聴ならば良いのだが、そうでなければここで赤子の泣き声が聞こえるのは少しばかり問題だ。
 河川の氾濫を防ぐ為に盛り上げられた土手の上の道。河原の逆手には既に明りの落ちた工場が並んでおり、時間帯のせいもあって人気は全くと言っていい程に無い。
 無論本人もこの時間帯にここを歩くのが不用心である事は理解していたが、この道は一人暮らしをしているマンションへの近道であり、仕事の疲れもあって出来るだけ早く家にたどり着きたかったのだ。
 其れに今までは特に何事も起きた事が無かったし。
 おぎゃあ、おぎゃあ。
 けれど泣き声はやはり聞こえた。暗い、暗い、河原の方から。
 直子は躊躇う事無くそちらに足を向けた。その脳裡にもしかして、と過ったのは、トイレに産み落とされた、或いはロッカーに置き去りにされた赤子の事件。
 彼女の勘は実の所然程大きくは外れていない。暗い暗い河原に居るのは、必要とされずに産み落とされて死んだ赤子の苦痛や、それを知った人の哀れみ、さらには其れに纏わる無責任な噂話が生み出した様々な想いが澱の様に溜まって出来たモノだから。
 素山直子は正義感の強い女性だった。比較的寛容ではあったけど直子が曲がった事をした時だけは物凄く怖い父と、どんな時でも感情的にならずに直子の言い分を聞いてくれる母を持ち、まっすぐ幸せに育った。
 社会に出てからは納得のいかない事も多々あったけど、それでも他人に恥じねばならぬような真似はしていない。
 年下ではあるが彼氏も居る。会社ので指導する事になり、その縁で慕ってくれた後輩からの紹介だった。上司や残業に疲れてイライラする事もあったが、山場を越える事の達成感だって知っている。
 そんな風に素山直子は正しく真っ直ぐで幸せな女性であったから、その時人生で最後の、そして最大の間違いを犯した。
 正しい事が正解な訳ではない。真っ直ぐである事は本当は生き辛い。もし彼女が不幸で余裕がなければ、そんな泣き声を無視することだってあり得たのに……。
 好奇心は猫を殺すし、危うきに近寄らないからこそ君子たりえるのだ。

 河原に降りた直子が見つけたのは異形だった。
 泣き声を聞いた彼女の予想通りに赤子ではあったけど、薄く光る、そして巨大な、顔を歪めて泣く赤子の『群れ』。
 素子の頭の中では危険信号が鳴り響いていた。危険だ、逃げろと。けれど同時に混乱してしまった彼女の価値観が邪魔をする。
 逃げる? 泣いてる赤ん坊を置いて? わざわざこんな河原まで降りて来たのに? 
 何かしないと。でも何を……?
 不意に、混乱に呆然と立ち尽くしてしまった素子と、泣くのをやめて四つん這いになった赤子の一体の目が合った。
 ニタァと赤子が笑みを浮かべる。もしも赤子が小さければその笑みは大層可愛らしかっただろうけど、これほどに大きければ醜さばかりが目立つ。
 笑みへの恐怖に、漸く足が一歩後ろに下がるが、でも全てはもう遅い。
 這っているだけなのに、するすると、おとなの駆け足よりもずっと早く近づいてきた赤子が、とっさに身体をかばった素子の腕に吸い付く。
 特に痛みは無かった。おそらくまだ歯も生え揃って無いからだろう。
 けれどごっそりと何かを吸い取られた感覚と、酷い脱力感に素子は地面に膝をつく。しわしわで、枯れ木のように細くなってしまった膝はその衝撃で簡単に砕けた。
 膝だけでは無い。吸い付かれた腕は勿論の事、彼女自身は幸いかな見る事は出来ないが顔も、身体もやせ細ってしわくちゃになっている。
 そして彼女の腕に吸い付いた赤子は更に巨大に成長し、地面に突いた手を放し、2本の足で立ち上がった。
 口からを涎を垂らし、顔に満面の喜色を浮かべて、
「マ゛マ゛ァ゛モ゛ッ゛ト゛ォ゛ォ゛ォ゛……」
 圧し掛かるその質量に、素子の命はあっさりとあっけなく砕け散った。


 指令書
『ランク1・ランク2の妖が出現。成長要素を持つ為、至急掃討されたし。犠牲者は既に一名が発生、現場付近にその他の人間は居ないが妖が成長して行動範囲が広がれば被害は激増すると思われる』


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:普通
担当ST:らると
■成功条件
1.エネミーの排除
2.なし
3.なし
 エネミー:飢えたる赤子
 心霊系の妖。ランクは1~2。5段階の成長をし、成長段階1~2はランク1、成長段階3~5はランク2。成長により飛躍的にその脅威度を上昇させる。
 全ての成長段階で吸収攻撃を持ち、吸収攻撃でHPが上限を超えれば次の成長段階に移行する。時間経過によっても成長段階の移行は起こる。

 成長段階1
 体長50cm程の赤子。移動手段を持たないが、近接範囲に近づけば吸い付いてくる。1~3ターンで成長段階2に移行。

 成長段階2
 体長1m程の赤子。寝返りでコロコロと移動するが移動速度は一般的なエネミーの半分ほど。近接範囲に近づいて吸い付いてくる。1~3ターンで成長段階3に移行。

 成長段階3
 体長2m程の赤子。ハイハイで移動し、移動速度は一般的なエネミーと大差がない。近接範囲に近づいて吸い付いてくる。3~5ターンで成長段階4に移行。


 成長段階4
 体長3m程の赤子。見た目は一歳程度になっている。2足歩行でよちよちと移動するが移動速度は一般的なエネミーの1,5倍程。近接範囲に近づいて吸い付いてくる。3~5ターンで成長段階5に移行。

 成長段階5A
 詳細不明。吸収で成長段階4から5になった場合はこちらになる。

 成長段階5B
 詳細不明。時間経過で成長段階4から5になった場合はこちらになる。悪霊。


 初期状態で成長段階1が6体、成長段階2が3体、成長段階3が2体、成長段階4が1体。
 物理攻撃の効果があまり期待できず、吸収攻撃に対しての物理防御の効果もあまり期待できません。
 吸収攻撃の他はパンチや圧し掛かり等を行ってくることも予想されます。

 現場は夜の河原。暗いです。足場もよろしくはありません。

 まずは単純な戦闘から行ってみましょう。選択によっては厳しい戦いになるかと思います。
 お気が向かれましたらどうぞ。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(0モルげっと♪)
相談日数
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
公開日
2016年03月02日

■メイン参加者 6人■

『F.i.V.E.の抹殺者』
春野 桜(CL2000257)


 おぎゃあ。
 夜の河原に赤子達の泣き声が響く。
 おぎゃあおぎゃあおぎゃあおぎゃあ。
 かそけき月明りと覚者達の連れる使役獣が放つ明かりに照らされて、彼等はむずかり、もぞりもぞりと蠢いている。
 泣き声は赤子にとって数少ない自己主張の方法だ。彼等は何かを訴えるために泣く。空腹を、粗相の不快感を、不安を、恐怖を。
 或いは温もりを、庇護を欲して泣き叫ぶ。
 けれどその訴えが聞き入れられる事はなく、この子達にそれらは与えられなかった。
 これまでも、そしてこれからも。
「ふん、水子が寂しがったか。這って転んで賽の河原から転げ落ちたか。まあいい、赤子の鳴き声なぞ煩いだけだ」
 覚者の一人、赤祢 維摩(CL2000884)が呟いた。
 言葉通りに、維摩にとって赤子達の事情等どうでも良いのだろう。憐憫も、憤りも、彼の瞳には何の色も浮かんで居ない。
 維摩にとって重要なのは、この赤子達が彼の研究のサンプルとなるかのみ。しかしそれに対しても然したる期待はしても居ない。
 その態度は酷く冷淡だが、けれどとても正しいのだ。
 水子は優しい人についてくる。憐れみ過ぎてはいけない。興味を持ち過ぎてもいけない。
 水子、水蛭子。できそこなってしまった、歪んでしまった、水に流して無かった事にされた子供。
 近寄る者たちの存在に気付いた赤子達が一斉に覚者へ視線を向ける。大き過ぎる、異形の赤子達はとても哀れで醜い。
 動き始めた赤子達に、『溶けない炎』鈴駆・ありす(CL2001269)は拳を握り……、一瞬だけ両の瞳を閉じた。
 胸の底に溜まった不快感、ヘドロの様な其れを拳の中に握りこんで。
「……開眼。行くわよ」
 拳と共に開かれた瞳は3つ。両の目と、左手に開眼した第三の目。そして右の掌には大きな炎が浮かんでいた。
 彷徨い出たモノを弔う炎が。


 迫りくる敵の第一陣、這い這いで這いよって来た成長段階3に達していた赤子達がありすの放った炎の柱に足を止められた。
 求める温もりなど遥かに超えて苛烈な熱量の火柱に、火が付いたように泣き叫ぶ赤子達。……一つ訂正、実際に彼らは火達磨だ。
 しかしその泣き声に惑わされる事無く、むしろ一切意に介することなく、次いで放たれた『浄火』七十里・夏南(CL2000006)の火柱がありすのそれと合わさり、闇夜を切り裂く巨柱となって第一陣の赤子達を飲み込んで行く。
 夏南の瞳は彼女の心のうちを雄弁に語る。一刻も早く焼けて死ねと。
 人が強い恐怖や強い嫌悪感を感じた時に取る行動は2種類ある。
 一つは逃避、其れを視界に入れないよう頭を抱えて蹲ったり、対象から少しでも遠くへ逃げようとしたり。もう一つが攻撃だ。徹底的に、対象を排除する。
 排除の手段として、もし仮に焼き払う事が可能ならばそれはとても優れた手法だ。
 叩き潰せば躯が残り、体液が付着する。虫嫌いが嫌悪と恐怖から虫を叩き潰しても、その死骸の始末には苦慮する事になるだろう。
 だが焼き払えて仕舞うのならそれらの悩みは一切ない。汚物のすべてを消毒できる。
 そして夏南の宿した火の五行は其れを可能とする力であった。クールさを感じさせる外見に相反し、苛烈な攻撃性を秘めた少女。
 強すぎる火はいつか自らや周囲をも焼きかねないが、けれど今その力は敵にのみ向けられている。

 そそり立った火柱によって周囲は随分と明るくなったが、空にそれと別種の光が集い始めた。
 瞬く星のような輝きは光の力、天行。
「はいはい、ご飯じゃなくておやすみの時間だよ」
 囁く様に、歌う様に、『調停者』九段 笹雪(CL2000517)が語り掛けた。
 赤子達に言葉の意味が理解できないのは承知している。けれどそれでも子に語り掛けぬ親が数少ないように、
「坊やは良い子だ寝ていれば、ぐずらす素直に寝ちゃってねー」
 続けられた笹雪の言葉は、彼女流のアレンジが入りまくっていたけど、まるで子守唄の如く。
 そして脣星落霜、星は、光は、降り注ぐ。全ての赤子達に均等に。

 強力な火力によって機先を制した覚者達ではあったけれど、無論赤子達とてただやられるがままでは無い。
 一部成長度合いが初期の個体達は動く事すら出来ないのでやられるがままだが、それ以外の個体のみでも数は赤子達が上なのだ。
 例え個々の力は覚者達が上回っていようとも、個の力は往々にして数の力に飲み込まれる物。
 ……しかし、炎を突っ切って覚者の前衛達に吸い付こうとした赤子の一部が突如として地団太を踏むかのように暴れ出す。平手打ちや、圧し掛かり。巨体から繰り出される其れは決して侮れはしないけれど、それでも吸収に比べれば脅威度は低い。
 赤子達を捉えた異常は未だ彼等が知らなかった感情、怒り。『約束』指崎 心琴(CL2001195)の放った艶舞・慟哭に依って植え付けられた、本来持ちえぬ偽りの其れ。
 そう、個の力が数の力に抗う術は幾つかある。例えば1つは追随を許さぬ全てを蹴散らす圧倒的なまでの力。そして例えば、数の力を活かさせぬ張り巡らされた策。
 残念ながら心琴が赤子達に植え付けた怒りの感情は、彼が想定した物よりも遥かに軽い。
 其れは赤子達を成す想念の中核である飢えが強すぎて怒りの感情を呼び起こしにくかったのかも知れないし、或いは単に状態異常への抵抗力が高くて復帰が早いせいかも知れない。
 けれども敵の動きを鈍らせるには十分過ぎたし、その上心琴が次手で繰り出す迷霧は霧に依って敵の戦闘力を引き下げる技。
 じわり、じわりと束ねる策が勝利の糸を引き寄せる。


「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
 楽しそうな、或いは嬉しそうな、けれど色濃い狂気を感じさせる笑い声と共に振り下ろされた春野 桜(CL2000257)の斧が、ごとりと彼女の放つ花の香に弱り動き鈍らせた赤子の首を切り落とす。
 首を失った切断面から噴き出した血が桜の身体を染めるが、赤子の身体がドロリと溶けて消え失せると共に、彼女の体を染めた血も消えていく。
 桜にも赤子達を憐れむ感情は存在した。しかし同様に敵は殺すべきだと判断する理性もある。そして此処まではおおよそ他の仲間達と、多かれ少なかれの感情配分の差はあれど同様だ。
 だが、けれども他の者達とは何かが違う。決定的に違う。
「クズは死ね。次は優しいお母さんのもとに生まれるといいわね死ね。あははははははは!」
 また振り下ろされる毒まみれの刃。優しさも苛烈さも矛盾せずに葛藤も起こさずに同居して、そして彼女は壊れている。
 泣き声と笑い声が混じり合い、凄惨な戦いの場を混沌が色付けて行く。
 既に戦いは中盤だ。

 覚者達は此処まで概ね優勢を保っていた。
 時間経過で成長した個体こそ出たものの、笹雪の全体攻撃が主な要因となって吸収での成長を遂げた個体は出ていない。それどころか最も段階の低かった成長段階1の赤子達に関しては動き出す事すら出来ずに消滅させられたモノが多く居た。
 笹雪に負けず劣らず強力な火力、文字通りに火の力を振るうありすと夏南の出来うる限りの数を巻き込んで放たれる火柱に前に出てきた赤子達から溶かされていく。
 仮に赤子の一部が無理に突出すれば、ありすの圧撃によって押し戻されて、そしてやはり火力で焼かれた。
 ありすや夏南が的確な攻撃を行える背景には、エネミースキャンと超視力を使用する事に依って戦場を把握する維摩の存在がある。赤子が吸収で成長を起こさぬよう大凡の体力を把握し、行動パターンの変化なども含めていち早く指示を出す。メイン火力3名のうち漏らしを仕留めるのも彼の役目である為に維摩は非常に忙しい。
 更には例え復帰されようとももう一度かければ問題なしとばかりに自重もせずに状態異常をばらまく心琴の存在。たとえ技による精神力の消耗が激しかろうと、笹雪の填気による精神力回復が待っているし、そもそも彼自身も填気を備えているのだ。
 春野桜は攻撃に、仲間の体力回復にと自由自在に動き回る。それを支えるのは仲間の誰よりも、そして勿論敵よりも優れた反応速度。例えどこかが壊れていようともその動きは的確で、故に酷く恐ろしい。
 覚者達は数を減らすことを優先している。故に赤子は徐々に、確実に数を減らす。一体、一体と、殺され溶けて消えていく。
 このまま何事も無ければ、覚者達の勝利はそう遠い事ではないだろう。覚者達は此処まで概ね優勢を保っているから。
 そう『概ね』。
 決して圧倒的では無く、故にただ一つだけ不安要素は残っていた。ただ一つだけ、けれど、最大の。

 ソイツは赤子達の中で最強の個体だった。そして同時に、たとえ獣と大差ない程度とは言えど、最も知恵ある個体でもあった。
 吸収を駆使して覚者達の猛攻を耐え凌げる程度には。他の赤子達を犠牲にしても生き残れる程度には。
 最初からある程度の成長を遂げていたのだ。人間で言えば赤子と幼児の境目位には。
 哀れなる唯一の犠牲者、素山直子を食ったが故に。
 もっと空腹を満たしたかった。もっと温もりが欲しかった。
 与えられぬから、吸い付く。たとえ相手を吸い尽くしてしまっても。
 誰も抱きしめてくれぬから、抱き着く。たとえそれで相手が砕けてしまっても。
 でも目の前にいる存在は与えてくれなくて、抱きしめてもくれなくて、酷く酷く抵抗して、自分を排除しようとしているから、要らない子は深く絶望する。
 必要とされなかった子は何処まで行っても必要とされなかったと。満たされる道は途絶えたと。
 勝手な思い込みで、理不尽で、迷惑で、自分勝手で、ずるくて、でも其れはそういう存在だった。赤ん坊と言う存在だった。
 大きく、酷く大きく成長しすぎた肉の塊が、腹からみちりと裂ける。重たい、無駄の多い想念の肉を脱ぎ捨てて、這い出て来たのはもっと純粋な悪意、恨み、すなわち悪霊。


 だが、けれど、しかし、それでも覚者達は動じず、揺るがなかった。
 古い身体を脱ぎ捨てて出現した最も高い成長段階の、それも恐らくは2種類あったうちのより悪い方、救いの無い方である悪霊の出現も織り込み済みであったかの如く。
 やせ細り、醜く腹の突き出た、餓鬼の様なの姿の悪霊を無視して、覚者達は更に赤子の排除に走る。躊躇いなく、容赦なく。
 段階4を目前にしていた個体が、維摩の指示に呼応した夏南の火柱によって灰となる。
 攻撃によって目立った夏南の喉が悪霊に食い破られても、今までの様な吸い付く吸収ではなく肉を噛み千切って食われても、桜が夏南に樹の雫、癒しの力を放つのみで他の仲間達は赤子の排除からぶれる事は無い。
 悪霊が出現しようとも、仲間が傷つこうとも、彼等は戦闘のプロのままであり続けた。何故なら、もし彼等が動じて敵を打ち漏らせば、多くの人が犠牲になるから。
 眼前の悪霊は大きな脅威だ。もはや多大な出血を強いられる事は間違いない。でもそれでも彼等は勝たねばならない。
 癒し手の排除を優先した悪霊に、桜がやがて崩れ落ちる。しかし桜の狂った笑い声は彼女が地に伏す瞬間まで止まる事はなく、そしてその頃には他の赤子全ての排除が終了する。
 悪霊は多大な脅威であり、出血は避けられない。もう一人や二人が倒れる事もあるかもしれない。
 けれどそれでも、もう既に揺らがぬ覚者達の勝利は確定していた。

 全てが終わり、静けさを取り戻した夜の河原で、ありすが火を着けた、地に置かれた線香の束からゆっくり煙が立ち上る。
 笹雪が用意した其れは決して高級品では無かったけれど、何も与えられる事無く迷ってしまった彼等へのせめてもの弔い。
 もし、もしも仮に彼等に次があるのなら、今度こそはもっと……。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし



■あとがき■

危険因子は数と5Bでした。不明要素でもある5Bは出現しましたが戦闘プランが確りしており、バステも含めて不測の事態にも対処してあったので今回の結果となります。
皆様お疲れ様でした。お気に召したら幸いです。




 
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