ぬめぬめした触手がああっ!!
●エロ植物の脅威
愛知県のとある動植物園。
冬とはいえ、温室の中ならば、季節の花でなくとも、様々な華が咲く。精一杯に花を広げて咲く花々は温室内を彩り、ここを訪れる人々を出迎え、楽しませてくれる。
「ねえねえ、これ見て!」
「わあっ、すごくきれい!」
「動物のついでって思ってきたけど、暖かいし、なかなかにいい場所だね」
その温室を訪れていたのは、女子大生3人組。いずれもスタイル抜群、美人の3人だ。
そんな美女達でも、女性が3人寄ればなんとやら。きゃっきゃうふふとかしましく会話しつつ、温室の中を進む。
ただ、彼女達は気づくべきだった。なぜか、この温室に他の客がいなかったことに。
その温室にはいつの間にか、妖が潜んでいたのだ。全長は3メートルほど。本体はいくつもの蔓が巻きついており、中央は大きく裂けて口が開いている。そして、蔓からは無数の触手が生えており、粘液を纏って蠢いていた。
美女達が近づくと、そいつは触手を長く伸ばし、美女達の身体を捕らえる。
「な、なに!?」
「触手が絡みついて……っ」
「いやあっ!」
花壇の中からするりと伸びた触手。いつの間にか、植物に紛れていたそいつらは全身の姿も現していた。もはや元となった植物が何なのか分からない程に異形化してしまった妖。他の客は逃げ出したか、こいつに食われてしまったのかもしれない。
「ククク……」
不気味な声を上げて笑う植物は、口を大きく開き、ねばねばした液を飛ばす。それは溶解液だったようで、美女達の服を溶かし、あられもない姿にしてしまう。
「きゃっ、服が……っ」
「い、いやあああっ!!」
「そんなのだめぇぇ!!」
そして、触手に絡めとられる美女達。その妖は嫌がるツボを理解しているのか、彼女達の弱いところを重点的に攻めていく。
「ククク……」
折角やってきた格好の獲物。妖はすぐに殺しはせず、じっくり、ねっとりと、心ゆくまで楽しむのである……。
●は、恥ずかしいのじゃ……
『F.i.V.E.』の覚者達が会議室に入ると。『薄幸の男の娘』菜花・けい(nCL2000118)が真っ赤な顔をして覚者達を出迎えてくれた。
「すまんのう、うち、ちょっと恥ずかしいのじゃ……」
この会議室に何かあるのかと思って覚者達は見回すが、別段変わった様子はない。
……とすれば、夢見のけいが何かを視たのだろう。
「とある動植物園の温室に、妖になった植物が潜んでいたのじゃ」
そいつは花壇の中に身を潜め、近づく客を触手で捉え、喰らってしまう。
だが、その最中、抵抗する女性に気を良くした妖は、美少女、美女に限ってはすぐに食らうことはなく、思いっきり弄り倒すようになったのだという。
「全く持って、余計なことを覚えたものじゃ……」
敵のランクは3。しかしながら、まだ3になったばかりといった力だ。
本来ならば骨まで溶かすような溶解液が服を溶かす程度の威力であったり、相手を食らうにしても、ゆっくりと咀嚼して食べたりと、まだ、その力を上手く行使できない部分もある。覚者としては、そこに付け入る余地があるだろう。
しかしながら、妖はランク相応に多様な攻撃で相手を攻めたてる。溶解液、食らいつきもそうだが、触手は状況に応じて使い分けるようだ。
場所は、とある動植物内の温室。歩くだけなら1分あれば回ることができる程度の大きさだが、背の高い植物も多いので、入口から全てを見渡すのは困難だ。
「基本的には、女子大生が襲われる前に妖と戦うことになると思うのじゃ」
女子大生のあられもない姿を見たいというのなら、話は別だが……。間違いなく名声に響くことになるとけいは釘をさす。
妖と戦うならば、狭い通路で戦うより、中央の広場におびき寄せる方がいいだろう。
場合によっては、いっそ外におびき出してもいいかもしれない。もっとも、敵の大きさもあって、温室が破壊されるのが前提になってしまう上、逃げられる危険もあるが……。
「説明は以上なのじゃ……」
さすがに、まだまだ多感なけいには、見えたものは刺激が強すぎた様子。覚者達は真っ赤になって黙ってしまったけいを落ち着かせた後、依頼へと出向くのだった。
愛知県のとある動植物園。
冬とはいえ、温室の中ならば、季節の花でなくとも、様々な華が咲く。精一杯に花を広げて咲く花々は温室内を彩り、ここを訪れる人々を出迎え、楽しませてくれる。
「ねえねえ、これ見て!」
「わあっ、すごくきれい!」
「動物のついでって思ってきたけど、暖かいし、なかなかにいい場所だね」
その温室を訪れていたのは、女子大生3人組。いずれもスタイル抜群、美人の3人だ。
そんな美女達でも、女性が3人寄ればなんとやら。きゃっきゃうふふとかしましく会話しつつ、温室の中を進む。
ただ、彼女達は気づくべきだった。なぜか、この温室に他の客がいなかったことに。
その温室にはいつの間にか、妖が潜んでいたのだ。全長は3メートルほど。本体はいくつもの蔓が巻きついており、中央は大きく裂けて口が開いている。そして、蔓からは無数の触手が生えており、粘液を纏って蠢いていた。
美女達が近づくと、そいつは触手を長く伸ばし、美女達の身体を捕らえる。
「な、なに!?」
「触手が絡みついて……っ」
「いやあっ!」
花壇の中からするりと伸びた触手。いつの間にか、植物に紛れていたそいつらは全身の姿も現していた。もはや元となった植物が何なのか分からない程に異形化してしまった妖。他の客は逃げ出したか、こいつに食われてしまったのかもしれない。
「ククク……」
不気味な声を上げて笑う植物は、口を大きく開き、ねばねばした液を飛ばす。それは溶解液だったようで、美女達の服を溶かし、あられもない姿にしてしまう。
「きゃっ、服が……っ」
「い、いやあああっ!!」
「そんなのだめぇぇ!!」
そして、触手に絡めとられる美女達。その妖は嫌がるツボを理解しているのか、彼女達の弱いところを重点的に攻めていく。
「ククク……」
折角やってきた格好の獲物。妖はすぐに殺しはせず、じっくり、ねっとりと、心ゆくまで楽しむのである……。
●は、恥ずかしいのじゃ……
『F.i.V.E.』の覚者達が会議室に入ると。『薄幸の男の娘』菜花・けい(nCL2000118)が真っ赤な顔をして覚者達を出迎えてくれた。
「すまんのう、うち、ちょっと恥ずかしいのじゃ……」
この会議室に何かあるのかと思って覚者達は見回すが、別段変わった様子はない。
……とすれば、夢見のけいが何かを視たのだろう。
「とある動植物園の温室に、妖になった植物が潜んでいたのじゃ」
そいつは花壇の中に身を潜め、近づく客を触手で捉え、喰らってしまう。
だが、その最中、抵抗する女性に気を良くした妖は、美少女、美女に限ってはすぐに食らうことはなく、思いっきり弄り倒すようになったのだという。
「全く持って、余計なことを覚えたものじゃ……」
敵のランクは3。しかしながら、まだ3になったばかりといった力だ。
本来ならば骨まで溶かすような溶解液が服を溶かす程度の威力であったり、相手を食らうにしても、ゆっくりと咀嚼して食べたりと、まだ、その力を上手く行使できない部分もある。覚者としては、そこに付け入る余地があるだろう。
しかしながら、妖はランク相応に多様な攻撃で相手を攻めたてる。溶解液、食らいつきもそうだが、触手は状況に応じて使い分けるようだ。
場所は、とある動植物内の温室。歩くだけなら1分あれば回ることができる程度の大きさだが、背の高い植物も多いので、入口から全てを見渡すのは困難だ。
「基本的には、女子大生が襲われる前に妖と戦うことになると思うのじゃ」
女子大生のあられもない姿を見たいというのなら、話は別だが……。間違いなく名声に響くことになるとけいは釘をさす。
妖と戦うならば、狭い通路で戦うより、中央の広場におびき寄せる方がいいだろう。
場合によっては、いっそ外におびき出してもいいかもしれない。もっとも、敵の大きさもあって、温室が破壊されるのが前提になってしまう上、逃げられる危険もあるが……。
「説明は以上なのじゃ……」
さすがに、まだまだ多感なけいには、見えたものは刺激が強すぎた様子。覚者達は真っ赤になって黙ってしまったけいを落ち着かせた後、依頼へと出向くのだった。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.妖の討伐。
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
エロ植物となった妖の討伐を願います。楽しむのは結構ですが、判定はしっかりやります。
●敵
○妖……植物1体。生物系、ランクは3になったばかり。全長3メートル。
元となった植物は不明です。美少女、美女はじっくりねっとりいたぶり、他は大概すぐ食らってしまうようです。
・絡みつく触手……物遠単・減速・触手を相手に絡ませ、縛り付けます。
・貫く触手……物遠貫3・まるで槍のように勢いよく触手を突き出してきます。
・薙ぎ払う触手……物近列貫2・複数本の触手で攻撃を仕掛けてきます。
・溶解液……特遠全・虚弱・ヌメヌメした液体を口から吐きかけてきます。
・食らいつく……特近単・HP吸収・相手を食べ、体力を回復します。
●状況
OPの通りです。
弄られたい方は前列推奨ですが、重傷になる覚悟で願います。
また、アラナタルは全年齢向けのPBWです。予めご了承願います。
それでは、今回も楽しんでいただければ幸いです。よろしくお願いいたします!
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
6日
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2016年02月13日
2016年02月13日
■メイン参加者 8人■

●ランク3のエロ植物とは
『F.i.V.E.』の覚者達は、愛知県某所の動植物園までやってきていた。
「今回の敵は人食い植物との事、そのような妖、断じて認める訳にはいきません! ぜひ、たたっ切ってやりましょう!」
新たなる妖の出現。『カワイコちゃん』飛騨・沙織(CL2001262)の言葉に、覚者達は揃って妖討伐に意気込みを見せる。
「愉快な依頼だ。ひとつ、目の保養といこう」
蔓触手をわらわらと広げる妖と女性メンバーとの絡み。『星狩り』一色・満月(CL2000044)はそれが楽しみなのだが。
「……だが、相手はランク3。油断はできん」
真剣モードとの切り替えはきちんとせねばと満月は考える。……遊ぶ所は全力で遊ぼうとも。
「ランク3? 関係ない」
『戦場を舞う猫』鳴海 蕾花(CL2001006)は視線鋭く言い放つ。
「女性の敵なら、ブチのめすまで。あたしの仲間に手を出したら承知しないよ」
女性メンバー全員が蕾花のように勝気なわけではないのだ。
「ランク3の妖……初めて見るから……。怖い、けど……勇気を出して、戦うよ……!」
体を震わせる『罪なき人々の盾』明石 ミュエル(CL2000172)。気弱な彼女だが、彼女は静かに妖に対して闘志を燃やす。
「ランク3のこっち系は厄介だなぁ……。まぁ、何系に限った話でもないか」
『デウス・イン・マキナ』弓削 山吹(CL2001121)は事後のことまで考え、着替えとタオルの入ったバッグを物陰に置く。
「エロゲーとかに出てきそうやん」
エロ植物に興味津々の茨田・凜(CL2000438)。まだ見ぬ敵がどんな相手なのかを想像するだけで、「きゅん♪」と体を火照らせてしまう。
「若い女の子と触手、鉄板ね」
エルフィリア・ハイランド(CL2000613)は男性2人を見やる。満月が期待しているのは見え見えだ。
「触手、ですか。嫌いではありませんよ、そういうの」
また、半分に割れた銀の仮面を付けた『名も無きエキストラ』エヌ・ノウ・ネイム(CL2000446)は、笑みを浮かべていた。
男2人の目の保養になるのは確実。……それでも。
「アタシはどっちもOK!」
触手に絡まれる女の子を見るのも、自身で絡まれるのも、エルフィリアは受け入れる所存である。
「えっ、触手? そんなの斬ればいいだけの話です!」
沙織がぴしりと言い切る。
「触手プレイ、……何の話でしょうか? とにかく、女性だけ甚振る卑劣漢な植物など……許せません!」
しかし、沙織は知らない。触手というのが如何に特殊なプレイなのかを。
「皆の盾として私のこの剣、活かしてみせましょう!」
「それに、肉食系の凜が植物に食べられたりしたら、洒落にならへんやん」
仮にこれが人畜無害ならば、話は違ったろうが。
(むしろ、大勢の悲鳴が聞けるので、僕にとっては好ましい物になりえますね)
意気込む女性陣を眺めるエヌは、そう考える。もっとも、自身が絡まれなければの話だが。
ともあれ、覚者達は温室の中へと足を踏み入れていくのである。
●獲物を狙う妖
不気味なほどに静まる温室内。
(女性を散々いたぶってから食べようって考え自体が気に入らない)
もしかすれば、植物に擬態しているかもしれないと、室内を見回す蕾花。「背の高い植物かと思ったら妖でした」はゴメンだ。
彼女は守護使役のていさつを使い、背の高い花を中心に見回らせた。敵が見つかれば、囮役のミュエルと満月に『送受心』で敵の所在を伝えようと考える。
敵は危害を加える者には敏感との情報もある。ミュエルや沙織は武器を隠し、前衛メンバー数人で広場へと先行しようとする。
そこで、通路の途中で伸びてくる触手。敵意を察した敵の方が覚者よりも早く仕掛けてきたのだ。沙織は勘を働かせて飛びのく。
「来たよ……!」
思ったよりも奇襲が早い。危険を察したミュエルが仲間達に告げる。メンバー達は否応なしにその対処に迫られた。
中央に向かう通路上に敵がいる。狭い通路。だが、敵は単体。回り込むことは可能ではあるが、それだと通路で挟み討つ形となる。
(よし、皆、怪我のないようにな)
満月は女性陣を下がらせ、男2人で敵の誘導を考えるが。エヌはすでに仲間の後方に引っ込んでいた。
そんなわけで、彼は男1人前に立ち、敵の気を引く。
「ここに集まった女どもは俺の餌よ」
思考と言いたいことが真逆の満月。女性陣のヒンシュクを買う中、満月はドヤ顔で妖を睨む。
「ほれ、アンタの嫌いな男だ。存分に喰らいついて来い、楽しみはそこからだ」
温室の中央には、広場がある。そこに敵を誘導することで、少しでも優位に立てればと覚者達は考えていたのだ。満月は後ろへと身を引いて退却を始める。
「敵は広い場所に引っ張ってきた方が良いわね」
エルフィリアが仲間に告げる。他のメンバーも広場に誘導すべく、一旦後ろに下がり、別の通路から敵を広場へと誘導しようとしていた。
(僕としては、狭い場所でもよかったのですが、ね)
むしろ、離れて雷を落とすだけなら、その方がともエヌは考えていた。触手の動きが限られるかもしれない。ただ、彼も反論することはなく、仲間に従っていたようだ。
(あんなのに捕まりたくないな)
蕾花が横目でわらわらと蠢く青臭い触手を見る。その尖端は、男性陣を狙っていた。邪魔なものを先に食らおうとしているのだろう。
(成程ね、男女の区別のつく頭はあるってわけか)
ランク3は一味違う。とはいえ、感心ばかりもしてはいられない。
「人畜無害だったら、しかる場所に引き取ってもらえたかもしれへんけど、人間を食べるなんてホントに困った植物なんよ」
エロ植物を引き取るしかる場所が気になるところだが、それはそれとして。女性を弄ぶというこのエロ植物。ただ、肉食系の凜だって、食べられる危険がある。仲間達に合わせ、彼女もできる限り、敵の誘導を図る。
まして、今狙っているのは男子。妖の食欲が強くなると危険だと判断した凛は、残念な気持ちを抑えつつも、気合を入れて退治に臨むのである。
●応戦開始!
後退を続ける覚者達。多少、攻撃を食らうことはあったが、一行はうまく温室中央の広場へと誘導することに成功していた。
山吹は、隙を見てエネミースキャンを試みる。できる限り情報が調べられたらと思っていたのだが、残念なことに、敵の高い耐性の壁に阻まれ、解析は失敗してしまう。
下がっていたメンバー達は反転し、向かってくる敵に応戦を始める。
「ランク3の妖の強さってのを、見せてもらおうじゃないか」
真っ先に仕掛ける蕾花。彼女は腕試しを兼ねて妖に挑む。獣の因子を持つ彼女はその身のこなしで苦無を操り、二連撃を繰り出す。さらに、体内の炎を活性化さえ、自身の身体能力を高めていたようだ。
中央に布陣していたエルフィリアも持っていた鞭を振るい、逆に敵を縛り付けた。
満月も刀を振るい、妖に2連で斬撃を浴びせかけた。その後、敵の貫く触手を警戒し、縦に並ばぬようにと考えるが、仲間達も敵を攻めたり、敵の攻撃から逃れるべく前に立つメンバーを壁として身を隠したりと、なかなか思い通りにはならない。
一方、覚者を追ってきた敵は、裂けた口から粘液を飛ばしてくる。相手の服を溶かすそれは、これからの攻撃の下ごしらえなのかもしれない。
(……溶解液の存在が只々嫌らしくありますが、僕には講じる手段がないのですよねぇ)
仲間に粘液が浴びせ掛かる中、エヌも甘んじて、それを受け入れる。
敵が迫ってくる間に、ミュエルは械の因子の力で自らの防御を高めていた。そして、敵が到着したタイミングで敵の触手攻撃に備え、仲間全員の治癒能力を高める。
「仲間の女性陣が甚振られる姿など、見たくありません!」
それを受けた沙織も果敢に前へと飛び出し、地を這うような軌跡から跳ね上がるような連撃を双刀・鎬で放つ。
凜はそんな仲間を援護すべく、妖の周りに霧を発生させる。
山吹は中央に立って、霧に包まれた敵の姿を観察していた。
(こういう敵、何度か相手にしてるけど……。慣れないもんだね)
わらわらと動く触手は常に覚者の隙を見はからっていたし、大きく裂けた口は糸を引き、常に捕食を狙っていたようだ。
(食べられるのはイヤだなぁ……。……やー、触手ならいいって意味じゃないけど)
英霊の力で攻撃力を高め、ガントレットに炎を纏わせる山吹は、前衛がんばれと呟きつつ、自らも攻撃をと仕掛けていく。
エヌは仲間達を後ろで眺めていた。巻き込まれたくないと考えての立ち位置である。
(勿論、此処も完全に安全とは言えませんが、前に立つよりは……ねぇ?)
エヌは彼なりに楽しみがあるのだが、それだけを待っているわけにもいかない。相手は強敵に違いないのだ。
兎に角、打点を稼いでおこうと、エヌは雷雲を落とし、妖に雷撃を浴びせかけるのである。
●ぐちょぐちょ触手タイムです
序盤は静かに準備を整えていた妖。しかしながら、敵が一気に攻勢に出たとき、覚者達に戦慄が走る。
仲間を狙った触手。それを庇って最初に触手に捕らえられたのは蕾花だった。滑った触手はまさぐるように、溶けた彼女の服の上から縛り付けようとする。
(『嫌ぁ、やめて』とか言ったら、自殺モノだな)
嫌がれば、敵の思うつぼ。ただ、まさか弱点を探す脳などないと思っていた彼女は、ランク3の妖を侮っていると言わざるを得ない。
「う……、あうっ……」
触手で執拗に攻める妖は、大きな乳を触られて反応した彼女の態度に敏感に反応して、胸を弄り始める。
「おい、男子。あたしを見るんじゃない! 見たら殺すぞ!」
気丈に耐えつつ叫ぶ蕾花。しかし、敵は彼女が耳にも吐息を漏らしたことに気づき、そちらにも触手を伸ばす。
しかしながら、満月はガッツポーズをしてしっかりと目を見開き、その光景を脳裏に焼き付ける。思春期の男ならば、これは致し方ないというか、当然の行為である。
「くっ、離せ!」
次に触手のターゲットとなったのは、沙織だ。伸びる触手に手足を縛られた彼女だが、強気に敵へと叫ぶ。
「……私を甚振るならやってみろ! 私は絶対に屈しないぞ!」
しかし、敵は沙織の大きな胸が気になるのか、溶解液を潤滑油代わりに触手を滑らせ、胸の頂上付近をまさぐり……。
「ひぐぅ! うう……。もう……、許してください……。いやぁ……」
のけぞる彼女を、触手はしつこく縛り付ける。強気だった彼女だが、あっさりとその触手の攻めに堕ちてしまう。
(男の子2人の目の保養の為にも、がんばってね♪)
エルフィリアは敢えて仲間の叫びをスルーし、今のうちにと危険植物から分泌される毒を流し込む。
「植物由来の異常はちゃんと効くみたいね」
毒に侵される敵へ、彼女はさらなる異常を付与すべくガンガン攻めたてる。
しかしその時、薙ぎ払われる触手が彼女も巻き込む。
「あ……うっ」
打ち付けられる触手の威力は、エルフィリアの想像以上に強烈だった。
(キッツーイ攻めはウェルカム、ドンドンやっちゃって!)
攻めるのも好きだが、強引に攻められるのにも、思わず感じてしまうエルフィリアだ。
そこで、凜が癒しの滴をエルフィリアへと落とす。
(後方の回復は、凜が担当するんよ)
彼女はできる限り、支援回復をと動いていく。
さらに、妖による触手攻めは続く。触手が、捕らえたミュエルのささやかな胸へ。
「い、いやっ……!」
そして、スポーツブラの上から舐めるように身体を張ってくる。その感触に、彼女は涙を流してしまう。
「ふふふ、良い声をお出しになられるではありませんか」
エヌは愉悦の表情を浮かべる。ただ、あられもない姿をさらす仲間には、彼はさほど関心を持ってはいない。
(僕が興奮するのは眼に見えぬ『声』、そして歪む感情だけなのですよ)
敵へと雷を落とすエヌは、仲間が触手を嫌がるその声を聴いて、満面の笑みを浮かべていた。
攻められて泣いていたミュエル。それでも、その目はまだ生きていた。
(アタシには、血雨とか逢魔ヶ時とか、そういう怖いことに、向き合う勇気……ない、から……)
だからこそ、そういった強敵に立ち向かう人……血雨に立ち向かうあの子が、集中して戦えるように。
「……関係ない妖事件に、気をとられたり、しないように……頑張るって、決めたんだから……!」
身体の底から勇気を振り絞り、ミュエルは妖に立ち向かう。溶解液にまみれて服が溶かされても、恐怖心を捨てて。
(嫌々は見てても仕方ないからな。まあ、見ていたかったのは本当だが)
満月は触手を寸断し、ミュエルを助け出すのだった。
●触手が止まる時
広範囲に渡って触手で攻めたてる妖。それは覚者達の体力を大きく削ぎ取っていて。
炎撃を繰り出していく山吹を狙い、1本の触手が槍のように突き出てくるのを、満月が受け止める。
「なに、女を護るのも男の仕事だ」
苦しそうに呟く満月。ただ、触手の勢いは止まらず、山吹の腹をも貫いた。
仲間の回復も間に合わない刹那崩れかけたが、命の力に頼った彼女は、さらに伸びてきた触手を胸で挟み込み、片手でつかんで焼き焦がした。
そんな彼らに、凜は癒しの力を振りまく。
エインフェリアは仲間の後ろから妖に種を投げつけ、急成長させた植物で動きを封じ、体液を流れ出させる。
ミュエルも敵に傷をつけたり、弱体させたりと立ち回っていたが、仲間の疲弊を見て回復を図る。
だが、今度は彼女へと食らいついて来る妖。体力が減り、なりふり構ってはいられなくなってきたのだろう。
体力の維持は考えていたミュエルだったが。想像以上に体力を吸われ、意識が途切れた。
だが、彼女は命の力を砕いてまでも、倒れることを拒絶する。そして、植物の生命力を凝縮した雫を傷つく仲間に振りまいた。
「乙女の柔肌を傷つけた落とし前、つけてやろうじゃん」
ここぞと蕾花が仕掛ける。その一撃は猛り狂う獣のようで。まるで植物を捕食するようにも見えた。
シャアアと奇妙な叫びを上げる敵。エヌは笑みを湛えたまま、雷雲から雷を落とす。
「皆さんの声を聴くのは、これまでですかね」
さらに食らいついて来ようとする敵。狙うは満月だ。
(助けないと!)
前に立つ沙織。威風を纏った彼女は敵の攻撃よりも早く、辱められた怒りを力に変え、木々の力を乗せた双刀で切り払う。
ジタバタと暴れる妖だが、すでに生命力は尽きていて。全ての触手をへたらせ、枯れ草のように萎んでしまったのだった。
●無事に倒しはしたものの
傷を負う者もいたが、なんとか妖を倒した覚者達。前に立っていた女性陣は精神をすり減らしていたようだ。
「……触手……怖い……」
沙織は小刻みに体を震わせる。そして、服を溶かされ、ベトベトになってしまった身体に気づき、胸を抑える。ミュエルも負っていた傷以上に自身の恥ずかしい格好が気になり、赤面していた。2人は互いの姿に気づいて慰め合う。
ともあれ、早くお風呂に入りたいが。山吹は外に置いていたバッグから着替えとタオルを取り出し、仲間に渡していた。
(妖の賢さ、報告しておかないとな)
後ほど、『F.i.V.E.』へ報告書をまとめようと考える蕾花はそそくさと着替える。また、この後やってきた女性達にエロ植物の残骸を見せないようにと、ワーズワースで説得して温室へと立ち入らせないようにしていたようだ。
エルフィリアはまだ触手に対してトラウマの残る仲間を見て、考える。
(精神的にダメージ負ってそうだし、治療の為にショッピングで発散が良いかしら?)
「傷んじゃったから、新しい洋服欲しいんよねー」
エルフィリアと考えていることはちょっと違ったが、買い物をしたいという考えは一致する。
その2人がチラリと男性陣に視線を走らせると。
「いや、いいもの見せてもらった」
女性陣の包囲をすり抜けた満月は飄々と語り、温室から悠然と出ていってしまう。また、エヌの姿もすでになくなっていた。
領収書すら握り潰して自腹で払わせようと考えていたのに。エルフィリアはいつかあの2人から見物料を踏んだくろうと考える。
「だったら、街で逆ナンしてみるんよ」
市街地まで出れば、これだけの美女揃いの覚者なら、気のある男性におねだりして何か買ってもらえるかもと凜は女性メンバーを誘う。それに対して同意したメンバー達は、市街地へと繰り出すことにしたのだった。
『F.i.V.E.』の覚者達は、愛知県某所の動植物園までやってきていた。
「今回の敵は人食い植物との事、そのような妖、断じて認める訳にはいきません! ぜひ、たたっ切ってやりましょう!」
新たなる妖の出現。『カワイコちゃん』飛騨・沙織(CL2001262)の言葉に、覚者達は揃って妖討伐に意気込みを見せる。
「愉快な依頼だ。ひとつ、目の保養といこう」
蔓触手をわらわらと広げる妖と女性メンバーとの絡み。『星狩り』一色・満月(CL2000044)はそれが楽しみなのだが。
「……だが、相手はランク3。油断はできん」
真剣モードとの切り替えはきちんとせねばと満月は考える。……遊ぶ所は全力で遊ぼうとも。
「ランク3? 関係ない」
『戦場を舞う猫』鳴海 蕾花(CL2001006)は視線鋭く言い放つ。
「女性の敵なら、ブチのめすまで。あたしの仲間に手を出したら承知しないよ」
女性メンバー全員が蕾花のように勝気なわけではないのだ。
「ランク3の妖……初めて見るから……。怖い、けど……勇気を出して、戦うよ……!」
体を震わせる『罪なき人々の盾』明石 ミュエル(CL2000172)。気弱な彼女だが、彼女は静かに妖に対して闘志を燃やす。
「ランク3のこっち系は厄介だなぁ……。まぁ、何系に限った話でもないか」
『デウス・イン・マキナ』弓削 山吹(CL2001121)は事後のことまで考え、着替えとタオルの入ったバッグを物陰に置く。
「エロゲーとかに出てきそうやん」
エロ植物に興味津々の茨田・凜(CL2000438)。まだ見ぬ敵がどんな相手なのかを想像するだけで、「きゅん♪」と体を火照らせてしまう。
「若い女の子と触手、鉄板ね」
エルフィリア・ハイランド(CL2000613)は男性2人を見やる。満月が期待しているのは見え見えだ。
「触手、ですか。嫌いではありませんよ、そういうの」
また、半分に割れた銀の仮面を付けた『名も無きエキストラ』エヌ・ノウ・ネイム(CL2000446)は、笑みを浮かべていた。
男2人の目の保養になるのは確実。……それでも。
「アタシはどっちもOK!」
触手に絡まれる女の子を見るのも、自身で絡まれるのも、エルフィリアは受け入れる所存である。
「えっ、触手? そんなの斬ればいいだけの話です!」
沙織がぴしりと言い切る。
「触手プレイ、……何の話でしょうか? とにかく、女性だけ甚振る卑劣漢な植物など……許せません!」
しかし、沙織は知らない。触手というのが如何に特殊なプレイなのかを。
「皆の盾として私のこの剣、活かしてみせましょう!」
「それに、肉食系の凜が植物に食べられたりしたら、洒落にならへんやん」
仮にこれが人畜無害ならば、話は違ったろうが。
(むしろ、大勢の悲鳴が聞けるので、僕にとっては好ましい物になりえますね)
意気込む女性陣を眺めるエヌは、そう考える。もっとも、自身が絡まれなければの話だが。
ともあれ、覚者達は温室の中へと足を踏み入れていくのである。
●獲物を狙う妖
不気味なほどに静まる温室内。
(女性を散々いたぶってから食べようって考え自体が気に入らない)
もしかすれば、植物に擬態しているかもしれないと、室内を見回す蕾花。「背の高い植物かと思ったら妖でした」はゴメンだ。
彼女は守護使役のていさつを使い、背の高い花を中心に見回らせた。敵が見つかれば、囮役のミュエルと満月に『送受心』で敵の所在を伝えようと考える。
敵は危害を加える者には敏感との情報もある。ミュエルや沙織は武器を隠し、前衛メンバー数人で広場へと先行しようとする。
そこで、通路の途中で伸びてくる触手。敵意を察した敵の方が覚者よりも早く仕掛けてきたのだ。沙織は勘を働かせて飛びのく。
「来たよ……!」
思ったよりも奇襲が早い。危険を察したミュエルが仲間達に告げる。メンバー達は否応なしにその対処に迫られた。
中央に向かう通路上に敵がいる。狭い通路。だが、敵は単体。回り込むことは可能ではあるが、それだと通路で挟み討つ形となる。
(よし、皆、怪我のないようにな)
満月は女性陣を下がらせ、男2人で敵の誘導を考えるが。エヌはすでに仲間の後方に引っ込んでいた。
そんなわけで、彼は男1人前に立ち、敵の気を引く。
「ここに集まった女どもは俺の餌よ」
思考と言いたいことが真逆の満月。女性陣のヒンシュクを買う中、満月はドヤ顔で妖を睨む。
「ほれ、アンタの嫌いな男だ。存分に喰らいついて来い、楽しみはそこからだ」
温室の中央には、広場がある。そこに敵を誘導することで、少しでも優位に立てればと覚者達は考えていたのだ。満月は後ろへと身を引いて退却を始める。
「敵は広い場所に引っ張ってきた方が良いわね」
エルフィリアが仲間に告げる。他のメンバーも広場に誘導すべく、一旦後ろに下がり、別の通路から敵を広場へと誘導しようとしていた。
(僕としては、狭い場所でもよかったのですが、ね)
むしろ、離れて雷を落とすだけなら、その方がともエヌは考えていた。触手の動きが限られるかもしれない。ただ、彼も反論することはなく、仲間に従っていたようだ。
(あんなのに捕まりたくないな)
蕾花が横目でわらわらと蠢く青臭い触手を見る。その尖端は、男性陣を狙っていた。邪魔なものを先に食らおうとしているのだろう。
(成程ね、男女の区別のつく頭はあるってわけか)
ランク3は一味違う。とはいえ、感心ばかりもしてはいられない。
「人畜無害だったら、しかる場所に引き取ってもらえたかもしれへんけど、人間を食べるなんてホントに困った植物なんよ」
エロ植物を引き取るしかる場所が気になるところだが、それはそれとして。女性を弄ぶというこのエロ植物。ただ、肉食系の凜だって、食べられる危険がある。仲間達に合わせ、彼女もできる限り、敵の誘導を図る。
まして、今狙っているのは男子。妖の食欲が強くなると危険だと判断した凛は、残念な気持ちを抑えつつも、気合を入れて退治に臨むのである。
●応戦開始!
後退を続ける覚者達。多少、攻撃を食らうことはあったが、一行はうまく温室中央の広場へと誘導することに成功していた。
山吹は、隙を見てエネミースキャンを試みる。できる限り情報が調べられたらと思っていたのだが、残念なことに、敵の高い耐性の壁に阻まれ、解析は失敗してしまう。
下がっていたメンバー達は反転し、向かってくる敵に応戦を始める。
「ランク3の妖の強さってのを、見せてもらおうじゃないか」
真っ先に仕掛ける蕾花。彼女は腕試しを兼ねて妖に挑む。獣の因子を持つ彼女はその身のこなしで苦無を操り、二連撃を繰り出す。さらに、体内の炎を活性化さえ、自身の身体能力を高めていたようだ。
中央に布陣していたエルフィリアも持っていた鞭を振るい、逆に敵を縛り付けた。
満月も刀を振るい、妖に2連で斬撃を浴びせかけた。その後、敵の貫く触手を警戒し、縦に並ばぬようにと考えるが、仲間達も敵を攻めたり、敵の攻撃から逃れるべく前に立つメンバーを壁として身を隠したりと、なかなか思い通りにはならない。
一方、覚者を追ってきた敵は、裂けた口から粘液を飛ばしてくる。相手の服を溶かすそれは、これからの攻撃の下ごしらえなのかもしれない。
(……溶解液の存在が只々嫌らしくありますが、僕には講じる手段がないのですよねぇ)
仲間に粘液が浴びせ掛かる中、エヌも甘んじて、それを受け入れる。
敵が迫ってくる間に、ミュエルは械の因子の力で自らの防御を高めていた。そして、敵が到着したタイミングで敵の触手攻撃に備え、仲間全員の治癒能力を高める。
「仲間の女性陣が甚振られる姿など、見たくありません!」
それを受けた沙織も果敢に前へと飛び出し、地を這うような軌跡から跳ね上がるような連撃を双刀・鎬で放つ。
凜はそんな仲間を援護すべく、妖の周りに霧を発生させる。
山吹は中央に立って、霧に包まれた敵の姿を観察していた。
(こういう敵、何度か相手にしてるけど……。慣れないもんだね)
わらわらと動く触手は常に覚者の隙を見はからっていたし、大きく裂けた口は糸を引き、常に捕食を狙っていたようだ。
(食べられるのはイヤだなぁ……。……やー、触手ならいいって意味じゃないけど)
英霊の力で攻撃力を高め、ガントレットに炎を纏わせる山吹は、前衛がんばれと呟きつつ、自らも攻撃をと仕掛けていく。
エヌは仲間達を後ろで眺めていた。巻き込まれたくないと考えての立ち位置である。
(勿論、此処も完全に安全とは言えませんが、前に立つよりは……ねぇ?)
エヌは彼なりに楽しみがあるのだが、それだけを待っているわけにもいかない。相手は強敵に違いないのだ。
兎に角、打点を稼いでおこうと、エヌは雷雲を落とし、妖に雷撃を浴びせかけるのである。
●ぐちょぐちょ触手タイムです
序盤は静かに準備を整えていた妖。しかしながら、敵が一気に攻勢に出たとき、覚者達に戦慄が走る。
仲間を狙った触手。それを庇って最初に触手に捕らえられたのは蕾花だった。滑った触手はまさぐるように、溶けた彼女の服の上から縛り付けようとする。
(『嫌ぁ、やめて』とか言ったら、自殺モノだな)
嫌がれば、敵の思うつぼ。ただ、まさか弱点を探す脳などないと思っていた彼女は、ランク3の妖を侮っていると言わざるを得ない。
「う……、あうっ……」
触手で執拗に攻める妖は、大きな乳を触られて反応した彼女の態度に敏感に反応して、胸を弄り始める。
「おい、男子。あたしを見るんじゃない! 見たら殺すぞ!」
気丈に耐えつつ叫ぶ蕾花。しかし、敵は彼女が耳にも吐息を漏らしたことに気づき、そちらにも触手を伸ばす。
しかしながら、満月はガッツポーズをしてしっかりと目を見開き、その光景を脳裏に焼き付ける。思春期の男ならば、これは致し方ないというか、当然の行為である。
「くっ、離せ!」
次に触手のターゲットとなったのは、沙織だ。伸びる触手に手足を縛られた彼女だが、強気に敵へと叫ぶ。
「……私を甚振るならやってみろ! 私は絶対に屈しないぞ!」
しかし、敵は沙織の大きな胸が気になるのか、溶解液を潤滑油代わりに触手を滑らせ、胸の頂上付近をまさぐり……。
「ひぐぅ! うう……。もう……、許してください……。いやぁ……」
のけぞる彼女を、触手はしつこく縛り付ける。強気だった彼女だが、あっさりとその触手の攻めに堕ちてしまう。
(男の子2人の目の保養の為にも、がんばってね♪)
エルフィリアは敢えて仲間の叫びをスルーし、今のうちにと危険植物から分泌される毒を流し込む。
「植物由来の異常はちゃんと効くみたいね」
毒に侵される敵へ、彼女はさらなる異常を付与すべくガンガン攻めたてる。
しかしその時、薙ぎ払われる触手が彼女も巻き込む。
「あ……うっ」
打ち付けられる触手の威力は、エルフィリアの想像以上に強烈だった。
(キッツーイ攻めはウェルカム、ドンドンやっちゃって!)
攻めるのも好きだが、強引に攻められるのにも、思わず感じてしまうエルフィリアだ。
そこで、凜が癒しの滴をエルフィリアへと落とす。
(後方の回復は、凜が担当するんよ)
彼女はできる限り、支援回復をと動いていく。
さらに、妖による触手攻めは続く。触手が、捕らえたミュエルのささやかな胸へ。
「い、いやっ……!」
そして、スポーツブラの上から舐めるように身体を張ってくる。その感触に、彼女は涙を流してしまう。
「ふふふ、良い声をお出しになられるではありませんか」
エヌは愉悦の表情を浮かべる。ただ、あられもない姿をさらす仲間には、彼はさほど関心を持ってはいない。
(僕が興奮するのは眼に見えぬ『声』、そして歪む感情だけなのですよ)
敵へと雷を落とすエヌは、仲間が触手を嫌がるその声を聴いて、満面の笑みを浮かべていた。
攻められて泣いていたミュエル。それでも、その目はまだ生きていた。
(アタシには、血雨とか逢魔ヶ時とか、そういう怖いことに、向き合う勇気……ない、から……)
だからこそ、そういった強敵に立ち向かう人……血雨に立ち向かうあの子が、集中して戦えるように。
「……関係ない妖事件に、気をとられたり、しないように……頑張るって、決めたんだから……!」
身体の底から勇気を振り絞り、ミュエルは妖に立ち向かう。溶解液にまみれて服が溶かされても、恐怖心を捨てて。
(嫌々は見てても仕方ないからな。まあ、見ていたかったのは本当だが)
満月は触手を寸断し、ミュエルを助け出すのだった。
●触手が止まる時
広範囲に渡って触手で攻めたてる妖。それは覚者達の体力を大きく削ぎ取っていて。
炎撃を繰り出していく山吹を狙い、1本の触手が槍のように突き出てくるのを、満月が受け止める。
「なに、女を護るのも男の仕事だ」
苦しそうに呟く満月。ただ、触手の勢いは止まらず、山吹の腹をも貫いた。
仲間の回復も間に合わない刹那崩れかけたが、命の力に頼った彼女は、さらに伸びてきた触手を胸で挟み込み、片手でつかんで焼き焦がした。
そんな彼らに、凜は癒しの力を振りまく。
エインフェリアは仲間の後ろから妖に種を投げつけ、急成長させた植物で動きを封じ、体液を流れ出させる。
ミュエルも敵に傷をつけたり、弱体させたりと立ち回っていたが、仲間の疲弊を見て回復を図る。
だが、今度は彼女へと食らいついて来る妖。体力が減り、なりふり構ってはいられなくなってきたのだろう。
体力の維持は考えていたミュエルだったが。想像以上に体力を吸われ、意識が途切れた。
だが、彼女は命の力を砕いてまでも、倒れることを拒絶する。そして、植物の生命力を凝縮した雫を傷つく仲間に振りまいた。
「乙女の柔肌を傷つけた落とし前、つけてやろうじゃん」
ここぞと蕾花が仕掛ける。その一撃は猛り狂う獣のようで。まるで植物を捕食するようにも見えた。
シャアアと奇妙な叫びを上げる敵。エヌは笑みを湛えたまま、雷雲から雷を落とす。
「皆さんの声を聴くのは、これまでですかね」
さらに食らいついて来ようとする敵。狙うは満月だ。
(助けないと!)
前に立つ沙織。威風を纏った彼女は敵の攻撃よりも早く、辱められた怒りを力に変え、木々の力を乗せた双刀で切り払う。
ジタバタと暴れる妖だが、すでに生命力は尽きていて。全ての触手をへたらせ、枯れ草のように萎んでしまったのだった。
●無事に倒しはしたものの
傷を負う者もいたが、なんとか妖を倒した覚者達。前に立っていた女性陣は精神をすり減らしていたようだ。
「……触手……怖い……」
沙織は小刻みに体を震わせる。そして、服を溶かされ、ベトベトになってしまった身体に気づき、胸を抑える。ミュエルも負っていた傷以上に自身の恥ずかしい格好が気になり、赤面していた。2人は互いの姿に気づいて慰め合う。
ともあれ、早くお風呂に入りたいが。山吹は外に置いていたバッグから着替えとタオルを取り出し、仲間に渡していた。
(妖の賢さ、報告しておかないとな)
後ほど、『F.i.V.E.』へ報告書をまとめようと考える蕾花はそそくさと着替える。また、この後やってきた女性達にエロ植物の残骸を見せないようにと、ワーズワースで説得して温室へと立ち入らせないようにしていたようだ。
エルフィリアはまだ触手に対してトラウマの残る仲間を見て、考える。
(精神的にダメージ負ってそうだし、治療の為にショッピングで発散が良いかしら?)
「傷んじゃったから、新しい洋服欲しいんよねー」
エルフィリアと考えていることはちょっと違ったが、買い物をしたいという考えは一致する。
その2人がチラリと男性陣に視線を走らせると。
「いや、いいもの見せてもらった」
女性陣の包囲をすり抜けた満月は飄々と語り、温室から悠然と出ていってしまう。また、エヌの姿もすでになくなっていた。
領収書すら握り潰して自腹で払わせようと考えていたのに。エルフィリアはいつかあの2人から見物料を踏んだくろうと考える。
「だったら、街で逆ナンしてみるんよ」
市街地まで出れば、これだけの美女揃いの覚者なら、気のある男性におねだりして何か買ってもらえるかもと凜は女性メンバーを誘う。それに対して同意したメンバー達は、市街地へと繰り出すことにしたのだった。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし

■あとがき■
リプレイ、公開いたします。
さすがにランク3の妖、
一筋縄でいく相手ではなかったかと思います。
MVPはエロスと戦闘プレイングを
両立させたあなたへ。
さりげに、今回いいとこどりだったのは、
男性陣でしたね……。
ともあれ、お疲れ様でした。
今回は参加していただき、
誠にありがとうございました!!
さすがにランク3の妖、
一筋縄でいく相手ではなかったかと思います。
MVPはエロスと戦闘プレイングを
両立させたあなたへ。
さりげに、今回いいとこどりだったのは、
男性陣でしたね……。
ともあれ、お疲れ様でした。
今回は参加していただき、
誠にありがとうございました!!
