≪初夢語≫出動! ファイヴメン
「大変だ!」
ミーティングルームにて今後の平和維持活動をどうすべくか話し合う君たちのもとに、壮年の男がひとり駆け込んできた。
部屋のテーブル、その中央には3Dホログラフィックにより縮尺された街の全景が表示されており、事件発生時の突入ルートが矢印で付け足されていた。
ここは冥時タワー。恵観区の平和の象徴であり、君たちヒーローの拠点でもある。ここでは装備を固め、訓練を行い、日夜平和維持のための活動が行われているのだ。
その上層階の一室、男が駆け込んできたのはそんな場所であった。
君たちは驚く様子を見せない。現在、冥時タワー内に駐在しているヒーローは全てこのミーティングルームに集まっていたし、トラブルがいつも突発的に起こるのを熟知していたからだ。
そう、この世に悪が途絶えた試しはない。全ての人が武器を捨て、暴力を忘れれば平和になるのだろうが、それは理想論だ。
悲しいが、武力は悪を呼び、その悪を覆すためにも必要なのである。
「またヴィラン(ここではヒーローの出動を余儀なくされるレベルの悪人の意)が出たのかい。大丈夫、俺達がなんとかするさ。さあ、事情を話してくれ」
ヒーロー達のひとりが立ち上がり、男に声をかけた。
その時である。突如、テーブルの市街グラフィックが消失。代わりに映しだされたのは、恵観区の中継映像だった。
「にゃーっはっはっはっは! 聞いているかヒーロー共!」
大きく響き渡る声。映しだされた顔。明らかにこちらの意図したものではない。ハッキングだ。ヒーローの拠点タワーをハッキングして中継映像を送ってくるなど、ヴィランの仕業だと考えて間違いない。
「聞いているかと言っているんだぜヒーロー共! 元気ですかー!? え、これ音声一方通行なの? マジで? にゃんだようしゃあねえなあ」
猫耳。褐色の肌。ギザギザの歯。意地の悪い笑み。その背後では住人の悲鳴と火薬の音が聞こえ、また同じような背格好の奴らが暴れているのが見えている。映しだされたそいつはやかましく、一方的に要求を押し付けた。
「いいかあヒーロー共。この街はあちし達がいただくぜ! 返して欲しければ十兆億ドル用意しろ! いいか、十兆億だぞ!」
無理難題な額をつきつけ、はじめと同じよう、また唐突に映像は途切れた。
「…………間違いない、これはCAD-Rの仕業だな」
画面に映し出されて宣戦布告をされたのだから、間違いないどころではないのだが、仲間のひとりが自信げに言う。
「あの猫型褐色巨乳最終兵器が相手となれば厄介だ。しかもやつめ、今度はクローン技術にまで手を出してきやがった」
「そのとおりだ。しかし我々は負けるわけにはいかない。いくぞファイヴメン! 出動だ!」
ミーティングルームにて今後の平和維持活動をどうすべくか話し合う君たちのもとに、壮年の男がひとり駆け込んできた。
部屋のテーブル、その中央には3Dホログラフィックにより縮尺された街の全景が表示されており、事件発生時の突入ルートが矢印で付け足されていた。
ここは冥時タワー。恵観区の平和の象徴であり、君たちヒーローの拠点でもある。ここでは装備を固め、訓練を行い、日夜平和維持のための活動が行われているのだ。
その上層階の一室、男が駆け込んできたのはそんな場所であった。
君たちは驚く様子を見せない。現在、冥時タワー内に駐在しているヒーローは全てこのミーティングルームに集まっていたし、トラブルがいつも突発的に起こるのを熟知していたからだ。
そう、この世に悪が途絶えた試しはない。全ての人が武器を捨て、暴力を忘れれば平和になるのだろうが、それは理想論だ。
悲しいが、武力は悪を呼び、その悪を覆すためにも必要なのである。
「またヴィラン(ここではヒーローの出動を余儀なくされるレベルの悪人の意)が出たのかい。大丈夫、俺達がなんとかするさ。さあ、事情を話してくれ」
ヒーロー達のひとりが立ち上がり、男に声をかけた。
その時である。突如、テーブルの市街グラフィックが消失。代わりに映しだされたのは、恵観区の中継映像だった。
「にゃーっはっはっはっは! 聞いているかヒーロー共!」
大きく響き渡る声。映しだされた顔。明らかにこちらの意図したものではない。ハッキングだ。ヒーローの拠点タワーをハッキングして中継映像を送ってくるなど、ヴィランの仕業だと考えて間違いない。
「聞いているかと言っているんだぜヒーロー共! 元気ですかー!? え、これ音声一方通行なの? マジで? にゃんだようしゃあねえなあ」
猫耳。褐色の肌。ギザギザの歯。意地の悪い笑み。その背後では住人の悲鳴と火薬の音が聞こえ、また同じような背格好の奴らが暴れているのが見えている。映しだされたそいつはやかましく、一方的に要求を押し付けた。
「いいかあヒーロー共。この街はあちし達がいただくぜ! 返して欲しければ十兆億ドル用意しろ! いいか、十兆億だぞ!」
無理難題な額をつきつけ、はじめと同じよう、また唐突に映像は途切れた。
「…………間違いない、これはCAD-Rの仕業だな」
画面に映し出されて宣戦布告をされたのだから、間違いないどころではないのだが、仲間のひとりが自信げに言う。
「あの猫型褐色巨乳最終兵器が相手となれば厄介だ。しかもやつめ、今度はクローン技術にまで手を出してきやがった」
「そのとおりだ。しかし我々は負けるわけにはいかない。いくぞファイヴメン! 出動だ!」

■シナリオ詳細
■成功条件
1.猫型褐色巨乳最終兵器の打倒
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
まず、皆様はヒーロー集団ファイヴメンの一員です。
現れたヴィラン。猫型褐色巨乳最終兵器CAD-Rを倒すために、各々が考えたヒーローコスチュームと必殺能力を駆使してください。
空を飛ぶ。怒ると変身する。目からビームを出す。いろんなヒーローがあると思います。
それらの能力をフルに発揮して全てのCAD-Rを倒してください。
【エネミーデータ】
猫型褐色巨乳最終兵器CAD-R
・信念や明確な目的があってのものではなく、娯楽と快楽のために悪事を行う完全な愉快犯。
・戦闘能力はそこまで高くないものの、今回は街中にクローンが現れている。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
相談日数
6日
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
5/8
5/8
公開日
2016年01月16日
2016年01月16日
■メイン参加者 5人■

●キャットデリバリー
気まぐれ。自分勝手。自由。ネコ科を表した言葉にそう書かれるように、ヒト科を表した何者かの指標があるとすれば、そこには傲慢や欲深いと書かれたりするのだろうかとか栓のないことを考えてみるけれど本文とは一切関係がございません。
ヒーロー。男性名詞ではあるものの、かといって反語であるヒロインが確かにその意味の真逆であるかと問われれば、まったくもってそんなことはないわけだ。少なくとも日本語においてだが。
よって、これはその場において大小の違いはあれど善性をもって悪環境を打破する誰それのことを指していると考えて良い。
よって、彼らは性差なくヒーローである。並び立ち、それぞれがポーズをキメ、邪悪と立ち向かうのだ。
「オレは成瀬翔、いつもは普通の小学5年生だけど敵が現れた時にはゴリンジャーに変身! 大人になって戦うぜ!」
『デジタル陰陽師』成瀬 翔(CL2000063)の変身した姿は武道着のそれである。主に格闘技で戦い、遠距離技として気を圧縮させた光線を発射するのだ。
「実はこの変身にはもう一段階あってさ。怒ったり気が昂ったりすると髪が逆立って金色に光るんだよな。名付けてスーパーゴリンジャーだぜ!」
のっけからギリギリだな。
「CAD-Rは倒す、あたしはあたしであるために絶対に倒さなければならない存在なのだ」
突如現れたニンジャ、『戦場を舞う猫』鳴海 蕾花(CL2001006)の名前はヒュージ・ブレスト。ファイヴメンに協力するようだが、その正体は謎に包まれている。今おもいっきり本名が出たがシステムの問題なのでノーカウントだ。よって謎は守られている。どう考えても忍ぶ予定すら見当たらない肌面積の多い衣装。履いてはいないとのことだが描写は年齢制限によりカットである。
「CAD-R。何だか設計が出来そうな名前ですが、相手が何であろうと罪なき人に理不尽な暴力を振るう輩は成敗して差し上げますわ!」
『誇り高き姫君』秋津洲 いのり(CL2000268)は胸元に輝くペンダントを高く掲げ宣言する。
「カムヒア! マジカルパワー!」
これにより、不思議パワーが集まり赤いボンテージの仮面魔法少女、マジカルイノリンに変身するのである。名詞の妙な安っぽさがますますアダルト感を掻き立てるぞ。
「……ここ、どこ? あ、ええと、えっと……CAD-R、好きにはさせない……!??」
いまいち事態を把握しきれていない様子の桂木・日那乃(CL2000941)であったが、すぐに自分の設定を口にする。そう、このパートで必要なのはそういうやつだ。
「うー……わたし、超能力で風と水を操って戦う生体兵器? 羽は改造手術でつけられた、の。マリンは自立型コンピューター、ね」
なぜ疑問形。えっと、なんだ。まあともかくそういうことだ。
「今日も元気にジェノサイド!! ゴリンジャーのクールで寡黙なステキングなブラックこと魔法青少年! 苦役★マジか! ただ今推参! 貴方の運命、終わるわよ!?」
ばっちりウインクをキメる不死川 苦役(CL2000720)。
「……あっ、ゴメン! マスク忘れたわ。ちょっと取りに帰って良い? ぇ!? ダメ!? しゃーねーなあ。じゃあたまたま持ってたこのホッケーマスクで代用するしかねえか」
マスクが怖い以前にたまたまホッケーマスク持っててアスリートじゃない奴はそれだけでヤバイ。
さて、既に前語りの善性云々は取り消したい気持ちでいっぱいだが、ヒーローは出揃った。目標は街中で暴れる無数のコピーキャットである。
頑張れヒーロー負けるなヒーロー。
●ユーライクオアユーラヴ
チェシャキャット。迷い人を案内するにやにや笑い。しましまの猫。あいつがそうかと言われれば、そこまで善性はなく、そこまで不可思議でもない。つまるところ、本文とは一切関係がございません。
「にゃーっはっはっはっは!! にゃーっはっはっはっはっは! にゃーっはっノンノン、カメラさんヒーロー写しに行かないで! 知ってるもの! もうあちしの見せ場ここだけって知ってるもの!」
高笑いする猫型褐色巨乳最終兵器。一番目立っているあれがオリジナルだろうかと思うものの、奴がずる賢いことをヒーロー達は知っている。
そもそもオリジナルだったとして、倒してもコピーがゆうゆうと本体を名乗りだしかねない。
「クローンって経歴ごときでアイデンティティ潰れるキャラって四百年遅れてるよな」
そういうこと言わないの。
●ファニーボーン
黒猫は縁起が悪いそうです。かわいいけれど。でもこいつに出会ったなら、それは演技じゃなくて運が悪かったのであって、なおかつ可愛くもないのだから、やはり本文とは一切関係がございません。
「えっと、ね……」
『テレパシーネット構築。ファイヴメン各員の連携を支援』
隣のサポートコンピュータが機械音声で状況を告げる。
「敵、数いっぱいだけど、全部殴ればいい、の? 範囲攻撃でもいい、の。範囲攻撃まだできないからやってみたいかも。 水と風で、たつまきみたいな……? 台風までいくと暴走……?」
『ソニックストームカテゴリー1、座標設定。干渉開始』
「にゃんとぉ、天候系はアメコミでも反則ううううううう!」
数十匹の猫が暴風に飲み込まれ、空の彼方でコミックチックな消え方をする。きらーん。
「なにかちがうもの混ざってる? よくわかんない。ん、じゃあ……」
『バトルモード、シフト。CAD?Rを敵と認識。戦闘開始』
「今回の敵はCAD-Rだな! つか、何だよ、この数!? こうなったら片っ端からぶちのめすっ!!」
翔が気合を入れると、周りが白いぎざぎざのエネルギーで包まれる。そのまま空を飛び勢い良く空をとぼうとしたのであったが、
「っと、その前に逃げ遅れた人がいねーか確認しねーとな! ヒーローは人を助けるもんだし!」
幸いにして、直接、間接的に被害を受けているひとはいないようだ。
確認すると高度を上げ、空中から無数の気弾をマシンガンのように撃ちこんでいく。あれだ、Mッパげの技だ。
「オレの怒りは天にまで届くんだ、見てろよ!!」
現れた暴風に合わせ、雷を落とす。直撃を受けた怪人たちが、黒焦げになりながら空を飛んだ。
「自分が楽しいからって悪いことするんじゃねーよ! いいか、悪いことなんてしなくてもこの世界には楽しいことがたくさんあるんだぜ! それがわかんねーやつは、ぶっ飛ばす!!」
本気で殴りあいながら会話できてこそのヒーローです。
ヒュージ・ブレスト=サンがコピー猫を倒しながら地をかける。ところで原作詳しくないんだけどこの表記であってる?
「いかにデカ乳最終兵器だろうと機動力ならあたしは負けない。同じ猫型である以上弱点だって知ってるしね」
そう言うと、ヒュージ・ブレストはマタタビを取り出し、適当に投げつけた。
「くうう、罠だとわかっていてもネコ科の本能がひっかからずには居られない! 流石ニンジャ汚えな!」
集まったコピー共を分身したニンジャがばったばったと薙ぎ倒していく。切り裂かれた猫達は一般放送向けに出血量は少なめながら例のよくわからない奇声をあげて往年のアクション映画のごとく吹き飛んでいく。
「それから貴様、説明文に『はいてない』がないな、貴様のパンツを脱がしてから始末してやる!」
威風堂々と変態発言。味方キャラがサツバツとして悪っぽくなるのもアメコミなら日常茶飯事である。
いや、ちゃうねん。分かる人だけ分かったらええかなって思ってん。
「ヘイ、イノリン、今日もセクシーだねぇ!」
頭の上で帽子が下世話に喚くのをスルーして、イノリンは魔法の杖を高く掲げた。
「魅惑の香りに酔いしれるといいですわ。マジカルテンプテーション!」
本当に野外企画の撮影とかじゃないんですかね、これ。
しかしそれは男を酔わす香の物ではなくマタタビのそれ。猫には効果が抜群である。
「くそう、おみゃーら猫と見ればマタタビ使いやがって。そんな罠に釣られニャー!」
ええ、まあ、くまではありませんからして。
「ガラハット様、出番ですわよ。マジカルハット・スライサー!」
集まった猫らを見て、イノリンは帽子をフリスビーのように投げつける。それは高速で回転し、つばの刃が無残にも怪人共を切り刻むのだ。かなりグロい気がするが、年齢指定
的な意味でつっこみたいところはそこではない。
昔、子供向け特撮でも技名に八つ裂きって入ってたしな。
「猫型褐色巨乳最終兵器……全く、分かってないね! ほんと! ネコミミっていうのは恥じらいがあってこそなんだよ! 子猫ちゃんを見習えよなー。あの恥じらいつつも勇気を出して俺に向かってパパ(本来はオッサンと言っていました)って言った時! もうテンションが有頂天でどうしようかと思いましたよ!」
「あのおっさん、なんかやべえニャ」
「そうニャ、近づかないほうがいいニャ」
ひそひそ。ひそひそ。
「うっせえこちとら彼女いない歴黒歴史な二十代なんだよ! 二十代で魔法少年やるって結構恥ずいんだぜ!? とりあえずこの黒歴史をぶち壊す!」
大流行した魔法少女モノも最後はアラサーだったので需要がないとはいえなくも……無理だな。
「行くぜ! スマイル★バズーカ!! おらあ!マジカル★頸椎砕き!!」
「技名の発想がおっさんニャ」
「昭和ニャ。昭和の香りがするニャ」
ひそひそ。ひそひそ。
「あ!? 良いんだよ! えっと、アレだよ! ほら。こう、魔法青少年はそんな感じなの!」
●アイアムヒーロー
そろそろ思いつかなくて面倒になってきたけど本文とは一切関係がございません。
なんやかんやあってオリジナルは見つかり、コピー達も殲滅された。そこの描写が重要なのではないかと思われる諸氏もおられるのではないかと思うところではあるが、そんなものはない。ないのである。
コピーは殲滅され、オリジナルは怪人専門の収容所に送られていった。
ひとつの戦いが終わりを迎えたのだ。
いつの間にか戻ってきていた街のみんなが、ヒーロー達をたたえている。ありがとうと、これからも守ってくれと、拍手喝采をあびせてくる。
悪い気分ではない。ヒーローと言う体を張った生業の特権といえよう。
拍手と、新聞記者のフラッシュを浴びながら、気づけば、視界が、ゆがんで、じりりり、やかましい、なんだこの音。知ってる。知っている。じりりりり。わかっている。わかっているから。
アラームが、現実に覚醒を促した。
妙にリアルな夢だったと、思ったものだ。
しかし、初夢であれほど好き勝手をできたのである。純粋に楽しんだり、気恥ずかしかったり。様々ではあったが、気分は悪く無い。
正月明けの初任務。これからの一年も楽しく、夢のようで居られたらと思う。
ただ、付け加えるとすれば。
同じ『ヒーロー』達と顔を合わせた時は、思わず目をそらしたものだった。
了。
気まぐれ。自分勝手。自由。ネコ科を表した言葉にそう書かれるように、ヒト科を表した何者かの指標があるとすれば、そこには傲慢や欲深いと書かれたりするのだろうかとか栓のないことを考えてみるけれど本文とは一切関係がございません。
ヒーロー。男性名詞ではあるものの、かといって反語であるヒロインが確かにその意味の真逆であるかと問われれば、まったくもってそんなことはないわけだ。少なくとも日本語においてだが。
よって、これはその場において大小の違いはあれど善性をもって悪環境を打破する誰それのことを指していると考えて良い。
よって、彼らは性差なくヒーローである。並び立ち、それぞれがポーズをキメ、邪悪と立ち向かうのだ。
「オレは成瀬翔、いつもは普通の小学5年生だけど敵が現れた時にはゴリンジャーに変身! 大人になって戦うぜ!」
『デジタル陰陽師』成瀬 翔(CL2000063)の変身した姿は武道着のそれである。主に格闘技で戦い、遠距離技として気を圧縮させた光線を発射するのだ。
「実はこの変身にはもう一段階あってさ。怒ったり気が昂ったりすると髪が逆立って金色に光るんだよな。名付けてスーパーゴリンジャーだぜ!」
のっけからギリギリだな。
「CAD-Rは倒す、あたしはあたしであるために絶対に倒さなければならない存在なのだ」
突如現れたニンジャ、『戦場を舞う猫』鳴海 蕾花(CL2001006)の名前はヒュージ・ブレスト。ファイヴメンに協力するようだが、その正体は謎に包まれている。今おもいっきり本名が出たがシステムの問題なのでノーカウントだ。よって謎は守られている。どう考えても忍ぶ予定すら見当たらない肌面積の多い衣装。履いてはいないとのことだが描写は年齢制限によりカットである。
「CAD-R。何だか設計が出来そうな名前ですが、相手が何であろうと罪なき人に理不尽な暴力を振るう輩は成敗して差し上げますわ!」
『誇り高き姫君』秋津洲 いのり(CL2000268)は胸元に輝くペンダントを高く掲げ宣言する。
「カムヒア! マジカルパワー!」
これにより、不思議パワーが集まり赤いボンテージの仮面魔法少女、マジカルイノリンに変身するのである。名詞の妙な安っぽさがますますアダルト感を掻き立てるぞ。
「……ここ、どこ? あ、ええと、えっと……CAD-R、好きにはさせない……!??」
いまいち事態を把握しきれていない様子の桂木・日那乃(CL2000941)であったが、すぐに自分の設定を口にする。そう、このパートで必要なのはそういうやつだ。
「うー……わたし、超能力で風と水を操って戦う生体兵器? 羽は改造手術でつけられた、の。マリンは自立型コンピューター、ね」
なぜ疑問形。えっと、なんだ。まあともかくそういうことだ。
「今日も元気にジェノサイド!! ゴリンジャーのクールで寡黙なステキングなブラックこと魔法青少年! 苦役★マジか! ただ今推参! 貴方の運命、終わるわよ!?」
ばっちりウインクをキメる不死川 苦役(CL2000720)。
「……あっ、ゴメン! マスク忘れたわ。ちょっと取りに帰って良い? ぇ!? ダメ!? しゃーねーなあ。じゃあたまたま持ってたこのホッケーマスクで代用するしかねえか」
マスクが怖い以前にたまたまホッケーマスク持っててアスリートじゃない奴はそれだけでヤバイ。
さて、既に前語りの善性云々は取り消したい気持ちでいっぱいだが、ヒーローは出揃った。目標は街中で暴れる無数のコピーキャットである。
頑張れヒーロー負けるなヒーロー。
●ユーライクオアユーラヴ
チェシャキャット。迷い人を案内するにやにや笑い。しましまの猫。あいつがそうかと言われれば、そこまで善性はなく、そこまで不可思議でもない。つまるところ、本文とは一切関係がございません。
「にゃーっはっはっはっは!! にゃーっはっはっはっはっは! にゃーっはっノンノン、カメラさんヒーロー写しに行かないで! 知ってるもの! もうあちしの見せ場ここだけって知ってるもの!」
高笑いする猫型褐色巨乳最終兵器。一番目立っているあれがオリジナルだろうかと思うものの、奴がずる賢いことをヒーロー達は知っている。
そもそもオリジナルだったとして、倒してもコピーがゆうゆうと本体を名乗りだしかねない。
「クローンって経歴ごときでアイデンティティ潰れるキャラって四百年遅れてるよな」
そういうこと言わないの。
●ファニーボーン
黒猫は縁起が悪いそうです。かわいいけれど。でもこいつに出会ったなら、それは演技じゃなくて運が悪かったのであって、なおかつ可愛くもないのだから、やはり本文とは一切関係がございません。
「えっと、ね……」
『テレパシーネット構築。ファイヴメン各員の連携を支援』
隣のサポートコンピュータが機械音声で状況を告げる。
「敵、数いっぱいだけど、全部殴ればいい、の? 範囲攻撃でもいい、の。範囲攻撃まだできないからやってみたいかも。 水と風で、たつまきみたいな……? 台風までいくと暴走……?」
『ソニックストームカテゴリー1、座標設定。干渉開始』
「にゃんとぉ、天候系はアメコミでも反則ううううううう!」
数十匹の猫が暴風に飲み込まれ、空の彼方でコミックチックな消え方をする。きらーん。
「なにかちがうもの混ざってる? よくわかんない。ん、じゃあ……」
『バトルモード、シフト。CAD?Rを敵と認識。戦闘開始』
「今回の敵はCAD-Rだな! つか、何だよ、この数!? こうなったら片っ端からぶちのめすっ!!」
翔が気合を入れると、周りが白いぎざぎざのエネルギーで包まれる。そのまま空を飛び勢い良く空をとぼうとしたのであったが、
「っと、その前に逃げ遅れた人がいねーか確認しねーとな! ヒーローは人を助けるもんだし!」
幸いにして、直接、間接的に被害を受けているひとはいないようだ。
確認すると高度を上げ、空中から無数の気弾をマシンガンのように撃ちこんでいく。あれだ、Mッパげの技だ。
「オレの怒りは天にまで届くんだ、見てろよ!!」
現れた暴風に合わせ、雷を落とす。直撃を受けた怪人たちが、黒焦げになりながら空を飛んだ。
「自分が楽しいからって悪いことするんじゃねーよ! いいか、悪いことなんてしなくてもこの世界には楽しいことがたくさんあるんだぜ! それがわかんねーやつは、ぶっ飛ばす!!」
本気で殴りあいながら会話できてこそのヒーローです。
ヒュージ・ブレスト=サンがコピー猫を倒しながら地をかける。ところで原作詳しくないんだけどこの表記であってる?
「いかにデカ乳最終兵器だろうと機動力ならあたしは負けない。同じ猫型である以上弱点だって知ってるしね」
そう言うと、ヒュージ・ブレストはマタタビを取り出し、適当に投げつけた。
「くうう、罠だとわかっていてもネコ科の本能がひっかからずには居られない! 流石ニンジャ汚えな!」
集まったコピー共を分身したニンジャがばったばったと薙ぎ倒していく。切り裂かれた猫達は一般放送向けに出血量は少なめながら例のよくわからない奇声をあげて往年のアクション映画のごとく吹き飛んでいく。
「それから貴様、説明文に『はいてない』がないな、貴様のパンツを脱がしてから始末してやる!」
威風堂々と変態発言。味方キャラがサツバツとして悪っぽくなるのもアメコミなら日常茶飯事である。
いや、ちゃうねん。分かる人だけ分かったらええかなって思ってん。
「ヘイ、イノリン、今日もセクシーだねぇ!」
頭の上で帽子が下世話に喚くのをスルーして、イノリンは魔法の杖を高く掲げた。
「魅惑の香りに酔いしれるといいですわ。マジカルテンプテーション!」
本当に野外企画の撮影とかじゃないんですかね、これ。
しかしそれは男を酔わす香の物ではなくマタタビのそれ。猫には効果が抜群である。
「くそう、おみゃーら猫と見ればマタタビ使いやがって。そんな罠に釣られニャー!」
ええ、まあ、くまではありませんからして。
「ガラハット様、出番ですわよ。マジカルハット・スライサー!」
集まった猫らを見て、イノリンは帽子をフリスビーのように投げつける。それは高速で回転し、つばの刃が無残にも怪人共を切り刻むのだ。かなりグロい気がするが、年齢指定
的な意味でつっこみたいところはそこではない。
昔、子供向け特撮でも技名に八つ裂きって入ってたしな。
「猫型褐色巨乳最終兵器……全く、分かってないね! ほんと! ネコミミっていうのは恥じらいがあってこそなんだよ! 子猫ちゃんを見習えよなー。あの恥じらいつつも勇気を出して俺に向かってパパ(本来はオッサンと言っていました)って言った時! もうテンションが有頂天でどうしようかと思いましたよ!」
「あのおっさん、なんかやべえニャ」
「そうニャ、近づかないほうがいいニャ」
ひそひそ。ひそひそ。
「うっせえこちとら彼女いない歴黒歴史な二十代なんだよ! 二十代で魔法少年やるって結構恥ずいんだぜ!? とりあえずこの黒歴史をぶち壊す!」
大流行した魔法少女モノも最後はアラサーだったので需要がないとはいえなくも……無理だな。
「行くぜ! スマイル★バズーカ!! おらあ!マジカル★頸椎砕き!!」
「技名の発想がおっさんニャ」
「昭和ニャ。昭和の香りがするニャ」
ひそひそ。ひそひそ。
「あ!? 良いんだよ! えっと、アレだよ! ほら。こう、魔法青少年はそんな感じなの!」
●アイアムヒーロー
そろそろ思いつかなくて面倒になってきたけど本文とは一切関係がございません。
なんやかんやあってオリジナルは見つかり、コピー達も殲滅された。そこの描写が重要なのではないかと思われる諸氏もおられるのではないかと思うところではあるが、そんなものはない。ないのである。
コピーは殲滅され、オリジナルは怪人専門の収容所に送られていった。
ひとつの戦いが終わりを迎えたのだ。
いつの間にか戻ってきていた街のみんなが、ヒーロー達をたたえている。ありがとうと、これからも守ってくれと、拍手喝采をあびせてくる。
悪い気分ではない。ヒーローと言う体を張った生業の特権といえよう。
拍手と、新聞記者のフラッシュを浴びながら、気づけば、視界が、ゆがんで、じりりり、やかましい、なんだこの音。知ってる。知っている。じりりりり。わかっている。わかっているから。
アラームが、現実に覚醒を促した。
妙にリアルな夢だったと、思ったものだ。
しかし、初夢であれほど好き勝手をできたのである。純粋に楽しんだり、気恥ずかしかったり。様々ではあったが、気分は悪く無い。
正月明けの初任務。これからの一年も楽しく、夢のようで居られたらと思う。
ただ、付け加えるとすれば。
同じ『ヒーロー』達と顔を合わせた時は、思わず目をそらしたものだった。
了。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし

■あとがき■
この街にヒーローは多すぎるってのは、誰の言葉だったか。
