≪初夢語≫気をつけろ。羊はかなり凶暴だ
●ここは修羅の闘技場
気が付くと闘技場にいた――
「はーい。みなさん今日はありがとうございます。私は司会のアムですっ!
本日は闘技場に挑戦していただきありがとうございますっ!」
そしてなんだかよくわからないハイテンションなノリの少女が、そんなことを喋っていた。もこもこしたローブと曲がった角は羊のコスプレなのだろうか?
「それでは早速始めたいと思います。赤コーナー……えーと、コレは覚者(トゥルーサー)って読むんですか? の、方々っ!
そして相対するのはこちらの四名です!」
スポットライトが四体の『羊』を照らす。
「まずは四本足のケリーさん。猪突猛進に突っ込んでくる暴走野郎っ! その角は相手を押し飛ばします!」
『メメー!』
地面を削るように掻く羊がいた。
「次は羊飼いのマシューくん。羊飼いの杖を使い羊を守る杖使いです! 味方をサポートしながら戦う支援役!」
「オラの羊には指一本触れさせねぇだ!」
一礼する少年。その手にした杖は歴戦を思わせるほどに傷ついていた。
「そして紅一点! モコモコセクシーなリナさんです! 無駄な鎧を無くして速度で攻める格闘家! 一子相伝と言われた闘羊角術は今日も冴えるのか!」
「アチキの角が……血に飢えているよ!」
胸と腰に申し訳程度のもこもこした服をつけて、羊の曲がった角を手にした女性が挑発するように胸を張っていた。
「そして最後は羊の鎧を身に纏った騎士! 重厚な鎧はそれ自体が武器と言っても過言ではない! デュミナスさんです!」
「我が白羊の盾に勝利を誓おう……」
剣と盾を掲げ、一人の男が厳かに膝をついた。
「準備時間は十秒のみ。両チームが了承した時のみ発生です! 降伏、もしくは全員戦闘不能になったら試合終了の試合形式で行きます。
それでは皆様、張り切ってまいりましょう!」
司会の声に湧き上がる観客達。目の前の選手の様に、獣憑もびっくりなけもけもした人たちであふれていた。場の空気が戦うことを強要している。
ここは何処で、これが何で、そしてどういうことなのか。
それはすぐに理解できた。
「ああ、これは夢なんだ」
だったらまあ、楽しんでやろうじゃないか。
気が付くと闘技場にいた――
「はーい。みなさん今日はありがとうございます。私は司会のアムですっ!
本日は闘技場に挑戦していただきありがとうございますっ!」
そしてなんだかよくわからないハイテンションなノリの少女が、そんなことを喋っていた。もこもこしたローブと曲がった角は羊のコスプレなのだろうか?
「それでは早速始めたいと思います。赤コーナー……えーと、コレは覚者(トゥルーサー)って読むんですか? の、方々っ!
そして相対するのはこちらの四名です!」
スポットライトが四体の『羊』を照らす。
「まずは四本足のケリーさん。猪突猛進に突っ込んでくる暴走野郎っ! その角は相手を押し飛ばします!」
『メメー!』
地面を削るように掻く羊がいた。
「次は羊飼いのマシューくん。羊飼いの杖を使い羊を守る杖使いです! 味方をサポートしながら戦う支援役!」
「オラの羊には指一本触れさせねぇだ!」
一礼する少年。その手にした杖は歴戦を思わせるほどに傷ついていた。
「そして紅一点! モコモコセクシーなリナさんです! 無駄な鎧を無くして速度で攻める格闘家! 一子相伝と言われた闘羊角術は今日も冴えるのか!」
「アチキの角が……血に飢えているよ!」
胸と腰に申し訳程度のもこもこした服をつけて、羊の曲がった角を手にした女性が挑発するように胸を張っていた。
「そして最後は羊の鎧を身に纏った騎士! 重厚な鎧はそれ自体が武器と言っても過言ではない! デュミナスさんです!」
「我が白羊の盾に勝利を誓おう……」
剣と盾を掲げ、一人の男が厳かに膝をついた。
「準備時間は十秒のみ。両チームが了承した時のみ発生です! 降伏、もしくは全員戦闘不能になったら試合終了の試合形式で行きます。
それでは皆様、張り切ってまいりましょう!」
司会の声に湧き上がる観客達。目の前の選手の様に、獣憑もびっくりなけもけもした人たちであふれていた。場の空気が戦うことを強要している。
ここは何処で、これが何で、そしてどういうことなのか。
それはすぐに理解できた。
「ああ、これは夢なんだ」
だったらまあ、楽しんでやろうじゃないか。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.勝て!
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
未年も終わりということで。
●敵情報
・羊?(×4)
羊のような何かです。もこもこ率が異常に低いですが、まあ。
全員好戦的で、覚者に襲い掛かる気満々です。そのくせ戦いに関しては理性的で、己の役割に適したポジションに移動し、的確に弱点をついてきます。
・ケリー
四本足の羊です。大きさも現実の羊と同じぐらい。
敵をみたら突撃してきます。以外と思われますが、羊は結構凶暴ですよ?
攻撃方法
突撃 物近単 全力で走って、角で突いてきます。全力移動後にも攻撃可能です。〔ノックB〕
大暴れ 物近列 角を振りかざし、派手に暴れます。〔二連〕
興奮 自 興奮で攻撃的になります。〔怒り〕〔反射〕
・マシュー
羊飼いの少年。一四歳ぐらいです。
羊飼いの杖を持ち、仲間を守るために動きます。
攻撃方法
羊が一匹 特遠単 羊を相手に数えさせて、眠りを誘います。〔睡眠】〔ダメージ0〕
ゆうどう 特遠味全 杖で羊を誘導し、有利な場所を押さえます。物攻&特攻UP
まじない 特遠味全 先祖から伝わるおまじないで、味方を守ります。BSリカバー
・リナ
胸と腰にもこもこの服をつけた女性です。ぼんきゅっぼん。
羊の角を加工した格闘武器で、多芸に攻めてきます。
攻撃方法
螺旋衝角 物近貫3 己の『気』を角に乗せ、貫く一撃を放ちます。
電気の羊 特近単 角に稲妻を纏わせ、叩きこんできます。〔痺れ〕
闘羊の型 自 獣のような構えを取り、速度と回避を増します。
・デュミナス
鎧盾に身を包んだ騎士。かろうじて盾の紋章が羊という程度です。
体力と防御力的には一番高く、味方を守るために動きます。
攻撃方法
白羊の光 特近列 盾から光を放ち、敵の戦意をくじきます。
バッシュ 物近単 重量の乗った剣の一撃。〔出血〕
不屈の盾 P 体力が0になっても、必殺を無視して一度だけ体力三割の状態で復活します。
●場所情報
夢の中の闘技場。広さは便宜上20×20メートルとします。
灯りや足場などは戦闘に支障なし。夢の中ですが、術式や体術などは普通に使えます。
夢の中なので、それを持ち歩いても不思議じゃない物(お酒とか食事とか)は想像すれば出てきます。ですがしょせん夢の中、写真を撮っても残りませんのであしからず。
戦闘開始時、敵前衛に『ケリー』『リナ』『デュミナス』が、後衛に『マシュー』がいます。皆様の初期配置はお好きなように。
事前付与は一度だけ。皆様が行わないのなら、敵側も行いません。
■初夢依頼について
この依頼は参加者全員が見ている同じ夢の中での出来事となります。
その為世界観に沿わない設定、起こりえない情況での依頼となっている可能性がありますが全て夢ですので情況を楽しんでしまいしょう。
またこの依頼での出来事は全て夢のため、現実世界には一切染み出す事はありません。
※要約すると一夜限りの夢の出来事なので思いっきり楽しんじゃえ!です。
皆様のプレイングをお待ちしています。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
6日
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2016年01月14日
2016年01月14日
■メイン参加者 8人■

●
「こりゃ、強そうな羊……? だな」
羊だよな、と首をかしげるのは『百合の追憶』三島 柾(CL2001148)。なんでこんな夢を見ているのだろうか? 夢だから論理的な解説は無意味とわかっていながらも、疑問が浮かぶのは仕方ない。
「あー、私は 夢に見るほど楽しめるバトルに飢えてるんだなぁ」
逆に夢に説明をつけてしまうのは『戦いはコミュニケーション』をモットーとする華神 悠乃(CL2000231)。既に覚醒状態で、手に手甲をつけている。ここまで戦う気満々なのかと、むしろ納得していた。じゃあとことん戦おう。
「んー。めえめえがいるー」
同じく戦意高めの八百万 円(CL2000681)。いつでも突撃できるように、神具を手にして跳ねている。これが夢だろうが現実だろうが構わない、戦いの空気が充満する闘技場。それが円を高揚させていく。はやくはじまらないかなー。
「ショーなら一緒に楽しまないと損だし、お客さんにも失礼だよねー」
観客席に手を振りながら『だく足の雷鳥』風祭・雷鳥(CL2000909)が笑みを浮かべる。羊ってあんなのだっけ? 首をかしげるが夢だし、ということで深く追及はしないことにした。ともあれ楽しもう。夢の中でも最速を目指して。
「ここまではっきりした夢ってあんまり見ることないからある意味新鮮、かも?」
意識があって自由に動ける夢。明晰夢……だったかな。そんなことを永倉 祝(CL2000103)は思い出す。いつも気だるげな祝は、夢の中でもすこし眠たげだった。これが夢だと自覚しても目が覚める兆候がない。不思議に思いながら弓を取る。
「闘技場ですか。いいですよ、ガチンコ勝負。やってやるですよ」
鉄仮面に白いワンピース。そんな覚醒状態の『鉄仮面の乙女』風織 紡(CL2000764)が叫ぶ。裸足から伝わってくる肌触りは整地された土の感覚。とても夢とは思えないリアルな感覚だ。となればダメージの感覚もそうなのだろう。少し心が躍ってきた。
「随分なの。見覚えのある人もいるけど、全部夢なの?」
きょろきょろと周りを見回し、見知った人間の姿を確認する『Ⅵ』三月 アリス(CL2001257)。どこか冷めたようなアリスは、こんな状況でも慌てることなく周りを探っていく。五感で感じるのは、現実と変わらない空気でしかなかった。
「なるほど。状況は理解しました」
鈴白 秋人(CL2000565)は腕を組んで思考し、そして状況を把握する。どうやらこれは共通の夢を見ているということ。そして簡単には目が覚めないということだ。獏という『理由』まではたどり着けないが、闘技場で戦わされるという『状況』は理解できた。
八人の覚者は顔を合わせて頷きあう。どういう理由であれ、降参して試合放棄をするつもりはなかった。それはこれが夢だからということもあるが、それとは別の理由もあった。
「折角なんだから遊びたーい」
「スカッといきたーい!」
戦いを前に高揚している覚者もいた。どういう経緯でこうなったかはどうでもいい。ここが闘技場で、目の前に相手がいる。そのシチュエーションがやる気になっていた。
「事前行動はありませんね。それでは……試合開始です!」
鳴り響く開始の鐘の音。それは観客の大歓声に取って代わられた。
観客達の歓声の中、覚者と羊たちはぶつかり合う。
●
「私の夢なんだから私よりはやいってしょーじきありえんよね?」
最初に動いたのは雷鳥だ。覚醒して変異した足で地面を蹴り、リナに迫る。一番手を取られて驚くリナの顔を見ながら、ランスと盾を握りしめる。ランスの威力が如何なく発揮できる間合を押さえ、真っ直ぐにリナを睨む。
初速の勢いを殺すことなく動作は素早く。地面をしっかり踏みしめ、その力を体に伝達させる。膝、腰、肩、肘そして手の平。踏みしめた力と速度。それを乗せて雷鳥はランスりを突き出した。重く、そして鋭い騎士槍の一撃。
「なんたって私現実でも最速だし!」
「行くぞ。楽しませてくれよ」
両手にナックルを構え、柾はリナに向かい迫っていく。リナが手にする羊の角と拳が打ち合わされた。曲がった角の変則的な動きを撃ち貫くように突き立てられる柾の拳。手数と速度で相手の攻撃を圧倒する。
相手の構えから次の動きを判断する柾。夢の中とはいえ、二本の足で立ち、二本の腕で攻めるなら格闘技と類似点は多い。経験則を生かして先読みし、その行動をさせなうように動く。源素を乗せた拳が、相手の肉体に叩き込まれる。
「中々楽しめそうだな」
「あれですか痴女ですか。ぼんきゅっぼんを惜しげもなく見せて! 自慢ですか!」
よしぶっ殺す、と気合を入れる紡。リナの体形は、細身な彼女からすれば、殺意の対象なのか。両手に刃を持ち、相手に迫る。角の攻撃を刃で防ぎ、互いの武器が交差した状態で睨みあう。交差する戦意と戦意。
その状態で放たれるリナの蹴りを、しゃがんで避ける紡。滑るように懐に潜り込み、『RED RUM』を強く握りしめた。生まれた隙は一瞬。その隙を逃すことなく、貫くように刃を突き立てた。衝撃がリナと、その後ろのマシューにまで届く。
「なんか許せません。倒します」
「ケリーと遊ぶんだー。わーい」
元気よくケリーの前に立つ円。凶暴にいきり立つ羊の前に立ち、テンション高めに円も構える。小細工など必要ない。これが夢であるかどうかも関係ない。目の前に遊べる相手がいるのなら、全力で遊ぶのが円なのだ。
ケリーの突撃に合わせるように円も突撃する。ケリーが暴れると同じように円も暴れる。そこに戦略はない。野生のままに暴れる羊と、未の獣憑。一撃一撃が全力の野生の喧嘩。荒々しい戦い方は互いの血を滾らせ、さらに激しくなる。
「どっちが先に倒れるかなー?」
「あっちはあっちで楽しそうだなぁ」
そんな円の様子を見ながら悠乃は戦場を向き直る。前線とは一歩引いた場所に布陣する。インファイトがファイトスタイルの悠乃だが、今日は皆を支えるための立ち位置に徹すると決めた。皆で勝利を掴むために。
まだ回復は必要ない、と判断して攻勢に出る悠乃。両手に装着した『竜手・輝夜』を振りかぶる。前衛の隙を縫うように一歩進み、横なぎに大きく振りかぶった。源素を乗せていない横一線の薙ぎ払いを受けて、相手の動きが揺らぐ。
「辰の爪だよ。羊の角にも、負けてないでしょ?」
「行くぞ……ピヨ」
守護使役に語りながら秋人が歩を進める。源素の水を身にまとわりつかせて、術符を構える。悠乃と同じく戦場全体を見ながら、最善の動きをすべく思考を巡らせる。攻撃に回復に。やるべきことは多い。
術符を二つ重ね、意識を集中する。狙う相手は羊飼いの杖を振るうマシュー。その杖を弾くには狙いを定める必要があるが、その時間が惜しいため諦めた。槍のように鋭い衝撃波が秋人から放たれ、羊たちを傷つけていく。
「油断せず……焦らずに行きましょう」
「…………ん」
眠そうな瞳で祝が応じる。夢の中で寝たらどうなるのだろうか、とそんなことをぼんやりと思う。試してみたい気持ちはあるが、今は戦いに収集しよう。スイッチを入れ替えて、使い慣れた弓を手にする。
前世との繋がりを意識する。そこから得た知識と経験が、弓を持つ手を変化させる。より流動的に、より力を抜いて。必要な力は弦を引く力と、弓を支える力。適切な力で引き、正しく構えて射る。稲妻の力がこもった一撃が、敵を穿つ。
「戦闘も正直めんどくさ……でも戦うなら勝ちに行きたいね」
「もこもこ分が少ないのは許しがたいの」
敵メンバーのもこもこ率の低さに怒りを覚えるアリス。なんて夢なのと思いながら水の源素を手のひらに集める。集めた力は氷となり、敵を貫く槍となる。イメージするのは氷の騎士。いずれ手に入れたいアリスの目標。
その騎士は夢の中で出会った相手。恋い焦がれ、常にともにいる存在。己の中にしか存在できな騎士をいずれ顕現させようと、アリスは力を求めている。そのイメージのままに放たれた氷が、羊の群れを貫くように進んでいく。
「自分の存在価値をどう考えてるの?」
「もこもこばかりだと面白くないんですよ。闘技場的に」
そんなことを答える司会の人。最初は全部もこもこだったけど、だめだ面白くないとST的に思った次第で。じゃあ開き直って、とこうなったわけである。メタ会話終了。
戦いが激しくなるたびに観客が湧き、その声に高揚するように戦いはさらに激しくなっていく。
だが戦いは永遠には続かない。勝者と敗者が決すれば、そこで終わりを告げる。
勝敗を決める天秤は、未だ大きく揺れ動いていた。
●
覚者は後方にいるマシューを集中的に攻撃する。支援と眠りを誘う厄介な能力を封じるために。
それを察し、防御役のデュミナスがガードに向かうと覚者は予想したのだが――
「庇いにいかない!?」
予想に反してデュミナスは攻勢に出た。それは庇わせないために覚者達が貫通攻撃を主眼で攻めたこともあるが、デュミナスとマシューの初期位置から初めからその作戦はなかった可能性もある。
ともあれ集中砲火は功を為し、マシューは秋人の一撃を受けて倒れ伏す。だが、予想外の攻勢を受けて覚者も傷を負っていた。
「まだまだ止まってられないね!」
「ええ。これからです」
「ぶっころころするですよ」
雷鳥、秋人、紡が命数を削るほどの傷を受ける。まだ負ける気はないと神具を掲げた。
「ご免……眠い……」
リナの稲妻を受けて、祝が倒れ伏す。眠るようにぐったりと横になった。
「まだまだまけないぞー! どりゃー!」
開幕からケリーと一対一で戦っている円。その心意気を買ったのか近づけば巻き込まれると恐れてか、覚者も羊たちもそこから少し離れて戦っていた。互いに防御を考えない攻撃。野生と野生のぶつかり合い。
「あんまりにもやんちゃし過ぎると妹に怒られそうだが……」
戦いに傾倒する自分を感じながら、しかしその衝動のままに神具を振るう柾。これは夢だから仕方ないと言い訳しながら、しかしこの高揚は嘘ではないと言う自覚もある。恨みも因縁もない純粋な凌ぎあい。それが楽しいのは確かなのだ。自分の中にこんな衝動があったなんて。
「闘技場の猛者というのは伊達ではないようですね」
回復の術を行使しながら秋人が口を開く。妖の戦いを経て成長したFiVEの覚者。より少ない人数で自分たちと渡り合えるなんて。これが夢の中だからと言って、負けるつもりは毛頭ない。勝利を得るために知を巡らせ、神具を振るう。
「そこの女の人、もうすぐ体力尽きそう」
アリスは攻撃の間に敵をスキャンし、その結果を皆に伝えていた。見た目はまだ倒れそうにないが、集中砲火が功を為した事もありダメージが深いのがわかる。それが分かれば覚者のがぜんやる気が出てくる。
「中々速かったけど、私には一歩及ばなかったみたいね」
雷鳥のランスがリナを捕らえる。突き出したランスから伝わる確かな感覚。崩れ落ちるリナを見下ろしながら雷鳥は勝者の笑みを浮かべる。速度対速度の勝負は雷鳥に軍配が上がった。夢の中でも最速は譲れない。
残りの羊は二体。だが覚者達も無傷とはいかなかった。
「まだまだあそぶよー!」
「……痛いの」
円とアリスが膝をつくが、命数を削って何とか耐える。円は高いテンションで。アリスは冷めた口調で。
「すまん……あとは任せた」
柾が限界に達して力尽きる。その穴を埋めるように悠乃が前に出た。
「流石に、一方的にとはいかないね……それでこそ、と言おうか」
楽しそうに悠乃は構えを取る。手甲を武器としたインファイト。勝利に徹するために支援に回ると決めたのだが、こうなったらこうなったで楽しくもある。この距離はむしろ自分が望んだ距離。手甲と羊の盾がぶつかり合う。
「羊のマークはアウトです! やーいやーい! どうせなら羊角の兜とかにすればよいのに」
デュミナスを挑発しながらナイフを振るう紡。デュミナスの振るった剣を跳んで避け、そのまま剣を踏みつけ睨みあう。相手が剣を引くより早くナイフを振るい、鎧の隙間を刃が滑る。夢の中だからと、スタイリッシュに動く。
「かったー」
体中傷だらけ、ボロボロになりながら円は腕を振り上げる。暴れまわった結果を示すようにその周囲は土煙が派手に舞っていた。腕をぶんぶん振り回し、仲間の方に走っていく。
一人残ったデュミナスを六人の覚者が攻める。力尽きても蘇るデュミナスだが、数と火力の差を覆すには至らない。
「これで終わりなの」
羊の騎士に向かい、アリスが氷の術式を繰り出す。刹那浮かんだ氷のゴーレムの映像は、アリスの力が具現化したのかこれが夢だからか。その真相を推理する間もなく映像は消え、氷の一閃だけが残る。
氷に貫かれ膝をつくデュミナス。羊の盾がカランと地面に落ちた。
●
「はいっ、勝者は覚者(トゥルーサー)の方々です!」
司会の声と共に歓声が沸き上がる。勝者を称える拍手と叫び声。
「しっかし疲れたな」
おつかれさん、と仲間を労いながら座り込む柾。これが何なのかわからないが、まあ気にしたら負けなのだろうと思いなおす。
「勝ててよかったです」
安堵のため息を漏らす秋人。負けたところで誰かが不幸になるわけでもないのだが。それなりにダメージは受けたが、大きな傷を負った人が少ないのは僥倖だ。
「はーい、質問です! 次は申の方々とやれるんでしょーか?」
「ぼくもやるー。もっと戦いたーい」
一戦終わり、しかしまだ戦い足りないと悠乃と円が挙手する。そんな彼らを待ってましたとばかりに猿っぽい人たちが待ち受けていた。第二ラウンドを前に湧き上がる観客達。俺も戦うと乱入者も現れ、闘技場は騒然となる。
「今度はあの子と遊んでる夢も見たいね」
そんな様子を見ながら雷鳥は静かに言葉を放つ。夢なんて基本選べないものだが、そんな初夢なら幸先がいいだろう。その願いが叶う事を願い、目を閉じる。
獏の妖力が切れたのか、覚者は同時に微睡む。それが夢から覚める瞬間だと理解できた。そして気が付けば――
「はい夢オチ」
目を覚ましたアリスが開口一番そう言って、寝なおす為に布団の中に潜り込んだ。
「こりゃ、強そうな羊……? だな」
羊だよな、と首をかしげるのは『百合の追憶』三島 柾(CL2001148)。なんでこんな夢を見ているのだろうか? 夢だから論理的な解説は無意味とわかっていながらも、疑問が浮かぶのは仕方ない。
「あー、私は 夢に見るほど楽しめるバトルに飢えてるんだなぁ」
逆に夢に説明をつけてしまうのは『戦いはコミュニケーション』をモットーとする華神 悠乃(CL2000231)。既に覚醒状態で、手に手甲をつけている。ここまで戦う気満々なのかと、むしろ納得していた。じゃあとことん戦おう。
「んー。めえめえがいるー」
同じく戦意高めの八百万 円(CL2000681)。いつでも突撃できるように、神具を手にして跳ねている。これが夢だろうが現実だろうが構わない、戦いの空気が充満する闘技場。それが円を高揚させていく。はやくはじまらないかなー。
「ショーなら一緒に楽しまないと損だし、お客さんにも失礼だよねー」
観客席に手を振りながら『だく足の雷鳥』風祭・雷鳥(CL2000909)が笑みを浮かべる。羊ってあんなのだっけ? 首をかしげるが夢だし、ということで深く追及はしないことにした。ともあれ楽しもう。夢の中でも最速を目指して。
「ここまではっきりした夢ってあんまり見ることないからある意味新鮮、かも?」
意識があって自由に動ける夢。明晰夢……だったかな。そんなことを永倉 祝(CL2000103)は思い出す。いつも気だるげな祝は、夢の中でもすこし眠たげだった。これが夢だと自覚しても目が覚める兆候がない。不思議に思いながら弓を取る。
「闘技場ですか。いいですよ、ガチンコ勝負。やってやるですよ」
鉄仮面に白いワンピース。そんな覚醒状態の『鉄仮面の乙女』風織 紡(CL2000764)が叫ぶ。裸足から伝わってくる肌触りは整地された土の感覚。とても夢とは思えないリアルな感覚だ。となればダメージの感覚もそうなのだろう。少し心が躍ってきた。
「随分なの。見覚えのある人もいるけど、全部夢なの?」
きょろきょろと周りを見回し、見知った人間の姿を確認する『Ⅵ』三月 アリス(CL2001257)。どこか冷めたようなアリスは、こんな状況でも慌てることなく周りを探っていく。五感で感じるのは、現実と変わらない空気でしかなかった。
「なるほど。状況は理解しました」
鈴白 秋人(CL2000565)は腕を組んで思考し、そして状況を把握する。どうやらこれは共通の夢を見ているということ。そして簡単には目が覚めないということだ。獏という『理由』まではたどり着けないが、闘技場で戦わされるという『状況』は理解できた。
八人の覚者は顔を合わせて頷きあう。どういう理由であれ、降参して試合放棄をするつもりはなかった。それはこれが夢だからということもあるが、それとは別の理由もあった。
「折角なんだから遊びたーい」
「スカッといきたーい!」
戦いを前に高揚している覚者もいた。どういう経緯でこうなったかはどうでもいい。ここが闘技場で、目の前に相手がいる。そのシチュエーションがやる気になっていた。
「事前行動はありませんね。それでは……試合開始です!」
鳴り響く開始の鐘の音。それは観客の大歓声に取って代わられた。
観客達の歓声の中、覚者と羊たちはぶつかり合う。
●
「私の夢なんだから私よりはやいってしょーじきありえんよね?」
最初に動いたのは雷鳥だ。覚醒して変異した足で地面を蹴り、リナに迫る。一番手を取られて驚くリナの顔を見ながら、ランスと盾を握りしめる。ランスの威力が如何なく発揮できる間合を押さえ、真っ直ぐにリナを睨む。
初速の勢いを殺すことなく動作は素早く。地面をしっかり踏みしめ、その力を体に伝達させる。膝、腰、肩、肘そして手の平。踏みしめた力と速度。それを乗せて雷鳥はランスりを突き出した。重く、そして鋭い騎士槍の一撃。
「なんたって私現実でも最速だし!」
「行くぞ。楽しませてくれよ」
両手にナックルを構え、柾はリナに向かい迫っていく。リナが手にする羊の角と拳が打ち合わされた。曲がった角の変則的な動きを撃ち貫くように突き立てられる柾の拳。手数と速度で相手の攻撃を圧倒する。
相手の構えから次の動きを判断する柾。夢の中とはいえ、二本の足で立ち、二本の腕で攻めるなら格闘技と類似点は多い。経験則を生かして先読みし、その行動をさせなうように動く。源素を乗せた拳が、相手の肉体に叩き込まれる。
「中々楽しめそうだな」
「あれですか痴女ですか。ぼんきゅっぼんを惜しげもなく見せて! 自慢ですか!」
よしぶっ殺す、と気合を入れる紡。リナの体形は、細身な彼女からすれば、殺意の対象なのか。両手に刃を持ち、相手に迫る。角の攻撃を刃で防ぎ、互いの武器が交差した状態で睨みあう。交差する戦意と戦意。
その状態で放たれるリナの蹴りを、しゃがんで避ける紡。滑るように懐に潜り込み、『RED RUM』を強く握りしめた。生まれた隙は一瞬。その隙を逃すことなく、貫くように刃を突き立てた。衝撃がリナと、その後ろのマシューにまで届く。
「なんか許せません。倒します」
「ケリーと遊ぶんだー。わーい」
元気よくケリーの前に立つ円。凶暴にいきり立つ羊の前に立ち、テンション高めに円も構える。小細工など必要ない。これが夢であるかどうかも関係ない。目の前に遊べる相手がいるのなら、全力で遊ぶのが円なのだ。
ケリーの突撃に合わせるように円も突撃する。ケリーが暴れると同じように円も暴れる。そこに戦略はない。野生のままに暴れる羊と、未の獣憑。一撃一撃が全力の野生の喧嘩。荒々しい戦い方は互いの血を滾らせ、さらに激しくなる。
「どっちが先に倒れるかなー?」
「あっちはあっちで楽しそうだなぁ」
そんな円の様子を見ながら悠乃は戦場を向き直る。前線とは一歩引いた場所に布陣する。インファイトがファイトスタイルの悠乃だが、今日は皆を支えるための立ち位置に徹すると決めた。皆で勝利を掴むために。
まだ回復は必要ない、と判断して攻勢に出る悠乃。両手に装着した『竜手・輝夜』を振りかぶる。前衛の隙を縫うように一歩進み、横なぎに大きく振りかぶった。源素を乗せていない横一線の薙ぎ払いを受けて、相手の動きが揺らぐ。
「辰の爪だよ。羊の角にも、負けてないでしょ?」
「行くぞ……ピヨ」
守護使役に語りながら秋人が歩を進める。源素の水を身にまとわりつかせて、術符を構える。悠乃と同じく戦場全体を見ながら、最善の動きをすべく思考を巡らせる。攻撃に回復に。やるべきことは多い。
術符を二つ重ね、意識を集中する。狙う相手は羊飼いの杖を振るうマシュー。その杖を弾くには狙いを定める必要があるが、その時間が惜しいため諦めた。槍のように鋭い衝撃波が秋人から放たれ、羊たちを傷つけていく。
「油断せず……焦らずに行きましょう」
「…………ん」
眠そうな瞳で祝が応じる。夢の中で寝たらどうなるのだろうか、とそんなことをぼんやりと思う。試してみたい気持ちはあるが、今は戦いに収集しよう。スイッチを入れ替えて、使い慣れた弓を手にする。
前世との繋がりを意識する。そこから得た知識と経験が、弓を持つ手を変化させる。より流動的に、より力を抜いて。必要な力は弦を引く力と、弓を支える力。適切な力で引き、正しく構えて射る。稲妻の力がこもった一撃が、敵を穿つ。
「戦闘も正直めんどくさ……でも戦うなら勝ちに行きたいね」
「もこもこ分が少ないのは許しがたいの」
敵メンバーのもこもこ率の低さに怒りを覚えるアリス。なんて夢なのと思いながら水の源素を手のひらに集める。集めた力は氷となり、敵を貫く槍となる。イメージするのは氷の騎士。いずれ手に入れたいアリスの目標。
その騎士は夢の中で出会った相手。恋い焦がれ、常にともにいる存在。己の中にしか存在できな騎士をいずれ顕現させようと、アリスは力を求めている。そのイメージのままに放たれた氷が、羊の群れを貫くように進んでいく。
「自分の存在価値をどう考えてるの?」
「もこもこばかりだと面白くないんですよ。闘技場的に」
そんなことを答える司会の人。最初は全部もこもこだったけど、だめだ面白くないとST的に思った次第で。じゃあ開き直って、とこうなったわけである。メタ会話終了。
戦いが激しくなるたびに観客が湧き、その声に高揚するように戦いはさらに激しくなっていく。
だが戦いは永遠には続かない。勝者と敗者が決すれば、そこで終わりを告げる。
勝敗を決める天秤は、未だ大きく揺れ動いていた。
●
覚者は後方にいるマシューを集中的に攻撃する。支援と眠りを誘う厄介な能力を封じるために。
それを察し、防御役のデュミナスがガードに向かうと覚者は予想したのだが――
「庇いにいかない!?」
予想に反してデュミナスは攻勢に出た。それは庇わせないために覚者達が貫通攻撃を主眼で攻めたこともあるが、デュミナスとマシューの初期位置から初めからその作戦はなかった可能性もある。
ともあれ集中砲火は功を為し、マシューは秋人の一撃を受けて倒れ伏す。だが、予想外の攻勢を受けて覚者も傷を負っていた。
「まだまだ止まってられないね!」
「ええ。これからです」
「ぶっころころするですよ」
雷鳥、秋人、紡が命数を削るほどの傷を受ける。まだ負ける気はないと神具を掲げた。
「ご免……眠い……」
リナの稲妻を受けて、祝が倒れ伏す。眠るようにぐったりと横になった。
「まだまだまけないぞー! どりゃー!」
開幕からケリーと一対一で戦っている円。その心意気を買ったのか近づけば巻き込まれると恐れてか、覚者も羊たちもそこから少し離れて戦っていた。互いに防御を考えない攻撃。野生と野生のぶつかり合い。
「あんまりにもやんちゃし過ぎると妹に怒られそうだが……」
戦いに傾倒する自分を感じながら、しかしその衝動のままに神具を振るう柾。これは夢だから仕方ないと言い訳しながら、しかしこの高揚は嘘ではないと言う自覚もある。恨みも因縁もない純粋な凌ぎあい。それが楽しいのは確かなのだ。自分の中にこんな衝動があったなんて。
「闘技場の猛者というのは伊達ではないようですね」
回復の術を行使しながら秋人が口を開く。妖の戦いを経て成長したFiVEの覚者。より少ない人数で自分たちと渡り合えるなんて。これが夢の中だからと言って、負けるつもりは毛頭ない。勝利を得るために知を巡らせ、神具を振るう。
「そこの女の人、もうすぐ体力尽きそう」
アリスは攻撃の間に敵をスキャンし、その結果を皆に伝えていた。見た目はまだ倒れそうにないが、集中砲火が功を為した事もありダメージが深いのがわかる。それが分かれば覚者のがぜんやる気が出てくる。
「中々速かったけど、私には一歩及ばなかったみたいね」
雷鳥のランスがリナを捕らえる。突き出したランスから伝わる確かな感覚。崩れ落ちるリナを見下ろしながら雷鳥は勝者の笑みを浮かべる。速度対速度の勝負は雷鳥に軍配が上がった。夢の中でも最速は譲れない。
残りの羊は二体。だが覚者達も無傷とはいかなかった。
「まだまだあそぶよー!」
「……痛いの」
円とアリスが膝をつくが、命数を削って何とか耐える。円は高いテンションで。アリスは冷めた口調で。
「すまん……あとは任せた」
柾が限界に達して力尽きる。その穴を埋めるように悠乃が前に出た。
「流石に、一方的にとはいかないね……それでこそ、と言おうか」
楽しそうに悠乃は構えを取る。手甲を武器としたインファイト。勝利に徹するために支援に回ると決めたのだが、こうなったらこうなったで楽しくもある。この距離はむしろ自分が望んだ距離。手甲と羊の盾がぶつかり合う。
「羊のマークはアウトです! やーいやーい! どうせなら羊角の兜とかにすればよいのに」
デュミナスを挑発しながらナイフを振るう紡。デュミナスの振るった剣を跳んで避け、そのまま剣を踏みつけ睨みあう。相手が剣を引くより早くナイフを振るい、鎧の隙間を刃が滑る。夢の中だからと、スタイリッシュに動く。
「かったー」
体中傷だらけ、ボロボロになりながら円は腕を振り上げる。暴れまわった結果を示すようにその周囲は土煙が派手に舞っていた。腕をぶんぶん振り回し、仲間の方に走っていく。
一人残ったデュミナスを六人の覚者が攻める。力尽きても蘇るデュミナスだが、数と火力の差を覆すには至らない。
「これで終わりなの」
羊の騎士に向かい、アリスが氷の術式を繰り出す。刹那浮かんだ氷のゴーレムの映像は、アリスの力が具現化したのかこれが夢だからか。その真相を推理する間もなく映像は消え、氷の一閃だけが残る。
氷に貫かれ膝をつくデュミナス。羊の盾がカランと地面に落ちた。
●
「はいっ、勝者は覚者(トゥルーサー)の方々です!」
司会の声と共に歓声が沸き上がる。勝者を称える拍手と叫び声。
「しっかし疲れたな」
おつかれさん、と仲間を労いながら座り込む柾。これが何なのかわからないが、まあ気にしたら負けなのだろうと思いなおす。
「勝ててよかったです」
安堵のため息を漏らす秋人。負けたところで誰かが不幸になるわけでもないのだが。それなりにダメージは受けたが、大きな傷を負った人が少ないのは僥倖だ。
「はーい、質問です! 次は申の方々とやれるんでしょーか?」
「ぼくもやるー。もっと戦いたーい」
一戦終わり、しかしまだ戦い足りないと悠乃と円が挙手する。そんな彼らを待ってましたとばかりに猿っぽい人たちが待ち受けていた。第二ラウンドを前に湧き上がる観客達。俺も戦うと乱入者も現れ、闘技場は騒然となる。
「今度はあの子と遊んでる夢も見たいね」
そんな様子を見ながら雷鳥は静かに言葉を放つ。夢なんて基本選べないものだが、そんな初夢なら幸先がいいだろう。その願いが叶う事を願い、目を閉じる。
獏の妖力が切れたのか、覚者は同時に微睡む。それが夢から覚める瞬間だと理解できた。そして気が付けば――
「はい夢オチ」
目を覚ましたアリスが開口一番そう言って、寝なおす為に布団の中に潜り込んだ。

■あとがき■
めー。
